説明

バイオマスからアルコール及び炭化水素への代替経路

バイオマスをカルボン酸に変換し、エステルを生じるためにカルボン酸をオレフィンと反応させ、アルコールを生成するためにエステルを水素化分解することによって、バイオマスからアルコール、炭化水素、又はその両方を生成する方法である。バイオマスの少なくとも一部をカルボン酸、ケトン、又はカルボン酸アンモニウム塩に変換し、オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部としてカルボン酸の一部、ケトンの一部、カルボン酸アンモニウム塩の一部の少なくとも一部をオリゴマー化反応器において反応させ、オリゴマー化生成物から炭化水素を分離することによって、バイオマスから炭化水素を生成する方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府に援助された研究又は開発に関する供述
適用なし
【0002】
本開示はバイオマスに関連する。より詳細には、本開示はバイオマスからアルコール及び炭化水素への代替経路に関する。
【背景技術】
【0003】
バイオマスは燃料への変換が可能な生物材料である。バイオ燃料は大半の生物由来の炭素源から生成可能である。例えば、バイオ燃料は光合成植物などの供給源から生成される。バイオ燃料は、調理、暖房、輸送などの多様な用途に利用可能である。
【0004】
バイオマスからバイオ燃料を生成する多くの技術がある。例えば、エタノールはリグノセルロース系バイオマスから生成される。バイオマスからの遊離糖類の酵素による生成も報告されている。そして、当該糖類は直接エタノールへと発酵される。また、従来技術は合成ガス(CO及びH)へのバイオマスのガス化であり、合成ガスは直接エタノールへと発酵されるか、混合アルコールへと触媒によって変換される。いくつかの技術は酵素によってバイオマスから遊離糖類を生成し、糖類は続けてホモアセトゲンを用いて酢酸へと発酵される。続いて、酢酸は米国特許第6,927,048号及び米国特許第7,351,559号に記載されている方法を用いて水素化される。
【0005】
炭化水素への経路は以下のことを含む:上述の方法で生成されたアルコールはゼオライト触媒を用いて炭化水素へと変換可能であり;バイオマスをガス化することにより生成された合成ガスはフィッシャートロプシュ触媒を用いて炭化水素へと変換可能であり;糖類は触媒により炭化水素へと変換可能であり;バイオマスは熱分解によって炭化水素へと変換可能である。
【0006】
バイオマスからバイオ燃料を生成するための様々な技術が存在するが、バイオマスからアルコール及び/又は炭化水素を生成するための新たな改良されたより効率的なシステム及び方法に対する当該技術分野における需要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第6927048号明細書
【特許文献2】米国特許第7351559号明細書
【発明の概要】
【0008】
本明細書における開示は、バイオマスをカルボン酸へと変換し、エステルを生成するためにカルボン酸をオレフィンと反応させ、アルコールを生成するためにエステルを水素化分解することによって、バイオマスからアルコール、炭化水素又はその両者を生成する方法である。ある実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応と、アルコールを生成するためのエステルの水素化分解とが、同じ反応器において行われる。ある実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸及びオレフィンの反応と、アルコールを生成するためのエステルの水素化分解とが、一つの触媒を用いて行われる。
【0009】
ある実施形態においては、方法はオレフィンフィードを生成するために少なくとも一部のアルコールを脱水することを更に含み、少なくとも一部のオレフィンフィードはエステルを生成するためにカルボン酸と反応するオレフィンを供給する。ある実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応と、アルコールを生成するための水素化分解とが、同じ反応器で行われる。ある実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応と、アルコールを生成するためのエステルの水素化分解とが、一つの触媒を用いて行われる。方法は炭化水素を生成するために別の一部のアルコールをオリゴマー化することを更に含んでも良い。方法は、炭化水素を生成するために少なくとも別の一部のオレフィンフィードをオリゴマー化することを更に含んでも良い。
【0010】
ある実施形態において、方法はオレフィンフィードを生成するために少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することを含んでおり、少なくとも一部のオレフィンフィードはエステルを生成するためにカルボン酸と反応するオレフィンを供給する。方法は、炭化水素を生成するために少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することを更に含んでも良い。ある実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応と、アルコールを生成するためのエステルの水素化分解とが、同じ反応器において行われる。ある実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応と、アルコールを生成するためのエステルの水素化分解とが、一つの触媒を用いて行われる。そのような方法はオレフィンフィードを生成するために少なくとも別の一部のアルコールをオリゴマー化することを更に含んでも良く、少なくとも一部のオレフィンフィードはエステルを生成するためにカルボン酸と反応するオレフィンを供給する。
【0011】
ある実施形態において、バイオマスをカルボン酸へと変換することは、水とカルボン酸塩とを含む液体発酵ブロスを得るためにバイオマスを発酵すること、カルボン酸塩から水を分離するために液体発酵ブロスを脱水すること、及びカルボン酸塩をカルボン酸へと変換することを更に含む。
【0012】
ある実施形態においては、方法はアルコールを炭化水素へと変換することを更に含む。そのような実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応及びアルコールを生成するためのエステルの水素化分解は同じ反応器で行われても良い。そのような実施形態においては、エステルを生成するためのカルボン酸とオレフィンとの反応及びアルコールを生成するためのエステルの水素化分解は一つの触媒を用いて行われても良い。アルコールの炭化水素への変換は、オリゴマー化処理を含んでも良い。ある実施形態においては、アルコールの炭化水素への変換は炭化水素を生成するための少なくとも一部のアルコールのオリゴマー化を含む。ある実施形態においては、アルコールの炭化水素への変換は、オレフィンフィードを生成するための少なくとも一部のアルコールの脱水、及び炭化水素を生成するための少なくとも一部のオレフィンフィードのオリゴマー化を含む。
【0013】
少なくとも一部のバイオマスをカルボン酸、ケトン、又はカルボン酸塩に変換し、オリゴマー化生成物を生成する処理の少なくとも一部としてオリゴマー化反応器において一部のカルボン酸、一部のケトン、又は一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つを反応させ、オリゴマー化生成物から炭化水素を分離することによって、バイオマスから炭化水素を生成する方法も同様に開示されている。ある実施形態において、方法は、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールへと変換し、オリゴマー化生成物を生成する処理用のオリゴマー化反応器へ少なくとも一部のアルコールを供給することを更に含む。別の一部のカルボン酸をアルコールに変換することは、エステルを生成するための別の一部のカルボン酸とオレフィンとの反応及びアルコールを生成するためのエステルの水素化分解を含んでも良い。オリゴマー化生成物を生成する処理の少なくとも一部としての一部のカルボン酸、一部のケトン、又は一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つのオリゴマー化反応器における反応、及び別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換は、オリゴマー化反応器において行われても良い。オリゴマー化生成物を生成する処理の少なくとも一部としての一部のカルボン酸、一部のケトン、又は一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つのオリゴマー化反応器における反応、及び別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換は、一つの触媒を用いて行われても良い。
【0014】
方法は、オリゴマー化生成物から再循環ストリームを分離すること、水素を生成するために改質装置において再循環ストリームを処理すること、及び生成された水素の少なくとも一部を、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する処理に供給することを更に含んでも良い。少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸アンモニウム塩に変換される実施形態において、方法は、水素を生成するための改質装置における再循環ストリームの処理の前に、再循環ストリームからアンモニアを分離することを更に含んでも良い。ある実施形態において、方法は、水素を生成するための改質装置における再循環ストリームの処理の前に再循環ストリームからオレフィンを分離すること、及びオリゴマー化生成物を生成する処理のためのオリゴマー化反応器にオレフィンを供給することを含む。ある実施形態においては、少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸アンモニウム塩に変換され、方法は、水素を生成するための改質装置における再循環ストリームの処理の前に再循環ストリームからアンモニアを分離することを更に含む。
【0015】
ある実施形態においては、方法は、オリゴマー化生成物からの再循環ストリームの分離、再循環ストリームからのオレフィンの分離、及びオリゴマー化生成物を生成する処理用のオリゴマー化反応器へのオレフィンの供給を含む。
【0016】
ある実施形態において、少なくとも一部のバイオマスはカルボン酸に変換される。少なくとも一部のバイオマスのカルボン酸への変換は、カルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩を生成するためのバイオマスの発酵、及び酸回収処理を用いたカルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩のカルボン酸への変換を含んでも良い。
【0017】
ある実施形態において、少なくとも一部のバイオマスはケトンへ変換される。少なくとも一部のバイオマスのケトンへの変換は、カルボン酸カルシウム塩を生成するためのバイオマスの発酵、及びカルボン酸カルシウム塩のケトンへの熱変換を含んでも良い。ある実施形態において、少なくとも一部のバイオマスのケトンへの変換は、カルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩を生成するためのバイオマスの発酵、酸回収処理を用いたカルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩のカルボン酸への変換、及びカルボン酸のケトンへの触媒変換を含む。ある実施形態においては、方法は、別の一部のケトンを水素化することによって別の一部のケトンをアルコールに変換することを更に含む。
【0018】
ある実施形態において、少なくとも一部のバイオマスのケトンへの変換は、カルボン酸カルシウム塩を生成するためのバイオマスの発酵、及びスイープガス(sweep gas)を利用して稼動するケトン反応器におけるケトンの熱蒸気及び炭酸カルシウムの生成を含む。スイープガスは反応性、凝縮性又はその両方を有しても良い。ある実施形態においては、スイープガスは水素を含む。ある実施形態においては、スイープガスは水蒸気を含む。
【0019】
ある実施形態において、少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸アンモニウム塩に変換される。そのような方法は、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換、及びオリゴマー化生成物を生成する処理用のオリゴマー化反応器へのアルコールの供給を更に含み、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換は、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩の第2のカルボン酸への変換、エステルを生成するための第2のカルボン酸とオレフィンとの反応、及びアルコールを生成するためのエステルの水素化分解を含んでも良い。ある実施形態においては、少なくとも一部のバイオマスはカルボン酸アンモニウム塩に変換され、その方法は、オリゴマー化生成物を生成する処理の少なくとも一部としてオリゴマー化反応器において一部のカルボン酸アンモニウム塩を反応する前にカルボン酸アンモニウム塩からアンモニアを分離することを更に含んでも良い。
【0020】
ある実施形態においては、少なくとも一部のバイオマスのカルボン酸、ケトン、又はカルボン酸アンモニウム塩への変換は発酵装置における発酵処理を含み、当該方法は、オリゴマー化生成物からの気体の再循環ストリームの分離、及び気体の再循環ストリームの少なくとも一部の発酵装置への供給を含む。方法は、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換、及びアルコールのオリゴマー化反応器への供給を更に含んでも良い。ある実施形態においては、少なくとも一部のバイオマスはカルボン酸に変換される。ある実施形態においては、少なくとも一部のバイオマスはケトンに変換される。ある実施形態においては、少なくとも一部のバイオマスはカルボン酸アンモニウム塩に変換される。そのような方法は、気体の再循環ストリームの少なくとも一部を発酵装置に供給する前に、気体の再循環ストリームからのアンモニアの分離を含んでも良い。
【0021】
ある実施形態において、オリゴマー化生成物を生成する処理の少なくとも一部としてオリゴマー化反応器における一部のカルボン酸、一部のケトン、又は一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つの反応、及び別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換は、オリゴマー化反応器において行われる。オリゴマー化生成物を生成する処理の少なくとも一部としてオリゴマー化反応器における一部のカルボン酸、一部のケトン、又は一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つの反応、及び別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩のアルコールへの変換は、一つの触媒を用いて行うことができる。
【0022】
ある実施形態において、方法は、発酵装置から出る発酵ガスの分離、水素を生じるための改質装置における発酵ガスの処理と、及び別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールへ変換する処理への生成した水素の少なくとも一部の供給とを更に含む。
【0023】
具体的な利点は本明細書中に列挙されているが、個々の実施形態は列挙された利点の全て若しくはいくつかを有しても良いし、全く有していなくても良い。また、他の技術的利点は以下の図及び説明を参照することによって、当業者にとって容易に理解される。
【0024】
本発明及びその利点の例示である実施形態のより完全な理解のために、添付図面と組み合わせて以下の説明が参照される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1A及び1Bは、それぞれ実施例に係るカルシウム及びアンモニアベースのバイオマス変換システムのブロック図である。
【図2】実施例に係るカルボン酸のアルコールへの変換を示すブロック図である。
【図3】実施例に係るカルボン酸のアルコールへの変換の詳細を示すブロック図である。
【図4】実施例に係る一つの反応器におけるカルボン酸のアルコールへの変換を示すブロック図である。
【図5】実施例に係る一つの反応器におけるカルボン酸のアルコールへの変換の詳細を示すブロック図である。
【図6】実施例に係るカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションA)を示すブロック図である。
【図7】実施例に係るカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションA)の詳細を示すブロック図である。
【図8】実施例に係る一つの反応器において生じたアルコールを利用したカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションA)を示すブロック図である。
【図9】実施例に係る一つの反応器において生じたアルコールを利用したカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションA)の詳細を示すブロック図である。
【図10】実施例に係るカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションB)を示すブロック図である。
【図11】実施例に係るカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションB)の詳細を示すブロック図である。
【図12】実施例に係る一つの反応器において生じたアルコールを利用したカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションB)を示すブロック図である。
【図13】実施例に係る一つの反応器において生じたアルコールを利用したカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションB)の詳細を示すブロック図である。
【図14】実施例に係るカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションC)を示すブロック図である。
【図15】実施例に係るカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションC)の詳細を示すブロック図である。
【図16】実施例に係る一つの反応器において生じたアルコールを利用したカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションC)を示すブロック図である。
【図17】実施例に係る一つの反応器において生じたアルコールを利用したカルボン酸のオレフィン及びアルコールを介した炭化水素への変換(オプションC)の詳細を示すブロック図である。
【図18】実施例に係るカルボン酸又はケトンの炭化水素への直接変換(オプションA1)を示すブロック図である。
【図19】実施例に係るカルボン酸又はケトンの炭化水素への直接変換(オプションB1)を示すブロック図である。
【図20】実施例に係るカルボン酸又はケトンの炭化水素への直接変換(オプションA2)を示すブロック図である。
【図21】実施例に係るカルボン酸又はケトンの炭化水素への直接変換(オプションB2)を示すブロック図である。
【図22】実施例に係るカルボン酸又はケトンの炭化水素への直接変換(オプションA2及びB2)の詳細を示すブロック図である。
【図23】実施例に係るケトンの炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図24】実施例に係る同一の反応器において起こる水素化及びオリゴマー化によるケトンの炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図25】実施例に係るカルシウムベースのシステム用のバイオマスの完全変換を示すブロック図である。
【図26】実施例に係るスイープガスの使用、及びケトン反応器から下流で稼動するユニットへの直接導入を示すブロック図である。
【図27】実施例に係るカルボン酸の炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図28】実施例に係る同一の反応器において起こる水素化及びオリゴマー化によるカルボン酸の炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図29】実施例に係るカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションA1)を示すブロック図である。
【図30】実施例に係るカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションB1)を示すブロック図である。
【図31】実施例に係るカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションA2)を示すブロック図である。
【図32】実施例に係るカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションB2)を示すブロック図である。
【図33】実施例に係るカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への変換(オプションA2及びB2)の詳細を示すブロック図である。
【図34】実施例に係るカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図35】実施例に係る同一の反応器において起こる水素化及びオリゴマー化によるカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図36】実施例に係るアンモニアの事前除去を伴うカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションA1)を示すブロック図である。
【図37】実施例に係るアンモニアの事前除去を伴うカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションB1)を示すブロック図である。
【図38】実施例に係るアンモニアの事前除去を伴うカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションA2)を示すブロック図である。
【図39】実施例に係るアンモニアの事前除去を伴うカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(オプションB2)を示すブロック図である。
【図40】実施例に係るアンモニアの事前除去を伴うカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への変換(オプションA2及びB2)の詳細を示すブロック図である。
【図41】実施例に係るオリゴマー化前のアンモニアの除去を伴うカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図42】実施例に係るオリゴマー化前のアンモニアの除去を伴う同一反応器における水素化及びオリゴマー化によるカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換を伴う発酵を示すブロック図である。
【図43】実施例に係るH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)によるアセトンのオリゴマー化に関する炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を示す。
【図44】実施例に係るH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比30)によるアセトンのオリゴマー化に関する炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を示す。
【図45】実施例に係る330℃におけるH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)によるアセトンのオリゴマー化に関する炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を示す。
【図46】実施例に係る400℃におけるH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)によるアセトンのオリゴマー化に関する炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を示す。
【図47】実施例に係るH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)によるアセトン及び水素のオリゴマー化に関する炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を示す。
【図48】実施例に係るH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)による酢酸のオリゴマー化に関する液相生成物分布を示す。
【図49】実施例に係るH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)による酢酸及び水素のオリゴマー化に関する液相生成物分布を示す。
【図50】実施例に係るH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)による酢酸アンモニウムのオリゴマー化に関する液相生成物分布を示す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本明細書中において開示されるものは、バイオマスからアルコール及び/又は炭化水素を生成するシステム及び方法である。本開示の実施形態によると、バイオマスからアルコール又は炭化水素を生成する方法は、バイオマスをカルボン酸に変換することを含む。カルボン酸はエステルを生成するためにオレフィンと反応させられる。エステルはアルコールを生成するために水素化分解される。そして、アルコールは炭化水素を生成するためにオリゴマー化することもできる。
【0027】
本開示のある実施形態は技術的利点を有する。例えば、ある実施形態の技術的利点はバイオマス由来の化合物(すなわち、カルボン酸塩、カルボン酸、又はケトン)を燃料(アルコール、炭化水素)に変換可能であることを含む。他の実施形態の別の技術的利点は、水素化分解前にカルボン酸を(より一般的に起こる)アルコールよりもオレフィンと反応させ、それによって反応中における水の生成を避ける又は最小にするバイオマスからエタノールへの経路を含む。他の実施形態の更に別の技術的利点は、同一反応器において同一の触媒を用いて水素の存在下においてカルボン酸をオレフィンと反応させ、2段階ではなく1段階でアルコールを生成し、反応中において水素の生成を避ける又は最小にするバイオマスからエタノールへの経路を含む。他の実施形態の更に別の技術的利点は、炭化水素を生成するためにケトン又はカルボン酸の反応に水素を添加することを含む。他の実施形態の更に別の技術的利点は、カルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換を含み、それは水素を添加して又は添加せずにバイオマスの発酵によって起こる。
【0028】
実施形態の例示的な実施が以下に示されているが、本開示のシステム及び方法は現在周知であるか否かに関わらずあらゆる技術を利用して実施可能であることが最初に理解されなければならない。本発明は以下に示される例示的な実施、図面及び技術に限定されない。また、図面は必ずしも正確に縮小しておらず、バルブや計器などの設備の明らかな構成要素を示していない。
【0029】
ある実施形態の教示に係るアルコール及び炭化水素への経路が以下において説明される。様々な実施形態において用いられる触媒及び実施条件の例が以下の表1〜5に示されている。
【0030】

【0031】

【0032】

【0033】

【0034】

【0035】
本明細書における具体的な生成物ストリームを参照すると、主要な生成物が説明されているが、他の生成物も生成物ストリーム中に存在しても良いことが理解されなければならない。非限定的な実施例として以下においてより詳細に説明されているように、水のストリームがアルコールを含んでも良い。
【0036】
図1A及び1Bは、発酵に何の緩衝システムが選択されるかに応じた二つのオプションを有するバイオマスの完全な変換の実施形態のブロック図を示す。図1Aはカルシウムベースのシステム100Aを示し、図1Bはアンモニアベースのシステム100Bを示す。
【0037】
図1A及び1Bによると、バイオマスの前処理及び発酵はステップ110A/110Bで起こる。前処理は、バイオマスが“そのままで”十分に消化可能であるか否かに応じたオプションである。前処理は、当該分野において周知なように、限定するのではないが、例えば米国特許第5,693,296号及び第5,865,898号並びに米国特許出願第60/423,288号及び第60/985,059号に記載されているような石灰前処理を利用して行われても良い。そして、可消化バイオマスはカルボン酸塩へと直接発酵されても良い。カルボン酸塩へのそのような発酵は、限定するのではないが、例えば米国特許第5,962,307号、並びに米国特許出願第11/298,983号及び第11/456,653号に記載されているように行われても良い。利用される緩衝システムに応じて、実施例において生成されるカルボン酸塩はカルシウム塩又はアンモニウム塩である。大半が水及びカルボン酸塩である液体発酵ブロスが発酵から得られても良い。更なる処理のために、カルボン酸塩はステップ120A/120Bにおいて脱水されても良い。脱水は、限定するのではないが、例えば米国特許第5,986,133号、第7,251,944号及び第7,328,591号並びに米国特許出願第60/985,059号に記載されるような方法又はシステムを用いて行っても良い。ある実施形態の教示により、脱水が濃縮されたカルボン酸塩を生じることが理解される。ある実施例においては、ステップ120A/120Bによって生じた水はステップ110A/110Bのインプットとして用いられても良い。
【0038】
カルシウムベースのシステム110Aにおいて、カルボン酸カルシウム塩はステップ125Aにおいてケトンへと熱変換される。そのようなケトンへの熱変換を行うシステム及び方法は、米国特許第6,043,392号及び第6,262,313号に記載されている。また、カルボン酸はステップ130Aにおいて塩から回収されても良い。カルボン酸の回収は、限定するのではないが、例えば米国特許第6,395,926号に記載されているように“酸スプリンギング(acid springing)によって行われても良い。得られたカルボン酸又はケトンは、図2〜24、27及び28に示されるように、下流に送られてステップ140Aにおいて処理される。あるいは又は更に、例えば図1A及び25に記載される熱変換を利用したケトンの生成(ステップ125A)は、図26に示されるようなスイープガスを用いて、図18−24に示されるように適切な下流の処理と一緒にされても良い。また、例えば酸化ジルコニウムの触媒層にカルボン酸を通すことによってケトン/ケトン蒸気が生じてもよい。
【0039】
アンモニアベースのシステム100Bにおいて、カルボン酸はステップ130Bにおいてカルボン酸アンモニウム塩から回収されても良い。カルボン酸の回収は、限定するのではないが、例えば米国特許出願第11/456,653号に記載されるように“酸スプリンギング”によって行われても良い。得られたカルボン酸は、図2−22、27及び28に示されるように、下流に送られてステップ140Bにおいて処理されても良い。あるいは又は更に、カルボン酸アンモニウム塩は図29−42に示されるように下流に直接送られて処理されても良い。
【0040】
カルシウムベースのシステム100A及びアンモニアベースのシステム100Bにおいて、必要に応じて水素がステップ140A/140Bに添加されても良い。水素は、他の場所で生成されて(例えばパイプライン又は他の適した装置を介して)輸送されても良いし、未分解の発酵残留物の気化によって、天然ガスの蒸気改質によって、変換中に生じる廃棄炭化水素ガスから、又は他の適した方法によってその場で生成されても良い。また、ある程度の水素は発酵ステップ110A/110Bにおいて生成され、それは限定するのではないが、米国特許出願第11/948,506号に記載されているのと同様に回収されても良い。ある実施形態の教示により、高純度の水素は必要ないことが理解される。
【0041】
図2はある実施形態に係るカルボン酸をアルコールへ変換するためのシステム200のブロック図を示している。カルボン酸202は、エステル化反応器220においてオレフィン204と反応することによってエステル化される。得られたエステル205は別の水素化分解反応器222においてアルコール206へと水素化分解される。アルコール生成物206の一部は脱水反応器224においてオレフィン204を生成するために脱水されても良く、残りのアルコール206は生成物として捕集されても良い。必要に応じて、水素化分解反応器222から出たアルコール生成物206は蒸留により分離されても良い。高級アルコールを脱水することによって高級オレフィン(プロピレン及びそれ以上)を得ることができる。ある実施形態の教示により、第1級アルコールの代わりにオレフィンを用いることは、エステル化反応器222において水を生じることなくエステルを生成可能にすることが理解される。
【0042】
図3は、実施形態に係るカルボン酸をアルコールへ変換するためのシステム200の詳細な説明を示している。ある実施形態において、カルボン酸ストリーム202は、二つの部分202a及び202bへと分けられる。ストリーム202aは、顕熱交換器240、潜熱交換器241、及び顕熱交換器242へと送られ、ストリーム202aは過熱蒸気になる。ストリーム202bは、顕熱交換器243、潜熱交換器244、及び顕熱交換器245に送られ、ストリーム202bは過熱蒸気になる。過熱状態のカルボン酸蒸気ストリーム202a及び202bはエステル化反応器220においてオレフィン204と反応することによってエステル205を生成する。ある実施形態においては、エステル化反応器220は温度制御システムを備えている。エステル205は水素化分解反応器222において水素と反応することによってアルコール206を生成する。ある実施形態においては、水素化分解反応器222は温度制御システムを備えている。
【0043】
アルコール生成物ストリーム206は二つのストリーム206a及び206bに分かれる。ストリーム206aは、圧力が低減される膨張装置246に入る。低圧のアルコールは脱水反応器224に入る。ある実施形態の教示により、脱水は低圧で起きるため膨張装置246において圧力を低減することは脱水作用を向上することが理解される。ある実施形態において、脱水反応器224は温度制御システムを備えている。そして、脱水反応器224から出た(オレフィン206aa及び水206abを含む)ストリーム206aは、圧縮装置247において圧縮されて顕熱交換器245及び潜熱交換器244に入り、潜熱交換器はストリームを冷却して水206abが凝縮できるようにする。オレフィン206aa及び水206abはタンク248において分離されても良い。オレフィン206aaは顕熱交換器245において加熱されるため、それはエステル化反応器220にオレフィン204の全部又は一部として入ることができる。タンク248から出た水206abは顕熱交換器243において冷却される。ある実施形態において、水206abは、膨張エネルギーを回収するために高圧液体206ab’としてタービン249を流れても良い。液体206ab’は主に水を有するが、脱水反応器224における脱水反応は可逆的であるためいくらかのアルコールを含んでも良い。液体206ab’中のアルコールはカラム250における蒸留によって回収され、アルコールストリーム206に戻される。
【0044】
生成物として回収されたアルコールの一部を含むストリーム206bは、顕熱交換器242、潜熱交換器241、及び顕熱交換器240を通って冷却される。タンク251内における気体の空間は、その後に水素化分解反応器222に再循環される水素を含んでも良い。ある実施形態において、ストリーム206bは膨張エネルギーを回収するために高圧液体206’の一部としてタービン252を流れてもよい。タンク253における気体の空間は、圧縮装置254により圧縮される水素を含んでも良い。その一部はライン206bbを介して水素化分解反応器222に戻されても良い。
【0045】
再循環ストリーム206bbは非水素ガスを含んでも良く、それはある実施形態においてはシステム内における蓄積を防ぐためにライン206bb’を介してパージされる。ライン206bb’におけるパージされた気体は水素を回収するために分離装置へと送られ、又は処理熱のために燃焼される。ある実施形態においては、エステル化反応器220及び/又は水素化分解反応器222は高圧(〜2000から4000kPa)で稼動でき、一方、脱水反応器224は低圧(〜20から500kPa)で稼動する。図示された実施形態においては、膨張装置246は圧力低下からエネルギーを回収し、圧縮装置247に使用されるエネルギーを補うことができる。
【0046】
ゼオライトなどのある種の触媒は両方の水素化活性を示し(限定するのではないが、例えば、Minachev, Kh.M、Garanin, V.I.、Kharlamov, V.V.、Kapustin, M.A.の“カチオンフォームのゼオライトにおけるアセトンの水素化(Hydrogenation of acetone on cationic forms of zeolites)”、Russian Chemical Bulletin 23(7)、1472−1475、1974年)、それらはオレフィン及びカルボン酸のエステルを生成する反応を促進する(限定する必要はないが、例えば米国特許第5,973,193号)。したがって、ある実施形態の教示によると、アルコールの生成のための水素化及びエステル化は一つの反応器で行われても良い。図4は、ある実施形態における一つの反応器221において起こるカルボン酸のアルコールへの変換を伴うシステム200の簡略化した図である。図5は、一つの反応器221と連結されたエステル化反応器220及び水素化分解反応器222を備える図3に図示されているシステム200の詳細を示している。
【0047】
図6は、ある実施形態におけるカルボン酸を炭化水素に変換するためのシステム600(“オプションA”)のブロック図である。カルボン酸602はエステル化反応器620においてオレフィン604と反応することによってエステル605を生成する。エステル605は水素化分解反応器622において水素と反応することによってアルコール606を生成する。アルコールストリーム606の一部は、オレフィン604及び水を生成するために脱水反応器624に送られる。残りのアルコールストリーム606は、炭化水素及び水を生成するオリゴマー化反応器626に送られる。
【0048】
図7はある実施形態におけるオプションAの詳細を示している。カルボン酸ストリーム602は二つ602a、602bに分けられる。ストリーム602aが過熱蒸気になるように、ストリーム602aは、顕熱交換器640、潜熱交換器641、及び顕熱交換器642に送られる。ストリーム602bが過熱蒸気になるように、ストリーム602bは顕熱交換器643、潜熱交換器644、及び顕熱交換器645に送られる。過熱状態のカルボン酸602a、602bはエステル化反応器620においてオレフィン604と反応する。ある実施形態においては、エステル化反応器620は温度制御システムを備えている。エステル605は水素化分解反応器622において水素と反応してアルコール606を生じる。ある実施形態においては、水素化分解反応器622は温度制御システムを備える。
【0049】
アルコール生成物ストリーム606は二つのストリーム606a,606bに分けられる。ストリーム606aは、圧力が低減される膨張装置646に入る。低圧のアルコールは脱水反応器624に入る。ある実施形態においては、脱水反応器624は温度制御システムを備えている。脱水反応器624から出た(オレフィン606aa及び水606abを含む)ストリーム606aは、圧縮装置647において圧縮され、ストリームを冷却して水606abを凝結できる顕熱交換器645及び潜熱交換器644に入る。オレフィン606aa及び水606abはタンク648において分離される。オレフィン606aaは顕熱交換器645において加熱され、オレフィン604の一部としてエステル化反応器620に入る。タンク648から出た水606abは顕熱交換器643において冷却される。ある実施形態においては、水606abは高圧液体606ab’の一部としてタービン649を流れても良い。液体606ab’は主に水を含むが、脱水反応器624における脱水反応が可逆的であるため、いくらかのアルコールを含んでも良い。液体606ab’中のアルコールはカラム650における蒸留によって回収され、アルコールストリーム606に戻される。
【0050】
ストリーム606bはオリゴマー化反応器626に送られる。ある実施形態においては、オリゴマー化反応器626は温度制御システムを備えている。オリゴマー化反応器626から出た生成物は、顕熱交換器642、潜熱交換器641、及び顕熱交換器640を通って冷却される。タンク651は、607を介してオリゴマー化反応器626に戻される未反応の種(例えば、低分子量オレフィン)を含んでも良い。ある実施形態においては、ストリーム606bは、膨張エネルギーを回収するために高圧液体606b’の一部としてタービン652を流れても良い。タンク653は、圧縮装置654によって圧縮されて606bbを介してオリゴマー化反応器626に戻される未反応の種を含んでも良い。炭化水素は608を介してタンク653から除去される。
【0051】
再循環ストリーム607及び/又は606bbは、システム内における蓄積を防ぐためにライン606bb’を介してパージされる未反応の気体を含んでも良い。パージされた気体は分離装置に送られて反応性の成分を回収しても良いし、処理熱のために燃やされても良い。ある実施形態においては、エステル化反応器620、水素化分解反応器622、及び/又はオリゴマー化反応器626は高圧(〜3000kPa)で稼動でき、一方で、脱水反応器624は低圧(〜20から500kPa)で稼動できる。図示された実施形態においては、膨張装置646は圧力低下からエネルギーを回収し、圧縮装置647によって使用されるエネルギーを補填することができる。
【0052】
図4及び5と同様に、図8及び9は、エステル化及び水素化分解を行うための一つの反応器621を用いた図6及び7に示されるのと同一の構成を示している。
【0053】
図10は、別の実施形態におけるカルボン酸を炭化水素へ変換するためのシステム1000(“オプションB”)のブロック図を示している。カルボン酸1002はエステル化反応器1020においてオレフィン1004と反応して、エステル1005を生成する。エステル1005は水素化分解反応器1022においてアルコール1006へと水素化分解される。アルコールストリーム1006はオリゴマー化反応器1026へと送られる。ある実施形態においては、オリゴマー化反応器1026は、かなりの量の未反応中間産物(オレフィン)を十分に生成できるほど短い滞留時間だけ稼動し、中間産物は最終産物、炭化水素1008及び水から分離される。図示された実施形態においては、オレフィン1004はエステル化反応器1020へと戻される。
【0054】
図11は、別の実施形態におけるオプションBの詳細を示している。カルボン酸ストリーム1002が過熱蒸気になるように、カルボン酸ストリーム1002は、顕熱交換器1040、潜熱交換器1041、及び顕熱交換器1042に送られる。過熱状態のカルボン酸1002は、エステル化反応器1020においてオレフィンと反応することによって、エステル1005を生じる。ある実施形態においては、エステル化反応器1020は温度制御システムを備えている。エステル1005は水素化分解反応器1022に送られてアルコール1006を生成する。ある実施形態においては、水素化分解反応器1022は温度制御システムを備えている。
【0055】
アルコールストリーム1006はオリゴマー化反応器1026に送られる。ある実施形態においては、オリゴマー化反応器1026は温度制御システムを備えている。オリゴマー化反応器から出た生成物は、顕熱交換器1042、潜熱交換器1041、及び顕熱交換器1042を通って冷却される。ある実施形態においては、ストリーム1006は、膨張エネルギーを回収するために高圧液体1006’の一部としてタービン1052を流れても良い。ある実施形態においては、オリゴマー化反応器1026における滞留時間は十分に短いため、タンク1051の気体空間にかなりの量の未反応の種(例えば、低分子量のオレフィン)が存在でき、未反応の種はその後にエステル化反応器1020に供給されても良い。同様に、タンク1053は、圧縮装置1054を用いて圧縮されてエステル化反応器1020に送られる未反応の種1007を含んでも良い。炭化水素1008はタンク1053から除去される。
【0056】
再循環ストリーム1007及び/又は1006bbは、システム内における蓄積を防ぐために1006bb’にパージされる非反応性ガスを含んでも良い。パージされた気体は、反応性成分を回収するために分離装置に送られても良いし、処理熱のために燃やされても良い。ある実施形態においては、エステル化反応器1020、水素化分解反応器1022、及びオリゴマー化反応器1026は高圧(〜3000kPa)で稼動できる。
【0057】
図12及び13は、エステル化及び水素化分解を行うための一つの反応器1021を用いる図10及び11と同様の構成を示している。
【0058】
図14は、別の実施形態におけるカルボン酸を炭化水素へ変換するためのシステム1400(“オプションC”)のブロック図である。カルボン酸1402はエステル化反応器1420においてオレフィン1404と反応することによって、エステル1405を生成する。エステル1405は水素化分解反応器1422においてアルコール1406へと水素化分解される。アルコールストリーム1406は、水及びオレフィン1404を生成するために脱水反応器1424に送られる。オレフィンストリーム1404は二つに分けられ、一方のストリームはエステル化反応器1420に行き、他方のストリームは炭化水素1408と水とを生じるオリゴマー化反応器1426に行く。オレフィン1404のみがオリゴマー化反応器1426に供給されるため、オリゴマー化中に水は生成されないが、ある実施形態の教示から、いくらかのアルコールがオリゴマー化反応器1426に向かうオレフィンストリーム中に存在し得ることが理解される。(水素化分解から残る)水素と(脱水反応器1424中で生成され得る)一酸化炭素とが存在すると、メタノール及び他のアルコールがオリゴマー化反応器1426において生成され、それ故に水が生成される場合がある。
【0059】
図15は、別の実施形態におけるオプションCの詳細を示している。カルボン酸ストリーム1402は二つ1402a、1402bに分けられる。ストリーム1402aが過熱蒸気になるように、ストリーム1402aは顕熱交換器1440、潜熱交換器1441、及び顕熱交換器1442に送られる。ストリーム1402bが過熱蒸気になるように、ストリーム1402bは顕熱交換器1443、潜熱交換器1444、及び顕熱交換器1445に送られる。過熱状態のカルボン酸1402a、1402bはエステル化反応器1420においてオレフィン1404と反応することによって、エステル1405を生成する。ある実施形態においては、エステル化反応器1420は温度制御システムを備えている。エステル1405は、アルコール1406を生成するために水素化分解反応器1422に送られる。ある実施形態においては、水素化分解反応器1422は温度制御システムを備えている。
【0060】
アルコール生成物ストリーム1406は、圧力が低減される膨張装置1446に入る。低圧のアルコールは脱水反応器1424に入る。ある実施形態においては、脱水反応器1424は温度制御システムを備えている。脱水反応器1424から出た(オレフィン1406a及び水1406bを含む)ストリーム1406は、圧縮装置1447を用いて圧縮され、ストリーム1406を冷却して水1406bが凝結できるようにする顕熱交換器1445及び潜熱交換器1444に入る。オレフィン1406a及び水1406bはタンク1448において分離される。オレフィン1406aは顕熱交換器1445において再加熱される。オレフィンストリーム1406aは二つ1406aa、1406abに分けられる。ストリーム1406aaはオリゴマー化反応器1426に送られ、ストリーム1406abはエステル化反応器1420に送られる。タンク1448から出た水1406bは顕熱交換器1443において冷却される。ある実施形態においては、水1406bは高圧液体1406b’の一部としてタービン1449を流れる。液体1406b’は主に水を含んでいるが、脱水反応器1424における反応は可逆的であるため、いくらかのアルコールを含んでも良い。液体1406’中のアルコールはカラム1450における蒸留によって回収され、アルコールストリーム1406に戻される。
【0061】
オリゴマー化反応器1426から出た生成物は、顕熱交換器1442、潜熱交換器1441、及び顕熱交換器1440を通って冷却される。ある実施形態においては、ストリーム1406aaは、膨張エネルギーを回収するために高圧液体1406aa’の一部としてタービン1452を流れる。タンク1451中の気体空間は、オリゴマー化反応器1426に戻される未反応の種(例えば低分子量オレフィン)を含んでも良い。同様に、タンク1453は、圧縮装置1454を用いて圧縮されてオリゴマー化反応器1426に戻される未反応の種を含んでも良い。
【0062】
再循環ストリームは、システム内における蓄積を防ぐためにパージされる非反応性ガスを含んでも良い。パージされた気体は、反応性成分を回収するために分離装置に送られても良いし、処理熱のために燃やされても良い。ある実施形態によると、エステル化反応器1420、水素化分解反応器1422、及び/又はオリゴマー化反応器1426は高圧(〜3000kPa)で稼動可能であり、一方、脱水反応器1424は低圧(〜20から500kPa)で稼動する。図示される実施形態においては、膨張装置1446は圧力低下によりエネルギーを回収し、圧縮装置1447が利用するエネルギーを補うことができる。
【0063】
図16及び17は、図14及び15と同様であり、エステル化及び水素化分解を行うための一つの反応器1421を有する形態を示す。
【0064】
図18は、別の実施形態におけるオリゴマー化反応器においてケトン又はカルボン酸を炭化水素に直接変換するためのシステム1800(“オプションA1”)のブロック図である。ケトン又はカルボン酸1802はオリゴマー化反応器1826に供給される。オリゴマー化反応器1826から出た生成物は、タンク1851において水、炭化水素1808、及び気体生成物に分離されても良い。ある実施形態においては、気体生成物はオリゴマー化反応器1826から出た生成物の30から40%であっても良い。気体生成物は、処理熱のために燃やされても良いし、一般的な手法(例えば、水蒸気改質、部分酸化、又は他の適切なシステム及び方法)により改質装置1823において水素へと改変されても良い。水素はアルコール反応器1821においてケトン又はカルボン酸1802の一部をアルコール1806へと変換するために使用され、その後にこれらのアルコール1806がオリゴマー化反応器1826に送られても良い。
【0065】
ケトンが供給される場合、その後で適切な水素化触媒(例えば、ラネーニッケル、プラチナ、銅クロマイト、又は他の適切な水素化触媒)を用いて水素化が直接行われても良い。カルボン酸が供給される場合、アルコール生成物1821は図2から5に記載される処理の一つを含んでも良い。処理の詳細は、圧力を操作するための圧縮装置及び膨張装置と共に処理ストリームを加熱及び冷却するための適切な顕熱及び潜熱交換器を用いる図3、5、7、9、11、13、15及び17に記載される処理と類似していても良い。これらの詳細は繰り返し説明しない。
【0066】
図19は、オリゴマー化反応器においてケトン又はカルボン酸を炭化水素へ直接変換するためのシステム1900(“オプションB1”)のブロック図である。この実施形態は、オレフィンを改質装置1823に送るよりもオレフィン1804を気体ストリームから回収してオリゴマー化反応器1826へと戻すために分離装置1825(例えば、圧力スイング吸着、膜、低温蒸留)をオプションA1に導入している。
【0067】
図20は、ケトン又はカルボン酸を炭化水素へと直接変換するためのシステム2000(“オプションA2”)のブロック図である。この実施形態は、アルコール生成(例えば水素化)及びオリゴマー化の機構を一つの反応器1827へと組み込むことによってオプションA1を改良している。ある実施形態の教示により、オリゴマー化に利用される同じ触媒は同様に水素化の効果があることが知られている(例えば、米国特許第3,894,107号及びMinachev,Kh.M., Garanin, V.I., Kharlamov, V.V., Kapustin, M.A.の“Hydrogenation of acetone on cationic formsof zeolites”、Russian ChemicalBulletin 23(7)、p1472−1475、1974年)ため、ケトン又はカルボン酸及び水が同じ反応器に直接供給されることによって、独立した水素化反応器とアルコール生成に必要な他の設備とを備える必要がなくなることが理解される。
【0068】
図21は、ケトン又はカルボン酸を炭化水素へ直接変換するためのシステム2100(“オプションB2”)のブロック図である。この実施形態は、アルコール生成(例えば水素化)とオリゴマー化の機構を一つの反応器1827に組み込むことによってオプションB1を改良している。ある実施形態の教示により、オリゴマー化に利用される同じ触媒は同様に水素化の効果があることが知られているため、ケトン又はカルボン酸及び水素が同じ反応器に直接供給されることによって、独立した水素化反応器とアルコール生成に必要な他の設備とを備える必要がなくなることが理解される。
【0069】
図22は、ある実施形態における(図20のオプションA2及び図21のオプションB2に基づく)水素化及びオリゴマー化のための一つの反応器を用いたカルボン酸又はケトンの炭化水素への直接変換のためのシステム2200の詳細な工程フロー図である。カルボン酸又はケトンのストリーム2202は、(例えばフィードポンプ2203を介して)顕熱交換器2240、潜熱交換器2241及び顕熱交換器2242へと送られ、ストリーム2202は過熱蒸気になる。加熱状態のカルボン酸又はケトン及び水素は水素化/オリゴマー化反応器2227に送られる。ある実施形態においては、水素化/オリゴマー化反応器2227は温度制御システムを備えている。水素化/オリゴマー化反応器2227から出た生成物は、顕熱交換器2242、潜熱交換器2241、及び顕熱交換器2240を通って冷却される。ある実施形態においては、この高圧液体は、膨張エネルギーを回収するために高圧液体2202’の一部としてタービン2252を流れる。水素化/オリゴマー化反応器2227に再循環されるタンク2251の気体空間には未反応の種(例えば低分子量オレフィン)が存在しても良い。同様に、タンク2253は、圧縮装置2254により圧縮されて水素化/オリゴマー化反応器2227へと送られる未反応の種を含んでも良い。炭化水素2208はタンク2253から除去されても良い。
【0070】
再循環ストリームは、システム内に蓄積するのを防ぐためにパージされる非反応性ガスを含んでも良い。パージされた気体は、反応性成分を回収するために分離装置へと送られても良いし、処理熱のために燃やされても、水素へと改変されても良い。ある実施形態においては、水素化/オリゴマー化反応器2227は高圧(〜3000kPa)で稼動する。
【0071】
図23は、図1Aに記載された経路の一つに相当するケトンを炭化水素へと直接変換するシステム2300のある実施形態のブロック図である。図示された実施形態において、生分解性を向上するために、バイオマス2370は石灰を用いて(限定するのではないが、例えば米国特許第5,693,296号、第5,865,898号並びに米国特許出願第60/423,288号及び第60/985,059号に記載された石灰の前処理を用いて)任意に前処理される。そして、前処理されたバイオマス2370は、発酵装置2382において直接発酵され、(限定するのではないが、例えば米国特許第5,962,308号並びに米国特許出願第11/298,983号及び第11/456,653号に記載されるように)カルボン酸塩2372を生じる。得られたカルボン酸塩2372は、(限定するのではないが、例えば米国特許第5,986,133号、第7,251,944号、及び第7,328,591号並びに米国特許出願第60/985,059号に記載される方法又は装置を用いて)濃縮装置2384において脱水され、結果的に濃縮される。濃縮された塩は、ケトン反応器2386において(限定するのではないが、例えば米国特許第6,043,392号及び第6,262,313号に記載される方法又は装置を用いて)ケトン2302に変換される。ケトン2302は図18−22に記載される方法と同様に炭化水素2308及びアルコール2306に直接変換されても良い。しかし、図示された実施形態においては、オリゴマー化反応器2326から出た気体2329は、例えばタンク2351を通って発酵装置2382へと向けられる。発酵装置2382において、生物学的に反応性の種(例えば水素及び一酸化炭素)はカルボン酸塩2372に変換される。二酸化炭素は、一般的な方法(例えばアミン吸着、膜、低温)を用いる分離装置2325により、発酵装置の排出ガス2330中の発酵装置2382から出る高エネルギーの気体(例えば、水素、メタン)2330’から分離される。高エネルギーの気体2330’は、アルコール反応器2321用の水素を生成するために改質装置2323へと送られる。オリゴマー化反応器2326から出た水2331の全て又は一部(2310)は、例えばタンク2351における分離の後に、改質装置2323で使用されても良い。
【0072】
図24は、ある実施形態における図1Aに示される経路の一つに相当するケトンを炭化水素へと直接変換するシステム2400のブロック図である。この実施形態は、アルコール生成(例えば水素化)及びオリゴマー化の機構を一つの反応器2327に組み込むことによってシステム2300を改良しており、ケトン及び水素の両方がこの反応器へと供給される。
【0073】
図1に図示されており説明されたように、ある実施形態において、バイオマスはカルシウムベースのシステムを用いて炭化水素へと変換されても良い。この処理により、カルボン酸塩からのケトンの生成はケトンのアルコール及び炭化水素への次の変換と一体化する。図1の一部である図25は、ある実施形態におけるカルシウムベースのシステムのバイオマスの完全な変換を示すブロック図である。当該処理の第一段階は(限定するのではないが、例えば石灰による前処理などの)前処理である。石化による前処理は、限定するのではないが、例えば米国特許出願第60/423,288号及び第60/985,059号と同様に米国特許第5,693,296号及び第5,865,898号に記載されている。未加工のバイオマスが十分に可消化性である場合は、そのような前処理は任意である。そして、可消化性バイオマスはカルボン酸塩へと直接発酵される。そのような発酵は、限定するのではないが、例えば米国特許第5,962,307号並びに米国特許出願第11/298,983号及び第11/456,653号に記載されている。発酵から、主に水とカルボン酸塩とを含む液体発酵ブロスが得られる。更なる処理のために、カルボン酸塩は、限定するのではないが、例えば米国特許第5,986,133号、第7,251,944号及び第7,328,591号並びに米国特許出願第60/985,059号に記載されているような脱水120Aによって濃縮されても良い。カルボン酸カルシウム塩が生成される現在考えられるケースでは、カルボン酸カルシウム塩はケトンへと熱変換125Aされても良い。そのような熱変換は、限定するのではないが、例えば米国特許第6,262,313号に記載されるように行われても良い。また、ケトンは例えば酸化ジルコニウムの触媒層にカルボン酸を通すことによって生成されても良い。得られたケトンは、図18−24に関して上述されたように処理されるために下流へ送られる。したがって、そのような実施形態においては、適切な下流の処理140A’は図18−24に示されるように行われる。
【0074】
カルボン酸塩の乾留によってケトン反応器において生成されたケトンは、分解を避けるためにすぐに除去されて冷却されなければならない。従来の方法はケトン反応器における滞留時間を減らすために真空を利用しており、真空及び冷却設備が必要であった。例えば米国特許第6,262,313号においては、カルボン酸塩は、真空環境における加熱並びにその後の凝縮及び回収によって、ケトンへと熱変換されている。上述したように、真空及び凝縮は、迅速に熱い反応領域からケトンを除去し、分解を避けることによって収率を向上するが、そのような真空状態を回避することは経済的により望まれる。
【0075】
ケトンの分解を避けるというこの同一の目的はスイープガスの使用によって達成でき、それにより真空及び大型の冷却装置に関する資本金を削減できる。ある実施形態においては、ケトン反応器は、スイープガスを利用して(例えば図18−24に示されるような)アルコール及び炭化水素を生成するための下流の単位プロセス(unit operation)と一体化される。図26は、ある実施形態においてスイープガスの使用とケトン反応器から下流の単位プロセスへのケトン蒸気の直接導入とを取り入れたシステム100A”を示すブロック図である。
【0076】
図26に示されるように、費用のかかる真空及び大型の冷却装置は、スイープガス121を導入することによって回避することができる。この実施形態においては、カルボン酸カルシウム塩124はスイープガス121と共にケトン反応器125Bに導入される。ケトン反応器125Bから出るケトンの熱蒸気126Aが例えば分解を避けるために熱交換器127Aによって冷却されて、冷却されたケトン蒸気126Bが上述の図18−24に示されるように次の単位プロセス140’へと送られる場合、ケトンの凝縮は回避可能である。このように、カルボン酸塩の乾留から生成されたケトンは、凝縮の必要なくアルコール又はガソリン変換へと直接送られても良く、これによって下流の凝縮、加熱及び蒸発設備に係る資本金を節約することができる。スイープガスはケトン反応器125Bにおいて生成されたケトンを迅速に除去するため、以前の真空法には必要であった低圧ケトンを除去及び凝縮するのに必要な真空及び冷却設備を除去することによってかなりの資本金の節約が予測される。
【0077】
スイープガスの使用とケトン反応器から下流の単位プロセスへのケトン蒸気の直接導入とは、一緒に利用することもできるし、別々に利用することもできることが理解されなければならない。ケトン反応器125Bから出たケトン蒸気が、スイープガスの補助の有無に関わらず、下流の変換140’に直接送られる場合、図22に示されるフィードポンプ2203、顕熱交換器2240、及び潜熱交換器2241はもはや利用されない又は必要ではない。ケトン反応器125Bから出たケトン蒸気は下流の単位プロセス140’において直接反応するため、従来の真空処理に必要であった凝縮設備、周辺設備、及びケトンの再蒸発に必要な下流の設備を除去することによって、かなりの資本金の削減が実現される。ケトン蒸気を直接炭化水素又はアルコールに反応することは、凝縮などの分離工程が利用される場合に材料の損失を低減できる。さらに、液体の加熱又は冷却を避けることによって、高いエネルギー効率が可能になる。
【0078】
酸化剤(例えば、酸素)以外の多くの気体がスイープガスとして利用可能である。スイープガスのオプションが実施され、ケトンを濃縮することが望まれる場合は、窒素などの非凝縮性スイープガスにより生じ得るケトン蒸気の損失を最小限にする/回避するために、凝縮性スイープガスが利用可能である。そのような凝縮性スイープガスの一例は水蒸気である。HYSYSによるシミュレーションは、水蒸気がスイープガスとして利用される場合、ケトンはほとんど損失されないことを示唆している。水蒸気は、炭化水素が最終産物である場合、水蒸気が凝縮すると、それは炭化水素と非混和性であり、そこから容易に分離されるという更なる利点を有している。
【0079】
上述したように、スイープガスは酸化剤(例えば酸素)以外のいかなる気体であっても良いが、いくらか又は全てのケトンを水素化するために水素が下流で使用される場合、水素の使用が望まれる。したがって、アルコール又は炭化水素を生成する場合、水素は反応物でもあるため好適なスイープガスである。ケトン反応器125Bにおけるケトンの低い分圧を保つために、かなりの量の水素を再循環することが望まれても良い。そのような実施形態においては、下流の処理140A’由来のガス122はケトン反応器125Bへと再循環されても良い。再循環ガス122は、ケトン反応器125Bへの再循環のために対向流熱交換器127Bを通されても良い。
【0080】
文献(Ardagh, E.G.R.,Barbour, A.D., McClellan, G.E., and McBride, E.W. “Distillaiton of acetate of lime, Industrial and EngineeringChemistry”16 p1133−1139 1924年)には、窒素のスイープガスの使用が記載されている。しかし、窒素は不活性であり且つ非凝縮性である。この開示によると、反応性(例えば水素)又は凝縮性(例えば水蒸気)のスイープガスが利用される。
【0081】
スイープガスが利用される場合、重要な検討事項は炭化水素の変換がケトン反応器と同じ圧力で起きるか否か、すなわち、圧力が真空から1気圧であるかどうかである。実験は、H−ZSM−5ゼオライトを用いたケトン及び第2級アルコールの炭化水素変換は1気圧が適していることを示した。そのような場合、蒸気は十分な冷却及び加熱の後に下流の単位プロセスに直接送られる。しかし、下流の処理140A’において求められる圧力が高い場合、圧縮装置128が用いられても良い。スイープガスが再循環される場合、例えば熱効率を向上するために、膨張装置129及び/又は対向流熱交換器127Bが用いられても良い。
【0082】
ケトン変換及び炭化水素変換の圧力及び温度が近似値である場合、より単純な方法が実施可能である。この場合、触媒がケトン反応器125Bの排出部に配置されることによって、ケトン反応器125Bから出る際にケトンが反応する。
【0083】
これらの実施形態のいくつか及びケトンを炭化水素へと変換するための下流の単位プロセスのいくつかにおいて、水素化触媒(例えば銅クロマイト)が反応器の最初の部分に充填され、脱水/オリゴマー化触媒(例えばH−ZSM−5ゼオライト)がその後に充填された二元触媒層が利用可能である。この二元触媒層は、全て又は大半のケトンのアルコールへの変換を可能にするため、収率を向上すると共により好ましい炭化水素の生成を可能にする。したがって、全て又は一部のケトンをアルコールに変換する水素化触媒が最初に使用され、その後にアルコール及び/又はケトンを炭化水素に変換する脱水/オリゴマー化触媒が使用される二元触媒層が利用可能である。または、水素化触媒(例えばプラチナ)をゼオライト触媒の孔に直接組み込むように、ゼオライト触媒を改良することもできる。同一の層に二つの異なる触媒を用いることは資本設備の費用を低減することができ、二つの反応装置を一つの反応装置にまとめることによって、原料の損失を最小限にすることができる。
【0084】
多くの場合、オリゴマー化反応器から出た炭化水素生成物はかなりの量のオレフィンを含んでいる。ある実施形態においては、ほぼ水を含んでいないこれらの凝縮された生成物は別のオリゴマー化反応器に送られることによって(又はオリゴマー化反応器に再循環されることによって)、炭化水素の最終産物の鎖長を長くすることができる。
【0085】
図27は、ある実施例における図1A及び1Bに示される経路の一つに相当するカルボン酸を炭化水素へ直接変換するシステム2500のブロック図である。この実施形態は、(ケトンの代わりに)カルボン酸2302を炭化水素2308に直接変換することによって図23のシステム2300を改良している。処理ステップは、酸回収システム2388を用いて(限定するのではないが、例えば米国特許第6,395,926号又は米国特許出願第11/456,653号に記載されている“酸スプリンギング”によって)カルボン酸塩がカルボン酸に変換されることを除いて、システム2300に記載されたステップと類似している。
【0086】
図28は、ある実施形態における図1A及び1Bに示される経路の一つに相当するカルボン酸を炭化水素に直接変換するシステム2600のブロック図である。この実施形態は、アルコール生成(例えば水素化)及びオリゴマー化の機構を一つの反応器2327に組み込み、カルボン酸及び水素がこの反応器に供給されることによって、図27のシステム2500を改良している。
【0087】
図29は、ある実施形態におけるカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換のためのシステム2700のブロック図である。当該実施形態は、(スラリー及び/又は溶液状態の固体である)カルボン酸アンモニウム塩2702をシステム2700に供給することによって図18のオプションA1を改良している。カルボン酸アンモニウム塩2702は、完全に気化するとアンモニア及びカルボン酸に分解する揮発性の塩である。アミドなどの他の生成物も形成されるであろう。図29において、カルボン酸アンモニウム塩2702の一部は、カルボン酸アンモニウム塩2702をアルコール2706へと変換するアルコール反応器2721へ送られても良い。ある実施形態の教示により、いくらかのカルボン酸アンモニウム塩を変換することは、システム2700が改質装置2723から利用可能な水素を得るという利点を有することを可能にすることが理解される。そのようなアルコールへの変換は、限定するのではないが、例えば米国特許出願第11/456,653号に記載されている方法を用いて行うことができ、別の実施形態においては、それは(限定するのではないが、例えば米国特許出願第11/456,653号に記載されているように)最初にカルボン酸へと変換され、その後に(例えば図2−5に記載されているように)アルコールに変換されても良い。方法の詳細は、圧力を操作するための圧縮装置及び膨張装置と共に生成物ストリームを加熱及び冷却するための適切な顕熱及び潜熱交換器を用いる図3、5、7、9、11、13、15及び17に記載された方法の詳細と類似している。これらの詳細は繰り返し説明しない。
【0088】
カルボン酸アンモニウム塩が蒸発されてオリゴマー化反応器2726に入った後に、カルボン酸のみが炭化水素2708へ変換される。アンモニア2709は未反応のまま通過する。そのような知見はButterらの特許(米国特許第3,894,107号)においても見られ、彼らはH−ZSM−5ゼオライト触媒に窒素含有化合物を通過させ、生成物として炭化水素と未反応のアンモニアを得ている。図43−50の例のいくつかにおいて示されるような特定の条件下においては、アンモニアは反応することによって、アセトニトリルなどの他の有益な化合物を生成することができる。
【0089】
システム2700において、アンモニア2709は生成物から回収される。最初に、アンモニアの一部が生じた水に溶解するため、分離装置2756(例えばフラッシュタンク)が水2710をアンモニア2709と分離するために利用されても良い。また、アンモニアの一部がオリゴマー化反応器2726から出る気体中に存在しても良い。その気体ストリームからアンモニアを除去するために、アンモニア分離装置2755が利用されても良い。例えば、層には固体の酸吸収剤が充填されており、酸吸収剤は可逆的にアンモニアと結合し、層が飽和するとアンモニアを脱離する(二つ以上の並行に稼動するこれらのユニットを備えることによって、処理は吸収サイクルから脱離サイクルへと切り替え可能であるため、継続的にストリームからアンモニアの除去ができる)。そして、アンモニアを含まない気体2757は、図29に示されるように、処理熱のために燃やされるために送られても良いし、及び/又は水素を生成するために改質装置2723に送られても良い。生成された水素はアルコール反応器2721において利用されても良い。ある実施形態においては、アンモニア2709もアルコール生成ユニット2721において放出及び回収される。
【0090】
図30は、オリゴマー化反応器においてカルボン酸アンモニウム塩を炭化水素へ変換するためのシステム2800のブロック図である。当該実施形態は、オレフィンを改質装置2823に送るよりも、オレフィン2804を気体ストリームから回収してオリゴマー化反応器2826へと戻すために、図29のシステム2700へ分離装置2825(例えば、圧力スイング吸着、膜、低温蒸留)を組み込むと共に、カルボン酸アンモニウム塩2802をシステム2800へ供給することによって図19のオプションB1を改良している。
【0091】
図31は、カルボン酸アンモニウム塩を炭化水素へと直接変換するためのシステム2900のブロック図である。当該実施形態は、システム2700のオリゴマー化及び水素化処理を一つの反応器2927に組み込むと共に、カルボン酸アンモニウム塩2902をシステム2900に供給することによって図20のオプションA2を改良している。ある実施形態の教示により、オリゴマー化に利用される触媒は同様に水素化の効果を有することが知られている(限定するのではないが、例えば、米国特許第3,894,107号、Minachev, Kh.M、Garanin, V.I.、Kharlamov, V.V.、Kapustin, M.A.の“カチオンフォームのゼオライトにおけるアセトンの水素化(Hydrogenation ofacetone on cationic forms of zeolites)”、Russian Chemical Bulletin 23(7)、1472−1475、1974年)ため、カルボン酸アンモニウム塩と水素とが同じ反応器に直接供給されることによって、独立した水素化反応器及びアルコール生成に用いられる別の設備が必要なくなることが理解される。
【0092】
図32は、カルボン酸アンモニウム塩を炭化水素に直接変換するためのシステム3000のブロック図である。当該実施形態は、システム2800のオリゴマー化及び水素化処理を一つの反応器3027に組み込むと共に、カルボン酸アンモニウム塩3002をシステム3000に供給することによって、図21のオプションB2を改良している。ある実施形態の教示により、オリゴマー化に用いられる触媒は同様に水素化の効果も有することが知られているため、カルボン酸塩と水素とは同じ反応器に直接供給することによって、個別の水素化反応器及びアルコール生成に用いられる他の設備が必要なくなることが理解される。
【0093】
図33は、ある実施形態における(図31及び32に図示されるオプションA2及びB2に基づく)水素化及びオリゴマー化用の一つの反応器を用いて(スラリー及び/又は溶液状態である固体の)カルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換のためのシステム3100の詳細な処理フロー図である。カルボン酸アンモニウムストリーム3102は顕熱交換器3140、潜熱交換器3141及び顕熱交換器3142に送られ、ストリーム3102は過熱蒸気になる。この過熱ストリーム及び水素が水素化/オリゴマー化反応器3127に送られる。ある実施形態においては、水素化/オリゴマー化反応器3127は温度制御システムを備えている。水素化/オリゴマー化反応器3127から出た生成物は、顕熱交換器3142、潜熱交換器3141、及び顕熱交換器3140を通って冷却される。ある実施形態においては、この高圧液体は、膨張エネルギーを回収するために高圧液体3102’の一部としてタービン3152を流れる。後で水素化/オリゴマー化反応器3127に再循環されるタンク3151の気体空間には未反応の種(例えば低分子量オレフィン)が存在しても良い。同様に、タンク3153は、圧縮装置3154を用いて圧縮されて水素化/オリゴマー化反応器3127に送られる未反応の種を含んでも良い。
【0094】
再循環ストリームは、システム内において蓄積するのを防ぐためにパージされる非反応性ガスを含んでも良い。パージされた気体は、反応性成分を回収するために分離装置に送られても良いし、処理熱のために燃やされても、水素へと改質されても良い。ある実施形態においては、水素化/オリゴマー化反応器3127は高圧(〜3000kPa)で稼動可能である。
【0095】
タンク3151及び3153から出た気体が水素化/オリゴマー化反応器3127に戻される前に、又はその一部がパージされる前に、当該気体をアンモニア分離装置3155に通すことによって、アンモニア3109が除去されても良い。例えば、可逆的にアンモニアに結合する固体の酸吸収剤が充填されている層が利用されても良く、層が飽和するとアンモニアの脱離が起こる。ある実施形態においては、並行に稼動する二つ以上のこれらのユニットを備えることによって、処理が吸収サイクルから脱離サイクルへと切り替え可能になるため、継続的にストリームからアンモニアを除去することができる。また、タンク3153において炭化水素3108及び気体ストリームから分離される水3110はいくらかのアンモニアを含んでも良く、当該アンモニアは、例えば顕熱交換器3157において水蒸気を用いて温度を上昇されて水蒸気をタンク3156(例えばフラッシュタンク)に送ることによって水から分離されるため、液相においてアンモニアを含まない水が回収される間に、気相においてアンモニア3109を回収可能になる。または、水からアンモニアを揮散するために水蒸気ストリッパを利用することもできる。
【0096】
図34は、図1Bに示される経路の一つに相当するカルボン酸アンモニウム塩を炭化水素へと直接変換する方法のためのシステム3200の実施形態のブロック図である。図示される実施形態において、バイオマス3270は、(限定するのではないが、例えば米国特許第5,693,296号及び第5,865,898号並びに米国特許出願第60/423,288号及び第60/985,059号に記載される石灰前処理を用いて)生分解性を高めるために、3280において任意に前処理される。次に、前処理されたバイオマス3270は3282において(限定するのではないが、例えば米国特許出願第11/298,983号及び第11/456,653号に記載されるように)カルボン酸アンモニウム塩3202へと直接発酵される。得られたカルボン酸アンモニウム3202は(限定するのではないが、例えば米国特許第5,986,133号、第7,251,944号、第7,328,591号並びに米国特許出願第60/985,059号に記載される方法又は装置を用いて)濃縮される。カルボン酸アンモニウム塩3202は、図29−33に記載される方法と同様に炭化水素3208及びアルコール3206へと直接変換されても良い。しかし、この実施形態においては、オリゴマー化反応器3226から出た気体3229は、タンク3251における炭化水素3208及び水3231からの分離の後に、発酵装置3282へと送られる。発酵装置3282において、生物学的に反応性の種(例えば水素及び一酸化炭素)及び緩衝作用を有する種(例えばアンモニア)はカルボン酸アンモニウム塩3202に変換される。発酵装置3282から出た高エネルギーの気体3230’(例えば水素及び/又はメタン)は、(例えばアミン吸着、膜、低温などの)一般的な方法を用いて発酵装置排出ガス3230中の二酸化炭素から分離される。高エネルギーの気体3230’はアルコール生成装置3221用の水素を生成するために改質装置3223に送られる。(例えばタンク3256を用いて)オリゴマー化反応器3226から出た水から又はアルコール生成装置3221から回収されたアンモニア3209は、それが分離装置3225由来の二酸化炭素と接触する充填層3258を介して発酵装置3282へと送られる。この実施形態は、発酵装置3282において容易にpHの制御を可能にする重炭酸アンモニウムを生成する。破線で示されるように、(例えば発酵装置におけるより良いpHの制御を可能にするため)オリゴマー化反応器3226から生じた気体ストリーム3229中に存在するアンモニアを除去することが望まれても良く、アンモニア分離装置3255(例えば固体の散吸収剤が充填された層)が用いられても良い。この気体から回収されたアンモニア3209’は、オリゴマー化反応器3255から出た水3231由来のアンモニア3209とアルコール反応器3221由来のアンモニア3209”とに加わり、発酵装置におけるpHを制御するための重炭酸アンモニウムに変換されるために充填層3258へと送られる。オリゴマー化反応器3226から出た水3210は、アンモニア3209がそこから除去された後に、改質装置3223において使用されても良い。
【0097】
図35は、ある実施形態における図1Bに示される経路の一つに相当するカルボン酸アンモニウム塩を炭化水素に直接変換するシステム3300を示す。この実施形態は、アルコール生成(例えば水素化)及びオリゴマー化の機構を一つの反応器3327に組み込み、この反応器にカルボン酸アンモニウム塩と水素の両方を供給することによって、システム3200を改良している。
【0098】
図36から42は、いくつかの実施形態におけるカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換のためのシステム3400から4000を示している。システム3400から4000は、オリゴマー化ユニットに入る前に、カルボン酸アンモニウムストリームからアンモニアを除去及び回収することによって、図29から35のシステム2700から3300を改良している。気体ストリームからアンモニアを除去するために、アンモニア分離装置3455/3555/3655/3755/3855/3955/4055が利用されても良い。例えば、固体の酸吸収剤が充填された層が可逆的にアンモニアと結合するために用いられても良い。そして、層が飽和すると、アンモニアは脱離される。ある実施形態においては、並行に稼動する二つ以上のこれらのユニットを有することによって、処理は吸収サイクルから脱離サイクルへと切り替え可能になるため、継続的にストリームからアンモニアを除去することができる。
【0099】
エステル化、水素化及びオリゴマー化反応は発熱反応であるため、上述のいくつか又は全ての構成においてトリム冷却が実施可能である。全ての場合において、提供された反応器内における反応が不完全である又は副産物が生成される可能性がある。これらの場合、未反応の反応物又は副産物を分離して更に処理することが可能である。
【0100】
特徴
ある実施形態は、以下の特徴のいくつか又は全てを含んでも良く、含まなくても良い。エステルを生成するためのオレフィンのカルボン酸との反応は不可逆であるため、反応は容易に高変換物へと進行する。対照的に、エステルを生成するためのカルボン酸のアルコールとの反応(より一般的な手法)は可逆的である。反応を完全に進行させるためには反応中にエステル生成物を除去する必要があるが、それは困難である。
【0101】
アルコールの脱水反応は可逆的であるが、低圧で行うことによってより有利になる。圧力の低減は膨張装置によって実行され、それは脱水反応器から出た気体の再圧縮中に使用するエネルギーを回収する。
【0102】
オレフィン及びカルボン酸の反応から形成されたエステルを水素化分解するエステル化触媒の機能は、アルコールを生成するためにオレフィン及び水素が同じ反応器に直接供給されるため、水素化分解のための分離ユニットの実装のための支出を回避する。
【0103】
ケトン、カルボン酸又はカルボン酸アンモニウム塩の炭化水素への直接変換(図18から24、27から35)は、ケトン、カルボン酸又はカルボン酸アンモニウム塩の最初にアルコールになりその後に炭化水素になる変換(図6から17)と比べて、水素の必要量が少なくなる。これらのステップを一緒にすること(ケトン/カルボン酸/カルボン酸アンモニウムの直接変換及びアルコール変換)は、水素の利用可能量と一致するように処理を“調整”可能にする。水素が容易に利用可能である場合、その後はアルコール経路が好ましい。水素が乏しい場合、その後はケトン/カルボン酸/カルボン酸アンモニウムの直接経路が好ましい。
【0104】
供給物を水素化するオリゴマー化触媒の機能は、ケトン、カルボン酸及び/又はカルボン酸アンモニウム塩が炭化水素を生成するために利用可能な水素と共に同じ反応器へ直接供給されるため、アルコールを生成するための分離ユニットの実装のための支出を回避する。
【0105】
発酵と一体化した処理(図24、27、28、34及び35)は、生物学的に反応性の気体及びアンモニアがカルボン酸塩に変換され、改質装置に送られる又は改質装置で水素に変換される前に分離される必要が無いため、分離装置及び改質装置に関する負担を軽減する。
【実施例】
【0106】
以下のセクションは様々な実施形態の実施例に関する更なる詳細を提供する。
【0107】
実施例1:イソプロパノールから炭化水素へ(Si/Al30)
【0108】
材料及び方法
液体のプロパノールが気化され、表1.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体と気体の二つの画分に分離された。ガスクロオマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって各生成物の合計量が測定されて組成が決定された。
【0109】
結果
表1.2は生成物の分布を表している。全生成物中の液体画分(ガソリン)は68.89%であり、気体画分は31.13%であった。表1.3は液体画分中の生成物の分類を表している。
【0110】

【0111】

【0112】

【0113】
実施例2:イロプロパノールから炭化水素へ(Si/Al280)
【0114】
材料及び方法
液体のイソプロパノールは気化され、表2.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体と気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0115】
結果
表2.2は生成物の分布を表している。全生成物中の液体画分(ガソリン)は63.23%であり、気体は36.77%であった。表2.3は液体画分中の生成物の分類を表している。表1.3及び2.3は触媒(H−ZSM−5 Si/Al280とSi/Al30)を除き同一の条件を表している。生成物分布は似ているが、Si/Al280は生成物中により少ないコークスとより多くのパラフィンとを含んでおり、それは良質の燃料にとって重要である。図43は、H−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)を用いたイソプロパノールのオリゴマー化における炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を表している。
【0116】

【0117】

【0118】

【0119】
実施例3:アセトンから炭化水素へ(Si/Al30)
【0120】
材料及び方法
液体のアセトンは気化され、表3.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0121】
結果
表3.2は生成物分布を表している。全生成物中の液体画分(ガソリン)は67.16%であり、気体は32.86%であった。表3.3は液体画分における生成物の分類を表している。図44は、H−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比30)を用いたアセトンのオリゴマー化における炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を表している。これらの条件下において、反応は完全に終了しなかったが、別の条件はほぼ完全な変換が可能であることを示している(実施例5参照)。
【0122】

【0123】

【0124】

【0125】
実施例4:アセトンから炭化水素へ(Si/Al280)
【0126】
材料及び方法
液体のアセトンは気化され、表4.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0127】
結果
表4.2は生成物の分布を表している。全生成物中の液体画分(ガソリン)は74.03%であり、気体は25.97%であった。表4.3は液体画分における生成物の分類を表す。表3.3及び4.3は触媒を除いて同じ条件を表している。Si/Al30触媒はSi/Al280触媒よりも酸性である。Si/Al280触媒はより多くの酸化物及びナフテンとより少量の芳香族化合物とを生じた。図45は、H−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)を用いたアセトンのオリゴマー化における炭化水素の種類及び炭素数に応じた液相生成物分布を表している。これらの条件下において反応は完全に終了しなかったが、別の条件はほぼ完全な変換が可能であることを示している(実施例5参照)。
【0128】

【0129】

【0130】

【0131】
実施例5:アセトンから炭化水素へ(Si/Al280)
【0132】
材料及び方法
液体のアセトンは気化され、表5.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0133】
結果
表5.2は生成物の分布を表している。全生成物中の液体画分(ガソリン)は86.16%であり、気体は13.82%であった。表5.3は液体画分における生成物の分類を表している。表4.3及び5.3は温度を除いて同じ条件である。より高い温度は、酸化物及びナフテンを減少させ、芳香族化合物を増加させる。図46は、H−ZSM−5ゼオライト(Si/Al280)を用いたアセトンのオリゴマー化における炭化水素の種類及び炭素数に基づく液相生成物分布を表している。
【0134】

【0135】

【0136】

【0137】
実施例6:アセトン及び水素から炭化水素へ(Si/Al280)
【0138】
材料及び方法
水素及び気化したアセトンが、表6.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0139】
表6.2は生成物分布を表している。全生成物中の液体画分(ガソリン)は80.63%であり、気体は19.38%であった。一度通過するごとの(per-pass)水素の変換は44.25%であった。表6.3は液体画分中の組成物の分類を表す。表5.3及び6.3は、芳香族化合物を増加させる水素の存在を除いて同じ条件である。図47は、H−ZSM−5ゼオライト(Si/Al280)を用いたアセトン及び水素のオリゴマー化における炭化水素の種類及び炭素数に基づく液相生成物分布を表す。この実施例においては、反応はほぼ終了した。
【0140】

【0141】

【0142】

【0143】
実施例7:酢酸から炭化水素へ(Si/Al280)
【0144】
材料及び方法
液体の酢酸は気化され、表7.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0145】
表7.2は生成物分布を表している。全生成物中の液体画分は49.77%であり、気体は51.76%であった。図48はH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)を用いた酢酸のオリゴマー化における炭化水素の種類及び炭素数に基づく液相生成物分布を表す。

【0146】

【0147】
実施例8:酢酸及び水素から炭化水素(Si/Al280)
【0148】
材料及び方法
水素及び気化した酢酸が、表8.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0149】
結果
表8.2は生成物分布を表している。全生成物中の液体画分は47.59%であり、気体は52.34%であった。水素の変換は19.17%であった。図49はH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al比280)を用いた酢酸及び水素のオリゴマー化における液相分布を表している。この実施例においては、かなりの酢酸が未反応であったため、長い滞留時間が必要であった。
【0150】

【0151】

【0152】
実施例9:酢酸アンモニウムから炭化水素へ(Si/Al280)
【0153】
材料及び方法
アンモニアの20%水溶液が気化され、表9.1に示される条件で稼動する反応器に添加された。反応器から出た生成物は液体及び気体の二つの画分に分離された。ガスクロマトグラフィー/マススペクトル(GC/MS)によって、各生成物の合計量が測定され、組成が決定された。
【0154】
結果
表9.2は主要な液相生成物を示している。図50はH−ZSM−5ゼオライト(Si/Al280)を用いた酢酸アンモニウムのオリゴマー化における液相分布を表している。芳香族化合物は8及び12の炭素を有する分子である。
【0155】

【0156】

【0157】
本発明の好適な実施形態が示されて説明されたが、発明の精神及び教示から逸脱することなく当業者によってそれらの変更が行われ得る。本明細書において説明された実施形態は単なる例示であり、限定することを意図していない。本明細書に開示される発明の多くの変更及び改良が可能であり、それらは本発明の範囲に属する。数値範囲又は数値限定が明確に記載されている場合、そのような範囲又は限定は明確に記載された範囲又は限定内に入る同程度の反復する範囲又は限定を含む(例えば、約1から約10は2、3、4などを含み、0.10より大きいは、0.11、0.12、0.13及びそれ以上を含む)ことが理解されなければならない。請求項のいずれかの要素に関する用語“任意に”の使用は、対象の要素が必要である、又は必要ではないことを意味することを意図している。両方の選択肢が請求項の範囲に属することが意図されている。有する、含む、包含するなどの広い用語は、のみからなる、ほぼ〜からなる、実質的に〜からなるなどのより狭い用語に対する支持を提供することが理解されなければならない。
【0158】
本発明の範囲から逸脱することなく、変更、追加、又は削除が本明細書に記載されたシステム及び装置に対して行われても良い。当該システム及び装置の構成要素は一体化又は分離可能である。また、システム及び装置の稼動は、より多くの、より少ない、又は他の構成要素により行うことも可能である。方法はより多くの、より少ない、又は他のステップを含んでも良い。また、ステップはあらゆる好適な順番で行うことができる。
【0159】
したがって、保護の範囲は上述の説明によっては限定されず、以下の請求項によってのみ限定されており、その範囲は請求項の対象の全ての均等物を含む。それぞれ及び全ての請求項は本発明の実施形態として明細書に組み込まれている。そのため、請求項は本発明の更なる説明であり、好適な実施形態の追加である。本明細書において引用されている全ての特許、特許出願及び文献の開示内容は、それらが本明細書の記載に対する例示的な、手続に関する、又は他の詳細な補完を提供する範囲に関して、参照によって本明細書中に援用されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイオマスからアルコール、炭化水素又はその両方を生成する方法であって、
バイオマスをカルボン酸に変換する工程と、
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、
エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項2】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、同じ反応器で行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、一つの触媒を用いて行われることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも一部のアルコールを脱水することによってオレフィンフィードを生成する工程を更に有し、
少なくとも一部のオレフィンフィードは、カルボン酸と反応することによってエステルを生成するオレフィンを供給することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、同じ反応器で行われることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、一つの触媒を用いて行われることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
別の少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することによって炭化水素を生成する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項8】
別の少なくとも一部のオレフィンフィードをオリゴマー化することによって炭化水素を生成する工程を有することを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することによってオレフィンフィードを生成する工程を有し、
少なくとも一部のオレフィンフィードは、カルボン酸と反応することによってエステルを生成するオレフィンを供給することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することによって炭化水素を生成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
カルボン酸をオレフィンと反応することによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、同じ反応器で行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、一つの触媒を用いて行われることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
別の少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することによってオレフィンフィードを生成する工程を有し、
少なくとも一部のオレフィンフィードは、カルボン酸と反応することによってエステルを生成するオレフィンを供給することを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項14】
バイオマスをカルボン酸に変換する工程が、
バイオマスを発酵することによって水とカルボン酸塩とを含む液体発酵ブロスを得る工程と、
液体発酵ブロスを脱水することによってカルボン酸塩から水を分離する工程と、
カルボン酸塩をカルボン酸に変換する工程と
を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
アルコールを炭化水素に変換する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、同じ反応器で行われることを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
カルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程とが、一つの触媒を用いて行われることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
アルコールを炭化水素に変換する工程がオリゴマー化処理を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
アルコールを炭化水素に変換する工程が、少なくとも一部のアルコールをオリゴマー化することによって炭化水素を生成する工程を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
アルコールを炭化水素に変換する工程が、
少なくとも一部のアルコールを脱水することによってオレフィンフィードを生成する工程と、
少なくとも一部のオレフィンフィードをオリゴマー化することによって炭化水素を生成する工程と
を有することを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
バイオマスから炭化水素を生成する方法であって、
少なくとも一部のバイオマスをカルボン酸、ケトン、又はカルボン酸アンモニウム塩に変換する工程と、
オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部として、一部のカルボン酸、一部のケトン、及び一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つをオリゴマー化反応器において反応させる工程と、
オリゴマー化生成物から炭化水素を分離する工程と
を有することを特徴とする方法。
【請求項22】
別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程と、
オリゴマー化生成物を生成する工程用のオリゴマー化反応器に少なくとも一部のアルコールを供給する工程と
を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項23】
別の一部のカルボン酸をアルコールに変換する工程が、
別の一部のカルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、
エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程と
を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項24】
オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部として一部のカルボン酸、一部のケトン、及び一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つをオリゴマー化反応器において反応させる工程と、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程とが、オリゴマー化反応器において行われることを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項25】
オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部として一部のカルボン酸、一部のケトン、及び一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つをオリゴマー化反応器において反応させる工程と、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程とが、一つの触媒を用いて行われることを特徴とする請求項24に記載の方法。
【請求項26】
オリゴマー化生成物から再循環ストリームを分離する工程と、
改質装置において再循環ストリームを処理することによって水素を生じる工程と、
別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程に、生じた水素の少なくとも一部を提供する工程と
を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項27】
少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸アンモニウム塩に変換され、
再循環ストリームを改質装置において処理することによって水素を生じる前に、再循環ストリームからアンモニアを分離する工程を有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項28】
改質装置において再循環ストリームを処理することによって水素を生じる前に、再循環ストリームからオレフィンを分離する工程と、
オリゴマー化生成物を生成する工程用のオリゴマー化反応器にオレフィンを供給する工程と、
を有することを特徴とする請求項26に記載の方法。
【請求項29】
少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸アンモニウム塩に変換され、
再循環ストリームを改質装置において処理することによって水素を生じる前に、再循環ストリームからアンモニアを分離する工程を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
オリゴマー化生成物から再循環ストリームを分離する工程と、
再循環ストリームからオレフィンを分離する工程と、
オリゴマー化生成物を生成する工程用のオリゴマー化反応器にオレフィンを供給する工程と
を有することを特徴とする請求項22に記載の方法。
【請求項31】
少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸に変換されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項32】
少なくとも一部のバイオマスをカルボン酸に変換する工程が、
バイオマスを発酵することによってカルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩を生成する工程と、
酸回収処理によりカルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩をカルボン酸へ変換する工程と
を有することを特徴とする請求項31に記載の方法。
【請求項33】
少なくとも一部のバイオマスはケトンに変換されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項34】
少なくとも一部のバイオマスをケトンに変換する工程が、
バイオマスを発酵することによってカルボン酸カルシウム塩を生成する工程と、
カルボン酸カルシウム塩をケトンに熱変換する工程と
を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも一部のバイオマスをケトンに変換する工程が、
バイオマスを発酵することによってカルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩を生成する工程と、
酸回収処理によりカルボン酸カルシウム塩又はカルボン酸アンモニウム塩をカルボン酸に変換する工程と、
触媒を用いてカルボン酸をケトンに変換する工程と
を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項36】
別の一部のケトンを水素化することによって、別の一部のケトンをアルコールに変換する工程を有することを特徴とする請求項33に記載の方法。
【請求項37】
少なくとも一部のバイオマスをケトンに変換する工程が、
バイオマスを発酵させることによってカルボン酸カルシウム塩を生成する工程と、
スイープガスを用いてケトン反応器においてケトンの熱蒸気及び炭酸カルシウムを生成する工程と
を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項38】
スイープガスは、反応性、凝縮性、又はその両方を有することを特徴とする請求項37に記載の方法。
【請求項39】
スイープガスは水素を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項40】
スイープガスは水蒸気を含むことを特徴とする請求項39に記載の方法。
【請求項41】
少なくとも一部のバイオマスはカルボン酸アンモニウム塩に変換されることを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項42】
別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程と、
オリゴマー化生成物を生成する工程用のオリゴマー化反応器にアルコールを供給する工程と、
を有し、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程が、
別の一部のカルボン酸アンモニウム塩を第2のカルボン酸に変換する工程と、
第2のカルボン酸をオレフィンと反応させることによってエステルを生成する工程と、
エステルを水素化分解することによってアルコールを生成する工程と
を有することを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項43】
オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部としてオリゴマー化反応器において一部のカルボン酸アンモニウムを反応させる前に、カルボン酸アンモニウム塩からアンモニアを分離する工程を有することを特徴とする請求項41に記載の方法。
【請求項44】
少なくとも一部のバイオマスをカルボン酸、ケトン、又はカルボン酸アンモニウム塩に変換する工程が発酵装置における発酵処理を含み、
オリゴマー化生成物から気体の再循環ストリームを分離する工程と、
気体の再循環ストリームの少なくとも一部を発酵装置に供給する工程と
を有することを特徴とする請求項21に記載の方法。
【請求項45】
別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程と、
アルコールをオリゴマー化反応器に供給する工程と
を有することを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸に変換されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも一部のバイオマスがケトンに変換されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項48】
少なくとも一部のバイオマスがカルボン酸アンモニウム塩に変換されることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項49】
気体の再循環ストリームの少なくとも一部を発酵装置に供給する前に、気体の再循環ストリームからアンモニアを分離する工程を有することを特徴とする請求項48に記載の方法。
【請求項50】
オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部として一部のカルボン酸、一部のケトン、及び一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つをオリゴマー化反応器において反応させる工程と、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程とが、オリゴマー化反応器において行われることを特徴とする請求項45に記載の方法。
【請求項51】
オリゴマー化生成物を生成する工程の少なくとも一部として一部のカルボン酸、一部のケトン、及び一部のカルボン酸アンモニウム塩の少なくとも一つをオリゴマー化反応器において反応させる工程と、別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程とが、一つの触媒を用いて行われることを特徴とする請求項50に記載の方法。
【請求項52】
発酵装置から出た発酵ガスを分離する工程と、
発酵ガスを改質装置において処理することによって水素を生成する工程と、
別の一部のカルボン酸、別の一部のケトン、又は別の一部のカルボン酸アンモニウム塩をアルコールに変換する工程に、生じた水素の少なくとも一部を供給する工程と
を有することを特徴とする請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【公表番号】特表2012−510522(P2012−510522A)
【公表日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−539654(P2011−539654)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【国際出願番号】PCT/US2009/066419
【国際公開番号】WO2010/065643
【国際公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【出願人】(511134458)ザ テキサス エー アンド エム ユニバーシティ システム (2)
【出願人】(512020305)テラボン インコーポレーテッド (1)
【Fターム(参考)】