説明

バイオコークスの破断装置

【課題】簡単に且つ短時間で長尺状のバイオコークスを所望の長さに破断することができるバイオコークスの破断装置を提案する。
【解決手段】バイオマス原料を筒状反応容器内で半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形して製造した長尺状のバイオコークスを破断するバイオコークスの破断装置20において、バイオコークスを長尺方向が水平となるように落下させて破断する装置であり、バイオコークスの落下位置に配置される複数の平行歯21A、21Bと斜歯22とを備え、前記平行歯21A、21Bと前記斜歯22とが一定間隔を隔てて交互に配置され、斜歯22は平行歯21A、21Bに対して角度を有して配置されるとともに、平行歯21A、21Bの両側に配置される2つの斜歯22が、該平行歯21A、21Bに対して線対称に配置されるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス原料から製造された高硬度で長尺状のバイオコークスを所望の長さに破断するためのバイオコークスの破断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球温暖化の観点からCO排出の削減が推進されている。特に、製鉄業界に於いて鋳造炉(キュウポラ炉)や高炉などでは、主たる燃料や還元剤に化石燃料である石炭コークスが用いられている。また、ボイラ発電等の燃焼設備においては、燃料として石炭や重油等の化石燃料が用いられることが多い。この化石燃料は、CO排出の問題から地球温暖化の原因となり、地球環境保全の見地からその使用が規制されつつある。また化石燃料の枯渇化の観点からもこれに代替するエネルギー資源の開発、実用化が求められている。
【0003】
そこで、化石燃料の代替として、大気中のCO量に影響を与えないバイオマスを用いた燃料の利用促進が図られている。バイオマスとは、光合成に起因する有機物であって、木質類、草木類、農作物類、農作物に基づく厨芥類等のバイオマスがある。このバイオマスを燃料化処理することにより、バイオマスをエネルギー源又は工業原料として有効に利用し地球環境保全に貢献することができる。
バイオマスを燃料化する方法としては、バイオマスを乾燥させて燃料化する方法、加圧して燃料ペレット化する方法、炭化、乾留させて固体及び液体の燃料化する方法等が知られている。しかし、バイオマスを乾燥させるのみでは、空隙率が大きくみかけ比重が低くなるため、輸送や貯留が困難であり、長距離輸送や貯留して使用する燃料としては有効とはいえない。
【0004】
一方、バイオマスを燃料ペレット化する方法は、特許文献1(特公昭61−27435号公報)に開示されている。この方法は、細断された有機繊維材料の含水量を16〜28%に調節し、これをダイス内で圧縮して乾燥し燃料ペレットを製造するようにしている。
また、バイオマスを乾留して燃料化する方法は、特許文献2(特開2003−206490号公報)等に開示されている。この方法は、酸素欠乏雰囲気中において、バイオマスを200〜500℃、好適には250〜400℃で加熱して、バイオマス半炭化圧密燃料前駆体を製造する方法となっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載される方法では、圧縮成形を行うことによりバイオマスを燃料化しているが、生成した燃料ペレットは水分量が多いため発熱量が低く、燃料としては適していない。
また、特許文献2等に記載されるように乾留によりバイオマスを燃料化する方法では、加工処理を施さないバイオマスに比べると燃料として価値が高いものとなっているが、やはり石炭コークスに比べてみかけ比重が低く、発熱量が低い。さらに、石炭コークスに比べて硬度が低いため、石炭コークスの代替として利用するには不十分である。
【0006】
そこで、近年石炭コークスの代替として、特許文献3(特許第4088933号公報)に基づくバイオコークスが研究されている。
バイオコークスは、バイオマス原料を加圧、加熱した状態で一定時間保持した後に、加圧を維持した状態で冷却することにより製造される。加圧、加熱条件は、バイオマス細粒体中の主成分であるリグニン、セルロース及びヘミセルロースのうち、ヘミセルロースを熱分解させると共にセルロース及びリグニンの骨格を保持しつつ低温反応させて半炭化或いは半炭化前固形物を得る圧力範囲及び温度範囲に設定する。これにより以下の反応機構が成立し、高硬度で高圧密されたバイオコークスが製造できる。
【0007】
その反応機構は、上記した条件で反応を行うことにより、バイオマス細粒体の繊維成分であるヘミセルロースが熱分解し接着効果を発現させ、バイオマス細粒体に含まれる自由水がこの加圧、加熱条件下での作用によりリグニンがその骨格を維持したまま低温で反応し、圧密効果と相乗的に作用することによって、高硬度で高圧密されたバイオコークスが製造できるものである。熱硬化反応は、リグニン等に含まれるフェノール性の高分子間で反応活性点が誘発することにより進行する。
【0008】
図8に、バイオコークスの物性値を他の燃料と比較した表を示す。尚、この表は実験的に得られた数値を記載しているのみであり、本発明はこの数値に限定されるものではない。
この表に示されるように、バイオコークスは、みかけ比重1.2〜1.52に高圧密され、最高圧縮強度20〜200MPa、発熱量18〜23MJ/kgの物性値を示す硬度、燃焼性ともに優れた性能を有しており、未加工の木質バイオマスが、みかけ比重約0.4〜0.6、発熱量約17MJ/kg、最高圧縮強度約30MPaであるのと比べると、発熱量及び硬度の点において格段に優れていることが判る。また、石炭コークスの物性値である、みかけ比重約1.85、最高圧縮強度約15MPa、発熱量約29MJ/kgに比しても、バイオコークスは燃焼性、硬度とも遜色ない性能を有する。従って、バイオコークスは石炭コークスの代替として有効な燃料であるとともに、マテリアル素材としての利用価値も高い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特公昭61−27435号公報
【特許文献2】特開2003−206490号公報
【特許文献3】特許第4088933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献3に記載されるように筒状容器でバイオコークスを製造した場合、長尺状のバイオコークスが製造されるが、バイオコークスを製品として用いる場合には、所望の長さに破断する必要がある。
従来の破断方法としては鬼歯式破砕機等が用いられていたが、このような破砕機で破砕すると、小径化はできるものの破砕した際に粉が多く発生して重量にバラツキが生じ、また所望の長さに破断することは困難であった。一方、のこぎりで切断する方法も考えられるが、バイオコークスは硬度が高いため時間がかかり過ぎるという問題があった。
そこで本発明は、簡単に且つ短時間で長尺状のバイオコークスを所望の長さに破断することができるバイオコークスの破断装置を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明は、バイオマス細粒体を筒状反応容器内で半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形して製造した長尺状のバイオコークスを破断するバイオコークスの破断装置において、
前記バイオコークスを、長尺方向が水平となるように落下させて破断する装置であり、
前記バイオコークスの落下位置に配置される複数の平行歯と斜歯とを備え、
前記平行歯と前記斜歯とが一定間隔を隔てて交互に配置され、
前記斜歯は前記平行歯に対して角度を有して配置されるとともに、前記平行歯の両側に配置される2つの斜歯が、該平行歯に対して線対称に配置されることを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、平行歯と斜歯を交互に配置し、これらの歯に対して上方からバイオコークスを落下させることにより、硬いバイオコークスを短時間で所望の長さに簡単に破断することが可能となる。また、平行歯に対して斜歯をハの字状に傾斜させて配置することにより、割れたバイオコークスが破断装置の両側に転がり落ちるため、回収作業が容易となる。
【0013】
さらに、前記平行歯は、該平行歯の両側に配置される斜歯の拡開した側が低くなるように傾斜していることを特徴とする。
このように、斜歯の拡開した側へ向けて平行歯の高さが低くなるように形成することにより、破断した後のバイオコークスが確実に一方向へ転がり落ちるようになる。
さらにまた、前記平行歯に対する前記斜歯の角度を5°〜45°に設定したことを特徴とする。
このように斜歯の角度を設定することにより、バイオコークスの破断面を一定の形状に保つとともに、破断後のバイオコークスの転がりを円滑にすることが可能となる。
【0014】
また、前記平行歯の水平方向に対する傾斜角度を5°〜30°に設定したことを特徴とする。
このように平行歯の高さを設定することにより、落下させたバイオコークスの破断を妨げることなく、破断後のバイオコークスの転がりを円滑にすることが可能となる。
さらに、前記平行歯及び前記斜歯は、軸方向に対する断面が三角形状に形成されていることを特徴とする。
これにより、平行歯と斜歯の設置を安定させた状態で、破断部を鋭利にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、平行歯と斜歯を交互に配置し、これらの歯に対して上方からバイオコークスを落下させることにより、硬いバイオコークスを短時間で所望の長さに簡単に破断することが可能となる。また、平行歯に対して斜歯をハの字状に傾斜させて配置することにより、割れたバイオコークスが破断装置の両側に転がり落ちるため、回収作業が容易となる。
また、斜歯の拡開した側へ向けて平行歯の高さが低くなるように形成することにより、破断した後のバイオコークスが確実に一方向へ転がり落ちるようになる。
【0016】
また、平行歯に対する斜歯の角度を5°〜45°に設定することにより、バイオコークスの破断面を一定の形状に保つとともに、破断後のバイオコークスの転がりを円滑にすることが可能となる。
さらに、平行歯の水平方向に対する傾斜角度を5°〜30°に設定することにより、落下させたバイオコークスの破断を妨げることなく、破断後のバイオコークスの転がりを円滑にすることが可能となる。
さらにまた、平行歯及び斜歯は、軸方向に対する断面が三角形状に形成されていることにより、平行歯と斜歯の設置を安定させた状態で、破断部を鋭利にすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る破断装置の配置構成を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る破断装置の部分斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る破断装置における平行歯の側面図で、(a)は図1のA矢視図、(b)はB矢視図である。
【図4】バイオコークスの破断状態を示す図である。
【図5】バイオコークス製造装置の全体構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る排出工程の動作を説明する図である。
【図7】バイオコークス製造方法のフローチャートである。
【図8】バイオコークスの物性値を比較する表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の種類、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
本実施形態のバイオコークス破断装置は、バイオマス原料を筒状反応容器内で半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形して製造した長尺状のバイオコークスを所望の長さに破断するための装置である。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係るバイオコークス破断装置の配置構成を示す平面図である。
バイオコークス破断装置20は、所定長さ及び所定肉厚を有する複数の平行歯21A、21Bと、複数の斜歯22とで構成される。該平行歯21A、21B及び斜歯22は、バイオコークスよりも高硬度を有する材料で形成され、例えば鋼材で形成される。平行歯21A、21Bは所定間隔ずつ離間させて平行に配置される。一方、斜歯22は、平行歯21Aと平行歯21Bの間に配置される。該平行歯21A、21B及び斜歯22の間の距離は、目的とするバイオコークス19の長さに応じて設定される。
平行歯21A、21B及び斜歯22は板状としてもよいし、図2に示すように、その軸方向断面が三角形状となるように形成してもよい。この場合、断面を三角形状とすることにより、平行歯21A、21Bと斜歯22の設置を安定させた状態で、破断部を鋭利にすることが可能となる。
【0020】
図1に示すように、斜歯22は、平行歯21A及び平行歯21Bに対して角度θを有して配置される。このとき、一の平行歯21Aを挟む位置の斜歯22、22が、該平行歯21Aに対して線対称に傾斜して配置され、ハの字状となっている。他の平行歯21Bを挟む位置の斜歯22、22も同様にハの字状に配置される。好適には、平行歯21A又は平行歯21Bと、斜歯22との角度θは5〜45°とする。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る破断装置における平行歯の側面図で、(a)は図1のA矢視図、(b)はB矢視図である。
これらの図に示すように、平行歯21Aと平行歯21Bは、上側に位置する長辺が傾斜し、設置面側に位置する長辺が短辺に対して直角となっている。即ち、平行歯21A、21Bを設置した状態で、一側が高く、他側へ向けて低くなるようにその高さが傾斜している。そして、平行歯21A、21Bの低い側が、前記斜歯の拡開した側に位置されるようにする。平行歯21Aと平行歯21Bとは、傾斜方向を交互に異ならせて配置されている。好適には、平行歯21A及び平行歯21Bの水平方向に対する傾斜角度θは5〜30°とする。
【0022】
上記した構成を備える破断装置20において、平行歯21A、21B及び斜歯22の列設方向に対してバイオコークス19を平行にした状態で、破断装置20上方からバイオコークス19を落下させる。落下目標位置は、図1の破線Cで示すように、平行歯21A、21B及び斜歯22の中心上とする。
落下の衝撃により、図4に示すように各歯21A、21B、22の位置でバイオコークスが割れる。割れた後、平行歯21A、21Bの傾斜、及び斜歯22のハの字状配置により、図1及び図3の矢印方向にバイオコークス19が転がり、破断装置20の両側に落下して、回収される。
【0023】
本実施形態によれば、平行歯21A、21Bと斜歯22を交互に配置し、これらの歯に対して上方からバイオコークス19を落下させることにより、硬いバイオコークス19を短時間で所望の長さに簡単に破断することが可能となる。また、平行歯21A、21Bに対して斜歯22をハの字状に傾斜させて配置することにより、割れたバイオコークス19が破断装置1の両側に転がり落ちるため、回収作業が容易となる。
また、斜歯22の拡開した側へ向けて平行歯21A、21Bの高さが低くなるように形成することにより、破断した後のバイオコークス19が確実に一方向へ転がり落ちるようになる。
【0024】
さらに、平行歯21A、21Bに対する斜歯22の角度θを5°〜45°に設定することにより、バイオコークス19の破断面を一定の形状に保つとともに、破断後のバイオコークス19の転がりを円滑にすることが可能となる。
さらにまた、平行歯21A、21Bの水平方向に対する傾斜角度θを5°〜30°に設定することにより、落下させたバイオコークス19の破断を妨げることなく、破断後のバイオコークス19の転がりを円滑にすることが可能となる。
【0025】
ここで、長尺状のバイオコークス19を製造する装置と方法につき、以下に説明する。
バイオコークスの原料となるバイオマスは、光合成に起因する有機物であって、木質類、草木類、農作物類、厨芥類等のバイオマスであり、例えば、廃木材、間伐材、剪定枝、植物、農業廃棄物、コーヒー滓や茶滓等の厨芥廃棄物等が挙げられる。本実施形態では、必要に応じて所定の含水率になるように水分調整されたバイオマス細粒体を原料としている。バイオマス細粒体は、茶滓やコーヒー滓等のように小粒径のバイオマスをそのまま用いてもよいし、廃木材等の大粒径のバイオマスを予め所定粒径以下まで粉砕したものであってもよい。
【0026】
図5を参照して、本実施形態に係るバイオコークス製造装置の全体構成を説明する。
図5に示すように、バイオコークス製造装置1はバイオマス細粒体11が投入される円筒形の反応容器2を有している。該反応容器2の上部にはバイオマス細粒体11を受け入れる漏斗状のホッパ3が設けられ、下端には成形されたバイオコークスを排出する排出部5が設けられている。また、反応容器2は、内容物を所定温度まで加熱する加熱手段と、加熱後に内容物を冷却する冷却手段とを備える。さらに、反応容器2の上方には、該シリンダ2内のバイオマス細粒体11を所定圧力まで加圧する加圧手段が設けられている。
【0027】
前記反応容器2の排出部5は反応容器2の径と同一径の開口からなり、その下方には該排出部5を開閉する排出装置が設けられている。該排出装置は、排出部5を閉止する底面蓋部9と、該底面蓋部9を水平方向にスライドさせて排出部5の閉止、開放を制御する排出用油圧機構10とから構成される。この排出装置は、反応容器2内にて反応工程が終了した後に、油圧機構10を駆動させ底面蓋部9をスライドさせて排出部5を開放し、シリンダ2内のバイオコークスを落下させて排出するようになっている。
前記反応容器2が備える加圧手段は、加圧シリンダ7により駆動されて反応容器2の内周面を上下摺動する加圧ピストン6と、該加圧シリンダ7内の作動油の給排を制御する加圧用油圧機構8とからなる。加圧ピストン6及び加圧シリンダ7は、反応容器2と同軸上に配置される。加圧ピストン6は、反応容器2の底面付近まで下降する。該加圧ピストン6は、所定時間だけこの加圧状態を保持できる構成となっている。
【0028】
前記反応容器2が備える加熱手段及び冷却手段は、同一の温度調整手段としてもよい。ここでは温度調整手段として、反応容器2にジャケットを設けた二重管構造とし、内筒と外筒の間に冷熱媒通路4を設けた構成としている。冷熱媒通路4には、熱媒若しくは冷媒(以後、冷熱媒と称する)が通流し、該冷熱媒による伝熱によりシリンダ内筒に充填されたバイオマス細粒体11に熱エネルギの授受を行うようになっている。冷熱媒通路4の下方側には冷熱媒入口4aが設けられ、上方側には冷熱媒出口4bが設けられている。これらの冷熱媒入口4a及び冷熱媒出口4bは、後述する冷熱媒回路に接続されている。冷熱媒通路4、冷熱媒入口4a、冷熱媒出口4b、冷熱媒回路を含み、冷熱媒の切り替えにより反応容器2の温度制御を行う機構を冷熱媒循環機構と称する。
【0029】
上記した構成を備えるバイオコークス製造装置1にて、図7に示すように、まず充填操作を起動し(S1)、油圧機構、冷媒循環機構を起動(S2)した後、ホッパ3から反応容器2内にバイオマス細粒体11を投入する(S3)。そして、加圧シリンダ7を低圧で下降側に駆動し反応容器2の上部から加圧ピストン6を下降させて充填時加圧を行い(S4)、この充填工程を所定の充填量となるまで繰り返し行う。充填が終了したら(S5)、反応工程に移行する。
【0030】
反応工程では、加圧シリンダ7を高圧にて下降側に駆動して加圧ピストン6を下降させ(S6)、バイオマス細粒体11を所定の圧力範囲で加圧する。同時に、熱媒を反応容器2の冷熱媒通路4に循環させ所定の温度範囲でバイオマス細粒体11を加熱する(S7)。所定の圧力範囲及び温度範囲は、バイオマス細粒体中のヘミセルロース、リグニンの熱分解又は熱硬化反応を誘起する圧力範囲及び温度範囲とする。好適には、圧力範囲を8〜25MPa、温度範囲を115〜230℃とする。
そして、熱媒循環時間が終了したら(S8)、冷熱媒循環機構を熱媒から冷媒に切り替えて、冷熱媒通路4への冷媒循環を開始する(S9)。冷却が終了したら(S10)、冷媒循環を停止し、排出工程に移行する。
【0031】
排出工程では、図6(i)に示すように加圧シリンダ7の高圧を抜き(S11)、図6(ii)に示すように排出用油圧機構10を駆動して底面蓋部9をスライドして排出部5を開放する(S12)。次いで、図6(iii)に示すように加圧シリンダ7を低圧で下降側に駆動させ(S13)、反応容器2内に製造されたバイオコークス19を加圧ピストン6により押出し排出する(S14)。
これにより、長尺状のバイオコークス19が製造される。
そして、このバイオコークス19を上記図1乃至図4に示した破断装置20により所望の長さに破断する。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本実施形態に係るバイオコークス破断装置を用いることにより長尺状のバイオコークスを所望の長さに簡単に破断することができるため、石炭コークスの代替燃料、鋳物製造或いは製鉄における熱源・還元剤、発電用ボイラーの燃料、又はマテリアル素材等として用いられるバイオコークスを得ることが可能となる。
【符号の説明】
【0033】
1 バイオコークス製造装置
2 反応容器
4 冷熱媒通路
6 加圧ピストン
8、10 油圧機構
9 底面蓋部
11 バイオマス細粒体
19 バイオコークス
20 バイオコークス破断装置
21A、21B 平行歯
22 斜歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマス原料を筒状反応容器内で半炭化或いは半炭化前固形物を得る温度範囲及び圧力範囲で加熱しながら加圧成形して製造した長尺状のバイオコークスを破断するバイオコークスの破断装置において、
前記バイオコークスを、長尺方向が水平となるように落下させて破断する装置であり、
前記バイオコークスの落下位置に配置される複数の平行歯と斜歯とを備え、
前記平行歯と前記斜歯とが一定間隔を隔てて交互に配置され、
前記斜歯は前記平行歯に対して角度を有して配置されるとともに、前記平行歯の両側に配置される2つの斜歯が、該平行歯に対して線対称に配置されることを特徴とするバイオコークスの破断装置。
【請求項2】
前記平行歯は、該平行歯の両側に配置される斜歯の拡開した側が低くなるように傾斜していることを特徴とする請求項1記載のバイオコークスの破断装置。
【請求項3】
前記平行歯に対する前記斜歯の角度を5°〜45°に設定したことを特徴とする請求項1若しくは2記載のバイオコークスの破断装置。
【請求項4】
前記平行歯の水平方向に対する傾斜角度を5°〜30°に設定したことを特徴とする請求項2記載のバイオコークスの破断装置。
【請求項5】
前記平行歯及び前記斜歯は、軸方向に対する断面が三角形状に形成されていることを特徴とする請求項1若しくは2記載のバイオコークスの破断装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−100814(P2010−100814A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83894(P2009−83894)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度〜平成20年度独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構・イノベーション実用化開発費(大学発事業創出実用化研究開発事業)「鋳造コークス代替となる高硬度固形バイオ燃料の量産機開発と実証」交付規程第7条第1項第二号の規定・助成研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】