説明

バイオディーゼル燃料を製造する方法および当該方法によって得られたバイオディーゼル燃料

可変の酸性度の植物性油から連続システムにおいてバイオディーゼル燃料を得る方法において、第1段階では、可変の酸性度を有する特定の配合の植物性油と、メタノールまたはエタノールを、連続的であり、複数の水平な管式のモジュールを複数有する反応装置において、触媒として強酸の存在下、植物性油の酸性度が1%未満となるまで、圧力および加熱を行い、第2段階では、上記植物性油は、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドと混合されることによってエステル交換がなされ、グリセリンが分離される。一方では、グリセリンが除去され、他方では、バイオディーゼル燃料が精製され、エンジンの洗浄に適するよう洗浄される。上記第1段階および第2段階の両方におけるモジュールの数は、システム能力を示す指標となるものである。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、エンジン用燃料として好適に用いることのできる清潔なバイオディーゼル燃料の製造方法に関し、特に、酸性度の異なる植物性油または動物性油から、均一化およびエステル化がなされて得られる自動車エンジン用のバイオディーゼル燃料の製造方法に関する。また、上記製造方法に必要とされる工業設備および得られるバイオディーゼル燃料に関する。
【0002】
本発明の特許品は、エンジン燃料、特に、植物性油および動物性油から得られるバイオディーゼル燃料と呼ばれる燃料の代替品に係る加工産業において応用可能であることを発明の目的とするものである。上記バイオディーゼル燃料は、炭化水素誘導体燃料への添加物として使用されるだけでなく、広くエンジン用燃料として用いられる。バイオディーゼル燃料は、炭化水素燃料と代替可能なように設計されており、炭化水素燃料の代替品として用いられ、代替燃料として知られるに到っている。
【0003】
石油派生物、特に、添加物として又は完全な燃料として用いられる石油派生物の代替燃料の製造は、多くの理由によるが、過去の目的であるといえる。その主な理由としては、石油価格の不安定さ、埋蔵量の減少の進行、生産国に対する消費国の過度なエネルギー依存、二酸化炭素、一酸化炭素、二酸化硫黄および窒素の排出、ベンゼンおよび粒子から誘導される多環式芳香族炭化水素が挙げられる。これらの要素は、都市の汚染および車両の機械的悪影響を引き起こす。
【0004】
このため、代替燃料、特にアルコールを用いた代替燃料を得る多数の試みがなされた。すなわち、文献U 271553には、過早点火に対する抵抗により問題点が示されている。さらに、高温および高圧によって引き起こされる爆発に対する高い抵抗が、エタノールおよびメタノールにより実施された試験から得られている。エンジンへの大きな変更、または、上記燃料が添加物として使用されている事実は、好適な結果を生じさせていない。
【0005】
また、バイオディーゼル燃料の特性を改良し、有害な排出物を削減するための触媒として、白金族を有する金属化合物を含む構成の添加物を得る数多くの試みがなされている。しかしながら、常に付随する問題として、これら化合物をエンジンへ収容するまたは供給する際の安定性が挙げられる。すなわち、これら化合物がバイオディーゼル燃料において十分な溶解性、および、バイオディーゼル燃料中に存在する水分において不溶性を有しないことが挙げられる。
【0006】
これらは、LyonsおよびMcKoneによる米国特許第2,086,775号明細書および米国特許第2,151,432号明細書、Robinsonの米国特許第4,295,816号明細書、Brantlの独国特許第2,500,683号明細書に記載されている。燃焼時、一酸化窒素を減少させ、一酸化炭素を酸化するために、炭化水素燃料に加えられる数多くの金属触媒が上記の文献に数多く記載されているものの、上述した問題は解決されていない。
【0007】
欧州特許第90901945には、上述した問題を解決する方法が記載されている。しかしながら、再度、白金化合物の不安定性およびハロゲン化合物の存在は、設計を実行可能にするために著しい損失を及ぼすこととなる。
【0008】
一般的に、発明に係る化合物のうち、既知の添加物では溶解性の改善のため溶媒が含まれている。溶媒は、エンジンおよびエステルに負荷を与えるという問題がある。また、植物由来のアルコールである添加物は、それ自身でエンジンを始動させることができないが、キャブレターおよびインジェクタの洗浄を行うことができ、液体および回路を改善することができる。上記添加物の問題点としては、高価であることが挙げられる。
【0009】
上記の後者において、植物由来の誘導体であるバイオディーゼル燃料は、そのような製品として広く知られている。特定の品質および品種であり、ある程度の酸性度を有する複数の植物性油を出発原料とし、標準品質のバイオディーゼル燃料を得ることができる。
【0010】
また、バイオディーゼル燃料を得るための他の方法としては、使用済み油からバイオディーゼル燃料を得る方法が広く知られている。上記使用済み油は、抽出、けん化または酸性エステル化によって、脂肪酸から取り除かれたものである。抽出は、複雑で、コストの高い物理分離によって成り立っているため、食料品業界において用いられる市販の脂肪酸を用いると不都合が生じる。
【0011】
けん化の場合について説明すると、脂肪酸は石鹸に変化され、けん化の工程から除かれる。実際のところ、この工程によって、必要な部分がバイオディーゼル燃料よりも価値の低い石鹸に転換されるため、最終生成物が目減りする。
【0012】
酸性エステル化について説明すると、この方法の中心的な不都合な点は、コストが高いというものである。すなわち、酸性エステル化の最終工程において、水および過剰なメタノールを除去するため、十分な時間、油の温度を100℃以上に上昇させることが必要となり、これは得られる生成物が分解する危険を伴うものである。
【0013】
また一方、第二の不都合な点としては、次の処理を始める前に、先の処理の完了を待つ必要があるバッチ式である点が挙げられる。また、油に試薬が溶解しない、または、分子同士の接触によって化学反応が生じる大規模な反応装置を用いた、大規模な反応の問題点としては、非常に時間が必要であり、コストが高いということが挙げられる。
【0014】
例えば、反応装置において、所望のまたは標準品質が得られないことによって、無駄な時間が増加する。その結果、コストを更に悪化させることとなるので、工程全体において、作業の中止または再スタートが行われる。例えば、上記工程が連続工程の場合、生成物の全出来高に対して問題が生じる一部の工程ではなく、全工程について作業の中止または再スタートが行われる。
【0015】
さらに、反応装置が故障した場合、生産の全てが麻痺することとなる。また、酸性度を指定された時間で、所望の程度に減少させることができない場合、減少させるまで反応装置は全質量を抱えたまま作業を継続する必要がある。また、試薬を加えることによって化学工程を修正する、または、調整する必要がある場合、全質量に対応する量を加える必要がある。
【0016】
したがって、本発明の大きな利点は、連続的なモジュールの過程に起因するものであり、他のモジュールに接続されているが、独立した反応装置としてモジュールの機能に起因するものである。このような構成によれば、故障時における反応の遅延または修正の必要性が、全体の製造工程に影響を及ぼすことがなく、処理中の全質量に影響を及ぼすこともない。
【0017】
本明細書に記載された本発明は、バイオディーゼル燃料の製造方法であって、可変の酸性度を有する植物性油または動物性油を、連続的なモジュールシステムにおいて、均一化および酸性エステル化を行う工程、および、その後、エステル交換を行う工程の2段階の構成を含んでいる。上記製造方法によれば、上述した問題点を解決することができる。
【0018】
第1段階:可変の酸性度を有する植物性油または動物性油を均一化する段階
本段階では、植物性油または動物性油の酸性度が1度未満に達するまで、段階的な減少が生じる。連続的であり、管式の水平モジュールを備える反応装置は、モジュールがそれぞれ水平であり、45〜90度である温度および圧力の条件で使用される。溶媒中に存在している遊離脂肪酸に対して、1程度の酸性度以上の植物性油は、メタノールに対して化学量論比で、1:50から1:300までの範囲内にて、触媒である強酸の存在下、例えば、硫酸の存在下、油1キログラム当り1〜10グラムの範囲にて混合されている。
【0019】
各モジュールは、ガス(蒸気、および、メタノールまたはエタノール)を排気するためのシステムを備えている。上記システムは、電子弁によって制御されており、排気をより促進させるための空気、窒素または他の不活性ガスが注入されることによって、排気が補助される。これらのガスは、モジュールの上部からアルコールを凝縮させる蒸留塔へ配管を通って流れる。
【0020】
ガスの流出は周期的であり、あるモジュールから次のモジュールへの油の通過に対応している。
【0021】
ガスの流出および制御は、常に解決が必要とされる問題である。冒頭に示した例とは異なるエステル化工程の具体例において、我々は時間経過につれて、ガスが排気されるように制御され、空気、窒素または他の不活性ガスが吸気されることによって保持されることを提案する。ガスの排気後、工程再開の直前、メタノールまたはエタノールは、排気される量に等しい量がその比率にて取り込まれる。
【0022】
上記管型反応装置のモジュールは、工業プラントの処理能力に応じた数の一連の構成を形成している。各モジュールは、約300〜400kgの植物性油の収容能力を有しており、熱水が循環するジャケットに囲まれている。これにより、ピークが105度で約60度である、処理に適切な温度または運転温度を供給することができる。これにより、ガスの排気を容易にすることができる。
【0023】
上記モジュールは、四方または複数方向の弁によって連結されている。上記弁は、垂直であっても、水平に接続されていてもよい。これにより、油、メタノール、硫酸、および、空気、窒素または他の不活性ガスを各モジュールに導入でき、水を浄化することができるだけでなく、蒸留塔へガスを排出できると共に、上記ガスを次のモジュールへ運ぶ油を排出させることができる。
【0024】
各モジュールには、反応状態を示す反応制御システム、圧力センサ、温度センサおよび充填体積表示器が組み込まれており、これら全ては、工程を制御する電子回路に組み込まれている。
【0025】
あるモジュールから他のモジュールへの通過は、反応の進行を待つように、油の比率に応じてプログラム化されている。これにより、あるモジュールから他のモジュールへは植物性油の量について段階的な減少が生じる。
【0026】
圧力および用いられる化学試薬に対して耐性のある材料で構成されている各モジュールは、以下の3つの基礎的な要素から構成されている:すなわち、試薬が添加された油の受容配管、上記受容配管を取り囲む加熱チャンバー、および、中央に空孔が形成されており、上記受容配管を通って滑らかに移動する棒状部材に連結された環状部材のシステムである。
【0027】
上記受容配管は、電気モータによって作動するピストンにより作動する。なお、本発明に係る他の実施の形態としては、上記電気モータは油圧モータまたは空気モータであってもかまわない。
【0028】
また、本方法に係る他の実施の形態において、植物性油に代えて、動物性油を用いることもでき、同様の結果を得ることができる。
【0029】
この第1段階では、酸性度が1度以上の植物性油を出発原料として、酸性度が1度未満の植物性油が得られる。また、第2段階では、酸性度が1度未満の植物性油のエステル交換または基本的な(またはアルカリ性の)エステル化を行う。
【0030】
−1°の酸性度の植物性油は、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドに対して、化学量論比で1:6から1:50までの比率にて混合される。混合は、複数のモジュールを備えた垂直型の反応装置にて、45℃から60℃までの間の温度でなされる。上記モジュールは、垂直型の配管によって構成されており、上記配管は圧力および用いられる化学試薬に対して耐性のある材料から作られている。
【0031】
また、上記反応装置内に固定された環状の部材は、電気モータ、油圧モータまたは空気モータによって作動する、ピストンの先端または連結された棒状部材の動作によって、上向きまたは下向きに油を通過させるように空孔が形成されている。
【0032】
原材料および試薬の供給は、チャンバーからの影響を受ける。上記チャンバーでは、ピストンの先端または連結された棒状部材が移動し、上記弁は、内容物が放出された結果、液体が逆流した場合、液体の通過が可能なように設置されている。上記ピストンの先端が上昇した際、弁は閉じたまま維持される。その間、チャンバーが満たされる。
【0033】
上記弁は、ノズルと置き換えるか、ノズルにて補足することができる。加熱チャンバーは、運転温度にゾーンを維持するジャケットのようにモジュールのシリンダーを取り囲んでいる。吸気管は、逆止め弁の旋盤に備えられている。上記逆止め弁は、ピストン先端の上方向のストロークにおいて、空のチャンバーの空間を油で満たすものである。
【0034】
モジュールの中央チャンバーにおいて、液体の液面が上昇すると、アルコールの蒸気が生じ、アルコールの蒸気は、最も高いゾーンに位置する配管から、ガスを即座に元に戻すためガスを凝縮させる冷却ラインへと運ばれる。清潔に保つための水の注入口および排気口を洗浄するシステムと同様に、上記モジュールはその上端にキャップを備えている。
【0035】
上端の開口部は、上記モジュールを配管に接続されている。グリセリンの層の上澄みが移される中間タンクに、生成物が導入された量と同じ比率で、少なくとも生成物が上記配管から搬出される。この中間タンクの底部には、密度計および濁度計が設けられている。これらは、グリセリンの存在下で作動し、全てのモジュールからグリセリンが抽出を行う収集部へグリセリンを移動させることができる。
【0036】
生成物を、上述した同様の特性を有する次のモジュールに移動させるため、中間タンクはその上端に配管を備えている。モジュールの数は、工業生産能力を示す指標となるものである。
【0037】
この段階の全体に亘ってグリセリンは分離され、最終的には最大、2相に分離されることとなる。例えば、一方が、原料油が消費され、バイオディーゼル燃料となった生成物であり、他方が、過剰のアルコールが大量に存在するように、用いられた酸の塩化物と共に存在しているグリセリンである。
【0038】
収集部に収集されたグリセリンは、熱交換器を通り、上記熱交換器から80℃にてタンクへ移動する。上記タンクでは、ガス状のアルコールは、グリセリンから分離される。そして、グリセリンは蒸留塔に移動される。この処理は、注入された空気、窒素または他の不活性ガスによって補助される。
【0039】
バイオディーゼル燃料は、グリセリンから分離される当該第2段階を完結させるために、モジュールの最後部から移動される。しかし、グリセリン中にアルコールが残留しているため、グリセリンは80℃にて熱交換器を通され、タンクに注入される。上記タンクでは、アルコールからのガスは、バイオディーゼル燃料から取り除かれ、蒸留塔へ移動させられる。蒸留塔では、メタノールまたはエタノールが、再利用のため回収される。
【0040】
また、バイオディーゼル燃料は、精製および清浄用の垂直型遠心分離機に送られる。さらに、使用される状態におかれ、消費されるために流通段階に通される。本発明にて提案される製造方法およびバイオディーゼル燃料は、地面から抽出する必要がなく、精製所の汚染を招くこともないという利点に加え、エンジンが均一な燃焼、優れた潤滑能力、低燃費、爆発が静かな特性を有する。そのため、騒音公害が少なく、ガスの排出が少なく、80%大気汚染を減少させることができ、バイオディーゼル燃料の内容物は、磨耗性が小さい。
【0041】
さらに、バイオディーゼル燃料は、速やかに分解させることができ、取扱が非常に安全である。また、経済的な満足度として、精製する価格など価格の不安定さを考慮すると、最終価格は、結局、石油系燃料よりも低価格にすることができる。
【0042】
簡便で効果的であり、用途が広く、最終生成物の価格を増加させない解決方法は、経験によって見出された。また、容易にメンテナンスし得ること、構成部材の置換、大量生産、本業種における優位性を伴う。
【0043】
全ての構成部材の構造および設計は、構成部材中で使用される媒体、試薬の作用に対して耐性を有し、全体的な安全性を有している。装置は、どのような事故であっても防止できる安全装置によって保護されているが、モジュールが上記構成を有しているため、大きな事故が生じるおそれを軽減できる。
【0044】
したがって、モジュール構成の多様性およびシステムの連続的な性質によって、より優れた性能および同時に高い安全性がもたらされる。全体に亘る機械化および大量生産によって、基本的には異なる寸法のモジュールが具体的に製造されることとなる。しかしながら、具体的な要求に対してわずかな機械化を行うだけで、寸法を対応させることが可能である。その結果、モジュールはオーダーメイドとなる可能性がある。しかし、モジュールの数は、モジュールの製造が期待される生産能力に依存するため、将来、オーダーメイドでの装置作成は可能となるであろう。
【0045】
本明細書における記載を十分理解するため、概略図が追加されている。上記概略図は、一例として、本発明に係る装置およびその操作の基本的な形態を示している。
【0046】
本発明に係る好ましい実施の形態は、連続工程の導入を土台として構成され、連続工程装置によってなされる。上記連続工程装置は、一連の水平に配置された20つの均一化モジュール(1)から構成され、上記均一化モジュール(1)は第1の段階の処理を構成する。また、上記均一化モジュール(1)は、1度以上の酸性度を有する大量の植物性油、および、メタノールまたはエタノールの反応装置として機能する。上記植物性油は、メタノールまたはエタノールに対して、圧力および45〜90℃の温度である各油における遊離脂肪酸の量を基準として化学量論比にて1:50から1:300の比率であり、さらに、上記植物性油中には触媒として硫酸が存在しており、その比率は、1キログラムの植物性油に対して、硫酸が1〜10グラムである。
【0047】
各モジュールは、ガス排気システム(2)を備えている。ガス排気システム(2)は、あるモジュールから次のモジュールへ向かう植物性油の通路に連結されている。また、上記ガス排気システム(2)は電子弁(3)によって制御がなされており、空気噴射器(4)によって補助されている。空気噴射器(4)は、温度上昇、アルコールおよび蒸気によって生じたガスを蒸留塔(5)に搬送する。また、蒸留塔(5)では、水分が除去されると共にアルコールが濃縮される。アルコールは次のモジュールに搬送され、本工程において、排出された量と同じ比率にて、アルコールが回収される。
【0048】
250kgの植物性油を収容可能な各モジュールは、ジャケット(6)による被覆部を有しており、ジャケット(6)は、熱水を循環し、ピークが105℃で平均温度が約60℃である処理に適切な温度または運転温度を供給することができる。これにより、ガスの排気を促進することができる。
【0049】
上記モジュールは、四方弁(7)によって連結されている。四方弁(7)は、自身を介して垂直であっても、水平に接続されていてもよい。これにより、ガスを蒸留塔へ排出することができると共に、次のモジュールへ油を排出できることができるだけでなく、油、アルコール、硫酸、および、空気を各モジュールに供給することができる。
【0050】
各モジュールは、反応状態を制御する反応制御システム(8)、圧力センサ(9)、温度センサ(10)および充填体積インジケータ(11)を含んでいる。これら全ては、工程を制御する電子回路(12)に組み込まれている。あるモジュールから他のモジュールへの経路は、反応の進行を待つように、油の比率に応じてプログラム化されている。これにより、あるモジュールから他のモジュールへは植物性油の量について段階的な減少が生じる。
【0051】
圧力および用いられる化学試薬に対して耐性のある材料で構成されている各モジュールは、以下の3つの基礎的な要素から構成されている:すなわち、試薬が添加された油の受容配管、上述した受容配管を覆う、加熱チャンバー(6)、中央に空孔が形成されており、上記受容配管(1)を通って滑らかに移動する棒状部材に連結された環状部材のシステムである。上記受容配管は、電気モータは油圧モータまたは空気モータ(17)によって作動するピストン(16)によって作動する。
【0052】
この第1段階では、酸性度が1度以上の植物性油を出発原料として、酸性度が1度未満の植物性油が得られる。また、第2段階では、第1段階で得られた酸性度が1度未満の植物性油のエステル交換または基本的な(またはアルカリ性の)エステル化が、連続的であり、管式のモジュールを複数有する垂直型の反応装置によってなされる。上記反応装置内では、酸性度が−1°の植物性油がナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドに対して、45〜60℃の温度にて、化学量論比が1:6から1:50までの比率にて混合される。
【0053】
各エステル交換モジュール(18)は、垂直型配管にて構成されており、上記垂直型配管には、その中に、固定されているが、取外し可能な一連の環状部材(19)が組み込まれている。環状部材(19)の中央には開口が形成されており、上記開口を通って油が上昇する。また、電気モータ(21)によって作動するピストンの先端(20)によって、環状部材(19)は駆動する。
【0054】
上記ピストンは、引き込み口およびノズルを備える逆止め弁(22)として働くものであり、逆方向において一連の弁を開いた状態に保ち、逆止め弁(22)が前方または上昇すると閉じる状態となる。ピストンの先端(20)が上昇すると、それに従い、吸気配管(24)からの油によってチャンバー(23)の内部が満たされる。吸気配管(24)の角部には、逆止め弁(25)が備えられている。
【0055】
加熱チャンバー(23)は、ジャケットのように円筒状のモジュールを取り囲んでいる。上記加熱チャンバーは、約60℃と上述した運転温度にて生成物を維持するためのものである。上記運転温度は、例えば、加熱チャンバー(23)において、蒸気を生じさせることができる温度であり、この蒸気は、加熱チャンバー(23)の最も高い上部に位置する開口(26)を通って排出され、冷却ライン(27)に移動させられる。冷却ライン(27)は、一旦濃縮された濃縮ガスを即座に帰還(28)させるものであり、加熱チャンバー(23)は、洗浄用の特別なカバー(29)、および、清潔に保つための洗浄用である水の注入口および排水口システムを含んでいる。
【0056】
上端開口(30)は、上述したように、少なくとも生成物が導入された量と同じ比率にて、生成物が搬出される配管(31)に連結されている。その後、上記生成物は、グリセリンが上澄み層を除去される中間タンク(32)に搬送される。この中間タンク(32)の底部には、密度計または濁度計(33)が設置されており、グリセリンの存在下、作動する。これに対して、残存した生成物は、出口管(34)を直接通って次のエステル交換モジュール(18)に移動する。エステル交換モジュール(18)については、上述した特性と同様である。エステル交換モジュール(18)の数は、好ましい例としては9つである。
【0057】
グリセリンはこの段階を通して、最終的には最大2層に分離される。例えば、生成物中、原料のオイルはバイオディーゼル燃料から除去されることとなる。一方、過剰のアルコールが大量に存在するように、グリセリンは用いられた酸の塩化物と共に存在している。上記グリセリンは、熱交換器(36)を通って、熱交換器からタンク(37)へ80℃にて移動する。タンク(37)では、アルコールガスが配管(38)を通って、再利用のため蒸留塔(5)へ搬送される。この操作は窒素の注入によって補助される。
【0058】
当該第2段階を構成するモジュール(18)の最後の部分において、グリセリンから既に分離されているが、アルコール残基を含むバイオディーゼル燃料が得られる。上記バイオディーゼル燃料は、80℃にて熱交換器(37)を連続的に通過し、熱交換器(37)からタンク(38)へ導入される。そして、同じガス捕集システムを介して、蒸留塔(5)へ蒸気が移動される。蒸留塔(5)では、メタノールまたはエタノールが再利用のため回収される。
【0059】
上記バイオディーゼル燃料は、垂直型遠心分離機(39)に搬送される。垂直型遠心分離機(39)では、精製および洗浄がなされ、使用状態にて、消費用の商業循環(40)に渡ることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】第1段階または均一化段階を示す概略図である。
【図2】図2は、第2段階またはアルカリエステル化段階を示す概略図である。
【符号の説明】
【0061】
(1)均一化モジュール
(2)ガス排気システム
(3)ガス排出用制御弁
(4)空気噴射器
(5)蒸留塔
(6)均一化モジュールの熱水用ジャケット
(7)四方弁
(8)反応インジケータ
(9)圧力センサ用インジケータ
(10)温度センサ用インジケータ
(11)充填体積インジケータ
(12)処理を制御する電子回路
(13)試薬添加オイルの受容配管
(14)中心に空孔が形成された取外し可能な環状部材
(15)環状部材を移動させる棒状部材
(16)均一化モジュールのピストン
(17)均一化モジュールのモータ
(18)エステル交換モジュール
(19)中心に空孔が形成された固定環状部材
(20)エステル交換モジュールのピストン
(21)エステル交換段階のモータ
(22)ピストンの先端の逆止め弁
(23)加熱チャンバー
(24)モジュールへの吸気配管
(25)吸気配管の逆止め弁
(26)ガス排出用の開口
(27)ガス凝縮用の冷却ライン
(28)凝縮ガスの帰還
(29)モジュール清掃用のシステムカバー
(30)生成物出口用の上端開口
(31)生成物搬送用配管
(32)グリセリンの上澄みを採取するための中間タンク
(33)グリセリンタンクの密度計または濁度計
(34)次のモジュールへの出口管
(35)グリセリン収集部
(36)グリセリン用熱交換器
(37)グリセリンタンク
(38)グリセリンタンクから蒸留塔へガス搬送用配管
(39)バイオディーゼル燃料の精製および洗浄用の垂直型遠心分離機
(40)販売用のバイオディーゼル燃料のタンク
A 均一化モジュールの生成物供給
B 同一モジュールへの試薬の供給
C 均一化モジュールからのガス出口
D 熱水の注入口
E 熱水の放水口
F 均一化モジュールからの生成物出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続的なシステムにおいて、可変の酸性度を有する植物性油からバイオディーゼル燃料を製造する方法において、
第1段階:
連続的であり、管式のモジュールを複数有する反応装置において、メタノールまたはエタノールである溶媒中に存在する遊離脂肪酸の量に対して、可変の酸性度を有する植物性油を、1:50から1:300までの化学量論比にて上記溶媒と混合し、
上記溶媒中には、上記植物性油1kgに対して、1〜10gの比率にて、触媒として強酸が存在しており、
上記モジュールは、約300〜400kgの上記植物性油の収容能を有し、以下の3つの基礎的な要素:試薬が添加された油用の受容配管と、モータ* によって駆動するピストンによって作動し、中央に空孔が形成されており、上記受容配管を通って滑らかに移動する棒状部材に連結された環状部材のシステムと、ジャケットによって、約60度の温度にて熱水を循環させる被覆部とを有し、
さらに、周期的に作動し、一方のモジュールから他方のモジュールへの油の通過に対応し、ガス、蒸気、および、メタノールまたはエタノールの排気システムを備え、
上記排気システムは、電気弁によって制御されると共に、空気、窒素、または他の不活性ガスが吸気されることによって補助され、
上記のガスは、上記モジュールの上部から、工業プロセスに戻される蒸留塔へ通る配管を通過し、
上記蒸留塔では、水分が除去されると共にアルコールが濃縮され、アルコールが排出された量と同じ比率にて供給され、
内部を通過可能であり、垂直および水平の両方に連結可能な四方または複数方弁によって、複数の上記モジュールは互いに連結されており、
上記四方または複数方弁は、油、メタノール、強酸および空気を各モジュールに供給可能であり、上記のガスを蒸留塔へ、および、オイルを次のモジュールへ搬送し、
各モジュールは、反応状態を示す反応制御システム、圧力センサ、温度センサおよび充填体積表示器を含んでおり、上記反応制御システム、圧力センサ、温度センサおよび充填体積表示器には、工程を制御する電子回路が内蔵されており、
一方のモジュールから他方のモジュールへの通過は、反応の進行を待つように、油の比率に応じてプログラム化されており、上記反応の進行は、あるモジュールおよび次のモジュールの間において、植物性油の比率が段階的に減少することにより示され、
上記第1段階において、1度未満の酸性度を有する油が、高いまたは中間の酸性度の植物性油から得られ、
第2段階、エステル交換段階、または、基本的な(またはアルカリ性の)エステル化段階において、
第1段階において得られた酸性度が1°未満の植物性油と、ナトリウムメトキシドまたはカリウムメトキシドとを、化学量論比で1:6から1:50までの比率にて、複数のモジュールを備えた垂直型反応装置内において、45℃から60℃までの間の温度で混合し、
上記垂直型反応装置では、垂直型配管によって各モジュールが構成されており、
上記垂直型配管の材料は、圧力および用いられる試薬に耐性を有しており、
上記垂直型配管の中には、固定されており、取外し可能な一連の環状部材が組み込まれ、上記環状部材の中央には、ピストンの先端の推進力によって植物性油が上方に移動するための空孔が形成されており、
上記ピストンの先端*** は、逆止め弁として作用し、落下して、ピストンの先端が上から下へ移動する際、上記ピストンの先端の引き込み口およびノズルは開放され、原材料および試薬はピストンの中からモジュールのメインチャンバーへ通過し、
上記ピストンの先端が前進または上昇する際、上記ピストンの先端の引き込み口およびノズルは閉鎖され、
上記弁は、モジュールのメインチャンバーへ液体を通過させ、促進させるノズルによって補助され、
吸気配管は、吸気配管の角部に逆止め弁を備えており、上記ピストンの先端が上昇する際、上記逆止め弁は上記メインチャンバーの内部を満たし、空にするものであり、
加熱チャンバーは、ジャケットのように上記モジュールの円筒部を囲んでおり、運転温度にて、囲んだ領域を維持し、
液体の面が上昇する際、蒸気はモジュールのメインチャンバーにおいて生じ、一旦濃縮されたガスを即座に帰還させるため、ガスを濃縮する冷却ラインを備える上記モジュールの上部から配管を通して前記蒸気は排出され、
上記メインチャンバーは、洗浄目的の水の注入口および排出口のシステム、および、洗浄用の特別なカバーを含んでおり、
上端開口が、少なくとも生成物が導入された量と同じ比率にて生成物が搬出される配管に連結されており、上記生成物はグリセリンが上澄み層を除去される中間タンクに搬送され、
上記中間タンクの底部には、グリセリンの存在下にて作動する密度計または濁時計が設置されており、上記グリセリンは、全てのモジュールにおいて収集されたグリセリンが収集される収集部に放出され、
上記中間タンクはその上端に配管を備えており、上記配管を通して、上記モジュールと同様の特性を有する次のモジュールへ生成物を移動させ、上記モジュールの数は、工業生産能力に依存するものであり、
上記グリセリンは、本工程を通して分離され、最終的には最大で2層に分離され、例えば、一方が、原料油が消費され、バイオディーゼル燃料となった生成物であり、他方が、過剰のアルコールが大量に存在するように、用いられた酸の塩化物と共に存在しているグリセリンであり、
上記収集部に収集されたグリセリンは、熱交換器を通り、上記熱交換器から80℃にてタンクへ移動し、上記タンクでは、アルコールのガスが分離され、アルコールのガスは配管によって上記蒸留塔へ移動され、上記処理は、注入された空気、窒素または他の不活性ガスによって補助され、
第2段階を完結させる上記モジュールの最後部において、バイオディーゼル燃料はグリセリンから分離される一方、残留したアルコールを含有しており、バイオディーゼル燃料はモジュールの最後部から排出され、80℃にて熱交換器を通ってタンクに移動し、
上記タンクでは、バイオディーゼル燃料からアルコールのガスが分離され、上記蒸留塔へ送られ、前記蒸留塔では、アルコールが再利用のため回収され、
上記バイオディーゼル燃料は、垂直型遠心分離機へ搬送され、上記垂直型遠心分離機では、上記バイオディーゼル燃料が精製および洗浄された後、使用される状態とされ、消費されるための流通段階に移されることを特徴とするバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項2】
同様の結果が得られた植物性油の代わりに、1度以上の酸性度の動物性油を原料とすることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項3】
上記第1段階において、植物性油、および、メタノールまたはエタノールを、強酸としての硫酸の存在下、圧力および温度を加えることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項4】
上記第1段階において、メタノールまたはエタノールが用いられることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
****(こちらが正しいことに留意)
【請求項5】
提案された具体例とは異なり、通常なされるように単一の反応装置が、時間が経過するにつれ分別されたガスの抽出を制御し、
上記制御は、斬新な方法として、空気、窒素または他の不活性ガスを注入することによって、補助されて実行されることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項6】
上記反応装置のモジュールは、工業プラントの生産能力に応じた数の一連の構成を有していることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項7】
上記被覆部は、処理に適切な温度または運転温度、例えば、約60℃であり、ピークが105℃に達する温度を供給する熱水の循環を経由するジャケットによって形成されており、ガスの排出を促進することを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項8】
空気、窒素または他の不活性ガスが、それら自身の慣性によって排出される代わりにガスの排出を促進させることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法(空気を使用することに留意)。
【請求項9】
上記モジュールのピストンを駆動させるために油圧モータまたは空気モータを用いることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項10】
上記第2段階において、アルコールのガスをグリセリンから分離し、配管によって前記蒸留塔へ搬送し、
空気、窒素または他の不活性ガスが、それら自身の慣性によって排出される代わりに、空気、窒素または他の不活性ガスが注入されることによって、本処理が補助されることを特徴とする請求項1に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法。
【請求項11】
請求項1〜10の何れか1項に記載のバイオディーゼル燃料を製造する方法によって得られたことを特徴とするバイオディーゼル燃料。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−523880(P2009−523880A)
【公表日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550783(P2008−550783)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/ES2007/000019
【国際公開番号】WO2007/082971
【国際公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(508221419)バイオディーゼル デ アンダルシア 2004,ソシエダッド アノニマ (1)
【氏名又は名称原語表記】BIODIESEL DE ANDALUCIA 2004,S.A.
【住所又は居所原語表記】CTRA.FUENTES DE ANDALUCIA−LA CAMPANA,KM−4,5,E−41420 FUENTES DE ANDALUCIA,SEVILLA,SPAIN
【出願人】(309001067)
【氏名又は名称原語表記】LEBRON PAREJO,Jose David
【住所又は居所原語表記】CTRA.FUENTES DE ANDALUCIA−LA CAMPANA,KM−4,5,E−41420 FUENTES DE ANDALUCIA(SEVILLA),Spain
【出願人】(309001078)
【氏名又は名称原語表記】GARCIA RUZ,Cristobal
【住所又は居所原語表記】Ctra.Fuentes de Andalucia−La Campana,km4,5.,E−41420 Fuentes de Andalucia(Sevilla),Spain
【Fターム(参考)】