説明

バイオマス燃料製造装置

【課題】簡単な構造で廃培地を効率よく乾燥させ、装置の小型化と製造コストの低減化を図ることができるバイオマス燃料製造装置を提供する。
【解決手段】スクリューコンベア16と、ホッパー13から投入される原料をスクリューコンベア16内に定量供給する定量供給機17と、スクリューコンベア16内で乾燥、圧縮されて固形化した原料の切断、整粒を行う成形部18とを備える。スクリューコンベア16は、内筒14aと外筒14bとを有する二重構造のトラフ14と、トラフ内で回転して搬送する2本のスクリュー15と、回転軸内及び内筒14aと外筒14bとの間に熱媒体を導入する手段と、内筒14a内を減圧排気する手段とを備える。スクリュー15は、入口側及び出口側のピッチA1,B1よりも中間部のピッチC1を広く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマス燃料製造装置に関し、詳しくは、茸栽培に使用した茸栽培用培地の使用済培地(廃培地)を乾燥させて固形燃料を製造するバイオマス燃料製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
茸栽培に使用した後の廃培地は、一般的に1回収穫する度に新しい培地に入れ替える必要があるため大量に発生するが、水分を60%以上含んでいることから、そのままの状態で圃場等に散布するのは困難であった。このため、廃培地を乾燥させてバイオマス燃料として再利用することが提案されており、廃培地をプレス式の脱水機や送風機を備えた乾燥装置で乾燥させてからペレット状、粒状、タブレット状に成形してバイオマス燃料を製造するもの(例えば、特許文献1参照。)や、工業プラントと茸の促成栽培施設とを組み合わせ、工業プラントで発生して排気される熱を、茸の促成栽培や廃培地の乾燥に利用してバイオマス燃料を製造するようにしたもの(例えば、特許文献2参照。)がある。
【特許文献1】特開2008−120890号公報
【特許文献2】特開2002−119134号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の特許文献1のものでは、バイオマス燃料を得るために用いられる製造装置にプレス式の脱水機や送風機を備えた乾燥装置を設けなければならず、装置が大型化するとともにコストが嵩んでいた。また、特許文献2においても、廃培地からバイオマス燃料を得るための機器が多く、装置構成が複雑になってコストが嵩み、広い設置スペースが必要であるなどの問題があった。
【0004】
そこで本発明は、簡単な構造で廃培地を効率よく乾燥させ、装置の小型化と製造コストの低減化を図ることができるバイオマス燃料製造装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明のバイオマス燃料製造装置は、茸栽培に使用した後の廃培地を乾燥させて固形燃料を製造するバイオマス燃料製造装置において、原料を搬送しながら乾燥させて圧縮するスクリューコンベアと、前記スクリューコンベアの始端部に設けられ、ホッパーから投入される原料を前記スクリューコンベア内に定量供給する定量供給機と、前記スクリューコンベアの終端部に設けられ、前記スクリューコンベア内で乾燥、圧縮されて固形化した原料の切断、整粒を行う成形部とを備え、前記スクリューコンベアは、内筒と外筒とを有する二重構造のトラフと、該トラフ内で回転して搬送する2本のスクリューと、前記スクリューの回転軸内及び前記トラフの内筒と外筒との間に熱媒体を導入する手段と、前記内筒内を減圧排気する手段とを備えるとともに、前記スクリューは、スクリューコンベア入口側及び出口側のピッチよりも中間部のピッチを広く形成し、入口側に原料を圧縮して水分を搾り出す水分搾出部を、中間部に原料をほぐして水分を蒸発させる水分蒸発部を、出口側に原料を圧縮して固形化させる原料固形化部をそれぞれ設けたことを特徴とし、前記スクリューコンベアの前段に、含水量の異なる廃培地と消臭剤とを混合して前記原料を調整する原料調整装置を設けると好適である。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバイオマス燃料製造装置によれば、水分を多く含んだ原料は、定量供給機を介してホッパーからスクリューコンベアに供給され、回転する2本のスクリューにより搬送されながら、まず、入口側の水分搾出部でピッチの狭いスクリューにより圧縮されて水分が搾り出され、次いで中間部のピッチの広いスクリューによって圧縮された原料がほぐされ、スクリューの回転軸内及びトラフの内筒と外筒との間に導入された熱媒体により加熱されるとともに、内筒内が減圧されることにより、原料に含まれた水分を迅速に蒸発させて乾燥することができる。さらに、ほぐされて乾燥状態となった原料は、出口側の原料固形化部のピッチの狭いスクリューにより再び圧縮されて固形化され、成形部で切断・整粒されることにより、乾燥状態で適当な大きさに固形化されたバイオマス燃料となる。
【0007】
このように、原料をスクリューコンベアで搬送する間に、原料に含まれる水分を蒸発させて乾燥させ、さらに圧縮して固形化できることから、装置の小型化を図ることができるとともに、製造コストの低減化を図ることができる。また、スクリューコンベアでの加熱によって培地の殺菌処理も行えるので、高品質なバイオマス燃料が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1乃至図5は本発明のバイオマス燃料製造装置の一形態例を示すもので、図1はバイオマス燃料製造装置の正面図、図2は平面図、図3はスクリューコンベアに適用させるスクリューの説明図、図4はバイオマス燃料製造装置の要部拡大側面図、図5はバイオマス燃料製造装置を適用したプラント設備の概略図である。
【0009】
このバイオマス燃料製造装置11は、茸栽培に使用した茸栽培用培地の使用済培地(廃培地)を乾燥させて固形燃料を製造するもので、廃培地を調整して原料とする原料調整装置12と、該原料調整装置12で調整された原料を投入するホッパー13と、トラフ14内に2本のスクリュー15,15を備えたスクリューコンベア16と、ホッパー13からスクリューコンベア16内に原料を定量供給する定量供給機17と、スクリューコンベア16の終端部に設けられ、固形化した原料の切断、整粒を行う成形部18とを備えている。
【0010】
原料調整装置12は、撹拌羽根等の撹拌手段を備えたもので、例えば、含水量が70〜80%のシメジ茸等の廃培地と、含水量が50〜60%のえのき茸やエリンギ茸の廃培地とを混合させて相対水量を65%程度とするとともに、消臭剤を混合して燃料製造用の原料を調整する。
【0011】
定量供給機17は、ホッパー13の下部とスクリューコンベア16の入口側とにそれぞれ連結される円筒部17aと、該円筒部17aの内部に配置される鉛直方向のスクリュー17bと、該スクリュー17bを回動させるモータ(図示せず)とを備えており、ホッパー13から投入される前記原料を一定量でスクリューコンベア16内に供給する。
【0012】
スクリューコンベア16は、断面繭型のトラフ14内に水平方向に並行に配置された2本のスクリュー15,15を備えたもので、始端部に前記定量供給機17が接続され、終端部に前記成形部18が接続されている。スクリュー15は、軸部15aの周囲に螺旋羽根15bを有するもので、入口側の領域Aにおける螺旋羽根のピッチA1と出口側の領域Bにおける螺旋羽根のピッチB1に比べて、領域Aと領域Bとに挟まれた中間部となる領域Cにおける螺旋羽根のピッチC1が広く形成されている。各スクリュー15は入口側端部にスプロケット19が設けられ、このスプロケット19とトラフ14の入口側端部の下部に設けられた2台の減速機を有するモータ20の出力軸20aとにチェーン21が掛け回されている。
【0013】
また、スクリュー15の軸部15aは中空に形成されており、出口側端部に設けられた熱媒体循環導入口22から軸部15a内に熱媒体H1が導入されて入口側端部に設けられた熱媒体循環導出口23から抜き出される。また、トラフ14は、内筒14aと外筒14bとを備えた二重構造に形成されており、外筒14bには、内筒14aと外筒14bとの間に熱媒体H1を導入するめの複数の熱媒体循環導入口24と熱媒体循環導出口25とが設けられている。さらに、内筒14aには、複数の脱気口26が設けられ、内筒内を減圧排気する手段であるファン、ブロワ、真空ポンプなどの排気手段27に接続されている。
【0014】
運転中のスクリューコンベア16は、前記モータ20によって各スクリュー15が回転駆動され、熱媒体供給手段28から供給されるスチームやオイル等の高温流体からなる熱媒体H1が軸部15a内及び内筒14aと外筒14bとの間に導入されて軸部15a及び内筒14aが所定温度、例えば、250℃程度に加熱されるとともに、排気手段27によって内筒14a内が所定の減圧状態、例えば3kPa以下に維持される。
【0015】
定量供給機17からスクリューコンベア16内に供給された原料は、領域Aの水分搾出部31で圧縮されて水分が搾り出され、領域Cの水分蒸発部32でほぐされることにより水分の蒸発が促進されて所定の含水量になるように乾燥され、領域Bの原料固形化部33で原料が再び圧縮されて固形化される。同時に、スクリューコンベア16内で高温に加熱されることにより、廃培地の殺菌処理も行われる。
【0016】
なお、領域A,B,Cにおける螺旋羽根のピッチは、原料の状態、スクリューコンベアの性能等の各種条件に応じて任意に設定することができ、領域A,Cは同じピッチであってもよく、異なるピッチであってもよい。また、スクリューにおける羽根の形状も、条件に応じて選定することができ、異なる羽根を組み合わせることもできる。
【0017】
このようにして製造された燃料は、例えば、図5に示すように、回転式燃焼炉41に供給して燃焼させ、高温の燃焼ガスを複数の熱交換器42,43にて、例えば水と熱交換させることによって温水や熱水、スチームを得ることができ、これらを各種用途に用いることができる。また、前記熱媒体の加熱にも利用できる。熱交換後の排ガスは、サイクロン44等で固形物を分離した後、煙突から大気中に排出する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一形態例を示すバイオマス燃料製造装置の正面図である。
【図2】同じくバイオマス燃料製造装置の平面図である。
【図3】同じくスクリューコンベアに適用させるスクリューの説明図である。
【図4】同じくバイオマス燃料製造装置の要部拡大側面図である。
【図5】バイオマス燃料製造装置を適用したプラント設備の概略図である。
【符号の説明】
【0019】
11…バイオマス燃料製造装置、12…原料調整装置、13…ホッパー、14…トラフ、14a…内筒、14b…外筒、15…スクリュー、15a…軸部、15b…螺旋羽根、16…スクリューコンベア、17…定量供給機、18…成形部、19…スプロケット、20…モータ、20a…出力軸、21…チェーン、22,24…熱媒体循環導入口、23,25…熱媒体循環導出口、26…脱気口、27…排気手段、28…熱媒体供給手段、31…水分搾出部、32…水分蒸発部、33…原料固形化部、41…回転式燃焼炉、42,43…熱交換器、44…サイクロン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茸栽培に使用した後の廃培地を乾燥させて固形燃料を製造するバイオマス燃料製造装置において、原料を搬送しながら乾燥させて圧縮するスクリューコンベアと、前記スクリューコンベアの始端部に設けられ、ホッパーから投入される原料を前記スクリューコンベア内に定量供給する定量供給機と、前記スクリューコンベアの終端部に設けられ、前記スクリューコンベア内で乾燥、圧縮されて固形化した原料の切断、整粒を行う成形部とを備え、前記スクリューコンベアは、内筒と外筒とを有する二重構造のトラフと、該トラフ内で回転して搬送する2本のスクリューと、前記スクリューの回転軸内及び前記トラフの内筒と外筒との間に熱媒体を導入する手段と、前記内筒内を減圧排気する手段とを備えるとともに、前記スクリューは、スクリューコンベア入口側及び出口側のピッチよりも中間部のピッチを広く形成し、入口側に原料を圧縮して水分を搾り出す水分搾出部を、中間部に原料をほぐして水分を蒸発させる水分蒸発部を、出口側に原料を圧縮して固形化させる原料固形化部をそれぞれ設けたことを特徴とするバイオマス燃料製造装置。
【請求項2】
前記スクリューコンベアの前段に、含水量の異なる廃培地と消臭剤とを混合して前記原料を調整する原料調整装置を備えていることを特徴とする請求項1記載のバイオマス燃料製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−77201(P2010−77201A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244646(P2008−244646)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(508287644)
【Fターム(参考)】