説明

ハードディスクドライブのバイアス力の補償方法と,それに適したバイアス力プロファイルの作成方法,記録媒体,ハードディスクドライブ,およびコンピュータ

【課題】ハードディスクドライブのバイアス補償方法と,それに適したバイアス力プロファイルの作成方法,記録媒体,およびハードディスクドライブを提供すること。
【解決手段】ハードディスクドライブ10の磁気ヘッド16に印加されるバイアス力を補償するバイアスの補償方法において,ヘッド16の現在位置でのバイアス力を測定する過程と,複数のバイアス力プロファイルのうちヘッド16の現在位置で測定されたバイアス力と類似したバイアス力を有するバイアス力プロファイルを選択する過程と,選択されたバイアス力プロファイルによってバイアス力を補償する過程と,を含むことを特徴とするバイアスの補償方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,ハードディスクドライブの効率的なサーボ制御のためのバイアス補償方法にかかり,特に最適のバイアス力を補償するためのバイアス力の補償方法と,それに適したバイアス力プロファイルの作成方法,記録媒体,ハードディスクドライブ,およびコンピュータに関する。
【背景技術】
【0002】
通常,HDD(HDD;Hard Disk Drive)は,回転する磁気ディスク上にデータを記録し,または該ディスク上からデータを再生する装置であって,大量のデータに高速でアクセスできるため,コンピュータシステムの補助記憶装置として広く使われている。
【0003】
HDDにおいて,データは,磁気ディスク上に同心円状に形成されたトラックに保存される。これらのトラックは,磁気ディスク上にデータを記録し,または該磁気ディスク上からデータを再生するための磁気ヘッドによってアクセスされる。磁気ヘッドを磁気ディスク上で移動させて,トラックの一つに位置させることをトラック探索という。
【0004】
HDDのトラック探索において,磁気ヘッドに作用する外乱をバイアスという。HDDでは,ディスクの回転時に発生する空気流動がヘッドの側面を押す際に生じる気圧差,ヘッドに連結されるフレキシブルケーブルの張力,ボイスコイルモータの軸受の特性などがバイアス力に対する主要な影響を及ぼすものと知られている。したがって,このようなバイアス力は,磁気ヘッドの位置,移動距離,移動方向によって変わる。具体的に,トラック探索動作において,磁気ヘッドの位置および移動方向によって,ボイスコイルの初期駆動力が変わると共に,移動距離によって磁気ヘッドの初期移動速度が変わる。磁気ヘッドの位置,移動距離,移動方向によってバイアスを補償する必要がある。このようなバイアス力の補償方法は,特許文献1,2および3に開示されている。
【0005】
従来のバイアス力の補償方法によれば,ディスクの表面を内周から外周に向かって複数の領域に分割し,それぞれの領域においてバイアス力を測定し,バイアス補償テーブルに保存した後,トラックの探索時にそれを参照して補償するようにした。
【0006】
しかし,バイアス力は,ユーザ環境によって変わりうるので,実際には,ヘッドの位置毎に測定されたバイアス力と,バイアス力テーブルに保存された,対応するヘッド位置毎のバイアス力との差が大きい場合には,バイアス力テーブルに保存されたバイアス力の情報を,当該位置の周辺あるいは全ての領域について更新する方法が多く使われる。
【0007】
【特許文献1】特開平6−215508号公報
【特許文献2】特開平4−339371号公報
【特許文献3】特開平6−20408号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし,上記のような,周辺部のバイアス力のみを更新する方法の場合,他の領域は,既存のバイアス力をそのまま維持している状態であるので,隣接領域との偏差が大きくなるという問題点がある。
【0009】
一方,全体領域のバイアス力を更新する場合,それぞれの領域に適した新たなバイアス力を算出するのが難しいだけでなく,長い演算時間がかかる。また,バイアス力が非線形な変化をする場合には,ディスク上でのヘッドの位置による比例定数を適用する作業が必要であるため,さらに長い時間がかかる。
【0010】
そこで,本発明は,上記問題に鑑みてなされたものであり,本発明の目的とするところは,HDDにおいて,使用経過時間に応じて,好適にバイアス力を補償することが可能な,新規かつ改良されたバイアスの補償方法を提供することにある。
【0011】
また,本発明の他に目的とするところは,前記バイアス力の補償方法に適したHDDのバイアス力プロファイルの作成方法を提供することにある。
【0012】
さらに,本発明の他に目的とするところは,前記バイアス力の補償方法を実行するためのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【0013】
さらに,本発明の他に目的とするところは,前記バイアス力の補償方法に適したHDDを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために,本発明のある観点によれば,ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するバイアス力の補償方法において,ヘッドの現在位置におけるバイアス力を測定する過程と;所定の複数のバイアス力プロファイルのうち,ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近いバイアス力を含むバイアス力プロファイルを選択する過程と;選択されたバイアス力プロファイルによって,バイアス力を補償する過程と;を含むことを特徴とする,バイアス力の補償方法が提供される。
【0015】
かかる構成により,ハードディスクの使用状況に応じた好適なバイアス力プロファイルを選択することが可能になり,ハードディスクの使用時間に応じてバイアス力プロファイルを選択する方法に比べても,より状況を反映した精度のよいバイアス力の補償が可能になる。
【0016】
ハードディスクドライブに電源が印加された際,複数のバイアス力プロファイルのうち,ハードディスクドライブの初期使用に対応するバイアス力プロファイルを選択する過程をさらに含んでいてもよい。つまり,ハードディスクの使用開始時点に対応する所定のバイアス力プロファイルを選択してもよい。所定のバイアス力プロファイルは,予め測定されて,ディスクのシステム領域に格納されていてもよい。
【0017】
バイアス力の測定過程は,トラック追従動作で行われてもよい。かかる構成により,トラック探索して移動したヘッドの位置におけるバイアス力を測定することができる。
【0018】
バイアス力の測定過程は,トラック探索以後の第1トラック追従動作で行われてもよい。かかる構成により,トラック探索して移動した直後のヘッド位置におけるバイアス力を測定することができる。
【0019】
トラック探索は,所定距離以上であってもよい。つまり,所定距離以上のトラック探索を実行した場合に,トラック探索して移動したヘッド位置におけるバイアス力のみを測定してもよい。かかる構成により,ヘッドが大きく移動して,バイアス力プロファイルが比較的大きく変化する場合についてのみ,バイアス力を測定することにより,該測定の回数を低減することが可能になり,好適にバイアス力プロファイルの調整を実施しながらも,高速なバイアス力補償ができる。
【0020】
バイアス力の測定過程は,トラック追従動作で周期的に行われてもよい。かかる構成により,時々刻々と変化するバイアス力プロファイルの状況をよく反映したバイアス力の補償が可能になる。
【0021】
バイアス力プロファイルの選択過程は,バイアス力を補償するために選択されたバイアス力プロファイルと,過去時点および将来時点に対応するバイアス力プロファイルとにおける,ヘッドの現在位置に対するバイアス力と,測定されたバイアス力との差をそれぞれ算出する過程と;各バイアス力プロファイル毎に算出された差を比較して,測定されたバイアス力に最も近接したバイアス力を含むバイアス力プロファイルを選択する過程と;を含んでいてもよい。かかる構成により,バイアス力プロファイルを選択しようとする時点において使用しているバイアス力プロファイルと,将来時点及び過去時点に対応する所定のバイアス力プロファイルとを参照し,バイアス力を測定するヘッドの位置に対応する各プロファイルのバイアス力について,測定されたバイアス力との差を算出し,各プロファイルに対応する当該差を比較することが可能になり,好適なバイアス力プロファイルを選択することができる。
【0022】
選択されたバイアス力プロファイルは,ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近接したバイアス力プロファイルであってもよい。かかる構成により,選択時点において,ヘッドの位置における状況を反映した,好適なバイアス力プロファイルを選択することが可能になる。
【0023】
複数のバイアス力プロファイルは,ディスクの内周から外周にわたって,予めバイアス力を測定して得られたものであってもよい。また,複数のバイアス力プロファイルは,ハードディスクドライブの使用時間によって,ディスクのバイアス力を測定することにより作成されたものであってもよい。かかる構成により,ハードディスクの使用開始時点からの経過時間と,ディスクの動径方向に対するヘッドの位置とに対応する多様なバイアス力プロファイルが予め測定されているため,バイアス力を補償する際に,多様な状況に応じたバイアス力プロファイルを選択することが可能になる。
【0024】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルの作成方法において,ヘッドをディスクの内周から外周まで移動させつつ,ヘッドの位置に対するバイアス力を測定して,バイアス力プロファイルを作成する過程と;バイアス力プロファイルの作成過程をハードディスクドライブの使用経過時間によって,所定の時間間隔をおいてN回実行し,N個のバイアス力プロファイルを作成する過程と;N個のバイアス力プロファイルをハードディスクドライブによってアクセスされる記録領域に保存する過程と;を含むことを特徴とする,バイアス力プロファイルの作成方法が提供される。
【0025】
かかる構成により,ハードディスクの使用開始時点からの経過時間と,ディスクの動径方向に対するヘッドの位置とに対応する多様なバイアス力プロファイルが予め測定されて保存されるため,さまざまな状況に応じたバイアス力プロファイルを作成することが可能になる。
【0026】
バイアス力プロファイルは,ハードディスクドライブのバーンインテスト工程で作成されてもよい。
【0027】
Nは,5であってもよい。所定の時間間隔は,約2分であってもよい。かかる構成により,所要のバイアス力プロファイルを作成することができる。
【0028】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するバイアス力の補償方法を記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体において,ヘッドの現在位置におけるバイアス力を測定する過程と;ディスクの内周から外周にわたってバイアス力を測定して得られ,ハードディスクドライブの使用時間毎に作成された複数のバイアス力プロファイルのうち,ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近いバイアス力を含むバイアス力プロファイルを選択する過程と;選択されたバイアス力プロファイルによって,バイアス力を補償する過程と;を含むプログラムが記録されたことを特徴とする,記録媒体が提供される。
【0029】
かかる構成により,多様なバイアス力プロファイルの中から,好適なバイアス力プロファイルが選択され,ヘッドの位置,及びハードディスクの使用状況に応じた好適なバイアス力を補償することができる。
【0030】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルを作成するプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体において,ヘッドをディスクの内周から外周まで移動させつつ,ヘッドの位置におけるバイアス力を測定してバイアス力プロファイルを作成する過程と;バイアス力プロファイルの作成過程を,ハードディスクドライブの使用経過時間によって,所定の時間間隔をおいてN回実行し,N個のバイアス力プロファイルを作成する過程と;N個のバイアス力プロファイルをハードディスクドライブによってアクセスされる記録領域に保存する過程と;を含むプログラムが記録されたことを特徴とする,記録媒体が提供される。
【0031】
かかる構成により,ハードディスクの動作開始時点からの経過時間と,ヘッドの位置とに応じた所要数のバイアス力プロファイルを作成することが可能になる。
【0032】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,情報を保存するためのディスクと;ディスクを回転させるスピンドルモータと;ディスクに情報を記録し,またはディスクから情報を再生するヘッドと;ヘッドを移動させるボイスコイルモータと;ヘッドに印加されるバイアス力を補償するために利用するバイアス力プロファイルを保存するためのメモリと;トラック追従動作でバイアス力を測定し,ディスクの内周から外周にわたってバイアス力を測定して得られ,ハードディスクドライブの使用時間毎に作成された複数のバイアス力プロファイルのうち,ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近いバイアス力を含むバイアス力プロファイルを選択してメモリを更新し,トラック探索モードでメモリに保存されたバイアス力プロファイルを参照して,バイアス力を補償するコントローラと;を備えることを特徴とする,ハードディスクドライブが提供される。
【0033】
かかる構成により,ハードディスクの動作開始時点からの経過時間と,ヘッドの位置とに応じた複数のバイアス力プロファイルを作成することが可能になり,ヘッドの現在位置に対応した好適なバイアス力プロファイルが選択されて,バイアス力を補償することができる。
【0034】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,請求項1に記載の方法を有するハードディスクドライブを備えることを特徴とする,コンピュータが提供される。
【0035】
また,上記課題を解決するために,本発明の別の観点によれば,目標トラックが探索される過程と;探索が終了した後,目標トラックに対応するバイアス力が測定される過程と;測定が終了した後,目標トラックに対応するバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルが更新される過程と;を含むことを特徴とする,バイアス力の補償方法が提供される。
【0036】
かかる構成により,トラック探索後のハードディスクの使用状況に応じた好適なバイアス力プロファイルを保持することが可能になる。
【0037】
更新される過程は,測定されたバイアス力と近接したバイアス力を有するバイアス力プロファイルを選択する過程と;選択されたバイアス力プロファイルによってバイアス力補償テーブルを更新する過程と;を含んでいてもよい。かかる構成により,状況に応じた好適なバイアス力プロファイルを選択して,これを保持することが可能になり,該好適なバイアス力プロファイルを利用してバイアス力の補償ができる。
【発明の効果】
【0038】
以上説明したように本発明によれば,HDDの使用経過時間に応じて,好適にバイアス力を補償することにより,正確かつ速かなバイアス力の補償をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に添付図面を参照しながら,本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお,本明細書および図面において,実質的に同一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0040】
図1は,本発明の実施形態にかかるバイアス力プロファイルの作成方法によって作成されたバイアス力プロファイルを示す図面である。図1において,横軸は,ディスクの外周から内周への距離を表し,縦軸は,バイアス力を表す。このように,バイアス力プロファイルは,ディスク上のヘッドの位置に応じたバイアス力の変化を表す。
【0041】
本実施形態によるバイアス力プロファイルの作成方法によれば,HDDを使用し始めた時点,すなわち,トラック探索,トラック追従を行いつつ,データを記録または再生し始めた時点から所定の時間間隔でバイアス力プロファイルが作られる。
【0042】
それぞれのバイアス力プロファイルは,ヘッドをディスク上で内周から外周まで連続的に移動させつつ測定されたバイアス力の値である。バイアス力は,ヘッドがトラックを追従する時にVCM(Voice Coil Motor)に印加される駆動電流の直流(DC)成分として現れる。
【0043】
図1に示したようなバイアス力プロファイルは,HDDの製造工程,望ましくは,バーンインテスト工程で設けられ,ディスクのシステム領域(メンテナンス領域)あるいは不活性メモリ若しくは不揮発性メモリに保存され,トラック探索動作のようなバイアス力を補償する必要がある場合に参照される。なお,バーンインテストとは,特性を安定させるために,使用前に一定時間動作させることをいう場合がある。該工程は,ICやLSIの信頼性検査,すなわち欠陥,規格外のものを短時間で排除するため,高温環境下で通電テストする工程をいう場合がある。
【0044】
図1には,5種類のバイアス力プロファイルが示される。図1を参照すれば,HDDを使用し始めると,経時的にバイアス力が一定の値に収斂するということが分かる。例えば,図1の左側では,上方から下方に◆,□,△,×,および*が縦に並んでいるのが明らかに見受けられるが,これらのマークは,HDDの使用初期(0),そして使用初期から2分,4分,6分,そして8分が経過した後に測定されたバイアス力を表す。HDDの使用時間が経過するほどバイアス力が最もよい*に収斂するということが分かる。
【0045】
したがって,バイアス力の補償において,HDDを使用し始めた以後に経過した時間を参照して,図1に示したバイアス力プロファイルのうちの一つを選択して,バイアス力を補償すればよいということが分かる。
【0046】
しかし,このようなバイアス力の補償方法においては,バイアスを補償する時点でHDDを使用し始めた後から経過した時間を知なければならない。このような時間経過を検出するためにタイマーを使用することも可能であるが,タイマーを使用することは効用性が劣る。なぜならば,経過時間の決定において,休止期間,HDDの動作条件などの変数を考慮せねばならないにも関わらず,これらの変数を正確に算出し難いためである。
【0047】
本実施形態では,さらに実際的な方法でバイアス力の補償に使用するバイアス力プロファイルを選択する。
【0048】
具体的に,本実施形態では,測定されたバイアス力とほぼ一致するバイアス力を有するバイアス力プロファイルを選択する。このような方法は,バイアス力プロファイルにおいて,あるヘッド位置に対するバイアス力が十分に離隔されているほど効果的である。
【0049】
このような方法によれば,HDDの使用経過時間に対してだけでなく,他の変数,例えば,動作温度,湿度,大気圧などに対しても最適にバイアス力を補償することができる。
【0050】
実験結果により,2分間隔で測定された5個ほどのバイアス力プロファイルがあれば,バイアス力を十分に補償できることが実験的に分かっている。このような時間間隔及び測定数は,ハードディスクドライブのブート過程を考慮して実験的に決定されたものである。ハードディスクのブート過程が開始されて10分程経過すると,バイアス力が安定状態になることも実験的に分かっている。そこで,図1に示したように,一定の時間間隔(2分)毎に5個のバイアス力プロファイルを測定したのである。
【0051】
図2は,本発明の実施形態によるバイアス力の補償方法を示すフローチャートである。
【0052】
図1に示したようなバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルは,HDDの製造工程,望ましくは,バーンインテスト工程で準備される。図1に示したようなバイアス力の補償のためのバイアス力プロファイルは,HDDのシステム領域あるいは不活性メモリに保存されている。
【0053】
まず,HDDに電源が印加されると,使用初期のバイアス力の補償に使用するバイアス力プロファイルが選択されてバイアス補償テーブルに保存される(S202)。
【0054】
また,HDDに電源が印加されると,コントローラ(図示せず)は,準備されたバイアス力プロファイルのうち,初期使用に対応するバイアス力プロファイル,例えば,図1において,◆で表示されるものを読み出してバイアス補償テーブルに保存して,今後のバイアス力補償に対して準備される。
【0055】
次に,トラック探索を行う(S204)。トラック探索動作は,バイアス力補償と共に行われる。ここで,バイアス力補償は,バイアス補償テーブルに保存されたバイアス力プロファイルを使用して行われる。
【0056】
次に,バイアス力を測定する(S206)。バイアス力は,トラック探索動作が終了した後,トラック追従動作が行われる際に測定される。バイアス力は,VCMの駆動電流の直流成分をモニタリングすることによって検出される。
【0057】
次に,ディスク上のヘッドの位置に対して,測定されたバイアス力のようなバイアス力を有する最適のバイアス力プロファイルを選択する(S208)。つまり,準備されたバイアス力プロファイルを参照し,そのうち,バイアス力が測定されたヘッド位置に対応するバイアス力と,測定されたバイアス力とを比較し,最も近いバイアス力を有するバイアス力プロファイルを選択してもよい。
【0058】
A,B,C,およびDを,それぞれ,測定されたバイアス力,バイアス力の補償のために使われているバイアス力プロファイル(現在のバイアス力プロファイル)におけるバイアス力,現在のバイアス力プロファイルより過去時点のバイアス力プロファイルにおけるバイアス力,そして現在のバイアス力プロファイルより将来時点のバイアス力プロファイルにおけるバイアス力であると仮定する。ここで,過去時点および将来時点のバイアス力プロファイルは,本実施形態によるバイアス力プロファイルの作成方法において,HDDの使用が開始された時点から所定の時間間隔でバイアス力プロファイルを作成することを考慮すれば,容易に理解されうる。例えば,現在のバイアス力プロファイルが図1の□で表示されるものならば,過去時点および将来時点に対するバイアス力プロファイルは,それぞれ◆および△で表示されるものである。
【0059】
使用するバイアス力プロファイルは,次のように決定される。
【0060】
If│A−B│<│A−C│&&│A−B│<│A−D│,then現在のバイアス力プロファイルを維持。つまり,条件(|A−B|<|A−C|,かつ,|A−B|<|A−D|)を満たす場合には,現在のバイアス力プロファイルを維持しておいてもよい。
【0061】
If│A−C│<│A−B│&&│A−C│<│A−D│,then現在のバイアス力プロファイルを過去時点のバイアス力プロファイルに代替。つまり,条件(│A−C│<│A−B│,かつ,│A−C│<│A−D│)を満たすならば,現在のバイアス力プロファイルを過去時点に対応するバイアス力プロファイル(上記Cに対応)に代替してもよい。
【0062】
If│A−D│<│A−C│&&│A−D│<│A−B│,then現在のバイアス力プロファイルを将来時点のバイアス力プロファイルに代替。つまり,条件(│A−D│<│A−C│,かつ,│A−D│<│A−B│)を満たすならば,現在のバイアス力プロファイルを将来時点に対応するバイアス力プロファイル(上記Dに対応)に代替してもよい。
【0063】
すなわち,測定されたバイアス力と,現在,過去時点および将来時点でのバイアス力プロファイルにおけるバイアス力との差を比較することによって,測定されたバイアス力と最も近接したバイアス力を有するバイアス力プロファイルが選択される。
【0064】
次に,選択されたバイアス力プロファイルによってバイアス補償テーブルを更新する(S210)。コントローラは,ディスクのシステム領域に記録されたバイアス力プロファイルのうち,ディスク上のヘッドの位置で測定されたバイアス力とほぼ同じバイアス力を有する最適のバイアス力プロファイルを選択し,これにより,バイアス補償テーブルを更新する。
【0065】
したがって,バイアス補償テーブルは,次のトラック探索動作で参照するバイアス力プロファイルを有している。
【0066】
本実施形態によるバイアス力の補償方法において,バイアス力の測定および更新は,所定距離以上のトラック探索が行われた後に実行するような構成にすることもできる。
【0067】
本実施形態では,トラック探索動作が行われる際には,バイアス補償テーブルに保存されたバイアス力プロファイルによってバイアス力補償を行い,トラック探索以後のトラック追従動作では,実際のバイアス力を測定して次のバイアス力の補償のためのバイアス力プロファイルを更新する。トラック探索以前に,まずバイアス力プロファイルを選択することが良いこともあるが,これは,HDDの実行速度を考慮すれば,望ましくない。
【0068】
本実施形態において,バイアス力の測定は,トラック追従動作の間に所定の時間間隔で周期的に実行するような構成にすることもできる。
【0069】
図3は,HDD10の構成を示す図面である。HDD10は,スピンドルモータ14によって回転される少なくとも一つの磁気ディスク12を備えている。HDD10は,ディスク表面18に隣接して位置したヘッド16も備えている。
【0070】
ヘッド16は,それぞれのディスク12の磁界を感知して磁化させることによって回転するディスク12から情報を再生し,またはディスク12に情報を記録できる。典型的に,ヘッド16は,各ディスク表面18に結合されている。たとえ単一のヘッド16として図示されて説明されているが,これは,ディスク12を磁化させるための記録用ヘッドとディスク12の磁界を感知するための分離された再生用ヘッドとからなると理解されねばならない。再生用ヘッドは,磁気抵抗(MR;Magneto−Resistive)素子から構成される。
【0071】
ヘッド16は,スライダ20に統合されうる。スライダ20は,ヘッド16とディスク表面18との間に空気軸受を生成させる構造になっている。スライダ20は,ヘッドジンバルアセンブリ22(Head Gimbal Assembly;HGA)に結合されている。HGA22は,ボイスコイル26を有するアクチュエータアーム24に付着されている。ボイスコイル26は,VCM30を特定するマグネチックアセンブリ28に隣接して位置している。ボイスコイル26に供給される電流は,軸受アセンブリ32に対してアクチュエータアーム24を回転させるトルクを発生させる。アクチュエータアーム24の回転は,ディスク表面18を横切ってヘッド16を移動させる。
【0072】
情報は,典型的にディスク12の環状トラック34内に保存される。各トラック34は,一般的に,複数のセクターを備えている。各セクターは,データフィールドと識別フィールドとを備えている。識別フィールドは,セクターおよびトラック(シリンダ)を識別するグレーコードで構成されている。ヘッド16は,他のトラックから情報を再生し,または他のトラックに情報を記録するために,ディスク表面18を横切って移動する。他のトラックに横切ってヘッドを移動させることを,一般的にトラック探索ルーチンと呼ぶ。
【0073】
図4は,図3に示した装置の回路構成を示す図面である。図4に示したように,HDDは,ディスク12,磁気ヘッド16,プリアンプ210,記録/再生(R/W)チャンネル220,バッファ230,コントローラ240,ROM(Read Only Memory)250A,RAM(Random Access Memory)250B,ホストインターフェース260,VCM駆動部270を備える。
【0074】
ROM250Aには,ソフトウェアルーチンを実行させるためにコントローラ240によって使用される各種の命令語およびデータが保存されている。ソフトウェアルーチンの一つであって,HDDの使用時間を考慮して作成された複数のバイアス力プロファイルのうち,選択されたバイアス力プロファイルを参照して,バイアス力を補償しつつ,一トラックから他のトラックにヘッド16を移動させる探索制御ルーチンがある。また,ROM250Aには,一例として,トラック探索のためのサイン波形の加速度,速度および位置軌跡を生成させるための方程式が保存されている。つまり,該方程式に則ってトラック探索をするための情報が保存されている。また,ROM250Aには,トラックの追従時にバイアス力を測定し,測定されたバイアス力とディスクのシステム領域に記録された複数のバイアス力プロファイルのバイアス力とを比較して,トラック探索時に参照するバイアス力プロファイルを選択し,選択されたバイアス力プロファイルをバイアス力の補償のためのバイアス補償テーブルに保存させるプログラムが保存されている。
【0075】
RAM250Bには,ドライブ駆動初期にROM250Aまたはディスク12から読み出したHDD駆動に必要な情報が保存される。特に,RAM250Bには,トラック探索時にバイアス力の補償のために参照するバイアス力プロファイルがバイアス補償テーブル形態に保存されている。
【0076】
コントローラ240は,ホストインターフェース260を通じてホスト機器(図示せず)から受信されるコマンドを分析し,分析された結果に相応する制御を実行する。コントローラ240は,VCMの励起および磁気ヘッド16の動きを制御するためにVCM駆動回路270に制御信号を供給する。
【0077】
ここで,一般的なHDDの動作を説明すれば,次の通りである。
【0078】
データ読み取りモードで,HDDは,ディスク12から磁気ヘッド16の読み取り用ヘッドによって感知された電気的な信号をプリアンプ210で一次的に増幅させる。次いで,R/Wチャンネル220では,自動利得制御回路(図示せず)によって利得を制御してプリアンプ210で増幅された信号を一定のレベルに増幅させ,自動利得制御回路によって一定のレベルに増幅されたアナログ信号をホスト機器(図示せず)が判読可能なデジタル信号に符号化させ,ストリームデータに変換してバッファ230に一時保存させた後に,ホストインターフェース260を通じてホスト機器に伝送する。
【0079】
次いで,書き込みモードで,HDDは,ホストインターフェース260を通じてホスト機器からデータが入力されてバッファ230に一時保存された後,バッファ230に保存されたデータが順次に出力されてR/Wチャンネル220によって記録チャンネルに適した2進データストリームに変換された後に,プリアンプ210によって増幅された記録電流を磁気ヘッド16の記録用ヘッドを通じてディスク12に記録させる。
【0080】
以下,コントローラ240で実行されるトラック探索方法について詳細に説明する。
【0081】
トラック探索動作において,コントローラ240は,探索距離に対する探索時間を計算し,計算された探索時間に基づいて加速度,速度および位置軌跡を生成させてVCMの駆動電流を制御するプロセスを実行する。このとき,コントローラ240は,RAM250Bに保存されたバイアス力プロファイルを参照してVCMの駆動電流を補償する。
【0082】
図5は,図4に示されるコントローラ240によって実行されるハードウェアおよびソフトウェアで構成された典型的なトラック探索サーボ制御システムを示す図面である。
【0083】
シーク軌跡生成器60は,ヘッド16がトラック34のグレーコードを読み出す度に,正弦波の加速度軌跡と,加速度軌跡を積分して得た速度と,位置軌跡とからヘッド16の設計位置x(n),設計速度v(n)および設計加速度a(n)を計算する。
【0084】
状態推定器62は,入力される位置エラー信号および制御信号uから状態方程式を利用して,ヘッドの実際位置,実際速度情報を含むヘッドの動きの状態変数値を推定するプロセスを実行する。
【0085】
第1合算器64は,設計位置値x(n)から実際位置値x(n)を減算する。そして,位置制御利得補償器66は,第1合算器64で演算された設計位置値と実際位置値との差に位置補正のための位置利得kを積算した位置補正値を生成させる。
【0086】
次いで,第2合算器68は,位置制御利得補償器66で生成された位置補正値に設計速度値v(n)を加算した後に実際速度値v(n)を減算する。
【0087】
それにより,速度制御利得補償器70は,第2合算器68で演算された値に速度補正のための速度利得kを積算した速度補正値を生成させる。
【0088】
次いで,第3合算器72は,速度補正値と設計加速度値とを加算してシーク駆動電流制御値u(n)を生成させる。
【0089】
バイアス力補償器74は,バイアス力プロファイルを参照してシーク駆動電流制御値u(n)にヘッド16の位置に応じたバイアス力を補償し,バイアス力が補正されたシーク駆動電流制御値を生成し,これをVCM駆動部76に印加する。それにより,VCM駆動部76は,バイアス力が補正されたシーク駆動電流制御値に対応する電流をヘッドディスクアセンブリ(Head Disk Assembly;HDA)10のボイスコイルに供給することによって,VCMを回転させてヘッド16を移動させる。
【0090】
サイン波形の探索サーボアルゴリズムによる加速度,速度,位置軌跡および電流軌跡は,次の数式1から求められうる。
【0091】
【数1】

【0092】
ここで,TSKは探索時間であり,Iはボイスコイルに供給される最大電流であり,Kは加速度定数をそれぞれ表す。
【0093】
所定の探索長さ(XSK)に対して,時間(t)は,探索時間(TSK)と同一であり,次のような関係を有する。
【0094】
【数2】

【0095】
数式2から数式3を利用して,所定の探索長さ(XSK)に対して必要とする探索時間(TSK)を求めうる。
【0096】
【数3】

【0097】
数式3によれば,VCMに印加される電流(I)によって限定されるサイン波形の計算されたシーク軌跡を生成させるということが分かる。
【0098】
しかし,実際において,ヘッド16の動きは,それに作用するバイアス力によって撹乱されるので,これを補償する必要がある。
【0099】
コントローラ240は,RAM250Bに保存されたバイアス力プロファイルを参照してVCMに印加される電流(I)を補償する。
【0100】
このために,図2のフローチャートを参照して説明されたように,コントローラ240は,HDDに電源が印加されるとき,ディスクのシステム領域に記録された複数のバイアス力プロファイルのうちHDDの使用初期,例えば,図1の●0で表示されるものを選択してRAM250Bに保存させる。
【0101】
以後,コントローラ240は,トラック追従時にVCMに印加される電流(I)の直流成分によってディスク上の現在位置でのバイアス力を検出する。バイアス力が検出されれば,コントローラ240は,測定されたバイアス力とディスクのシステム領域に記録された複数のバイアス力プロファイルのバイアス力とを比較して,最適のバイアス力プロファイルを選択し,選択されたバイアス力プロファイルでRAM250Bに保存されたバイアス力プロファイルを代替させる。
【0102】
トラック探索動作が開始されれば,コントローラ240は,RAM250Bに保存されたバイアス力プロファイルを参照してバイアス力を補償する。
【0103】
本発明によるバイアス力の補償方法において,バイアス力プロファイルは,HDDの使用経過時間を参照して作成されるが,これが実際に補償に使われる時には,測定されたバイアス力を参照して選択される。これにより,HDDの使用経過時間だけでなく,動作温度,湿度,大気圧などによる影響に対しても強くなる。例えば,使用経過時間が2分経過したとしても,動作温度が異なれば,図1に示される□で表示されるバイアス力プロファイルは適したものではない場合がある。本実施形態では,使用経過時間によってバイアス力プロファイルを選択することではなく,測定されたバイアス力によってあらかじめ準備された複数のバイアス力プロファイルのうち,最適のバイアス力プロファイルを選択して補償させることによって,温度,湿度,大気圧などを複合的に考慮した補償が可能である。
【0104】
以上,添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載された範疇内において,各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本実施形態によるバイアス力プロファイルの作成方法によって作成されたバイアス力プロファイルを示す図面である。
【図2】本発明の実施形態によるバイアス力の補償方法を示すフローチャートである。
【図3】HDDの構成を示す図面である。
【図4】図3に示された装置の回路構成を示す図面である。
【図5】図4に示されるコントローラによって実行されるハードウェアおよびソフトウェアで構成された典型的なトラック探索サーボ制御システムを示す図面である。
【符号の説明】
【0106】
10 HDD
12 磁気ディスク
14 スピンドルモータ
16 ヘッド
18 ディスク表面
20 スライダ
22 HGA
24 アクチュエータアーム
26 ボイスコイル
28 マグネチックアセンブリ
30 VCM
32 軸受アセンブリ
34 環状トラック
240 コントローラ
250A ROM
250B RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するバイアス力の補償方法において:
前記ヘッドの現在位置におけるバイアス力を測定する過程と;
所定の複数のバイアス力プロファイルのうち,前記ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近い前記バイアス力を含むバイアス力プロファイルを選択する過程と;
前記選択されたバイアス力プロファイルによって,前記バイアス力を補償する過程と;
を含むことを特徴とする,バイアス力の補償方法。
【請求項2】
前記ハードディスクドライブに電源が印加された際,前記複数のバイアス力プロファイルのうち,前記ハードディスクドライブの初期使用に対応するバイアス力プロファイルを選択する過程をさらに含むことを特徴とする,請求項1に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項3】
前記バイアス力を測定する過程は,
トラック追従動作で行われることを特徴とする,請求項1又は2に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項4】
前記バイアス力を測定する過程は,
トラック探索以後の第1トラック追従動作で行われることを特徴とする,請求項3に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項5】
前記トラック探索は,
所定距離以上であることを特徴とする,請求項4に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項6】
前記バイアス力の測定過程は,
トラック追従動作で周期的に行われることを特徴とする,請求項3に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項7】
前記バイアス力プロファイルを選択する過程は,
前記バイアス力を補償するために選択されたバイアス力プロファイルと,過去時点および将来時点に対応するバイアス力プロファイルとにおける,前記ヘッドの現在位置に対するバイアス力と,測定されたバイアス力との差をそれぞれ算出する過程と;
前記各バイアス力プロファイル毎に算出された差を比較して,測定されたバイアス力に最も近接したバイアス力を含むバイアス力プロファイルを選択する過程と;
を含むことを特徴とする,請求項1に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項8】
前記選択されたバイアス力プロファイルは,
前記ヘッドの現在位置において測定された前記バイアス力に最も近接したバイアス力プロファイルであることを特徴とする,請求項1に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項9】
前記複数のバイアス力プロファイルは,
ディスクの内周から外周にわたって,予めバイアス力を測定して得られたものであることを特徴とする,請求項1に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項10】
前記複数のバイアス力プロファイルは,
前記ハードディスクドライブの使用時間に応じて,ディスクのバイアス力を測定することにより作成されたものであることを特徴とする,請求項1に記載のバイアス力の補償方法。
【請求項11】
ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルの作成方法において:
前記ヘッドをディスクの内周から外周まで移動させつつ,前記ヘッドの位置に対応するバイアス力を測定して,前記バイアス力プロファイルを作成する過程と;
前記バイアス力プロファイルの作成過程を前記ハードディスクドライブの使用経過時間によって,所定の時間間隔をおいてN回実行し,N個の前記バイアス力プロファイルを作成する過程と;
前記N個のバイアス力プロファイルを前記ハードディスクドライブによってアクセスされる記録領域に保存する過程と;
を含むことを特徴とする,バイアス力プロファイルの作成方法。
【請求項12】
前記バイアス力プロファイルは,
前記ハードディスクドライブのバーンインテスト工程で作成されることを特徴とする,請求項11に記載のバイアス力プロファイルの作成方法。
【請求項13】
前記Nは,
5であることを特徴とする,請求項11に記載のバイアス力プロファイルの作成方法。
【請求項14】
前記所定の時間間隔は,
約2分であることを特徴とする,請求項11に記載のバイアス力プロファイルの作成方法。
【請求項15】
ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するバイアス力の補償方法を記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体において:
前記ヘッドの現在位置におけるバイアス力を測定する過程と;
ディスクの内周から外周にわたって前記バイアス力を測定して得られ,前記ハードディスクドライブの使用時間毎に作成された複数のバイアス力プロファイルのうち,前記ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近いバイアス力を含む前記バイアス力プロファイルを選択する過程と;
前記選択されたバイアス力プロファイルによって,前記バイアス力を補償する過程と;
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする,記録媒体。
【請求項16】
ハードディスクドライブのヘッドに印加されるバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルを作成するプログラムが記録されたコンピュータで読み取り可能な記録媒体において:
前記ヘッドをディスクの内周から外周まで移動させつつ,前記ヘッドの位置におけるバイアス力を測定して前記バイアス力プロファイルを作成する過程と;
前記バイアス力プロファイルの作成過程を,前記ハードディスクドライブの使用経過時間によって,所定の時間間隔をおいてN回実行し,N個のバイアス力プロファイルを作成する過程と;
前記N個のバイアス力プロファイルを前記ハードディスクドライブによってアクセスされる記録領域に保存する過程と;
を含むプログラムが記録されたことを特徴とする,記録媒体。
【請求項17】
情報を保存するためのディスクと;
前記ディスクを回転させるスピンドルモータと;
前記ディスクに情報を記録し,または前記ディスクから情報を再生するヘッドと;
前記ヘッドを移動させるボイスコイルモータと;
前記ヘッドに印加されるバイアス力を補償するために利用されるバイアス力プロファイルを保存するためのメモリと;
トラック追従動作でバイアス力を測定し,前記ディスクの内周から外周にわたって前記バイアス力を測定して得られ,ハードディスクドライブの使用時間毎に作成された複数の前記バイアス力プロファイルのうち,前記ヘッドの現在位置において測定されたバイアス力に最も近いバイアス力を含む前記バイアス力プロファイルを選択して前記メモリに格納された情報を更新し,トラック探索モードで前記メモリに保存されたバイアス力プロファイルを参照して,前記バイアス力を補償するコントローラと;
を備えることを特徴とする,ハードディスクドライブ。
【請求項18】
請求項1に記載の方法を有するハードディスクドライブを備えることを特徴とする,コンピュータ。
【請求項19】
目標トラックが探索される過程と;
前記探索が終了した後,前記目標トラックに対応するバイアス力が測定される過程と;
前記測定が終了した後,前記目標トラックに対応するバイアス力を補償するためのバイアス力プロファイルが更新される過程と;
を含むことを特徴とする,バイアス力の補償方法。
【請求項20】
前記更新される過程は,
前記測定されたバイアス力と最も近いバイアス力を有するバイアス力プロファイルを選択する過程と;
前記選択されたバイアス力プロファイルによってバイアス力補償テーブルを更新する過程と;
を含むことを特徴とする,請求項19に記載のバイアス力の補償方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−331621(P2006−331621A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−128563(P2006−128563)
【出願日】平成18年5月2日(2006.5.2)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】Samsung Electronics Co.,Ltd.
【Fターム(参考)】