説明

バックサクション機能を備えたポンプ機構およびこのポンプ機構を備えたポンプ式製品

【課題】バックサクション機能を備えたポンプ機構の組立手順の簡単化、当該機構全体のコスト低減化、および当該バックサクション機能の確実化を図る。
【解決手段】利用者の液状内容物吐出操作によって下動し貯留空間域Bの容積を減少させ、操作解除時にはジャバラ部材6の復帰作用によって上動し貯留空間域Bの容積を拡大させるスパウト1に対して、上方に相対移動すると吐出弁作用部(1d,3a)を開状態とし下方に相対移動すると吐出弁作用部を閉状態とする吐出弁部材3を、容器本体側の内側起立部5cや吸込弁部材4の上側筒状部の外周面に摩擦係合するようにして、操作解除時の初期段階で吐出弁作用部を開状態としたままスパウト1が上動し、通路部分1aなどに残留する液状内容物を貯留空間域Bに吸引するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックサクション機能を備えたポンプ機構、例えばエアレスポンプ機構などに関する。
【0002】
特に操作部材の液状内容物吐出操作の解除直後に、当該操作部材と吐出弁部材との間の弁作用および操作部材復帰作動部の作用により、吐出口側の残留液状内容物に対してバックサクション作用を呈するポンプ機構に関する。
【0003】
なお、本明細書で用いる「液状内容物」は後述のようにクリーム状,ペースト状またはゾル状などの各種内容物を含む概念である。
【0004】
本発明は、容器本体の液状内容物収容空間域を画定する底部が液状内容物吐出動作にともなう当該空間域の圧力低下に応じて上方向に移動するタイプのエアレスポンプ機構および、この液状内容物収容空間域の圧力低下に応じた分の大気が当該空間域に流入する固定底部タイプの通常ポンプ機構のそれぞれを対象とする。ただ、以下の記載では単なる説明の便宜上、エアレスポンプ機構の場合を主たる前提としている。
【背景技術】
【0005】
バックサクション機能を備えたエアレスポンプ機構自体は、例えば下記特許文献1で開示される。
【0006】
このエアレスポンプ機構(バックサクション機構)の場合、
(11)吐出ノズル付押下ヘッド12(本発明のスパウトに相当)の上流側に設けられてこれと連動するピストン14(本発明のジャバラ部材,筒状シール部材に相当)に、吐出弁19(本発明の吐出弁部材に相当)が取り付けられ、
(12)この吐出弁19は、ピストン14にいわば固定されて略変形しない外パーツ19bと、弾性変形して当該外パーツとの間の開閉作用を呈する内パーツ19aと、が嵌め合わされたものであり、
(13)吐出ノズル付押下ヘッド12の押し切り状態(=下死点状態)のとき、吐出弁19の内パーツ19aを、シリンダに固定された液封止パーツ17の突出部17dで押し上げ、すなわち内パーツ19aを弾性作用に抗する態様でいわば強制的に開状態に変形させ、
(14)続いて吐出ノズル付押下ヘッド12の押下げを解除して吐出弁19も上方向に連動するとき、その初期の、まだ内パーツ19aが突出部17dで押し上げられて吐出弁作用部が開状態となっている段階でバックサクション作用を呈する、
ようになっている。
【0007】
【特許文献1】特開平10−59405号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このようなバックサクション機構では、変形可能な内パーツとそうでない外パーツとを嵌め合わせた形の吐出弁を用い、かつ、吐出ノズル付押下ヘッドがその下死点状態から静止モードに復帰する初期段階で吐出弁作用部を開状態に維持するための突出部(液封止パーツ)を別途設けている。
【0009】
また、この吐出弁作用部は吐出ノズル付押下ヘッドに取り付けられたピストンの内部空間域(=ヘッドの上流側空間域)に設定されている。
【0010】
そのため、バックサクション機構の構成部品数が多くなり、その組立に手間がかかり、機構全体のコストも高くなるという問題点があった。
【0011】
また、バックサクション作用を呈する吐出弁の設定箇所が、液状内容物の吐出口であるノズル先端部分から離れた部分となって、当該吐出口およびその近くのノズル部分に残留している液状内容物をその貯留空間域(吐出弁と吸込弁との間の空間域)に効率的に引き込みにくいという問題点があった。
【0012】
そこで本発明では、吐出弁作用部として、操作部材の吐出口側の開口部分と、当該操作部材とは別で(その弁作用部が弾性変形することのない)移動可能な吐出弁部材とからなる開閉作用部を用い、吐出操作解除後の静止モードへの復帰初期段階でのバックサクション作用に必須となる当該開口部分と当該吐出弁部材との間の開状態が、特別の開状態維持用部材などを何ら要することなしに、続くようにしている。
【0013】
本発明の目的は、この操作部材開口部分と吐出弁部材とからなる吐出弁作用部を用いてバックサクション機構(ポンプ機構)を構成し、これにより当該機構の組立手順の簡単化を図るとともに、当該機構全体のコスト低減化を図ることを目的とする。
【0014】
また、この吐出弁作用部を操作部材の吐出口側に設定し、これにより吐出口およびその近くの通路部分に残留している液状内容物の貯留空間域への引込み動作の確実化を図ることを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)操作部材(例えば後述のスパウト1,2)の液状内容物吐出操作の解除直後に、当該操作部材と吐出弁部材(例えば後述の吐出弁部材3,3’)との間の弁作用および操作部材復帰作動部(例えば後述のジャバラ部材6,コイルスプリング9)の作用により、吐出口側の残留液状内容物に対してバックサクション作用を呈するポンプ機構において、
前記操作部材は、
前記吐出口側の開口部分(例えば後述の開口部1c,2a)と、
前記液状内容物吐出操作の際に、前記吐出弁部材と当接してこれを当該吐出操作の操作方向に駆動する連動作用部(例えば後述の駆動作用部1e,上側縦リブ状部2d)とを有し、
前記吐出弁部材は、
前記操作部材とは別の独立した移動可能な部材であって、
当該操作部材への前記液状内容物吐出操作およびその解除に応じて前記開口部分との間の開閉作用を呈する、弁作用部(例えば後述の外向き緩突状部3a)を有し、
前記操作部材および前記吐出弁部材は、
前記液状内容物吐出操作の時には、
先ず当該操作部材の開口部分が前記弁作用部から離間し、続いて前記連動作用部が当該吐出弁部材を前記操作方向に駆動し、
前記液状内容物吐出操作の解除時には、
先ず前記操作部材復帰作動部の復帰作用に基づき、当該操作部材が、当該吐出弁部材に対して当該開口部分と当該弁作用部との間部分が開状態のまま当該操作方向とは逆方向に移動することにより、前記バックサクション作用を呈し、続いて同じく当該復帰作用に基づいて当該間部分が閉状態となった上で当該操作部材および当該吐出弁部材が連動して静止モードに復帰する、構造からなっている、
ポンプ機構を用いる。
(2)上記(1)において、
前記液状内容物を収容する容器本体(例えば後述の容器本体10)に取り付けられて、当該容器本体とともに液状内容物の収容空間域を設定するカバー体(例えば後述のカバー体5,7)を有し、
前記カバー体は、
前記収容空間域の液状内容物が流入する孔部(例えば後述の流入用孔部5a,7a)と、
当該孔部の回りに形成されて、少なくとも下死点位置の前記吐出弁部材をそれとの摩擦作用により保持する機能を備えた第1の環状起立部(例えば後述の筒状の内側起立部5c,7c)とを有し、
前記吐出弁部材は、
少なくともその下死点位置で前記第1の環状起立部の内周面に当接し、当該内周面との摩擦力によりこの当接状態に保持される被保持部(例えば後述の環状の逆スカート部3d)を有する、
構成のものを用いる。
(3)上記(2)において
前記第1の環状起立部の内側に取り付けられて、その外周面部分で、前記吐出弁部材の前記操作方向および前記逆方向への移動を案内し、かつ、前記孔部に対する弁機能を備えた吸込弁部材(例えば後述の吸込弁部材4)を有する、
構成のものを用いる。
(4)上記(1)〜(3)において,
前記操作部材(例えば後述のスパウト2)は、
操作対象となる環状上面部分(例えば後述の環状上面部分2g)を備え、
当該環状上面部分の内側開口部が前記吐出口側の開口部分として作用する筒状部材からなる、
構成のものを用いる。
(5)上記(2)〜(4)において、
前記操作部材および前記カバー体(例えば後述のカバー体5)にそれぞれ一方および他方の端部が取り付けられて、前記孔部を閉じた状態の吸込弁(例えば後述の吸込弁4a)から前記開口部分にいたる液状内容物貯留空間域(例えば後述の貯留空間域B)を設定し、かつ、前記操作部材復帰作動部として作用しえる筒状のジャバラ部材(例えば後述のジャバラ部材6)を有する、
構成のものを用いる。
(6)上記(5)において、
前記吸込弁部材は、
前記孔部に対して作用する前記吸込弁が形成された筒状部からなって、その吸込弁側の側面部分に、筒状部内部から筒状部外部への液状内容物通過用の第1の貫通部(例えば後述の切欠状部4c)を備えた筒状部材であり、
前記吐出弁部材は、
開口部側が前記吸込弁部材の外周面に案内され、当該吸込弁部材の上流側内部空間域から連続する下流側内部空間域を形成する有底筒状部からなって、その底部側の側面部分に、有底筒状部内部から有底筒状部外部への液状内容物通過用の第2の貫通部(例えば後述の縦方向切欠状部3b)を備えた有底筒状部材であり、
前記吸込弁の部分から前記開口部分までの液状内容物通路域として、
前記上流側内部空間域から前記下流側内部空間域を経て前記第2の貫通部およびその先の前記開口部分にいたる第1の通路域と、
前記第2の貫通部から、前記吸込弁部材および前記吐出弁部材と前記ジャバラ部材との間の外部空間域を経て、前記開口部分にいたる第2の通路域とが設定されている、
構成のものを用いる。
(7)上記(2)〜(4)において、
前記カバー体(例えば後述のカバー体7)の前記第1の環状起立部(例えば後述の筒状の内側起立部7c)の外側に形成された第2の環状起立部(例えば後述の筒状の中間起立部7f)と、
前記操作部材(例えば後述のスパウト1)に取り付けられて、前記第2の環状起立部の内周面との間のシール作用を呈し、かつ、前記孔部(例えば後述の流入用孔部7a)を閉じた状態の吸込弁(例えば後述の吸込弁4a)から前記開口部分にいたる液状内容物貯留空間域(例えば後述の貯留空間域B)を設定する筒状の可動部材(例えば後述の筒状のシール部材8)とを有する、
構成のものを用いる。
(8)上記(7)において、
前記吸込弁部材は、
前記孔部に対して作用する前記吸込弁が形成された筒状部からなって、その吸込弁側の側面部分に、筒状部内部から筒状部外部への液状内容物通過用の第1の貫通部(例えば後述の切欠状部4c)を備えた筒状部材であり、
前記吐出弁部材は、
開口部側が前記吸込弁部材の外周面に案内され、当該吸込弁部材の上流側内部空間域から連続する下流側内部空間域を形成する有底筒状部からなって、その底部側の側面部分に、有底筒状部内部から有底筒状部外部への液状内容物通過用の第2の貫通部(例えば後述の縦方向切欠状部3b)を備えた有底筒状部材であり、
前記吸込弁の部分から前記開口部分までの液状内容物通路域として、
前記上流側内部空間域から前記下流側内部空間域を経て前記第2の貫通部およびその先の前記開口部分にいたる第1の通路域と、
前記第2の貫通部から、前記吸込弁部材および前記吐出弁部材と前記第2の環状起立部および前記筒状の可動部材との間の外部空間域を経て、前記開口部分にいたる第2の通路域とが設定されている、
構成のものを用いる。
(9)上記(1)〜(8)において、
前記液状内容物の通路域の外側の空間域に当該通路域から隔離した態様で配設されて、前記操作部材を前記逆方向に付勢することにより前記操作部材復帰作動部として作用する弾性部材(例えば後述のコイルスプリング9)を有する、
構成のものを用いる。
【0016】
本発明は、以上の構成からなるバックサクション機能を備えたポンプ機構および当該ポンプ機構を備えたポンプ式製品を対象としている。
【0017】
なお、上述の(1)〜(9)それぞれのバックサクション機能を備えたポンプ機構は、概略、
・(1)から(3)までが図1〜図11に対応し、
・(4)が図6〜図8に対応し、
・(5)および(6)が図1〜図8に対応し、
・(7)および(8)が図9〜図11に対応し、
・(9)が図6〜図11に対応している。
【発明の効果】
【0018】
本発明はこのように、吐出弁作用部として、操作部材の吐出口側の開口部分と、当該操作部材とは別で移動可能な吐出弁部材とからなる開閉作用部を用い、吐出操作解除後の静止モードへの復帰初期段階でのバックサクション作用に必須となる当該開口部分と当該吐出弁部材との間の開状態が、特別の開状態維持用部材などを何ら要することなしに、続くようにしている。
【0019】
そのためバックサクション機構(ポンプ機構)の組立手順の簡単化を図るとともに、当該機構全体のコスト低減化を図ることができる。
【0020】
また、吐出口およびその近くの通路部分に残留している液状内容物の貯留空間域への引込み動作の確実化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】横吐出タイプのスパウトおよび、液状内容物貯留空間域の形成用部材としてのジャバラ部材を用いたエアレスポンプ式製品の静止モード示す説明図である。
【図2】図1のエアレスポンプ式製品の液状内容物吐出状態を示す説明図である。
【図3】図1のエアレスポンプ式製品のスパウト(吐出弁部材)下死点状態を示す説明図である。
【図4】図1のエアレスポンプ式製品のスパウト(吐出弁部材)下死点から静止モードへの復帰初期段階、すなわち吐出弁作用部がまだ開いたままのバックサクション状態を示す説明図である。
【図5】図4のバックサクション終了後の静止モードへの復帰段階、すなわち吐出弁作用部が閉じ、吸込弁作用部が開いて、次回吐出対象の液状内容物がその収容空間域から貯留空間域へ流入している状態を示す説明図である。
【図6】上吐出タイプのスパウトおよび、液状内容物貯留空間域の形成用部材としてのジャバラ部材を用いたエアレスポンプ式製品の静止モードを示す説明図である。
【図7】図6のエアレスポンプ式製品のスパウト(吐出弁部材)下死点状態を示す説明図である。
【図8】図6のエアレスポンプ式製品のスパウト(吐出弁部材)下死点から静止モードへの復帰初期段階、すなわち吐出弁作用部がまだ開いたままのバックサクション状態を示す説明図である。
【図9】横吐出タイプのスパウトおよび、液状内容物貯留空間域の形成用部材としての筒状シール部材(非ジャバラ形状)を用いたエアレスポンプ式製品の静止モードを示す説明図である。
【図10】図9のエアレスポンプ式製品のスパウト(吐出弁部材)下死点状態を示す説明図である。
【図11】図9のエアレスポンプ式製品のスパウト(吐出弁部材)下死点から静止モードへの復帰初期段階、すなわち吐出弁作用部がまだ開いたままのバックサクション状態を示す説明図である。
【図12】吸込弁部材の形状を示す説明図であり、(a)は斜視形状を示し、(b)は断面形状を示している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1〜図12を用いて本発明を実施するための形態を説明する。
【0023】
図1〜図12で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば通路部分1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えばスパウト1)の一部であることを示している。
【0024】
図1〜図5,図9,図10,図11において、
1は利用者の液状内容物吐出操作の対象となる横吐出タイプのスパウト,
1aは略横方向に筒状態様で形成された液状内容物の通路部分,
1bは通路部分1aの出力側となる液状内容物吐出用の孔部,
1cは通路部分1aの入力側に形成された円態様の開口部,
1dは開口部1cの画定要素であって、後述の外向き緩突状部2aとともに弁作用を呈する内向き緩突状部,
1eは開口部1cと対向する通路天井部分の一部にリブ状に例えば3個形成され、当該スパウトの押下げ操作開始から遅延して後述の吐出弁部材3の上面部分に当接し、その後、当該吐出弁部材3と連動してこれを下方向に移動させる駆動作用部,
1fは内向き緩突状部1dに続いて下方に延びる内側筒状部,
1gは当該スパウトの外側筒状部の下端側外周面に外延態様で形成された環状の被係止用テーパ部分,
1hは当該スパウトの天井面の径方向に複数形成されたリブ状部,
をそれぞれ示している。
【0025】
図6〜図8において、
2は利用者の液状内容物吐出操作の対象となる上吐出タイプのスパウト,
2aは当該スパウトの上面中央部分に形成された円態様の開口部,
2bは開口部2aの形成要素であって、後述の外向き緩突状部3aとともに弁作用を呈する内向き緩突状部,
2cは内向き緩突状部2bに続いて下方に延びる内側筒状部,
2dは内側筒状部2cの上側内周面にその周方向に飛び飛びの態様で形成され、当該スパウトの押下げ操作開始から遅延して後述の吐出弁部材3’の下側縦リブ状部3eの上端分に当接し、その後、当該吐出弁部材3’と連動してこれを下方向に移動させる、複数の上側縦リブ状部,
2eは当該スパウトの外側筒状部の下端側外周面に外延態様で形成された環状の被係止用テーパ部分,
2fは当該スパウトの天井面の径方向に複数形成されたリブ状部,
2gは当該スパウトの押下げ操作の対象となる環状上面部分,
をそれぞれ示している。
【0026】
図1〜図12において(3’および3eは図6〜図8のみで使用)、
3,3’はスパウト1,2の開口部1c,2aから内側筒状部1f,2cおよびその下方空間域に、上下動可能な形で配設された鞘状の吐出弁部材,
3aは当該吐出弁部材の上端側外周面部分に、内向き緩突状部1d,2bと密接可能な態様で形成されて弁作用を呈する環状の外向き緩突状部,
3bは当該吐出弁部材の上側周面部分に飛び飛びに4個形成された液状内容物通過用の縦方向切欠状部,
3cは当該吐出弁部材の内周面下側部分に形成された環状の内面緩突状部,
3dは当該吐出弁部材の下端部分に形成された環状の逆スカート部,
3eは縦方向切欠状部3bの下方に続く外周面部分にその周方向に飛び飛びの態様で形成され、スパウト2の押下げ操作にともなって自らの上端部分が上側縦リブ状部2dの下端部分と当接して下方向に連動する形の、複数の下側縦リブ状部,
4は吐出弁部材3の上下動に対するガイド機能も備えた筒状で、上下動することのない吸込弁部材,
4aは当該吸込弁部材の下端側内部空間域に形成されて、後述の流入用孔部5aへの弁作用を呈する円状の吸込弁,
4bは吸込弁4aを当該吸込弁部材の内周面に連結している円弧状の計三個の弾性片部,
4cは当該吸込弁部材の下側大径筒状部分の周面および上面の各一部に相当する液状内容物通過用の切欠状部,
4dは当該下側大径筒状部分の下端側部分に形成された係合用の環凸状部,
4eは当該吸込弁部材の外周面上部分に形成されて、静止モードのとき吐出弁部材3の内面緩突状部3cと係合する環状の外面緩突状部,
をそれぞれ示している。
【0027】
図1〜図8において、
5は吸込弁部材4が固定状態で取り付けられ、かつ、後述の容器本体10およびを可動底部材(シール部材)11とともに後述の液状内容物収容空間域Aを形成するカバー体,
5aは吸込弁4aが開くことにより当該収容空間の液状内容物が吸込弁部材4の内部空間域側へと移動する際の流入用孔部,
5bは流入用孔部5aの回りに起立態様で形成されて、吸込弁4aを密接状態で受けることにより当該流入用孔部を閉状態に設定する環状の弁作用部,
5cは弁作用部5bの回りに形成されて、吸込弁部材4の環凸状部4dを固定的に保持するとともに、スパウト1,2の押下げ操作にともない下動する吐出弁部材3の逆スカート部3dと当接し、この当接部分同士の摩擦作用により当該吐出弁部材を積極的に保持する機能を備えた筒状の内側起立部,
5dは内側起立部5cの内周面下側部分に形成されて、吸込弁部材4の環凸状部4dとの係合作用により当該吸込弁部材を固定状態で保持する環凹状部,
5eは内側起立部5cの上端側部分の周方向に間歇的に形成されて、吐出弁部材3の下動にともないその逆スカート部3dが当該部分に当接する段階での液状内容物の通路域として作用する上下方向の切欠状部,
5fは当該カバー体の外側筒状起立部の内周面上端側部分に内延態様で形成されて、スパウト1,2に上方向の過大な力が加わったとき、被係止用テーパ部分1g,2eと当接することにより当該スパウトが当該カバー体から抜けるのを防止する係止用テーパ部分
6は上側筒状部分および下側筒状部分がそれぞれスパウト1,2の内側筒状部1f,2cおよびカバー体5の内側起立部5cの各外周面に嵌合して、吸込弁4aから内向き緩突状部1d,2b(吐出弁作用部分)までの後述の液状内容物貯留空間域Bを形成するジャバラ部材,
をそれぞれ示している。
【0028】
図9〜図11において、
7は吸込弁部材4が固定状態で取り付けられ、かつ、後述の容器本体10およびを可動底部材(シール部材)11とともに後述の液状内容物収容空間域Aを形成するカバー体,
7aは吸込弁4aが開くことにより当該収容空間の液状内容物が吸込弁部材4の内部空間域側へと移動する際の流入用孔部,
7bは流入用孔部7aの回りに起立態様で形成されて、吸込弁4aを密接状態で受けることにより当該流入用孔部を閉状態に設定する環状の弁作用部,
7cは弁作用部7bの回りに形成されて、吸込弁4aを固定保持するとともに、スパウト1の押下げ操作にともない下動する吐出弁部材3の逆スカート部3dと当接し、この当接部分同士の摩擦作用により当該吐出弁部材を積極的に保持する機能を備えた筒状の内側起立部,
7dは内側起立部7cの内周面下側部分に形成されて、吸込弁部材4の環凸状部4dとの係合作用により当該吸込弁部材を固定状態で保持する環凹状部,
7eは内側起立部7cの上端側を含む部分の周方向に間歇的に形成されて、吐出弁部材3の下動にともないその逆スカート部3dが当該部分に当接する段階での液状内容物の通路域として作用する上下方向の切欠状部,
7fは内側起立部7cの回りに形成されて、後述のシール部材8に対する案内機能を備えた筒状の中間起立部,
7gは当該カバー体の外側筒状起立部の内周面上端側部分に内延態様で形成されて、スパウト1に上方向の過大な力が加わったとき、被係止用テーパ部分1gと当接することにより当該スパウトが当該カバー体から抜けるのを防止する環状の係止用テーパ部分,
8は筒状上側部分がスパウト1の内側筒状部1fの各外周面に嵌合し、下端側が中間起立部7fの内周面に密接して、吸込弁4aから内向き緩突状部1d(吐出弁作用部分)までの後述の液状内容物貯留空間域Bを形成する筒状のシール部材,
8aは中間起立部7fの内周面とのシール作用を呈する上側の逆スカート部,
8bは中間起立部7fの内周面とのシール作用を呈する下側のスカート部,
をそれぞれ示している。
【0029】
図6〜図11において
9はスパウト1,2のリブ状部1h,2fとカバー体5,7の底面部分との間に配設されて当該スパウトを上方向(静止モード)に付勢するコイルスプリング,
を示している。
【0030】
図1〜図11において、
10は液状内容物を収容する容器本体,
10aは外気流入用の孔部,
11はスパウト1,2の押下げ操作解除にともなう当該スパウトの復帰動作にともなって、容器本体内部の液状内容物がカバー体5,7の流入用孔部5a,7aから吸込弁部材4の内部空間域側へと移動する際に、容器本体10の内周面に密接しながら上方向に移動する可動底部材(シール部材),
11aは容器本体10の内周面とのシール作用を呈する逆スカート部,
Aはカバー体5,7,容器本体10および可動底部材11により画定される容器本体内部の液状内容物の収容空間域,
Bはスパウト1,2の内向き緩突状部1d,2b(内側筒状部1f,2c),吐出弁部材3の外向き緩突状部3a,吸込弁4aおよびジャバラ部材5,カバー体7の中間起立部7f,シール部材8などにより画定されて、その中に次の吐出対象となる液状内容物が保持される貯留空間域,
をそれぞれ示している。
【0031】
ここで、スパウト1,2,吐出弁部材3,3’,吸込弁部材4,カバー体5,7,シール部材8,容器本体10および可動底部材11はそれぞれ、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0032】
また、ジャバラ部材6はプラスチック製のもの、ニトリルブタジエンゴム(NBR),シリコンゴム,ブチルゴム,フッ素ゴムなどからなるゴム製(熱硬化性エラストマー製)のもの、または熱可塑性エラストマー製のものである。
【0033】
また、コイルスプリング9は金属製またはプラスチック製のものである。
【0034】
なお、吐出弁部材3,3’は単一部材からなり、吐出操作時の弁貯留空間域の圧力増加によってもその弁作用部である外向き緩突状部3aが変形しない性状のものである。
【0035】
また、吐出弁部材3,3’の内面緩突状部3cと、これの上下方向への変位動作を案内する吸込弁部材4の筒状部外周面(外面緩突状部4eの下側筒状部分の外周面)とは、少なくとも当該吐出弁部材がその下死点にいたった状態では当該内面緩突状部が当該筒状部外周面との摩擦力により当該下死点位置に保持される態様の形状,性状のものになっている。
【0036】
例えば、この外面緩突状部4eの下側筒状部分の外径を下方側で大きく設定して、少なくとも吐出弁部材3,3’の下死点位置またはその近くの位置でその内面緩突状部3cが当接する当該下側筒状部分の外径を、吐出弁部材3,3’の当該内面緩突状部での内径よりも大きくする。
【0037】
図示のエアレスポンプにおけるバックサクション機構の基本的特徴は、
(21)吐出弁作用部として、スパウト1,2と、これから独立した部材であってスパウト押下げ操作およびその解除にともない当該スパウトとの離接作用を呈する吐出弁部材3と、からなる弁作用部を設定し、
(22)押下げ操作解除後に吐出弁作用部がそれまでの開状態から静止モードの閉状態へ復帰する過程の初期段階、すなわち吐出弁作用部がまだ開いたままスパウト1,2が上動している段階での貯留空間域Bの容積増大にともない、ポンプ吐出口側の残留液状内容物に対してバックサクション作用を呈する(図4,図8,図11参照)、
ことである。
【0038】
このバックサクション機構の別の基本的特徴は、
(31)液状内容物吐出口の近く(図1〜図5,図9〜図11参照)または液状内容物吐出口自体(図6〜図8参照)に吐出弁作用部、すなわちバックサクション機構を形成した、
ことである。
【0039】
図示のエアレスポンプ式製品は、
・横吐出タイプのスパウト1および貯留空間域Bの形成用部材としてのジャバラ部材6を用いたもの(その1:図1〜図5)
・上吐出タイプのスパウト2および貯留空間域Bの形成用部材としてのジャバラ部材6を用いたもの(その2:図6〜図8)
・横吐出タイプのスパウト1および貯留空間域Bの形成用部材としてのシール部材8を用いたもの(その3:図9〜図11)
の3種類である。
【0040】
いずれのエアレスポンプ式製品もその動作態様は同じであり、以下、スパウト1およびジャバラ部材6を用いたエアレスポンプ(図1〜図5)を中心に説明する。
【0041】
エアレスポンプ式製品の静止モード(図1,図6,図9参照)では、
(41)スパウト1,2はそれぞれ、ジャバラ部材6やコイルスプリング9の弾性作用により上方向に付勢され、
(42)この付勢力によって、吐出弁作用部、すなわちスパウト1,2の内向き緩突状部1d,2bおよび吐出弁部材3の外向き緩突状部3aからなる弁作用部は、互いに密接した閉状態に設定され、
(43)同じく、吐出弁部材3の内面緩突状部3cが吸込弁部材4の外面緩突状部4eに係合した状態で保持され、
(44)スパウト1,2の被係止用テーパ部分1g,2eがカバー体5,7の係止用テーパ部分5f,7gから僅かに離間した状態で保持され、
(45)吸込弁4aはカバー体5,7の弁作用部5b,7bに密接し、
(46)貯留空間域Bは、前回のスパウト押下げ操作(=液状内容物吐出動作)の解除にともなう内部圧力の低下で吸込弁4aがいったん開き(図5参照)、この開状態の弁作用部から収容空間域Aの液状内容物が流入した後の閉空間域になっている。
【0042】
そして、静止モードのスパウト1,2の上面部分(スパウト2の場合は環状上面部分2g)が押下げられると、先ず、スパウト1,2が吐出弁部材3,3’に対して、当該各スパウトの駆動作用部1eおよび上側縦リブ状部2dがそれぞれ吐出弁部材3の上面部分および下側縦リブ状部3e(吐出弁部材3’)の上端部分に当接するまで、下動する。
【0043】
この当接状態では、吐出弁作用部の内向き緩突状部1d,2b(スパウト1,2)と外向き緩突状部3a(吐出弁部材3,3’)とが離間している。すなわち、吐出弁作用部が開状態になっている。
【0044】
この当接後、吐出弁部材3,3’はスパウト1,2とともに下方向に連動し、貯留空間域Bの容量が減少する(図2参照)。
【0045】
この容量減少にともない貯留空間域Bが加圧され、当該空間域に貯留されていた液状内容物は開状態の吐出弁作用部から外部空間域に吐出される。このとき吸込弁4aは勿論閉じたままである。
【0046】
なお、貯留空間域Bの液状内容物が外部空間域に吐出されるときの中間経路は図2で示すように、
・スパウト1,2の内側筒状部1f,2cおよびジャバラ部材6と、吐出弁部材3および吸込弁部材4の各外周面との間の環状空間域
・吐出弁部材3,吸込弁部材4の各内部空間域および縦方向切欠状部3b
のいわば並列態様の2系統である。
【0047】
そして、図1〜図5,図9〜11におけるスパウト1の場合の液状内容物は通路部分1aを通って孔部1bから外部空間域に吐出される。
【0048】
また、図6〜図8におけるスパウト2の場合の液状内容物は開口部2aから直に外部空間域に吐出される。
【0049】
このスパウト付きのエアレスポンプの利用形態としては例えばコットン,紙,布などを開口部2aに載せた状態でスパウト2の環状上面部分2gを押し下げて、貯留空間域Bの液状内容物をコットンなどに塗布,浸透させることなどである。
【0050】
図3,図7および図10はそれぞれスパウト1,2が下死点まで押し下げられた状態を示している。
【0051】
このスパウト1,2の下死点状態では、
(51)上述の吐出弁作用部(スパウト1,2の内向き緩突状部1d,2bおよび吐出弁部材3の外向き緩突状部3aからなる弁作用部)が開き、
(52)吸込弁4aが閉じ、
(53)液状内容物の吐出動作が終了し、
(54)ジャバラ部材6およびコイルスプリング9がそれぞれ自らの弾性力に抗する形で圧縮され、
(55)スパウト1,2によって押し下げられた吐出弁部材3の逆スカート部3dの上端部分がカバー体5,7の内側起立部5c,7cの内周面に摩擦係合し、
(56)同じく吐出弁部材3の内面緩突状部3cが吸込弁部材4の上側筒状部の外周面に摩擦係合し、
(57)吐出対象の液状内容物が、スパウト1の通路部分1aおよび開口部1cやスパウト2の開口部2aなどの部分に残留した、
状態になっている。
【0052】
利用者がスパウト1,2の押下げ操作をやめると、図4,図8,図11に示すように略吐出弁部材3が下死点位置のまま、スパウト1,2のみが、ジャバラ部材6やコイルスプリング9の弾性作用により上方向に復帰する。
【0053】
このスパウト1,2のみの復帰動作は内向き緩突状部1d,2bが吐出弁部材3の外向き緩突状部3aに当接するまで続く。当接した後はスパウト1,2および吐出弁部材3が上方向に連動する。
【0054】
このスパウト1,2のみの復帰動作中、スパウト1,2と吐出弁部材3との間の吐出弁作用部は離間し、また、吐出弁部材3は上記(55),(56)の摩擦係合作用により下死点の位置に略保持される。
【0055】
このように吐出弁作用部が開いたままスパウト1,2が上方向に移動するので吐出弁作用部のいわば直上流側空間域の圧力が低下する。
【0056】
その結果、スパウト1の通路部分1aおよび開口部1cやスパウト2の開口部2aなどの部分に残留していた液状内容物が、図4,図8,図11の矢印で示すように貯留空間域Bへと吸引される。すなわちバックサクション作用が生じる。
【0057】
このバックサクション作用は、スパウト1,2の内向き緩突状部1d,2bが吐出弁部材3の外向き緩突状部3aに当接する、すなわち吐出弁作用部が開状態から閉状態に移行することにより終了する。
【0058】
そして吐出弁作用部が開状態から閉状態に移行した後は、スパウト1,2および吐出弁部材3が上動してそれぞれ図1,図6,図9の静止モードの状態へ復帰する。
【0059】
このスパウト1,2および吐出弁部材3の静止モードへの復帰過程において、貯留空間域Bの容積が増え、当該貯留空間域の圧力が低下する。
【0060】
この圧力低下にともない吸込弁4aが開き、容器本体10の収容空間域Aの液状内容物が貯留空間域Bに流入する。このとき吐出弁作用部は勿論閉じている。そして双方の空間域の圧力差が略なくなった時点で吸込弁4aは閉じて静止モードに移行する。なお、収容空間域Aから貯留空間域Bに流入した液状内容物は次のスパウト押下げ操作時の吐出対象内容物である。
【0061】
すなわち、スパウト1,2の押下げ操作にともなう液状内容物吐出動作により内部空間域Bの液状内容物が孔部1bや開口部2aから外部空間域に吐出されると、その吐出相当量の液状内容物が容器本体の収容空間域Aからその下流側の貯留空間域Bに流入する。
【0062】
この液状内容物の貯留空間域Bへの流入にともなって収容空間域Aの圧力が大気圧より小さくなるので、可動底部材11は大気圧の作用で図示上方向に移動する。なお、容器本体10の底面部分と可動底部材11の下面部分とで画定される容器本体内の下方空間域は孔部10aを介して常に外部空間と連通している。
【0063】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり、例えば、
(61)図1〜図5のポンプ機構にコイルスプリング9を設ける、
(62)図6〜図8のポンプ機構のコイルスプリング9を省略する、
(63)図9〜図11のポンプ機構のスパウトおよび吐出弁部材として図6のスパウト2および吐出弁部材3’を用いる、
(64)以上のバックサクション機構を、液状内容物収容空間域の圧力低下に応じた分の大気が当該空間域に流入する固定底部タイプのポンプ機構に適用する、
(65)可動底部材11を省略して、流入用孔部5aにのみ内部空間が連通し容積可変な内側容器(袋やジャバラ構造を有する軟質容器など)を付加し、その内部空間を収容空間域Aとする、
ようにしてもよい。
【0064】
本発明が適用されるポンプ式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0065】
容器本体に収容する内容物には種々の液状形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0066】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0067】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0068】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0069】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0070】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0071】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0072】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【符号の説明】
【0073】
(図1〜図5,図9,図10,図11で使用)
1:横吐出タイプのスパウト
1a:液状内容物の通路部分
1b:液状内容物吐出用の孔部
1c:円態様の開口部
1d:弁作用を呈する内向き緩突状部
1e:駆動作用部
1f:内側筒状部
1g:環状の被係止用テーパ部分
1h:リブ状部
【0074】
(図6〜図8で使用)
2:上吐出タイプのスパウト
2a:円態様の開口部
2b:内向き緩突状部
2c:内側筒状部
2d:上側縦リブ状部
2e:環状の被係止用テーパ部分
2f:リブ状部
2g:環状上面部分
【0075】
(図1〜図12で使用:3’および3eは図6〜図8のみで使用)
3,3’:鞘状の吐出弁部材
3a:環状の外向き緩突状部
3b:液状内容物通過用の縦方向切欠状部
3c:環状の内面緩突状部
3d:環状の逆スカート部
3e:下側縦リブ状部
4:吸込弁部材
4a:円状の吸込弁
4b:円弧状の弾性片部
4c:液状内容物通過用の切欠状部
4d:環凸状部
4e:環状の外面緩突状部
【0076】
(図1〜図8で使用)
5:カバー体
5a:流入用孔部
5b:環状の弁作用部
5c:筒状の内側起立部
5d:環凹状部
5e:上下方向の切欠状部
5f:環状の係止用テーパ部分
6:ジャバラ部材
【0077】
(図9〜図11で使用)
7:カバー体
7a:流入用孔部
7b:環状の弁作用部
7c:筒状の内側起立部
7d:環凹状部
7e:上下方向の切欠状部
7f:筒状の中間起立部
7g:環状の係止用テーパ部分
8:筒状のシール部材
8a:上側の逆スカート部
8b:下側のスカート部
【0078】
(図6〜図11で使用)
9:コイルスプリング
【0079】
(図1〜図11で使用)
10:容器本体
10a:外気流入用の孔部
11:可動底部材(シール部材)
11a:逆スカート部
A:容器本体内部の液状内容物の収容空間域
B:次の吐出対象となる液状内容物が保持される貯留空間域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部材の液状内容物吐出操作の解除直後に、当該操作部材と吐出弁部材との間の弁作用および操作部材復帰作動部の作用により、吐出口側の残留液状内容物に対してバックサクション作用を呈するポンプ機構において、
前記操作部材は、
前記吐出口側の開口部分と、
前記液状内容物吐出操作の際に、前記吐出弁部材と当接してこれを当該吐出操作の操作方向に駆動する連動作用部とを有し、
前記吐出弁部材は、
前記操作部材とは別の独立した移動可能な部材であって、
当該操作部材への前記液状内容物吐出操作およびその解除に応じて前記開口部分との間の開閉作用を呈する、弁作用部を有し、
前記操作部材および前記吐出弁部材は、
前記液状内容物吐出操作の時には、
先ず当該操作部材の開口部分が前記弁作用部から離間し、続いて前記連動作用部が当該吐出弁部材を前記操作方向に駆動し、
前記液状内容物吐出操作の解除時には、
先ず前記操作部材復帰作動部の復帰作用に基づき、当該操作部材が、当該吐出弁部材に対して当該開口部分と当該弁作用部との間部分が開状態のまま当該操作方向とは逆方向に移動することにより、前記バックサクション作用を呈し、続いて同じく当該復帰作用に基づいて当該間部分が閉状態となった上で当該操作部材および当該吐出弁部材が連動して静止モードに復帰する、
構造からなっている、
ことを特徴とするバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項2】
前記液状内容物を収容する容器本体に取り付けられて、当該容器本体とともに液状内容物の収容空間域を設定するカバー体を有し、
前記カバー体は、
前記収容空間域の液状内容物が流入する孔部と、
当該孔部の回りに形成されて、少なくとも下死点位置の前記吐出弁部材をそれとの摩擦作用により保持する機能を備えた第1の環状起立部とを有し、
前記吐出弁部材は、
少なくともその下死点位置で前記第1の環状起立部の内周面に当接し、当該内周面との摩擦力によりこの当接状態に保持される被保持部を有する、
ことを特徴とする請求項1記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項3】
前記第1の環状起立部の内側に取り付けられて、その外周面部分で、前記吐出弁部材の前記操作方向および前記逆方向への移動を案内し、かつ、前記孔部に対する弁機能を備えた吸込弁部材を有する、
ことを特徴とする請求項2記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項4】
前記操作部材は、
操作対象となる環状上面部分を備え、
当該環状上面部分の内側開口部が前記吐出口側の開口部分として作用する筒状部材からなっている、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項5】
前記操作部材および前記カバー体にそれぞれ一方および他方の端部が取り付けられて、前記孔部を閉じた状態の吸込弁から前記開口部分にいたる液状内容物貯留空間域を設定し、かつ、前記操作部材復帰作動部として作用しえる筒状のジャバラ部材を有する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項6】
前記吸込弁部材は、
前記孔部に対して作用する前記吸込弁が形成された筒状部からなって、その吸込弁側の側面部分に、筒状部内部から筒状部外部への液状内容物通過用の第1の貫通部を備えた筒状部材であり、
前記吐出弁部材は、
開口部側が前記吸込弁部材の外周面に案内され、当該吸込弁部材の上流側内部空間域から連続する下流側内部空間域を形成する有底筒状部からなって、その底部側の側面部分に、有底筒状部内部から有底筒状部外部への液状内容物通過用の第2の貫通部を備えた有底筒状部材であり、
前記吸込弁の部分から前記開口部分までの液状内容物通路域として、
前記上流側内部空間域から前記下流側内部空間域を経て前記第2の貫通部およびその先の前記開口部分にいたる第1の通路域と、
前記第2の貫通部から、前記吸込弁部材および前記吐出弁部材と前記ジャバラ部材との間の外部空間域を経て、前記開口部分にいたる第2の通路域とが設定されている、
ことを特徴とする請求項5記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項7】
前記カバー体の前記第1の環状起立部の外側に形成された第2の環状起立部と、
前記操作部材に取り付けられて、前記第2の環状起立部の内周面との間のシール作用を呈し、かつ、前記孔部を閉じた状態の吸込弁から前記開口部分にいたる液状内容物貯留空間域を設定する筒状の可動部材とを有する、
ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項8】
前記吸込弁部材は、
前記孔部に対して作用する前記吸込弁が形成された筒状部からなって、その吸込弁側の側面部分に、筒状部内部から筒状部外部への液状内容物通過用の第1の貫通部を備えた筒状部材であり、
前記吐出弁部材は、
開口部側が前記吸込弁部材の外周面に案内され、当該吸込弁部材の上流側内部空間域から連続する下流側内部空間域を形成する有底筒状部からなって、その底部側の側面部分に、有底筒状部内部から有底筒状部外部への液状内容物通過用の第2の貫通部を備えた有底筒状部材であり、
前記吸込弁の部分から前記開口部分までの液状内容物通路域として、
前記上流側内部空間域から前記下流側内部空間域を経て前記第2の貫通部およびその先の前記開口部分にいたる第1の通路域と、
前記第2の貫通部から、前記吸込弁部材および前記吐出弁部材と前記第2の環状起立部および前記筒状の可動部材との間の外部空間域を経て、前記開口部分にいたる第2の通路域とが設定されている、
ことを特徴とする請求項7記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項9】
前記液状内容物の通路域の外側の空間域に当該通路域から隔離した態様で配設されて、前記操作部材を前記逆方向に付勢することにより前記操作部材復帰作動部として作用する弾性部材を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のバックサクション機能を備えたポンプ機構。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載のポンプ機構を備え、かつ、放出対象の液状内容物を収容した、
ことを特徴とするポンプ式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−63289(P2011−63289A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215256(P2009−215256)
【出願日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【出願人】(000144463)株式会社三谷バルブ (142)
【Fターム(参考)】