説明

バスバー接続具

【課題】バスバー間の接触圧を確保しつつ、重ね合わせ状態のバスバーを挿入可能な寸法の公差を大きくすることが可能なバスバー接続具を提供する。
【解決手段】バスバー接続具10は、弾性部材11が収容される収容室26を備え、収容室26には、重ね合わせバスバー45を当該収容室26内に挿入可能とする開口部28が設けられており、収容室26に収容された弾性部材11は、収容室26内における位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能に構成されており、一対の撓み片12,12には、収容室26内で変更されうる弾性部材11の位置及び姿勢の所定の範囲で開口部28に挿入された重ね合わせバスバー45に当接する当接部15Aが設けられており、当接部15Aに当接した重ね合わせバスバー45は、当該重ね合わせバスバー45が一対の撓み片12,12間に位置するように弾性部材11を収容室26内で移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バスバー接続具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、互いに異なる機器に連なる2枚のバスバーを重ね合わせ状態とし、この重ね合わせ状態のバスバーを弾性部材で挟みつけることでバスバー間の接触圧を高めつつ、バスバー間を電気的に接続するようにした技術が知られている。
下記特許文献1は、雄コネクタの雄バスバーと雌コネクタの雌バスバーとをコネクタ嵌合時に重ね合わせ状態とし、U字状の弾性接触片を有するバネを有する移動ブロックを重ね合わせ状態のバスバー側に移動させることにより、重ね合わせ状態のバスバーの両側から弾性接触片の弾性力で挟み込むようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−18579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の構成では、上記した弾性接触片を有するバネは、移動ブロックの内部に圧入もしくはインサート成形により固定されている。このように弾性接触片が固定されていると、重ね合わせ状態のバスバーを弾性接触片が挟み込むことが可能な寸法公差は、固定状態の弾性接触片の下方に突出する一対の撓み片における先端部の内側の所定の寸法に限られる。一方、重ね合わせ状態のバスバーを弾性接触片が挟み込むことが可能な寸法公差を、この所定の寸法よりも大きくすることができれば、重ね合わせ状態のバスバーの弾性部材への挿入時の不具合を防止することができるため望ましい。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、バスバー間の接触圧を確保しつつ、重ね合わせ状態のバスバーを挿入可能な寸法の公差を大きくすることが可能なバスバー接続具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、それぞれ接続用バスバーを有する一方及び他方の機器における複数の前記接続用バスバーを重ね合わせ状態として構成された重ね合わせバスバーを、合成樹脂製のハウジングに収容された弾性部材の一対の撓み片間に挟み付けて接続するバスバー接続具において、前記ハウジングは、前記弾性部材が収容される収容室を備え、前記収容室には、前記重ね合わせバスバーを当該収容室内に挿入可能とする開口部が設けられており、前記収容室に収容された前記弾性部材は、前記収容室内における位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能に構成されており、前記一対の撓み片には、前記収容室内で変更されうる前記弾性部材の位置及び姿勢の前記所定の範囲で前記開口部に挿入された前記重ね合わせバスバーに当接する当接部が設けられており、前記当接部に当接した前記重ね合わせバスバーは、当該重ね合わせバスバーが前記一対の撓み片間に位置するように前記弾性部材を前記収容室内で移動させる構成としたところに特徴を有する。
【0007】
本構成によれば、収容室に収容された弾性部材は、収容室内における位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能に構成されているため、重ね合わせバスバーを挿入可能な寸法の公差を、弾性部材がハウジングに固定されている場合における一対の撓み片間の寸法よりも大きく設定することが可能になる。
また、このように、弾性部材の位置及び姿勢が変更可能に構成されていても、一対の撓み片には、収容室内で変更されうる弾性部材の位置及び姿勢の所定の範囲で、開口部に挿入された重ね合わせバスバーに当接する当接部が設けられており、当接部に当接した重ね合わせバスバーは、当該重ね合わせバスバーが一対の撓み片間に位置するように弾性部材を収容室内で移動させるため、一対の撓み片間の弾性力により重ね合わせバスバーを挟み付けることができ、重ね合わせバスバーにおける各接続用バスバー間について所定の接触圧を確保した接続を行うことが可能になる。
よって、バスバー接続具について、バスバー間の接触圧を確保しつつ、重ね合わせ状態のバスバーを挿入可能な寸法の公差を大きくすることが可能となる。
【0008】
上記構成に加えて以下の構成を有すればより好ましい。
・前記開口部には、前記重ね合わせバスバーを前記収容室内に導くガイド部が形成されている。
このようにすれば、ガイド部が形成された範囲において重ね合わせバスバーを収容室内に導くことができる。よって、重ね合わせバスバーを挿入可能な寸法の公差を更に大きくすることが可能となる。
【0009】
・前記ハウジングは、前記収容室の一端側が開放された本体部と、前記本体部の前記開放された部分に装着されるカバー部とからなり、前記カバー部に、前記開口部が設けられている。
このようにすれば、弾性部材の収容室への組み付けを容易にすることが可能になる。
【0010】
・前記収容室は、前記ハウジングに複数並んで設けられており、前記複数の収容室に前記弾性部材がそれぞれ収容されている。
複数の収容室に弾性部材がそれぞれ収容されている構成では、この弾性部材に挟み込まれる重ね合わせバスバーも複数設けられるため、これら複数の重ね合わせバスバー間に寸法の誤差が生じる場合がある。本構成によれば、このように複数の重ね合わせバスバー間の寸法の誤差が生じやすい場合に、重ね合わせバスバーを挿入可能な寸法の公差を大きくすることができるため、寸法の誤差による不具合を防止することが可能になる。
【0011】
・前記収容室は、前記ハウジングに複数並んで設けられ、前記本体部における前記複数の収容室間には、仕切り壁が設けられており、前記カバー部には、前記仕切り壁に連なるように突出する仕切り凸部が設けられており、前記仕切り凸部の側面が前記一対の撓み片の先端部が係止される係止部となる。
このようにすれば、弾性部材の収容を容易にするために設けられるカバーの構成を利用して撓み片を係止部に係止させることが可能になる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、バスバー間の接触圧を確保しつつ、重ね合わせ状態のバスバーを挿入可能な寸法の公差を大きくすることが可能なバスバー接続具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るバスバー接続具を用いて重ね合わせ状態の接続バスバー間を接続した状態を示す断面図
【図2】バスバー接続具を被取付け部材に取り付ける前の状態を示す断面図
【図3】バスバー接続具を示す側面図
【図4】バスバー接続具を示す底面図
【図5】バスバー接続具のカバーが取り外された状態を示す断面図
【図6】重ね合わせバスバーがガイド部で案内される状態を説明する図
【図7】他の重ね合わせバスバーがガイド部で案内される状態を説明する図
【図8】一対の撓み片間に重ね合わせバスバーが挿入される状態を説明する図
【図9】収容室内における異なる位置及び姿勢の弾性部材について一対の撓み片間に重ね合わせバスバーが挿入される状態を説明する図
【図10】収容室内における異なる位置及び姿勢の弾性部材について一対の撓み片間に重ね合わせバスバーが挿入される状態を説明する図
【図11】収容室内における異なる位置及び姿勢の弾性部材について一対の撓み片間に重ね合わせバスバーが挿入される状態を説明する図
【図12】一対の撓み片間に重ね合わせバスバーが挿入された状態を示す図
【図13】弾性部材が収容室内で最大傾いた状態を示す図
【図14】末広湾曲部を弧とする扇形の角度が90度以上である場合の弾性部材を示す図
【図15】末広湾曲部を弧とする扇形の角度が90度より小さい場合の弾性部材を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図15の図面を参照しながら説明する。
本実施形態のバスバー接続具10は、自動車等の車両に配された一方の機器40及び他方の機器42のそれぞれから延出された接続用バスバー41,44間に接触圧を生じさせて接続用バスバー41,44間を接続するものである。以下では、上下方向及び左右方向については、図1を基準とし、図1の紙面手前側を前方、紙面奥方を後方として説明する。
【0015】
(機器)
一方の機器40は、図2に示すように、機器本体(図示しない)を箱形の機器ケース40Aに収容している。この機器ケース40Aは金属製で、例えば自動車のボディに固定されている。
この機器40には、内部の機器本体から機器ケース40Aの上面に設けられた挿通孔(図示しない)を通って上方に突出する複数本(図2では8本)の板状の接続用バスバー41が、左右方向(接続用バスバー41の厚み方向)に等間隔で並んで設けられている。
【0016】
他方の機器42は、自動車内において一方の機器40とは異なる箇所に配されており、この他方の機器42からバスバー43が左右方向に延びている。
バスバー43は、その末端側がL字型に屈曲されており、屈曲部分よりも先は、上下方向に延びる板状の接続用バスバー44とされている。なお、他方の機器42から電線を介して接続用バスバー44に接続するようにすることも可能であり、この場合、電線の端末に圧着等の公知の接続手段により取付けられる端子金具に接続用バスバー44を形成してもよい。
【0017】
一方の機器40の接続用バスバー41と他方の機器42の接続用バスバー44は、互いに接触若しくはわずかな隙間を生じて対向配置されることで互いに重なり合っており、これにより2枚の接続用バスバー41,44が重ね合わされた状態の重ね合わせバスバー45が構成されている。
【0018】
(バスバー接続具)
バスバー接続具10は、複数の弾性部材11と、弾性部材11が収容されるハウジング17とを備えている。
弾性部材11は、例えば、ステンレス又は鉄からなる金属製であって、帯状の金属板材を略U字状に曲げ加工を施して形成されており、より詳しくは、図8に示すように、一対の撓み片12,12と、一対の撓み片12,12の基端部に円弧状に連なる連結部16とからなる。
【0019】
一対の撓み片12,12は、連結部16側の基端部から一対の撓み片12,12間の寸法を小さくするように傾斜した内側傾斜部13,13と、内側傾斜部13,13に連なり撓み片12,12の先端部にかけて外方側(互いに離れる方向)に広がるように円弧状に湾曲した末広湾曲部15,15とを備え、内側傾斜部13,13と末広湾曲部15,15の境界部分は、両撓み片12,12が最も近づく幅狭部14,14とされている。
【0020】
一対の撓み片12,12のうち幅狭部14,14間の寸法(重ね合わせバスバー45の挿入前における幅狭部の内面間の寸法)は、2枚の接続用バスバー41,44を隙間なく密着させた状態の重ね合わせバスバー45の厚み寸法よりも小さい。これにより、一対の撓み片12,12の間に重ね合わせバスバー45を挿入すると、一対の撓み片12,12が外方側に撓み変形し、その弾性的な復元力により2枚の接続用バスバー41,44間に接触圧が生じる。
末広湾曲部15,15の内面側(下面側)は、重ね合わせバスバー45の先端45Aが当接する当接部15A,15Aとされている。
【0021】
ハウジング17は、図5に示すように、弾性部材11を収容する収容凹部20が並んで設けられた本体部18と、本体部18の下方に被せられるカバー部25とからなる。
本体部18は、複数の弾性部材11を収容する箱形の収容部19と、収容部19の下端から鍔状に外方側に突出するフランジ部22とを有する。
【0022】
収容部19には、弾性部材11が収容される収容凹部20が左右に複数並んで設けられており、各収容凹部20間は、仕切り壁20Aによって仕切られている。
収容部19の側面には、図3に示すように、ロック突部21が形成されている。ロック突部21は、段差状に突出し、カバー部25側に向けて傾斜状に突出寸法が小さくなる形状をなす。
【0023】
フランジ部22は、図5に示すように、円形状の取付孔23が貫通形成されている。取付孔23には、ボルトBTの軸部が挿通される円筒形状のカラー(図示しない)が嵌め込まれるようになっており、図2に示すように、ボルトBTを被取付部材24に設けられたネジ溝を有するボルト孔24Aにボルト締めすることでハウジング17を被取付部材24に取り付ける。なお、ハウジング17をシールド機能を生じさせる金属製のシールドシェルで覆うようにし、シールドシェルを被取付部材24に取り付けるようにしてもよい。
【0024】
カバー部25は、図5に示すように、収容部19の下端側(開口側)に装着されて弾性部材11が収容される複数の収容室26の底壁を形成するものであり、板状部27と、板状部27の上方に突出して仕切り壁20Aの下端に突き当てられる仕切り凸部29とを備えている。
【0025】
板状部27は、収容凹部20に被せられることにより、弾性部材11を収容可能な収容室26を構成し、この板状部27が収容室26の各底壁を形成する。
板状部27には、重ね合わせバスバー45を挿入可能な開口部28が貫通形成されている。
【0026】
開口部28は、図6に示すように、板状部27に貫通形成されており、重ね合わせバスバー45を収容室26内に導くガイド部28Aを有する。
ガイド部28Aは、開口部28の上端(収容室26側の端部)の開口端28B(のわずかに下)から下方(外面)に向けて傾斜状に開口径を大きくする傾斜面であり、このガイド部28Aに重ね合わせバスバー45の先端45Aが当接すると、重ね合わせバスバー45の先端45Aがガイド部28Aに摺接しつつ開口端28Bまで移動する。なお、重ね合わせバスバー45の向き(上下方向に延びた姿勢)は、機器40,42に各接続用バスバー41,44が強固に保持されているためほとんど変わらない。
【0027】
仕切り凸部29は、図8に示すように、板状部27の上面から山形に突出しており、その上端は仕切り壁20Aの下端に突き当てられる突き当て面29Aとされるとともに、その両側は、テーパ状に角が取られている。
この仕切り凸部29の側面は、弾性部材11が左右に移動したり弾性部材11の姿勢が傾斜した場合に、撓み片12,12の先端部(の端面)が係止される係止部29Bとされている。係止部29Bは、仕切り壁20Aの面よりも内側に突出しており、この係止部29Bに撓み片12,12の先端部が係止されることにより収容室26内における弾性部材11の所定以上の移動及び姿勢の変更を規制する。
この仕切り凸部29が仕切り壁20Aの下端に連なることで各収容室26の側壁が形成される。
【0028】
収容室26は、断面が概ね長方形状であって、弾性部材11を収容した際には、弾性部材11との間に弾性部材11の位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能なクリアランスを有している。これにより、弾性部材11は、収容室26内において、クリアランスの範囲内で左右方向の移動が許容されているとともに、弾性部材11の姿勢もクリアランスに応じて傾いた姿勢となることが許容されている(図8〜図11)。
カバー部25の側面には、図3に示すように、本体部18のロック突部21に係止される枠形のロック受け部30が形成されており、ロック受け部30の撓み変形によりロック突部21がロック受け部30内に配されて係止されることでカバー部25の離脱が規制される。
【0029】
ここで、弾性部材11及び収容室26は、図13に示すように、弾性部材11が収容室26内において最大傾いたときの一対の撓み片12,12の下端(先端)間の左右方向の寸法Acosθ(即ち、左右方向に対して角度θ傾いた弾性部材11の一対の撓み片12,12の下端間の寸法Aを左右方向の面に投影した寸法)が、仕切り凸部29における一方の係止部29BA(29B)と、開口部28(の奥端部)のうち前記一方の係止部29BAから遠い側の他方の開口端28BB(28B)と、の間の寸法(W/2+S/2)より大きくなっている。
即ち、Acosθ>(W+S)/2となる範囲で設定されている。
ここで、上記式の「W」は、左右の仕切り凸部29(の係止部29B)間の寸法である。また、図13では、一方の係止部29BAと他方の開口端28BBとの間の寸法と弾性部材11の寸法との関係を示しているが、他方の係止部29BB(29B)と一方の開口端28BAとの間の寸法と弾性部材11の寸法との関係についても同様に設定されている。
【0030】
なお、上記「一対の撓み片12,12の下端」は、図14に示すように、末広湾曲部15,15を弧とする扇形の角度φ(中心角)が90度以上である場合には、末広湾曲部15,15の弧を含む円の下端となるが、図15に示すように、末広湾曲部15,15を弧とする扇形の角度φ(中心角)が90度に満たない場合には、円の下端ではなく、一対の撓み片12,12の先端部が下端となる。
【0031】
次に、バスバー接続具10の重ね合わせバスバー45への組み付けについて説明する。
バスバー接続具10を下降させ、バスバー接続具10の開口部28側を重ね合わせバスバー45に近付けていく(図2参照)。このとき、重ね合わせバスバー45を構成する接続用バスバー41,44の左右方向の位置が、例えば、図6,7に示すように、上端の開口端28B内の領域の外側にある場合であっても、接続用バスバー41,44がガイド部28Aの内側にあれば、ガイド部28Aの傾斜面に当接して接続用バスバー41,44の位置が開口端28Bの内側に案内される。
【0032】
そして、そこから更に、バスバー接続具10を下降させていく。このとき、重ね合わせバスバー45の位置が、例えば、図8〜図11に示すように、撓み片12,12における末広湾曲部15,15間の中心部にない場合には、末広湾曲部15,15の当接部15Aに重ね合わせバスバー45を構成する接続用バスバー41,44が当接する。
【0033】
接続用バスバー41,44から力を受けた撓み片12,12は、撓み変形しつつ一対の撓み片12,12間に接続用バスバー41,44が位置するように、弾性部材11の収容室26内における位置及び姿勢を、例えば、図8〜図11の2点鎖線で示した弾性部材11Aの位置に変更させる。そして、更に、バスバー接続具10を下降させると、重ね合わせバスバー45が一対の撓み片12,12間を弾性変形させつつ内側に入り込んでいき、重ね合わせバスバー45が一対の撓み片12,12間に挿入される(図12)。このとき、弾性部材11の弾性復元力により挟み付けられた接続用バスバー41,44の間には所定の接触圧が生じている。
【0034】
本実施形態によれば、以下の作用・効果を奏する。
(1)それぞれ接続用バスバー41,44を有する一方及び他方の機器40,42における複数の接続用バスバー41,44を重ね合わせ状態として構成された重ね合わせバスバー45を、合成樹脂製のハウジング17に収容された弾性部材11の一対の撓み片12,12間に挟み付けて接続するバスバー接続具10において、ハウジング17は、弾性部材11が収容される収容室26を備え、収容室26には、重ね合わせバスバー45を当該収容室26内に挿入可能とする開口部28が設けられており、収容室26に収容された弾性部材11は、収容室26内における位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能に構成されており、一対の撓み片12,12には、収容室26内で変更されうる弾性部材11の位置及び姿勢の所定の範囲で開口部28に挿入された重ね合わせバスバー45に当接する当接部15Aが設けられており、当接部15Aに当接した重ね合わせバスバー45は、当該重ね合わせバスバー45が一対の撓み片12,12間に位置するように弾性部材11を収容室26内で移動させる。
【0035】
このように本実施形態によれば、収容室26に収容された弾性部材11は、収容室26内における位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能に構成されているため、重ね合わせバスバー45を挿入可能な寸法の公差を、弾性部材11がハウジング17に固定されている場合における一対の撓み片12,12間の寸法よりも、大きく設定することが可能になる。
【0036】
また、このように、弾性部材11の位置及び姿勢が変更可能に構成されていても、一対の撓み片12,12には、収容室26内で変更されうる弾性部材11の位置及び姿勢の所定の範囲で、開口部28に挿入された重ね合わせバスバー45に当接する当接部15Aが設けられており、当接部15Aに当接した重ね合わせバスバー45は、当該重ね合わせバスバー45が一対の撓み片12,12間に位置するように弾性部材11を収容室26内で移動させるため、一対の撓み片12,12間の弾性力により重ね合わせバスバー45を挟み付けることができ、重ね合わせバスバー45における各接続用バスバー41,44間について所定の接触圧を確保した接続を行うことが可能になる。
よって、接続用バスバー41,44間の接触圧を確保しつつ、重ね合わせ状態の重ね合わせバスバー45を挿入可能な寸法の公差を大きくすることが可能となる。
【0037】
(2)開口部28には、重ね合わせバスバー45を収容室26内に導くガイド部28Aが形成されている。
このようにすれば、ガイド部28Aが形成された範囲において重ね合わせバスバー45を収容室26内に導くことができる。よって、重ね合わせバスバー45を挿入可能な寸法の公差を更に大きくすることが可能となる。
【0038】
(3)ハウジング17は、収容室26の一端側が開放された本体部18と、本体部18の開放された部分に装着されるカバー部25とからなり、カバー部25に、開口部28が設けられている。
このようにすれば、弾性部材11の収容室26への組み付けを容易にすることが可能になる。
【0039】
(4)収容室26は、ハウジング17に複数並んで設けられており、複数の収容室26に弾性部材11がそれぞれ収容されている。
複数の収容室26に弾性部材11がそれぞれ収容されている構成では、この弾性部材11に挟み込まれる重ね合わせバスバー45も複数設けられるため、これら複数の重ね合わせバスバー45間(複数の重ね合わせバスバー45を構成する複数の接続用バスバー41,44間)に寸法の誤差が生じる場合がある。本実施形態によれば、このように複数の重ね合わせバスバー45間(複数の重ね合わせバスバー45を構成する複数の接続用バスバー41,44間)の寸法の誤差が生じやすい場合に、重ね合わせバスバー45を挿入可能な寸法の公差を大きくすることができるため、寸法の誤差による不具合を防止することが可能になる。
【0040】
(5)収容室26は、ハウジング17に複数並んで設けられ、本体部18における複数の収容室26間には、仕切り壁20Aが設けられており、カバー部25には、仕切り壁20Aに連なるように突出する仕切り凸部29が設けられており、仕切り凸部29の側面が一対の撓み片12,12の先端部が係止される係止部29Bとなる。
このようにすれば、弾性部材11の収容を容易にするために設けられるカバーの構成を利用して撓み片12,12を係止部29Bに係止させることが可能になる。
【0041】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)弾性部材11には、ステンレス又は鉄を用いることとしたが、これに限らず、アルミニウムやアルミニウム合金、銅や銅合金等の他の金属を用いることも可能である。また、金属に限らず、接続バスバー間の接触圧を確保できる程度の弾性力を生じさせることが可能な樹脂等の部材を用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
10…バスバー接続具
11…弾性部材
12…撓み片
13…内側傾斜部
14…幅狭部
15…末広湾曲部
15A…当接部
16…連結部
17…ハウジング
18…本体部
19…収容部
20…収容凹部
20A…仕切り壁
25…カバー部
26…収容室
27…板状部
28…開口部
28A…ガイド部
28B(28BA,28BB)…開口端
29…仕切り凸部
29A…突き当て面
29B(29BA,29BB)…係止部
40…一方の機器
41,44…接続用バスバー
42…他方の機器
45…重ね合わせバスバー
45A…先端

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ接続用バスバーを有する一方及び他方の機器における複数の前記接続用バスバーを重ね合わせ状態として構成された重ね合わせバスバーを、合成樹脂製のハウジングに収容された弾性部材の一対の撓み片間に挟み付けて接続するバスバー接続具において、
前記ハウジングは、前記弾性部材が収容される収容室を備え、前記収容室には、前記重ね合わせバスバーを当該収容室内に挿入可能とする開口部が設けられており、
前記収容室に収容された前記弾性部材は、前記収容室内における位置及び姿勢を所定の範囲で変更可能に構成されており、
前記一対の撓み片には、前記収容室内で変更されうる前記弾性部材の位置及び姿勢の前記所定の範囲で前記開口部に挿入された前記重ね合わせバスバーに当接する当接部が設けられており、前記当接部に当接した前記重ね合わせバスバーは、当該重ね合わせバスバーが前記一対の撓み片間に位置するように前記弾性部材を前記収容室内で移動させるバスバー接続具。
【請求項2】
前記開口部には、前記重ね合わせバスバーを前記収容室内に導くガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のバスバー接続具。
【請求項3】
前記ハウジングは、前記収容室の一端側が開放された本体部と、前記本体部の前記開放された部分に装着されるカバー部とからなり、
前記カバー部に、前記開口部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバスバー接続具。
【請求項4】
前記収容室は、前記ハウジングに複数並んで設けられており、前記複数の収容室に前記弾性部材がそれぞれ収容されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載のバスバー接続具。
【請求項5】
前記収容室は、前記ハウジングに複数並んで設けられ、前記本体部における前記複数の収容室間には、仕切り壁が設けられており、
前記カバー部には、前記仕切り壁に連なるように突出する仕切り凸部が設けられており、前記仕切り凸部の側面が前記一対の撓み片の先端部が係止される係止部となることを特徴とする請求項3に記載のバスバー接続具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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