説明

バイパス・ラインを1つ置きの床内に包含し、注入および抜き出しの間におけるコントロールされたフラッシング・フロー・レートを伴う擬似移動床分離のための方法および装置

【課題】バイパス・ラインは注入または抜き出し運転の間にバイパス・ラインが系統的に閉じられることがなく、フロー・レートを管理するためのルールは、注入または抜き出し運転の間にバイパス・ラインに対して適用する方法の提供。
【解決手段】原液FのSMB分離のためにSMBデバイス内において実施される方法であって、前記SMBデバイスは少なくとも1つのカラムを有し、前記カラムは、それぞれが注入/抜き出しシステムを包含するプレートPによって分離される複数の吸着剤床からなり、前記方法において前記原液Fおよび脱着剤Dが注入され、少なくとも1つのエキストラクトEおよび少なくとも1つのラフィネートRが抜き出され、前記注入および抜き出しのポイントは、1つの吸着剤床および切換え時間STに対応する値により時間と共にシフトされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸留法による分離が困難な、自然または化学的に製造された生成物を分離する分野に関する。擬似向流または擬似並流のいずれかのモードにおいて、擬似移動床方法または分離デバイスとして知られる方法および関連するデバイスのファミリが使用され、以下においてはそれに包括的な用語『SMB』を用いる。
【0002】
関係のある分野には、限定ではないが次のものが含まれる。
・枝分かれパラフィン、ナフテンおよび芳香族からのノーマル・パラフィンの分離、
・オレフィン/パラフィン分離、
・芳香族C8異性体からのp‐キシレンの分離、
・芳香族C8異性体からのm‐キシレンの分離、および
・芳香族C8異性体からのエチルベンゼンの分離。
【0003】
多くのそのほかの応用が精油所および総合石油化学工場を超えて存在し、引用できるものには、グルコース/フルクトース分離、クレゾールの位置異性体の分離、光学異性体の分離等が含まれる。
【背景技術】
【0004】
SMB分離は、この分野においてよく知られている。概して言えば、擬似移動床モードにおいて運転するカラムは、少なくとも3つの運転ゾーン、場合によっては4または5つの運転ゾーンからなり、前記ゾーンのそれぞれは特定数の連続する床によって構成され、かつ各ゾーンは、供給ポイントと抜き出しポイントの間にあるそれ自体のポジションによって定義される。通常、SMBカラムは、分別すべき少なくとも1つの原液Fおよび脱着剤D(しばしば、溶離剤と呼ばれる)が供給され、少なくとも1つのラフィネートRおよびエキストラクトEが前記カラムから抜き出される。
【0005】
供給および抜き出しポイントは、1つの床に対応するバルブにより、時間と共に規則的に、それらの相対的なポジションを維持しつつ同じ方向にシフトされる。供給および抜き出しポイントの連続する2つのシフトを分ける時間間隔を「期間」(period)と呼ぶ。
【0006】
定義により、運転ゾーンのそれぞれには次のとおり、番号が指定されている。
・ゾーン1=エキストラクト中の混合物の脱着のためのゾーンであって、脱着剤Dの注入とエキストラクトEの抜き出しの間にあるゾーン、
・ゾーン2=ラフィネート内の混合物の脱着のためのゾーンであって、エキストラクトEの抜き出しと分離されるべき原液Fの注入の間にあるゾーン、
・ゾーン3=エキストラクト中の混合物の吸着のためのゾーンであって、原液の注入とラフィネートRの抜き出しの間にあるゾーン、および
・ラフィネートの抜き出しと脱着剤の注入の間に好ましくはゾーン4が配置される。
【0007】
先行技術は、擬似移動床法による原液分離を実施するための様々なデバイスおよび方法を詳細に述べている。
【0008】
特に引用できる特許は、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、および特許文献8である。これらの特許は、SMBの機能も詳細に述べている。
【0009】
SMBデバイスは、典型的には、いくつかの連続する吸着剤の床Aに分割される少なくとも1つ(多くの場合は2つ)のカラムからなり、前記床はプレートPによって分離され、各プレートPは、原液の供給または脱着剤の注入およびラフィネートまたはエキストラクトの抽出という連続する運転を実施することができる1、2または4つのチャンバからなる。
【0010】
本発明は、単一チャンバ・デバイス、すなわち前記チャンバを使用して様々なストリームの供給および抜き出し両方を実施することが可能なデバイスのカテゴリに属する。
【0011】
以下に、より詳細を述べる。プレートは一般に複数のパネルに分割され、各パネルは、ストリームの供給および抜き出しのためのチャンバからなる。
【0012】
プレートPのそれぞれは、典型的には、分配/抽出ラインまたはシステムを介して供給される『DMEプレート』と呼ばれる複数の分配器‐混合器‐抽出器パネルを包含する。これらのプレートは、任意タイプおよび任意幾何学形状とすることができる。
【0013】
プレートは、一般に、カラムのセクション内の隣接するセクタに対応するパネル、たとえば特許文献9の図8に記述されているようなアンギュラ・セクタを伴うパネル、または特許文献10の中で述べられているようなパラレル・セクタを有するパネルに分割される。
【0014】
好ましくは、本発明の分離カラムは、二重対称(di-symmetrical)の供給およびパラレル・セクタを有するタイプのDMEプレートからなる。
【0015】
それぞれの床にわたる分配は、先行する床から来る主ストリームが収集されること、補助流体または二次流体の注入が可能である一方、それら2つの流体が可能な限り混合できることを要求し、または、収集される流体の一部が除去可能であり、抽出してデバイスの外に送出可能であり、かつ流体が次の床にわたって再分配可能である必要があることを要求する。
【0016】
すべてのSMBデバイスに関する一般的な課題は、SMBの運転の間にわたる供給ポイントおよび抜き出しポイントの修正(modification)の間にプレートへの流体の供給およびそこからの抜き出しのための1つまたは複数の回路の様々なゾーンの中に見られる液体によって生成される汚染を最少化することである。
【0017】
運転シーケンスの間にプレートPのためのライン、チャンバまたは供給ゾーンがプロセス流体によってフラッシュされなくなると、それが、液体が滞留するデッド・ゾーンとなり、その中にもう一度別のプロセス流体が流入しない限り再び移動しない。SMBの運転は、これが、考慮中のライン内に滞留している流体と異なる流体であるプロセス流体であることを意味する。
【0018】
実質的に異なる組成をもつ流体の短時間にわたる混合または移動は、組成の不連続性が回避されるべき理想的な運転と比べたときに、考慮中のゾーンの濃度分布(profile)内に乱れ(perturbation)をもたらす。
【0019】
別の問題は、プレートの様々なゾーンの間の非常に小さい圧力差に起因する、同一プレートの様々なゾーンの間、(より一般的には同一プレートの分配/抽出システムの全体にわたって)、可能性のある再循環に存在し、これが、理想的な運転との比較においてさらに乱れをもたらす。
【0020】
再循環およびデッド・ゾーンに起因する問題を克服するために、先行技術において様々な解決策が知られている。
【0021】
(a)脱着剤または比較的純粋な望ましい生成物を使用して所定プレートの分配/抽出システムのフラッシュを行う提案がすでになされている。このテクニックは、抽出の間における所望の生成物の汚染を回避する。しかしながら、フラッシング液体が、それが置き換わる液体と非常に異なる組成を有することから、これが理想的な運転に有害な組成の不連続性をもたらす。このフラッシングの第1の変形では、典型的には、高い濃度勾配(gradient)を伴う短時間のフラッシュを行う。このようなフラッシュは、組成の不連続性の効果を制限するために厳密に短い時間のものとなる。
【0022】
(b)特許文献11および特許文献12で述べられているとおり、別の解決策は、主ストリームの殆どをカラムの内側に通し、そのストリームのわずかな部分(通常、主ストリームの1%〜20%)を、連続するプレートの間の外部バイパス・ラインを介して外側を通過させる。この分配/抽出システムの、上にあるプレートに由来するストリームによる1つのプレートにおけるフラッシングは、通常連続的に行われ、その結果、分配/抽出システムのラインおよびゾーンが連続的にフラッシュされ、『デッド』ゾーンとなることがなくなる。
【0023】
この種の、バイパス・ラインを介した連続フラッシングを伴うシステムは、特許文献13の図2の中で開示されている。バイパス・ラインの直径は概して小さく、ラインは直径の小さいバルブを含み、それがこのシステムのコストを下げている。
【0024】
特許文献11および特許文献12の教示によれば、所定のプレートの分配/抽出システムは、置換えられる液体(分配システム内にあるか、またはプレート上を移動している液体)と非常に近い組成を有する液体を用いてフラッシュされることが意図される。したがって、異なる組成をもつ流体の混合が最小化され、組成の不連続性が低減される。
【0025】
このため特許文献11、特許文献12は、バイパス・ライン内におけるフラッシュ・フロー・レートを、各バイパス・ライン内での(transit)のレートがSMBの主ストリーム内の濃度勾配の前進(advance)のレートと実質的に同一となるように、使用することを推奨している。そのためこれは、『同期』(synchronous)フラッシングまたは『同期(synchronicity)フロー・レート』フラッシングと呼ばれる。したがって様々なラインまたは容積が、その中の液体と実質的に同一の組成を有する流体によってフラッシュされ、バイパス・ライン内を移動する液体が、主ストリームの組成が実質的に同じになるポイントにおいて再導入される。
【0026】
したがってフラッシュが、低いかまたはゼロの濃度勾配を伴って同期する。
【0027】
その特許の教示によれば、1つのプレートPで生じて次のプレートPi+1へ向うフロー・レートQSi/i+1がV/STに等しいときフラッシュが『同期』しているといい、ここでVを、プレートPの分配システムの容積(すなわちV)、Pi+1の分配システムの容積(すなわちVi+1)、および前記2つのプレートの間のバイパス・ラインの容積(すなわちVLi/i+1)の累積(cumulative)容積、STを供給/抽出の2つの連続する切替えの間におけるSMBの切換え時間とする。
【0028】
したがって、ここで次式が得られる。
同期フロー・レート=QSi/i+1=(V+Vi+1+VLi/i+1)/ST
ここで、
・QSi/i+1=プレートPiから来て、次の(通常はより低い)プレートPi+1へ向うフラッシュのフロー・レート、
・V=アウトフロー・プレートPの分配/抽出システムの容積、
・Vi+1=インフロー・プレートPi+1の分配/抽出システムの容積、
・VLi/i+1=PとPi+1の間のバイパス・ラインの容積、および
・ST=切換え時間。
【0029】
同期フラッシングは、通常、各ゾーンに適合された、前記ゾーン内の同期フロー・レートの50%〜150%(理想的には同期フロー・レートの100%)の、コントロールされたフロー・レートで実施される。SMBの4つのゾーンのバイパス・ライン内のフロー・レートは、各バイパス・ライン内の調整手段によってコントロールされる。
【0030】
例として述べるが、当業者は、これらのすべてのゾーン内の同期フロー・レートの90%または110%、または同期フロー・レートの100%に近い任意のそのほかの値のフロー・レートを使用することができる。しかしながら調整手段が存在することを前提とすれば、当業者は、上で引用した特許の教示に従って、同期フロー・レートと正確に対応する(同期フロー・レートの100%)態様で4つのゾーン内のフロー・レートをコントロールすることを当然に選択することになろう。
【0031】
産業上非常に重要なSMB分離デバイスの1つの例は、通常少なくとも99.7重量%の商業品質のp‐キシレンを製造するための芳香族C8カット、およびエチルベンゼン、o‐キシレン、およびm‐キシレンが豊富なラフィネートの分離に関する。
【0032】
引用したこれら2つの実施技術は、商業純度の目標を達成することができる。しかしながら出願人は、特許文献11、特許文献12の『同期フラッシュ』の教示がその先行技術に対して明確な改善を構成するが、バイパス・ラインの様々なフロー・レートを定義するルールに改良を加えることによって擬似移動床分離方法の操作および性能をさらに向上する意外な可能性があることを立証した。
【0033】
最後に、特許文献14は、ラインが各ラインに適用されることになるフロー・レートに関するルールを用いてインデクス『i』のパリティを区別することなくすべてのプレートP、Pi+1を接続するバイパス・ライン・デバイスを述べており、当該ルールは、ゾーン上に少なくとも1つの閉じられたバイパス・ラインがあるか否か、またはすべてのバイパス・ラインが開いているか否かに応じて異なる。
【0034】
特許文献14によれば、『いくつかの理由から所定のゾーン内のバイパス・ラインの閉鎖が生じる。詳細には、流体(原液または脱着剤)がプレートP内に注入されるとき、注入ラインが使用される。そのラインは、前記プレートに接続されたバイパス・ライン、すなわちバイパス・ラインLi‐1/iまたはバイパス・ラインLi/i+1と接続されている。使用されている注入ラインがいずれのバイパス・ラインと接続されているかによらず、注入される流体が正しくプレートPへ向って流れることを保証するために、その後オン‐オフ・バルブ、フロー調整バルブまたはノン‐リターン・バルブ、またはそのほかのテクニックの、フローを停止することが可能な任意手段によって前記ラインを閉じる必要がある。』
【0035】
『それと同じ態様で、プレートPからの流出物(エキストラクトまたはラフィネート)を抜き出すときには抜き出しラインが使用される。この抜き出しラインが、前記プレートに接続されたバイパス・ライン、すなわちバイパス・ラインLi‐1/iまたはバイパス・ラインLi/i+1のいずれかと接続される。使用されている抜き出しラインがいずれのバイパス・ラインと接続されているかによらず、流体が正しくプレートPから抜き出されることを保証するために、その後オン‐オフ・バルブ、フロー調整バルブまたはノン‐リターン・バルブ、またはそのほかのテクニックの、フローを停止することが可能な任意手段によって前記ラインを閉じる必要がある。』と述べられている。
【0036】
この出願においては、注入または抜き出し運転の間に、すなわちより厳密には、前記バイパス・ラインが運転時に注入ラインまたは抜き出しラインと接続されるとき、バイパス・ラインがシステム的に(systematically)閉じられることがない。
【0037】
特許文献15は、各バイパス・ラインへ適用されるフロー・レート・ルールがカラムの様々な運転ゾーンのそれぞれについて定義されるという点において特許文献14の改良である。当該特許文献15は、2つの連続するプレートを接続するバイパス・ラインの特定の構成に関し、特許文献16および特許文献17で述べられているとおり、最初のプレートが偶数インデクスを有するか、またはそれを除いた態様においては(in an exclusive manner)奇数インデクスを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0038】
【特許文献1】米国特許第2,985,589号明細書
【特許文献2】米国特許第3,214,247号明細書
【特許文献3】米国特許第3,268,605号明細書
【特許文献4】米国特許第3,592,612号明細書
【特許文献5】米国特許第4,614,204号明細書
【特許文献6】米国特許第4,378,292号明細書
【特許文献7】米国特許第5,200,075号明細書
【特許文献8】米国特許第5,316,821号明細書
【特許文献9】米国特許第6,537,451号明細書
【特許文献10】米国特許第6,797,175号明細書
【特許文献11】米国特許第5,972,224号明細書
【特許文献12】米国特許第6,110,364号明細書
【特許文献13】仏国特許第2,772,634号明細書
【特許文献14】仏国特許出願第08/04637号(特許第2,935,100号)明細書
【特許文献15】仏国特許出願第09/01784号(特許第2,944,215号)明細書
【特許文献16】仏国特許第2,904,776号明細書
【特許文献17】仏国特許第2,913,345号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0039】
この出願は、次の点において特許文献15の改良である。
・第1に、バイパス・ラインは、注入または抜き出し運転の間に、すなわちより厳密には、前記バイパス・ラインが運転時に注入ラインまたは抜き出しラインと接続されるとき、バイパス・ラインが系統的に閉じられることがなく、
・第2に、フロー・レートを管理するためのルールは、注入または抜き出し運転の間にバイパス・ラインに対して適用するものである。
【課題を解決するための手段】
【0040】
本発明は、2つの連続するプレートを接続するバイパス・ラインの特定の構成に関し、最初のプレートが偶数インデクスを有するか、またはそれ を除いた態様においては奇数インデクスを有する。
【0041】
図1aは、P、Pi+1、Pi+2、Pi+3として示された4つの分配器プレートによって分離された5つの床を包含する本発明の擬似移動床(SMB)デバイスの部分を表し、前記4つの分配器プレートは、2つのバイパス・ラインLi/i+1およびLi+2/i+3によってペア構成で接続される。各バイパス・ラインは、同一の手段を包含する。ラインLi/i+1は、原液F注入ラインへの接続、脱着剤D注入ラインへの接続、エキストラクトE抜き出しラインへの接続、およびラフィネートR抜き出しラインへの接続を包含する。
【0042】
注入ラインへの接続は、抜き出しラインへの接続の上流に配置される。注入ラインへの接続と抜き出しラインの間に調整バルブVi/i+1がある。バイパス・ラインLi/i+1は、さらにVおよびVi+1として示された2つの『オン‐オフ』バルブを包含する。
【0043】
はプレートPと注入および抜き出しラインとの接続の間に配置されており、Vi+1は注入および抜き出しラインへの接続とプレートPi+1の間に配置されている。
【0044】
図1bは、P、Pi+1、Pi+2、Pi+3として示された4つの分配器プレートによって分離された5つの床を包含する本発明の擬似移動床(SMB)デバイスの変形の部分を表し、これら4つの分配器プレートは、2つのバイパス・ラインLi/i+1およびLi+2/i+3を介してペア構成で接続される。各バイパス・ラインは、同一の手段を包含する。
【0045】
ラインLi/i+1は、原液F注入ラインへの接続、脱着剤D注入ラインへの接続、エキストラクトE抜き出しラインへの接続、およびラフィネートR抜き出しラインへの接続を包含する。
【0046】
バイパス・ラインLi/i+1は、さらに、2つの調整バルブVおよびVi+1を包含する。
【0047】
はプレートPと注入および抜き出しラインとの接続の間に配置されており、Vi+1は注入および抜き出しラインへの接続とプレートPi+1の間に配置されている。
【0048】
図1cは、P、Pi+1、Pi+2、Pi+3として示された4つの分配器プレートによって分離された5つの床を包含する本発明の擬似移動床(SMB)デバイスの別の変形の部分を表し、これら4つの分配器プレートは、2つのバイパス・ラインLi/i+1およびLi+2/i+3を介してペア構成で接続される。各バイパス・ラインは、同一の手段を包含する。ラインLi/i+1は、2つの原液F注入ラインへの2つの接続、2つの脱着剤D注入ラインへの2つの接続、2つのエキストラクトE抜き出しラインへの2つの接続、および2つのラフィネートR抜き出しラインへの2つの接続を包含する。
【0049】
注入および抜き出しラインへの接続は、2つのグループに分割され、1つはバイパス・ラインLi/i+1の上流、残りはその下流に分けられる。
【0050】
各グループは、原液Fの注入のため、脱着剤Dの注入のため、エキストラクトEの抜き出しのため、およびラフィネートRの抜き出しのためのラインへの接続を包含する。
【0051】
バイパス・ラインLi/i+1は、さらに、一方におけるバイパス・ラインの上流の注入および抜き出しラインの接続と、他方におけるバイパス・ラインの下流の注入および抜き出しラインの接続の間に配置された調整バルブVi/i+1を包含する。
【0052】
図2は、運転時の擬似移動床デバイスの第1の変形の部分を表す。デバイスのこの部分は、P、P、P、Pとして示された4つの分配器プレートを包含する。
【0053】
図2の最初の部分(左部分)は、プレートP上に脱着剤Dが注入される間の時間tにおける構成を示し、その間はバイパス・ラインL2/3の第2の部分においてフラッシングのフロー・レートが調整される。また、時間tにおいては、プレートPからエキストラクトEが抽出され、バイパス・ラインL4/5の第2の部分内にはフローがない。
【0054】
図2の2番目の部分(右部分)は、時間t後の1切換え期間(すなわち、t+Δt)における前述の構成を示している。脱着剤DがプレートP上に注入され、バイパス・ラインL2/3の第1の部分内にフローがない。この時間、すなわちt+Δtにおいても、バイパス・ラインL4/5の第1の部分でフラッシングのフロー・レートの調整を行う間にエキストラクトEがプレートPから抜き出される。
【0055】
図3は、運転中の12の床によって構成される先行技術の擬似移動床デバイスを示している。
【0056】
図3aは、サイクルの第1ステップに対応する。
【0057】
図3bは、サイクルの第2ステップに対応する。
【0058】
図4は、運転中の12の床によって構成される本発明の擬似移動床デバイスを示している。
【0059】
図4aは、サイクルの最初のステップに対応する。
【0060】
図4bは、サイクルの2番目のステップに対応する。
【0061】
本発明は、カラムの全長に沿って2つの連続するプレート、すなわちPとする上流のプレートおよびPi+1とする下流のプレートを直接結合する外部バイパス・ラインLi/i+1を包含するデバイスのバイパス・ラインを管理するための方法に関し、ここでインデクス『i』は、偶数または(それを除いて)奇数である。
【0062】
明瞭のため、第1の場合においては、バイパス・ラインがプレートPとP、PとP、PとPという形で以下同様にプレートを接続する。
【0063】
別の場合においては、バイパス・ラインがプレートPとP、PとP、PとPという形で以下同様にプレートを接続する。
【0064】
運転中の注入ラインまたは抜き出しラインと接続されるバイパス・ラインは、運転中の注入ラインまたは抜き出しラインのいずれとも接続されないバイパス・ラインと区別される必要がある。
【0065】
運転中の注入ラインまたは抜き出しラインのいずれとも接続されないバイパス・ラインについては、特許文献15に定義されているとおり、バイパス・ライン内のフロー・レートを調整するルールが継続的に適用される。
【0066】
本発明は、運転中の注入ラインまたは抜き出しラインと接続されるバイパス・ラインだけに適用され、特定の場合に、前記バイパス・ライン上のフラッシング・フローを確立することからなる。
【0067】
このフラッシング・フローは、運転中の注入ラインに接続されたバイパス・ライン内において生じるときは、したがって前記注入フローの一部によって構成される。
【0068】
このフラッシング・フローは、運転中の抜き出しラインに接続されたバイパス・ライン内において生じるときは、したがって前記抜き出しフローの一部を構成する。
【0069】
次の2つの場合を区別することが可能であり、それらが本発明の発明の要旨を形成する。
(a)原液または脱着剤が、上に定義されている方向において上流プレートと呼ばれるプレート上に注入される場合、および
(b)エキストラクトまたはラフィネートが、上に定義されている方向において下流プレートと呼ばれるプレートから抜き出される場合。
【0070】
本発明のデバイスのより良好な理解のためには、上流プレートPを下流プレートPi+1へ接続しているバイパス・ラインLi/i+1上において、次に示す2つの部分が区別されなければならない。
・前記バイパス・ラインの上流に位置するプレートPと、注入または抜き出しラインとの接続ポイントの間にある第1の部分、および
・注入または抜き出しラインとの接続ポイントと、前記バイパス・ラインの下流に位置するプレートPi+1の間にある第2の部分。
【0071】
続いて本発明を構成する2つのルールを次のとおりに述べることができる。
(a)原液または脱着剤が上流プレートP上に注入されるときには、フラッシング・フローがバイパス・ラインの第2の部分内に導入されて前記フラッシング・フローが同期フロー・レートの50%プラスまたはマイナス5%とほぼ等しい値に調整され、バイパス・ラインの第1の部分内において、注入フロー・レートが、バイパス・ラインの第2の部分内に導入されるフラッシング・フローのための値を減じた原液または脱着剤の注入のためのフロー・レートと等しくなることによって補正(correct)され、
(b)エキストラクトまたはラフィネートが下流プレートPi+1から抜き出されるときには、フラッシング・フローがバイパス・ラインの第1の部分内に導入されて前記フラッシング・フローが同期フロー・レートの50%プラスまたはマイナス5%と等しい値に調整され、バイパス・ラインの第2の部分内において、抜き出しフロー・レートが、バイパス・ラインの第1の部分内に導入されるフラッシュのフロー・レートの値を減じたエキストラクトまたはラフィネートの抜き出しのためのフロー・レートと等しくなることによって補正される。
【0072】
同期フロー・レートは(V+Vi+1+VLi/i+1)/STとして定義され、この式において、
は上流プレートPの分配/抽出システムの容積を表し、
i+1は下流プレートPi+1の分配/抽出システムの容積を表し、
VLi/i+1はPとPi+1の間のバイパス・ラインの容積を表し、
STは切換え時間を表す。
【0073】
比較的意外なことに、ルール(a)および(b)に従ったフラッシング・フローの設定が、以下の実施例の中で例証されているとおり、所望の生成物の歩留まりにおける有意な利得をもたらし得ることが明らかになった。
【0074】
本発明の第1の変形によれば、SMBユニットの床の総数は12であり、様々なゾーン内において以下のとおりに分配される。
ゾーン1内に2床、
ゾーン2内に5床、
ゾーン3内に3床、
ゾーン4内に2床。
【0075】
本発明の第2の変形においては、SMBユニットの床の総数は15であり、様々なゾーン内において以下のとおりに分配される。
ゾーン1内に3床、
ゾーン2内に6床、
ゾーン3内に4床、
ゾーン4内に2床。
【0076】
本発明の方法は、芳香族C8炭化水素の混合物内のp‐キシレンの分離に応用できる。
【0077】
また本発明の方法は、芳香族C8炭化水素の混合物内のm‐キシレンの分離に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】4つの分配器プレートによって分離された5つの床を包含する本発明の擬似移動床(SMB)デバイスの部分を表した説明図である。
【図2】図1(a)に示されている構成に基づいた運転時の擬似移動床デバイスの部分を表した説明図である。
【図3】運転中の12の床によって構成される先行技術の擬似移動床デバイスを表した説明図である。
【図4】運転中の12の床によって構成される本発明の擬似移動床デバイスを表した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0079】
本発明は、改良された擬似移動床分離デバイスに関する。
【0080】
より厳密に述べれば、本発明は、様々な流体の注入および抜き出しのための単一チャンバを伴うSMBユニットの分野に含まれ、各プレートが特定数のパネルに分割され、各パネルに流体の注入および抜き出しのためのチャンバが備えられる。
【0081】
それに加えて本発明のSMBユニットは、バイパス・ラインが2つの隣接するプレート、すなわちインデクス『i』を偶数または(それを除いて)奇数のいずれかとするPとPi+1を、カラムの全長にわたって接続するユニットである。したがって、任意のインデクス『i』(偶数または奇数)を考えた場合に、プレートPが、バイパス・ラインを介してプレートPi+1または(それを除いて)プレートPi‐1へ接続される。
【0082】
図1aは、上流プレートPを下流プレートPi+1へ接続するバイパス・ラインLi/i+1を示している。このバイパス・ラインLi/i+1は、原液Fおよび脱着剤Dの注入のためのラインおよびエキストラクトEおよびラフィネートRの抜き出しのためのラインを包含する。
【0083】
注入ラインへの接続は、抜き出しラインへの接続の上流に位置する。注入ラインへの接続と抜き出しラインへの接続の間には、調整バルブVi/i+1が備わる。バイパス・ラインLi/i+1はまた、VおよびVi+1として示された2つのオン‐オフ・バルブを包含する。Vは、プレートPと注入および抜き出しラインへの接続の間に配置されており、Vi+1は、注入および抜き出しラインへの接続とプレートPi+1の間に配置されている。
【0084】
本発明のデバイスの変形(図1b)は、バイパス・ラインLi/i+1がオン‐オフ・バルブを含まず、注入ラインへの接続と抜き出しラインへの接続の間に調整バルブの配置もないが、2つの調整バルブVおよびVi+1を包含する。
・VはプレートPと注入および抜き出しラインへの接続の間に配置され、
・Vi+1は注入および抜き出しラインへの接続とプレートPi+1の間に配置される。
【0085】
意外なことに、運転中の注入または抜き出しラインへ接続されるバイパス・ラインの理想的な機能は、前記バイパス・ラインの部分における特定のフラッシング・フローの確立を必然的に伴うことが分かっている。
【0086】
次に示すバイパス・ラインLi/i+1の2つの部分を識別することが可能である。
・前記バイパス・ラインの上流に位置するプレートPと注入または抜き出しラインとの接続ポイントの間にある第1の部分、および
・注入または抜き出しラインとの接続ポイントと前記バイパス・ラインの下流に位置するプレートPi+1の間にある第2の部分。
【0087】
原液または脱着剤が上流の位置にあるプレートP上に注入されるとき、前記プレートPはバイパス・ラインLi/i+1を介してプレートPi+1へ接続されているが、先行技術に開示されたものとは対照的に、バイパス・ラインLi/i+1は閉じられてはならず、その逆にバイパス・ラインの第2の部分内を流れるフラッシング・フローのフロー・レートが調節(modulate)されてプレートPi+1を洗い流す(rinse)。
【0088】
このフロー・レートは、概略で同期の50%に対応するべく調整(regulate)されなければならない。バイパス・ラインLi/i+1の第1の部分内を流れる補正後の注入フローは、その後、バイパス・ラインの第2の部分内を流れるフラッシュのフロー・レートによって減じられた原液または脱着剤の注入フロー・レートと等しくなる。
【0089】
原液または脱着剤が下流の位置にあるプレートPi+1上に注入されるとき、前記プレートPi+1はバイパス・ラインLi/i+1を介してプレートPへ接続されているが、その場合には前記バイパス・ラインが閉じられなければならない。バイパス・ラインの第2の部分内のフロー・レートは、原液または脱着剤の注入フロー・レートと等しくなる。
【0090】
図2は、時間tにおいてバイパス・ラインL2/3上における脱着剤Dの注入の間にフラッシング・フローが存在する場合を示す。以下の説明は、調整バルブVi/i+1および2つのバルブVおよびVi+1を包含するバイパス・ライン(図1a)の構成に基づく。
【0091】
脱着剤Dは、バイパス・ラインL2/3の上流に位置するプレートであるプレートP上へのストリームの注入が行われるようにバイパス・ラインL2/3上に注入される。したがって、調整バルブV2/3が脱着剤Dからなるフラッシング・フローを調整することが可能であり、オン‐オフ・バルブVおよびVは開かれている。このフラッシング・フローは、プレートPを洗い流すことができる。
【0092】
時間t+Δt(Δtは切換え時間)に、バイパス・ラインL2/3の下流に位置するプレートであるプレートP上へのストリームの注入が行われるようにバイパス・ラインL2/3上においてフローDの注入が行われる。この場合には、バイパス・ラインL2/3の第2の部分内にのみフローが生じるように、オン‐オフ・バルブVが閉じられ、バルブVが開かれる。
【0093】
同様に、エキストラクトまたはラフィネートがプレートPi+1から抜き出されるとき、前記プレートPi+1はバイパス・ラインLi/i+1を介してプレートPへ接続されているが、先行技術に開示されたものとは対照的に、該バイパス・ラインは閉じられてはならず、その逆にバイパス・ラインLi/i+1の第1の部分内を流れるフラッシング・フローのフロー・レートが修正(modulate)されてプレートPの内容物が抜き出されることを可能にする。
【0094】
このフローは、概略で同期の50%に対応するべく調整されなければならない。バイパス・ラインLi/i+1の第2の部分内を流れる補正後の抜き出しフローは、その後、バイパス・ラインの第1の部分内を流れるフラッシュのフロー・レートによって減じられたエキストラクトまたはラフィネートの抜き出しのフロー・レートと等しくなる。
【0095】
エキストラクトまたはラフィネートがプレートPから抜き出されるとき、前記プレートPはバイパス・ラインLi/i+1を介してプレートPi+1へ接続されているが、その場合には前記バイパス・ラインは閉じられなければならない。
【0096】
図2は、時間t+Δtにバイパス・ラインL4/5上においてエキストラクトEの抜き出しが行われる間にフラッシング・フローが存在する場合を示す。以下の説明は、調整バルブVi/i+1および2つのバルブVおよびVi+1を包含するバイパス・ライン(図1a)の構成に基づく。
【0097】
時間tにおいて、バイパス・ラインL4/5の上流に位置するプレートであるプレートPにおけるストリームを抜き出すようにエキストラクトEがバイパス・ラインL4/5から抜き出される。したがって、バイパス・ラインL4/5の第1の部分内にのみフローが生じるように、オン‐オフ・バルブVが閉じられ、オン‐オフ・バルブVが開かれる。時間t+Δt(Δtは切換え時間)に、バイパス・ラインL4/5の下流に位置するプレートであるプレートPからのストリームの抜き出しが行われるようにバイパス・ラインL4/5上においてエキストラクトEの抜き出しが行われる。この場合には、プレートPから抜き出されるフラッシング・フローのレートの調整に調整バルブV4/5が使用され、オン‐オフ・バルブVおよびVが開かれる。
【0098】
より厳密に述べれば、本発明は、少なくとも1つのカラムを有する擬似移動床(SMB)デバイスにおける原液FのSMB分離のための方法として定義可能であり、前記カラムは、それぞれが注入/抜き出しシステムを包含するプレートPによって分離される複数の吸着剤の床からなり、その方法においては原液Fおよび脱着剤Dが注入され、少なくとも1つのエキストラクトEおよび少なくとも1つのラフィネートRが抜き出され、注入および抜き出しのポイントが、切換え時間STをもった1つの吸着剤床に対応する値により経時的に(over time)シフトされ、さらにSMBの複数の運転ゾーン、特に
・脱着剤Dの注入とエキストラクトEの抜き出しの間にあるゾーン1、
・エキストラクトEの抜き出しと原液Fの注入の間にあるゾーン2、
・原液Fの注入とラフィネートRの抜き出しの間にあるゾーン3、および
・ラフィネートRの抜き出しと脱着剤Dの注入の間にあるゾーン4
の4つの主ゾーンが決定され、デバイスはさらに、カラムの全長にわたって2つの連続するプレート、すなわちインデクス『i』を偶数または(それを除いて)奇数のいずれかとするPとして示される上流プレートおよびPi+1として示される下流プレートを直接結合する外部バイパス・ラインLi/i+1を包含し、かつ前記プレートのフラッシングを可能にし、当該デバイスにおいてバイパス・ラインLi/i+1は、2つの部分、すなわち
・前記バイパス・ラインの上流に位置するプレートPと、注入または抜き出しラインとの接続ポイントの間にある第1の部分、および
・注入または抜き出しラインとの接続ポイントと、前記バイパス・ラインの下流に位置するプレートPi+1の間にある第2の部分、
に区分され、かつ当該デバイスにおいてバイパス・ラインLi/i+1のそれぞれは、バイパス・ライン内のフラッシング・フローを調整するための自動化された手段を包含し、前記フラッシング・フローは、バイパス・ラインが運転中の注入または抜き出しラインへ接続されるときに次に示す2つのルールに従って設定される。
(a)原液または脱着剤が上流プレートP上に注入されるときには、フラッシング・フローがバイパス・ラインの第2の部分内に導入されて前記フラッシング・フローが、同期フロー・レートの50%プラスまたはマイナス5%と等しい値付近に調整され、バイパス・ラインの第1の部分内において、注入フロー・レートが、バイパス・ラインの第2の部分内に導入されるフラッシング・フローのための値を減じた原液または脱着剤の注入のためのフロー・レートと等しくなることによって補正され、
(b)エキストラクトまたはラフィネートが下流プレートPi+1から抜き出されるときには、フラッシング・フローがバイパス・ラインの第1の部分内に導入されて前記フラッシング・フローが同期フロー・レートの50%プラスまたはマイナス5%と等しい値に調整され、バイパス・ラインの第2の部分内において、抜き出しフロー・レートが、バイパス・ラインの第1の部分内に導入されるフラッシュのフロー・レートの値を減じたエキストラクトまたはラフィネートの抜き出しのためのフロー・レートと等しくなることによって補正される。
【0099】
同期フロー・レートは(V+Vi+1+VLi/i+1)/STとして定義され、この式において、
・Vは、脱離プレートPの分配/抽出システムの容積を表し、
・Vi+1は、到着プレートPi+1の分配/抽出システムの容積を表し、
・VLi/i+1は、PとPi+1の間のバイパス・ラインの容積を表し、
・STは、切換え時間を表す。
【0100】
超同期(supersynchronicity)は、次式によって表される。
超同期=考慮中のバイパス・ライン内の実際のフロー・レート/同期フロー・レート−1
【0101】
【実施例】
【0102】
次に示す実施例から、本発明のより良好な理解が得られるであろう。
原液注入、脱着剤(溶離剤または溶剤と呼ぶこともできる)注入、エキストラクト抜き出し、およびラフィネート抜き出しを伴う長さ1.1m、内部半径3.5mの12の床によって構成されるSMBユニットを考える。
【0103】
プレートは、単一の注入/抜き出しチャンバを有する。
【0104】
合計容積は(V+Vi+1+VLi/i+1)として定義され、ここで、VLi/i+1はプレートPからプレートPi+1へのバイパス・ラインの容積であり、VはプレートPの分配/抽出システムの容積であり、Vi+1はプレートPi+1の分配/抽出システムの容積である。
【0105】
合計容積は、プレートPとプレートPi+1の間にある床の容積の3%を表す。
【0106】
床の分配は2/5/3/2の構成とし、すなわち床は次のとおりに分配される。
・ゾーン1内に2床、
・ゾーン2内に5床、
・ゾーン3内に3床、
・ゾーン4内に2床。
【0107】
使用された吸着剤はタイプBaXのゼオライトであり、溶離剤はp‐ジエチルベンゼンである。
【0108】
温度を175℃とし、圧力を15バールとする。
【0109】
原液は、p‐キシレン20%、o‐キシレン24%、m‐キシレン51%、およびエチルベンゼン5%からなる。
【0110】
使用された切換え時間は141.6秒である。
【0111】
したがって、本方法の完全サイクルは12ステップを包含する。
【0112】
原液および脱着剤の注入のための液体フロー・レートは次のとおりである。
・原液については204.1m‐1
・脱着剤については224.5m‐1
すなわち溶剤比S/F=1.1である。
【0113】
ゾーン1内のフロー・レートは888.9m‐1であり、エキストラクトのフロー・レートは96.8m‐1である。
【0114】
すべてのフロー・レートは、25℃の基準温度においてm‐1を単位として与えられている。
【0115】
運転中の注入または抜き出しラインのいずれとも接続されていないバイパス・ライン内のフロー・レートは、ゾーン2において同期の120%に、ゾーン3において同期の125%に調整される。
【0116】
ゾーン1および4が2床によって構成されることから、これらのゾーン内に位置する各バイパス・ラインは、必然的に運転中の注入ラインまたは抜き出しラインと接続される。
実施例1(先行技術による実施例)
【0117】
バイパス・ラインが運転中の注入または抜き出しラインと接続されるときにバイパス・ラインを閉じることからなる先行技術では、シミュレーションにおいて、p‐キシレンの純度99.72%、およびp‐キシレンの歩留まり83.8%が得られた。
【0118】
図3aは、先行技術の擬似移動床デバイスのサイクルの第1ステップを示しており、図3bはその第2ステップを示している。
【0119】
本方法のサイクルを構成する12ステップの間におけるバイパス・ラインの各部分内のフロー・レートを次の表1に示す。
【0120】
表1内の負の値は、バイパス・ラインが運転中の注入または抜き出しラインのいずれにも接続されていないときの、そのライン内のフローと比較した向流に対応する。
実施例2(本発明による実施例)
【0121】
上に定義されているルール(フロー・レートが同期の50%に対応する値に調整される)に従って運転中の注入または抜き出しラインと接続されるバイパス・ライン内のフラッシング・フローを、特定の場合に調整することからなる本発明によれば、p‐キシレンの純度99.76%、およびp‐キシレンの歩留まり85.3%が得られた。
【0122】
図4aは、本発明の擬似移動床デバイスについてのサイクルの第1ステップを示しており、図4bはその第2ステップを示している。
【0123】
本方法のサイクルを構成する12ステップの間におけるバイパス・ラインの各部分内のフロー・レートを次の表2に示す。
【0124】
表2においては、フラッシング・フローについての値が太字で示されている。
【0125】
このフラッシング・フロー・レートは、16.6m/hであった。
【0126】
表2内の負の値は、バイパス・ラインが運転中の注入または抜き出しラインのいずれとも接続されていないときの、そのライン内のフローと比較した向流に対応する。
【0127】
【表1】

【0128】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
原液Fの擬似移動床(SMB)分離のためにSMBデバイス内において実施される方法であって、前記SMBデバイスは少なくとも1つのカラムを有し、前記カラムは、それぞれが注入/抜き出しシステムを包含するプレートPによって分離される複数の吸着剤床からなり、前記方法において前記原液Fおよび脱着剤Dが注入され、少なくとも1つのエキストラクトEおよび少なくとも1つのラフィネートRが抜き出され、前記注入および抜き出しのポイントは、切換え時間STをもった1つの吸着剤床に対応する値により時間と共にシフトされ、さらに前記SMBの複数の運転ゾーン、特に
・前記脱着剤Dの注入と前記エキストラクトEの抜き出しの間にあるゾーン1、
・前記エキストラクトEの抜き出しと前記原液Fの注入の間にあるゾーン2、
・前記原液Fの注入と前記ラフィネートRの抜き出しの間にあるゾーン3、および
・前記ラフィネートRの抜き出しと前記脱着剤Dの注入の間にあるゾーン4
の4つの主ゾーンが決定され、
前記デバイスは、さらに、前記カラムの全長にわたって2つの連続するプレート、すなわちインデクス『i』を偶数または(それを除いて)奇数のいずれかとするPとして示される上流プレートおよびPi+1として示される下流プレートを直接結合する外部バイパス・ラインLi/i+1を包含し、かつ前記プレートのフラッシングを可能にし、前記デバイスにおいてバイパス・ラインLi/i+1が、2つの部分、すなわち
・前記バイパス・ラインの上流に位置する前記プレートPと、前記注入または抜き出しラインとの接続ポイントとの間にある第1の部分、および
・前記注入または抜き出しラインとの接続ポイントと、前記バイパス・ラインの下流に位置する前記プレートPi+1との間にある第2の部分、
に区分され、かつ
前記デバイスにおいてバイパス・ラインLi/i+1のそれぞれが、前記バイパス・ライン内のフラッシング・フローを調整するための自動化された手段を包含し、前記フラッシング・フローは、前記バイパス・ラインが運転中の前記注入または抜き出しラインへ接続されるときに、
(a)原液または脱着剤が上流プレートP上に注入されるときには、フラッシング・フローが前記バイパス・ラインの前記第2の部分内に導入されて前記フラッシング・フローが前記同期フロー・レートの50%プラスまたはマイナス5%と概ね等しい値に調整され、前記バイパス・ラインの前記第1の部分内において、前記注入フロー・レートが、前記フラッシング・フロー・レートのための値によって減ぜられた原液または脱着剤の注入のためのフロー・レートと等しくなることによって補正されること、および
(b)エキストラクトまたはラフィネートが下流プレートPi+1から抜き出されるときには、フラッシング・フローが前記バイパス・ラインの前記第1の部分内に導入されて前記フラッシング・フローが前記同期フロー・レートの50%プラスまたはマイナス5%と等しい値に調整され、前記バイパス・ラインの前記第2の部分内において、前記抜き出しフロー・レートが、前記フラッシュ・フロー・レートの値によって減ぜられたエキストラクトまたはラフィネートの抜き出しのためのフロー・レートと等しくなることによって補正されること、
という2つのルールに従って確定され(established)、
前記同期フロー・レートが(V+Vi+1+VLi/i+1)/STとして定義され、この式において、
・Vは、前記上流プレートPの分配/抽出システムの容積を表し、
・Vi+1は、前記下流プレートPi+1の分配/抽出システムの容積を表し、
・VLi/i+1は、PとPi+1の間の前記バイパス・ラインの容積を表し、かつ
・STは、切換え時間を表す
とする擬似移動床(SMB)分離方法。
【請求項2】
床の総数が12であり、
ゾーン1内に2床、
ゾーン2内に5床、
ゾーン3内に3床、
ゾーン4内に2床
に分配される、請求項1に記載の擬似移動床(SMB)分離方法。
【請求項3】
床の総数が15であり、
ゾーン1内に3床、
ゾーン2内に6床、
ゾーン3内に4床、
ゾーン4内に2床
に分配される、請求項1に記載の擬似移動床(SMB)分離方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の擬似移動床分離方法の応用であって、芳香族C8炭化水素の混合物内のp‐キシレンの分離に対してなされる応用。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれかに記載の擬似移動床分離方法の応用であって、芳香族C8炭化水素の混合物内のm‐キシレンの分離に対してなされる応用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−161439(P2011−161439A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−26617(P2011−26617)
【出願日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【出願人】(591007826)イエフペ エネルジ ヌヴェル (261)
【氏名又は名称原語表記】IFP ENERGIES NOUVELLES
【Fターム(参考)】