説明

ハーブエキス入り蜂蜜及びその製造方法

【課題】蜂蜜とハーブエキスの有効成分が融合し、防腐剤の添加や熱殺菌処理等の工程なしに品質的に安定したハーブエキス入り蜂蜜の提供及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】蜂蜜にハーブエキスを添加・混合し、該蜂蜜を減圧濃縮したものであるハーブエキス入り蜂蜜。該ハーブエキス入り蜂蜜において、減圧濃縮後のブリックス(Brix)糖度は72〜85である。これらのハーブエキス入り蜂蜜において、ハーブエキスはカモミールエキス、バジルエキス、レモングラスエキスから選ばれた1種以上である。これらのハーブエキス入り蜂蜜を含む飲食物。蜂蜜にハーブエキスを添加・混合する工程と、該蜂蜜を減圧濃縮する工程と、からなるハーブエキス入り蜂蜜の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハーブエキスが添加・混合される腐敗を防止するための処理が不要なハーブエキス入り蜂蜜及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蜂蜜は、天然の栄養成分が詰まった、美容と健康に優れた食材である。その約80%は糖質からできているが、その他に健康な体を維持するために必要な約190種類もの成分が含まれている。蜂蜜中の糖質としては果糖、ブドウ糖、麦芽糖、ショ糖等があり、いずれもエネルギー源として働く。また、必須アミノ酸のロイシン、アラニン、メチオニン、ヒスチジン等20種類以上のアミノ酸、各種ビタミン、各種ミネラル等も含まれている。これらの成分により、整腸作用、美肌効果、糖尿病予防、疲労回復といった効用が期待できる。
また、蜂蜜は、砂糖よりカロリーが低く甘いという特徴がありダイエット効果も期待できる。『旧約聖書』や中国最古の薬学書である『神農本草経』等にも蜂蜜を用いた療法についての記述があり、蜂蜜の有する優れた効用は古くから認識され、病気の治療に利用されてきたことが窺える。このように、遥か遠い昔から現在に至るまで世界各国の人々によって伝承され、重宝され続けてきた蜂蜜は“万能薬”とも言え、蜂蜜は健康な体を維持するために積極的に摂取した方がよいアイテムとも言える。一方、ハーブは美容と健康に効果的な食材である。ハーブとは「薬草、香味料とする草の総称」(広辞苑より)であり、古くから食料・薬・香辛料として利用されてきた。蜂蜜同様ハーブの歴史も古く、約4000年前の古代エジプト人が残したパピルスにもその名前が残されている。何かひとつでも有効な成分があればそれはハーブであるということが言えるため、ハーブの種類は大変多くあるが、有効であるかどうかは人によって異なる。自分にあったハーブを見つけ毎日摂取することが、病気の症状の緩和につながる。
【0003】
近年、上記のような蜂蜜やハーブの効能・効果は広く認知されるようになり、特に美容や健康目的で蜂蜜やハーブを利用することが一般的となっている。例えば、蜂蜜は砂糖やみりんの変わりに料理に使用されたり、化粧品の原料として利用されている。一方、ハーブは、ハーブティーや精油を使用したアロマテラピーのようにハーブの芳香を利用した使用法が知られている。
【0004】
しかし、国内では、蜂蜜は単なる甘味料としての価値しかないような不当な評価も散見され、また、ハーブはその独特の風味(苦味、渋味、臭味)のために日本人には馴染みにくく敬遠される傾向にある。そのため、従来、ハーブエキスを含む飲食品の臭気や渋味を抑制するための提案がある(特許文献1参照)。また、ハーブエキスを含有する飲食品や植物成分を含む蜂蜜は、製品の腐敗を防ぐため、防腐剤の添加や熱殺菌操作などの加工段階での品質保持上の処理が必要であったが(特許文献1参照、特許文献2参照)、防腐剤の好ましくない作用や熱滅菌処理で蜂蜜の風味、色調が劣化し品質が低下することがあった。
【0005】
【特許文献1】特開2002−306142号公報(特許請求の範囲、段落〔0004〕、〔0019〕〜〔0023〕)
【特許文献2】特開平7−274854号公報(段落〔0034〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、蜂蜜とハーブエキスの有効成分が融合し、防腐剤の添加や熱殺菌処理等の腐敗を防止するための工程が不要な品質的に安定したハーブエキス入り蜂蜜及びその製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための発明は、蜂蜜にハーブエキスを添加・混合し、該蜂蜜を減圧濃縮したものであるハーブエキス入り蜂蜜を要旨とする。該発明において、減圧濃縮後のブリックス(Brix)糖度を72〜85としてもよい。また、これらの発明において、ハーブエキスをカモミールエキス、バジルエキス、レモングラスエキスから選ばれた1種以上としてもよい。
【0008】
また、本発明は、上記のハーブエキス入り蜂蜜を含む飲食物を要旨とする。
【0009】
本発明は、蜂蜜にハーブエキスを添加・混合する工程と、該蜂蜜を減圧濃縮する工程と、からなるハーブエキス入り蜂蜜の製造方法を要旨とする。該発明において、さらに、添加・混合するハーブエキスをハーブ原料から抽出する工程を含んでもよい。これらの発明において、減圧濃縮後のブリックス(Brix)糖度を72〜85としてもよい。また、これらの発明において、ハーブエキスをカモミールエキス、バジルエキス、レモングラスエキスから選ばれた1種以上としてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のハーブエキス入り蜂蜜は、腐敗を防ぐための処理が必要でないので、熱滅菌処理等により生じる不都合を伴うことなく品質を安定化できる。また、本発明のハーブエキス入り蜂蜜は、かかる効果に加え、蜂蜜の甘さによりハーブ独特の苦味や渋味が軽減されているので、蜂蜜やハーブの有用な成分を抵抗なく日常的に摂取することができ、さらに任意の飲食物に配合して摂取することもできる。
【0011】
本発明の飲食物は、上記のハーブエキス入り蜂蜜を含むので、ハーブ独特の苦みや渋みが軽減され品質の安定化した摂取者の好みのハーブエキスと蜂蜜を他の飲食物の素材と共に摂取できる。
【0012】
本発明のハーブエキス入り蜂蜜の製造方法は、防腐剤の添加や熱殺菌操作などの加工段階での品質保持上の処理が必要でないので、経済的且つ簡便にハーブエキス入り蜂蜜を製造できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明のハーブエキス入り蜂蜜は、ハーブ原料から抽出されたハーブエキスを蜂蜜に添加・混合する工程と、一定の糖度まで減圧濃縮する工程により製造される。ハーブエキスは、市販されるものを添加・混合してもよいが、製造工程にハーブ原料からハーブエキスを抽出する工程を含み、得られたハーブエキスを蜂蜜に添加・混合してハーブエキス入り蜂蜜を製造することもできる。
【0014】
使用するハーブは、特に限定されない。ハーブは、例えば、カモミール、ローズマリー、レモングラス、タイム、リンデン、セージ、レモンバーム、ペパーミント、ローマンカモミール、オレガノ、ゼラニウム、バジル、ベルガモット、ハイビスカス、パッションフラワーリーフ、レモンバーベナ、紅茶、緑茶、ブルーベリーリーフなどを挙げることができ、種類、国内外を問わず産地も特に限定がない。また、使用する蜂蜜は、特に限定がなく、例えば、アカシア蜂蜜、レンゲ蜂蜜など種類、国内外を問わず産地も限定がない。
【0015】
ハーブ原料からのエキスの抽出は、好ましくは40〜120℃、より好ましくは80〜100℃、更に好ましくは95〜100℃の水を加えて撹拌する。次いで、室温まで放冷後、遠心分離により不溶物を除去し、ハーブエキスを得ることができる。
【0016】
抽出溶媒として使用し得る水は、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものも含まれる。水を施す処理は、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれるので、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等を抽出溶媒として使用できる。
【0017】
抽出溶媒として親水性有機溶媒も使用でき、これらに例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブタノール等の炭素数1〜4の低級脂肪族アルコール、1,3‐ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン又はこれらの混合物等が挙げることができる。また、2種以上の溶媒の混合物を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水とエタノールとの混合物を使用する場合は、水とエタノールの混合比を90:10〜10:90(重量比)とすることが好ましい。
【0018】
抽出溶媒量は、ハーブ原料の好ましくは1〜100倍量、より好ましくは15〜30倍量である。抽出時間は、好ましくは5〜60分間、より好ましくは20〜40分間である。
【0019】
ハーブエキスを添加・混合した蜂蜜は、一定の糖度まで減圧濃縮しハーブエキス入り蜂蜜を製造する。減圧濃縮されたハーブエキス入り蜂蜜の糖度は、ブリックス(Brix)糖度で 72〜85にすることが好ましく、75〜80とすることがより好ましい。ブリックス(Brix)糖度が72を下回るとハーブエキス入り蜂蜜は腐敗し易く、防腐剤の添加や熱滅菌操作が必要となり、85を上回ると水飴状となり取扱い性が悪くなるからである。
【0020】
得られたハーブエキス入り蜂蜜は、任意の飲食品に配合できる。ハーブエキス入り蜂蜜を配合し得る飲食品は特に限定されないが、その具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む)、アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓、そば、うどん、はるさめ、ギョウザの皮、シュウマイの皮、中華麺、即席麺等の麺類、飴、チューインガム、キャンディー、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類、かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品、加工乳、発酵乳等の乳製品、サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品、ソース、タレ等の調味料、スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物、パン等が挙げられる。
【0021】
任意の飲食物におけるハーブエキス入り蜂蜜の配合量は、飲食物の形態や嗜好に応じて適宜調整することができるが、好ましい配合率は飲食物の約0.01〜100.0質量%、より好ましい配合率は1.0〜50.0質量%である。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
〔実施例1〕(カモミールエキス入り蜂蜜)
ハーブ原料としてカモミール1kgを流水にて洗浄した後、95℃の熱水15kgを加えて20分間加熱しながら撹拌した。これを室温まで放冷した後、遠心分離機(株式会社武田機械製作所製)により不溶物を除去してカモミールエキスを得た。得られたカモミールエキスを蜂蜜(日新蜂蜜株式会社製、精製ハチミツ)100kgに添加・混合し、真空濃縮装置(株式会社サムソン製)を用いた減圧濃縮によりブリックス(Brix)糖度79まで濃縮することにより、カモミールエキス入り蜂蜜を得た。ブリックス(Brix)糖度は、屈折糖度計(株式会社アタゴ製)を用いた。以下も同様である。
【0024】
〔実施例2〕(バジルエキス入り蜂蜜)
ハーブ原料としてバジル1kgを流水にて洗浄した後、95℃の熱水15kgを加えて20分間加熱しながら撹拌した。これを室温まで放冷した後、遠心分離機(株式会社武田機会製作所製)により不溶物を除去してバジルエキスを得た。得られたバジルエキスを蜂蜜(日新蜂蜜株式会社製、精製ハチミツ)100kgに添加・混合し、真空濃縮装置(株式会社サムソン製)を用いた減圧濃縮によりブリックス(Brix)糖度 79まで濃縮することにより、バジルエキス入り蜂蜜を得た。
【0025】
〔実施例3〕(レモングラスエキス入り蜂蜜)
ハーブ原料としてレモングラス1kgを流水にて洗浄した後、95℃の熱水15kgを加えて20分間加熱しながら撹拌した。これを室温まで放冷した後、遠心分離機(株式会社武田機会製作所製)により不溶物を除去してレモングラスエキスを得た。得られたレモングラスエキスを蜂蜜(日新蜂蜜株式会社製、精製ハチミツ)100kgに添加・混合し、真空濃縮装置(株式会社サムソン製)を用いた減圧濃縮によりブリックス(Brix)糖度 79まで濃縮することにより、レモングラスエキス入り蜂蜜を得た。
【0026】
〔実施例4〕(ハーブエキス入り蜂蜜のパネルテスト1)
実施例1〜3で得られた3種類のハーブエキス入り蜂蜜を5名のパネラーに試食させてパネルテストを行った。
【0027】
【表1】

【0028】
表1から明らかなように、ハーブエキス入り蜂蜜は、ハーブ特有の風味が蜂蜜に均一に分散しており、蜂蜜の甘さによりハーブ独特の苦味や渋味が軽減されていた。これにより、抵抗なく蜂蜜やハーブを摂取することが可能であり、様々な用途が期待できる。この良好なパネルテストの結果により、ハーブエキス入り蜂蜜の有用性が充分に確認できた。
【0029】
〔実施例5〕(ハーブエキス入り蜂蜜のパネルテスト2)
実施例1〜3で得られた3種類のハーブエキス入り蜂蜜を90℃のお湯で4倍希釈したものを5名のパネラーに試飲させてパネルテストを行った。
【0030】
【表2】

【0031】
ハーブエキス入り蜂蜜は、90℃のお湯に容易に溶解させることができた。ハーブエキス入り蜂蜜をお湯で割って得られたドリンクは、一般的なハーブティーよりもハーブ独特の苦味や渋味がマイルドで飲みやすいことがパネラーの評価より明らかになった。また、一般的なハーブティーよりも手軽に調製できることも確認できた。
【0032】
〔実施例6〕(ハーブエキス入り蜂蜜のパネルテスト3)
実施例1〜3で得られた3種類のハーブエキス入り蜂蜜15gをプレーンヨーグルト100gに添加したものを5名のパネラーに試食させてパネルテストを行った。
【0033】
【表3】

【0034】
表3から明らかなように、ハーブエキス入り蜂蜜は、プレーンヨーグルトに甘みとハーブの香りを同時にプラスすることができた。また、自分の好みのハーブエキス入り蜂蜜を選択することができるため、気分にあった味を楽しむことができる特徴がある。
【0035】
〔実施例7〕(ハーブエキス入り蜂蜜のタンニンの確認試験)
実施例1〜3で得られた各3種類のハーブエキス入り蜂蜜の50質量%水溶液1mLに1N塩化第二鉄試液1〜2滴を加えた。ハーブエキス入り蜂蜜がタンニンを含有している場合、液は暗黄色〜濃暗黄色を呈する。
【0036】
【表4】

【0037】
表4から明らかなように、ハーブエキス入り蜂蜜は、ポリフェノールの一種のタンニンを含有しており、摂取により抗酸化作用を期待できる。
【0038】
〔実施例8〕(ハーブエキス入り蜂蜜のプロアントシアニジンの確認試験)
実施例1〜3で得られた各3種類のハーブエキス入り蜂蜜の10質量%水溶液5mLに1質量%バニリン溶液1mL及び1N水酸化ナトリウム試液2mLを加え、水浴中で5分間加熱した。ハーブエキス入り蜂蜜がプロアントシアニジンを含有している場合、液は始め淡黄色〜橙色を呈し、後に赤色〜赤褐色を呈する。
【0039】
【表5】

【0040】
表5から明らかなように、ハーブエキス入り蜂蜜は、ポリフェノールの一種のプロアントシアニジンを含有しており、摂取により抗酸化作用を期待できる。
【0041】
〔実施例9〕(ハーブエキス入り蜂蜜の一般生菌数の経時変化1)
実施例1で得られたカモミールエキス入り蜂蜜(実施例a)、実施例1で得られたカモミールエキスを蜂蜜に添加・混合し、減圧濃縮することなく熱殺菌処理を施したもの(ブリックス(Brix)65.0)(未濃縮・熱殺菌処理品、比較例a1)、実施例1で得られたカモミールエキスを蜂蜜に添加・混合し、減圧濃縮しないもの(ブリックス(Brix)65.0)(未濃縮・未処理品、比較例a2)について、調製日、3日後、1週間後、1ヶ月後、3ヶ月後の一般生菌数を経時的に調べた。一般生菌数は、「食品衛生検査指針 微生物編2004、社団法人日本食品衛生協会、厚生労働省監修」に準じて標準寒天平板培養法により測定した(以下も同様)。実施例2のバジルエキス入り蜂蜜と実施例3のレモングラスエキス入り蜂蜜についても、同様の方法で一般生菌数を経時的に調べた。すなわち、実施例bは、実施例2で得られたバジルエキス入り蜂蜜、比較例b1は実施例2で得られたバジルエキスを蜂蜜に添加・混合し、減圧濃縮することなく熱殺菌処理を施したもの(ブリックス(Brix)65.0)(未濃縮・熱殺菌処理品)、比較例b2は実施例2で得られたバジルエキスを蜂蜜に添加・混合し、減圧濃縮しないもの(ブリックス(Brix)65.0)(未濃縮・未処理品)である。また、実施例cは、実施例3で得られたレモングラスエキス入り蜂蜜、比較例c1は実施例3で得られたレモングラスエキスを蜂蜜に添加・混合し、減圧濃縮することなく熱殺菌処理を施したもの(ブリックス(Brix)65.0)(未濃縮・熱殺菌処理品)、比較例c2は実施例3で得られたレモングラスエキスを蜂蜜に添加・混合し、減圧濃縮しないもの(ブリックス(Brix)65.0)(未濃縮・未処理品)である。結果は表6に示した。
【0042】
【表6】

【0043】
表6から明らかなように、実施例a、実施例b、実施例cについて、いずれも3ヶ月を通して一般生菌数の増加はみられなかった。一方、比較例a1、比較例b1、比較例c1については、一般生菌数の増加はみられなかったものの、熱処理をすることにより、色や香りが好ましくない方向に変化してしまうという弊害がみられた。また、比較例a2、比較例b2、比較例c2については、一般生菌数が急激に増加し、調製後1週間程度で腐敗により品質が劣化してしまった。以上より、本発明のハーブエキス入り蜂蜜は、防腐剤の添加や熱殺菌処理といった工程を必要とせず、色や香りを損なうことなく、品質的に安定した状態に加工されていることを確認できた。
【0044】
〔実施例10〕(ハーブエキス入り蜂蜜の一般生菌数の経時変化2)
実施例1〜3で得られた各3種類のハーブエキス入り蜂蜜について、調製日、その後3ヶ月毎に18ヶ月後まで一般生菌数の増減推移を経時的に調べた。一般生菌数は、標準寒天平板培養法により測定した。なお、ハーブエキス入り蜂蜜は、5℃、25℃、35℃にてインキュベートしたものを対象とした。結果は図1〜図3に示した。
【0045】
図1〜図3から明らかなように、18ヶ月を通して、一般生菌数に増加はみられなかった。これにより、ハーブエキス入り蜂蜜は、防腐剤の添加、熱殺菌処理といった工程が不要で、品質的に安定していることが確認できた。
【0046】
〔実施例11〕(配合例)
(配合例1)清涼飲料水
下記の原料に清涼飲料水を常法により処理し、ハーブエキス入り蜂蜜を含有する清涼飲料水を製造した。 (質量%)
レモングラスエキス入り蜂蜜 1.00%
グレープフルーツ果汁 10.00%
果糖ブドウ糖液糖 6.00%
酸味料 0.20%
着色料 0.01%
水 82.79%
【0047】
(配合例2)飴
下記の原料を飴の常法により処理し、ハーブエキス入り蜂蜜を含有する飴を製造した。
カモミールエキス入り蜂蜜 15g
砂糖 200g
水飴 15g
水 75g
【0048】
(配合例3)ドレッシング
下記の原料をドレッシングの常法により処理し、ハーブエキス入り蜂蜜を含有するドレッシングを製造した。
バジルエキス入り蜂蜜 15g
酢 22g
オリーブ油 60g
塩 3g
こしょう 少々
【0049】
(配合例4)ケーキ
下記の原料をケーキの常法により処理し、ハーブエキス入り蜂蜜を含有するケーキを製造した。
紅茶エキス入り蜂蜜 100g
無塩バター 100g
三温糖 75g
卵 3個
牛乳 1/4カップ
レーズン 75g
くるみ 75g
小麦粉 200g
ベーキングパウダー 小さじ2
【0050】
(配合例5)ゼリー
下記の原料をゼリーの常法により処理し、ハーブエキス入り蜂蜜を含有するゼリーを製造した。
ハイビスカスエキス入り蜂蜜 80g
粉ゼラチン 10g
80℃の熱湯 1/2カップ
フルーツ 100g
レモン汁 小さじ2
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】カモミールエキス入り蜂蜜の一般生菌数の経時変化を示すグラフである。
【図2】バジルエキス入り蜂蜜の一般生菌数の経時変化を示すグラフである。
【図3】レモングラスエキス入り蜂蜜の一般生菌数の経時変化を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蜂蜜にハーブエキスを添加・混合し、該蜂蜜を減圧濃縮したものであるハーブエキス入り蜂蜜。
【請求項2】
減圧濃縮後のブリックス(Brix)糖度が72〜85である請求項1記載のハーブエキス入り蜂蜜。
【請求項3】
ハーブエキスがカモミールエキス、バジルエキス、レモングラスエキスから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のハーブエキス入り蜂蜜。
【請求項4】
請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハーブエキス入り蜂蜜を含む飲食物。
【請求項5】
蜂蜜にハーブエキスを添加・混合する工程と、該蜂蜜を減圧濃縮する工程と、からなるハーブエキス入り蜂蜜の製造方法。
【請求項6】
さらに、添加・混合するハーブエキスをハーブ原料から抽出する工程を含む請求項5に記載のハーブエキス入り蜂蜜の製造方法。
【請求項7】
減圧濃縮後のブリックス(Brix)糖度が72〜85である請求項5又は請求項6に記載のハーブエキス入り蜂蜜の製造方法。
【請求項8】
ハーブエキスがカモミールエキス、バジルエキス、レモングラスエキスから選ばれた1種以上であることを特徴とする請求項5〜請求項7のいずれかに記載のハーブエキス入り蜂蜜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−189956(P2007−189956A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11892(P2006−11892)
【出願日】平成18年1月20日(2006.1.20)
【出願人】(399084753)日新蜂蜜株式会社 (2)
【Fターム(参考)】