説明

バックライト装置、その制御方法、及び画像表示装置

【課題】光源ブロック毎の温度検出値に基づき光源の輝度補正を行うバックライト装置において、バックライト装置内部の温度分布の変化度合によらず輝度ムラや色ムラを好適に抑制する。
【解決手段】光源の周辺温度と光源の輝度との関係である温度特性の情報を記憶する記憶手段と、光源ブロック毎に、光源の周辺温度の検出値と、光源の輝度の検出値と、光源の温度特性と、に基づき、光源の輝度が目標輝度と一致するように光源の駆動量を補正する補正手段と、光源ブロック毎に、光源の周辺温度の変化度合を予測する予測手段と、光源ブロック毎に、補正手段による補正の実行頻度を決定する頻度決定手段と、頻度決定手段により決定される光源ブロック毎の頻度で、補正手段による各光源ブロックの補正を実行する制御手段と、を備え、頻度決定手段は、予測される光源の周辺温度の変化度合が大きいほど、補正手段による補正の実行頻度を高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックライト装置、その制御方法、及び画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶パネルなどの透過型パネルを用いた画像表示装置のバックライト装置の光源として、LEDが注目されている。従来、バックライトの光源として使われてきた冷陰極管(CCFL:Cold Cathode Fluorescent Lamp)と比較して、色再現性、応答速度などの点でメリットがある。バックライトの光源としては、白色LEDや、RGB―LED(赤色LED,緑色LED,及び青色LEDを組み合わせた3原色LED)などがある。白色LEDは、例えば青色LEDに黄色の蛍光体を組み合わせて白色光を発光する。一方、RGB−LEDは、各色のLEDの輝度を調整することで白色光を発光する。これらのLEDがバックライト平面に複数配列され、拡散板によりLEDの光が拡散されることで、LEDバックライトは液晶パネルを照射する。
【0003】
ところで、LEDには温度特性がある。LEDは周辺温度の上昇に伴って発光効率が下がり輝度が低下する傾向がある。そのため、LEDの駆動量が同一でもLEDの周辺温度によってLEDの輝度(発光量)は変動する。駆動量とは、電流量や電圧値、PWM制御のデューティ比などである。赤色LED、緑色LED、青色LEDの色毎に温度特性が異なるため、それぞれのLEDに対して輝度の補正が必要となる。特に、赤色のLEDは他の色と比較して、温度上昇による輝度の低下が大きい。また、白色LEDにも同様に温度特性があり、温度上昇により輝度が低下する傾向がある。一方、バックライト装置の内部温度には分布が生じることがある。これは、電源や演算回路付近の領域は他の領域より温度上昇が大きいことや、温まった空気がバックライトの上部に溜まり易いことなどによる。この内部温度分布のために、画面内の領域によってLEDの輝度低下の度合がばらつくため、画面内の領域によって輝度や色温度にムラが生じ、表示品質を低下させる要因となる。この問題は、ディスプレイの画面サイズが大きくなるほど顕著になる。
【0004】
これに対し、バックライト装置を複数のLEDブロックに分け、LEDブロック毎に温度センサを配置し、LEDブロック毎に検出したLEDの周辺温度に応じてLEDブロック毎にLEDの駆動量を補正する技術がある。従来、バックライト装置の輝度補正制御としては、このような補正を一定周期で繰り返し行うことによりバックライトの輝度を目標輝度に安定させるドリフト制御が一般的であった。従来のドリフト制御について図10を用いて簡単に説明する。
【0005】
まず、ステップS1001において、バックライト制御装置は、液晶表示装置の目標輝度を取得する。次に、ステップS1002において、バックライト制御装置は、バックライト装置内に配置された全ての温度センサから全てのLEDブロックのLED周辺温度を取得する。ステップS1003において、バックライト制御装置は、前記取得したLED周辺温度と、LEDの温度特性と、に基づき、LED周辺温度に応じた輝度変動を考慮して、LEDの輝度が目標輝度となるためにLEDに入力すべき駆動量を算出する。ステップS1004において、バックライト制御装置は、前記算出した駆動量に基づいてLEDを発光させる。以降、バックライト制御装置は、ステップS1002〜ステップS1004の処理を所定の周期で繰り返し行うことで、バックライトの輝度を目標輝度を含む所定の範囲内に安定させる。
【0006】
このようなドリフト制御を行うものとしては以下の技術がある。例えば、特許文献1には、各LEDブロックを同一の温度領域毎に分けて配置し、LEDブロック毎に検出され
る温度に応じてLEDブロック毎にLED電流量を調整する技術が記載されている。これは、バックライトの同一の温度分布をもつ領域をまとめて、同一のLEDブロックとすることで、各LEDブロック内の温度をそろえて輝度が均一になるようにしている。
【0007】
また、特許文献2には、LEDブロック毎に設けた複数の端子間電圧検出回路によりLEDブロック内の平均温度を検出し、その検出値に基づきLEDブロック内の全てのLEDに対し駆動電流の制御を行う技術が記載されている。これは、LEDの周囲温度の変化やバックライト装置内での温度分布によらず、LEDの色温度・輝度を安定した状態で維持することを図ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−031977号公報
【特許文献2】特開2007−165632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、ディスプレイは高精細化や大型化が進んでおり、センサ数は増加傾向にある。特に静止画像を表示する場合には表示画像が変化しないため、ユーザが任意領域を注視することが多く、動画像と比較して輝度ムラが目立つので、センサ数を増やして高精度の補正を行う必要がある。センサ数が多くなると、温度検出するための回路部品が多くなり、それらの回路部品を制御するためのマイクロコンピュータ(マイコン)の演算処理が増大する。上述した従来のドリフト制御では、全LEDブロックについて一律に温度センサ値を取得し、全LEDブロックについて温度センサ値に基づく輝度補正を行う。そのため、センサ数が多くなると、全センサ値を取得して全LEDブロックの輝度補正の完了に要する時間が長くなり、ドリフト制御の1周期あたりの処理時間が長くなる。
【0010】
例えば、LEDブロック数96個,各LEDブロックを構成するLED数48個、各LEDブロックについて温度センサ1個で構成されたバックライト装置の場合、バックライト装置全体でLED数は4608個、温度センサ数は96個である。1つの温度センサからセンサ値を取得し、取得したセンサ値に基づきその温度センサが設けられるLEDブロックのLEDの輝度補正を行う処理に125msを要するマイコンを用いるとすると、全てのLEDブロックについて輝度補正を完了するのに12秒かかる。従って、ドリフト制御による輝度の補正周期は12秒(補正頻度は12秒に1回)である。LEDとセンサ数が2倍になれば、同じ性能のマイコンでドリフト制御すると、単純計算でドリフト制御の周期は2倍長くなる。
【0011】
このようにセンサ数が多くなると、ドリフト制御の1周期の処理に要する時間が長くなるため、各LEDブロックの輝度が目標輝度に収束するまでに時間がかかるようになる。そのため、ドリフト制御によるLEDブロックの輝度の収束の速さよりもバックライト装置内の温度が速く変化すると、輝度補正が温度変化に追従できなくなり、輝度ムラや色ムラが発生して表示品質が低下する場合があった。
【0012】
そこで、本発明は、光源ブロック毎の温度検出値に基づき光源の輝度補正を行うバックライト装置において、バックライト装置内部の温度分布の変化度合によらず輝度ムラや色ムラを好適に抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、複数の光源ブロックに分割され光源ブロック毎に光源の発光を独立に制御可能なバックライト装置であって、各光源ブロックの光源の周辺温度を検出する温度検出手
段と、各光源ブロックの光源の輝度を検出する輝度検出手段と、バックライト装置の目標輝度を取得する取得手段と、光源の周辺温度と光源の輝度との関係である温度特性の情報を記憶する記憶手段と、光源ブロック毎に、光源の周辺温度の検出値と、光源の輝度の検出値と、光源の温度特性と、に基づき、光源の輝度が前記取得手段により取得した目標輝度と一致するように、光源の駆動量を補正する補正手段と、光源ブロック毎に、光源の周辺温度の変化度合を予測する予測手段と、光源ブロック毎に、前記補正手段による駆動量の補正を行う頻度を決定する頻度決定手段と、前記頻度決定手段により決定される光源ブロック毎の頻度で、前記補正手段による各光源ブロックの光源の駆動量の補正を実行する制御手段と、を備え、前記頻度決定手段は、前記予測手段により予測される光源の周辺温度の変化度合が大きいほど、前記補正手段による駆動量の補正を行う頻度を高くすることを特徴とするバックライト装置である。
【0014】
本発明は、複数の光源ブロックに分割され光源ブロック毎に光源の発光を独立に制御可能なバックライト装置の制御方法であって、各光源ブロックの光源の周辺温度を検出する温度検出工程と、各光源ブロックの光源の輝度を検出する輝度検出工程と、バックライト装置の目標輝度を取得する取得工程と、光源の周辺温度と光源の輝度との関係である温度特性の情報を記憶手段から読み込む工程と、光源ブロック毎に、光源の周辺温度の検出値と、光源の輝度の検出値と、光源の温度特性と、に基づき、光源の輝度が前記取得工程により取得した目標輝度と一致するように、光源の駆動量を補正する補正工程と、光源ブロック毎に、光源の周辺温度の変化度合を予測する予測工程と、光源ブロック毎に、前記補正工程による駆動量の補正を行う頻度を決定する頻度決定工程と、前記頻度決定工程により決定される光源ブロック毎の頻度で、前記補正工程による各光源ブロックの光源の駆動量の補正を実行する制御工程と、を有し、前記頻度決定工程は、前記予測工程により予測される光源の周辺温度の変化度合が大きいほど、前記補正工程による駆動量の補正を行う頻度を高くすることを特徴とするバックライト装置の制御方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光源ブロック毎の温度検出値に基づき光源の輝度補正を行うバックライト装置において、バックライト装置内部の温度分布の変化度合によらず輝度ムラや色ムラを好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施例1に係わる表示装置の概略構成を示すブロック図
【図2】実施例に係わるバックライト部の構成例を示す図
【図3】実施例1に係わるドリフト制御のフローチャート
【図4】実施例1に係わるバックライトの温度分布を示した図
【図5】実施例1に係わる温度変化予測値と補正頻度の関係を示す図
【図6】実施例2に係わる表示装置の概略構成を示すブロック図
【図7】実施例2に係わるドリフト制御のフローチャート
【図8】実施例2に係わる目標輝度テーブルを示した図
【図9】実施例2に係わる温度変化予測レベルと補正頻度の関係を示す図
【図10】従来のドリフト制御のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1に係るバックライト装置の概略構成を示すブロック図である。このバックライト装置は、画像表示装置の液晶パネルを照明する光源である。このバックライト装置は、光源ブロック毎に光源の周辺温度の変化度合を予測し、変化度合が大きい光源ブロックは補正の実行頻度を高くし、変化度合が小さい光源ブロックは補正の実行頻度を低くする。このように光源ブロックの輝度補正のための限られた処理リソースを光
源の周辺温度の変化度合に応じて各光源ブロックに適切に分配することにより、バックライト装置の内部温度分布の変化速度が速い場合でも輝度ムラや色ムラの発生を抑制できるようにしている。
【0018】
図1において、バックライト制御部100は、ドリフト制御部102、発光データ送信部103、センサ制御部104、静止画判定部105、補正頻度決定部106、温度変化予測部107を備える。図1のバックライト制御部100は、不図示の透過型のカラー液晶パネルの背面に設置されたバックライト部101を制御する処理ブロックである。実施例1に係わるバックライト制御部100は、ドリフト制御部102、静止画判定部105、補正頻度決定部106、温度変化予測部107の制御に特徴がある。この特徴的な制御については後ほど述べる。
【0019】
(バックライト部)
バックライト部101は、液晶パネルの背面にあり、光源としてLEDを備える。バックライト部101の光源は赤色LED、緑色LED、及び青色LEDからなる3原色LEDとする。バックライト部101は、LEDの輝度検出をする輝度センサと、LEDの周辺温度を検出する温度センサと、をLEDブロック毎に備える。バックライト制御部100は、輝度センサによる検出値に基づき、赤色LED,緑色LED,及び青色LEDの混合光の色温度を検出する。
【0020】
バックライト部101の構成例を図2に示す。図2(D)に示すように、バックライト部101は96個のLEDブロックに分割される。図2(C)にバックライト部101の左上4分の1の領域の24個のLEDブロックを示す。ここでは、説明の為に図2(C)に示す各LEDブロックに1〜24までの番号を割り当てた。以下、説明の簡略化のために、LEDブロック1〜24について主に説明するが、以下の説明はバックライト部101の残り4分の3の領域にある72個のLEDブロックについても同様に適用される。
【0021】
図2(B)は、1つのLEDブロック201の構成を示す図である。1つのLEDブロック201は縦横4組ずつマトリクス状に配置された計16組のRGB−LED、1つの温度センサ205,及び1つの輝度センサ206から構成される。
【0022】
図2(A)は1組のRGB−LEDの構成を示す図であり、図示するように1組のRGB−LEDは、赤色LED202、緑色LED203、及び青色LED204がそれぞれ1つずつ設置されて構成される。なお、LEDブロック201の構成は上記の例に限られるものではなく、白色LEDにより構成してもよい。また、LEDブロック201には、1つの温度センサ205と、赤色LED202、緑色LED203、青色LED204の各色の輝度を検出することができる輝度センサ206が含まれる。従って、1つのLEDブロックあたりに48個のLEDがあり、図2の例の場合、バックライト全体でLEDブロックは96ブロック、LEDは4608個になる。各LEDブロックのLEDは独立に発光を制御可能である。
【0023】
(センサ制御部)
センサ制御部104は、バックライト部101の各LEDブロックの輝度センサ及び温度センサによる検出値をアナログ値として取得し、それを内部のA/D変換器によりデジタル値に変換し、輝度センサ値及び温度センサ値としてドリフト制御部102に出力する。ノイズ対策のために、センサ制御部104は、各センサから値を取得する際に、同一センサに対して複数回検出値を取得し、最小値と最大値を除いた値の平均値を算出するのがよい。
【0024】
センサ制御部104は、ドリフト制御部102から通知されるセンサ情報取得要求に応
じて、指定されたLEDブロックの輝度センサ値又は温度センサ値を取得してドリフト制御部102に出力する。本実施例では、センサ制御部104が1つのセンサ値を取得するのに要する時間を125msecとする。従って、センサ制御部104がバックライト部101の全てのLEDブロックのセンサ値を取得するのに要する時間は12secである。なお、1つのセンサ値を取得するのに要する時間や全LEDブロックのセンサ値を取得するのに要する時間は、マイコンの性能や同時にセンサと接続可能なポート数などに依存するものであって、上記の数値は説明のための一例である。
【0025】
(ドリフト制御部)
ドリフト制御部102は、液晶表示装置の画面の目標輝度に基づいてセンサ制御部104や温度変化予測部107を制御して、バックライト装置が目標輝度で発光するように点灯制御データを発光データ送信部103に送信する。点灯制御データは、発光データ送信部103がバックライト部101の各LEDに送信する発光データを決定するために用いられるデータである。例えば、発光データ送信部103がPWM信号のデューティ比の情報を含む発光データをバックライト部101のLEDに送信する構成では、点灯制御データはPWM信号のデューティ比に対応する数値の情報を含むデータである。
【0026】
さらに、ドリフト制御部102は、LEDの周辺温度の変化によりLEDの発光特性が変わってもバックライトの輝度が目標輝度になるように、周期的に各LEDの点灯制御データを補正する。このとき、ドリフト制御部102は、センサ制御部104にセンサ情報取得要求を通知して、センサ制御部104から任意のLEDブロックの輝度センサ値と温度センサ値を取得する。ドリフト制御部102は、取得した輝度センサ値と、バックライトの目標輝度と、取得した温度センサ値(LED周辺温度)と、LEDの温度特性と、に基づき、各LEDの輝度が目標輝度に一致するように点灯制御データを補正する。ドリフト制御部102は、補正した点灯制御データを発光データ送信部103へ送信する。
【0027】
また、ドリフト制御部102は補正頻度決定部106から通知される補正頻度情報に基づいて、LEDブロック毎に点灯制御データを補正する頻度を変更する。補正頻度情報には、96個のLEDブロック毎に決定された点灯制御データの補正頻度の情報が含まれている。詳細な処理は後ほどドリフト制御の説明において述べる。
【0028】
(発光データ送信部)
発光データ送信部103は、ドリフト制御部102から受信した点灯制御データに基づいて、各LEDを発光させる為の発光データを生成し、バックライト部101に出力する処理ブロックである。LEDの駆動量は、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって調整される。PWM信号のデューティ比が1のときLEDは最大輝度で発光し、PWM信号のデューティ比が0のときLEDは発光しない。
【0029】
PWM信号のパルス幅の調整により、ある周期におけるLEDの発光時間の割合(デューティ比)が決定され、LEDの駆動量が制御される。つまり、発光データには、各LEDのデューティ比のデータが含まれている。本実施例では、デューティ比(PWM値)でLEDの駆動量が制御されるが、LEDに供給する電流値の加減によってLEDの駆動量が制御されるようにしてもよい。
【0030】
(静止画判定部)
静止画判定部105は、入力映像信号に基づき液晶表示装置に表示する映像が動画像か静止画像かの判定をして、映像種別の情報を補正頻度決定部106に送信する処理ブロックである。画面の輝度ムラや色ムラは静止画像を表示している場合に目立ちやすいため、本実施例では、表示画像が静止画像の場合に本発明に係るドリフト制御を適用することとした。
【0031】
静止画判定部105は、映像信号に重畳される識別信号により動画像か静止画像かを判定してもよいし、映像信号の内容を解析してフレーム間の動きベクトルなどの統計量に基づき動画像か静止画像かを判定してもよい。なお、あらかじめ、静止画像しか表示しないことがわかっている場合には、静止画判定部105を省略してもよい。なお、動きの少ない動画像の場合に本発明に係るドリフト制御を適用しても良い。
【0032】
(温度変化予測部)
温度変化予測部107は、ドリフト制御部102からバックライト部101の各LEDブロックの温度センサ値を取得し、それに基づいて、LEDブロック毎の温度変化予測をして、予測結果を補正頻度決定部106に出力する処理ブロックである。温度センサ値は、ドリフト制御部102がセンサ制御部104から取得したタイミングでドリフト制御部102から温度変化予測部107へ通知される。詳しくは後ほど述べるが、温度変化予測部107は、過去(前回)に取得したLEDブロックの温度と、現在(今回)に取得したLEDブロックの温度と、の差に基づいて、そのLEDブロックの温度変化を予測する。
【0033】
(補正頻度決定部)
補正頻度決定部106は、静止画判定部105から入力映像信号の映像種別(動画像か静止画像か)の情報を取得する。映像種別が静止画像である場合には、補正頻度決定部106は、温度変化予測部107から送信された温度変化予測値に基づいてバックライト部101の各LEDブロックのドリフト補正頻度を決定する。このとき、補正頻度決定部106は、温度変化が大きいと予測されるLEDブロックの補正頻度を多くするようにドリフト補正頻度を決定する。
【0034】
一方、映像種別が動画像の場合には、補正頻度決定部106は全LEDブロックの補正頻度を等しくする。そして、補正頻度決定部106は、決定したLEDブロック毎のドリフト補正頻度の情報を補正頻度情報としてドリフト制御部102に送信する。本実施例のドリフト制御は、補正頻度決定部106で決定したLEDブロック毎のドリフト補正頻度に基づいて、各LEDブロックのLEDの輝度補正を行うことを特徴とする。
【0035】
次に、静止画判定部105によって表示画像が静止画像であると判定されたときに実行されるドリフト制御の流れを図3のフローチャートを用いて説明する。
【0036】
(S301)
まず、はじめにドリフト制御部102は、画像表示装置の起動時の目標輝度を取得する。目標輝度は、ユーザによって設定される値であり、例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)などの不揮発メモリに目標輝度が書き込まれている。本実施例では、ユーザによって設定された目標輝度を200cd/mとする。ドリフト制御部102は、画像表示装置の起動時に、バックライト装置内に配置された全ての温度センサ(全てのLEDブロックの温度センサ)から温度センサ値を取得する。そして、ドリフト制御部102は、前記取得した温度センサ値とLEDの温度特性とに基づき、各LEDブロックのLEDの輝度が目標輝度となる為の各LEDブロックのLEDの駆動量を算出する。ドリフト制御部102は、算出した駆動量に基づいて各LEDブロックのLEDを発光させ、バックライトを点灯させる。
【0037】
(S302)
次に、温度変化予測部107は、ドリフト制御部102から周期的に通知される温度センサ値からLEDブロック毎の温度変化を予測する。温度変化予測部107は、ドリフト制御部102を介して各LEDブロックの温度センサ値を取得して、現在(今回)の温度
センサ値と前回の温度センサ値との差分をLEDブロック毎に算出し、算出した差分をLEDブロック毎の温度変化予測値(Δで表す)とする。ここで、前回の温度センサ値とは、ステップS301において取得した起動時の各LEDブロックの温度センサ値のことである。
【0038】
ここでは、起動直後のバックライト装置内部の温度分布(S301で取得)は、図4(A)に示すようにLEDブロック1〜24の全てで等しく25℃であったとする。次にS302で取得したバックライト装置内部の温度分布は、図4(B)に示すような温度分布であったとする。図4(B)に示す温度分布は、LEDブロック1が29℃、LEDブロック2、7、8が27.3℃、LEDブロック3、9、13、14、15が26.0℃、その他のLEDブロックは25.5℃である。図示していないLEDブロック25〜96も同様に25.5℃とする。
【0039】
本発明のドリフト制御では、バックライト装置において局所的に温度上昇又は温度低下が著しい領域の補正頻度を高くする。このために、温度変化予測部107は、LEDブロック毎に今後の温度変化の大きさを予測する。本実施例では、温度変化予測部107は、バックライト装置全体の平均の温度変化(全LEDブロックの温度センサ値の変化量の平均値)と、各LEDブロックの温度変化の実測値(各LEDブロックの温度センサ値の変化量)と、の差分を計算する。温度変化予測部107は、計算した差分を、今後の温度変化の大きさを示す温度変化予測値とする。温度センサ値の変化量は、ここでは、前回(起動時)の温度センサ値と、今回(現在)の温度センサ値と、の差分である。
【0040】
ここでは、全LEDブロック1〜96の温度センサ値の変化量の平均値がΔ0.5℃であったとする。このとき、各LEDブロックの温度変化予測値は、LEDブロック1が最も大きくΔ3.5℃、LEDブロック2、7、8はΔ1.8℃、LEDブロック3、9、13、14、15はΔ0.5℃、その他のLEDブロックはΔ0℃である。温度変化予測部107は、LEDブロック毎の温度変化予測値の情報を補正頻度決定部106に送信する。
【0041】
(S303)
補正頻度決定部106は、温度変化予測値に基づきドリフト制御の補正頻度を決定する。補正頻度決定部106は、温度変化予測値の大きいLEDブロックの補正頻度を高くし、温度変化予測値の小さいLEDブロックの補正頻度を低く設定する。図5(A)は、温度変化予測値とドリフト制御の1周期処理あたりの補正頻度との関係を示している。図5(A)に示す温度変化予測値と補正頻度との関係は、マイコンの処理性能やバックライト装置内の温度の変動範囲などを考慮して予め決定し、バックライト制御部100の不図示の記憶手段に記憶しておく。
【0042】
図5(A)に示す関係に基づいて各LEDブロックの補正頻度を求めると、図5(B)のようになる。すなわち、LEDブロック1の補正頻度は16回、LEDブロック2、7、8は4回、LEDブロック3、9、13、14、15は2回、その他の領域は1回となる。従って、全96個のLEDブロックでは1周期の処理で計125回の補正が行われる。本実施例では、マイコンの1センサあたりの処理時間(センサ値取得及び補正に要する時間)を125msとしたので、全96個のLEDブロックのLEDの輝度を図5(B)のように決定された補正頻度で補正するのに要する時間は、15.625secである。従って、各LEDブロックの補正の実行間隔は、LEDブロック1は約980msec、LEDブロック2、7、8は約3.9sec、LEDブロック3、9、13、14、15は約7.8sec、その他の領域は15.625secである。補正頻度決定部106は、決定した図5(B)に示す補正頻度情報をドリフト制御部102に送信する。
【0043】
(S304)
ドリフト制御部102は、LEDブロック毎の補正頻度情報に基づくタイミングでセンサ制御部104へセンサ情報取得要求を送信する。例えば、ドリフト制御部102は、LEDブロック2、7、8の温度センサ値を3.9sec毎に取得する。センサ制御部104は、ドリフト制御部102により指定される、補正の対象となるLEDブロック(対象LEDブロック)の温度センサ値を取得して、ドリフト制御部102に出力する。
【0044】
さらに、ドリフト制御部102は、センサ制御部104を介して、補正の対象となるLEDブロックの輝度センサ値を取得して、補正の対象となるLEDブロックの赤色LED、緑色LED、青色LEDが目標輝度で発光しているか判定する。ドリフト制御部102は、輝度センサ値に基づいて取得される各色LEDの輝度とその色のLEDの目標輝度との差分絶対値が所定の閾値以下であれば、その色のLEDは目標輝度で発光していると判定する。なお、LEDが目標輝度で発光しているか否かの判断方法はこれに限らない。補正の対象となるLEDブロックのLEDのうちに、目標輝度で発光していないLEDがある場合には、ドリフト制御部102は、次のステップS305において当該LEDの点灯制御データを補正する。
【0045】
(S305)
ドリフト制御部102は、取得した温度センサ値に基づき補正対象のLEDブロックのLEDの駆動量を補正する。一般的に、LEDは温度上昇に伴って輝度が低下するという温度特性をもつため、LEDを目標輝度で安定的に発光させるためには、LEDの周辺温度に応じて駆動量を補正する処理が必要となる。さらに、各色でLEDの温度特性は異なる。例えば、LEDの周辺温度が標準的な温度である25℃のときの、赤色LED、緑色LED、青色LEDの輝度を100%とすると、周辺温度40℃では、相対的な輝度は、赤色LEDは95%、緑色LEDが97%、青色LEDが98%になる。バックライト装置内部の温度分布は、目標輝度の変更によるLEDの発熱の変化、回路基板周辺の放熱による温度上昇、冷房や暖房などの外的要因などによって変化する可能性がある。
【0046】
図4(A)に示す例では、領域1の温度センサ値は29℃であり、赤色LEDの25℃での輝度に対する相対輝度は99.5%となる。そのため、ドリフト制御部102は、目標輝度200cd/mに合わせるために、領域1の赤色LEDの駆動量を100.5%に補正する。ドリフト制御部102は、緑色LED、青色LEDについても同様にLEDブロックの温度センサ値と各色LEDの温度特性とに基づいて、各色LEDの輝度が目標輝度となるように各色LEDの駆動量を補正する。ドリフト制御部102は、補正した駆動量に基づき点灯制御データを生成する。
【0047】
(S306)
ドリフト制御部102は、LEDの温度特性による輝度低下を考慮して補正した点灯制御データを発光データ送信部103に送信して、バックライトを点灯させる。発光データ送信部103は、ドリフト制御部102から取得した点灯制御データをLEDのデューティ比に変換して、バックライト部101へ発光データとして出力する。これにより、バックライトは目標輝度の200cd/mで点灯する。
【0048】
(S307)
ドリフト制御部102は、補正頻度情報に基づきLEDブロック毎に決定された頻度で駆動量の補正をするが、補正を行う際に補正対象のLEDブロックの温度センサ値を取得する(S304)ので、補正頻度と同じ頻度で温度センサ値を取得している。従って、ドリフト制御部102から温度変化予測部107へ、LEDブロック毎に決定された頻度で各LEDブロックの温度センサ値が通知される。温度変化予測部107は、温度センサ値を受信するたびに温度変化予測値を更新して、補正頻度決定部604に送信する。
【0049】
以降、ドリフト制御部102は、ステップS303〜ステップS307の処理を補正頻度決定部106で決定する補正頻度に従って周期的に繰り返すことでドリフト制御を行う。このように、ドリフト制御部102は、LEDブロック毎に予測する今後の温度変化の大きさに応じて、LEDブロック毎の補正頻度を動的に変更していく。
【0050】
従来技術では、全てのLEDブロックの輝度が一律の頻度で補正されていたため、全てのLEDブロックの補正の実行間隔が一律12secであった。しかし、本実施例のバックライト装置では、温度変化予測値の大きいLEDブロックでは補正の実行間隔は従来の10分の1以下の980msecとなるため、急激な温度変化にも十分に追随して補正を行うことが可能になる。一方、温度変化予測値が小さいLEDブロックでは補正の実行間隔は従来技術より長くなる場合もあるが、温度変化がほとんどないLEDブロックではドリフトによる輝度のずれも小さいので、輝度ムラや色ムラは生じにくい。
【0051】
このように、温度変化予測値が大きいLEDブロックの補正頻度が高くされるので、バックライト装置内の温度分布の変化速度が局所的に速くなった場合でも、輝度を安定させることができるようになり、輝度ムラや色ムラの発生を好適に抑制することができる。なお、実施例1では、過去の温度変化量(今回取得した温度センサ値と前回取得した温度センサ値との差)に基づいてLEDブロック毎の温度変化予測を行う例を説明したが、温度変化予測の方法はこれに限らない。
【0052】
例えば、バックライト装置の発熱及び放熱に関わる部材(バックライト裏の基板回路、空冷のための吸気口や排気口など)の配置や、バックライト装置や画像表示装置の内部構造などに基づき、LEDブロック毎の温度変化を予測してもよい。また、温度検出値の精度は高くないが低コストの感温抵抗(温度に比例して抵抗値が大きくなる抵抗)を別途設けて、これにより検出される温度変化に基づき温度変化予測の評価を行っても良い。図5(A)に例示したように、本実施例では、温度変化の大きさを6段階に分けている。本実施例では、一例として温度変化の激しさ(速さ)を6段階で評価できる程度の精度でLEDブロック毎の温度変化検出ができれば十分であるとして説明したが、これに限定されない。2段階以上の任意の段階数に設定することが可能であり、どの程度の精度が必要とされるかにより、段階数を任意に設定すればよい。
【0053】
(実施例2)
実施例2は、ローカルディミングによって静止画像を表示するときに、各LEDブロックの目標輝度の変化量に基づいて各LEDブロックの温度変化を予測することで、ドリフト制御の補正頻度を決定する実施例である。ローカルディミングとは、表示画像に合わせてLEDブロック毎に目標輝度を決定することで、表示コントラストを向上させる技術である。例えば、黒背景の画像に花が表示されている画像では、黒い領域は液晶の透過率は0%であるが、実際にはバックライトの光が漏れて黒が浮いてしまい、結果として表示コントラストが低下する。
【0054】
そこで、ローカルディミングにより黒背景の領域に対応するLEDブロックの輝度を下げることで、光漏れによる黒浮きを抑制してコントラストを向上させることができる。実施例2に係る画像表示装置は、静止画像を表示する際にローカルディミングを行い、各LEDブロックの目標輝度を図8に示すような目標輝度テーブルとしてバックライト制御部へ入力することを前提として説明する。
【0055】
図6は、実施例2に係るバックライト装置の概略構成を示すブロック図である。実施例1と異なる構成は、実施例1では目標輝度が全LEDブロックで一律だったのに対し、本実施例では、目標輝度がローカルディミングにより決定される目標輝度テーブルに基づき
LEDブロック毎に設定される点である。図示しないローカルディミング制御手段により決定される目標輝度テーブルは、ドリフト制御部602及び温度変化予測部603に入力される。温度変化予測部603は、入力された目標輝度テーブルに基づいて各LEDブロックの温度変化予測値を算出して、補正頻度決定部604に通知する。
【0056】
次に、図7を用いて実施例2のフローチャートについて説明する。ここでは、入力される目標輝度テーブルが、図8(A)に示す目標輝度テーブルから図8(B)に示す目標輝度テーブルに変化した場合を例に説明する。図8(A)の目標輝度テーブルでは、LEDブロック1〜12の目標輝度は80cd/m、LEDブロック13〜24の目標輝度は200cd/mに設定されている。図示しないがLEDブロック25〜96の目標輝度は200cd/mに設定されているとする。
【0057】
(S701)
ローカルディミングでは、映像の表示内容に応じてバックライトの各LEDブロックの目標輝度を変えるので、表示内容が変わったときに目標輝度テーブルも変更される。表示内容が変わって目標輝度テーブルが図8(A)から図8(B)になったとき、温度変化予測部603は、図8(B)に示す目標輝度テーブルを受信する。図8(B)の目標輝度テーブルは、LEDブロック1〜3、7〜9、13〜24の目標輝度が200cd/m、LEDブロック4〜6、10〜12の目標輝度が150cd/mである。
【0058】
(S702)
さらに、温度変化予測部603は、ドリフト制御部602から現在のバックライトの点灯に使用している図8(A)の目標輝度テーブルを取得する。
【0059】
(S703)
次に、温度変化予測部603は、現在の目標輝度テーブルと新たな目標輝度テーブルとに基づき、目標輝度テーブルの変化前後での目標輝度差をLEDブロック毎に算出し、算出した目標輝度差に基づき各LEDブロックの温度変化を予測する。目標輝度差は、LEDブロック1〜3、7〜9が最も大きく、Δ120cd/m、LEDブロック4〜6、10〜12がΔ70cd/mである。その他の領域は、目標輝度に変化がないので目標輝度差はΔ0cd/mである。図示していないLEDブロック25〜96も目標輝度に変化がなく目標輝度差Δ0cd/mとする。このようなLEDブロック毎の目標輝度差に基づき、温度変化予測部603は、LEDブロック1〜3、7〜9の温度変化が最も大きく、次にLEDブロック4〜6、10〜12の温度変化が大きいと予想する。
【0060】
温度変化予測部603は、図9(A)に示す温度変化予測レベルと目標輝度差と補正頻度との予め定められた関係に基づき、LEDブロック毎の温度変化予測レベルを決定し、図9(B)に示す温度変化予測情報として補正頻度決定部604に出力する。図9(A)の関係によれば、LEDブロック1〜3、7〜9の目標輝度差はΔ120cd/mであるので、温度変化予測レベルは3となり、LEDブロック4〜6、10〜12の目標輝度差はΔ70cd/mであるので、温度変化予測レベルは2となる。また、その他のLEDブロックは目標輝度差がΔ0cd/mのため温度変化予測レベルは0となる。図9(A)に示す関係は予めバックライト制御部600の不図示の記憶手段に記憶されている。
【0061】
(S704)
次に、補正頻度決定部604は、図9(A)に示す関係を参照して、温度変化予測部603から取得したLEDブロック毎の温度変化予測レベルに応じて各LEDブロックの補正頻度を決定する。LEDブロック1〜3、7〜9は、温度変化予測レベルが3であるので、図9(A)によると1周期処理(ドリフト制御の1周期の処理)あたりの補正頻度は8回となる。LEDブロック4〜6、10〜12は、温度変化予測レベルが2であるので
補正頻度は4回となり、その他のLEDブロックは補正頻度は1回となる。
【0062】
従って、全96個のLEDブロックでは補正回数は計156回となる。本実施例のマイコンは、1センサあたりの処理時間(温度センサ値取得及び補正処理に要する時間)が125msecとしたので、1周期の処理時間は19.5secとなる。従って、LEDブロック1〜3、7〜9の補正周期は約2.4sec、LEDブロック4〜6、10〜12の補正周期は約4.8sec、その他のLEDブロックの補正周期は19.5secである。
【0063】
(S705)
ドリフト制御部602は、LEDブロックそれぞれ異なる補正周期でセンサ制御部104に対して補正対象のLEDブロックのセンサ情報取得要求を送信する。センサ制御部104は、補正対象のLEDブロックについてのみ温度センサ値を取得して、ドリフト制御部602に出力する。
【0064】
(S706)
ドリフト制御部602は、実施例1と同様に、取得した温度センサ値とLEDの温度特性に基づいて補正対象のLEDブロックのLEDの駆動量を補正して点灯制御データを生成し、発光データ送信部103へ送信する。
【0065】
(S707)
発光データ送信部103は、ドリフト制御部602から受信した点灯制御データをLEDのPWM値(デューティ比)に変換して、発光データとしてバックライト部101へ出力する。これにより、各LEDブロックのLEDは図8(B)に示す新たな目標輝度テーブルで指定された輝度で発光する。
【0066】
(S708)
以降、ドリフト制御部602は目標輝度テーブルが変更されるまでステップS705〜ステップS708の処理を繰り返すことで、LEDブロック毎に決定される温度変化予測レベルに基づく補正頻度で各LEDブロックのLEDの駆動量を補正する。また、ドリフト制御部602は、目標輝度テーブルが変更されたか判断して、変更された場合には、ステップS701〜ステップS707の処理を再び実行する。これにより、ドリフト制御部602は、目標輝度テーブルの変化によるLEDブロック毎の目標輝度差に基づき予測される温度変化予測に応じた補正頻度で各LEDブロックの駆動量を補正する。
【0067】
実施例2によれば、ローカルディミングによって特定のLEDブロックのみ輝度が高くなり、そのLEDブロックの温度が急激に上昇したとしても、当該LEDブロックについては短い周期で高頻度で輝度補正が行われるので、安定した表示が可能となる。
【符号の説明】
【0068】
100:バックライト制御部、101:バックライト部、102:ドリフト制御部、104:センサ制御部、106:補正頻度決定部、107:温度変化予測部、205:温度センサ、206:輝度センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光源ブロックに分割され光源ブロック毎に光源の発光を独立に制御可能なバックライト装置であって、
各光源ブロックの光源の周辺温度を検出する温度検出手段と、
各光源ブロックの光源の輝度を検出する輝度検出手段と、
バックライト装置の目標輝度を取得する取得手段と、
光源の周辺温度と光源の輝度との関係である温度特性の情報を記憶する記憶手段と、
光源ブロック毎に、光源の周辺温度の検出値と、光源の輝度の検出値と、光源の温度特性と、に基づき、光源の輝度が前記取得手段により取得した目標輝度と一致するように、光源の駆動量を補正する補正手段と、
光源ブロック毎に、光源の周辺温度の変化度合を予測する予測手段と、
光源ブロック毎に、前記補正手段による駆動量の補正を行う頻度を決定する頻度決定手段と、
前記頻度決定手段により決定される光源ブロック毎の頻度で、前記補正手段による各光源ブロックの光源の駆動量の補正を実行する制御手段と、
を備え、
前記頻度決定手段は、前記予測手段により予測される光源の周辺温度の変化度合が大きいほど、前記補正手段による駆動量の補正を行う頻度を高くすることを特徴とするバックライト装置。
【請求項2】
前記予測手段は、所定の周期で前記温度検出手段から光源の周辺温度の検出値を取得し、前回取得した検出値と今回取得した検出値との差が大きいほど光源の周辺温度の変化度合が大きいと予測する請求項1に記載のバックライト装置。
【請求項3】
前記予測手段は、前記バックライト装置の発熱及び放熱に関わる部材の配置に基づいて、光源ブロック毎の光源の周辺温度の変化度合を予測する請求項1又は2に記載のバックライト装置。
【請求項4】
前記取得手段は、ローカルディミングにより表示画像に応じて光源ブロック毎に設定される目標輝度を取得し、
前記予測手段は、少なくとも1つの光源ブロックの目標輝度が変化した場合に、各光源ブロックの目標輝度の変化前後の差を算出し、目標輝度の差が大きいほど光源の周辺温度の変化度合が大きいと予測する請求項1〜3のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項5】
表示画像が静止画像であるか否かを判定する判定手段を備え、
前記制御手段は、前記判定手段により表示画像が静止画像であると判定される場合に、前記頻度決定手段により決定される光源ブロック毎の頻度で各光源ブロックの光源の駆動量の補正を前記補正手段に行わせることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のバックライト装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載のバックライト装置と、
前記バックライト装置により照明される液晶パネルと、
を備える画像表示装置。
【請求項7】
複数の光源ブロックに分割され光源ブロック毎に光源の発光を独立に制御可能なバックライト装置の制御方法であって、
各光源ブロックの光源の周辺温度を検出する温度検出工程と、
各光源ブロックの光源の輝度を検出する輝度検出工程と、
バックライト装置の目標輝度を取得する取得工程と、
光源の周辺温度と光源の輝度との関係である温度特性の情報を記憶手段から読み込む工程と、
光源ブロック毎に、光源の周辺温度の検出値と、光源の輝度の検出値と、光源の温度特性と、に基づき、光源の輝度が前記取得工程により取得した目標輝度と一致するように、光源の駆動量を補正する補正工程と、
光源ブロック毎に、光源の周辺温度の変化度合を予測する予測工程と、
光源ブロック毎に、前記補正工程による駆動量の補正を行う頻度を決定する頻度決定工程と、
前記頻度決定工程により決定される光源ブロック毎の頻度で、前記補正工程による各光源ブロックの光源の駆動量の補正を実行する制御工程と、
を有し、
前記頻度決定工程は、前記予測工程により予測される光源の周辺温度の変化度合が大きいほど、前記補正工程による駆動量の補正を行う頻度を高くすることを特徴とするバックライト装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−4263(P2013−4263A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133176(P2011−133176)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】