説明

バイオリアクターシステム

本発明は細胞、特に接着性細胞を培養するためのバイオリアクター、前記バイオリアクターの特に細胞培養を培養および繁殖するための使用、ならびに、本発明によるバイオリアクターを用いて細胞を培養する方法に関する。具体的な応用領域は細胞のGMP遵守、全自動培養および繁殖におけるバイオリアクターの使用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は細胞、特に接着性細胞を培養するためのバイオリアクター、特に細胞培養物を培養しかつ繁殖するための前記バイオリアクターの使用、および本発明によるバイオリアクターを用いて細胞を培養する方法に関する。特別な応用領域はGMPを遵守した細胞の完全自動培養および繁殖におけるバイオリアクターの使用である。
【背景技術】
【0002】
特に再生医学との関係で、生体組織工学の技術分野において、クリーンルーム条件下の生物実験室プロセスをGMP遵守方式で自動化する必要性が存在する。より高い収率、より高いプロセスの安全、ならびにまた標準化可能なプロセス最適化およびプロセス制御をこの方法で達成しなければならない。
【0003】
実験室規模の生産における特定の標準が長年にわたって確立されてきた。射出成型したポリプロピレンまたはポリスチレン製の使い捨て資材がこうして多用され、サンプル容器類の非常に費用のかかるクリーニングと消毒がこのやり方で省かれた。組織構築物を築き上げるのに必要な細胞を最初に生検片から単離し、次いで色々なサイズの細胞培養ディッシュ、フラスコまたはマルチウエルプレートで数日間かけて培養する。
【0004】
培養のためには、単離した初代細胞を最初に特定の細胞培地に再懸濁する。その細胞懸濁液を次いで使い捨て培養容器中にピペットで加えると、ここで細胞は不定の様式で特別に前処理したプラスチック表面に接着する。インキュベーター内で数日間インキュベートし、定期的に古い細胞培地を新しい細胞培地と交換した後、十分な密度に増殖した、すなわち、集密となった細胞培養を細胞培養容器のプラスチック材料表面から剥離する。剥離プロセスは純粋に酵素作用で、例えばトリプシン/EDTA含有溶液を用いて、または機械的な励起によって行われる。この場合、酵素活性と機械的ストレスは共に細胞の生存率に負の影響を与える。
【0005】
通常の細胞培養容器は比較的大量生産の自動化には不十分である。細胞は特定細胞型の条件に適合する場合にだけ増殖する。この点で重要な因子は、例えば、播種密度、すなわち、単離した細胞を培養容器中に導入する際の細胞濃度である。一方では、細胞が増殖に必要なお互いの細胞/細胞接触を構築するために十分高くなるように播種密度を選択しなければならないし;他方では、播種密度を十分低くして十分な増殖領域を与えるだけなければならない。手動実験操作では、多継代、すなわち細胞の剥離と新しい、より大きい容器での培養がこれらの条件に適合することを確かなものにする。継代培養のプロセスには、多数の手動操作、例えば、溶液の添加と除去、インキュベーターにおけるインキュベーション、細胞剥離の顕微鏡モニタリング、機械的作用の支持、細胞懸濁液の遠心分離管への移送、細胞計数、遠心分離、上清の除去、細胞の新しい培地での再懸濁、および播種の更新が含まれる。これは、ピペットおよび使い捨て容器の消費を増加させる。個々の操作を行う場合、実験スタッフはしばしば色々な取り扱い技法を適用しそして個々の決定を下す。これは、例えば、酵素反応の長さ、細胞剥離のモニタリング、機械的支持を適用するかどうか、適用するなら、何を適用するかの選択、または細胞培養を移す容器の選択に関するものである。色々な細胞型の増殖行動と繁殖速度も、その培養に考慮しなければならない。それ故に、概して、ユニット培養のプロセスは自動化システムを非常に必要としている。
【0006】
自動化細胞培養システムに対して従来、試みられた解決法は、適合させた培養容器を用いることにより一連の手動実験プロセスをコピーすることに限定されてきた。従って、例えば、Greiner Bio-One社製のCELLSTAR(登録商標)AutoFlask(登録商標)細胞培養フラスコを、その幾何およびその取扱いについて、現存の自動化システムでの使用に適合させる。この場合、通常の手動プロセスと同じ方式で、細胞を継代する。
【0007】
PET膜上で細胞を培養する方法が実験室の標準として用いられる。このために、例えばWO 2004/020571 A2で公知の細胞培養インサートが使用される。それにしても、これらは限定されたサイズしか利用できない。インサート膜の使用は、手動実験プロセスにおいて培養期間中の細胞培養の増殖を顕微鏡でモニターできないという欠点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO 2004/020571
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来技術を越える細胞の培養の改善および/または単純化ならびに拡大を可能にするデバイスおよび方法を提供する技術的課題に基づくものである。
【0010】
本発明はまた、細胞を節約する細胞の培養と拡大を可能にする方法およびデバイスの技術的課題に基づくものでもある。
【0011】
本発明はまた、細胞の自動化培養および拡大を可能にする方法およびデバイスを提供する技術的課題に基づくものである。
【0012】
本発明はまた、細胞の簡単な培養および拡大を可能にするデバイスおよび方法を提供する技術的課題に基づくものである。
【0013】
本発明はまた、多継代の結果としての細胞への損傷を回避するデバイスおよび方法を提供する一方、特に同時に、最初の継代に対する培養期間および増殖時間を延長する技術的課題に基づくものである。
【0014】
本発明はまた、接着性細胞を節約する方式で、細胞を培養表面から剥離する方法およびデバイスを提供する技術的課題に基づくものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の根底となる技術的課題を、独立した特許請求項の主題により解決する。
【0016】
特に、本発明の根底となる技術的課題を、請求項1に記載のバイオリアクターにより解決する。
【0017】
特に本発明の根底となる技術的課題を、リアクター空間が少なくとも部分領域において液透過性である膜ユニットにより2つのリアクター領域にさらに分割され、かつ、これらの2つのリアクター領域がそれぞれ液の流入および/または流出に好適な開口部を有するものである細胞培養用のバイオリアクターより解決する。
【0018】
本発明はそれ故に、細胞増殖膜が組み込まれたバイオリアクターに関する。バイオリアクターはハウジングとして、リアクターチャンバーとも呼ばれるリアクター空間を囲む。このリアクター空間は、部分領域において液透過性である膜ユニットにより2つのリアクター領域に分割される。バイオリアクターはそれ故に2つのリアクター領域またはリアクター空間領域を有する。
【0019】
本発明によれば、バイオリアクターは好ましくは接着性細胞を培養するために使用される。
【0020】
本発明の関係において、用語「接着性細胞」は、不活性な表面、例えば反応容器上の細胞培地で、単層としてまたは多層として、しかし特に単層で培養することができる細胞型を意味する。接着性細胞は表面と接触してそれに接着する。接着性細胞は通常、連続細胞層を形成する。接着性細胞はしばしば密度依存性の増殖阻害(接触阻害とも呼ばれる)を示し、これは特に集密を越える時に起こる。接着性細胞は組織、例えば皮膚、筋肉、神経、肝臓、腎に由来することが多い。接着性細胞の例は繊維芽細胞、HeLa細胞および多種の腫瘍細胞である。当技術分野に公知でありかつ増殖しようとする細胞型に応じて選択した培地が細胞培地として好適である。
【0021】
しかし、「懸濁細胞」を培養することも可能である。懸濁細胞は、単層または多層として増殖しない、すなわち、不活性表面に接着しない細胞である。懸濁細胞の例は血液細胞、例えば白血球、またはリンパ様細胞株である。
【0022】
本発明の利点はとりわけ、細胞拡大期における継代ステップの回避と同時にプロセスの非常に単純化された自動化の可能性、ならびにまた細胞を節約するプロセス管理から成る。
【0023】
本発明によるバイオリアクターの利点は、バイオリアクターの本発明による使用および本発明による方法に関する次の考察から明白になろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、図面(縮尺は正しくない)で、組み立てた状態における本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましい一実施形態を示す。
【図2】図2は、図面(縮尺は正しくない)で、分解した状態における本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましい一実施形態を示す。
【図3】図3は、本発明による代わりのリアクターカバーの様々な図を示す。
【図4】図4は、本発明による代わりのリアクター下部パーツの様々な図を示す。
【図5】図5は、リアクターの膜ユニットの膜へ細胞を塗布するための、本発明による好ましい方法を図解する。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次の好ましいおよび/または代わりの実施形態を、例えば、本発明によるバイオリアクターに対して提供することができる。
【0026】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは分解可能である。本発明によると、バイオリアクターは好ましくは少なくとも3つの部分に分解することができる。
【0027】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは少なくとも3つの部分、すなわち、a)第1リアクター領域を囲むリアクターハウジングパーツ、b)第2のリアクター領域を囲むリアクターハウジングパーツ、およびc)少なくとも部分領域において液体透過性である膜ユニットに分解することができる。
【0028】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくはモジュール構造である。
【0029】
本発明によると、バイオリアクターハウジングはそれ故に、好ましくは少なくとも2つのリアクターハウジングパーツ、特に2つのリアクターハウジングパーツから形成される。
【0030】
代わりに、第1と第2のリアクターハウジングパーツはお互いに、特に蝶番を介して接続することができる。
【0031】
好ましくは、本発明によると、第1リアクターハウジングパーツはリアクターカバーを構成し、そして第2リアクターハウジングパーツはリアクター下部を構成する。
【0032】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくはリアクター下部パーツ、リアクターカバーおよび膜ユニットを有する。本発明によると、バイオリアクターは好ましくはリアクター下部パーツ、リアクターカバーおよび膜ユニットから構成される。本発明によると、リアクター下部パーツは好ましくは上方向が開放されている。膜ユニットは次いでリアクター下部パーツの開放部を覆い、そこで膜ユニットの膜は前記開放部の上に水平に置かれている。リアクターカバーは次いで下方向の開放部を有する。リアクターカバーは次いでリアクター下部パーツの上に置かれ、その結果、リアクターカバーの開放部も水平な膜により覆われる。膜ユニットの膜は従って、リアクター下部パーツが形成するリアクター領域もしくはリアクター空間とリアクターカバーが形成するリアクター領域もしくはリアクター空間との限界になっている。
【0033】
本発明によると、リアクター空間はそれ故に好ましくは、液透過性の部分領域をもつ膜ユニットにより下部リアクター領域と上部リアクター領域とに分割されている。
【0034】
本発明によると、2つのリアクターハウジングパーツは好ましくは、お互いに気密方式で接続することができる。本発明によると、2つのリアクターハウジングパーツをお互いに気密方式でねじ接続により接続することができる。しかし、当業者はまた、2つのリアクターハウジングパーツを気密方式で、例えばクランプにより、クランプデバイスにより、バンド、特にゴムバンドにより、または紐により接続する、他の代わりのまたはさらなる可能な方法にも習熟している。
【0035】
本発明によると、2つのリアクターハウジングパーツは好ましくはお互いに気密方式で、バイオリアクターにおける細胞培養の間、接続されている。
【0036】
本発明によると、膜ユニットは好ましくは、少なくとも1つの膜と少なくとも1つのフレームから構成される。代わりに膜ユニットは少なくとも1つの膜だけから構成されてもよい。
【0037】
本発明によると、膜ユニットは好ましくは1つの膜と1つのフレームから構成される。代わりに、膜ユニットはただ1つの膜から構成されてもよい。
【0038】
本発明によると、リアクターハウジングパーツは、好ましくは、受けるデバイス、例えば、膜ユニットを受けて位置を定めるためのスロット(細長い穴)または突起を有する。
【0039】
代わりの実施形態において、リアクターハウジングパーツは受けるデバイス、例えば、膜を受けて位置を定めるためのスロットまたは突起を有する。
【0040】
代わりの実施形態において、リアクターハウジングパーツは受けるデバイス、例えば、膜ユニットのフレームを受けて位置を定めるためのスロットまたは突起を有する。
【0041】
膜ユニットがフレームを有すれば、前記フレームは好ましくは、バイオリアクターにおいて、膜を運びかつ方向付けかつ膜の位置を定める役割を果たす。
【0042】
任意に提供されるフレームは、使い捨て射出成型パーツとして簡単かつ安価に製造することができる。フレームの材料、例えばプラスチック材料、例えばポリプロピレンまたはポリスチレンは、フレームを滅菌処理、特にオートクレーブ処理できるように選択することができる。数回使用する膜ユニットのフレームと好ましくは1回だけ使用して交換可能であるフレームに取付けられた膜を提供することができる。
【0043】
しかしまた、全膜ユニット(例えば、フレームを含む)を使い捨て製品として構成するように提供してもよい。細胞培養フレームを簡単かつ安価に使い捨て射出成型パーツとして製造してもよく、そしてリアクターハウジングを滅菌後、選択的に再利用してもよい。こうして広範囲の応用を提供する。
【0044】
好ましくは本発明により提供する膜ユニットにおいては、膜を特に、フレーム内に好ましくはクランプによって保持する膜インサートとして実施する。
【0045】
特定の代わりの本発明による実施形態においては、細胞の増殖領域を果たす膜領域を色々なサイズのフレームインサートを用いて変えることができ、従って使用可能な細胞増殖領域を必要に応じて適合させることができる。膜の色々なサイズの領域をカバーするように、可変であるフレームのサイズを提供することができる。これにより、培養中の細胞が利用しうる膜表面のサイズを変えること、特に細胞の増殖または伝播中のサイズを増加することが可能になる。
【0046】
膜が形成する細胞増殖領域のサイズを、増殖条件に抵触することなく、色々な方法で、例えば、機械的に可変な調節が可能な細胞増殖領域を用いて増加することができる。
【0047】
本発明のさらなる特定の代わりの実施形態においては、フレームをバイオリアクター内で逆転可能である、特に自動方式で逆転できるように、バイオリアクターを構築し、こうして、例えば、様々な培地において色々な細胞型の共培養を可能にすることができる。この事例においては、本発明によって、次いで好ましくは、膜の両方の表面が細胞の増殖領域を果たし;特に1つの膜表面は第1の細胞型の増殖領域を果たし、かつ第2の膜表面は第2の細胞型の増殖領域を果たす方法を提供する。この方法は、例えば、血液/脳関門をモデル化することを可能にする。
【0048】
また、フレーム無しでバイオリアクター中に直接挿入する膜も提供する。
【0049】
もし膜をフレーム無しで用いれば、バイオリアクター内の膜に張力をかける張力システムを提供することができる。
【0050】
さらに、バイオリアクターの製造中に、膜または膜ユニットを直接、バイオリアクターに、特に、リアクターハウジングパーツ、例えばリアクター下部パーツに接続することができる。これは、特に、使い捨てバイオリアクターにおいて可能である。
【0051】
本発明によると、膜ユニットは好ましくは膜を通して液透過性である。それ故に本発明によると、膜は好ましくは液透過部分、特に膜ユニットの唯一の液透過部分を形成する。
【0052】
代わりの実施形態において、本発明によると、膜はまた、他の好適な多孔質材料と、例えばスポンジ様材料と置き換えることができる。
【0053】
本発明によると、膜ユニットの膜は好ましくはディスク形状またはシート形状であって、2つの表面を有して2つのリアクター領域の間に水平に位置する。好ましくは、本発明によると、全体の膜ユニットは大まかにディスク形状またはシート形状であって、2つの表面を有して2つのリアクター領域の間に水平に位置する。
【0054】
本発明によると、膜は好ましくは膜ユニットの少なくとも25%を占める。本発明によると、膜は好ましくは膜ユニットの少なくとも50%を占める。膜ユニットの領域の少なくとも75%、特に少なくとも90%を占める膜も設定することができる。
【0055】
本発明によると、膜は好ましくは膜ユニットの25%〜100%を占める。本発明によると、膜は好ましくは膜ユニットの50%〜100%を占める。
【0056】
膜は細胞の増殖領域を果たす。本発明によると好ましくは、膜の2つの表面のうちの1つだけが細胞の増殖領域を果たす。もし膜を本発明により、好ましくはバイオリアクター内で水平に挿入すれば、本発明により、好ましくは膜の上側表面が細胞の増殖領域を果たす。
【0057】
代わりに、しかし、特に接着性細胞においては、膜の両方の表面を細胞の増殖領域として用いることもできる。
【0058】
当業者は、細胞、特に接着性細胞を培養するのに好適である好適な液透過性膜に習熟している。
【0059】
細胞増殖膜は、例えば、PET、すなわちポリエチレンテレフタレート、または比較しうる材料で作ることができる。膜は定義により多孔質構造を有し、液が膜を経由して交換することができる。
【0060】
細胞増殖膜は例えば、PET、すなわちポリエチレンテレフタレート、または比較しうる材料で作ることができる。例えば、ポリカーボネート膜の使用も可能である。膜は定義により多孔質構造を有し、液は膜を経由して交換することができる。
【0061】
本発明によると、膜は好ましくは、PET膜、PC膜、ナイロン膜、両性ナイロン膜、正電荷ナイロン膜、負電荷ナイロン膜、PTFE膜、セルロースエステル膜、酢酸セルロース膜、硝酸セルロース膜、セルロース混合エステル膜、再生セルロース膜、Nytran膜およびNytran SuPerCharge++膜からなる群より選択される。
【0062】
本発明による代わりの実施形態において、膜はPET膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はPC膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はナイロン膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜は両性ナイロン膜である。
【0063】
本発明による代わりの実施形態において、膜は正電荷のナイロン膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜は負電荷のナイロン膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はPTFE膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はセルロースエステル膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜は酢酸セルロース膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜は硝酸セルロース膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はセルロース混合エステル膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜は再生セルロース膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はNytran+膜である。本発明による代わりの実施形態において、膜はNytran SuPerCharge++膜である。
【0064】
細胞増殖膜のコーティングまたは表面構造の塗布も選択的に可能である。
【0065】
本発明によると、膜は好ましくは、最小限で0.01μmの孔径を有する。本発明によると、膜は好ましくは、最小限で0.1μmの孔径を有する。本発明によると、膜は好ましくは、最小限で0.35μmの孔径を有する。
【0066】
本発明によると、膜は好ましくは、最大限で20μmの孔径を有する。本発明によると、膜は好ましくは、最大限で10μmの孔径を有する。
【0067】
本発明によると、膜は好ましくは、最小限で0.01μm、特に0.1μm、および最大限で20μm、特に最大限で10μmの孔径を有する。
【0068】
本発明によると、膜は好ましくは、最小限で0.35μm、特に0.4μm、および最大限で9μm、特に最大限で8μmの孔径を有する。
【0069】
例えば、0.4μm、0.45μm、1.0μm、1.2μm、3.0μm、5.0μmまたは8.0μmの孔径を提供しうる。
【0070】
当業者は、十分な液の通過、特に細胞培地の通過、および同時に細胞の良い培養の両方を確かなものにする好適な膜の孔径に習熟している。
【0071】
本発明によると、膜ユニットの膜は好ましくは最小限で105孔/cm2の孔密度を有する。本発明によると、本発明によると、膜ユニットの膜は好ましくは最大限で108孔/cm2の孔密度を有する。
【0072】
本発明によると、膜ユニットの膜は好ましくは、最小限で105孔/cm2および最大限で108孔/cm2の孔密度を有する。例えば、0.1x106、0,2x106、0.4x106、2x106、22x106または100x106孔/cm2の孔密度を提供しうる。
【0073】
当業者は、十分な液の通過、特に細胞培地の通過、および同時に細胞の良い培養の両方を確かなものにする膜の好適な孔密度に習熟している。
【0074】
例えばまた、50cm2〜120cm2、特に75cm2〜85cm2の領域範囲を有する膜を提供しうる。特に、膜は約80cm2の領域範囲を有しうる。
【0075】
本発明によると、2つのリアクター領域はそれぞれ液の流入および/または流出に好適な開口部を有する。
【0076】
開口部はバイオリアクターの内部をバイオリアクターの外部と接続する;それ故にこれらはバイオリアクターハウジングを通過する開口部である。
【0077】
本発明によると、2つのリアクターハウジングパーツはそれぞれ好ましくは液の流入および/または流出に好適な開口部を有する。
【0078】
開口部は好ましくは継手の形状であってもよい。例えば、細胞培養から組織を産生する自動化された全体系において、バイオリアクターを他のデバイスと、継手、例えば、ホース類を介して接続し、そして液、特に細胞培地または細胞剥離溶液をバイオリアクターに供給するかまたはバイオリアクターから継手を介して取り出すことができる。
【0079】
開口部はまた、隔壁の形態であってもよい。
【0080】
開口部はまた、ピペット用開口部の形態であってもよい。
【0081】
本発明によると、第1リアクター領域は好ましくは、液の流入に好適な開口部を有する。本発明によると、第1リアクター領域は好ましくは液の流入および流出に好適な開口部を有する。
【0082】
本発明によると、開口部は閉鎖可能であることが好ましい。代わりに、開口部はまた、例えば、バイオリアクターを開口部により全体系とホースで接続したときに、閉鎖できない形状であってもよい。
【0083】
本発明によると、液の流入および/または流出に好適である第1リアクター領域の開口部を、好ましくは、リアクターハウジングパーツの側方または上側に配置する。本発明によると、液の流入および/または流出に好適である第1リアクター領域の開口部を、好ましくは、リアクターハウジングパーツの側方に配置する。
【0084】
本発明によると、第2リアクター領域は、好ましくは、液の流入および流出に好適な開口部を有する。
【0085】
本発明によると、第2リアクター領域の液の流入および流出に好適な開口部を、好ましくは、リアクターハウジングパーツの側方または上側に配置する。本発明によると、第2リアクター領域の液の流入および流出に好適な開口部を、好ましくは、リアクターハウジングパーツの側方に配置する。
【0086】
本発明によると、液の流入および流出に好適な開口部をバルブとして設計する。しかし、これらはまた、例えばホースの形態の供給ラインまたは排出ラインを接続する閉鎖可能なまたは閉鎖できないノズルまたは継手として設計することもできる。これによって、連続的にまたは段階的に新しい液を供給する一方、古い液を同時にまたは前もって除去することが可能になる。これは特に、本発明によるバイオリアクターを自動化デバイスで細胞を培養するために使用する時に有利である。
【0087】
代わりに、しかし、液はまた、特に本発明によるバイオリアクターの手動での使用において、色々なやり方で、例えば、液をピペットでまたは注いで加えることにより、または液をピペット、排水、または注ぎ出して除去することにより、供給および/または除去することができる。
【0088】
本発明によると、液は好ましくは、細胞培地または細胞を膜から剥離する溶液である。
【0089】
本発明によると、第1および/または第2リアクター領域はリアクターチャンバー(実リアクター領域)と案内システム(開口部をリアクターチャンバーに接続する)により形成される編成でありうる。
【0090】
本発明によると、複数のリアクターチャンバーまたは1つのリアクターチャンバーだけによって形成される複数のリアクター領域または1つのリアクター領域を提供することができる。
【0091】
本発明によると、代わりに、逆転可能であるバイオリアクターを提供することができる。
【0092】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは少なくとも1つの換気開口部を有する。
【0093】
本発明によると、第1リアクターハウジングパーツは好ましくは少なくとも1つの換気開口部を有する。本発明によると、第1リアクターハウジングパーツ、特にリアクターカバーは好ましくは1つの換気開口部を有する。
【0094】
本発明によると、好ましくは、無菌フィルターを備えた少なくとも1つの換気開口部を提供する。
【0095】
閉鎖可能である換気開口部を提供することができる。
【0096】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは少なくとも1つのピペット用開口部を有する。
【0097】
本発明によると、第1リアクターハウジングパーツは好ましくは少なくとも1つのピペット用開口部を有する。本発明によると、第1リアクターハウジングパーツは好ましくは1つのピペット用開口部を有する。
【0098】
本発明によると、2つのピペット用開口部を有するバイオリアクターを提供することができる。この事例では、第1リアクター領域へのアクセスを形成する1つのピペット用開口部、および第2リアクター領域へのアクセスを形成する第2のピペット用開口部を提供することができる。この事例では、第2のピペット用開口部は、例えばリアクターカバーの上側に位置して、下側の第2リアクター領域へのラインの形態であってもよい。ラインを、例えば、並んで、膜または膜ユニットへ案内してもよい。例えば、特別な形状のウエブは液を下側リアクター領域中にピペット用開口部経由で供給することができる。
【0099】
本発明によると、特に、リアクターカバーの上側に配置した2つのピペット用開口部を提供することができる。
【0100】
代わりにまた、液の流入および/または流出に好適な2つの開口部であるピペット用開口部を提供することもできる。この実施形態においては、それ故に、液の流入および/または流出に好適な2つの開口部に追加してでなく、その代わりに存在するピペット用開口部を提供することができる。
【0101】
特に、唯一の開口部として2つのピペット用開口部および換気開口部を有するバイオリアクターを提供することができる。
【0102】
本発明によると、ピペット用開口部は好ましくは閉鎖可能、特に気密方式で閉鎖可能である。適宜、液透過性無菌フィルターを備えたピペット用開口部も提供することができる。
【0103】
代わりにまた、さらに、液、特に細胞培地または添加剤のバイオリアクターへの添加および/またはバイオリアクターからの除去を可能にする、特に閉鎖可能な開口部を提供することもできる。
【0104】
本発明によると、第1リアクターハウジングパーツは、好ましくは、特に無菌フィルターおよび/または閉鎖可能なピペット用開口部を備えた少なくとも1つの換気開口部を有する。
【0105】
代わりの実施形態において、バイオリアクターは計測器、例えば電極を受け入れるのに好適であり;この事例では、それ故に、計測器を受け入れるプラグインスロットなどを提供する。
【0106】
本発明によると、データの測定、例えば、TEER値の測定を可能にする計測器をバイオリアクター中に組込むことが好ましい。
【0107】
TEER値(TEERは「transepithelial electrical resistance(経上皮電気抵抗)」の略である)を測定することにより、細胞集団の密度を決定することができる。従って、膜上の細胞が所望の細胞密度に到達した時点、特に、細胞層がほとんど集密であるかまたは集密になった時点を確認することが可能である。
【0108】
用語「集密」は、培養容器表面の表面(すなわち、本事例では、膜表面)における接着性細胞の最も密接可能な配置を記載するのに使用される。集密は細胞株毎に異なる。
【0109】
細胞の増殖および/または繁殖の結果として集密に到達する直前または到達した時点に、細胞を収穫するか継代することができる。
【0110】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは、デバイス、特にデータを測定するための電極を有する。
【0111】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは、デバイス、特にTEER値を測定するための電極を有する。
【0112】
代わりに、デバイス、特にTEER値を測定するための電極に対して、プラグインスロットだけを提供してもよい。
【0113】
本発明によると、第1リアクターハウジングパーツは、好ましくは、少なくとも1つの電極、特にTEER値を測定するための1つの電極を有する。本発明によると、第2リアクターハウジングパーツは、好ましくは、少なくとも1つの電極、特にTEER値を測定するための1つの電極を有する。
【0114】
好ましくは、本発明によると、第1リアクター領域はTEER値を測定するための電極を有し、そして第2リアクター領域もTEER値を測定するための電極を有する。
【0115】
電極を任意に組込んでいるので、担体構造上の細胞の集団密度は、TEER値を測定することにより好ましい方式でモニターすることができる。
【0116】
本発明によると、液、特に細胞培地の乳白度、pH、グルコース含量および/または酸素含量を測定することができる計測器を、バイオリアクターに組込むことが好ましい。例えば、乳白度の視覚測定を行うことができる。
【0117】
本発明によると、第1リアクター領域は、好ましくは、液量または液体積を測定する測定手段を有する。本発明によると、第2リアクター領域は、好ましくは、液量または液体積を測定する測定手段を有する。バイオリアクターまたはバイオリアクターの部分領域の液量を測定することにより、例えば、細胞を剥離する酵素の正確な所望量を注ぐことが可能であり、その結果、簡単な方式で細胞を剥離する本発明による以下の好ましい方法を行うこと、特に自動的に細胞を運び去ることができる。
【0118】
しかしまた、リアクター領域の体積は正確にわかっており、かつ所望のまたは所要の量はその結果、同様にわかっているので、バイオリアクター内の液量を測定しておく必要のない方法も提供することができ、例えば、コンピューター制御方式で正確に測定して加えることができる。
【0119】
特に、第2リアクター領域、特にリアクター下部パーツにより囲まれるリアクター領域は5ml〜20mlの体積を有しうる。
【0120】
特に、第2リアクター領域、特にリアクター下部パーツにより囲まれるリアクター領域は最小限で10mlの体積を有しうる。特に、第2リアクター領域、特にリアクター下部パーツにより囲まれるリアクター領域は最大限で15mlの体積を有しうる。
【0121】
本発明によると、本発明によるバイオリアクターの2つのリアクター領域は好ましくは大まかに同じサイズであるかおよび/または大まかに同じ体積を占める。
【0122】
本発明によると、上部反応領域は、本事例において、下部反応領域よりいくらか大きい、特に大きいことが好ましい。
【0123】
本発明によると、バイオリアクターは好ましくは、膜を固定する支持エレメントを有する。本発明によると、第1リアクターハウジングパーツは好ましくは、膜を固定する支持エレメントを有する。本発明によると、第2リアクターハウジングパーツは好ましくは、膜を固定する支持エレメントを有する。本発明によると、第1と第2リアクターハウジングパーツは好ましくは、膜を固定する支持エレメントを有する。本発明によると、リアクター下部パーツおよびリアクターカバーは好ましくは、膜を固定する支持エレメントを有する。
【0124】
本発明によると、バイオリアクターハウジング、特にリアクターハウジングパーツは、プラスチック材料またはプレキシガラスで作られている。当業者は好適なプラスチック材料だけでなく、バイオリアクターハウジング用の他の可能な材料にも習熟している。可能なプラスチック材料は、例えばポリプロピレンまたはポリスチレンである。
【0125】
本発明によると、バイオリアクターハウジング、特にリアクターハウジングパーツは少なくとも部分領域が透明であることが好ましい。特に、膜上の細胞を観察できる透明な部分領域を提供することが可能である。
【0126】
本発明によると、バイオリアクターハウジング、特にリアクターハウジングパーツは好ましくは無菌であり、特にオートクレーブ処理されている。バイオリアクターのハウジングは従って何回も使用することができる。これによって広い範囲の応用が提供される。
【0127】
しかし、バイオリアクターを使い捨て製品として設計することもできる。
【0128】
特に、バイオリアクターを以下のオプションの特性の1つ、いくつか、または全てを有する使い捨て製品として提供することができる。
【0129】
−バイオリアクターの全コンポーネントを使い捨て製品として構成する。
【0130】
−バイオリアクターのリアクターハウジングをプラスチック材料、特にポリプロピレンまたはポリスチレンで作る。
【0131】
−リアクターハウジングを射出成型により製造する。
【0132】
−膜ユニットまたは膜をリアクター下部パーツに取り付ける。
【0133】
−バイオリアクターカバーをリアクター下部パーツおよび膜ユニットで作られたユニットから上昇させてもよい。
【0134】
−バイオリアクターは唯一の開口部として、2つのピペット用開口部および選択的に換気開口部を有する。
【0135】
−2つのピペット用開口部はリアクターカバーの上側に位置する。
【0136】
−第1のピペット用開口部は第1リアクター領域に通じ、第2のピペット用開口部は第2リアクター領域に通じる。
【0137】
−バイオリアクターは隔壁を有する。
【0138】
−バイオリアクターは最小限で6cmおよび最大限で12cm、特に8cm〜9cmの巾、および最小限で10cmおよび最大限で14cm、特に最小限で12cmおよび最大限で13cmの長さを有する。
【0139】
−バイオリアクターは標準化されたマルチウエルプレートの次元の巾と長さを有する。
【0140】
−バイオリアクターは最小限で1cmおよび最大限で10cmの高さを有する。
【0141】
−膜は50cm2〜120cm2、特に75cm2〜85cm2の面積範囲を有する。特に、膜は約80cm2の面積範囲を有しうる。
【0142】
勿論、この型のバイオリアクターはまた他の特性と本発明のさらなる特性を有しうる。
【0143】
本発明によるバイオリアクターは、GMP遵守方式で形状化することができ、細胞培養の培養中の汚染または無菌状態の喪失のリスクを低減する。この事例においては、汚染のリスクを有意に増加することなく、使い捨てエレメントの使用を最小限に低減する。
【0144】
当業者はバイオリアクターの可能な形状に習熟している。当業者は、バイオリアクターの形状を当業者の要件に容易に適合化することができる。本発明によると、バイオリアクターは好ましくはボックスの形状、カルトンの形状、または缶の形状である。
【0145】
特に、バイオリアクターは細胞培養容器、例えばマルチウエルプレートの標準化された長さおよび巾に対応する長さおよび巾を有しうる。
【0146】
本発明によると、自体がマイクロポンプを有しないバイオリアクターが好ましい。
【0147】
本発明はまた、本発明によるバイオリアクターの使用に関する。
【0148】
本発明によると、細胞を培養するための本発明によるバイオリアクターの使用が好ましい。本発明によると、細胞を培養しかつ拡大するための本発明によるバイオリアクターの使用が好ましい。
【0149】
本発明によると、細胞は好ましくは接着性細胞である。
【0150】
本発明によると、細胞は好ましくは真核細胞である。本発明によると、細胞は好ましくは動物細胞である。本発明によると、細胞は好ましくは哺乳動物細胞、特にヒト、ウシまたはマウス細胞である。
【0151】
代わりに、しかし、特に、もしそれらが接着性細胞であれば、原核生物細胞、植物細胞または真菌細胞を培養することも可能である。
【0152】
本発明によると、細胞培養から組織を産生する自動化デバイスにおける本発明によるバイオリアクターの使用が好ましい。
【0153】
代わりに、しかし、本発明によるバイオリアクターはまた、手動で用いて、例えば、クリーンベンチのもとで組立て、満たし、次いでインキュベーターにおいてインキュベートすることもできる。
【0154】
バイオリアクターを選択的に独立したモジュールとしてまたは全体のシステム中の一構成要素として、例えば、生検片から細胞組織を産生するために用いることもできる。
【0155】
本発明はまた、細胞を培養する方法、培養に使用する本発明によるバイオリアクターに関する。本発明によると、細胞を本方法で培養しかつ拡大することが好ましい。
【0156】
本発明によるバイオリアクターは、好ましくはGMP遵守条件のもとで実施することができる細胞培養の全自動化方法の実施を可能にする。
【0157】
本発明はまた、特に細胞培養の方法であって、a)本発明によるバイオリアクターを提供するステップ、b)細胞を膜ユニットの膜に塗布するステップ、c)細胞をバイオリアクターで培養するステップを含むものである前記方法に関する。
【0158】
本事例においては、規定した順に実施するステップを提供する。本発明によると、ステップa)、b)およびc)を、好ましくは、さらなる中間ステップ無しに、順に、直接実施する。
【0159】
本発明によると、好ましくは、細胞をステップb)において、液中で、特に細胞培地中で培養する。
【0160】
本発明によると、細胞は好ましくは接着性細胞である。本発明によると、細胞は好ましくは真核細胞である。本発明によると、細胞は好ましくは動物細胞である。本発明によると、細胞は好ましくは哺乳動物細胞、特にヒト、ウシまたはマウス細胞である。
【0161】
本発明によると、細胞を好ましくはステップb)で接着させ;次いでステップc)の開始時にバイオリアクターを初めて細胞培地で溢流する。これは好ましくはバイオリアクターの開口部の1つを経由して行う。
【0162】
例えば、細胞/細胞接触とそれにより必要になる多継代との関係における増殖条件の適合性を達成するために、細胞増殖膜に初代細胞を生息させる新規の方法を開発した。本発明によると、前記方法をステップb)に用いることが好ましい。
【0163】
本発明によると、細胞増殖領域として与えられた膜を、本事例においては、生育期間中、好ましくは細胞液でその全域を湿潤しないで;その代わり、細胞増殖領域に均一に分布した個々の細胞群を作製する。
【0164】
本発明によると、細胞培地に懸濁した細胞をステップb)で、好ましくは、滴状で膜上に大まかに一定に、特に一定の間隔をおいて、ピペットを用いて加える。
【0165】
10cm〜14cmの長さおよび6cm〜10cmの巾を有する膜に、細胞を1ml〜10ml、特に3ml〜5mlの全体積の液を塗布する。液の全量を液滴に分割する。
【0166】
このプロセスの間、次のパラメーター:液滴体積、液滴間隔、液滴中の細胞濃度および/または最初の培地交換までの待ち時間は当業者によって変化しうる。
【0167】
これらのパラメーターはまた、それぞれの細胞の培養行動が変わるのを可能にする。
【0168】
液滴中の細胞濃度は、本事例において、細胞増殖に必要な細胞/細胞接触の維持に導く一方、同時に、利用しうる細胞増殖領域のサイズを、実験室標準培養容器の細胞増殖領域の数倍に増加する。さらに、この好ましい生息させる方法は、培養領域としての多孔質材料全体の細胞の均一な分布を確実なものにするが、標準培養容器においては、細胞を無作為に分布させ、その分布はしばしば中心より端末領域において高くなることが多い。均一な細胞分布は、生息した多孔質材料上の増殖条件が一元化される利点を有する。細胞増殖領域は今や十分に大きいので、特に追加の細胞の継代ステップを、特に自動化プロセスにおいて、回避することができ、従って、そうでないと自動化プロセスを妨害しかつ細胞を損傷する、多数の取り扱いステップの必要が無くなる。
【0169】
本発明によると、液滴体積は好ましくは最小限で2.5μl〜最大限で30μlである。液滴体積は例えば、2.5μl、5μl、10μl、20μlまたは30μlであってもよい。
【0170】
本発明によると、好ましくは10〜500、特に25〜350細胞、例えば約20、40、80、160または320細胞が接種中の1滴に存在する。
【0171】
本発明によると、接種中に細胞を、好ましくは、多孔質表面に、約4,000〜約20,000細胞/cm2、特に約4,000〜約16,000細胞/cm2の細胞濃度で多孔質表面に塗布することができる。例えば、4,000細胞/cm2、5,000細胞/cm2、8,000細胞/cm2、10,000細胞/cm2、16,000細胞/cm2または20,000細胞/cm2を多孔質材料、特に膜に塗布することができる。約80cm2の膜領域に対して、これは各バイオリアクターに対して大まかに320,000〜1,280,000細胞である。
【0172】
細胞増殖領域の均一な滴状による生息化は、細胞拡大を成功させる条件に抵触することなく細胞増殖領域のサイズを数倍に増加することを可能にする。継代の無い細胞拡大に必要な細胞増殖領域のサイズをこの方法で達成する。
【0173】
酵素反応の作用または機械荷重の結果としての継代中の細胞のさらなる損傷、特に、培養期の終点における細胞の単一剥離に対する前記損傷も最小限に低減することができる。
【0174】
従って、培養後の細胞収穫の時点が単一の必要な細胞の剥離プロセスとして残ると結論される。さらに、酵素の細胞に与える有害な影響を新しい剥離方法により最小化することができる。
【0175】
代わりに、細胞増殖膜を、液滴のピペット添加以外の方法で、例えば液中に懸濁した細胞をスプレーすることにより生息させることもできる。
【0176】
本発明によると、好ましくは、接着性細胞をステップb)で膜に接着させ、次いでさらに液、特に細胞培地を加えて培養する。
【0177】
本発明によると、液は好ましくはステップc)で新しくする。これは、特に、液の流入および/または流出に好適な開口部を介して行うことができる。液を連続的に、半連続的にまたはステップバイステップで新しくすることができる。
【0178】
好ましくは、本発明によると、新しい液を、本事例においては、第1または第2リアクターハウジングパーツの開口部を経由して導入し、そして古い液を第1または第2リアクターハウジングパーツの開口部を通して取り出す。
【0179】
好ましくは、本発明によると、新しい液を、本事例においては、リアクターカバーの開口部を通して導入し、そして古い液をリアクター下部パーツの開口部を通して取り出す。
【0180】
代わりに、しかし、液をピペット用開口部を通して導入および除去する方法を提供することもできる。
【0181】
代わりに、しかし、液を新しくしない方法を提供することもできる。
【0182】
ステップc)のプロセス制御を介して、例えば、TEER値を測定する電極および/または培地の自動供給を介して、広範囲のパラメーターに対する細胞の状態を試験する方法を提供することができる。特に、ステップc)の持続時間を、TEER値の測定により決定する方法を提供することができる。この事例において、ステップc)は、好ましくは、所望の細胞密度に到達すると、特に、細胞がほとんど集密かまたは集密になると終了しうる。
【0183】
本発明によると、培養後のステップd)に、細胞を膜表面から剥離する。本発明によると、剥離は、好ましくは、細胞を剥離するのに好適な溶液を用いて行う。本発明によると、剥離は、好ましくは、酵素によって行う。
【0184】
酵素剥離は、従来技術でも接着性細胞を剥離するために使われている酵素を含有する溶液を用いて実施することができる。特に、当業者はトリプシン、特にEDTA溶液のトリプシンを酵素として使用しうる。当業者は本事例において好適なトリプシン濃度を習熟している。
【0185】
本発明によると、酵素は好ましくはトリプシンである。しかし、当業者に公知の他の酵素、例えば、アキュターゼまたはrプロテアーゼ(rProtease)などを使用することもできる。
【0186】
酵素溶液をバイオリアクターの開口部を通してまたは開放したバイオリアクターを通して注ぎ入れることができる。
【0187】
本発明によると、細胞を剥離するのに好適な溶液を、好ましくは、バイオリアクター中に注いで、液の流入および/または流出用に好適な開口部の1つを通して膜に運ぶ。
【0188】
本発明によるバイオリアクターならびに液の流入および/または流出用に好適な開口部の位置の設計は、優しい剥離プロセスの実施および剥離した細胞の生存率の上昇を可能にする。
【0189】
本発明によると、膜に接着した細胞の剥離は、好ましくは、酵素反応を介して制御することができ、ここで酵素は細胞層の膜と接触した多孔質膜を通してだけ作用することができる。
【0190】
本発明によると、培養後、好ましくは、細胞を剥離するのに好適な溶液を、このリアクター領域の開口部を通して、細胞を塗布してない膜の表面に接するリアクター領域中に注いで、こうして前記溶液を膜と接触させ、細胞を膜表面から剥離する。本発明によると、細胞を剥離するのに好適な溶液は、好ましくは、膜と結合している細胞の細胞分枝とだけ接触する。
【0191】
本発明によると、細胞を剥離するのに好適な溶液を、好ましくは、リアクター下部パーツの開口部を通してバイオリアクター中に導入する。本発明によると、好ましくは、溶液の満液レベルが膜に丁度到達するだけの量の溶液を導入する。細胞は好ましくはリアクターカバーに面する膜表面に接着するので、細胞を剥離するのに好適な溶液は、従って、膜と結合した細胞の細胞分枝とだけ接触する。
【0192】
同様に、リアクターの設計を変えることにより、剥離プロセスを改変し、適宜、それを物理的方法に置き換えて、酵素剥離を助けることが可能である。物理的方法としては、リアクター下部パーツへの圧力の適用が挙げられ;さらに、バイオリアクターをノックするおよび/または振とうすることにより剥離プロセスを助けることも可能である。物理的方法としては、超音波またはリアクター下側からの上昇気泡の使用も挙げられる。
【0193】
本発明による代わりの実施形態においては、ステップd)において細胞を酵素により剥離し、剥離を物理的な方法により助ける。剥離プロセスをこうして加速する。
【0194】
細胞をステップd)においてまたはステップd)の後に過剰圧力により剥離する方法も提供することもできる。例えば、細胞を剥離するのに好適な溶液を、膜を通して圧力で押すことができる。
【0195】
例えば、ステップd)で、細胞培地を、特に案内システムを介して除去し、そして両方のリアクター領域をPBS/EDTAで満たし、1〜30分間インキュベートする方法を提供することができる。このプロセスを、細胞型に応じて1〜2回繰り返すことができる。両方のリアクター領域を次いで完全に空にし、そして下部リアクター領域を次いで酵素溶液で満たすことができる。0.2〜10分間の規定した範囲に50〜2,000 Paの規定した圧力で、酵素溶液を0.1〜10 μmの直径を有する多孔質の膜を通過させ、細胞の膜上側との接触点まで到達させることができる。次いで、0.5〜10分間の持続時間を有するインキュベーションステップを実施することができる。
【0196】
剥離プロセスを助けるために、下部チャンバーにおいて、前記圧力範囲の圧力を剥離中またはその後、すなわち、剥離後に適用する。前記圧力をさらに、0.1〜200 Hzの頻度でモジュレートすることができる。さらに、このプロセスを全リアクターの機械的励起によって強化することができる。適用される圧力は、特に、0.5〜20ml/(分・cm2)の膜を通過する体積流量を生じる。
【0197】
ステップd)の完了後、ステップe)において、細胞を膜から取り出すことができる。例えば、細胞を細胞培地、特に血清を含有する細胞培地に取り込み、次いでピペットにより吸引抽出するかまたは取り出す。
【0198】
ステップd)の完了後、ステップe)においてまた、細胞を剥離するのに好適な溶液をさらに多く導入し、それにより細胞を多孔質表面から押し出すこともできる。
【0199】
ステップd)においてまたはステップd)後に、細胞を、例えば、トリプシンの助けで選び出すことができる。
【0200】
本発明によると、本方法は、自動化方式で、特に細胞培養から組織を生産する自動デバイスで、および/またはロボットを用いて実施することが好ましい。
【0201】
本発明によると、本方法は細胞培養から組織を生産する自動デバイスで実施することが好ましい。
【0202】
本発明によるバイオリアクターは、好ましい実施形態において、細胞、特に 接着性細胞の細胞培養の自動化実施を可能にする。
【0203】
本事例においては、細胞増殖条件に適合しつつ、細胞増殖領域のサイズの有利な増加が可能である。
【0204】
本発明によるバイオリアクターはまた、特に自動化プロセスにおいて、非常に複雑でありかつ細胞を容易に損傷しうる継代ステップの回避を可能にする。
【0205】
本発明によるバイオリアクターは、好ましくは、特にTEER値を測定する計測器の組込みを提供する。特に自動化プロセスを含めて、収穫時点をこうして正確に決定することができる。
【0206】
本発明によるバイオリアクターにより、細胞を節約する、膜から細胞を剥離するための本発明の方法であって、細胞の膜との接触点だけが剥離に使う酵素と接触することを特徴とする前記方法を可能にする。
【0207】
本発明によるバイオリアクター、本発明によるその使用および本発明によるその方法は、特に接着性細胞を培養するために運転する自動化システムにおいて利用することができる。
【0208】
しかし、本発明によるバイオリアクター、本発明によるその使用および本発明によるその方法はまた、実験室規模でも、特に、汚染のリスクを最小化しそして調製液の直接計量を避けるために利用することができる。
【0209】
本発明によるバイオリアクター、本発明によるその使用および本発明によるその方法は特に、組織を作製するための細胞の培養に利用することができる。
【0210】
本発明によるバイオリアクター、本発明によるその使用および本発明によるその方法は特に、in vitro試験系としてまたは移植片として人工皮膚を作製するための様々な細胞型の培養に利用することができる。
【0211】
本発明によるバイオリアクター、本発明によるその使用および本発明によるその方法はまた、特に、人工軟骨移植片を作製するための様々な細胞型の培養に利用することができる。
【0212】
本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態はまた、バイオリアクターの使用の、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態であり、かつ本発明による方法の、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態であると理解すべきである。
【0213】
本発明による使用の、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態はまた、本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態であり、かつ本発明による方法の、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態であると理解すべきである。
【0214】
本発明による方法の、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態はまた、バイオリアクターの使用の、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態であり、かつ本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましくかつ代替物である実施形態であると理解すべきである。
【実施例】
【0215】
本発明の特定の実施形態は従属する請求項に定める通りである。
【0216】
本発明のさらなる利点は以下に記載した図面から明らかになろう:
図1は、図面(縮尺は正しくない)で、組み立てた状態における本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましい一実施形態を示し;
図2は、図面(縮尺は正しくない)で、分解した状態における本発明によるバイオリアクターの、本発明による好ましい一実施形態を示し;
図3は、本発明による代わりのリアクターカバーの様々な図を示す。
【0217】
図4は、本発明による代わりのリアクター下部パーツの様々な図を示す。
【0218】
図5は、リアクターの膜ユニットの膜へ細胞を塗布するための、本発明による好ましい方法を図解する。
【0219】
図1は、図面で(縮尺は正しくない)、組み立てた状態における本発明によるバイオリアクター(100)の、本発明による好ましい一実施形態を示す。バイオリアクターはリアクター下部パーツ(20)、リアクター上部パーツ(30)および膜(10)とフレーム(15)から形成された膜ユニットから成る。リアクター下部パーツ(20)およびリアクター上部パーツ(30)は膜(10)を固定する支持エレメント(21、31)を有する。リアクター下部パーツ(20)とリアクター上部パーツ(30)は気密方式で接続され、継手の形状である開口部(24、34)だけがリアクターチャンバー(22、32)を案内システム(23、33)経由でバイオリアクター(100)の環境に接続する。案内システム(23、33)は全領域にわたって細胞増殖膜の連続かつ均一な供給を確実なものにしている。オプションの換気開口部またはピペット用開口部は図に示してない。リアクター下部パーツ(20)とリアクター上部パーツ(30)は共に、培養細胞のTEER値を測定するための電極(26、36)を有する。増殖プロセスをモニターし、測定したTEER値を介して、最適収穫時点を決定することができる。
【0220】
膜(10)には上側(11)と下側(12)が存在する。好ましくは、接着性細胞を膜の上側(11)で培養する。この事例においては、リアクターチャンバー(22、32)を細胞培地によって開口部(24、34)の1つを経由して溢流する。電極(26、36)を介するTEER値測定が最適細胞密度に到達した、例えば、細胞が集密まで増殖したことを示せば、細胞培地を下部開口部(24)を経由して排出する。トリプシン含有溶液を次いでバイオリアクター(100)中に開口部(24)を介して導入することができる。溶液が膜(10)と丁度接触するだけの量の溶液を導入する。その結果、細胞は膜表面(11)から剥離する;しかし、細胞の膜接触点だけがトリプシンと接触するので、細胞は通常の細胞の剥離中より損傷が少ない。
【0221】
図2は、図面で(縮尺は正しくない)、本発明による好ましいバイオリアクター(100)を、図1から分解した状態で示す。リアクター上部パーツ(30)と膜ユニット(膜(10)およびフレーム(15)から形成される)はリアクター下部パーツ(20)から分離している。従って膜(10)の膜表面(11)にアクセスが可能であり、細胞をピペット添加することにより細胞集団を作ることができる。その後、リアクター上部パーツ(30)、膜ユニットおよびリアクター下部パーツ(20)を再組立することができる。
【0222】
再び示すと、開口部(24、34)、リアクターチャンバー(22、32)および案内システム(23、33)、ならびに電極(26、36)が存在する。
【0223】
図3と図4は、本発明による好ましいリアクターカバー(30)および本発明による好ましいリアクター下部パーツ(20)の様々な図を示す。リアクターカバー(30)とリアクター下部パーツ(20)は大まかにマルチウエルプレートの長さと幅を有する。両方のリアクターハウジングパーツについて、支持エレメント(21、31)を見ることができる。
【0224】
図3はまた、1つの換気開口部(37)と2つのピペット用開口部(28、38)も示す。ピペット用開口部(28)は上部反応チャンバーへのアクセスの役割を果たす。ピペット用開口部(38)は下部反応チャンバーへのアクセスの役割を果たす。このアクセスは、反応チャンバー間にシールした方式で配置された、膜をバイパスする案内システムによって可能である。
【0225】
図3aおよび4aに示した拡大図は、液体のピペット用開口部を介しての導入を容易にするウエブ(38a)の具体的な実施形態を示す。
【0226】
図4は搭載した電極(26)を示す。2つのリアクターハウジングパーツ(20、30)をお互いに孔(29、39)を通してねじ留めすることができる。
【0227】
図5は、細胞をリアクターの膜ユニットの膜に塗布するための、本発明による好ましい方法を図解している。膜(10)とフレーム(15)を伴う膜ユニットを示す。膜(10)の膜上側(11)を細胞培地由来の細胞含有液滴で均一に覆う。拡大図は、液滴(61)とそこに含まれる細胞(62)を伴う膜表面(11)の詳細を示す。
【0228】
次の表1は利用できる様々な膜を例示する。
【表1】

【0229】
表1:本発明によるバイオリアクターで利用できる膜の例示の表。
それ故に、細胞培地中に懸濁した初代細胞をピペットを用いて滴状で細胞増殖膜上に一定の間隔にて加える方法を提供する。
【0230】
いったん細胞が接着すると、バイオリアクター(100)を組立て、細胞培地で溢流する。液滴中の細胞濃度は、本事例において、細胞増殖に必要な細胞/細胞接触の維持に導く一方、同時に、利用しうる細胞増殖領域のサイズを、標準実験室培養容器の細胞増殖領域の数倍に増加する。さらに、この生息方法は培養領域全体の細胞の均一な分布を確実なものにするが、標準培養容器において細胞は無作為に分布し、その分布はしばしば中心より端末領域において高い。均一な細胞分布は、培養容器内の増殖条件が一元化される利点を有する。細胞増殖領域は今や十分に大きく、その結果、自動化プロセスにおける細胞の継代を省くことができ、従って、そうでなければ自動化プロセスを妨げる多数の取扱いステップを必要としなくなる。
【0231】
膜が細胞の増殖および拡大に十分な空間を提供するので、酵素反応の作用または機械荷重(すなわち、培養期の終点における細胞の単一剥離)の結果としての多継代中の細胞のさらなる損傷も、最小限に低減することができる。
【0232】
従って、培養が終了した後の細胞収穫時点が単一の必要な細胞の剥離プロセスとして残ると結論される。さらに、酵素の細胞に与える有害な影響は、新しい剥離方法により最小化することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養用のバイオリアクターであって、該バイオリアクターのリアクター空間が少なくとも部分領域において液透過性である膜ユニットにより2つのリアクター領域に分割され、かつこれらの2つのリアクター領域がそれぞれ液の流入および/または流出に好適な開口部を有するものである、上記バイオリアクター。
【請求項2】
少なくとも3つの部分、すなわち、
a)第1リアクター領域を囲むリアクターハウジングパーツ;
b)第2リアクター領域を囲むリアクターハウジングパーツ;
c)少なくとも部分領域において液透過性である膜ユニット
に分解することができる、請求項1に記載のバイオリアクター。
【請求項3】
第1リアクターハウジングパーツがリアクターカバーを構成しかつ第2リアクターハウジングパーツがリアクター下部パーツを構成する、請求項1または2に記載のバイオリアクター。
【請求項4】
2つのリアクターハウジングパーツをお互いと、気密方式で、特にねじ接続により接続することができる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項5】
膜ユニットが膜とフレームから成るかまたは膜ユニットが膜だけから成る、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項6】
膜ユニットがディスク形状であり、かつその2つの表面が2つのリアクター領域の間に水平に配置された、請求項1〜5のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項7】
膜が膜ユニットの領域の25%〜100%を占める、請求項1〜6のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項8】
膜が最小限で0.1μmおよび最大限で20μmの孔径を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項9】
膜ユニットの膜が最小限で105孔/cm2および最大限で107孔/cm2の孔密度を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項10】
第1リアクターハウジングパーツが、少なくとも1つの換気開口部、特に無菌フィルターを備えたもの、および/または閉鎖可能なピペット用開口部を有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項11】
バイオリアクターTEER値を測定するための電極を有する、請求項1〜10のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項12】
バイオリアクターがボックス形状または缶形状である、請求項1〜11のいずれか1項に記載のバイオリアクター。
【請求項13】
細胞を培養するための、請求項1〜12のいずれか1項に記載のバイオリアクターの使用。
【請求項14】
組織を細胞培養から産生するための自動化デバイスにおける、請求項1〜12のいずれか1項に記載のバイオリアクターの使用。
【請求項15】
a)請求項1〜12のいずれか1つに記載のバイオリアクターを提供するステップ;
b)細胞を膜ユニットの膜に塗布するステップ;
c)細胞をバイオリアクターで培養するステップ
を含むものである、細胞を培養する方法。
【請求項16】
細胞の培養後に細胞を膜表面から剥離するステップを含み、該ステップが細胞を剥離するのに好適な溶液を、細胞を塗布してない膜の表面に接するリアクター領域中に、このリアクター領域の開口部を通して注ぎ、前記溶液を膜と接触させることを特徴とする、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記方法を自動化方式で、特に、組織を細胞培養から産生するための自動化デバイスでおよび/またはロボットを用いて行う、請求項15〜16のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−526522(P2012−526522A)
【公表日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−510122(P2012−510122)
【出願日】平成22年2月20日(2010.2.20)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001081
【国際公開番号】WO2010/130306
【国際公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(500242786)フラウンホファー ゲセルシャフト ツール フェールデルンク ダー アンゲヴァンテン フォルシュンク エー.ファオ. (47)
【Fターム(参考)】