説明

バイオフィルム耐性材料

本発明は、活性剤を含むバイオフィルム耐性材料であって、活性剤が、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる、バイオフィルム耐性材料、及びその使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
細菌バイオフィルムは、自然環境、医学的環境及び工学的環境中に存在し、ヒトの健康に重篤な脅威をもたらす。例えば、バイオフィルムは、ヒト細菌感染の65%に関与する。バイオフィルムは、とりわけ、前立腺炎、胆道感染、尿路感染、膀胱炎、肺感染、鼻炎、耳感染、座瘡、酒さ、開放創、慢性創傷などに関与する。
【背景技術】
【0002】
バイオフィルムは生物学的なフィルムであり、水性環境中、生物的又は非生物的な対象の表面において、微生物細胞が固体表面に吸着することにより生じ、存続する。それらは、幅広い種類の栄養素及び酸素条件を増やして(reproduce)利用でき、洗い流されることがなく、抗菌剤への感受性が低いので、微生物にとって競争上の優位性を生み出し得る。バイオフィルムの形成はまた、水で満たされた空間により分離される、区分された構造の厚い層を細胞とともに形成する細胞外ポリマー材料(多糖、ポリウロン酸、アルギン酸、糖タンパク質、及びタンパク質)の産生も伴う。常在微生物は、個別の種の微生物細胞であってよく、又は微生物細胞の混在したコミュニティであってよく、これには、好気性及び嫌気性細菌、藻類、原生動物及び真菌が含まれてよい。このように、バイオフィルムは、常在微生物により分泌される1以上のマトリックスポリマーからなる有機構造に内包された生存微生物の複合体集合である。
【0003】
バイオフィルムは、厚さ数ミリ又は数センチ且つ広い表面積の巨視的構造に発展し得る。無生物対象について、これらの形成は、配管システムでは流れを制限するか若しくは完全に遮断し、熱交換器では熱伝導を低下させ、又は都市水道水の供給、食品加工、医療用具(例えば、カテーテル、矯正装置(orthopedic device)、インプラント)では病原性の問題を引き起こす一因となり得る。さらに、バイオフィルムは、多くの場合、内包された微生物により媒介される腐食作用を介して、材料の寿命を低下させる。この生物学的汚染は、工業用水製造システム、パルプ及び紙製造プロセス、冷却水システム、石油回収のための注入井、冷却塔、多孔質媒体(及び土壌)、海洋環境、及び空調システム、並びに閉じられた水再循環システムのいずれにおいても重大な環境問題である。バイオフィルムはまた、歯垢感染、汚染された内視鏡及びコンタクトレンズ、補綴具のコロニー形成、並びに医療インプラントにおけるバイオフィルム形成を引き起こし、医療科学及び産業における重大な問題でもある。
【0004】
バイオフィルムで増殖する細菌は、浮遊細胞よりも、抗生物質及び殺菌剤に対して耐性を示し、耐性はバイオフィルムの年数とともに増加する。細菌バイオフィルムは、乾燥、極端な温度又は光に対して、高い物理的抵抗も示す。上述のとおり、バイオフィルム形成は、産業、環境及び医療の問題を引き起こし、化学物質で細菌バイオフィルムを洗浄及び殺菌することが困難であることは、多くの産業において大きな懸案事項である。さらに、軽い殺菌及び洗浄組成物が好まれる傾向により、バイオフィルムで覆われた表面の不十分な洗浄が増加し得る。
【0005】
細菌を殺す通常の方法(抗生物質、化学的殺菌剤など)は、多くの場合、バイオフィルム細菌に効果がない。バイオフィルム細菌システムを取り除くために必要とされる莫大な過剰量の抗菌剤は、望ましいものではなく、多くの場合医学的に実用不可能である。標準的な化学的殺菌剤及び抗生物質は、完全にはバイオフィルムに侵入しないか、又はフィルムに存在する種及び代謝状態を完全に細胞破壊できないために、多くの場合、バイオフィルムを排除できない。さらに、典型的なバイオサイドは、細胞壁構造にダメージを与えることにより細菌を殺すが、一方で、多くの毒性エンドトキシンの放出がもたらされる場合が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
バイオフィルム形成を処理及び予防するために効果的な改善方法が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(発明の概要)
ある実施態様において、本発明は、活性剤を含むバイオフィルム耐性材料(material)であって、活性剤が、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる、バイオフィルム耐性材料を提供する。
【0008】
ある実施態様において、本発明は、材料表面上の微生物バイオフィルム若しくは微生物バイオフィルム形成又はその組合せを阻害、軽減又は無効化する方法であって、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を含む少なくとも1つの表面を有する材料を製造することを含む、方法を提供する。
【0009】
ある実施態様において、本発明は、材料表面上の微生物バイオフィルム若しくは微生物バイオフィルム形成又はその組合せを阻害、軽減又は無効化する方法であって、不溶性酸化銅が材料の3〜10重量%濃度であるように、不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を材料表面の一部に付着させることを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1には、銅の殺菌活性をグラフとして表す。
【図2】図2には、反復暴露時の銅の殺菌活性をグラフとして表す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(発明の詳細な説明)
本発明は、とりわけ、活性剤を含むバイオフィルム耐性材料であって、活性剤が、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる、バイオフィルム耐性材料を提供する。
【0012】
ある実施態様において、バイオフィルム耐性材料は、さらにポリマー樹脂を含む。
【0013】
ある実施態様において、ポリマー樹脂は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、シリコーン、又はポリエステルである。
【0014】
この側面によれば、一実施態様において、ポリマーはブロックコポリマーであり、或いは別の実施態様において、ポリマーは多糖であり、ある実施態様では、多糖は、ポリ(ピラノース)若しくはポリ(フラノース)又はその組み合わせであり、或いは他の実施態様において、デキストラン又はイヌリンである。
【0015】
ある実施態様において、ポリマーは、とりわけ、ポリ(ピラノース)、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリ(ラクトン)、ポリ(アミノ酸)、ポリ(無水物)、ポリ(メタン)、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)又はポリ(乳酸−co−グリコール)酸(poly(lactic−co−glycolic)acid)、ポリ(エーテルエステル)、合成ポリ(アミノ酸)、ポリカーボネート、ポリ(ヒドロキシアルカノエート)、及びポリ(カプロラクトン)を含んでよい。
【0016】
一実施態様において、ポリマーは合成ポリマーであり、或いは別の実施態様において、ポリマーは天然ポリマーである。一実施態様において、ポリマーは、ポリ(シアノアクリレート)、ポリ(アルキル−シアノアクリレート)、ポリ(ケタール)、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(ヒドロキシ−エステル)、ポリ(ヒドロキシル−アルカノエート)、ポリ(プロピレン−フマレート)、ポリポリ(エステル)(poly poly(ester))、ポリ(エーテル)、ポリ(カーボネート)、ポリ(アミド)、ポリ(シロキサン)、ポリ(シラン)、ポリ(スルフィド)、ポリ(イミド)、ポリ(ウレア)、ポリ(アミド−エナミン)、ポリ(有機酸)、ポリ(電解質)、ポリ(p−ジオキサノン)、ポリ(オレフィン)、ポロキサマー、無機又は有機金属ポリマー、エラストマー、又はそれらの誘導体のいずれか、又はその組合せにより得られるコポリマーである。
【0017】
一実施態様において、ポリマーは、ポリ(D,L−ラクチド−co−グリコリド)(PLGA)を含む。別の実施態様において、ポリマーは、ポリ(D,L−ラクチド)(PLA)を含む。別の実施態様において、ポリマーは、ポリ(D,L−グリコリド)(PGA)又はポリ(グリセロールセバケート)、PGSAを含む。一実施態様において、ポリマーはグリコサミノグリカンを含む。
【0018】
一実施態様において、ポリマーは、タンパク質を含んでよく、例えば、ゼイン、修飾ゼイン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、血清アルブミン、コラーゲン、アクチン、α−フェトプロテイン、グロブリン、マクログロブリン、コヒーシン、ラミニン、フィブロネクチン、フィブリノゲン、オステオカルシン、オステオポンチン、オステオプロテゲリン、又は当業者に理解されるであろうその他のものを含んでよい。別の実施態様において、ポリマーは、環状の糖、シクロデキストリン、シクロデキストリンの合成誘導体、糖脂質、グリコサミノグリカン、オリゴ糖、多糖、例えば、アルギネート、カラギーナン、キトサン、セルロース、コンドロイチン硫酸、カードラン、デキストラン、エルシナン、ファーセレラン(fuicellran)、ガラクトマンナン、ゲラン、グリコーゲン、アラビアガム、ヘミセルロース、イヌリン、カラヤガム、レバン、ペクチン、ポルラン(pollulan)、プルラン、プロフィラン(prophyran)、スクレログルカン、スターチ、トラガカントガム、ウェラン(welan)、キサンタン、キシラン、キシログルカン、ヒアルロン酸、キチン、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)、例えば、ポリ(ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシオクタノエート)又はポリ(3−ヒドロキシ脂肪酸)などを含んでよい。別の実施態様において、ポリマーは、その化学的誘導体(化学基、例えば、アルキル、アルキレンの置換、付加及び除去、ヒドロキシル化、酸化、並びに当業者により通常実施される他の修飾)、例えば、タンパク質01炭水化物単独又は合成ポリマーとの組合せの混合物を含んでよい。
【0019】
一実施態様において、ポリマーは、合成的に修飾された天然ポリマーを含み、セルロース誘導体、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、セルロースエーテル、セルロースエステル、ニトロセルロース及びキトサンなどを含んでよい。適切なセルロース誘導体の例としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル(hydroxyropyl)セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、カルボキシメチルセルロース、セルローストリアセテート、及びセルローススルフェートナトリウム塩が挙げられる。
【0020】
一実施態様において、ポリマーは、合成分解性ポリマーを含み、ポリヒドロキシ酸、例えば、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、及びそのコポリマー;ポリ(エチレンテレフタレート);ポリ(ヒドロキシ酪酸(hydroxybuty tic acid));ポリ(ヒドロキシ吉草酸);ポリ(擬似(pseudo)アミノ酸);ポリ(アミノ酸);ポリ(ヒドロキシアルカノエート);ポリ(無水物);ポリ(オルトエステル);並びにその混合物及びコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0021】
一実施態様において、ポリマーは、ポリマーの滑らかな表面が侵食されるように(as)、外側表面上に露出されるカルボキシル基を有する、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(無水物)、ポリ(オルトエステル)などの生侵食性(bioerodible)ポリマーを含み、これを使用してもよい。一実施態様において、ポリマーには、ポリエステルなどの不安定な結合が含まれる。
【0022】
ある実施態様において、バイオフィルム耐性材料は、エフェクター化合物である第二の活性成分(第二の活性成分は生体活性金属でない)を含む。
【0023】
ある実施態様において、エフェクター化合物は、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、免疫調節剤、抗凝固剤、界面活性剤、気管支拡張剤、抗体、β−アドレナリン受容体阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、ACE阻害剤、増殖因子、ホルモン、DNA、siRNA、ベクター、又はその任意の組合せである。ある実施態様において、抗真菌剤は、ポリエン系抗真菌剤である。ある実施態様において、抗真菌剤は、アムホテリシン(Amphotericin)である。
【0024】
一実施態様において、ポリマーは生分解性(biodegradable)である。一実施態様において、「生分解性ポリマー」という用語は、それが認められる細胞又は対象の生物学的環境において分解される材料を意味する。一実施態様において、生分解性ポリマーは、分解、食事(dining)を受け、酸性物質又は別の実施態様では塩基性物質が放出される。一実施態様において、生分解は、例えば、生化学的プロセスによる消化を介した、構成サブユニットへのポリマーの分解を伴う。一実施態様において、生分解は、ポリマー骨格中の結合(共有結合であるか否かを問わない)の切断を伴ってよい。別の実施態様において、生分解は、側鎖の内部、又はポリマー骨格に側鎖をつなぐものの結合(共有結合であるか否かを問わない)の切断を伴ってよい。
【0025】
一実施態様において、本発明は、本明細書に記載されるような、コーティングされた材料であって、基材(substrate)が粒子(ある実施態様において、本明細書に記載されるような方法に応用される任意のサイズのもの)である、材料を提供する。ある実施態様において、粒子は、約1〜900ナノメートルに及ぶ直径のものであり、或いは別の実施態様において、粒子は、約1〜900マイクロメートルに及ぶ直径のものであり、或いは別の実施態様において、粒子は、約0.1〜10ミリメートルに及ぶ直径のものである。
【0026】
一実施態様において、材料は、ゴム、セラミック、張り合わせ石又はマーブルを含む。
【0027】
ある実施態様において、不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を含むバイオフィルム耐性材料は、不溶性酸化銅が材料の組成の一部であることを特徴とし、ある実施態様において、当該材料は、材料と関連するコーティングをさらに含み、コーティングの構成成分が不溶性酸化銅であり、その場合に、コーティングが、3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅を含む、ことを特徴とする。
【0028】
一実施態様において、材料は、ビーズ、マイクロ粒子、ナノ粒子、スポンジ、包帯、縫合糸、カテーテル、ステント、バルブ、ペースメーカー、導管(conduit)、カニューレ、アプライアンス、スキャフォールド、避妊具、セントラルライン、ペッサリー、チューブ、ドレーン、トロカール、若しくはプラグの形態又はその一部である。一実施態様において、カテーテルは、PA、心膜、胸膜、尿又は腹内のカテーテルである。
【0029】
一実施態様において、ドレーンは、脳脊髄液ドレーンである。
【0030】
一実施態様において、チューブは、気管切開、気管内、又は胸腔チューブである。
【0031】
別の実施態様において、基材は、インプラント、ロッド、スクリュー、又は矯正装具(orthopedic appliance)の形態又はその一部である。別の実施態様において、基材は、パイプライニング、食物又は海水又は廃水と接触する装置の形態又はその一部である。
【0032】
一実施態様において、基材は、包帯の形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、縫合糸の形態又はその一部である。
【0033】
一実施態様において、基材は、カテーテルの形態又はその一部である。一実施態様において、カテーテルは、PA、心膜、胸膜、尿又は腹内のカテーテルである。別の実施態様において、カテーテルは、冠状動脈カテーテル、硬膜外カテーテル、末梢血管カテーテル、又はニューロインターベンショナル(neuro−interventional)マイクロカテーテルである。
【0034】
一実施態様において、基材は、ステントの形態又はその一部である。一実施態様において、ステントは、とりわけ、血管内、胆管、気管、胃腸、尿道、尿管、食道及び/又は冠状動脈ステントを含んでよい。一実施態様において、ステントは、とりわけ、気道、肝胆道中のステント、及び当業者に理解されるであろう他のものを含んでよい。
【0035】
別の実施態様において、バイオフィルム耐性材料は、塞栓コイル、血管内グラフト、ガイドワイヤ、探り針、イントロデューサー(introduces)及び/又はバルーンなどの形態又はその一部である。一実施態様において、バルーンは、とりわけ、冠状動脈バルーン、末梢血管バルーン及び/又は神経(neurological)バルーンを含んでよい。
【0036】
ある実施態様において、コーティングされたステントとしては、例えば、自己拡張型ステント及びバルーン拡張型ステントなどの血管ステントが挙げられる。本発明において有用である自己拡張型ステントであって、その実施態様を示すものの例は、米国特許第4,655,771号;第4,954,126号;第5,061,275号のものである。ある実施態様において、本発明の実施態様を含むコーティングされてよいステント、又は本発明の方法で使用するためのステントとしては、例えば、エクスプレスIM(Express I M)ステントなどのエクスプレスステントが挙げられる。
【0037】
本発明の材料は、金属、セラミック若しくはポリマー材料、又はその組合せを含んでよい。
【0038】
ある実施態様において、金属材料としては、チタン系金属及び合金(例えば、ニチノール、ニッケルチタン合金、熱記憶合金材料など)、ステンレススチール、タンタル、ニッケル−クロム、又はコバルト−クロム−ニッケル合金(例えば、Elgiloy(登録商標)、Phynox(登録商標)など)を含む特定のコバルト合金が挙げられる。金属材料としては、WO94/16646に開示されるものなどのクラッド複合フィラメント(clad composite filament)も挙げられる。
【0039】
ある実施態様において、セラミック材料としては、遷移元素の酸化物、炭化物又は窒化物、例えば、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化クロム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。シリカなどのシリコン系材料を使用してもよい。
【0040】
ある実施態様において、材料のコーティングは、特定の使用アプリケーションに適した材料に特性を提供する。
【0041】
一実施態様において、材料は、バルブの形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、ペースメーカーの形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、導管の形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、カニューレの形態又はその一部である。
【0042】
「基材」及び「材料」という用語は、本明細書において交換可能に使用され、本明細書に記載のように、酸化銅から実質的になる活性成分を組み込む構造を意味する。
【0043】
一実施態様において、基材は、アプライアンスの形態又はその一部である。
【0044】
一実施態様において、基材は、組織スキャフォールドの形態又はその一部である。
【0045】
一実施態様において、基材は、セントラルラインの形態又はその一部である。
【0046】
一実施態様において、基材は、ペッサリーの形態又はその一部である。
【0047】
一実施態様において、基材は、チューブの形態又はその一部である。一実施態様において、チューブは、気管切開チューブ、胃瘻チューブ、F−チューブ、経腸栄養装置、気管内チューブ又は胸腔チューブである。
【0048】
一実施態様において、基材は、ドレーンの形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、トロカール又はプラグの形態又はその一部である。一実施態様において、ドレーンは、脳脊髄液ドレーンである。
【0049】
別の実施態様において、基材は、インプラントの形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、ロッドの形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、スクリューの形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、矯正装具の形態又はその一部である。
【0050】
別の実施態様において、本発明は、コーティングされたインプラントを提供し、その例としては、血管グラフト、軟組織及び硬組織プロテーゼ(ポンプを含むが、これに限定されない)、刺激装置及びレコーダーを含む電気装置、聴覚プロテーゼ、人工喉頭、歯科インプラント、乳房インプラント、陰茎インプラント、頭蓋/顔面の腱、人工の関節、腱、靱帯、半月板及び椎間板、人工骨、人工臓器(人工膵臓、人工心臓、人工四肢、及び心臓弁を含む)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
別の実施態様において、基材は、避妊具の形態又はその一部である。一実施態様において、基材は、ダイヤフラム、コンドーム、子宮頚管キャップなどの形態又はその一部であってよい。
【0052】
別の実施態様において、基材は、女性の衛生のために使用される製品の形態又はその一部である。一実施態様において、このような製品としては、とりわけ、タンポン、パッド(生理用ナプキンパッド又は看護パッドを含む)が挙げられる。
【0053】
別の実施態様において、本発明の材料は、気管装置、例えば、気管内チューブ、吸引装置及び他の気管吸引装置、気管支肺胞洗浄カテーテルを含んでよく、その形態又はその一部であってよい。
【0054】
ある実施態様において、本発明は、ヒト組織と接触する材料を提供する。この側面によれば、一実施態様において、材料は、手術材料、例えば、手術器具、縫合糸材料、インプラント可能な材料などであってよい。
【0055】
ある実施態様において、コーティングが予想されるこのような材料としては、とりわけ、手術、医療又は歯科器具、包帯、パッチ、プロテーゼ、アプライアンス、インプラント、スキャフォールド、縫合材料、バルブ、ペースメーカー、ステント、カテーテル、ロッド、シャント、チューブ(tubing)、ワイヤ(wiring)、電極、クリップ又はファスナー、モニター、例えば、胎児モニター、避妊具、女性用衛生用品、ギプス、内視鏡、及びヒト組織と接触する他の任意のものが挙げられる。
【0056】
別の実施態様において、基材は、パイプライニング、又は食物若しくは海水若しくは廃水と接触する装置の形態又はその一部である。
【0057】
本明細書に記載のように、活性成分として不溶性酸化銅を組み込み、任意の目的のために使用される材料のいずれもが、本発明の実施態様と考えられるべきである。
【0058】
一実施態様において、化合物は、時間をかけてゆっくりと放出されるか、或いは別の実施態様において、化合物は、時間をかけて、最低限放出される。
【0059】
一実施態様において、材料は、皮膚に貼られるか、接着されるか若しくは縫合されるか、又は皮膚に刺してもよく、或いは別の実施態様において、材料は、他の材料が皮膚を通過することを介するポータルとして機能する。
【0060】
ある実施態様において、本発明は、その上又は内部に不溶性酸化銅が組み込まれ、その結果、バイオフィルム形成を予防又は処理する、基材、粒子、ロッド、スフェア、装置などを創出するための多目的プラットホームを提供する。
【0061】
本明細書に記載のように、本発明は、コーティングを組み込んだバイオフィルム耐性材料であって、コーティングが活性成分を含み、活性成分がバイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる、バイオフィルム耐性材料も企図する。
【0062】
一実施態様において、「コーティングされた(coated)」という用語は、物理的な付着を意味するか、或いは別の実施態様において、本明細書に記載のように不溶性酸化銅を含むコーティングを、「コーティング」が所望される材料表面の少なくとも一部と関連付けることを意味する。一実施態様において、このようなコーティングは、露出された材料表面の1%未満を包むか、又は別の実施態様において、1〜10%、又は別の実施態様において、1〜25%、又は別の実施態様において、1〜50%、又は別の実施態様において、1〜75%、又は別の実施態様において、1〜100%(材料の少なくとも1つの表面に対する)を包む。
【0063】
一実施態様において、このような「コーティング」は、特定の目的に適合させるために、パターンで、又は材料の特定の領域上に適用される。例えば、ある実施態様において、チューブ(tubing)は、チューブの管腔(luminally)に露出された表面上における1つの材料のコーティングを含んでよい。
【0064】
本発明の材料に適用されるコーティングは、フィルム、粒子などを含んでよい。
【0065】
心血管疾患又は病態を有する対象に適用するための材料は、投与されるコーティングされた材料、例えば、ステント、バルーンカテーテルなどであってよく、これらは、ステント又はバルーンカテーテル内に組み込まれた活性剤を含んでよく、或いはある実施態様において、ステント又はバルーンカテーテル上に、活性剤を含むコーティングを含んでよい。
【0066】
一実施態様において、材料のコーティングは、材料の少なくとも1つの表面上であるか、或いは別の実施態様において、材料の2つ以上の表面上であるか、或いは別の実施態様において、材料の露出表面上のすべてであるか、或いは別の実施態様において、材料の任意の表面上である。
【0067】
一実施態様において、「コーティングされた材料」という用語は、材料の表面コーティングだけに適用されるものではなく、本明細書に記載のコーティングで、全体的に、又はある実施態様では部分的に、材料を埋込むこと(embedding)及び/又は浸透させること(impregnating)を包含するものと理解されるべきであり、或いはある実施態様において、材料の埋込み及び/又は浸透は、特定の目的又は適用に適合させるために、所望のパターン及び/又はデザインに従ってよい。ある実施態様において、複数のコーティングが、材料中に浸透又は埋込まれてよく、そのそれぞれは、特定のパターン又はデザインに従って適用されてよく、それは同一であってよく、或いは別の実施態様において、第一のコーティングのパターンとは異なってよく、例えば、不溶性酸化銅の重量パーセントの観点から変化させてよく、或いはある実施態様においては、酸化銅成分とは関わりなく、コーティングの組成の観点から変化させてもよい。
【0068】
ある実施態様において、材料の埋込み及び/又は浸透は、特定の目的又は適用に適合させるために、特定のパターン及び/又はデザインで材料の特定の表面に施されてよい。ある実施態様において、材料の埋込み及び/又は浸透は、特定のパターン及び/又はデザインで材料の2つ以上の表面に施されるか、或いはこのようなパターン及び/又はデザインは、材料がその中に埋込まれている及び/又は浸透されている表面に応じて変更してもよい。
【0069】
ある実施態様において、本発明は、特に、ポリウレタンであり得る任意のスポンジ様材料、又はこのような形態に作製される他の材料に関する。
【0070】
ある実施態様において、本発明の材料は、異なるポリマーを使用でき、その場合、当業者に理解されるとおり、ポリマー担体中に包含させるために酸化銅の形成及び調製において変化が必要とされる。ポリエステル(PET)及びポリアラミド(PA)などのポリマーは、このようなポリマーを含む構造内に効果的に組み込むために、酸化銅の分離を必要とする。
【0071】
当業者ならば、不溶性酸化銅をその中に適切に組み込ませるために、ポリマーが酸化銅と反応しないことも理解するだろう。
【0072】
例えば、PET、PA、PP、PEなどの材料について、該材料は、押出工程の間、酸化銅を分離し、その後分散剤を添加することにより、調製されてよい。PU、ラテックスなどの材料は、酸化銅粉末をカプセル化することにより、不溶性酸化銅をその中に組み込んでよく、シリコーンなどの材料は、シリコーンと粉末酸化銅とを混合することにより、不溶性酸化銅を組み込んでもよい。
【0073】
当然のことながら、ポリマーは、当分野で公知の任意の手段により調製されてよい。例えば、ある実施態様において、少なくとも1つの銅の酸化物を含むポリマー濃縮物、エチレンから調製されるポリエチレンワックス、所望の場合には、キレート剤触媒を用いた1つ以上のオレフィン、所望の場合には、熱可塑性ポリマー、所望の場合には、他の添加剤を調製し、マスターバッチ濃縮の形態で担体ポリマーに添加する。ある実施態様において、粉末の部分的な調製のみが必要であり、例えば、粉末をワックス中に分散させることのみが必要であるか、ある場合には、粉末を担体に直接添加できる。
【0074】
ある実施態様において、マスターバッチ調製物は、スラリー状態の使用ポリマー中、20〜40重量%濃度の酸化銅を含めて調製される。マスターバッチは、所望の組成を達成するために、3〜10%酸化銅に希釈されてよい。
【0075】
ある実施態様において、典型的な調製物は、酸化銅に加えて、分散剤、例えば、ワックス、及び所望の場合には熱可塑性ポリマー、通常はポリオレフィンを含む。熱可塑性ポリマーは、スラリー中にワックスを分散させるのに役立つ。ワックスは、酸化銅及びその他の添加剤を調製物中に均一且つ微細に分散させ、この分散物を安定させるのに役立つ。ある実施態様において、このようなマスターバッチ濃縮物の想定される調製物は、20〜40重量%の酸化銅、10重量%のワックス、2%のキレート剤、及びバランス量(重量)の熱可塑性ポリマーを含む。個々の成分の比率は、ある限定の範囲内で変動し得る。
【0076】
ある実施態様において、熱可塑性ポリマーは、担体ポリマーとして利用される;このポリマーは、例えば、ポリエステル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリスチレンコポリマー、例えば、スチレン−ブタジエンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマーである。ある実施態様において、有機担体を乱す、酸化銅中の不純物が存在する場合には、0〜10重量%の抗酸化剤が添加される。種々の成分の比率は、広い限定の範囲内で変動し得る。比率は、それらが最大計100重量%まで添加されるように適合される。ある実施態様において、支持材料の化学的前処理も可能である。
【0077】
適切なポリマーとしては、ある実施態様において、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリスチレンコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン6.6など)、塩化ポリビニル、及びエチレンのコポリマーが挙げられるが、もちろん、これらに限定されるものではなく、これらは最も一般的なものである。PGA、他の溶けるポリマーなどのポリマーも、上記方法を用いて調製され得る。
【0078】
本明細書に記載のように、材料中への不溶性酸化銅の組込みは、当業者に理解されるように、キレート剤を使用してよい。本発明で使用され得るキレート剤としては、以下のような化合物が挙げられる:ジエチレントリアミン五酢酸(dtpa)、エチレンジニトリロ四酢酸(edta)、ニトリロ三酢酸(nta)、エチレンジアミン(eda)、ジエチルトリアミン(diethyltriamene)(deta)、トリエチレンテトラアミン(teta)、テトラエチレンペンタミン−UHP(tepa−UHP)、ペンタエチレンヘキサミン(peha)、ピペラジン、及びそれらの混合物。
【0079】
本発明は、表面上のバイオフィルムを予防、除去又は減少させる方法であって、1つ以上の酸化銅カチオン種を含む有効量の組成物と表面とを接触させることを含む、方法に関する。本発明の方法は、表面上のバイオフィルム形成を予防、除去、減少又は崩壊させるために使用されてよい。当業者ならば、バイオフィルムを攻撃するための活性成分としての酸化銅の使用は、様々な硬表面への適用性を有することを認識するだろう。酸化銅は、ポリマー中に含まれ得、又は形成後にポリマーに付着され得、硬表面上のコーティングとして置かれ得、又はポリマー中に包まれて、次いで硬表面に付着され得、又は表面材料が、ゴム(人工及び天然)、ウレタン化合物、ポリマー、セラミック、張り合わせ石又はマーブル、テーブル面の形成に使用される製品、及びより軟質の材料(フローリングに用いられるものなど)などで構成される、材料に直接適用され得る。
【0080】
他の実施態様において、本発明は、材料表面上の微生物バイオフィルム若しくは微生物バイオフィルム形成又はその組合せを阻害、軽減又は無効化する方法であって、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を含む少なくとも1つの表面を有する材料を製造することを含む、方法を提供する。
【0081】
他の実施態様において、本発明は、材料表面上の微生物バイオフィルム若しくは微生物バイオフィルム形成又はその組合せを阻害、軽減又は無効化する方法であって、不溶性酸化銅が材料の3〜10重量%濃度であるように、不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を材料表面の一部に付着させることを含む、方法を提供する。
【実施例】
【0082】
(実施例1)
銅の殺菌効果
材料及び方法:
最初の暴露:
親水性添加剤を有するポリプロピレンプレート及び有さないポリプロピレンプレートをコントロールとした。親水性添加剤を使用する場合には、市販の界面活性剤/潤滑剤Lurolを0.5%〜2%濃度で使用した。親水性添加剤を有する5%(重量/重量)酸化銅含有ポリプロピレンプレート及び親水性添加剤を有さない5%(重量/重量)酸化銅含有ポリプロピレンプレートを調製し、およそ10CFUの大腸菌(Escherichia coli ATCC#8739)を含む100μLの生理食塩水をプレート上面に置いた。
【0083】
複数回の反復暴露:
およそ10CFUの細菌を含む100μLの生理食塩水をポリプロピレンプレート(上記と同じプレート)上面に置き、湿室中、37℃でインキュベートした。1時間後に、100μLの生理食塩水アリコートを除去し、およそ10CFUの細菌を含む100μLの新鮮な生理食塩水アリコートをポリプロピレンプレート上面の、先に生理食塩水アリコートを置いたスポットと全く同じスポットに添加した。実験開始から3、18及び42時間後に、これをもう3回繰り返した。ポリプロピレンプレートの最終的な添加(spiking)後、プレートを湿室中、37℃で維持し、その後、最後のアリコートを除去し、各アリコート中のCFUの数を測定した。
【0084】
結果:
細菌増殖に対する銅の殺菌効果を試験するために、5%(重量/重量)酸化銅含有ポリプロピレンプレートにE.coliを暴露した。図1は、細菌増殖に対する銅の効果を示す。図2は、基材が長期間に亘って、連続的な細菌暴露に有効であることを証明する、反復暴露された基材についての細菌増殖に対する銅(cooper)の効果を示す。いずれの場合においても、酸化銅含有プレートではCFUが減少した。
【0085】
(実施例2)
バイオフィルム形成に対する銅の効果
バイオフィルムの存在下、又は不在下における、不溶性銅含有調製物の効果を測定するために、以下のアッセイを実施した。0.4cm×0.4cmサイズのポリプロピレンプレート(5%Cu(w/w)含有及び非含有)を2連、使い捨ての24ウェルプレートの底に置いた。1mLの大腸菌(Escherichia coli ATCC#8739(〜10コロニー形成単位))をウェルに添加し、37℃で一晩(およそ10時間)インキュベートした。インキュベート後、5%グルタルアルデヒド(リン酸バッファー中、0.1M、PH=7.2)で2時間プレートを固定し、リン酸バッファーで4回すすぎ(それぞれ10分間洗浄)、増加エタノール濃度を含む溶液で脱水した。Critical Point Dryer(BIO−RAD C.P.D750)によりサンプルを乾燥し、金でスパッタコーティングされた金属スタブ(stub)上にのせ、走査型電子顕微鏡(Jeol JMS 840)により評価した。バイオフィルムの有無を視覚的に確認し、以下のスキャニングマルチプルフィールド(scanning multiple field)を記録した。
【0086】
評価サンプルには、0%Cu(w/w)プレート(コントロール1)、又は親水性添加剤を含む0%Cu(w/w)プレート(コントロール2)(実施例1に記載のとおり)、5%Cu(w/w)プレート(Cu1)又は4. 親水性添加剤を有する5%Cu(w/w)プレート(Cu2)が含まれた。
【0087】
表1に、SEM研究の結果を示す:
表1:不溶性銅での処理後のバイオフィルム形成:
【0088】
【表1】

【0089】
+はバイオフィルム形成を示し、−はバイオフィルムが存在しないことを示す。
【0090】
表1の結果は、不溶性の銅含有プレート上で増殖されたE.coliは、バイオフィルムを形成できず、それ故、不溶性銅基材は、バイオフィルム形成を予防したことを示す。
【0091】
本発明の特定の特徴を本明細書で例示し記載するが、多くの修正、置換、変更及び等価物が当業者によりなされるだろう。従って、当然ながら、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神から逸脱しない限り、このような全ての修正及び変更を包含することが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性剤を含むバイオフィルム耐性材料であって、活性剤が、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる、バイオフィルム耐性材料。
【請求項2】
ポリマー樹脂をさらに含む、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項3】
前記ポリマー樹脂が、ポリプロプレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩化ポリビニル、ナイロン、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、フッ化ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、シリコーン又はポリエステルである、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項4】
前記材料が、スポンジ、カテーテル、パイプ、ライニング、チューブ、包帯、縫合糸、ステント、バルブ、ペースメーカー、導管、カニューレ、アプライアンス、スキャフォールド、セントラルライン、ペッサリー、ドレーン、トロカール又はプラグである、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項5】
前記カテーテルが、PA、心膜、胸膜、尿又は腹内のカテーテルである、請求項4記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項6】
前記ドレーンが脳脊髄液ドレーンである、請求項4記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項7】
前記チューブが、気管切開、気管内又は胸腔チューブである、請求項4記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項8】
前記材料が、インプラント、ロッド、スクリュー又は矯正装具の形態又はその一部である、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項9】
前記材料が、パイプライニング、リアクター、又は食物若しくは海水と接触する装置の形態又はその一部である、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項10】
前記材料が、レセプタクル、リザーバー又はコンテナの形態又はその一部である、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項11】
前記不溶性酸化銅が、時間をかけてゆっくりと放出される、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項12】
前記材料が、皮膚に貼られるか、接着されるか若しくは縫合されるか、又は皮膚に刺してもよい、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項13】
前記材料が、他の材料が皮膚を通過することを介するポータルとして機能する、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項14】
前記材料が、エフェクター化合物である第二の活性成分を含み、第二の活性成分が生体活性金属でない、請求項1記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項15】
前記エフェクター化合物が、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、抗寄生虫剤、抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、免疫調節剤、抗凝固剤、界面活性剤、気管支拡張剤、抗体、β−アドレナリン受容体阻害剤、カルシウムチャネルブロッカー、ACE阻害剤、増殖因子、ホルモン、DNA、siRNA、ベクター、又はその任意の組合せである、請求項14記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項16】
前記抗真菌剤が、ポリエン系抗真菌剤である、請求項14記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項17】
前記抗真菌剤がアムホテリシンである、請求項14記載のバイオフィルム耐性材料。
【請求項18】
材料表面上の微生物バイオフィルム形成の発生を予防、軽減又は減少する方法であって、バイオフィルム耐性材料の3〜10重量%濃度の不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を含む少なくとも1つの表面を有する材料を製造することを含む、方法。
【請求項19】
材料表面上の微生物バイオフィルム形成の発生を予防、軽減又は減少する方法であって、不溶性酸化銅が材料の3〜10重量%濃度であるように、不溶性酸化銅から実質的になる活性剤を材料表面の一部に付着させることを含む、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2013−517086(P2013−517086A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−549461(P2012−549461)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【国際出願番号】PCT/IL2011/000028
【国際公開番号】WO2011/089591
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(512189358)カプロン サイエンティフィック リミテッド (1)
【Fターム(参考)】