説明

バックライト制御装置およびバックライト制御方法

【課題】液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止すること。
【解決手段】個別パターン特定部が、液晶パネルの画素ごとに、画像データによって規定される変更前の透過率および次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づいて変更前の透過率から変更後の透過率へ達するまでの応答時間を特定し、代表パターン選択部が、画素ごとの応答時間および増減方向に基づいて代表パターンを算出し、タイミング決定部が、算出された代表パターンに応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定するように液晶表示装置を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルへ光を照射するバックライトを制御するバックライト制御装置およびバックライト制御方法に関し、特に、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができるバックライト制御装置およびバックライト制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネルを用いて画像の表示を行う液晶表示装置では、バックライトを常に100%の明るさで発光させつつ、液晶パネルの透過率を適宜変更することによって画像を表示していた。
【0003】
しかし、液晶パネルの透過率が目標の透過率に達するまでには、通常、数ms〜数百msかかる。このため、従来の液晶表示装置のようにバックライトを常時点灯させておくこととすると、目標の透過率に達する前の中途半端な画像まで表示されてしまい、画像(特に、動画像)がぼけて見えるという問題があった。
【0004】
そこで、近年では、このような画像ぼけを防止するために、バックライトを間欠的に駆動させることによって目標の透過率に達する前の画像を表示させないようにする手法が提案されている。
【0005】
たとえば、特許文献1には、液晶パネルの応答時間として予め決められた時間が経過するまでの間、バックライトをオフにしておき、かかる時間が経過した時点でバックライトをオンにするバックライト制御手法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−62134号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載のバックライト制御手法には、画像ぼけを適切に防止することができないという問題があった。これは、透過率をどの値からどの値へ変化させるかによって液晶パネルの応答時間が異なってくるにもかかわらず、特許文献1に記載のバックライト制御手法では、応答時間を固定としているためである。
【0008】
たとえば、透過率の変化が少ない場合(たとえば、透過率「100%」から透過率「70%」へ変化させる場合)の応答時間は、透過率が急激に変化する場合(たとえば、透過率「100%」から透過率「0%」へ変化させる場合)と比べて遅くなる。また、透過率を同じ割合だけ変化させる場合であっても、無電圧印加時の液晶の配向から電圧印加時の液晶の配向への透過率の変化の応答時間は電圧印加時の液晶の配向から無電圧印加時の配向への透過率の変化の応答時間より長くなる。
【0009】
このため、特許文献1に記載のバックライト制御手法のように、応答時間を固定としてバックライト制御を行っていたのでは、上記のような応答時間の変化に個別に対応できず、画像ぼけを適切に防止することができない。
【0010】
これらのことから、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができるバックライト制御装置あるいはバックライト制御方法をいかにして実現するかが大きな課題となっている。
【0011】
本発明は、上述した従来技術による問題点を解消するためになされたものであって、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができるバックライト制御装置およびバックライト制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、液晶パネルへ光を照射するバックライトを制御するバックライト制御装置であって、前記液晶パネルの画素ごとに、画像データによって規定される変更前の透過率および次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づいて前記変更前の透過率から前記変更後の透過率へ達するまでの応答時間を特定する特定手段と、前記特定手段によって特定された前記画素ごとの応答時間に基づいて代表応答時間を算出する算出手段と、前記算出手段によって算出された代表応答時間に応じて前記バックライトの点灯期間を決定するタイミング決定手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、液晶パネルへ光を照射するバックライトを制御するバックライト制御方法であって、表示画像における画像データによって規定される変更前の透過率に基づく透過率代表データおよび次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づく透過率代表データに基づいて液晶パネルの画像変化に対する代表応答時間を特定する特定工程と、前記特定工程において特定した代表応答時間に応じて前記バックライトの点灯期間を決定するタイミング決定工程とを含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、液晶パネルの画素ごとに、画像データによって規定される変更前の透過率および次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づいて変更前の透過率から変更後の透過率へ達するまでの応答時間を特定し、特定した画素ごとの応答時間に基づいて代表応答時間を算出し、算出した代表応答時間に応じてバックライトの点灯期間を決定することとしたため、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明によれば、表示画像における画像データによって規定される変更前の透過率に基づく透過率代表データおよび次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づく透過率代表データに基づいて液晶パネルの画像変化に対する代表応答時間を特定し、特定した代表応答時間に応じてバックライトの点灯期間を決定することとしため、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明に係るバックライト制御手法の概要を示す図である。
【図2】図2は、本実施例に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、個別パターン特定処理の一例を示す図である。
【図4】図4は、代表パターン選択処理の一例を示す図である。
【図5】図5は、タイミングテーブルの一例を示す図である。
【図6】図6は、タイミング決定処理の一例を示す図である。
【図7】図7は、バックライト制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、バックライト発光量調整処理を説明するための図である。
【図9】図9は、バックライトの点灯時間を固定にした場合のバックライト制御処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るバックライト制御装置およびバックライト制御方法の実施例を詳細に説明する。まず、実施例の詳細な説明に先立ち、本発明に係るバックライト制御手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係るバックライト制御手法の概要を示す図である。
【0018】
なお、同図の(A)には、従来のバックライト制御手法によって決定される消灯期間(点灯期間)と本発明に係るバックライト制御手法によって決定される消灯期間(点灯期間)との違いについて、同図の(B)には、オフセット時間を考慮して消灯期間を決定する場合について、それぞれ示している。
【0019】
図1の(A)に示したように、従来のバックライト制御手法では、透過率の変更開始タイミング(ta)から液晶パネルの応答時間として予め決められた時間が経過するまでの間、バックライトを消灯しておき、かかる時間が経過した時点(tb)でバックライトを点灯していた。すなわち、従来のバックライト制御手法では、画像ぼけを防止するためのバックライトの消灯期間を固定としていた(図1の(A−1)参照)。
【0020】
ところが、実際には、透過率がどの値からどの値へ変化するかによって液晶パネルの応答時間は異なる。このため、従来のバックライト制御手法のように消灯期間を固定としていたのでは、応答時間の変化に個別に対応できず、画像ぼけを適切に防止することができない。
【0021】
そこで、本発明に係るバックライト制御手法では、図1の(A−2)に示したように、消灯期間をフレームごとに可変とすることで、応答時間の変化に個別に対応し、画像ぼけを適切に防止することとした。
【0022】
具体的には、本発明に係るバックライト制御手法では、まず、変更前の透過率(ここでは、「30%」)および変更後の透過率(ここでは、「70%」)に基づき、変更前の透過率から変更後の透過率に達するまでの応答時間を特定する(図1の(A−2a)参照)。
【0023】
より具体的には、本発明に係るバックライト制御手法では、変更前の透過率および変更後の透過率の組合せと応答時間との関係を示すテーブルを予め用意しておき、かかるテーブルを用いて応答時間を特定することとしている。なお、変更前の透過率および変更後の透過率は、それぞれ変更前の画像データおよび変更後の画像データによってそれぞれ規定される。
【0024】
そして、本発明に係るバックライト制御手法では、特定した応答時間に応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定する(図1の(A−2b)。
【0025】
ここで、バックライトの消灯期間が応答時間と一致するように消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定すれば、変更前の透過率(ここでは、「30%」)が変更後の透過率(ここでは、「70%」)に達するまでの中途半端な画像が表示されることがないため、画像ぼけを適切に防止することができる。
【0026】
なお、液晶パネルには多数の画素が形成されており、画素ごとに変更前の透過率および変更後の透過率が異なる。また、バックライトは、液晶パネルの各画素に対して光を一様に照射するものである。すなわち、応答時間は画素ごとに異なるが、バックライト制御は画素ごとには行うことができず、全画素について一括して行わなければならない。
【0027】
このため、本発明に係るバックライト制御手法では、液晶パネルの画素ごとに応答時間を特定するとともに、各画素の応答時間に基づいて代表応答時間を算出し、かかる代表応答時間に応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定することとした。なお、代表応答時間の具体的な算出方法については実施例において後述するが、たとえば、応答時間の画素数分布を用いて代表応答時間を算出してもよい。
【0028】
このように、本発明に係るバックライト制御手法では、液晶パネルの画素ごとに、変更前の透過率から変更後の透過率へ達するまでの応答時間を特定し、特定した画素ごとの応答時間に基づいて代表応答時間を算出する。そして、算出した代表応答時間に応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定する、すなわち、バックライトの点灯期間を決定することとしたため、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができる。
【0029】
ところで、図1の(A)では、特定した応答時間とバックライトの消灯時間とが一致するように消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定することとした。すなわち、変更前の透過率が変更後の透過率に達するまではバックライトを点灯させないこととしたが、これに限ったものではない。
【0030】
具体的には、バックライトを間欠的に駆動させることとすると、バックライト発光量が不足して画像の視認性が低下するおそれがある。そこで、本発明に係るバックライト制御手法では、図1の(B)に示したように、透過率の変更開始タイミング(ta)から代表応答時間が経過するまでの遷移期間に対してあえてオフセット時間を設定することで、不足するバックライト発光量を補うこととしてもよい。
【0031】
このとき、本発明に係るバックライト制御手法では、遷移期間に対してオフセット時間を設定した場合であっても画像ぼけを極力発生しないように、オフセット時間の長さに工夫を施している。
【0032】
具体的には、本発明に係るバックライト制御手法では、画素ごとに特定した応答時間と、各画素において透過率が増加するか減少するかを示す増減方向とに基づいて代表応答時間および代表増減方向の組合せを代表パターンとして選択する。
【0033】
そして、本発明に係るバックライト制御手法では、透過率の変更開始タイミングから応答時間が経過するまでの遷移期間(「ta」〜「tc」の期間)の始端および終端に対し、代表パターンに応じたオフセット時間H1,H2をそれぞれ設定する。
【0034】
このとき、本発明に係るバックライト制御手法では、たとえばノーマリーホワイトのTN液晶において透過率の増減方向が減少方向である場合には、遷移期間の始端に設けられる第1のオフセット時間H1を遷移期間の終端に設けられる第2のオフセット時間H2よりも長く設定することで、画像ぼけが極力発生しないようにしている。
【0035】
すなわち、ノーマリーホワイトのTN液晶において透過率の増減方向が減少方向である場合、遷移期間の終端近傍における透過率の変化率は、遷移期間の始端近傍における透過率の変化率と比較して小さい。このため、透過率が急激に変化する始端近傍に対してオフセット時間を設定した場合、透過率の変化が緩やかな終端近傍に同一長さのオフセット時間を設定したときと比較して画像ぼけが顕著になり易い。
【0036】
したがって、本発明に係るバックライト制御手法では、第1のオフセット時間H1を第2のオフセット時間H2よりも長くすることで、画像ぼけを抑制しつつ、不足するバックライト発光量を補うことができる。
【0037】
なお、ノーマリーホワイトのTN液晶において透過率の増減方向が増加方向である場合には、遷移期間の始端近傍における透過率の変化率が、遷移期間の終端近傍における透過率の変化率と比較して大きくなるため、第1のオフセット時間H1を第2のオフセット時間H2よりも短く設定すればよい。
【0038】
ところで、本発明に係るバックライト制御手法では、バックライトの消灯期間の長さをフレームごとに可変としているため、結果的に、バックライトの点灯期間の長さもフレームごとに変化することとなる。このように点灯期間の長さがフレームごとに異なる場合、バックライトの総発光量にばらつきが生じ、画像の視認性が低下するおそれがある。
【0039】
そこで、本発明に係るバックライト制御手法では、バックライトの総発光量が各点灯期間において一定となるようにバックライト発光量の調整を行うこととしている。なお、かかる点の詳細については、実施例において後述することとする。
【0040】
以下では、本発明に係るバックライト制御手法についての実施例を詳細に説明する。なお、以下では、液晶パネルを用いて画像を表示する液晶表示装置に対して本発明に係るバックライト制御装置を適用した場合について説明する。
【実施例】
【0041】
まず、本実施例に係る液晶表示装置の構成について図2を用いて説明する。図2は、本実施例に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。なお、同図では、液晶表示装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0042】
図2に示したように、液晶表示装置10は、液晶パネル部11と、バックライト部12と、制御部13と、記憶部14とを備えている。また、制御部13は、表示制御部13aと、個別パターン特定部13bと、代表パターン選択部13cと、タイミング決定部13dと、駆動制御部13eとを備えている。また、記憶部14は、個別パターン特定テーブル14aと、タイミングテーブル14bとを記憶している。
【0043】
液晶パネル部11は、バックライト12から照射される光を液晶分子によって部分的に遮ったり透過させたりすることで画像を表示する画像表示部である。具体的には、液晶パネル部11は、表示制御部13aからの指示に従い、各画素における光の透過率を現在の透過率から次の透過率へ変更する処理を行う。
【0044】
バックライト部12は、液晶パネル部11の裏面側に対して光を照射するバックライトとその駆動部を含んだ照明装置である。なお、かかるバックライト部12では、駆動部が、駆動制御部13eからの制御信号に従ってバックライトの点灯および消灯を行う。また、後述するように、駆動部は、駆動制御部13eからの制御信号に従ってバックライト発光量を調整することもできる。
【0045】
制御部13は、液晶表示装置10全体を制御する制御部である。表示制御部13aは、外部機器から画像データを受け取ると、受け取った画像データに応じて液晶パネル部11の各画素における透過率を決定して液晶パネル部11および個別パターン特定部13bへ通知する処理部である。
【0046】
個別パターン特定部13bは、液晶パネル部11の画素ごとに、表示制御部13aから受け取った変更前の透過率および変更後の透過率に基づいて応答時間および透過率の増減方向の組合せ(以下、「個別パターン」と記載する)を特定する処理部である。
【0047】
ここで、個別パターン特定部13bによる個別パターン特定処理の一例について図3を用いて説明する。図3は、個別パターン特定処理の一例を示す図である。
【0048】
なお、同図の(A)には、各画素における変更前の透過率および変更後の透過率の一例を、同図の(B)には、個別パターン特定テーブル14aの一例を、同図の(C)には、個別パターン特定部13bによって特定される個別パターンの一例を、それぞれ示している。
【0049】
たとえば、図3の(A)に示したように、液晶パネルの画素A〜Cにおける変更前の透過率が、それぞれ「0%」、「100%」、「30%」であり、変更後の透過率が、それぞれ「30%」、「30%」、「0%」であるとする。
【0050】
個別パターン特定部13bは、これら変更前の透過率および変更後の透過率を表示制御部13aからそれぞれ受け取ると、個別パターン特定テーブル14aを参照して画素ごとの個別パターンを特定する。
【0051】
ここで、個別パターン特定テーブル14aは、図3の(B)に示したように、変更前の透過率および変更後の透過率の組合せごとに応答時間および増減方向の組合せである個別パターンを関連付けたテーブルである。
【0052】
具体的には、変更前の透過率「100%」および変更後の透過率「70%」の組合せには応答時間「30ms」および増減方向「−」が対応付けられ、変更前の透過率「100%」および変更後の透過率「0%」の組合せには応答時間「10ms」および増減方向「−」が対応付けられている。このように、透過率の変化が少ない場合の応答時間は、透過率が急激に変化する場合の応答時間と比べて遅くなる。
【0053】
なお、増減方向「−」とは、増減方向が減少方向であることを示し、増減方向「+」とは、増減方向が増加方向であることを示している。
【0054】
また、変更前の透過率「0%」および変更後の透過率「100%」の組合せには応答時間「20ms」および増減方向「+」が対応付けられ、変更前の透過率「0%」および変更後の透過率「100%」の組合せには応答時間「20ms」増減方向「+」が対応付けられている。このように、透過率を同じ割合だけ変化させる場合であっても、ノーマリーホワイトのTN液晶の場合、透過率を増加させる場合の方が、透過率を減少させる場合よりも応答時間が長くなる。
【0055】
たとえば、個別パターン特定部13bは、画素Aについての個別パターンを特定する場合には、変更前の透過率「0%」および変更後の透過率「30%」の組合せに対応する個別パターンを個別パターン特定テーブル14aによって特定する。かかる場合には、応答時間「100ms」および増減方向「+」が画素Aについての個別パターンとして特定される。
【0056】
このようにして、個別パターン特定部13bは、液晶パネルの画素ごとに、変更前の透過率および変更後の透過率の組み合わせに対して予め対応付けられた個別パターンを特定していく(図3の(C)参照)。
【0057】
また、個別パターン特定部13bは、全画素について個別パターンを特定し終えると、特定した個別パターンを代表パターン選択部13cへ渡す処理を行う。
【0058】
図2に戻り、代表パターン選択部13cについて説明する。代表パターン選択部13cは、個別パターン特定部13bから各画素の個別パターンを受け取った場合に、受け取った個別パターンに基づいて代表パターンを算出する処理部である。
【0059】
ここで、代表パターンとは、各フレームにおけるバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定するための代表的な応答時間および増減方向(以下、それぞれ「代表応答時間」および「代表増減方向」と記載する)の組合せである。
【0060】
たとえば、代表パターン選択部13cは、個別パターンの画素数分布に基づいて代表パターンを選択することができる。
【0061】
以下では、かかる代表パターン選択部13cによる代表パターン選択処理の一例について図4を用いて説明する。図4は、代表パターン選択処理の一例を示す図である。
【0062】
図4の(A)に示すように、代表パターン選択部13cは、まず、個別パターン特定部13bから画素ごとの個別パターンを受け取ると、各個別パターンに該当する画素数をカウントすることによって、個別パターンの画素数分布を作成する。そして、代表パターン選択部13cは、作成した画素数分布を用いて代表応答時間を選択する。
【0063】
具体的には、代表パターン選択部13cは、まず、画素数が全画素数(ここでは、10万個)の5%未満(すなわち、5000個未満)の個別パターンを除外する(図4の(A−1)参照)。
【0064】
そして、代表パターン選択部13cは、残りの個別パターンの中で応答時間が最も遅い個別パターンを代表パターンとして選択する(図4の(B)参照)。
【0065】
このように、該当する画素数が全体画素数に対して所定割合未満の個別パターンを代表パターンの選択候補から除外したうえで、残りの個別パターンの中から代表パターンを選択することで、画素全体として適切な個別パターンを代表パターンとして選択することができる。
【0066】
すなわち、該当する画素がわずかな個別パターンが代表パターンとして選択されることで、画素全体として不適切な消灯タイミングおよび点灯タイミングが決定されることを防止できる。
【0067】
なお、図4の(A−2)において、応答時間が最も遅い個別パターンが複数存在する場合には、該当する画素数がより多い方の個別パターンを代表パターンとして選択すればよい。
【0068】
また、図4の(A)に示した代表パターンの選択方法はあくまでも一例であり、他の方法を用いて代表パターンを選択することとしてもよい。
【0069】
たとえば、図4の(B−1)に示したように、画素数が所定割合未満の個別パターンを除外することなく、全ての個別パターンの中で応答時間が最も遅い個別パターンを代表パターンとして選択してもよい。また、図4の(B−2)に示したように、画素数が最も多い個別パターンを代表パターンとして選択してもよい。
【0070】
このように、代表パターン選択部13cが、個別パターンの画素数分布に基づいて代表パターンを選択することとしたため、より適切な代表パターンを選択することができる。また、代表パターン選択部13cは、各画素における変更前の透過率および変更後の透過率を用いて所定の計算式から代表パターンを算出することとしてもよい。
【0071】
図2に戻り、タイミング決定部13dについて説明する。タイミング決定部13dは、代表パターン選択部13cから代表パターンを受け取ると、受け取った代表パターンに応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定する処理部である。すなわち、タイミング決定部13dは、バックライトの消灯期間(言い換えれば、点灯期間)を決定する処理部である。
【0072】
具体的には、タイミング決定部13dは、代表パターンに対応するオフセット時間をタイミングテーブル14bを参照して決定し、決定したオフセット時間に応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定する。
【0073】
ここで、「オフセット時間」とは、透過率の変更開始タイミングから代表応答時間が経過するまでの期間である遷移期間の始端および終端に設けられるオフセット時間であり、遷移期間の始端に設けられる第1のオフセット時間H1と終端に設けられる第2のオフセット時間H2とがある。なお、透過率の変更開始タイミングは、たとえば、フレームが切り替わるタイミングであり、既知のタイミングである。
【0074】
図5に、タイミングテーブル14bの一例を示す。同図に示すように、タイミングテーブル14bは、代表増減方向が「減少方向」である場合に用いられる減少用テーブル14b−1と、代表増減方向が「増加方向」である場合に用いられる増加用テーブル14b−2とがある。
【0075】
減少用テーブル14b−1および増加用テーブル14b−2は何れも、代表応答時間ごとに、第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間H2を関連付けたテーブルである。これら減少用テーブル14b−1および増加用テーブル14b−2では、代表応答時間が長いほど、第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間が長くなっている。
【0076】
一方、減少用テーブル14b−1と増加用テーブル14b−2とでは、第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間H2の大小関係が異なっている。すなわち、減少用テーブル14b−1では、第1のオフセット時間H1が第2のオフセット時間H2よりも短く、増加用テーブル14b−2では、第1のオフセット時間H1が第2のオフセット時間H2よりも長くなっている。
【0077】
タイミング決定部13dは、代表パターン選択部13cから受け取った代表パターンに含まれる代表増減方向に応じて減少用テーブル14b−1または増加用テーブル14b−2の何れかを選択する。そして、タイミング決定部13dは、選択したテーブルを用い、代表パターンに含まれる代表応答時間に対応する第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間H2を選択する。
【0078】
ここで、タイミング決定部13dによるタイミング決定処理の一例について図6を用いて説明する。図6は、タイミング決定処理の一例を示す図である。なお、同図の(A)には、代表パターンが「40ms(−)」である場合のタイミング決定処理の一例を、同図の(B)には、代表パターンが「40ms(+)」である場合のタイミング決定処理の一例を、それぞれ示している。
【0079】
たとえば、タイミング決定部13cは、代表パターンが「40ms(−)」である場合には、減少用テーブル14b−1の代表応答時間「40」のカラムを参照し、第1のオフセット時間H1「10ms」および第2のオフセット時間H2「20ms」を決定する。
【0080】
この結果、図6の(A)に示したように、変更前の透過率(y1)の変更開始タイミング(t1)から第1のオフセット時間H1「10ms」が経過した時点(t2)でバックライトが消灯されることとなる。また、変更開始タイミング(t1)から代表応答時間「40ms」が経過する時点(t4)よりも第2のオフセット時間H2「20ms」早いタイミング(t3)でバックライトが点灯されることとなる。
【0081】
ここで、第1のオフセット時間H1が第2のオフセット時間H2よりも短く設定される理由について説明する。
【0082】
図6の(A)に示したように、遷移期間(t1〜t4の期間)の始端(t1)近傍における透過率の変化率「α1」は、遷移期間の終端(t4)近傍における透過率の変化率「β1」と比較して大きい。このため、透過率が急激に変化する始端近傍に対してオフセット時間を設定する場合、透過率の変化が緩やかな終端近傍に同一長さのオフセット時間を設定する場合と比較して画像ぼけが顕著になり易い。
【0083】
したがって、代表増減方向が「減少方向」である場合には、第1のオフセット時間H1を第2のオフセット時間H2よりも短く設定することで、画像ぼけを抑制しつつ、不足するバックライト発光量を補うことができる。
【0084】
一方、代表増減方向が「増加方向」である場合には、第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間H2の大小関係が逆転することとなる。
【0085】
たとえば、タイミング決定部13cは、代表パターンが「40ms(+)」である場合には、増加用テーブル14b−2の代表応答時間「40」のカラムを参照し、第1のオフセット時間H1「20ms」および第2のオフセット時間H2「10ms」を決定する。
【0086】
この結果、図6の(B)に示したように、変更前の透過率(y3)の変更開始タイミング(t5)から第1のオフセット時間H1「20ms」が経過した時点(t6)でバックライトが消灯されることとなる。また、変更開始タイミング(t5)から代表応答時間「40ms」が経過する時点(t8)よりも第2のオフセット時間H2「10ms」早いタイミング(t7)でバックライトが点灯されることとなる。
【0087】
ここで、図6の(B)に示したように、代表増減方向が「増加方向」である場合、遷移期間(t5〜t8の期間)の終端(t8)近傍における透過率の変化率「β2」が、遷移期間の始端(t5)近傍における透過率の変化率「α2」と比較して大きくなる。
【0088】
したがって、代表増減方向が「増加方向」である場合には、第1のオフセット時間H1を第2のオフセット時間H2よりも長く設定することで、画像ぼけを抑制しつつ、不足するバックライト発光量を補うことができる。
【0089】
このように、変更前の透過率の変更開始タイミングから代表応答時間が経過するまでの遷移期間の両端に対して代表パターンに応じたオフセット時間をそれぞれ設定したうえで、当該オフセット時間に従って消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定することとしたため、バックライトを間欠的に駆動させることによって不足するバックライト発光量を補うことができる。
【0090】
また、代表増減方向が減少方向である場合には、第1のオフセット時間H1を第2のオフセット時間H2よりも短く設定し、代表増減方向が増加方向である場合には、第1のオフセット時間H1を第2のオフセット時間H2よりも長く設定することとしたため、画像ぼけを抑制しつつ、不足するバックライト発光量を補うことができる。
【0091】
なお、タイミング決定部13dは、消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定すると、決定した消灯タイミングおよび点灯タイミングを駆動制御部13eへ通知する処理を行う。
【0092】
図2に戻り、駆動制御部13eについて説明する。駆動制御部13eは、タイミング決定部13dから受け取った消灯タイミングおよび点灯タイミングに従ってバックライトを消灯および点灯させる処理部である。具体的には、駆動制御部13eは、バックライトを上記の消灯タイミング(または点灯タイミング)で消灯(または点灯)すべき旨の制御信号をバックライト部12の駆動部に対して送信する。これによって、バックライト部12の駆動部がバックライトの消灯および点灯を行うこととなる。
【0093】
次に、液晶表示装置10によるバックライト制御処理の処理手順について図7を用いて説明する。図7は、バックライト制御処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0094】
図7に示すように、液晶表示装置10では、個別パターン特定部13bが、変更前の透過率および変更後の透過率に基づいて個別パターンを特定し(ステップS101)、代表パターン選択部13cが、個別パターンの画素数分布を用いて代表パターンを選択する(ステップS102)。
【0095】
つづいて、液晶表示装置10では、タイミング決定部13dが、代表増減方向が「減少方向」であるか否かを判定し(ステップS103)、「減少方向」である場合には(ステップS103、Yes)、減少用テーブル14b−1を用いて第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間H2を選択する(ステップS104)。
【0096】
一方、タイミング決定部13dは、代表増減方向が「減少方向」でない場合(ステップS103、No)、すなわち、代表増減方向が「増加方向」である場合には、増加用テーブル14b−2を用いて第1のオフセット時間H1および第2のオフセット時間H2を選択する(ステップS105)。
【0097】
そして、液晶表示装置10では、駆動制御部13eが、変更後の透過率への変更開始タイミングから第1のオフセット時間H1経過後のタイミングでバックライトを消灯させる(ステップS106)。また、駆動制御部13eは、変更開始タイミングから代表応答時間が経過するよりも第2のオフセット時間H2前のタイミングでバックライトを点灯させて(ステップS107)、処理を終える。
【0098】
上述してきたように、本実施例では、個別パターン特定部が、液晶パネルの画素ごとに、所定の画像データによって規定される変更前の透過率および次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づいて変更前の透過率から変更後の透過率へ達するまでの応答時間を特定し、代表パターン選択部が、画素ごとの応答時間および増減方向に基づいて代表パターンを選択し、タイミング決定部が、選択された代表パターンに応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定することとした。したがって、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができる。
【0099】
ところで、上述してきたように本実施例では、バックライトの消灯期間の長さをフレームごとに可変としているため、結果的に、バックライトの点灯期間の長さもフレームごとに変化することとなる。このように点灯期間の長さがフレームごとに異なる場合、バックライトの総発光量にばらつきが生じ、画像の視認性が低下するおそれがある。
【0100】
そこで、バックライトの総発光量が各点灯期間において一定となるように、駆動制御部13eがバックライト発光量の調整を行ってもよい。以下では、かかる場合について図8を用いて説明する。図8は、バックライト発光量調整処理を説明するための図である。
【0101】
図8に示すように、駆動制御部13eは、点灯期間ごとの総発光量が一定となるように、点灯期間ごとにバックライトの発光量を変更する処理を行う。たとえば、同図に示した場合には、点灯時間が「Ta」の点灯期間におけるバックライト発光量を「La」とし、点灯時間が「Tb」の点灯期間におけるバックライト発光量を「Lb」とし、点灯時間が「Tc」の点灯期間におけるバックライト発光量を「Lc」とする。これにより、各点灯期間における総発光量「S1」、「S2」および「S3」は、一定の総発光量に調整されることとなる。
【0102】
なお、バックライトの総発光量は、点灯期間の長さ(点灯時間)に対してバックライト発光量を掛け合わせた値である。また、既定の総発光量は、記憶部14等に予め記憶されているものとする。
【0103】
そして、駆動制御部13eは、ある遷移期間における第2のオフセット時間H2およびその次の遷移期間における第1のオフセット時間H1から両遷移期間の間に位置する点灯期間の長さを特定し、特定した点灯期間の長さで規定の総発光量を除算することで、かかる点灯期間におけるバックライト発光量を決定する。
【0104】
たとえば、既定の総発光量を「S」とすると、点灯期間の長さが「Ta」である場合には、「S」を「Ta」で除算することによってバックライト発光量「La」を決定することができる。
【0105】
このように、駆動制御部13eが、バックライトの点灯期間ごとに、当該点灯期間の長さおよび予め設定された所定の総発光量に基づいてバックライトの発光量を調整することとしたため、点灯期間の長さを可変にすることで生じるバックライト総発光量のばらつきを抑えることができる。
【0106】
ところで、これまでは、点灯時間を可変にする場合について説明したが、これに限ったものではなく、点灯時間を固定とした場合であっても、点灯期間の位置を適切に設定することによって画像ぼけを防止することができる。
【0107】
以下では、かかる点について図9を用いて説明する。図9は、バックライトの点灯時間を固定にした場合のバックライト制御処理を説明するための図である。なお、同図の(A)には、タイミング決定処理の他の一例を、同図の(B)には、タイミングテーブルの他の一例を、それぞれ示している。
【0108】
図9の(A)に示したように、かかる場合には、点灯時間「T」およびバックライト発光量「L」を固定としつつ、基準点(図9の(A)に示した基準点A〜C)からのずらし量Hを点灯期間ごとに適切に決定することとしている。
【0109】
具体的には、基準点A〜Cにおける透過率をそれぞれ「Ya」〜「Yc」とし、基準点Bを含む点灯期間の点灯タイミングにおける透過率および消灯タイミングにおける透過率をそれぞれ「Yab」および「Ybc」とする。かかる場合、タイミング決定部13dは、|Yab−Yb|=|Ybc−Yb|となるように、基準点Bからの消灯タイミングのずらし量(オフセット時間)Hを決定する。
【0110】
すなわち、点灯タイミングにおける透過率および目標値(基準点Bにおける透過率)の差と消灯タイミングにおける透過率および目標値の差とが等しくなるようにオフセット時間Hを決定することで、点灯期間における透過率の変動が最小限に抑えられるため、画像ぼけを防止することができる。
【0111】
なお、ここでは、図9の(B)に示したように、「第1の代表パターン」と「第2の代表パターン」との組み合わせに対してオフセット時間Hを関連付けたタイミングテーブルが、記憶部14に記憶されているものとする。
【0112】
ここで、「第1の代表パターン」は、変更前のフレームおよび変更後のフレームから得られる代表パターンであり、「第2の代表パターン」は、変更後のフレームおよびさらに次のフレームから得られる代表パターンである。以下に、これら第1の代表パターンおよび第2の代表パターンの選択方法について説明しておく。
【0113】
まず、個別パターン特定部13bは、変更前の透過率から変更後の透過率へ達するまでの画素ごとの個別パターンを特定するとともに、変更後の透過率からさらに次の透過率へ達するまでの画素ごとの個別パターンをさらに特定する。
【0114】
つづいて、代表パターン選択部13cは、変更前の透過率が変更後の透過率へ達するまでの画素ごとの個別パターンから第1の代表パターンを選択する。また、代表パターン選択部13cは、変更後の透過率がさらに次の透過率へ達するまでの画素ごとの個別パターンから第2の代表パターンを選択する。なお、第1の代表パターンおよび第2の代表パターンは、上述した代表パターン選択処理によって選択される。
【0115】
そして、タイミング決定部13dは、代表パターン選択部13cによって選択された第1の代表パターンおよび第2の代表パターンの組合せに対応するオフセット時間Hを図9の(B)に示したタイミングテーブルから取り出し、取り出したオフセット時間Hに従って点灯タイミングおよび消灯タイミングを決定する。
【0116】
具体的には、タイミング決定部13dは、基準点B(t12)からオフセット時間Hが経過したタイミング(t13)を消灯タイミングとして決定する。また、タイミング決定部13dは、基準点B(t12)よりも「点灯時間T−オフセット時間H」だけ早いタイミング(t10)を点灯タイミングとして決定する。
【0117】
このように、個別パターン特定部13bが、変更後の透過率からさらに次の透過率へ達するまでの応答時間を画素ごとにさらに特定し、代表パターン選択部13cが、変更前の透過率が変更後の透過率へ達するまでの画素ごとの応答時間および増減方向に基づいて第1の代表パターンを選択するとともに、変更後の透過率がさらに次の透過率へ達するまでの画素ごとの応答時間および増減方向に基づいて第2の代表パターンを選択する。
【0118】
そして、タイミング決定部13dが、代表パターン選択部13cによって選択された第1の代表パターンおよび第2の代表パターンの組合せに基づき、予め設定された所定の点灯時間の所定の基準位置からのずらし量(オフセット時間H)を決定し、決定したずらし量に従って消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定することとした。したがって、バックライト発光量にばらつきを生じさせることなく、言い換えれば、バックライト発光量の調整を行うことなく、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができる。
【0119】
なお、上述してきた実施例では、オフセット時間H1,H2を設定したうえでバックライトの消灯期間を決定することとしたが、これに限ったものではなく、オフセット時間H1,H2を設定することなく(言い換えればオフセット時間H1,H2を「0」として)、消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定してもよい。すなわち、代表応答時間と消灯期間とが一致するように消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定してもよい。
【0120】
かかる場合、代表パターン選択部13cが、個別パターン特定部13bによって特定された画素ごとの応答時間に基づいて代表応答時間を選択し、タイミング決定部13dが、選択された代表応答時間に応じてバックライトの消灯タイミングおよび点灯タイミングを決定すればよい。より具体的には、タイミング決定部13dは、透過率の変更開始タイミングから代表応答時間が経過した時点を点灯タイミングとし、次の透過率の変更開始タイミングを消灯タイミングとして決定する。
【0121】
また、上述してきた実施例では、液晶表示装置に対して本発明に係るバックライト制御装置を適用した場合について説明してきたが、これに限ったものではなく、本発明に係るバックライト制御装置を液晶表示装置とは別体に設けてもよい。かかる場合、バックライト制御装置は、図2に示した構成要件のうち、個別パターン特定部13b、代表パターン選択部13c、タイミング決定部13d、駆動制御部13eおよび記憶部14を少なくとも備えていればよい。
【0122】
また、液晶表示装置10の制御部13は、表示画像における画像データによって規定される変更前の透過率に基づく透過率代表データ(たとえば、特定の個別パターン)および次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づく透過率代表データ(たとえば、特定の個別パターン)に基づいて液晶パネルの画像変化に対する代表応答時間を特定し、特定した代表応答時間に応じてバックライトの点灯期間を決定するようにしてもよい。これによっても、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止することができる。
【0123】
たとえば、個別パターン特定部13bは、液晶パネルの表示領域を複数の領域に分割し、分割領域ごとに、分割領域における画素の中の代表画素の個別パターンを特定する。また、代表パターン選択部13cは、各分割領域の代表画素の個別パターンを用いて代表パターンを割り出す。たとえば、代表パターン選択部13cは、各分割領域の代表画素の個別パターンの平均を代表パターンとして割り出す。そして、タイミング決定部13dは、割り出された代表パターンを用いてバックライトの点灯期間を決定するようにしてもよい。
【0124】
また、個別パターン特定部13bは、液晶パネルの表示領域を複数の領域に分割し、分割領域ごとに、分割領域における画素の個別パターンの平均(平均透過率の変化)を割り出す。また、代表パターン選択部13cは、分割領域ごとに割り出された平均透過率の変化を用いて代表パターンを割り出す。たとえば、代表パターン選択部13cは、分割領域ごとに割り出された平均透過率の変化の平均を代表パターンとして割り出す。そして、タイミング決定部13dは、分割領域ごとの平均透過率の変化に基づいて割り出された代表パターンを用いてバックライトの点灯期間を決定する。
【産業上の利用可能性】
【0125】
以上のように、本発明に係るバックライト制御装置およびバックライト制御方法は、液晶パネルの応答遅延による画像ぼけを適切に防止したい場合に有用であり、特に、車載用の液晶表示装置への適用に適している。
【符号の説明】
【0126】
10 液晶表示装置
11 液晶パネル部
12 バックライト部
13 制御部
13a 表示制御部
13b 個別パターン特定部
13c 代表パターン選択部
13d タイミング決定部
13e 駆動制御部
14 記憶部
14a 個別パターン特定テーブル
14b タイミングテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルへ光を照射するバックライトを制御するバックライト制御装置であって、
前記液晶パネルの画素ごとに、画像データによって規定される変更前の透過率および次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づいて前記変更前の透過率から前記変更後の透過率へ達するまでの応答時間を特定する特定手段と、
前記特定手段によって特定された前記画素ごとの応答時間に基づいて代表応答時間を算出する算出手段と、
前記算出手段によって算出された代表応答時間に応じて前記バックライトの点灯期間を決定するタイミング決定手段と
を備えたことを特徴とするバックライト制御装置。
【請求項2】
前記算出手段は、
前記特定手段によって特定された前記画素ごとの応答時間と、各前記画素において前記透過率が増加するか減少するかを示す増減方向とに基づいて代表応答時間および代表増減方向の組合せを代表パターンとして選択し、
前記タイミング決定手段は、
前記算出手段によって選択された代表パターンに応じて前記バックライトの点灯期間を決定することを特徴とする請求項1に記載のバックライト制御装置。
【請求項3】
前記算出手段は、
前記応答時間および前記増減方向の組合せの画素数分布に基づいて前記代表パターンを選択することを特徴とする請求項2に記載のバックライト制御装置。
【請求項4】
前記タイミング決定手段は、
前記変更前の透過率の変更開始タイミングから前記代表応答時間が経過するまでの遷移期間の両端に対して前記代表パターンに応じたオフセット時間をそれぞれ設定したうえで、当該オフセット時間に従って前記バックライトの点灯期間を決定することを特徴とする請求項2または3に記載のバックライト制御装置。
【請求項5】
前記タイミング決定手段は、
前記代表増減方向が減少方向である場合には、前記遷移期間の始端に設けられる第1のオフセット時間を前記遷移期間の終端に設けられる第2のオフセット時間よりも短く設定し、前記代表増減方向が増加方向である場合には、前記第1のオフセット時間を前記第2のオフセット時間よりも長く設定することを特徴とする請求項4に記載のバックライト制御装置。
【請求項6】
前記バックライトの点灯期間ごとに、当該点灯期間の長さおよび予め設定された所定の総発光量に基づいて前記バックライトの発光量を調整する発光量調整手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のバックライト制御装置。
【請求項7】
前記特定手段は、
前記変更後の透過率からさらに次の透過率へ達するまでの応答時間を前記画素ごとにさらに特定し、
前記算出手段は、
前記変更前の透過率が前記変更後の透過率へ達するまでの前記画素ごとの応答時間および増減方向に基づいて第1の代表パターンを選択するとともに、前記変更後の透過率がさらに次の透過率へ達するまでの前記画素ごとの応答時間および増減方向に基づいて第2の代表パターンを選択し、
前記タイミング決定手段は、
前記算出手段によって選択された第1の代表パターンおよび第2の代表パターンの組合せに基づき、予め設定された所定の点灯時間の所定の基準位置からのずらし量を決定し、決定したずらし量に従って前記バックライトの点灯期間を決定することを特徴とする請求項1に記載のバックライト制御装置。
【請求項8】
液晶パネルへ光を照射するバックライトを制御するバックライト制御方法であって、
表示画像における画像データによって規定される変更前の透過率に基づく透過率代表データおよび次の画像データによって規定される変更後の透過率に基づく透過率代表データに基づいて液晶パネルの画像変化に対する代表応答時間を特定する特定工程と、
前記特定工程において特定した代表応答時間に応じて前記バックライトの点灯期間を決定するタイミング決定工程と
を含んだことを特徴とするバックライト制御方法。
【請求項9】
前記液晶パネルを複数の領域に分割する分割工程
をさらに含み、
前記タイミング決定工程は、
前記分割工程において分割した各領域における画素の平均透過率の変化に基づいてバックライトの点灯期間を決定することを特徴とする請求項8に記載のバックライト制御方法。
【請求項10】
前記液晶パネルを複数の領域に分割する分割工程
をさらに含み、
前記タイミング決定工程は、
前記分割工程において分割した各領域における代表画素の透過率の変化に基づいてバックライトの点灯期間を決定することを特徴とする請求項8に記載のバックライト制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−118355(P2012−118355A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268861(P2010−268861)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】