説明

バスバー、バスバーの製造方法、及び、バスバーおよびコネクタ

【課題】板状のバスバーに比べて金属材料の歩留まりを高くし、導体よりも内側の部材に突起を設けることを可能とし、バスバーを曲がった形状にすることを可能とする。
【解決手段】バスバー中心導体21の外側に設けられるとともに、軸方向Aに直交する放射方向Rの内側から外側に向かう向きに交互に配置された、バスバー絶縁体22、バスバー導体23、バスバー絶縁体24、バスバー導体25、および、バスバー絶縁体26を備える。バスバー導体23及び25は、軸方向A全体にわたって軸方向Aから見た断面に開口部23o及び25oを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続に用いるバスバー、バスバーの製造方法、および、バスバーおよびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりバスバーが電気接続に用いられる。高圧大電流を使用するモータなどに用いられるバスバーとして、放熱のため、また、高周波の電気抵抗を抑制するため、表面積の大きい板状のものが用いられる(例えば特許文献1)。この板状のバスバーは、銅板やアルミニウム板など金属板の打ち抜き加工や曲げ加工により製造される。また、バスバー両端の端子がネジ止めなどによって接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平06―060924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のようなバスバーには次の問題がある。
(ア)金属板の打ち抜き加工によるバスバーの製造には、一般的に金属材料の歩留まりが低い(材料の無駄になる部分が多い)という問題がある。
(イ)また、バスバーが用いられる機械の製造時、点検時、または修理時等にバスバーの端子のネジ止めを行う必要があるが、この作業工数が多いという問題がある。例えば3つのバスバーそれぞれの両端の端子を接続するには、6箇所のネジ止めが必要になる。
【0005】
そこで、上記(ア)及び(イ)の問題を解決するため、バスバーを同軸構造とすることが考えられる。同軸構造の一例として、バスバーの中心に導体(バスバー中心導体)を配置し、この導体の外側に筒状の絶縁体と筒状の導体とを交互に同軸に配置した構造が考えられる。この構造のバスバーを製造する方法として、内側から外側に向かって導体と絶縁体とを1層ずつ形成および配置することが考えられる。具体的には、導体の外側周囲に絶縁体を1層形成し、この絶縁体の外側に金属パイプ(筒状のバスバー導体)を挿入する、という作業を繰り返してバスバーを製造する。
【0006】
上記のバスバーの製造方法では、直線状のバスバーは製造できるが、曲がったバスバーは製造できない。すなわち、曲がったバスバーを製造する場合、曲がった絶縁体の外側に金属パイプを挿入する必要があるが、このような挿入はできない。また、バスバーが直線状であっても、導体よりも内側の部材に突起(後述する碍子状突起等)を設ける場合は上記の金属パイプの挿入ができない。
【0007】
本発明の目的は、板状のバスバーに比べて金属材料の歩留まりが高く、導体よりも内側の部材に突起を設けることや曲がった形状とすることが可能なバスバーを提供することである。また、本発明の目的は、このバスバーの製造方法、および、バスバーおよびコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
第1の発明に係るバスバーは、電気接続に用いられる。このバスバーはバスバー中心導体を備える。さらにこのバスバーは、前記バスバー中心導体の外側に設けられるとともに、当該バスバー中心導体の軸方向に直交する放射方向の内側から外側に向かう向きに交互に配置された複数のバスバー絶縁体およびバスバー導体を備える。前記バスバー導体は、前記軸方向全体にわたって前記軸方向から見た断面に開口部を備えている。
前記「軸方向」には、直線に沿う方向だけでなく、曲線に沿う方向を含む。
【0009】
このバスバーでは、バスバー中心導体の外側に設けられるとともに、前記放射方向の内側から外側に向かう向きに交互に配置された複数のバスバー絶縁体およびバスバー導体を備える。すなわち、このバスバーでは、バスバー中心導体、バスバー絶縁体、および、バスバー導体は略同軸に設けられる。よって、金属板の打ち抜き加工により製造される板状のバスバーに比べ、金属材料の歩留まりを高くできる(製造時の材料の無駄を抑制できる)。その結果、バスバーの材料の原料コストを削減できる。
また、このバスバーのバスバー導体は、軸方向全体にわたって軸方向から見た断面に開口部を備えている。これにより、バスバーの製造時に、前記放射方向外側から内側に向かう向きにバスバー導体をバスバー絶縁体にかぶせることができる。ここで、バスバー導体が筒状の場合はバスバーの製造時にバスバー導体をバスバー絶縁体の外側に挿入する必要があるところ、本発明ではバスバー導体をバスバー絶縁体にかぶせることができるので、上記挿入の必要がない。したがって、バスバー導体よりも内側の部材に突起(前記放射方向外側に突出する突起)を設けることや、バスバーを曲がった形状とすることができる。
【0010】
第2の発明に係るバスバーでは、前記バスバー中心導体および前記バスバー導体は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる(これらが主要な材料であるものを含む)。また、前記バスバー絶縁体は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる。
【0011】
このバスバーを構成する導体は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる。これらの材料は、固有抵抗値が低く、加工性に優れる。すなわち、バスバーを構成する導体には、導体として適した材料が用いられる。したがって、バスバーでの電気接続をより確実にしうる。
また、このバスバーのバスバー絶縁体は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる。すなわち、バスバー絶縁体には、絶縁体として適した材料が用いられ、バスバーでの絶縁をより確実にしうる。
さらに、有機材料と無機材料との混合物をバスバー絶縁体に適用した場合は、次の効果を奏する。一般に、有機材料の線膨張係数は、金属材料や無機材料に比べて大きい。このため、有機材料と無機材料との混合物をバスバー絶縁体に適用することで、導体と絶縁体との線膨張係数差を小さくすることができ、ひいてはバスバーの耐久性を向上することができる。
【0012】
第3の発明に係るバスバーでは、前記バスバー中心導体および前記バスバー導体は、当該バスバー中心導体および当該バスバー導体に接触するコネクタ導体(バスバーに接続されるコネクタが備える導体)との接触面がめっき処理されている。
【0013】
このバスバーでは、めっき処理がされていない場合に比べ、上記の接触面での防錆性や耐磨耗性が高い。また、上記の接触面がめっき処理により平滑化されるので、バスバーを構成する導体とコネクタ導体との接触面積が大きくなり、電気抵抗を低くできる。したがって、防錆性、耐磨耗性および低電気抵抗の効果により、バスバーを構成する導体とコネクタ導体とをより確実に電気接続できる。
【0014】
第4の発明に係るバスバーでは、前記バスバー中心導体は、当該バスバー中心導体に接触するコネクタ導体を前記放射方向内側に差し込み可能な穴を備えている。
【0015】
このバスバーでは、バスバー中心導体の穴にコネクタ導体を差し込むことで、バスバー中心導体とコネクタ導体とを電気接続できる。よって、バスバー中心導体をバスバー絶縁体から軸方向外側に長く突出させる必要がない。したがって、バスバーの軸方向の長さを短くできる。
【0016】
第5の発明に係るバスバーでは、前記バスバー導体、および、前記バスバー絶縁体は、前記放射方向内側に配置された部材ほど前記軸方向外側に長く突出している。前記バスバー導体の前記放射方向内側に隣接する前記バスバー絶縁体は、当該バスバー導体よりも前記軸方向外側に長く突出した部分が、当該バスバー導体よりも当該放射方向外側に突出している。
【0017】
このバスバーのバスバー絶縁体は、上記のように放射方向外側に突出している。この突出している部分により、バスバー中心導体およびバスバー導体の間の沿面距離(絶縁体の表面に沿った導体間の最短距離)が大きくなる。したがって、バスバーの軸方向の長さを長くしなくても(バスバーを大きくしなくても)、バスバーを構成する導体間の電気絶縁性をより確実に確保できる。
【0018】
第6の発明に係るバスバーでは、複数の前記バスバー導体の前記軸方向端部はそれぞれ、前記バスバー絶縁体から前記放射方向外側へ突き出るように形成されたバスバー接続部を備える。複数の前記バスバー接続部は、前記軸方向を中心とする周方向に並んで配置されている。
【0019】
このバスバーでは、複数のバスバー導体の軸方向端部はそれぞれ、バスバー絶縁体から前記放射方向外側へ突き出るように形成されたバスバー接続部を備える。このバスバー接続部を用いて電気接続ができる。
また、このバスバーでは、複数のバスバー接続部は、前記軸方向を中心とする周方向に並んで配置されている。よって、複数のバスバー接続部が前記軸方向に並んで配置される場合に比べ、バスバーの軸方向の長さを短くできる。
【0020】
第7の発明に係るバスバーの製造方法は、前記放射方向内側から外側に向かう向きに、前記バスバー絶縁体および前記バスバー導体を前記バスバー中心導体の外側に交互に一層ずつ設ける製造方法である。この製造方法は、前記バスバー中心導体または前記バスバー導体の前記放射方向外側周囲に絶縁物を形成することで前記バスバー絶縁体を形成する工程と、前記放射方向外側から内側へ向かう向きに前記バスバー導体を前記バスバー絶縁体にかぶせる工程と、を備えている。
【0021】
このバスバーの製造方法では、特に、放射方向外側から内側に向かう向きにバスバー導体をバスバー絶縁体にかぶせる工程を備えるので、バスバー導体よりも内側の部材に突起(前記放射方向外側に突出する突起)を設けることや、バスバーを曲がった形状とすることができる。
【0022】
第8の発明に係るバスバーおよびコネクタは、第5の発明の前記バスバーと、前記バスバーの末端部とかみあうように形成されたコネクタと、を備えたバスバーおよびコネクタである。前記コネクタは、コネクタ絶縁体と、前記バスバー中心導体および前記バスバー導体に接触可能な複数のコネクタ導体と、を備える。前記バスバーの末端部が差し込まれたコネクタを、前記放射方向外側から内側へ向かって押圧することにより、当該バスバーと当該コネクタとが接続される。
【0023】
このバスバーおよびコネクタでは、バスバーの末端部とかみあうようにコネクタが形成される。また、バスバーの末端部がコネクタに差し込まれる。すなわち、バスバーを構成する導体とコネクタ導体との接続部分はコネクタの内側に配置される(覆われる)。したがって、バスバーおよびコネクタの外部とこの接続部分とを確実に絶縁できる。
また、このバスバーおよびコネクタでは、バスバーの末端部が差し込まれたコネクタを、放射方向外側から内側へ向かって押圧することにより、バスバーとコネクタとが接続される。すなわち、バスバーを構成する複数の導体を複数のコネクタ導体に1つずつ接続するのではなく上記の押圧作業のみでバスバーとコネクタとが接続され、バスバーおよびコネクタの導体どうしを例えばネジで締結する必要もない。したがって、バスバーとコネクタとの接続が容易であり、この接続に要する作業工数を削減できる。
また、このバスバーおよびコネクタでは、コネクタを上記のように押圧する。よって、バスバーを構成する導体とコネクタ導体とが確実に接触する。したがって、バスバーとコネクタとを確実に電気接続できる。
【0024】
第9の発明に係るバスバーおよびコネクタでは、前記バスバー絶縁体の圧縮弾性率は、前記コネクタ絶縁体の圧縮弾性率よりも大きい。
【0025】
このバスバーおよびコネクタでは、上記構成により、コネクタを押圧する場合にコネクタがバスバーよりも変形しやすい。よって、コネクタの押圧が容易であり、バスバーを構成する導体とコネクタ導体とをより確実に接触させることができる。したがって、バスバーとコネクタとをより確実に電気接続できる。
【0026】
第10の発明に係るバスバーおよびコネクタでは、複数の前記コネクタ導体はそれぞれコネクタ接続部を備える。複数の前記コネクタ接続部はそれぞれ、前記コネクタに前記バスバーの末端部が差し込まれた状態で、当該バスバーを構成する導体と接触するように前記軸方向にずらして配置される。前記コネクタは、複数の前記コネクタ導体の間の隙間が前記コネクタ絶縁体で埋められて一体化されている。
【0027】
このバスバーおよびコネクタでは、複数のコネクタ導体のコネクタ接続部は、上記のように前記軸方向にずらして配置される。したがって、複数のコネクタ接続部を前記軸方向にずらして配置しない場合に比べ、コネクタ導体どうしをより絶縁できる。
また、コネクタは、複数の前記コネクタ導体の間の隙間が前記コネクタ絶縁体で埋められている。よって、コネクタ導体どうしが絶縁される。
また、コネクタは上記のように一体化されている。したがって、コネクタが一体化されていない場合に比べ、コネクタの取り扱いが容易である。
【0028】
第11の発明に係るバスバーおよびコネクタでは、前記コネクタ絶縁体は、主コネクタ絶縁体と、当該主コネクタ絶縁体よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体と、を備える。前記埋め込み体は、前記主コネクタ絶縁体の切り欠きに埋め込まれている。
【0029】
このバスバーおよびコネクタでは、主コネクタ絶縁体よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体を備える。よって、コネクタ絶縁体が主コネクタ絶縁体のみで構成される場合に比べ、コネクタを押圧しやすい。したがって、バスバーとコネクタとをより確実に電気接続できる。
また、埋め込み体は、主コネクタ絶縁体の切り欠きに埋め込まれている。したがって、埋め込み体を切り欠きに埋めない場合に比べ、コネクタとコネクタの外部とをより絶縁できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1(a)はバスバーの断面図、図1(b)はバスバーの全体図である。
【図2】図1に示すバスバーを製造工程順に示す図等である。
【図3】図2(c)に示すバスバーおよびコネクタ等を示す斜視図である。
【図4】図2(c)に示すバスバーおよびコネクタの断面図である。
【図5】変形例2の図4相当図である。
【図6】変形例3の図1相当図である。
【図7】第2実施形態の図1相当図等である。
【図8】コネクタおよび図7に示すバスバーの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
(第1実施形態)
以下、本発明に係るバスバー、バスバーの製造方法、バスバーおよびコネクタの実施形態について図面を参照して説明する。なお、図1(a)は、図1(b)のF1a断面矢視図である。図2(a1)は、図2(b1)のF2a断面矢視図である。同様に、図2(a2)〜(a6)は、図2(b2)〜(b6)のF2a断面矢視図である。図2(a1)〜(a6)及び(b1)〜(b6)では、バスバーを製造工程順に示す。図2(c)は、バスバーがコネクタに差し込まれた状態を示す。図4は、図2(c)のF4断面矢視図(模式図)である。
【0032】
バスバーおよびコネクタ1(図4参照)は電気接続に用いられる。例えば、インバータ制御の三相交流モータとインバータとの電気接続、電源とインバータとの電気接続、インバータを制御する電流制御装置とインバータとの電気接続、各種制御装置と電源との電気接続、及び各種制御装置同士の電気接続など、各種電気機器間の接続にバスバーおよびコネクタ1は用いられる。バスバーおよびコネクタ1での電気接続は、バスバー2の軸方向末端部がコネクタ3に差し込まれ、図3に示すように、コネクタ3の外側に設けた締付部10によりコネクタ3が押圧され、バスバー2とコネクタ3とが接続される。以下、コネクタ3の締付部10等、バスバー2、バスバー2の製造方法、及びコネクタ3について説明する。
【0033】
締付部10は、図3に示すように、バスバー2の末端部が差し込まれたコネクタ3を、放射方向R(詳細は後述)の外側から内側へ向かって押圧する部材である。締付部10は、コネクタ3の放射方向R外側周囲に取り付けられる筒部11と、筒部11から延びる2枚の平板部12とを備える。
【0034】
筒部11は、コネクタ3に接するように配置される部分であり、コネクタ3を押圧可能な形状に形成される。例えばコネクタ3が有底角筒状であれば筒部11は略角筒状であり、例えばコネクタ3が有底円筒状であれば筒部11は略円筒状である。筒部11は、コネクタ3を押圧できるように軸方向Aに沿った隙間を備える。筒部11は、コネクタ3の軸方向A(詳細は後述)の全体を覆うように形成及び配置することが好ましい。この場合、コネクタ3をより確実に押圧できる。
【0035】
平板部12は、筒部11を締め付ける板状部分である。平板部12は、筒部11の周方向端部(筒部11の軸方向Aに沿った隙間に隣接する端部)から放射方向R外側に延びる2枚の板状部分である。2枚の平板部12はそれぞれボルト孔13を例えば中央部に備える。ボルト孔13に通したボルト(図示なし)を用いて平板部12間を締め付け、その結果、筒部11でコネクタ3が押圧される。平板部12の中央部は、例えば楕円形に凸成形して(膨らませて)補強することが好ましい。
【0036】
(バスバー)
バスバー2は、図1に示すように、コネクタ3(図4参照)と接続され、電気接続に用いられる部材である。バスバー2は、略棒状であり、図1(b)に示すような直線状としても良く、また、バスバー2およびコネクタ3(図4参照)を用いる電気機器の配置やスペース等に応じて曲線状(カーブ状、角がある形状など)としても良い。バスバー2の軸方向Aの長さは例えば12cm〜13cm等である。
【0037】
バスバー2は、図1(a)に示すように、略同軸の層構造となっている。バスバー2は、例えば三層(三重)構造となっており、3つの導体と3つの絶縁体とを備える。
バスバー2は、軸方向Aを有するバスバー中心導体21を中央に備える(すなわち軸方向Aは、バスバー2の軸方向でもある)。なお、バスバー2が曲線状でも、バスバー2の中心軸(バスバー中心導体21の中心軸)に沿う方向を軸方向Aと言う。
バスバー2は、バスバー中心導体21の軸方向Aに直交する放射方向R(さらに詳しくは、バスバー中心導体21の中心軸を通るとともに軸方向Aに直交する放射方向R)の内側から外側に向かう向きに交互に配置された複数のバスバー絶縁体22及び24、および、バスバー導体23及び25を備える。これらはバスバー中心導体21の外側に設けられる。すなわち、バスバー2は、放射方向Rの内側から外側へ順に、バスバー中心導体21、バスバー絶縁体22、バスバー導体23、バスバー絶縁体24、バスバー導体25、および、バスバー絶縁体26を備える。なお、図1(a)は断面図だが、煩雑を避けるためバスバー絶縁体にハッチングを付していない(図2(a1)〜(a6)、図6(a)、及び図7(a)も同様)。
【0038】
バスバー2の末端部は、図1(b)に示すように、コネクタ3(図4参照)との接点部となっており、沿面距離を稼ぐことができる形状に形成される。バスバー2の末端部は、軸方向Aに沿って導体が段々に並べて配置される(略凸型形状に形成される)。すなわち、バスバー中心導体21、バスバー絶縁体22、24、26、および、バスバー導体23及び25は、放射方向R内側に配置された部材ほど軸方向Aの外側に長く突出する。具体的には、バスバー中心導体21のバスバー接続部21A(軸方向Aの長さが例えば6mm)、バスバー絶縁体22の突出部22B(同5mm)、バスバー導体23のバスバー接続部23C(同6mm)、バスバー絶縁体24の突出部24D(同8mm)、バスバー導体25のバスバー接続部25E(同6mm)、および、バスバー絶縁体26の端部26F、の順で軸方向Aの外側に長く突出する。
【0039】
バスバー2の末端部には碍子状突起が形成される。図1(b)及び図4に示すように、バスバー導体23の放射方向Rの内側に隣接するバスバー絶縁体22は、バスバー導体23よりも軸方向Aの外側に長く突出した部分(突出部22B)が、バスバー導体23よりも放射方向Rの外側に突出している。また、バスバー導体25の放射方向Rの内側に隣接するバスバー絶縁体24は、バスバー導体25よりも軸方向Aの外側に長く突出した部分(突出部24D)が、バスバー導体25よりも放射方向Rの外側に突出している。なお、突出部22B及び24Dの軸方向Aから見た断面は、バスバー絶縁体26の同断面に重なるように形成する、または同断面より小さく形成することが好ましい。この場合、コネクタ3(図4参照)が必要以上に大きくならない。
【0040】
バスバー2を構成する導体は次の材料からなる。バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる(これらが主要な材料であるものを含む)。アルミニウムとしては例えば1060(純アルミニウム)などが適用できる。導体に1060(純アルミニウム)を用いればより一層導電性に優れる。アルミニウム合金としては例えば6061(アルミニウムに微量のマンガンおよび珪素を添加したもの)などが適用できる。導体にアルミニウム合金を用いればより一層強度に優れる。銅としては例えば、無酸素銅(OFC)、タフピッチ銅などがある。また、銅合金としては例えば、銅に微量の鉄および燐を添加した析出型の銅合金、具体的には例えば「KFC」(登録商標)がある。この「KFC」(登録商標)をバスバー2を構成する導体として用いれば、バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)と、バスバー絶縁体22、24及び26との密着性を高く、はがれにくくし得る(界面剥離強度を高くし得る)。
【0041】
バスバー2を構成する導体はめっき処理される。バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25は、バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25に接触するコネクタ導体41〜43(図4参照)との接触面(バスバー接続部21A、23C及び25E)がめっき処理される。
【0042】
バスバー2を構成する絶縁体(バスバー絶縁体22、24及び26)は有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる。この有機材料は例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、およびゴムから選ばれる1種または複数種からなる。また、この無機材料は例えば、結晶性シリカ粉末、溶融シリカ粉末、ガラス繊維、タルク粉末、マイカ粉末、酸化アルミニウム粉末、酸化マグネシウム粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化硼素粉末、窒化珪素粉末、および、炭化珪素粉末、から選ばれる1種または複数種からなる。そして、バスバー絶縁体の製造方法等に応じて任意の材料を選択する。
【0043】
バスバー中心導体21は、図2(a1)及び(b1)に示すように、棒状であり、例えば四角柱である(その他多角形柱、円柱等でも良い)。図4に示すように、バスバー中心導体21は、バスバー絶縁体22から軸方向のA外側に突出したバスバー接続部21Aでコネクタ導体43との電気接続を行う。
【0044】
バスバー絶縁体22は、バスバー中心導体21とバスバー導体23とを絶縁する部材である。図1(a)に示すように、バスバー絶縁体22の軸方向Aから見た断面は、バスバー中心導体21を囲む形状であるとともに、絶縁体開口部22oを備える。
【0045】
絶縁体開口部22oは、バスバー絶縁体22を射出成形により形成するときに、図2(a2)に示すように、金型M2でバスバー中心導体21を固定(保持)した結果、形成された部分である(詳細は後述)。
【0046】
バスバー導体23は、図4に示すように、バスバー絶縁体22(突出部22Bを除く)の放射方向Rの外側に配置され、軸方向A端部のバスバー接続部23Cでコネクタ導体42との接続を行う導体である。図1(a)に示すように、バスバー導体23は、軸方向A全体にわたって軸方向Aから見た断面に開口部23oを備える。
【0047】
開口部23oは、バスバー絶縁体22の放射方向R外側から同内側に(図1(a)では上から下へ向かう向きに)バスバー導体23をかぶせる(はめ込む)(後述)ために形成された部分である。すなわち、バスバー導体23は放射方向Rの内側から外側へ向かって開いた部分を備える。開口部23oを備えたバスバー導体23の軸方向Aから見た断面は、例えば「コ」の字状(四角形の一辺を取り除いた形状)である(半円弧状、U字状、V字状などでも良い)。開口部23oを備えたバスバー導体23は、例えば長方形の長板を折り曲げて形成される。
【0048】
バスバー絶縁体24は、図1(a)及び図4に示すように、バスバー導体23とバスバー導体25とを絶縁する部材である。図1(a)に示すように、バスバー絶縁体24は、バスバー絶縁体22と同様に絶縁体開口部24oを備える。
【0049】
バスバー導体25は、図4に示すように、バスバー絶縁体24(突出部24Dを除く)の放射方向Rの外側に配置され、軸方向A端部のバスバー接続部25Eでコネクタ導体41との接続を行う導体である。図1(a)に示すように、バスバー導体25は、バスバー導体23と同様に、開口部25oを備える。バスバー導体25のその他の構成はバスバー導体23と同様である。
【0050】
バスバー絶縁体26は、図1(a)及び図4に示すように、バスバー導体25とバスバー2の外部とを絶縁する部材である。
【0051】
(バスバーの製造方法)
次に、バスバー2の製造方法を説明する。図1(a)に示すバスバー2は、放射方向Rの内側から外側に向かう向きに、バスバー絶縁体22、24、バスバー導体23及び25をバスバー中心導体21の外側に交互に一層ずつ設けることで製造される。バスバー2は、具体的には次の工程1〜5により製造される。
【0052】
工程1は、図2(a1)及び(b1)に示すバスバー中心導体21の放射方向R(以下、放射方向Rおよび軸方向Aについては図1(b)参照)の外側周囲に、図2(a2)及び(b2)に示すように、絶縁物を形成することでバスバー絶縁体22を形成する工程である。図2(a2)に示すように、バスバー中心導体21の周囲に金型M1及びM2を配置する。次に、射出成形、真空注型や加圧注型などにより金型M1及びM2中に絶縁物を充填した後、絶縁物を固化する。絶縁物の固化は次のように行う。絶縁物が熱可塑性樹脂の場合、冷却により固化する。絶縁物が熱硬化性樹脂の場合、加熱により三次元架橋する。絶縁物がゴムの場合、加硫による三次元架橋などにより固化する。
【0053】
また、工程1では、バスバー中心導体21の例えば下部を金型M2(の例えば突起など)で保持する(固定する、押さえる)。これにより、射出成形時の絶縁物の圧力(樹脂圧力等)によりバスバー中心導体21が曲がることを抑制できる。また、バスバー絶縁体22に絶縁体開口部22o(図1(a)参照)が形成される。なお、バスバー中心導体21のうちバスバー絶縁体22(突出部22Bを除く)を被覆する部分全体を金型M2で保持しても良く、また、図1(b1)の金型M3で示すように一部(1箇所や2箇所など)を保持しても良い。なお、図6(a)に、断面F5aの部分で上記保持を行わない場合のバスバー2の軸方向Aから見た断面を示す(後述)。
【0054】
工程2は、図2(a3)及び(b3)に示すように、放射方向R外側から内側に向かう向き(同図では上から下へ向かう向き)にバスバー導体23をバスバー絶縁体22にかぶせる(はめ込む)工程である。図2(b3)に示すように、工程2では、バスバー絶縁体22の軸方向Aの両端の2つの突出部22Bの間にバスバー導体23をかぶせる。
【0055】
工程3は、図2(a4)及び(b4)に示すように、バスバー導体23の放射方向Rの外側周囲に絶縁物を形成することでバスバー絶縁体24を形成する工程である。この工程では、バスバー導体23を金型(図示なし)で保持した部分に、絶縁体開口部24o(図1(a)参照)が形成される。なお、絶縁物の固化、および、金型での保持による効果については工程1と同様である。
【0056】
工程4は、図2(a5)及び(b5)に示すように、放射方向Rの外側から内側に向かう向き(同図では下から上へ向かう向き)にバスバー導体25をバスバー絶縁体24にかぶせる工程である。図2(b5)に示すように、工程4では、バスバー絶縁体24の軸方向Aの両端の2つの突出部24Dの間にバスバー導体25をかぶせる。
【0057】
工程5は、図2(a6)及び(b6)に示すように、バスバー導体25の放射方向Rの外側周囲に絶縁物を形成することでバスバー絶縁体26を形成する工程である。なお、工程5では、バスバー2(バスバー絶縁体26を除く)の軸方向Aの両端部を保持して射出成形するため、図1(a)に示すように、バスバー絶縁体26には絶縁体開口部22oや24oのような開口部が形成されない。
【0058】
(コネクタ)
コネクタ3は、図2(c)及び図4に示すように、バスバー2の末端部が差し込まれて電気接続を行う部材であり、図示しない電動機、発電機および電源部等に取り付けられる。図4に示すように、コネクタ3は、バスバー2の末端部とかみあうように形成される、例えば有底筒状の部材である。例えば、図1(a)に示すように、バスバー2の軸方向Aから見た断面が四角形の場合、コネクタ3は有底の四角形筒状である。以下では、コネクタ3にバスバー2が差し込まれた状態を前提として説明する。すなわち、バスバー2の軸方向Aおよび放射方向Rは、コネクタ3の軸方向および放射方向でもある。図4に示すように、コネクタ3は、コネクタ絶縁体31と、バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25に接触可能な)複数のコネクタ導体41、42及び43と、を備える。
【0059】
コネクタ3は、バスバー2の末端部とかみあうように形成される。具体的には、バスバー2の末端の碍子状突起(突出部22B、24D)およびバスバー絶縁体26の端部26Fとかみあうように、コネクタ絶縁体31に放射方向Rの外側に窪んだ部分(窪み部31B、31D及び31F)が形成される。
【0060】
また、コネクタ3では、コネクタ導体41、42及び43のコネクタ接続部41E、42C及び43Aは、バスバー2を構成する導体(バスバー接続部25E、23C及び21A)と接触するように軸方向Aにずらして配置される。また、コネクタ接続部41E、42C及び43Aは、バスバー接続部25E、23C及び21Aとかみあうように、窪み部31B、31D及び31Fよりも放射方向Rの内側に突出するように配置される。
【0061】
すなわち、コネクタ3は、コネクタ3の軸方向Aの両端部のうちバスバー2が差し込まれる側の端部3bからその逆側の端部3tへ向かって順に(図4の下から上へ向かって順に)、バスバー絶縁体26の端部26Fとかみあう窪み部31Fと、バスバー接続部25Eと接触する(かみあう)コネクタ接続部41Eと、突出部24Dとかみあう窪み部31Dと、バスバー接続部23Cと接触する(かみあう)コネクタ接続部42Cと、突出部22Bとかみあう窪み部31Bと、バスバー接続部21Aと接触する(かみあう)コネクタ接続部43Aと、を備える。この構成により、コネクタ3に差し込まれたバスバー2が軸方向Aにずれにくく、バスバー2とコネクタ3とを確実に電気接続できる。
【0062】
コネクタ3を構成する導体(コネクタ導体41〜43)の材料は、バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)の材料と同様である。コネクタ絶縁体31の材料は、バスバー2を構成する絶縁体(バスバー絶縁体22、24及び26)の材料と同様である。コネクタ3は、例えば次のように製造する。複数のコネクタ導体41〜43を互いに所定の間隔を開けて金型中に入れ、射出成形、真空注型や加圧注型などにより金型中に絶縁物を充填した後、絶縁物を固化する。
【0063】
コネクタ絶縁体31は、複数のコネクタ導体41〜43の間の隙間を埋める。これによりコネクタ3が一体化されている。
上述したように、放射方向Rの外側から内側へ向かってコネクタ3が押圧されることでバスバー2とコネクタ3とが接続されるところ、この押圧を容易にするようにコネクタ絶縁体31は構成される。具体的には、コネクタ絶縁体31の圧縮弾性率よりも、バスバー絶縁体22の圧縮弾性率は大きい。また、図3に示すように、コネクタ絶縁体31は、主コネクタ絶縁体32と、主コネクタ絶縁体32よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体34と、を備える。埋め込み体34は、主コネクタ絶縁体32の軸方向Aに沿う切り欠き33に埋め込まれる。
なお、図3では締付部10の2枚の平板部12の間に埋め込み体34を配置しているが、締付部10の筒部11で埋め込み体34の放射方向Rの外側の面を覆っても良い。この場合、コネクタ3の押圧埋め込み体34が主コネクタ絶縁体32から外れにくく、また、埋め込み体34が放射方向R外側に膨らみにくい。よって、コネクタ3の押圧をより確実に行える。
【0064】
コネクタ導体41、42及び43は、図4に示すように、コネクタ接続部41E、42C及び43Aと、コネクタ接続部41E、42C及び43Aに連結された帯板部41q、42q及び43qとを備える。
【0065】
コネクタ接続部41E、42C及び43Aは、バスバー接続部25E、23C及び21Aの放射方向Rの外側に沿う(接触しやすい)ような形状とする。例えば、図1(a)に示すように、バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25の軸方向Aから見た断面が四角形や「コ」の字状の場合は、図4に示すコネクタ接続部41E、42C及び43Aの同断面を「コ」の字状や「ロ」の字状(中抜き四角形状。コネクタ3の押圧後の形状が「ロ」の字状)などとする。なお、コネクタ接続部43Aは、バスバー接続部21Aの放射方向Rの外側だけでなく軸方向A先端部に接触するように形成しても良い。この場合、バスバー接続部21Aとコネクタ接続部43Aとの電気接続をより確実に行える。
【0066】
帯板部41q、42q及び43qは、図3に示すように、例えば帯状(直方体)の板であり、コネクタ3の内部と外部とを電気接続する部材である。帯板部41q、42q及び43qは、絶縁距離を確保するために互いに所定の間隔を開けて配置され、また、図4に示すように、コネクタ3の例えば端部3tから軸方向Aの外側へ突出するように配置される(例えば、コネクタ絶縁体31の側面から放射方向Rの外側に突出するように配置しても良い)。なお、図3に示すように、帯板部41q、42q及び43qそれぞれの厚さ方向を揃えることが好ましい。この場合、帯板部41q、42q及び43qとコネクタ3に接続される機器とを接続しやすい。
【0067】
(本実施形態のバスバー等の特徴)
(特徴1)
図1(a)に示すように、バスバー2では、バスバー中心導体21の外側(放射方向Rの外側)に設けられるとともに放射方向Rの内側から外側に向かう向きに交互に配置された、バスバー絶縁体22、バスバー導体23、バスバー絶縁体24、バスバー導体25、および、バスバー絶縁体26を備える。すなわち、バスバー2では、バスバー中心導体21、バスバー絶縁体22、24、バスバー導体23及び25は略同軸に設けられる。よって、金属板の打ち抜き加工により製造される板状の従来のバスバーに比べ、金属材料の歩留まりを高くできる(製造時の材料の無駄を抑制できる)。その結果、バスバー2の材料の原料コストを削減できる。
【0068】
また、バスバー導体23及び25は、軸方向A全体にわたって軸方向Aから見た断面に開口部23o及び25oを備えている。これにより、図2(a3)及び(b3)に示すように、バスバー2の製造時に、放射方向R(以下、図1(b)参照。軸方向Aについても同様)の外側から内側に向かう向きに(同図の上から下に向かう向きに)バスバー導体23をバスバー絶縁体22にかぶせることができる。また、図2(a5)及び(b5)に示すように、放射方向Rの外側から内側に向かう向きに(同図の下から上に向かう向きに)バスバー導体25をバスバー絶縁体24にかぶせることができる。ここで、バスバー導体23及び25が筒状(図示なし)の場合はバスバー2の製造時にバスバー導体23及び25をバスバー絶縁体22及び24の外側に挿入する必要があるところ、図2に示すように、本構成ではバスバー導体23及び25をバスバー絶縁体22及び24にかぶせることができるので、上記挿入の必要がない。したがって、図4に示すように、バスバー導体23及び25よりも内側の部材(バスバー絶縁体22及び24)に突起(放射方向Rの外側に突出する突出部22B及び24D)を設けることや、バスバー2を曲がった形状とすることができる。
【0069】
(特徴2)
バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなる(これらが主要な材料であるものを含む)。これらの材料は、固有抵抗値が低く、加工性に優れる。すなわち、バスバー2を構成する導体には、導体として適した材料が用いられる。したがって、バスバー2での電気接続をより確実にしうる。
【0070】
また、バスバー2のバスバー絶縁体22、24及び26は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる。一般に、高分子化合物などの有機材料やシリカなどの無機材料の多くは、絶縁破壊電圧が10kV/mmを越えることが知られている(例えば、「プラスチックス」、工業調査会、vol.52、No.4、158〜163頁に記載)。このため使用される電圧が数kV程度であれば、たとえ絶縁体の厚さが1mm程度であっても十分に絶縁できる。すなわち、バスバー絶縁体22、24及び26には、絶縁体として適した材料が用いられる。したがって、バスバー2での絶縁をより確実にしうる。
さらに、有機材料と無機材料との混合物をバスバー絶縁体22、24及び26に適用した場合は、次の効果を奏する。一般に、有機材料の線膨張係数は、金属材料や無機材料に比べて大きい。このため、有機材料と無機材料との混合物をバスバー絶縁体22、24及び26に適用することで、導体と絶縁体との線膨張係数差を小さくすることができ、ひいてはバスバー2の耐久性を向上することができる。
【0071】
(特徴3)
バスバー2では、バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25は、コネクタ導体43、42及び41(のコネクタ接続部43A、42C及び41E)との接触面(バスバー接続部21A、23C及び25E)がめっき処理されている。よって、上記の接触面での防錆性や耐磨耗性が高い。また、上記の接触面がめっき処理により平滑化されるので、バスバーを構成する導体(バスバー接続部21A、23C及び25E)とコネクタ導体(コネクタ接続部43A、42C及び41E)との接触面積が大きくなり、電気抵抗を低くできる。したがって、防錆性、耐磨耗性および低電気抵抗の効果により、バスバー2を構成する導体(バスバー接続部21A、23C及び25E)とコネクタ導体(コネクタ接続部43A、42C及び41E)とをより確実に電気接続できる。
【0072】
(特徴5)
図4に示すように、バスバー中心導体21、バスバー導体23、25、バスバー絶縁体22、24及び26は、放射方向Rの内側に配置された部材ほど軸方向Aの外側に長く突出している。バスバー導体23の放射方向Rの内側に隣接するバスバー絶縁体22は、バスバー導体23よりも軸方向A外側に長く突出した部分(突出部22B)が、バスバー導体23よりも放射方向R外側に突出している。また、バスバー導体25の放射方向Rの内側に隣接するバスバー絶縁体24は、バスバー導体25よりも軸方向A外側に長く突出した部分(突出部24D)が、バスバー導体25よりも放射方向R外側に突出している。この突出部22B及び24Dにより、バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25の間の沿面距離(絶縁体の表面に沿った導体間の最短距離)が大きくなる。ここで、突出部22B及び24Dを設けなくても、バスバー接続部21A、23C及び25Eの軸方向Aの間隔を大きくすれば沿面距離を大きくできる。一方で本発明は突出部22B及び24Dを備えるので、バスバー2の軸方向Aの長さを長くしなくても(バスバー2を大きくしなくても)、バスバー2を構成する導体間の電気絶縁性をより確実に確保できる。
【0073】
(特徴7)
図2(a1)〜(a6)及び(b1)〜(b6)に示すように、バスバー2の製造方法では、放射方向Rの内側から外側に向かう向きに、バスバー絶縁体22、24及び26、および、バスバー導体23及び25をバスバー中心導体21の外側に交互に一層ずつ設ける。また、図2(a2)(b2)(a4)(b4)(a6)及び(b6)に示すように、バスバー中心導体21、バスバー導体23または25の放射方向Rの外側周囲に絶縁物を形成することでバスバー絶縁体22、24及び26を形成する工程(上述した工程1、3及び5)を備える。さらに、図2(a3)(b3)(a5)及び(b5)に示すように、放射方向Rの外側から内側に向かう向きにバスバー導体23及び25をバスバー絶縁体22及び24にかぶせる工程(上述した工程2及び4)を備える。特に、前記かぶせる工程を備えるので、バスバー導体23及び25よりも内側の部材(バスバー絶縁体22及び24)に突起(放射方向Rの外側に突出する突出部22B及び24D)を設けることや、バスバー2を曲がった形状とすることができる。
【0074】
(特徴8)
図4に示すように、バスバーおよびコネクタ1(バスバー2およびコネクタ3)では、バスバー2の末端部とかみあうようにコネクタ3が形成される。また、バスバー2の末端部がコネクタ3に差し込まれる。すなわち、バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)とコネクタ導体43〜41との接続部分はコネクタ3の内側に配置される(覆われる)。したがって、バスバーおよびコネクタ1の外部とこの接続部分とを確実に絶縁できる。
【0075】
バスバーおよびコネクタ1では、バスバー2の末端部が差し込まれたコネクタ3を、放射方向Rの外側から内側へ向かって押圧することにより、バスバー2とコネクタ3とが接続される(かみあうとともに電気接続される)。すなわち、バスバー2を構成する複数の導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)を複数のコネクタ導体43〜41に1つずつ接続するのではなく上記の押圧作業のみでバスバー2とコネクタ3とが接続され、バスバー2およびコネクタ3の導体どうしを例えばネジで締結する必要もない。したがって、バスバー2とコネクタ3との接続が容易であり、この接続に要する作業工数を削減できる。
【0076】
また、バスバーおよびコネクタ1では、コネクタ3を上記のように押圧する。よって、バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)とコネクタ導体43〜41とが確実に接触する。したがって、バスバー2とコネクタ3とを確実に電気接続できる。
【0077】
(特徴9)
バスバーおよびコネクタ1では、バスバー絶縁体22、24及び26の圧縮弾性率は、コネクタ絶縁体31の圧縮弾性率よりも大きい。よって、コネクタ3を押圧する場合にコネクタ3がバスバー2よりも変形しやすい。よって、コネクタ3の押圧が容易であり、バスバー2を構成する導体(バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25)とコネクタ導体43〜41とをより確実に接触させることができる。したがって、バスバー2とコネクタ3とをより確実に電気接続できる。
【0078】
(特徴10)
バスバーおよびコネクタ1では、複数のコネクタ接続部41E、42C及び43Aはそれぞれ、コネクタ3にバスバー2の末端部が差し込まれた状態で、バスバー2を構成する導体(バスバー接続部21A、23C及び25E)と接触するように軸方向Aにずらして配置される。したがって、複数のコネクタ接続部41E、42C及び43Aを軸方向Aにずらして配置しない場合に比べ、コネクタ導体41〜43どうしをより絶縁できる。
【0079】
また、コネクタ3は、複数のコネクタ導体41〜43の間の隙間がコネクタ絶縁体31で埋められて一体化されている。よって、コネクタ導体41〜43どうしが絶縁されるとともに、コネクタ3が一体化されていない場合に比べ、コネクタ3の取り扱いが容易である。
【0080】
(特徴11)
図3に示すように、コネクタ絶縁体31は、主コネクタ絶縁体32よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体34を備える。よって、コネクタ絶縁体31が主コネクタ絶縁体32のみで構成される場合に比べ、コネクタ3を押圧しやすい。したがって、バスバー2とコネクタ3とをより確実に電気接続できる。
【0081】
埋め込み体34は、主コネクタ絶縁体32の切り欠き33に埋め込まれている。したがって、埋め込み体34を切り欠き33に埋めない場合に比べ、コネクタ3とコネクタ3の外部とをより絶縁できる。
【0082】
なお、切り欠き33は、主コネクタ絶縁体32の軸方向A(コネクタ3に差し込まれたバスバー2の軸方向A)に沿うように形成される。よって、軸方向Aにずらして配置されたバスバー接続部21A、23C及び25Eと、コネクタ接続部43A、42C及び41Eとがより確実に接触する。
【0083】
(変形例1)
図4に変形例1のコネクタ接続部143A等を二点鎖線で示す。バスバー中心導体21には、バスバー中心導体21に接触するコネクタ導体43(のコネクタ接続部143A)を放射方向Rの内側に差し込み可能な穴121Aを形成しても良い(コネクタ接続部143Aおよび穴121Aについては後述)。この場合、バスバー中心導体21とコネクタ導体43との電気接続をより確実に行える。
【0084】
(変形例2)
図5に変形例2のバスバー2およびコネクタ3を示す。
バスバー中心導体121は、バスバー中心導体121に接触するコネクタ導体43を放射方向Rの内側に(軸方向Aに沿って)差し込み可能な穴121Aを備える。すなわち穴121Aは、図4に示すバスバー接続部21Aに対応する部分である。図5に示すように、バスバー中心導体121は、突出部22Bから軸方向Aの外側に突出させない。具体的には、バスバー中心導体121の軸方向Aの端部(図5における上端部)が突出部22Bの軸方向Aと揃う。なお、バスバー中心導体121を筒状部材(図示なし)とし、その結果として穴121Aを備えた形状としても良い。また、コネクタ導体43のコネクタ接続部143Aは、穴121Aに差し込み可能な形状(例えば、四角柱状、円柱状など棒状)とする。
【0085】
(変形例2のバスバーの特徴)
(特徴4)
図5に示すように、バスバー2では、バスバー中心導体121の穴121Aにコネクタ導体43(コネクタ接続部143A)を差し込むことで、バスバー中心導体121とコネクタ導体43とを電気接続できる。よって、バスバー中心導体121をバスバー絶縁体22(突出部22B)から軸方向Aの外側に長く突出させる必要がない。したがって、バスバー2の軸方向Aの長さを短くできる。
なお、このバスバー2に接続されるコネクタ3の軸方向Aの長さも短くできる。
【0086】
(変形例3)
図6に変形例3のバスバー2を示す。図1(a)に示すバスバー絶縁体22及び24の絶縁体開口部22o及び24oは、図6(a)に示すように形成しなくても良い。また、図1(b)に示した突出部22B、24D、及び端部26Fは、図6(b)に示す突出部122Ba、124Da、122Bb、124Db、及び端部126Fのように変形できる。
【0087】
突出部122Ba及び124Da、および端部126Fは、図6(b)に示すように、バスバー2を横から(軸方向Aに直交する方向から)見たとき、放射方向Rの外側端部が丸く突出するように形成される(軸方向A両端部よりも中央部で放射方向R外側に突出した形状に形成される)。この突出した部分はバスバー2を横から見て例えば半円状または半楕円状等である。
突出部122Bb及び124Dbは、バスバー2を横から見たとき、放射方向Rの外側端部が凹んだ形状に形成される(軸方向A両端部よりも中央部で放射方向R内側に凹んだ形状に形成される)。この凹んだ部分はバスバー2を横から見て例えば半円状または半楕円状等である。
なお、図4に示すコネクタ3の窪み部31B、31D、及び31Fは、上記突出部(または端部126F)がかみあうことが可能な形状とする。
【0088】
図6(a)に示すように、バスバー絶縁体22及び24の形成時に、バスバー中心導体21やバスバー導体23を断面F5a(図6(b)参照)の部分で金型により保持しない場合(保持については、図2(b1)の金型M3、および、図2(a2)の金型M2参照)、絶縁体開口部22o及び24o(図1(a)参照)が形成されない。すなわち、断面F5a(図6(b)参照)では、図6(a)に示すように、バスバー絶縁体22及び24がバスバー中心導体21及びバスバー導体23の放射方向Rの外側の周囲全体を覆う。この場合、絶縁体開口部22oや24o(図1(a)参照)を形成した場合に比べ、バスバー絶縁体22及び24で導体どうしをより確実に絶縁できる。
【0089】
(変形例4)
上記実施形態では、図3に示すように、コネクタ3を締付部10により押圧したが、他の方法でコネクタ3を押圧しても良い。例えば、コネクタ3の周囲にバネやゴムなどの弾性体を取り付けて加圧しても良い。
【0090】
(第2実施形態)
図7及び図8に第2実施形態のバスバー202およびコネクタ203を示す。なお、図7(a)は、図7(b)及び(c)のF7a断面矢視図である。図7(c)は、図7(b)のF7c矢視図である。図8(b)は、図8(a)のF8b矢視図(コネクタ203を図8(a)における斜め下から見た斜視図)である。第2実施形態と第1実施形態との相違点はバスバー202の末端の構成とコネクタ203の構成である。図7に示すように、バスバー202の末端は、バスバー絶縁体227と、バスバー接続部223C及び225Eと、を備える。
【0091】
バスバー絶縁体227は、バスバー202の軸方向Aの末端部(バスバー絶縁体26より軸方向Aの外側の部分)の絶縁体であり、バスバー中心導体21、バスバー導体23及び25間を絶縁する。すなわち、バスバー絶縁体227は、図1に示す碍子状突起(突出部24D及び22B)周辺の絶縁体に対応する。なお、図7(b)及び(c)のバスバー202の右端部には、二点鎖線で示すバスバー絶縁体227を取り除いた状態のバスバー202を示す。
【0092】
バスバー接続部223C及び225Eは、図7及び図8(a)に示すように、コネクタ203との例えば板状の接続部分である。バスバー接続部223C及び225Eは、バスバー導体23及び25の軸方向Aの端部に形成されるとともに、バスバー絶縁体227から放射方向Rの外側へ突き出るように形成される。すなわち、図8(a)に示すように、バスバー絶縁体227を構成する面のうち軸方向A端部の面227aからバスバー接続部21Aが軸方向Aの外側に突出し、面227aに隣接するとともに直交する面227bからバスバー接続部223C及び225Eが放射方向Rの外側へ突出する。
【0093】
また、バスバー接続部223C及び225Eは、図7(b)に示すように、軸方向Aを中心とする周方向に並ぶように配置される。すなわち、図1に示すバスバー接続部23Cと25Eとのように軸方向Aにずらして(間隔をあけて)配置するのではなく、軸方向Aに直交する方向(図7(a)及び(b)の上下方向)に並んで(間隔をあけて)配置される。なお、図7では煩雑を避けるため、バスバー接続部223Cと225Eとを軸方向Aにずらして示しているが、このようにずらす必要はない。
【0094】
また、バスバー接続部223C及び225Eは、バスバー接続部223C及び225Eが突出する方向(図7(c)の上下方向)から見た断面積が所定値以上になるように、幅(軸方向Aの長さ)及び厚さを設定する。具体的には例えば、前記断面積が8平方ミリメートル以上となるように、軸方向Aの幅10mm、厚さ1mmなどとする。また、図8(a)に示すように、バスバー接続部223C及び225Eには孔を形成しても良い(後述)。
【0095】
また、バスバー接続部223C及び225Eは、次のように形成される。図1(a)に示すような軸方向Aから見た断面が「コ」の字状のバスバー導体23及び25のうち、軸方向Aの先端より内側(例えば10mm程度内側)部分の「コ」の字の一辺に対応する部分に切り込みを入れる。そして、図7(a)に示すように、この切り込みよりも軸方向Aの先端側の部分を「コ」の字状に曲げずに(または一旦「コ」の字状に曲げた後、同図の矢印で示すように起こして)、同断面を「L」字状とする。これにより、「L」字状とした部分がバスバー絶縁体227から外側に突き出て、バスバー接続部223C及び225Eが形成される。なお、バスバー接続部223C及び225Eをバスバー絶縁体227から所定の長さだけ残して切り取っても良い(短くしても良い)。この場合、コネクタ203が必要以上に大きくなることを抑制できる。
【0096】
コネクタ203は、図8(a)に示すように、上述したバスバー202の軸方向A末端部に取り付けられ、バスバー接続部21A、223C及び225Eとかみあうように(電気接続できるように)構成される。コネクタ203は、例えばL字型ブロック状のコネクタ絶縁体231と、図8(b)に示すように、コネクタ接続部241E、242C及び243Aとを備える。
【0097】
コネクタ絶縁体231は、3つのスリット状の溝を備え、この溝の内側(内面)にコネクタ接続部241E、242C、及び243Aが配置される。コネクタ接続部243Aが配置される溝は、隣り合う2つの面(面231a及び231c)にわたって形成される。なお、コネクタ絶縁体231の外面のうち、コネクタ接続部241E及び242Cが配置される溝が形成された面を面231bとする。
【0098】
コネクタ接続部241E、242C及び243Aはそれぞれ、コネクタ絶縁体231のスリット状の溝に差し込まれたバスバー接続部225E、223C及び21A(図8(a)参照)と電気接続を行う部分であり、例えばこれらのバスバー接続部をバネで挟むことが可能な2枚の板で構成される。なお、図8(a)に示すバスバー接続部223C及び225Eに形成した孔にはまるように、図8(b)に示すコネクタ接続部241E及び242Cに突起(図示なし)を形成しても良い。これらの孔及び突起を形成した場合、バスバー202にコネクタ203をより確実に取り付けできる。
【0099】
バスバー202へのコネクタ203の取り付けは次のように行う。図8(a)及び(b)に示すように、バスバー接続部223C及び225Eを、コネクタ接続部241E及び242C(が配置されたコネクタ絶縁体231の溝)へ差し込む。すなわち、図8(a)に示すバスバー202の面227bと、図8(b)に示すコネクタ203の面231bとが対向して接触するようにバスバー202をコネクタ203へ取り付ける。このとき、図8(b)に示すように、コネクタ絶縁体231には面231aだけでなく面231cにも溝が形成されているので、図8(a)に示すバスバー接続部21Aは、図8(b)に示すコネクタ接続部243Aに差し込まれる(その結果、面231aはバスバーの面227aと対向して配置される)。
【0100】
(第2実施形態のバスバーの特徴)
(特徴6)
図7に示すように、バスバー202の複数のバスバー導体23及び25の軸方向Aの端部はそれぞれ、バスバー絶縁体227から放射方向Rの外側へ突き出るように形成されたバスバー接続部223C及び225Eを備える。このバスバー接続部223C及び225Eを用いてバスバー202とコネクタ203(図8参照)との電気接続ができる。
【0101】
また、バスバー202の複数のバスバー接続部223C及び225Eは、軸方向Aを中心とする周方向に並んで配置されている。よって、複数のバスバー接続部223C及び225Eが軸方向Aに並んで配置される場合(図1(b)参照)に比べ、バスバー202の軸方向Aの長さを短くできる(バスバー202の端子部分をコンパクトにできる)。
【0102】
(第2実施形態の変形例)
図8に示すコネクタ203は様々な構成に変形できる。例えば、図8(a)に示すように、バスバー202のバスバー接続部223C及び225Eが突出する向き(同図では下から上へ向かう向き)にバスバー202をコネクタ203に取り付けるようにコネクタ203を構成したが、軸方向Aに沿って取り付けるようにしても良い。また例えば、図8(b)に示すように、コネクタ203は、コネクタ接続部241E、242C及び243A間をコネクタ絶縁体231で埋めて一体としたが、コネクタ203を複数の部分に分けても良い。例えば、コネクタ接続部241E及び242Cを備えた部分と、コネクタ接続部243Aを備えた部分とにコネクタ203を分けても良い。また例えば、コネクタ203では、図8(a)に示すバスバー接続部21A、223C及び225Eをスリット状の溝に差し込むことでバスバー202との電気接続を行ったが、バスバー接続部21A、223Cまたは225Eを例えばワニ口クリップ状のコネクタ接続部(図示なし)で挟んでバスバー202との電気接続を行っても良い。
【0103】
(その他の変形例)
前記実施形態では、図1等に示すように、バスバー2(202)の導体の数は3であった(バスバー中心導体21、バスバー導体23、およびバスバー導体25の3つ)。しかしながら、この数は2以上であればいくつでも本発明を適用できる。例えば、三相以外の多相交流や単相交流の電気接続にも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0104】
1、201 バスバーおよびコネクタ
2、202 バスバー
3、203 コネクタ
21、121 バスバー中心導体
22、24、26、227 バスバー絶縁体
22B、24D、122Ba、122Bb、124Da、124Db 突出部(放射方向外側に突出している部分)
23、25 バスバー導体
23o、25o 開口部
31 コネクタ絶縁体
32 主コネクタ絶縁体
33 切り欠き
34 埋め込み体
41、42、43 コネクタ導体
41E、42C、43A、143A コネクタ接続部
121A 穴
223C、225E バスバー接続部(バスバー絶縁体から放射方向外側へ突き出るように形成されたバスバー接続部)
A 軸方向
R 放射方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気接続に用いられるバスバーであって、
バスバー中心導体と、
前記バスバー中心導体の外側に設けられるとともに、当該バスバー中心導体の軸方向に直交する放射方向の内側から外側に向かう向きに交互に配置された複数のバスバー絶縁体およびバスバー導体と、を備え、
前記バスバー導体は、前記軸方向全体にわたって前記軸方向から見た断面に開口部を備えている、バスバー。
【請求項2】
前記バスバー中心導体および前記バスバー導体は、アルミニウム、銅、アルミニウム合金、および、銅合金のいずれかからなり、
前記バスバー絶縁体は、有機材料と無機材料との混合物、または、有機材料からなる、請求項1に記載のバスバー。
【請求項3】
前記バスバー中心導体および前記バスバー導体は、当該バスバー中心導体および当該バスバー導体に接触するコネクタ導体との接触面がめっき処理されている、請求項1または2に記載のバスバー。
【請求項4】
前記バスバー中心導体は、当該バスバー中心導体に接触するコネクタ導体を前記放射方向内側に差し込み可能な穴を備えている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項5】
前記バスバー導体、および、前記バスバー絶縁体は、前記放射方向内側に配置された部材ほど前記軸方向外側に長く突出し、
前記バスバー導体の前記放射方向内側に隣接する前記バスバー絶縁体は、当該バスバー導体よりも前記軸方向外側に長く突出した部分が、当該バスバー導体よりも当該放射方向外側に突出している、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項6】
複数の前記バスバー導体の前記軸方向端部はそれぞれ、前記バスバー絶縁体から前記放射方向外側へ突き出るように形成されたバスバー接続部を備え、
複数の前記バスバー接続部は、前記軸方向を中心とする周方向に並んで配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のバスバー。
【請求項7】
前記放射方向内側から外側に向かう向きに、前記バスバー絶縁体および前記バスバー導体を前記バスバー中心導体の外側に交互に一層ずつ設ける製造方法であって、
前記バスバー中心導体または前記バスバー導体の前記放射方向外側周囲に絶縁物を形成することで前記バスバー絶縁体を形成する工程と、
前記放射方向外側から内側へ向かう向きに前記バスバー導体を前記バスバー絶縁体にかぶせる工程と、を備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載のバスバーを製造するためのバスバーの製造方法。
【請求項8】
請求項5に記載の前記バスバーと、前記バスバーの末端部とかみあうように形成されたコネクタと、を備えたバスバーおよびコネクタであって、
前記コネクタは、コネクタ絶縁体と、前記バスバー中心導体および前記バスバー導体に接触可能な複数のコネクタ導体と、を備え、
前記バスバーの末端部が差し込まれたコネクタを、前記放射方向外側から内側へ向かって押圧することにより、当該バスバーと当該コネクタとが接続される、バスバーおよびコネクタ。
【請求項9】
前記バスバー絶縁体の圧縮弾性率は、前記コネクタ絶縁体の圧縮弾性率よりも大きい、請求項8に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項10】
複数の前記コネクタ導体はそれぞれコネクタ接続部を備え、
複数の前記コネクタ接続部はそれぞれ、前記コネクタに前記バスバーの末端部が差し込まれた状態で、当該バスバーを構成する導体と接触するように前記軸方向にずらして配置され、
前記コネクタは、複数の前記コネクタ導体の間の隙間が前記コネクタ絶縁体で埋められて一体化された、請求項8または9に記載のバスバーおよびコネクタ。
【請求項11】
前記コネクタ絶縁体は、主コネクタ絶縁体と、当該主コネクタ絶縁体よりも圧縮弾性率の小さい埋め込み体と、を備え、
前記埋め込み体は、前記主コネクタ絶縁体の切り欠きに埋め込まれている、請求項8〜10のいずれか1項に記載のバスバーおよびコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75214(P2012−75214A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−216414(P2010−216414)
【出願日】平成22年9月28日(2010.9.28)
【出願人】(000001199)株式会社神戸製鋼所 (5,860)
【Fターム(参考)】