説明

バケツ状容器

【課題】 随時取り外して使用することができる状態で清掃器具等を把手部に起立支持することができ、把手部及び起立支持された器具によって妨げられずに、清掃器具等を洗浄したり、清掃器具の清掃部を液状つや出し剤等の液体に浸漬させる等の作業を効率良く行う。
【解決手段】 バケツ状容器Bは、収容部Cと把手部Hからなる。伏倒状態の把手部Hは、収容部Cの上方開口部C3の外周縁の外側において水平状に支持される。把手部Hの横辺部H2には、支持対象器具Mの柄部M1を着脱可能に嵌合させてその器具Mを支持するための貫通孔状の嵌合支持部H5が横辺部H2の長手方向間隔おきの5箇所に形成されている。把手部Hが水平状に支持された状態において、各嵌合支持部H5は上下方向貫通孔状をなし、嵌合支持部H5に対し柄部M1が嵌合した器具Mが起立状態で支持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、把手部に清掃器具等を起立支持し得るバケツ状容器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許第4160169号公報(特許文献1)には、
「上面が開口するバケツ本体と、該バケツ本体の上端部に該バケツ本体を横断するように取付けられた起倒自在の把手とを含み、
【0003】
上記把手が、モップの濡れた糸束を押し付けて絞るための多孔状の窪み部と、給水用ホースの先端を挿入するためのホース孔と、モップの柄を差し込むことによって該モップを逆向きに立てて保管するためのモップ支持孔とを有し、
【0004】
上記把手は、倒した状態でバケツ本体の上面の一部を部分的に覆うプレート状をなしていて、長さ方向一半部側の幅が他半部側の幅より広く形成され、該把手の幅広の一半部側
に上記窪み部が設けられると共に、幅狭の他半部側に、モップをバケツ本体内に出し入れするための空間部が形成されているモップの絞り機能を備えた清掃用バケツ。」(請求項1及び2)が開示されている。
【0005】
この清掃用バケツにおけるプレート状の把手に、モップの柄を差し込むことによって該モップを逆向きに立てて保管するためのモップ支持孔を設けるのは、段落0007に述べられているように、使用後の濡れたモップの収納のためである。このような構成とすることにより、プレート状の把手を倒してバケツ本体の上面の一部を部分的に覆う状態とし、モップ支持孔にモップの柄を差し込んで該モップを逆向きに立てて保管することができる。
【0006】
これにより、段落0015に記載されているとおり、モップとバケツを常にセットにして保管することができるので、取り扱いが容易で、次に使用する際にも非常に便利である。しかも、清掃用バケツをモップの収納にも兼用できるため、非常に合理的且つ効率的であるばかりでなく、モップの保管場所に困ることもなく、濡れたモップを壁に吊したり立て掛けたりする必要がないため、壁面が汚れたり腐食したりするといった問題も解消されるとされている。
【0007】
しかしながら、特許第4160169号公報記載の清掃用バケツは、清掃時に、保管状態と同じく把手を倒した状態とするので、プレート状の把手がバケツ本体の上面を部分的に覆うこととなる。
【0008】
そのため、バケツ本体の上方開口が狭められるので、モップを濯いだりモップに液状つや出し剤等を吸収させるような作業を行う場合に、プレート状の把手が作業の円滑性を妨げがちとなる。
【0009】
また、モップ支持孔にモップの柄を差し込んでバケツ内にモップの柄を逆向きに立てるのは、バケツと共にモップを保管する場合であり、清掃作業時にこのようにバケツ内にモップを立てておくことはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第4160169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、従来技術における上記のような課題に鑑み行われたものであって、その目的とするところは、清掃等の作業時に、随時取り外して使用することができる状態で清掃器具等を把手部に起立支持することができ、把手部及び起立支持された器具によって妨げられずに、清掃器具等を洗浄したり、清掃器具の清掃部を液状つや出し剤等の液体に浸漬させる等の作業を効率良く行うことができるバケツ状容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(1) 上記目的を達成する本発明のバケツ状容器は、
底部と周壁部と上方開口部を有し、液体を収容するための桶状の収容部と、
前記収容部の周壁部のうち相対する部分の一方と他方に、それぞれ一方の端部と他方の端部が回動可能に結合された略U字状の把手部を備えてなるバケツ状容器であって、
前記把手部は、収容部を把手部で吊り下げる状態と、一方の側又は双方の側に伏倒した状態との間で回動し得るものであり、
前記把手部には、支持対象器具の柄部を着脱可能に嵌合させてその器具を支持するための嵌合支持部が形成されており、
前記収容部には、前記把手部を、前記嵌合支持部に対し柄部が嵌合した前記器具が起立状態で支持されるよう伏倒した状態で支持し得る把手支持部を備え、
前記把手部が前記把手支持部により支持された状態において、その把手部は収容部の上方開口部の外側に位置することを特徴とする。
【0013】
バケツ状容器の把手部を伏倒させて把手支持部により支持させることにより、支持対象器具の柄部を嵌合支持部に嵌合させてその支持対象器具を起立状態で支持することができ、その器具は随時嵌合支持部から取り外して使用することができる。
【0014】
この状態において、把手部は収容部の上方開口部の外側に位置し、従って、その把手部における嵌合支持部は収容部の上方開口部の外側に位置する。そのため、上方開口部より収容部内の液体を用いて清掃器具等を洗浄したり、収容部内の液体に清掃器具の清掃部を浸漬させる等の作業を、把手部及び嵌合支持部に支持された器具によって妨げられずに、効率良く行うことができる。
【0015】
本発明のバケツ状容器は、上記把手部の握り部に嵌合支持部を備えるものとすることができる。
【0016】
把手部の握り部に嵌合支持部を備えることにより、把手部が伏倒して嵌合支持部により支持された状態及びその他の状態において、嵌合支持部を備えることにより必要なスペースが最小限に抑えられる。また、把手部の握り部に嵌合支持部を備えるので、製造コストも可及的に抑えることができる。
【0017】
本発明のバケツ状容器は、上記把手部に2以上の嵌合支持部を有するものとすることが望ましい。把手部に2以上の嵌合支持部を有することにより、清掃作業等において対象や状況等に応じて使い分ける複数の清掃用具等の器具を、嵌合支持部により支持された状態の把手部における複数の嵌合支持部にそれぞれ起立状態で支持させて作業を行うことができる。これにより、作業の内容等に応じ随時、必要となる器具を嵌合支持部から取り外し、不要となる器具を嵌合支持部に支持させて効率よく作業を進めることができる。
【0018】
(2) 本発明のバケツ状容器は、上記把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部が収容部の上方開口部の外側縁に沿って位置するものであることが好ましい。
【0019】
把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部が収容部の上方開口部の外側縁に沿って位置するため、伏倒して把手支持部により支持された把手部に必要なスペースが最小限に抑えられる。
【0020】
また、この場合、把手部に形成された嵌合支持部も収容部の上方開口部の外側縁に沿って位置することなるため、嵌合支持部に起立状態で支持される器具も上方開口部の外側縁に沿って位置することとなり、器具のために必要なスペースも最小限に抑えられる。
【0021】
上記バケツ状容器は、上記把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部における何れかの嵌合支持部が、上記器具の柄部が嵌合した場合にその柄部が上方開口部側に向かって傾斜する状態でその器具を起立支持するものとすることができる。
【0022】
把手部が把手支持部により支持された状態において、把手部及びその把手部に形成された嵌合支持部が収容部の上方開口部の外側縁に沿って位置し、嵌合支持部に嵌合した支持対象器具の柄部が上方開口部側に向かって傾斜するので、起立状態で支持された器具における嵌合支持部に嵌合した柄部の上方に清掃部等が位置し、その清掃部等が水分等の液体を含んでいる場合に、その清掃部等の水分等の液体が上方開口部を介して収容部内に垂れ落ちるようにして外部に液体が垂れることを可及的に防止し得るようにすることができる。
【0023】
また上記バケツ状容器は、上記把手部に2以上の嵌合支持部を有し、その把手部が把手支持部により支持された状態において、前記嵌合支持部が、収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶものとすることができる。
【0024】
把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部が収容部の上方開口部の外側縁に沿って位置し、把手部に形成された2以上の嵌合支持部が、収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶので、各嵌合支持部に起立状態で支持される器具も上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶこととなり、2以上の嵌合支持部にそれぞれ支持される器具のために必要なスペースも最小限に抑えられる。
【0025】
このバケツ状容器は、上記把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部における何れかの嵌合支持部が、上記器具の柄部が嵌合した場合にその柄部が上方開口部側に向かって傾斜する状態でその器具を起立支持するものであり、その嵌合支持部に対し収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔をおいて隣り合う嵌合支持部が、上記器具の柄部が嵌合した場合にその柄部が上方開口部側とは逆の側に向かって傾斜する状態でその器具を起立支持するものとすることができる。
【0026】
この場合、把手部が把手支持部により支持された状態において、把手部に形成された2以上の嵌合支持部が、収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶ。
【0027】
そのうち何れかの嵌合支持部に嵌合した器具の柄部は、上方開口部側に向かって傾斜するので、その柄部の上方に位置する清掃部等は上方開口部側に位置し、その嵌合支持部に対し収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔をおいて隣接する嵌合支持部に嵌合した器具の柄部は、上方開口部側とは逆の側に向かって傾斜するので、その柄部の上方に位置する清掃部等は上方開口部側とは逆の側に位置する。このように隣り合う器具の清掃部等が交互に逆の側に位置するので、それらの器具が起立状態で支持される上で互いに障害となることが防がれる。
【0028】
(3) 本発明のバケツ状容器は、上記収容部の上部外周側に、柄を立て掛けるための外方開口の上下方向の溝状凹部を備えるものとすることができる。
【0029】
この場合、柄を有する床面処理用具や清掃用具等を、作業の一時中断や、柄に取り付ける清掃器具等の交換等のために、外方開口の上下方向の溝状凹部に立て掛けることができる。
【0030】
(4) 本発明のバケツ状容器は、棒状又は管状の対象部材の一部を開口側部から着脱可能に挟持し得る挟持部材と、その挟持部材を収容部の上方開口部の周縁部において着脱可能に支持し得る上部支持部と、前記挟持部材を収容部の外周部において支持し得る外周部支持部を備えるものとすることができる。
【0031】
この場合、挟持部材を、必要に応じ上部支持部又は外周部支持部の何れかに支持させることにより、棒状又は管状の対象部材の一部を、それぞれ、収容部の上方開口部の周縁部又は収容部の外周部において挟持することができる。なお、前記挟持部材は、前記上部支持部に支持された状態において、挟持した対象部材が上方開口部の周縁部に対し交差(例えば直交)する方向となり、前記外周部支持部に支持された状態において、挟持した対象部材が上下方向又は水平方向となるものとすることができる。
【0032】
上記バケツ状容器は、収容部の上縁部に対し着脱可能であり、上部支持部と外周部支持部を有する支持部材を備えたものとすることができる。
【0033】
この場合、支持部材は、収容部の上縁部における所要位置に着脱し得、挟持部材を、その支持部材における上部支持部又は外周部支持部の何れかに支持させることにより、それぞれ、対象部材を、収容部の上方開口部の周縁部における所要位置又は収容部の外周部における所要位置において挟持することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明のバケツ状容器によれば、嵌合支持部に対し柄部が嵌合した支持対象器具を起立状態で支持することができ、その器具は随時嵌合支持部から取り外して使用することができる。また、把手部及び嵌合支持部に支持された器具によって妨げられずに、収容部内の液体を用いて清掃器具等を洗浄したり、収容部内の液体に清掃器具の清掃部を浸漬させる等の作業を効率良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】バケツ状容器の斜視図である。
【図2】バケツ状容器の平面図である。
【図3】バケツ状容器の右側面図である。
【図4】挟持部材が異なる態様で支持されたバケツ状容器の斜視図である。
【図5】挟持部材が更に異なる態様で支持されたバケツ状容器の斜視図である。
【図6】把手部が起立状態のバケツ状容器の左側面図である。
【図7】インナーバケツの斜視図である。
【図8】蓋の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
【0037】
図1乃至図8は、本発明の実施の形態の一例としてのバケツ状容器B及びその関連物品についてのものである。
【0038】
(1) バケツ状容器Bは、収容部Cと把手部Hからなる。このバケツ状容器Bには、インナーバケツI、蓋L、及び、挟持部材Pを備えた支持部材Sが付属している。これらを形成する材料は合成樹脂であるが、これに限るものではなく、例えば各種金属を用いることができる。
【0039】
バケツ状容器Bの収容部Cは、底部C1と周壁部C2と上方開口部C3を有し、液体を収容するための桶状をなす。この収容部Cは、平面視において略方形状をなし、底部C1から上方開口部C3に向かって周壁部C2が漸次拡開しているが、何れもこれに限るものではない。
【0040】
上方開口部C3は、広く開口するものであることが好ましい。例えば、上方開口部C3は、少なくとも底部C1と同程度又はそれ以上の大きさに開口するものとすることができる。
【0041】
収容部Cに収容する液体としては、水及び各種水系液体のほか、非水系液体であってもよい。例えば、水道水、各種洗浄剤、剥離剤、保護剤、つや出し剤等の液体を挙げることができる。
【0042】
把手部Hは、全体として略U字状をなす。より具体的には、互いに平行な一対の直線状部分の一方の端部同士を直線で結んだ形状(矩形の三辺に沿った形状)、すなわち一対の縦辺部H1と、それらの端部同士を連結する横辺部H2からなる。略U字状の把手部の他の例としては、互いに平行な一対の直線状部分(縦辺部)の一方の端部同士を円弧その他の一方に凸の曲線又はその他の曲線(横辺部)で結んだ形状、全体が円弧その他の一方に凸の曲線に沿った形状等を挙げることができる。
【0043】
把手部Hは、略U字形の一方の端部H3と他方の端部H3が、それぞれ、収容部Cの周壁部C2のうち相対する部分の一方と他方にそれぞれ設けられた回動支持部C4により回動可能に結合されている(例えば、把手部Hの両方の端部H3にそれぞれ内向きに軸部を突設し、その軸部を回動自在に支持する軸受け部を各回動支持部C4に形成する)。把手部Hの両方の端部H3のそれぞれ内側には、水平被支持部H4aと起立被支持部H4bが形成され、収容部Cの両側上部における回動支持部C4の両側位置に、把手水平支持部C6aと把手起立支持部C6bが形成されている。これにより、図3(右側面図)に示すように把手部Hが水平状に伏倒した状態と、収容部Cを把手部Hの横辺部H2(握り部)で吊り下げる状態(この状態で把手部Hは直立状態となり、略逆U字状をなす)と、図6(左側面図)に示すように把手部Hが図3の水平伏倒状態とは逆の側へやや傾斜した起立状態との間で回動可能としている。なお、把手部Hは、例えば、直立状態と、双方の側又は一方の側に伏倒した状態との間で回動可能なものとすることもできる。
【0044】
伏倒状態の把手部Hは、その一対の縦辺部H1及び横辺部H2が収容部Cの上方開口部C3の外周縁の外側においてその外側に沿う状態で、収容部Cにおける回動支持部C4の一方の側に設けられた把手水平支持部C6aにより水平状に支持される。すなわち、把手部Hの端部H3のうち回動軸心よりも基端側に形成した水平被支持部H4aの上方回動を把手水平支持部C6aにより下向きに支持することにより把手部Hの水平状支持が行われている。なお、伏倒状態の把手部Hは、必ずしも水平状に支持されるものであることを要しない。また、これ以外の手段(例えば収容部の上部外周部に外方張出部を設け、この外方張出部により伏倒状態の把手部を支持する等)により伏倒状態の把手部が支持されるものとすることもできる。
【0045】
また、起立状態の把手部Hは、収容部Cにおける回動支持部C4の他方の側に設けられた把手起立支持部C6bによりやや傾斜した状態に支持される。すなわち、把手部Hの端部H3のうち回動軸心よりも基端側に形成した起立被支持部H4bの下方回動を把手起立支持部C6bにより支持することにより把手部Hの起立状態支持が行われている。なお、把手部の起立支持はこれ以外の手段により行うものとすることもできる。
【0046】
収容部Cの周壁部C2のうち相対する部分というのは、例えば、平面視において収容部Cの中心に対し180度中心角を隔てたそれぞれの位置であり、本例のように平面視方形状の場合は相対する各辺の対称位置、円形の場合は直径の両端位置を挙げることができる。なお、周壁部が縁部、フランジ状部、突起部等を備える場合、それらも把手部の端部が回動可能に結合される周壁部の一部である。また、把手部Hは通常本例のように1つ備えるが、複数であることを妨げるものではない。
【0047】
把手部Hの横辺部H2(握り部)には、清掃具用柄Fの先端部に着脱して使用するための清掃ブラシ、清掃スポンジ保持体、清掃ワイバー等の短い柄部M1を備えた支持対象器具Mの柄部M1を着脱可能に嵌合させてその器具Mを支持するための貫通孔状の嵌合支持部H5が横辺部H2の長手方向間隔おきの5箇所に形成されている。各嵌合支持部H5は、把手部Hが伏倒して水平状に支持された状態において上下方向貫通孔状をなし、嵌合支持部H5に対し柄部M1が嵌合した前記器具Mが起立状態で支持される。なお、嵌合支持部H5の例としては、貫通孔に限らず、非貫通の穴、側部に開放部を有する孔又は穴等を適宜採用し得る。また、複数の嵌合支持部H5を設ける場合に、それらの形状や大きさ等は同一であっても一部又は全部が互いに異なるものであってもよい。また、嵌合支持部は把手部の何れの箇所に設けることも可能である。嵌合支持部に対し嵌合した柄部は、直立状又は何れかの向きへの傾斜状に支持されるものとすることができる。このように柄部を傾斜状に支持し得る嵌合支持部としては、例えば、何れかの向きに傾斜した貫通孔又は非貫通の穴、側部に開放部を有する孔又は穴等の他、このような貫通孔等の上下方向の何れかの位置における周方向の何れかの位置に内方突部を設けてその内方によって柄部を傾斜させるものとすることもできる。
【0048】
このように、バケツ状容器Bの把手部Hを伏倒させて水平状に支持された状態とすることにより、各種支持対象器具Mの柄部M1を各嵌合支持部H5に嵌合させてその支持対象器具Mを起立状態で支持することができる。また、起立状態で各嵌合支持部H5に嵌合支持された各支持対象器具Mは随時嵌合支持部H5から取り外して使用することができる。
【0049】
把手部Hには5箇所に嵌合支持部H5を有するので、清掃作業等において対象や状況等に応じて使い分ける複数の清掃用具等の器具Mを、嵌合支持部H5により支持された状態の把手部Hにおける複数の嵌合支持部H5にそれぞれ起立状態で支持させて作業を行うことができる。これにより、作業の内容等に応じ随時、必要となる器具Mを嵌合支持部H5から取り外し、不要となる器具Mを嵌合支持部H5に支持させて効率よく作業を進めることができる。
【0050】
伏倒状態の把手部Hは、収容部Cの上方開口部C3の外周縁の外側においてその外側に沿う状態で、把手水平支持部C6aにより水平状に支持される。そのため、伏倒して把手水平支持部C6aにより支持された把手部Hに必要なスペースが最小限に抑えられる。
【0051】
また、把手部Hに形成された5箇所の嵌合支持部H5が、収容部Cの上方開口部C3の外側縁に沿って外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶので、各嵌合支持部H5に起立状態で支持される器具Mも上方開口部C3の外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶこととなる。5箇所の嵌合支持部H5にそれぞれ支持される器具Mのために必要なスペースも最小限に抑えられ、上方開口部C3より収容部C内の液体を用いて清掃器具等を洗浄したり、収容部C内の液体に清掃器具の清掃部を浸漬させる等の作業を、把手部H及び嵌合支持部H5に支持された器具Mによって妨げられずに、効率良く行うことができる。
【0052】
また、把手部Hの横辺部H2(握り部)に嵌合支持部H5を備えることにより、把手部Hが伏倒して嵌合支持部H5により支持された状態及びその他の状態において、嵌合支持部H5を備えることにより必要なスペースが最小限に抑えられる。また、把手部H(握り部)の握り部に嵌合支持部H5を備えるので、製造コストも可及的に抑えることができる。
【0053】
この例では、把手部Hの横辺部H2の5箇所に設けられた嵌合支持部H5は、把手部Hが水平状に支持された状態において、支持対象器具Mの柄部M1が嵌合した場合にその柄部M1が上方開口部C3側に向かって傾斜する状態でその器具Mを起立支持する嵌合支持部H5a(上方に向かって上方開口部C3側に傾斜する貫通孔)と、支持対象器具Mの柄部M1が嵌合した場合にその柄部M1が上方開口部C3側とは逆の側に向かって傾斜する状態でその器具Mを起立支持する嵌合支持部H5b(上方に向かって上方開口部C3側とは逆側に傾斜する貫通孔)とが、外側縁に沿う方向に交互に並んでいる。図3に二点鎖線で示された二種類の姿勢の支持対象器具Mは、嵌合支持部H5aに支持された支持対象器具と嵌合支持部H5bに支持された支持対象器具である。
【0054】
何れかの嵌合支持部H5aに嵌合した器具Mの柄部M1は、上方開口部C3側に向かって傾斜するので、その柄部M1の上方に位置する清掃部等は上方開口部C3側に位置し、その嵌合支持部H5aに対し収容部Cの上方開口部C3の外側縁に沿う方向に間隔をおいて隣接する嵌合支持部H5bに嵌合した器具Mの柄部M1は、上方開口部C3側とは逆の側に向かって傾斜するので、その柄部M1の上方に位置する清掃部等は上方開口部C3側とは逆の側に位置する。このように隣り合う器具Mの清掃部等が交互に逆の側に位置するので、それらの器具Mが起立状態で支持される上で互いに障害となることが防がれる。
【0055】
なお、把手部Hが水平状に支持された状態において、把手部H及びその把手部Hに形成された嵌合支持部H5が収容部Cの上方開口部C3の外側縁に沿って位置し、支持対象器具Mの柄部M1が嵌合した場合にその柄部M1が上方開口部C3側に向かって傾斜する状態で支持された器具Mにおける嵌合支持部H5に嵌合した柄部M1の上方にスポンジ、ブラシ等の清掃部等が位置し、その清掃部等が水分等の液体を含んでいる場合に、その清掃部等の水分等の液体が上方開口部C3を介して収容部C内に垂れ落ちるようにして外部に液体が垂れることを可及的に防止し得るようにすることができる。
【0056】
(2) 収容部Cの上部外周側には、方形状のヘッドが下端部に連結された柄F(例えば、床面処理又は清掃用具等の柄の部分)を立て掛けるための外方開口の上下方向の溝状凹部C5を備える。
【0057】
これにより、柄Fを有する床面処理用具や清掃用具等を、作業の一時中断や、柄Fに取り付ける清掃器具等の交換等のために、外方開口の上下方向の溝状凹部C5に立て掛けることができる。
【0058】
(3) 挟持部材Pは、棒状又は管状の対象部材(例えば、図5に示す給水ホースR、清掃器具等の柄等)の一部を開口側部から着脱可能に弾性的に挟持し得る。
【0059】
支持部材Sは、収容部Cの上縁部の所要位置に着脱可能に掛止し得、何れも挟持部材Pを着脱可能に支持し得る上部支持部S1及び外周部支持部S2を有する。支持部材Sを収容部Cの上縁部に掛止した状態において、上部支持部S1は、挟持部材Pを収容部Cの上方開口部C3の周縁部において着脱可能に支持し得、外周部支持部S2は、挟持部材Pを収容部Cの外周部において支持し得る。上部支持部S1に支持された挟持部材Pに挟持された対象部材は、上方開口部C3の周縁部に対し直交する方向(図5)となり、外周部支持部S2に支持された挟持部材Pに挟持された対象部材は上下方向(図1)又は水平方向(図4)となる。
【0060】
(4) 収容部Cの内側には、収容量を示す目盛Dが形成されているので、洗剤やその他の処理剤等を所定の率に希釈する上で好適である。
【0061】
また、収容部Cに比し小さいサイズの箱形状のインナーバケツIを備える。このインナーバケツIは、吸盤I1により(又はその他の手段により)収容部C内に着脱可能に固定することができる。このインナーバケツIには、例えば、収容部C内の液体とは別の液体又はその他の物を収容して清掃や各種処理等の作業に用いることができる。
【0062】
また、収容部Cの上方開口部C3を閉じることができる蓋Lを備える。バケツ状容器B不使用時に、収容部C内に清掃器具などを収容して蓋Lを施して保管することができる。蓋Lの所定の隅部には、開蓋を容易にするための外方突出片部L1を有する。
【符号の説明】
【0063】
B バケツ状容器
C 収容部
C1 底部
C2 周壁部
C3 上方開口部
C4 回動支持部
C5 溝状凹部
C6a 把手水平支持部
C6b 把手起立支持部
D 目盛
F 清掃具用柄
H 把手部
H1 縦辺部
H2 横辺部
H3 端部
H4a 水平被支持部
H4b 起立被支持部
H5 嵌合支持部
H5a 嵌合支持部
H5b 嵌合支持部
I インナーバケツ
I1 吸盤
L 蓋
L1 外方突出片部
M 支持対象器具
M1 柄部
P 挟持部材
R 給水ホース
S 支持部材
S1 上部支持部
S2 外周部支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部と周壁部と上方開口部を有し、液体を収容するための桶状の収容部と、
前記収容部の周壁部のうち相対する部分の一方と他方に、それぞれ一方の端部と他方の端部が回動可能に結合された略U字状の把手部を備えてなるバケツ状容器であって、
前記把手部は、収容部を把手部で吊り下げる状態である起立状態と、一方の側又は双方の側に伏倒した状態との間で回動し得るものであり、
前記把手部には、支持対象器具の柄部を着脱可能に嵌合させてその器具を支持するための嵌合支持部が形成されており、
前記収容部には、前記把手部を、前記嵌合支持部に対し柄部が嵌合した前記器具が起立状態で支持されるよう伏倒した状態で支持し得る把手支持部を備え、
前記把手部が前記把手支持部により支持された状態において、その把手部は収容部の上方開口部の外側に位置することを特徴とするバケツ状容器。
【請求項2】
上記把手部の握り部に嵌合支持部を備える請求項1記載のバケツ状容器。
【請求項3】
上記把手部に2以上の嵌合支持部を有する請求項1又は2記載のバケツ状容器。
【請求項4】
上記把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部が収容部の上方開口部の外側縁に沿って位置する請求項1乃至3の何れか1項に記載のバケツ状容器。
【請求項5】
上記把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部における何れかの嵌合支持部が、上記器具の柄部が嵌合した場合にその柄部が上方開口部側に向かって傾斜する状態でその器具を起立支持するものである請求項4記載のバケツ状容器。
【請求項6】
上記把手部に2以上の嵌合支持部を有し、その把手部が把手支持部により支持された状態において、前記嵌合支持部が、収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔おきに並ぶ請求項4記載のバケツ状容器。
【請求項7】
上記把手部が把手支持部により支持された状態において、その把手部における何れかの嵌合支持部が、上記器具の柄部が嵌合した場合にその柄部が上方開口部側に向かって傾斜する状態でその器具を起立支持するものであり、その嵌合支持部に対し収容部の上方開口部の外側縁に沿う方向に間隔をおいて隣り合う嵌合支持部が、上記器具の柄部が嵌合した場合にその柄部が上方開口部側とは逆の側に向かって傾斜する状態でその器具を起立支持するものである請求項6記載のバケツ状容器。
【請求項8】
上記収容部の上部外周側に、柄を立て掛けるための外方開口の上下方向の溝状凹部を備える請求項1乃至7の何れか1項に記載のバケツ状容器。
【請求項9】
棒状又は管状の対象部材の一部を開口側部から着脱可能に挟持し得る挟持部材と、その挟持部材を収容部の上方開口部の周縁部において着脱可能に支持し得る上部支持部と、前記挟持部材を収容部の外周部において支持し得る外周部支持部を備える請求項1乃至8の何れか1項に記載のバケツ状容器。
【請求項10】
収容部の上縁部に対し着脱可能であり、上記上部支持部と外周部支持部を有する支持部材を備えた請求項9記載のバケツ状容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−87603(P2011−87603A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222942(P2009−222942)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(000178583)山崎産業株式会社 (77)
【Fターム(参考)】