バックライト装置及び映像表示装置
【課題】
バックライトのエリア制御において、OSD等の明るい物体が出現または消失した場合にバックライトの輝度変化が追従しきれずに、表示映像にフリッカ、ちらつき、残像のような現象が発生することがある。
【解決手段】
本発明は、映像信号に応じてバックライトの光強度を制御する初期調光値を初期調光値決定回路(20)で算出し、これを時間フィルタ回路(21)により映像の変化に対するバックライトの光強度制御の応答速度を制御する。更に、出現・消失判定回路(214)で、時間的に連続する2つのフレーム間で明るい物体の出現及び/または消失を判定し、上記時間フィルタ回路(21)は、物体の出現及び/または消失が生じたと判定されたエリアについて、その光強度制御の応答速度を他のエリアよりも速くする。
バックライトのエリア制御において、OSD等の明るい物体が出現または消失した場合にバックライトの輝度変化が追従しきれずに、表示映像にフリッカ、ちらつき、残像のような現象が発生することがある。
【解決手段】
本発明は、映像信号に応じてバックライトの光強度を制御する初期調光値を初期調光値決定回路(20)で算出し、これを時間フィルタ回路(21)により映像の変化に対するバックライトの光強度制御の応答速度を制御する。更に、出現・消失判定回路(214)で、時間的に連続する2つのフレーム間で明るい物体の出現及び/または消失を判定し、上記時間フィルタ回路(21)は、物体の出現及び/または消失が生じたと判定されたエリアについて、その光強度制御の応答速度を他のエリアよりも速くする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置において、液晶パネルなどの表示デバイスに光を照射するためのバックライトを複数のエリアに分割し、各エリアの光強度を映像に応じて個別に制御可能にした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の表示デバイスに光を照射するバックライトを使用して映像を表示する映像表示装置では、消費電力の削減のために、いわゆるエリア制御と呼ばれる技術が適用されつつある。エリア制御は、液晶パネルに光を照射するバックライトを複数のエリアに分割し、それぞれのエリアに対応して配置された光源の輝度(光源からの光の強度)を表示される映像に応じてエリア毎に独立に制御可能にした技術である。これによって、例えば映像の中の暗い部分に対応するエリアの光源の輝度を下げ、明るい部分に対応するエリアの光源の輝度を上げることができ、バックライトの電力を削減できる。
【0003】
かかるエリア制御では、各エリアの光源の輝度は、そのエリアに対応する映像の最大輝度に応じて定められる場合が多い。この場合、例えば映像に含まれる高輝度なノイズによりバックライトの輝度が細かく変動し、フリッカやちらつき等の原因となる。これを解消すべく、例えば特許文献1では、光源制御値の時間変化を緩和するためにローパスフィルタを設け、光源制御値の時間変化の緩和率を光源制御値の減少時よりも増加時の方で低くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-181075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
あるエリアに明るい物体が表示される場合として、あるエリアの周囲のエリアから当該あるエリアに物体が進入する場合と、周囲のエリアから侵入することなく突然(時間的に連続する2つの隣接フレーム間で)物体が出現する場合がある。前者の場合は周囲エリアが光っているためにあるエリアは当該周囲のエリアからある程度の光が供給されるが、後者の場合は光が供給されないか、わずかな光しか供給されない。このため、前者の場合において、上記特許文献1に記載のように、明るい物体が進入したあるエリアについて光源制御値を急峻に増加させると、物体の明るさ所望の明るさよりも急激に高くなり、ちらつき等の視覚的な違和感が生じる。
【0006】
また上記特許文献1に記載のものは、バックライトの輝度が減少するときの追従性が緩やかになるようにされているので、画面内に表示されていた例えばメニュー画面などのOSD(On Screen Display)のような明るい物体(オブジェクト)が急に消失する場合、対応するエリアの光源の輝度が緩やかに減少することになる。このため、特に背景の映像が暗い場合は明るい物体の消失後のエリアに、いわゆる残像のような現象が視認される場合がある。このような現象は液晶パネル等の表示デバイスに表示された映像の画質劣化の要因となる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、表示映像を高画質にするのに好適なエリア制御の技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、例えば特許請求の範囲に記載された構成を特徴とするものである。すなわち、本発明は、エリア制御における明るい物体の出現や消失に相当する映像の変化が発生したエリアを検出し、そのエリア光強度制御の応答速度を制御するように構成したことを特徴とする。例えば、明るい物体が出現及び/または消失したエリアについては、他にアリアよりも光強度制御の応答速度を速くするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の構成によれば、通常の映像にはほとんど影響を与えることなく、例えばメニュー等のOSDのような明るい物体の突然の出現または消失に伴う画質劣化を軽減または抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施例に係る映像表示装置のブロック図
【図2】第一の実施例における液晶モジュールの一構成例を示す図
【図3】第一の実施例に適用される時間フィルタ回路21の一構成例(発明適用前)
【図4】時間フィルタ回路200の応答特性の一例を示す図
【図5】移動する物体の例を示す図
【図6】出現する物体の例を示す図
【図7】移動する物体と出現する物体とが混在する例を示す図
【図8】第一の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図9】初期調光値の位置関係を示した図
【図10】本発明の第二の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図11】本発明の第三の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図12】本発明の第四の実施例に係るテレビジョン表示装置のブロック図
【図13】本発明の第四の実施例に係る映像表示装置のブロック図
【図14】第四の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図15】OSD要素と出現・消失エリアテーブルの一例を示す図
【図16】バックライトの一構成例を示す図
【図17】バックライトの他の構成例を示す図
【図18】バックライトの他の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。尚、以下の説明においては、同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して重複した説明を省略するものとする。
【実施例1】
【0012】
本発明の第一の実施例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第一の実施例に係る映像表示装置のブロック図を示しており、図において、エリア制御回路1は、例えばLSI等の集積回路で構成され、入力映像信号11に基づき、バックライト3を構成する各エリアに対応する光源の輝度をバックライト駆動回路2を介して制御する。更にエリア制御回路1は、入力映像信号11に対して、バックライトの減光分を相殺するような映像補正を行い、補正後の映像信号16を液晶パネル駆動回路4へ出力する。この映像補正の詳細については後述するものとする。
【0013】
液晶パネル駆動回路4は入力された補正後の映像信号16に従って液晶パネル5の各画素を駆動し、バックライト3から照射された光に対する透過率を制御する。これにより、液晶パネル5はバックライト3からの光を映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する。
【0014】
バックライト3と液晶パネル5は液晶モジュール9を構成する。本実施例に適用される液晶モジュール9の一構成例を図2に示す。この図ではバックライト3は縦4個、横4個の計16個のエリアに分割されている。各エリアには、光源として例えば1または複数(例えば3個)の発光ダイオード(LED)が設けられており、各エリアのLEDに光強度(発光輝度)が、それぞれ個別に或いは独立に制御可能にされている。ここでは、説明を簡単にするために分割数を16個としたが、実際には分割数はこれよりも多くしてもよく、任意の数とすることができる。
【0015】
ここで、バックライト3の一構成例を図16を参照して説明する。バックライトは、光源としてのLED200と導光板201及び反射板202を備えている。LED200は、各導光板201のそれぞれに1〜3個配置されるものとするが、これに限定されるものではない。導光板201は、図2に示されるに、上から(バックライト部からの光の照射方向と対向する側、すなわち映像観察側から)見たときに矩形状を為しており、また、そのバックライト部の照射面の縦方向(図2の紙面上下方向)の断面は、図16に示されるように、光が入射される端部からそれに対向する先端部にかけて徐々に厚さが薄くなる楔状を為している。これによって、光入射端部から先端部にかけて出射光の輝度分布が均一になるようにされる。
【0016】
またLED200は導光板201の厚さの厚い方の端部に配置されており、当該厚さの厚い方の端部から対向する端部(厚さの薄い方の端部)に向けて光を出射する。また導光板201の底面には光を拡散反射するための所定の光学パターンが形成されている。そしてLED200からの光は、厚さが厚いほうの端部に入射され、導光板201内で上記光学パターン等で多重反射され、その上面から液晶表示パネル方向(図中矢印方向)へ光を出射する。また、導光板201の底面から導光板201外に透過した光は、導光板201の底面の下部に配置された反射シート202により反射されて再び導光板201に戻り、導光板201の上面(光出射面)から出射される。これにより、LED等の点光源を面状の光源に変換して光出射面から出射する。尚、本実施例では、LED200として、電極面と平行な方向に光を出射するサイドビュー型のLEDを用いているが、電極面と直交する方向に光を出射するトップビュー型のLEDを用いてもよい。また、LEDの光の出射方向は、下側から上側に向かうようにしてもよい。
【0017】
また上記例のバックライトは、断面形状が光源側の端部からそれに対向する端部にかけて徐々に厚さが薄くなる楔形の導光板を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、図17、18に示されるような、厚さがほぼ一定な導光板58を備えたバックライトを用いることもできる。図17は、導光板58の、光出射面(紙面上側の面)に直交しLED30の光出射方向(図17、図18において矢印で図示)と平行な断面、すなわち図18のY−Y’断面図で、図18は、導光板58を光出射面から見た図である。図示されるように、厚さがほぼ一定な導光板58を用いる場合は、導光板58の背面側に孔もしくは溝141を複数設け、この孔もしくは溝141のそれぞれにサイドビュー型のLED30を複数個配置する。導光板58の背面には位置される反射シート60には、LED30と対応する位置に孔が設けられており、この孔に反射シート60の背面側からLED30を挿入し溝141に露出させる。LED30は配線基板(光源基板)142に実装されており、この配線基板142と導光板58の背面とで反射シート60をサンドウィッチするように保持している。配線基板142、反射シート60及び導光板58に、例えば図示しない樹脂で構成された細長いピンなどを挿入してこれらを連結するようにしてもよい。
【0018】
導光板58の背面には光を拡散反射するための所定の光学パターンが形成されており、LED30からの光は導光板58の内部を進行し、導光板58の背面に形成されたパターン等で多重反射して上面(光出射面)から出射される。導光板58の背面を透過した光は導光板58の底面の下部に配置された反射シート60により反射されて再び導光板58に戻り、導光板58の上面(光出射面)から出射される。
【0019】
このように、図17及び図18に示された構成のバックライトでも本実施例が適用できる。また図示しないが、導光板58の光出射面の孔或いは溝141と対応する位置に、LED30から上方に向かう光を減光するための例えば着色されたフィルムなどで構成された減光部材を設けてもよい。これにより、光出射面側から視認されるLEDまたはに溝141に対応した形状の光スポットの明るさを低減できる。
【0020】
尚、図16、17、18において、バックライトのエリアに対応する部分を点線で囲っている。図16の例では図示された全体が1つのエリアを構成しており、図17〜18の例では一部が1つのエリアを構成している。例えば図16においては、1つの導光板201の光出射面の大きさがエリアの大きさと実質的に等しくなる。
【0021】
このような構成のバックライト3、図2に示されるように液晶パネル5が重ね合わせられ、バックライト3から照射された光の透過量を液晶パネル5で制御することで映像が表現されることになる。液晶パネル5は複数の画素から構成されているが、図2に示すようにバックライト3のそれぞれのエリア(ここでは面状の「光源」として表している)に対応した複数の仮想的なエリア(以下、このエリアを「表示エリア」と呼ぶ場合もある。またバックライトのエリアを以下では「光源エリア」と呼ぶ場合もある)を有しているものとする。当然、これらの表示エリアはそれぞれが別体で構成されるものではない。なお、本実施例ではバックライト3と液晶パネル5はほぼ同じ大きさであることを想定しているが、かならずしも同じ大きさである必要はない。また、バックライト3の各エリアは物理的または光学的に完全に分離している必要はなく、一つのエリアを点灯させたときに、周囲のエリアへ光が広がっても構わない。
【0022】
次にエリア制御回路1の内部動作について再び図1を参照して説明する。
【0023】
初期調光値決定回路20は、入力映像信号11を解析し、各光源エリアにおける光源の光強度(光源輝度)の暫定値である初期調光値12を算出する。初期調光値12の算出方法には様々な方法が考えられるが、ここでは簡単に各表示エリアに属する画素の中で輝度が最大の画素値(最大輝度)を検出し、この最大輝度に対応する初期調光値を算出或いは取得するものとする。かかる初期調光値の算出或いは取得は、例えばメモリに最大輝度−調光値変換テーブルを予め記憶させておき、このテーブルから、検出した最大輝度に対応する初期調光値を引き出す(すなわち読み出す)ことで行うことができる。勿論、他の取得あるいは算出方法であっても構わない。
【0024】
上記テーブルにおいては、最大輝度と初期調光値は、例えばほぼべき乗関係にあり、最大輝度が高くなるに従い大きい初期調光値のデータが得られるようにする。すなわち、最大輝度が高いほどその表示エリアに対応する光源エリアの輝度を高くする。また、この例では、検出した最大輝度が液晶パネルが表現できる階調の上限(例えば8ビット表現で255階調)と等しい場合は、光源であるLEDを所定の最大光出力(LEDの最大定格または最大定格の80〜90%程度)の明るさで光らせる。ここで、上記所定の最大光出力を100%の光源輝度とする。検出した最大輝度が液晶パネルの階調上限より低い場合は、最大輝度と階調上限との比率で光源の明るさを決定するものとする。例えば検出した最大輝度が127の場合は光源を50%の明るさで光らせる。このように、映像信号の輝度に応じた光源の光強度は、基本的に、光源の100%の明るさから減らす方向に制御されるので、光源の光強度(光源輝度)の制御の度合いを「減光率」と呼ぶ場合もある。
【0025】
次に、この初期調光値12に対して、時間フィルタ回路21によって時間方向の応答、すなわち、ある表示エリアにおける映像信号の輝度変化に対する当該表示エリアに対応する光源エリアの光源制御(光強度制御)の応答速度(追従性)を調整もしくは制御することで最終調光値13を算出する。すなわち、時間フィルタ回路21は、映像の変化に対する光強度(光源輝度)制御の応答速度を制御するための応答特性制御部としての動作或いは機能を有する。最終調光値13は、バックライト駆動回路2経由でバックライト3の各光源の輝度を制御するための値である。時間フィルタ回路21の動作については後述する。
【0026】
上記最終調光値13は、映像補正処理のための補正倍率を算出するためにも使用される。映像補正処理は、バックライト3の各光源の輝度を調整することにより、液晶パネル5のある画素位置のバックライトの光源輝度が1/Nに下がったとき、その位置の液晶素子の透過率をN倍することで、見た目の明るさを維持する処理である。映像補正倍率を算出するためには、液晶パネルの表示面における各座標、すなわち液晶パネルの各画素(液晶素子)位置における光源輝度の減光率を求める必要がある。これを行うのが、バックライト輝度分布予測回路22である。バックライト輝度分布予測回路22では、全ての光源エリアをそれぞれの最終調光値13に従って点灯させたときのバックライトの第1輝度分布を求め、この第1輝度分布と全光源エリアを100%の光強度で点灯させた時のバックライトの第2輝度分布とを比較し差分を求めることで減光率の空間分布を得る。上記第1輝度分布は、例えば、各光源エリアの各々を対応する最終調光値13に従って点灯させたときの各光源エリア単独の輝度分布を、全光源エリアに亘って畳み込み演算することにより求められる。また上記第2輝度分布は、例えば、各光源エリアの各々を100%の光強度で点灯させたときの各光源エリア単独の輝度分布を、全光源エリアに亘って畳み込み演算することにより求められる。
【0027】
補正倍率算出回路23は、上記バックライト輝度分布予測回路22で求められた各座標の減光率に応じて映像信号を補正するために必要な映像補正倍率15を算出する回路である。かかる映像補正倍率15を求めるために、補正倍率算出回路23は例えば減光率−補正倍率テーブルを有し、映像補正倍率15は、該テーブルを参照し、上記求められた減光率に対応する補正倍率を読み出すことで求めることができる。
【0028】
映像補正回路24は入力映像信号11と映像補正倍率15を画素毎に乗算することにより、補正後映像16を算出する。これによって、映像の輝度によってバックライトの光源輝度を低下させた場合でも、各画素の映像の輝度を元の映像の輝度に維持することができる。
【0029】
上述したバックライト輝度分布予測回路22、補正倍率算出回路23及び映像補正回路のより詳細な動作については、本実施例の特徴と直接的に関係がないため、ここでは省略するものとする。
【0030】
タイミング生成回路29は、入力映像信号11に付随して入力される水平同期、垂直同期、ブランク等のタイミング信号10からエリア制御回路1の各種内部回路を動作させる際に必要となる内部タイミング信号19を生成する。
【0031】
次に本実施例の特徴部分となる応答特性制御部としての時間フィルタ回路21の詳細を説明する。時間フィルタ回路21は、光源輝度の急激な変化を抑えて、フリッカーやちらつき等の弊害を軽減するための回路であり、ローパスフィルタに近い動作を行う。本実施例の特徴がより理解し易くするために、最初に、単純なIIR(Infinite Impulse Response)型フィルタを用いた時間フィルタの動作および課題を説明し、その後に本実施例に係る新しい時間フィルタについて説明する。尚、図3では、かかる単純なIIR型フィルタで構成した時間フィルタを符号200で示すものとする
図3において、最終調光値13は、フレームtにおけるエリア(x,y)の最終調光値F(t,x,y)を以下の数1に従って算出する。
(数1) F(t,x,y)=I(t,x,y)×K+F(t-1,x,y)×(1-K)
ここで、I(t,x,y)はフレームtにおけるある光源エリア(x,y)の初期調光値、F(t-1,x,y)はフレームtの時間的に直前のフレームt−1におけるエリア(x,y)の最終調光値である。ここでフレームtとt−1は時間的に連続し、互いに隣接している。Kはフィルタの応答速度を決めるパラメータであり、0から1の範囲の値である。ここで、初期調光値および最終調光値は0%から100%の値で表すこととする。0%は対応する光源を完全に消灯することに相当し、100%は対応する光源を上述した所定の最大光出力で点灯することに相当する。
【0032】
すなわち、図3の例において、積和演算器210は、フィルタ係数K、初期調光値決定回路20からのフレームtの初期調光値I(t,x,y)、及びフレームt−1の最終調光値F(t-1,x,y)がそれぞれ入力され、上記数1に示された積和演算を行い、フレームtの最終調光値F(t,x,y)を演算して出力する。フレームt−1の最終調光値F(t-1,x,y)は、積和演算器210から出力されたフレームtの最終調光値F(t,x,y)を、例えばバッファメモリで構成される1フレーム遅延器211で1フレーム期間一時的に保持することにより生成される。この図では、時間フィルタ回路200は一系統だけ示しているが、論理的には時間フィルタ回路200はエリア数と同じ数存在することになる。ただし、例えば複数のエリアについて1つの系統を時分割で使用する等の工夫を行うことで、物理的な個数はエリア数よりも少なくすることが可能である。
【0033】
図4にこの時間フィルタ回路200の応答特性の例を示す。この例では、時間フィルタ回路200に入力される初期調光値12は、最初は0%であり、フレーム0(現フレーム)において、0%から100%にステップ状に変化したあとこれを維持している図中の符号500で示される)。この場合、フィルタ係数Kの値に応じて、最終調光値13の値は、図中の特性501、特性502、特性503のように変化することになる。特性501はフィルタ係数Kが比較的小さい(K=0.1)場合の応答特性であり、最終調光値13は図示されるようにゆっくりと変化することになる。すなわち、応答速度が遅い特性である。この場合、最終調光値13は入力映像信号に含まれる細かいノイズに影響されにくくなる反面、目標とするバックライト輝度(この例では100%)に到達するまでの時間が長くなる。一方、特性503はフィルタ係数Kが比較的大きい(K=0.5)場合であり、最終調光値13は特性501に比べ速く変化することになる。すなわち、応答速度が早い特性である。この場合、最終調光値13は入力映像信号に含まれる細かいノイズに影響されやすくなりフリッカーのような弊害が発生しやすくなるが、目標とするバックライト輝度に速く到達することが可能である。
【0034】
特性502はK=0.2のときの応答特性であり、応答速度、ノイズに対する影響の度合い、及び目標輝度への到達速度は特性501と503のおおよそ中間となる。
【0035】
このようにフィルタ係数Kを調整することで時間フィルタ回路200の応答特性を変えることが可能である。ただし、全ての映像に対して適用可能なKの値は存在せず、最適なKの値は様々な条件によって変動する。
【0036】
例えば、図5のように暗い背景上を明るい物体が横方向に移動している場合を考える。この例ではフレームF〜F+3は時間的に連続して互いに隣接しており、フレームF+1にて、移動物体がエリアAからエリアBに進入するため、各エリアの最大画素値を用いて初期調光値12を決定する本実施例の方式では、エリアBの初期調光値12が急に大きくなることになる。しかし、人間の視線は移動物体に追従して動いているため、映像自体はあまり変化していないと認識される。ここで、フィルタ係数Kが大きいと、映像自体があまり変化していないように見えているにもかかわらず、エリアBの光源輝度が急激に高くなるように変化するため、ちらつきのような違和感が感じられる可能性が高い。よって、上記のように明るい物体があるエリアにその周辺エリアから進入もしくは移動してきたことにより、当該エリアの初期調光値12が大きく変化する場合には、最終調光値13の変化速度をあまり速くしすぎないことが必要とされる。また、この例では、フレームFでエリアAの光源が明るく点灯しているため、エリアAの光源から漏れてくる光によりエリアBがある程度明るくなっており、フレームF+1におけるエリアBの光源輝度の立ち上がりが多少遅くとも、立ち上がり時前後においては、明るい物体について大きな輝度低下が生じにくい。
【0037】
次に、図6のように、暗い背景上に明るい物体が出現するケースについて考える。フレームF+1にて、明るい物体がエリアBに急に出現してその状態が継続した場合を考える。この場合、各エリアの最大画素値を用いて初期調光値12を決定する本実施例の方式では、エリアBの初期調光値12が急に大きくなることになる。ただし、このケースでは、図5の場合と異なり、エリアBに隣接するエリアのバックライト輝度が高くないため、周囲エリアからの漏れ光を期待することができない。このため、エリアBの光源輝度をある程度急激に上げないと、バックライト輝度が出現した物体が必要とする輝度に到達するまでに時間がかかり、明るい物体について輝度低下が視認されやすい。また、この例では、存在していない物体が急激に出現するため、映像自体の変化が大きく、光源の輝度変化に伴う明るさの変化が映像自体の変化に隠されて人間には視認されにくい傾向にある。このため、図6のようなケースでは、フレームF+1でエリアBの光源輝度をある程度急激に上げた方が、画質的に良い結果が得られる。
【0038】
この2つの例では、フレームF+1の入力映像信号は同一であり、かつ、フレームFとフレームF+1のエリアBの初期調光値も同じであるが、図5の様に物体が移動してエリアBに進入してきた場合と、図6の様に物体が急にエリアBに出現してきた場合では、最適な時間フィルタの応答特性は異なることになる。
【0039】
図5及び図6では、明るい物体が移動するケースと突然現れるケースがそれぞれ別に生じる例を示したが、実際には同一画面内で両者のケースが同時に発生することもある。これを図7の例を用いて説明する。この例では、時間的に連続する隣接した2つのフレームであるフレームNとN−1において、フレームN−1の映像がフレームNの映像に変わる際に、画面右上にOSD表示が出現し、画面下部の白文字の字幕が左方向にスクロールしている。ここで、右上のOSD表示を含むエリアCに着目すると、フレームN−1には存在しない明るい物体がフレームNで急に出現したことになる。これは図6のケースに相当しており、エリアCでは最終調光値13が速く変化するような時間フィルタの特性とすることが好ましい。一方、エリアDでは、フレームN−1ではエリアDの右側のエリアにあった字幕が、フレームNでは左方向へ移動してエリアDに進入してきている。これは、先程の図5のケースに相当し、エリアDでは、最終調光値13が遅く変化するような時間フィルタの特性とすることが好ましい。このように、最適な時間フィルタ特性はエリア毎に異なる可能性があるため、時間フィルタのフィルタ係数Kの値をエリア単位で調整する仕組みがあると、より自然な映像表示が可能となる。
【0040】
これを可能にするために本実施例で導入した新しい時間フィルタ21の動作を図8の構成図を用いて説明する。この図において、積和演算器210とフレーム遅延回路211は、図3に示されたものと同じ動作をするものであり、ここでは詳細な説明を省略する。積和演算器210での演算で使用される、時間フィルタ21の応答特性を決めるフィルタ係数Kは、速い応答特性に対応したKfと、遅い応答特性に対応したKsの二種類の値が予め用意されている。ここで、両係数の関係は、Kf>Ksであるものとする。そして、セレクタ212により、出現・消失判定結果信号220の値に応じてKs,Kfのどちらか一方をフィルタ係数Kとして選択し積和演算器210へ入力するようになっている。すなわち、出現・消失判定結果信号220が真(すなわち画面上に明るい物体の出現または消失が生じた場合)であれば、セレクタ212はフィルタ係数Kfを選択し、時間フィルタ回路21は速めの応答特性となり、偽(すなわち画面上に明るい物体の出現または消失が生じない場合)であれば、セレクタ212はフィルタ係数Ksを選択し、時間フィルタ21は遅めの応答特性となる。
【0041】
出現・消失判定回路214は、明るい物体の出現判定を行う回路と消失判定を行う回路から構成される。出現判定は、現在のフレームにその直前のフレームに存在しなかった物体が出現した場合、消失判定は、現在のフレームからその直前のフレームに存在していた物体が消失した場合に真となる。ただし、初期調光値12の値に影響を与えないような物体の出現や消失は検出を行わないようになっている。
【0042】
ここで、この出現・消失判定回路214の仕組みについて説明する。図9は判定対象とするエリア(x,y)とその周囲8エリアの合計9エリアの初期調光値12を示した図である。この図を用いて出現・消失判定の検出方法を説明する。この説明の中で、I(N,x,y)はフレームNにおけるエリア(x,y)の初期調光値12を示している。出現判定には次の式を用いる。
(数2)
max( I(N-1, x+i, y+j) ) i=-1,0,1、j=-1,0,1 ≪ I(N, x, y)
ここで左辺のmax関数は、iを−1,0,1、jを−1,0,1の範囲で独立に変化させて得られる9つの初期調光値の中の最大値を出力する関数である。すなわち、数2は、フレームN−1において、対象エリアを中心とした3×3のエリアにおける初期調光値の中の最大値に比べて、フレームNの対象エリアの初期調光値が十分に大きければ、フレームNにおいて対象エリアに明るい物体が出現したと判定する式である。
【0043】
一方、明るい物体が移動しながら、フレームNにおいて図9の中央のエリア(x,y)に進入するためには、直前のフレームであるフレームN−1において中央エリアまたはその隣接8エリアのどれかを通過する必要がある。この場合には、数2の左辺が右辺とほぼ等しくなるため、式2は成立しないことになる。明るい物体の移動速度が非常に速い場合は、直前のフレームで明るい物体が隣接8エリアの外側に位置している可能性もあるが、フレームレートが十分に高ければ、このようなケースが発生する可能性は低いと言える。
【0044】
また、数2を実際に適用する際には、右辺が左辺に比べて十分に大きいかどうかの判定は、パラメータαを導入し、例えば次の数3の真偽を判定することで実現可能である。
(数3)
max( I(N-1, x+i, y+j) ) i=-1,0,1, j=-1,0,1 ×α < I(N, x, y)
αはどの程度の差があれば非常に大きいと判定するかを指定するためのパラメータである。例えばα=2とすると、数2の右辺が左辺の2倍以上である場合に、数3が真となる。本実施例では、αの値は2以上とする。すなわち、数2において、右辺が左辺の2倍以上であれば数2の条件を満足すると判定する。
【0045】
同様に、消失判定には以下の式を用いる。
(数4)
I(N-1,x,y) ≪ max( I(N, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1
数4において、左辺のmax関数の定義は出現判定(数2)の場合と同じである。すなわち、数4は、フレームN−1の対象エリアの初期調光値に比べて、フレームNにおいて対象エリアを中心とした3×3のエリアにおける初期調光値の中の最大値が十分に大きければ、フレームNにおいて対象エリアから物体が消失したと判定する式である。かかる消失判定は、出現判定と同様に対象エリアに存在していた明るい物体が移動しながら対象エリア外に出るには、隣接8エリアのどれかを通過する必要があるという原理に基づいている。明るい物体の移動速度が非常に速いケースは上述の出現判定の場合と同様に発生する可能性が低いものと考える。
【0046】
また、数4において右辺が左辺に比べて十分に大きいかどうかの判定は、パラメータβを導入し、例えば次の数5の真偽を判定することで実現可能である。
(数5)
I(N-1,x,y)×β < max( I(N, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1
例としてβ=2とすると、式4の左辺が右辺の1/2よりも小さければ式5が真となる。本実施例では、βの値は2以上とする。すなわち、数4において、右辺が左辺の2倍以上であれば数4の条件を満足すると判定する。
【0047】
出現・消失判定回路214は、数3及び数5の条件式の真偽を判定し、どちらか一方でも真であれば、真を出力し、両方共に偽の場合に偽を出力する。前段の遅延回路213は数3や数35で参照する1フレーム前の初期調光値12を1フレーム期間保持して出現・消失判定回路214に出力するための回路である。
【0048】
前述のように出現・消失判定回路214の出力220はセレクタ212に接続されている。よって、対象としているエリアで物体の出現または消失が発生した場合には、フィルタ係数Kfが選択されて積和演算器210により数1に従い最終調整光値13を演算して出力する。これにより時間フィルタ回路21の応答が速くされる。それ以外の場合には、フィルタ係数Ksが選択されて積和演算器210により数1に従い最終調整光値13を演算して出力する。その結果、時間フィルタの応答が遅くされる。
【0049】
上述した図4の例では、明るい物体の突然の出現を例にして図示しているが、上述のように明るい物体が突然消失した場合も同様である。上述のように出現・消失判定回路214は、明るい物体が突然消失した場合は消失判定結果が真となり、セレクタ212はフィルタ係数Kfを選択し、積和演算器210により応答速度が速い応答特性を得る。従って、例えば図4において初期調光値が100%から0%に急激に変化した場合(つまり明るい物体が突然消失した場合)に応答特性503のような最終調光値13が得られ、明るい物体が突然消失した後のエリアの光源輝度は迅速に(例えば数〜5フレーム程度で)0、または予め定められた0よりも大きい最低値に収束する。よって、明るい物体が突然消失した後でもエリアが長時間に亘って光ることが抑制され、以って、当該エリアにおいて局部的な残像のような現象が生じることを防止することができる。
【0050】
上述のようにして得られた最終調整光値13は、図1の液晶パネル駆動回4に入力され、ここで最終調整光値13に応じた例えばPWM方式のLED駆動信号が生成されてバックライト3の各エリアの光源(LED)に供給される。これにより、バックライト3の各エリアは最終調整光値13に応じた明るさを持つ光を液晶パネル5に照射する。
【0051】
このように本実施例の構成によれば、時間的に連続する2つのフレーム間で例えばOSD画面(メニュー画面など)のような明るい物体が突然出現または消失した場合に、それに応じて光源エリア毎に光源制御の応答速度を調整または制御することができる。従って、例えば図7のように画面を明るい物体が移動するケースと明るい物体が突然出現または消失するケースの両方が同時に画面上で発生したとしても、各エリアについて適切な光源輝度の制御を行うことができる。すなわち本実施例によれば、局所的に明るい物体の出現や消失が生じても、それに対応してフリッカや画面のちらつき、更には局部的な残像のような現象を抑制でき、より高画質な映像を表示するのに好適なエリア制御の技術を提供することができる。
【0052】
上述した例では、光源としてLEDを用いたが、これに限られるものではなく、例えば半導体レーザ等のレーザ光源を用いてもよい。またバックライト3は導光板を用いたものとしたが、これに限られるものではない。例えば、液晶パネルの背面に直接的に光を照射する、いわゆる直下方式のバックライトにおいても仮想的に表示エリア及び光源エリアが定義できるものであれば、同様に本実施例を適用することができる。
【実施例2】
【0053】
次に図10を参照して本発明の第二の実施例を説明する。 第一の実施例では、数3及び数5では初期調光値12を参照しているため、セレクタ212でフィルタ係数Kfが選択されるのは物体の出現または消失が発生した瞬間の1フレームのみである。しかし、フィルタ係数Kf選択時の時間フィルタ回路21の応答特性が十分に速くない場合には、1フレームよりも長い期間に亘って、フィルタ係数Kfを選択したままとするほうが好ましい場合がある。このような場合には、時間フィルタ回路21を図10のような構成にするとよい。
【0054】
この構成によれば、出現・消失判定回路214での出現・消失判定に使用されるのは直前のフレームの初期調光値I(N-1,x,y)ではなく、最終調光値F(N-1,x,y)となる。従って、出現・消失判定回路214における出現・消失の判定条件は、それぞれ、数3及び数5に代えて下記数63及び数7のようになる
(数6)
max( F(N-1, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1 ×α < I(N, x, y)
(数7)
F(N-1, x, y)×β < max( I(N, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1
本実施例では、第一の実施例に比べ次の効果を得ることができる。すなわち、上記構成の時間フィルタ回路21によって、最終調光値F(N-1,x,y)は初期調光値I(N-1,x,y)よりも緩やかに変化するため、α、βを適切に選ぶことで、出現・消失判定結果信号220を1フレームよりも長い期間の間、真の状態で維持することができる。これにより、フィルタ係数Kfを、物体が出現または消失したときの1フレームのみならず、この1フレームよりも長い期間に亘って選択し続けることが可能となり、時間フィルタ回路21の応答速度をより速くすることができる。
【実施例3】
【0055】
次に図11を参照して本発明の第三の実施例を説明する。
【0056】
第一の実施例でKfの値を1に設定すると、フィルタ係数Kf選択時には時間フィルタ回路21をバイパスさせたのと同じ効果を得ることができる。これは図11に示す構成と同じ動作となる。
【0057】
すなわち、出現・消失判定回路214によって、物体の出現または消失が発生したと認識されたエリアでは、セレクタ212により、初期調光値12の値が最終調光値13の値として選択される。それ以外のエリアでは、積和演算器210とフレーム遅延回路211による上記数1に示されるような時間フィルタ処理が行われた結果が最終調光値13の値として選択される。本実施例の方式では、1フレームの間に初期調光値12の値がそのまま最終調光値13に適用されるので、第二の実施例のように、出現・消失判定結果信号220をしばらくの間保持するための構成や処理は不要である。
【実施例4】
【0058】
続いて図12〜15を参照して本発明の第四の実施例を説明する。
【0059】
テレビジョン放送で放送される番組を表示するテレビジョン表示装置或いはそれを受信する受信装置等において、該番組の映像に重ね合わせてチャンネル番号、番組情報、或いはメニュー画面等のOSDを表示する場合、かかるOSDの表示位置は装置内部において予め定められている。尚、ここでは、OSDとしてユーザに提示される文字及び図形などの情報を含む部分を「OSD要素」と呼び、このOSD要素を含む画面を「OSD画面」と呼ぶこととする。
【0060】
従って、装置内で明るい物体であるOSD要素の出現または消失が発生するエリアを知ることができるため、エリア制御回路1の内部で物体の出現・消失判定を行わずに、装置内部に設けられたセットマイコン等から出現・消失情報を設定することも可能である。
【0061】
本実施例は、上記OSDの性質を利用して為されており、その構成の詳細をテレビジョン表示装置を例にして図12等を参照して説明する。尚、ここでは、図7のフレームNにおいて右上に出現するOSD要素60を例に説明する。本実施例ではテレビ番組とOSD要素60との重畳はエリア制御回路1の前段のOSD重畳回路6で行っている。
【0062】
図12において、ユーザがテレビジョン表示装置の操作パネルにある、例えばOSD要素を表示させるためのスイッチ51、またはテレビジョン表示装置を遠隔操作するためのリモコン装置(図示せず)のOSD要素を表示させるためのボタン(例えば「番組表示」、「メニュー」ボタン等)を操作すると、セットマイコン50がそれを認識し、必要な処理を行うと同時に、テレビ番組の映像に、OSDメモリ7に格納されたOSD要素の表示データを読み出してOSD要素60を重ね合わせて表示する(図7参照)。これは、セットマイコン50がOSDメモリ7に、例えば図15の右上にあるような、OSD要素60を含むOSD画面32に相当するデータを書き込むことによって行われる。OSD画面32はOSD要素60以外の領域はあらかじめ定められた透明色(この例では黒)で塗られており、OSD要素60の部分だけが本来の色で描画されている。OSD重畳回路6は、OSDメモリ7からOSD画面32のデータを読み出し、この透明色情報及びOSD要素60を用いて、重畳前の入力映像31とOSD画面60重ね合わせる。
【0063】
すなわち、OSD画面32で透明色(黒)となっている画素については、重畳前の入力映像信号31の画素値を選択し、それ以外の部分、すなわちOSD要素60の部分については、OSD画面32の画素値(OSD要素60の画素値)を選択して二つの映像を合成することで、OSD重畳後の入力映像信号11を生成する。
【0064】
上述した第一〜第三の実施例では、エリア制御回路1の内部でOSD重畳後の入力映像信号11を解析して、OSD要素60の出現・消失を検出していたが、本実施例では、OSD要素60を描画しているセットマイコン50が明るい物体としてのOSD要素60の出現・消失情報を生成し、エリア制御回路1へ通知する。
【0065】
本実施例では、上記OSD要素60の出現・消失情報をエリア毎に生成するにあたり、図15の右下に図示される、1エリアあたり1ビットの情報で表した出現・消失マップ33のようなデータ形式を用いる。図15の例では、エリア制御のためのエリア分割数が横6個、縦4個の例を示している。図示された出現・消失マップ33において、値が「1」となっているエリアはOSD要素60の出現または消失が生じたことを示しており、時間フィルタ回路21の応答を速くさせる必要がある、または早くさせた方が好ましいエリアを示している。値が「0」となっているエリアは、OSD要素60の出現や消失が無く、時間フィルタ回路21の応答を遅くさせる必要がある、または遅くさせたほうが好ましいエリアを示している。
【0066】
本実施例では、セットマイコン50がOSD画面32を作成する際に、上記出現・消失マップ33も作成する。この出現・消失マップ33作成は、入力映像信号31の1フレーム毎に行われる。出現・消失マップ33の作成方法は様々な方法が考えられる。例えば、着目したエリア内で、OSD画面32における透明色からそれ以外の色への変化またはそれ以外の色から透明色へ変化した画素が、エリア内の全画素の50%以上あれば、そのエリアで出現・消失があったと判定するなどの方法が考えられる。
【0067】
また、上述のようにOSD要素60が出現または消失する画面上の位置は予め定められている。ここでは、図15の右下の図において右上隅部のエリア及びその左隣のエリアの2エリアが、予め定められたOSD要素60が出現または消失する位置に対応したエリアとする。この場合において、OSD要素60が表示されていない状態からOSD要素60を表示させるためのユーザ操作(例えば「メニュー」ボタンの押下げ)により発生されたOSD表示指令に応答して、当該操作のタイミングで出現・消失マップ33の上記2エリアに対応する値を「0」から「1」に書き換える。逆に、OSD要素60の表示を消去する操作がなされた場合は、そのタイミングで出現・消失マップ33の上記2エリアに対応する値を「1」から「0」に書き換える。このように、画素値を検出せずにユーザ操作に応じて出現・消失マップ33を作成することもまた好適である。更にまた、例えば緊急地震速報等の特定の放送信号を受信したときや、表示装置内部の記録装置または外部に接続された記録装置が予約されたタイマー録画を開始するときに、セットマイコン50によって自動的にOSDが表示される場合もある。従って、特定放送信号の受信時または装置の所定イベントの開始時にセットマイコン50で自動的に発生するOSD表示指令に応答して上記出現・消失マップ33の書き換えを行ってもよい。
【0068】
このようにしてセットマイコン50で作成された出現・消失マップ33は、ステムバス17を介して、エリア制御回路1に書き込まれる。本実施例では、図13の様に、セットマイコン50によってシステムバス17を介して書き込まれた出現・消失マップ33のデータはマイコンI/F回路28で受信され、内部システムバス18によりエリア制御回路1内の時間フィルタ回路21を含む各回路へ送信される。
【0069】
本実施例における出現・消失マップ33を用いた時間フィルタ回路21の構成、動作について図14を参照して説明する。図14において、内部システムバス18により送信された出現・消失マップ33のデータ時間フィルタ回路21内部の出現・消失エリアテーブル220へ書き込まれる。
【0070】
エリア制御動作時には、処理対象となっているエリアに対応した出現・消失情報が出現・消失エリアテーブル220から読み出され、この値に応じてセレクタ212が選択される。この例では、出現・消失情報が「1」のエリアでは、応答速度を速くすべく、初期調光値12がセレクタ212の出力となり、時間フィルタ処理がバイパスされる。一方、出現・消失情報が「0」のエリアでは、応答速度を遅くすべく、積和演算器210の出力がセレクタ212の出力となり、通常の時間フィルタ処理が行われる。このときのフィルタ係数Kは、上述したフィルタ係数Ksに相当する値が用いられる。出現・消失情報が「1」のエリアで、上述したフィルタ係数Kfで積和演算器210により時間フィルタ処理を行うようにしてもよい。このように、本実施例に係る出現・消失エリアテーブル220は、第一〜第三の実施例に示された出現・消失判定回路214の代わりに物体の出現・消失の判定のための判定部として用いられるものである。
【0071】
このようにすることで、第三の実施例と同様に明るい物体であるOSD要素60が出現・消失したエリアのみ、時間フィルタの応答を速くすることが可能となる。
【0072】
第四の実施例の方式の利点としては、OPD要素60の出現の有無を映像から検出するのでなく、例えばユーザ操作に応じてセットマイコン50から通知するため、少なくとも装置内で生成されるOSD要素60については誤検出が発生しないことや、出現・消失を検出するための回路が不要となることがある。また、第四の実施例の方式では、入力映像信号11が同一であっても、OSD情報が装置外部で挿入されOSD重畳前の入力映像信号31の段階で既に映像内に含まれている場合と、OSD情報がセットマイコン50で生成され、OSD要素としてOSD重畳回路6で重畳される場合とでは、各光源の変化の仕方が異なるという特徴がある。このため、第一〜第三の実施例の方法と第四の実施例の方法を組み合わせて、OSD要素の出現の有無を映像から検出しつつ、テレビジョン表示装置または受信装置内部で重畳したOSD要素については、出現・消失マップ33を用いた処理を行うこともできる。このようにすることで、装置外部で重畳されたOSD要素についても検出しつつ、装置内部で重畳されたOSD要素は確実に検出可能に構成することも可能である。
【0073】
上述した第一〜第四の実施例では、出現・消失判定回路214等で各エリアについて物体の出現と消失の両方を判定したが、物体の出現または消失のいずれか一方のみを判定するようにしてもよい。
【0074】
また上述した第一〜第四の実施例については、それぞれ単独で実施できるし、またこれらを任意に組み合わせて実施できることは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、液晶パネルに光を照射するためのバックライトを備えた映像表示装置において、バックライトを複数のエリアに分割して、各エリアの光強度を個別に制御する、いわゆるエリア制御に適用して好適である。
【符号の説明】
【0076】
1:エリア制御回路、2:バックライト駆動回路、3:バックライト、4:液晶パネル駆動回路、5:液晶パネル、6:OSD重畳回路、7:OSDメモリ、9:液晶モジュール、10:タイミング信号、11:入力映像信号、12:初期調光値、13:最終調光値、14:バックライト輝度分布、15:映像補正倍率、16:補正後映像信号、17:システムバス、18:内部システムバス、19:内部タイミング信号、20:初期調光値決定回路、21・200:時間フィルタ回路、22:バックライト輝度分布予測回路、23:補正倍率算出回路、24:映像補正回路、28:マイコンI/F回路、29:タイミング生成回路、31:OSD重畳前の入力映像信号、32:OSD画面、33:出現消失マップ、50セットマイコン、51:スイッチ、60:OSD要素、210:積和演算器、211:遅延回路、212:セレクタ、213:遅延回路、214:出現・消失判定回路、220:出現・消失判定結果信号、500:初期調光値の時間変化、501〜503:応答特性
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像表示装置において、液晶パネルなどの表示デバイスに光を照射するためのバックライトを複数のエリアに分割し、各エリアの光強度を映像に応じて個別に制御可能にした技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネル等の表示デバイスに光を照射するバックライトを使用して映像を表示する映像表示装置では、消費電力の削減のために、いわゆるエリア制御と呼ばれる技術が適用されつつある。エリア制御は、液晶パネルに光を照射するバックライトを複数のエリアに分割し、それぞれのエリアに対応して配置された光源の輝度(光源からの光の強度)を表示される映像に応じてエリア毎に独立に制御可能にした技術である。これによって、例えば映像の中の暗い部分に対応するエリアの光源の輝度を下げ、明るい部分に対応するエリアの光源の輝度を上げることができ、バックライトの電力を削減できる。
【0003】
かかるエリア制御では、各エリアの光源の輝度は、そのエリアに対応する映像の最大輝度に応じて定められる場合が多い。この場合、例えば映像に含まれる高輝度なノイズによりバックライトの輝度が細かく変動し、フリッカやちらつき等の原因となる。これを解消すべく、例えば特許文献1では、光源制御値の時間変化を緩和するためにローパスフィルタを設け、光源制御値の時間変化の緩和率を光源制御値の減少時よりも増加時の方で低くすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-181075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
あるエリアに明るい物体が表示される場合として、あるエリアの周囲のエリアから当該あるエリアに物体が進入する場合と、周囲のエリアから侵入することなく突然(時間的に連続する2つの隣接フレーム間で)物体が出現する場合がある。前者の場合は周囲エリアが光っているためにあるエリアは当該周囲のエリアからある程度の光が供給されるが、後者の場合は光が供給されないか、わずかな光しか供給されない。このため、前者の場合において、上記特許文献1に記載のように、明るい物体が進入したあるエリアについて光源制御値を急峻に増加させると、物体の明るさ所望の明るさよりも急激に高くなり、ちらつき等の視覚的な違和感が生じる。
【0006】
また上記特許文献1に記載のものは、バックライトの輝度が減少するときの追従性が緩やかになるようにされているので、画面内に表示されていた例えばメニュー画面などのOSD(On Screen Display)のような明るい物体(オブジェクト)が急に消失する場合、対応するエリアの光源の輝度が緩やかに減少することになる。このため、特に背景の映像が暗い場合は明るい物体の消失後のエリアに、いわゆる残像のような現象が視認される場合がある。このような現象は液晶パネル等の表示デバイスに表示された映像の画質劣化の要因となる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みて為されたものであり、表示映像を高画質にするのに好適なエリア制御の技術を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような課題を解決するために、本発明は、例えば特許請求の範囲に記載された構成を特徴とするものである。すなわち、本発明は、エリア制御における明るい物体の出現や消失に相当する映像の変化が発生したエリアを検出し、そのエリア光強度制御の応答速度を制御するように構成したことを特徴とする。例えば、明るい物体が出現及び/または消失したエリアについては、他にアリアよりも光強度制御の応答速度を速くするものである。
【発明の効果】
【0009】
上記本発明の構成によれば、通常の映像にはほとんど影響を与えることなく、例えばメニュー等のOSDのような明るい物体の突然の出現または消失に伴う画質劣化を軽減または抑制することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施例に係る映像表示装置のブロック図
【図2】第一の実施例における液晶モジュールの一構成例を示す図
【図3】第一の実施例に適用される時間フィルタ回路21の一構成例(発明適用前)
【図4】時間フィルタ回路200の応答特性の一例を示す図
【図5】移動する物体の例を示す図
【図6】出現する物体の例を示す図
【図7】移動する物体と出現する物体とが混在する例を示す図
【図8】第一の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図9】初期調光値の位置関係を示した図
【図10】本発明の第二の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図11】本発明の第三の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図12】本発明の第四の実施例に係るテレビジョン表示装置のブロック図
【図13】本発明の第四の実施例に係る映像表示装置のブロック図
【図14】第四の実施例における時間フィルタ回路21の一構成例を示す図
【図15】OSD要素と出現・消失エリアテーブルの一例を示す図
【図16】バックライトの一構成例を示す図
【図17】バックライトの他の構成例を示す図
【図18】バックライトの他の構成例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態を説明する。尚、以下の説明においては、同一の機能、構成を有する要素には同一の符号を付して重複した説明を省略するものとする。
【実施例1】
【0012】
本発明の第一の実施例を、図1を用いて説明する。図1は、本発明の第一の実施例に係る映像表示装置のブロック図を示しており、図において、エリア制御回路1は、例えばLSI等の集積回路で構成され、入力映像信号11に基づき、バックライト3を構成する各エリアに対応する光源の輝度をバックライト駆動回路2を介して制御する。更にエリア制御回路1は、入力映像信号11に対して、バックライトの減光分を相殺するような映像補正を行い、補正後の映像信号16を液晶パネル駆動回路4へ出力する。この映像補正の詳細については後述するものとする。
【0013】
液晶パネル駆動回路4は入力された補正後の映像信号16に従って液晶パネル5の各画素を駆動し、バックライト3から照射された光に対する透過率を制御する。これにより、液晶パネル5はバックライト3からの光を映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する。
【0014】
バックライト3と液晶パネル5は液晶モジュール9を構成する。本実施例に適用される液晶モジュール9の一構成例を図2に示す。この図ではバックライト3は縦4個、横4個の計16個のエリアに分割されている。各エリアには、光源として例えば1または複数(例えば3個)の発光ダイオード(LED)が設けられており、各エリアのLEDに光強度(発光輝度)が、それぞれ個別に或いは独立に制御可能にされている。ここでは、説明を簡単にするために分割数を16個としたが、実際には分割数はこれよりも多くしてもよく、任意の数とすることができる。
【0015】
ここで、バックライト3の一構成例を図16を参照して説明する。バックライトは、光源としてのLED200と導光板201及び反射板202を備えている。LED200は、各導光板201のそれぞれに1〜3個配置されるものとするが、これに限定されるものではない。導光板201は、図2に示されるに、上から(バックライト部からの光の照射方向と対向する側、すなわち映像観察側から)見たときに矩形状を為しており、また、そのバックライト部の照射面の縦方向(図2の紙面上下方向)の断面は、図16に示されるように、光が入射される端部からそれに対向する先端部にかけて徐々に厚さが薄くなる楔状を為している。これによって、光入射端部から先端部にかけて出射光の輝度分布が均一になるようにされる。
【0016】
またLED200は導光板201の厚さの厚い方の端部に配置されており、当該厚さの厚い方の端部から対向する端部(厚さの薄い方の端部)に向けて光を出射する。また導光板201の底面には光を拡散反射するための所定の光学パターンが形成されている。そしてLED200からの光は、厚さが厚いほうの端部に入射され、導光板201内で上記光学パターン等で多重反射され、その上面から液晶表示パネル方向(図中矢印方向)へ光を出射する。また、導光板201の底面から導光板201外に透過した光は、導光板201の底面の下部に配置された反射シート202により反射されて再び導光板201に戻り、導光板201の上面(光出射面)から出射される。これにより、LED等の点光源を面状の光源に変換して光出射面から出射する。尚、本実施例では、LED200として、電極面と平行な方向に光を出射するサイドビュー型のLEDを用いているが、電極面と直交する方向に光を出射するトップビュー型のLEDを用いてもよい。また、LEDの光の出射方向は、下側から上側に向かうようにしてもよい。
【0017】
また上記例のバックライトは、断面形状が光源側の端部からそれに対向する端部にかけて徐々に厚さが薄くなる楔形の導光板を用いているが、これに限定されるものではない。例えば、図17、18に示されるような、厚さがほぼ一定な導光板58を備えたバックライトを用いることもできる。図17は、導光板58の、光出射面(紙面上側の面)に直交しLED30の光出射方向(図17、図18において矢印で図示)と平行な断面、すなわち図18のY−Y’断面図で、図18は、導光板58を光出射面から見た図である。図示されるように、厚さがほぼ一定な導光板58を用いる場合は、導光板58の背面側に孔もしくは溝141を複数設け、この孔もしくは溝141のそれぞれにサイドビュー型のLED30を複数個配置する。導光板58の背面には位置される反射シート60には、LED30と対応する位置に孔が設けられており、この孔に反射シート60の背面側からLED30を挿入し溝141に露出させる。LED30は配線基板(光源基板)142に実装されており、この配線基板142と導光板58の背面とで反射シート60をサンドウィッチするように保持している。配線基板142、反射シート60及び導光板58に、例えば図示しない樹脂で構成された細長いピンなどを挿入してこれらを連結するようにしてもよい。
【0018】
導光板58の背面には光を拡散反射するための所定の光学パターンが形成されており、LED30からの光は導光板58の内部を進行し、導光板58の背面に形成されたパターン等で多重反射して上面(光出射面)から出射される。導光板58の背面を透過した光は導光板58の底面の下部に配置された反射シート60により反射されて再び導光板58に戻り、導光板58の上面(光出射面)から出射される。
【0019】
このように、図17及び図18に示された構成のバックライトでも本実施例が適用できる。また図示しないが、導光板58の光出射面の孔或いは溝141と対応する位置に、LED30から上方に向かう光を減光するための例えば着色されたフィルムなどで構成された減光部材を設けてもよい。これにより、光出射面側から視認されるLEDまたはに溝141に対応した形状の光スポットの明るさを低減できる。
【0020】
尚、図16、17、18において、バックライトのエリアに対応する部分を点線で囲っている。図16の例では図示された全体が1つのエリアを構成しており、図17〜18の例では一部が1つのエリアを構成している。例えば図16においては、1つの導光板201の光出射面の大きさがエリアの大きさと実質的に等しくなる。
【0021】
このような構成のバックライト3、図2に示されるように液晶パネル5が重ね合わせられ、バックライト3から照射された光の透過量を液晶パネル5で制御することで映像が表現されることになる。液晶パネル5は複数の画素から構成されているが、図2に示すようにバックライト3のそれぞれのエリア(ここでは面状の「光源」として表している)に対応した複数の仮想的なエリア(以下、このエリアを「表示エリア」と呼ぶ場合もある。またバックライトのエリアを以下では「光源エリア」と呼ぶ場合もある)を有しているものとする。当然、これらの表示エリアはそれぞれが別体で構成されるものではない。なお、本実施例ではバックライト3と液晶パネル5はほぼ同じ大きさであることを想定しているが、かならずしも同じ大きさである必要はない。また、バックライト3の各エリアは物理的または光学的に完全に分離している必要はなく、一つのエリアを点灯させたときに、周囲のエリアへ光が広がっても構わない。
【0022】
次にエリア制御回路1の内部動作について再び図1を参照して説明する。
【0023】
初期調光値決定回路20は、入力映像信号11を解析し、各光源エリアにおける光源の光強度(光源輝度)の暫定値である初期調光値12を算出する。初期調光値12の算出方法には様々な方法が考えられるが、ここでは簡単に各表示エリアに属する画素の中で輝度が最大の画素値(最大輝度)を検出し、この最大輝度に対応する初期調光値を算出或いは取得するものとする。かかる初期調光値の算出或いは取得は、例えばメモリに最大輝度−調光値変換テーブルを予め記憶させておき、このテーブルから、検出した最大輝度に対応する初期調光値を引き出す(すなわち読み出す)ことで行うことができる。勿論、他の取得あるいは算出方法であっても構わない。
【0024】
上記テーブルにおいては、最大輝度と初期調光値は、例えばほぼべき乗関係にあり、最大輝度が高くなるに従い大きい初期調光値のデータが得られるようにする。すなわち、最大輝度が高いほどその表示エリアに対応する光源エリアの輝度を高くする。また、この例では、検出した最大輝度が液晶パネルが表現できる階調の上限(例えば8ビット表現で255階調)と等しい場合は、光源であるLEDを所定の最大光出力(LEDの最大定格または最大定格の80〜90%程度)の明るさで光らせる。ここで、上記所定の最大光出力を100%の光源輝度とする。検出した最大輝度が液晶パネルの階調上限より低い場合は、最大輝度と階調上限との比率で光源の明るさを決定するものとする。例えば検出した最大輝度が127の場合は光源を50%の明るさで光らせる。このように、映像信号の輝度に応じた光源の光強度は、基本的に、光源の100%の明るさから減らす方向に制御されるので、光源の光強度(光源輝度)の制御の度合いを「減光率」と呼ぶ場合もある。
【0025】
次に、この初期調光値12に対して、時間フィルタ回路21によって時間方向の応答、すなわち、ある表示エリアにおける映像信号の輝度変化に対する当該表示エリアに対応する光源エリアの光源制御(光強度制御)の応答速度(追従性)を調整もしくは制御することで最終調光値13を算出する。すなわち、時間フィルタ回路21は、映像の変化に対する光強度(光源輝度)制御の応答速度を制御するための応答特性制御部としての動作或いは機能を有する。最終調光値13は、バックライト駆動回路2経由でバックライト3の各光源の輝度を制御するための値である。時間フィルタ回路21の動作については後述する。
【0026】
上記最終調光値13は、映像補正処理のための補正倍率を算出するためにも使用される。映像補正処理は、バックライト3の各光源の輝度を調整することにより、液晶パネル5のある画素位置のバックライトの光源輝度が1/Nに下がったとき、その位置の液晶素子の透過率をN倍することで、見た目の明るさを維持する処理である。映像補正倍率を算出するためには、液晶パネルの表示面における各座標、すなわち液晶パネルの各画素(液晶素子)位置における光源輝度の減光率を求める必要がある。これを行うのが、バックライト輝度分布予測回路22である。バックライト輝度分布予測回路22では、全ての光源エリアをそれぞれの最終調光値13に従って点灯させたときのバックライトの第1輝度分布を求め、この第1輝度分布と全光源エリアを100%の光強度で点灯させた時のバックライトの第2輝度分布とを比較し差分を求めることで減光率の空間分布を得る。上記第1輝度分布は、例えば、各光源エリアの各々を対応する最終調光値13に従って点灯させたときの各光源エリア単独の輝度分布を、全光源エリアに亘って畳み込み演算することにより求められる。また上記第2輝度分布は、例えば、各光源エリアの各々を100%の光強度で点灯させたときの各光源エリア単独の輝度分布を、全光源エリアに亘って畳み込み演算することにより求められる。
【0027】
補正倍率算出回路23は、上記バックライト輝度分布予測回路22で求められた各座標の減光率に応じて映像信号を補正するために必要な映像補正倍率15を算出する回路である。かかる映像補正倍率15を求めるために、補正倍率算出回路23は例えば減光率−補正倍率テーブルを有し、映像補正倍率15は、該テーブルを参照し、上記求められた減光率に対応する補正倍率を読み出すことで求めることができる。
【0028】
映像補正回路24は入力映像信号11と映像補正倍率15を画素毎に乗算することにより、補正後映像16を算出する。これによって、映像の輝度によってバックライトの光源輝度を低下させた場合でも、各画素の映像の輝度を元の映像の輝度に維持することができる。
【0029】
上述したバックライト輝度分布予測回路22、補正倍率算出回路23及び映像補正回路のより詳細な動作については、本実施例の特徴と直接的に関係がないため、ここでは省略するものとする。
【0030】
タイミング生成回路29は、入力映像信号11に付随して入力される水平同期、垂直同期、ブランク等のタイミング信号10からエリア制御回路1の各種内部回路を動作させる際に必要となる内部タイミング信号19を生成する。
【0031】
次に本実施例の特徴部分となる応答特性制御部としての時間フィルタ回路21の詳細を説明する。時間フィルタ回路21は、光源輝度の急激な変化を抑えて、フリッカーやちらつき等の弊害を軽減するための回路であり、ローパスフィルタに近い動作を行う。本実施例の特徴がより理解し易くするために、最初に、単純なIIR(Infinite Impulse Response)型フィルタを用いた時間フィルタの動作および課題を説明し、その後に本実施例に係る新しい時間フィルタについて説明する。尚、図3では、かかる単純なIIR型フィルタで構成した時間フィルタを符号200で示すものとする
図3において、最終調光値13は、フレームtにおけるエリア(x,y)の最終調光値F(t,x,y)を以下の数1に従って算出する。
(数1) F(t,x,y)=I(t,x,y)×K+F(t-1,x,y)×(1-K)
ここで、I(t,x,y)はフレームtにおけるある光源エリア(x,y)の初期調光値、F(t-1,x,y)はフレームtの時間的に直前のフレームt−1におけるエリア(x,y)の最終調光値である。ここでフレームtとt−1は時間的に連続し、互いに隣接している。Kはフィルタの応答速度を決めるパラメータであり、0から1の範囲の値である。ここで、初期調光値および最終調光値は0%から100%の値で表すこととする。0%は対応する光源を完全に消灯することに相当し、100%は対応する光源を上述した所定の最大光出力で点灯することに相当する。
【0032】
すなわち、図3の例において、積和演算器210は、フィルタ係数K、初期調光値決定回路20からのフレームtの初期調光値I(t,x,y)、及びフレームt−1の最終調光値F(t-1,x,y)がそれぞれ入力され、上記数1に示された積和演算を行い、フレームtの最終調光値F(t,x,y)を演算して出力する。フレームt−1の最終調光値F(t-1,x,y)は、積和演算器210から出力されたフレームtの最終調光値F(t,x,y)を、例えばバッファメモリで構成される1フレーム遅延器211で1フレーム期間一時的に保持することにより生成される。この図では、時間フィルタ回路200は一系統だけ示しているが、論理的には時間フィルタ回路200はエリア数と同じ数存在することになる。ただし、例えば複数のエリアについて1つの系統を時分割で使用する等の工夫を行うことで、物理的な個数はエリア数よりも少なくすることが可能である。
【0033】
図4にこの時間フィルタ回路200の応答特性の例を示す。この例では、時間フィルタ回路200に入力される初期調光値12は、最初は0%であり、フレーム0(現フレーム)において、0%から100%にステップ状に変化したあとこれを維持している図中の符号500で示される)。この場合、フィルタ係数Kの値に応じて、最終調光値13の値は、図中の特性501、特性502、特性503のように変化することになる。特性501はフィルタ係数Kが比較的小さい(K=0.1)場合の応答特性であり、最終調光値13は図示されるようにゆっくりと変化することになる。すなわち、応答速度が遅い特性である。この場合、最終調光値13は入力映像信号に含まれる細かいノイズに影響されにくくなる反面、目標とするバックライト輝度(この例では100%)に到達するまでの時間が長くなる。一方、特性503はフィルタ係数Kが比較的大きい(K=0.5)場合であり、最終調光値13は特性501に比べ速く変化することになる。すなわち、応答速度が早い特性である。この場合、最終調光値13は入力映像信号に含まれる細かいノイズに影響されやすくなりフリッカーのような弊害が発生しやすくなるが、目標とするバックライト輝度に速く到達することが可能である。
【0034】
特性502はK=0.2のときの応答特性であり、応答速度、ノイズに対する影響の度合い、及び目標輝度への到達速度は特性501と503のおおよそ中間となる。
【0035】
このようにフィルタ係数Kを調整することで時間フィルタ回路200の応答特性を変えることが可能である。ただし、全ての映像に対して適用可能なKの値は存在せず、最適なKの値は様々な条件によって変動する。
【0036】
例えば、図5のように暗い背景上を明るい物体が横方向に移動している場合を考える。この例ではフレームF〜F+3は時間的に連続して互いに隣接しており、フレームF+1にて、移動物体がエリアAからエリアBに進入するため、各エリアの最大画素値を用いて初期調光値12を決定する本実施例の方式では、エリアBの初期調光値12が急に大きくなることになる。しかし、人間の視線は移動物体に追従して動いているため、映像自体はあまり変化していないと認識される。ここで、フィルタ係数Kが大きいと、映像自体があまり変化していないように見えているにもかかわらず、エリアBの光源輝度が急激に高くなるように変化するため、ちらつきのような違和感が感じられる可能性が高い。よって、上記のように明るい物体があるエリアにその周辺エリアから進入もしくは移動してきたことにより、当該エリアの初期調光値12が大きく変化する場合には、最終調光値13の変化速度をあまり速くしすぎないことが必要とされる。また、この例では、フレームFでエリアAの光源が明るく点灯しているため、エリアAの光源から漏れてくる光によりエリアBがある程度明るくなっており、フレームF+1におけるエリアBの光源輝度の立ち上がりが多少遅くとも、立ち上がり時前後においては、明るい物体について大きな輝度低下が生じにくい。
【0037】
次に、図6のように、暗い背景上に明るい物体が出現するケースについて考える。フレームF+1にて、明るい物体がエリアBに急に出現してその状態が継続した場合を考える。この場合、各エリアの最大画素値を用いて初期調光値12を決定する本実施例の方式では、エリアBの初期調光値12が急に大きくなることになる。ただし、このケースでは、図5の場合と異なり、エリアBに隣接するエリアのバックライト輝度が高くないため、周囲エリアからの漏れ光を期待することができない。このため、エリアBの光源輝度をある程度急激に上げないと、バックライト輝度が出現した物体が必要とする輝度に到達するまでに時間がかかり、明るい物体について輝度低下が視認されやすい。また、この例では、存在していない物体が急激に出現するため、映像自体の変化が大きく、光源の輝度変化に伴う明るさの変化が映像自体の変化に隠されて人間には視認されにくい傾向にある。このため、図6のようなケースでは、フレームF+1でエリアBの光源輝度をある程度急激に上げた方が、画質的に良い結果が得られる。
【0038】
この2つの例では、フレームF+1の入力映像信号は同一であり、かつ、フレームFとフレームF+1のエリアBの初期調光値も同じであるが、図5の様に物体が移動してエリアBに進入してきた場合と、図6の様に物体が急にエリアBに出現してきた場合では、最適な時間フィルタの応答特性は異なることになる。
【0039】
図5及び図6では、明るい物体が移動するケースと突然現れるケースがそれぞれ別に生じる例を示したが、実際には同一画面内で両者のケースが同時に発生することもある。これを図7の例を用いて説明する。この例では、時間的に連続する隣接した2つのフレームであるフレームNとN−1において、フレームN−1の映像がフレームNの映像に変わる際に、画面右上にOSD表示が出現し、画面下部の白文字の字幕が左方向にスクロールしている。ここで、右上のOSD表示を含むエリアCに着目すると、フレームN−1には存在しない明るい物体がフレームNで急に出現したことになる。これは図6のケースに相当しており、エリアCでは最終調光値13が速く変化するような時間フィルタの特性とすることが好ましい。一方、エリアDでは、フレームN−1ではエリアDの右側のエリアにあった字幕が、フレームNでは左方向へ移動してエリアDに進入してきている。これは、先程の図5のケースに相当し、エリアDでは、最終調光値13が遅く変化するような時間フィルタの特性とすることが好ましい。このように、最適な時間フィルタ特性はエリア毎に異なる可能性があるため、時間フィルタのフィルタ係数Kの値をエリア単位で調整する仕組みがあると、より自然な映像表示が可能となる。
【0040】
これを可能にするために本実施例で導入した新しい時間フィルタ21の動作を図8の構成図を用いて説明する。この図において、積和演算器210とフレーム遅延回路211は、図3に示されたものと同じ動作をするものであり、ここでは詳細な説明を省略する。積和演算器210での演算で使用される、時間フィルタ21の応答特性を決めるフィルタ係数Kは、速い応答特性に対応したKfと、遅い応答特性に対応したKsの二種類の値が予め用意されている。ここで、両係数の関係は、Kf>Ksであるものとする。そして、セレクタ212により、出現・消失判定結果信号220の値に応じてKs,Kfのどちらか一方をフィルタ係数Kとして選択し積和演算器210へ入力するようになっている。すなわち、出現・消失判定結果信号220が真(すなわち画面上に明るい物体の出現または消失が生じた場合)であれば、セレクタ212はフィルタ係数Kfを選択し、時間フィルタ回路21は速めの応答特性となり、偽(すなわち画面上に明るい物体の出現または消失が生じない場合)であれば、セレクタ212はフィルタ係数Ksを選択し、時間フィルタ21は遅めの応答特性となる。
【0041】
出現・消失判定回路214は、明るい物体の出現判定を行う回路と消失判定を行う回路から構成される。出現判定は、現在のフレームにその直前のフレームに存在しなかった物体が出現した場合、消失判定は、現在のフレームからその直前のフレームに存在していた物体が消失した場合に真となる。ただし、初期調光値12の値に影響を与えないような物体の出現や消失は検出を行わないようになっている。
【0042】
ここで、この出現・消失判定回路214の仕組みについて説明する。図9は判定対象とするエリア(x,y)とその周囲8エリアの合計9エリアの初期調光値12を示した図である。この図を用いて出現・消失判定の検出方法を説明する。この説明の中で、I(N,x,y)はフレームNにおけるエリア(x,y)の初期調光値12を示している。出現判定には次の式を用いる。
(数2)
max( I(N-1, x+i, y+j) ) i=-1,0,1、j=-1,0,1 ≪ I(N, x, y)
ここで左辺のmax関数は、iを−1,0,1、jを−1,0,1の範囲で独立に変化させて得られる9つの初期調光値の中の最大値を出力する関数である。すなわち、数2は、フレームN−1において、対象エリアを中心とした3×3のエリアにおける初期調光値の中の最大値に比べて、フレームNの対象エリアの初期調光値が十分に大きければ、フレームNにおいて対象エリアに明るい物体が出現したと判定する式である。
【0043】
一方、明るい物体が移動しながら、フレームNにおいて図9の中央のエリア(x,y)に進入するためには、直前のフレームであるフレームN−1において中央エリアまたはその隣接8エリアのどれかを通過する必要がある。この場合には、数2の左辺が右辺とほぼ等しくなるため、式2は成立しないことになる。明るい物体の移動速度が非常に速い場合は、直前のフレームで明るい物体が隣接8エリアの外側に位置している可能性もあるが、フレームレートが十分に高ければ、このようなケースが発生する可能性は低いと言える。
【0044】
また、数2を実際に適用する際には、右辺が左辺に比べて十分に大きいかどうかの判定は、パラメータαを導入し、例えば次の数3の真偽を判定することで実現可能である。
(数3)
max( I(N-1, x+i, y+j) ) i=-1,0,1, j=-1,0,1 ×α < I(N, x, y)
αはどの程度の差があれば非常に大きいと判定するかを指定するためのパラメータである。例えばα=2とすると、数2の右辺が左辺の2倍以上である場合に、数3が真となる。本実施例では、αの値は2以上とする。すなわち、数2において、右辺が左辺の2倍以上であれば数2の条件を満足すると判定する。
【0045】
同様に、消失判定には以下の式を用いる。
(数4)
I(N-1,x,y) ≪ max( I(N, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1
数4において、左辺のmax関数の定義は出現判定(数2)の場合と同じである。すなわち、数4は、フレームN−1の対象エリアの初期調光値に比べて、フレームNにおいて対象エリアを中心とした3×3のエリアにおける初期調光値の中の最大値が十分に大きければ、フレームNにおいて対象エリアから物体が消失したと判定する式である。かかる消失判定は、出現判定と同様に対象エリアに存在していた明るい物体が移動しながら対象エリア外に出るには、隣接8エリアのどれかを通過する必要があるという原理に基づいている。明るい物体の移動速度が非常に速いケースは上述の出現判定の場合と同様に発生する可能性が低いものと考える。
【0046】
また、数4において右辺が左辺に比べて十分に大きいかどうかの判定は、パラメータβを導入し、例えば次の数5の真偽を判定することで実現可能である。
(数5)
I(N-1,x,y)×β < max( I(N, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1
例としてβ=2とすると、式4の左辺が右辺の1/2よりも小さければ式5が真となる。本実施例では、βの値は2以上とする。すなわち、数4において、右辺が左辺の2倍以上であれば数4の条件を満足すると判定する。
【0047】
出現・消失判定回路214は、数3及び数5の条件式の真偽を判定し、どちらか一方でも真であれば、真を出力し、両方共に偽の場合に偽を出力する。前段の遅延回路213は数3や数35で参照する1フレーム前の初期調光値12を1フレーム期間保持して出現・消失判定回路214に出力するための回路である。
【0048】
前述のように出現・消失判定回路214の出力220はセレクタ212に接続されている。よって、対象としているエリアで物体の出現または消失が発生した場合には、フィルタ係数Kfが選択されて積和演算器210により数1に従い最終調整光値13を演算して出力する。これにより時間フィルタ回路21の応答が速くされる。それ以外の場合には、フィルタ係数Ksが選択されて積和演算器210により数1に従い最終調整光値13を演算して出力する。その結果、時間フィルタの応答が遅くされる。
【0049】
上述した図4の例では、明るい物体の突然の出現を例にして図示しているが、上述のように明るい物体が突然消失した場合も同様である。上述のように出現・消失判定回路214は、明るい物体が突然消失した場合は消失判定結果が真となり、セレクタ212はフィルタ係数Kfを選択し、積和演算器210により応答速度が速い応答特性を得る。従って、例えば図4において初期調光値が100%から0%に急激に変化した場合(つまり明るい物体が突然消失した場合)に応答特性503のような最終調光値13が得られ、明るい物体が突然消失した後のエリアの光源輝度は迅速に(例えば数〜5フレーム程度で)0、または予め定められた0よりも大きい最低値に収束する。よって、明るい物体が突然消失した後でもエリアが長時間に亘って光ることが抑制され、以って、当該エリアにおいて局部的な残像のような現象が生じることを防止することができる。
【0050】
上述のようにして得られた最終調整光値13は、図1の液晶パネル駆動回4に入力され、ここで最終調整光値13に応じた例えばPWM方式のLED駆動信号が生成されてバックライト3の各エリアの光源(LED)に供給される。これにより、バックライト3の各エリアは最終調整光値13に応じた明るさを持つ光を液晶パネル5に照射する。
【0051】
このように本実施例の構成によれば、時間的に連続する2つのフレーム間で例えばOSD画面(メニュー画面など)のような明るい物体が突然出現または消失した場合に、それに応じて光源エリア毎に光源制御の応答速度を調整または制御することができる。従って、例えば図7のように画面を明るい物体が移動するケースと明るい物体が突然出現または消失するケースの両方が同時に画面上で発生したとしても、各エリアについて適切な光源輝度の制御を行うことができる。すなわち本実施例によれば、局所的に明るい物体の出現や消失が生じても、それに対応してフリッカや画面のちらつき、更には局部的な残像のような現象を抑制でき、より高画質な映像を表示するのに好適なエリア制御の技術を提供することができる。
【0052】
上述した例では、光源としてLEDを用いたが、これに限られるものではなく、例えば半導体レーザ等のレーザ光源を用いてもよい。またバックライト3は導光板を用いたものとしたが、これに限られるものではない。例えば、液晶パネルの背面に直接的に光を照射する、いわゆる直下方式のバックライトにおいても仮想的に表示エリア及び光源エリアが定義できるものであれば、同様に本実施例を適用することができる。
【実施例2】
【0053】
次に図10を参照して本発明の第二の実施例を説明する。 第一の実施例では、数3及び数5では初期調光値12を参照しているため、セレクタ212でフィルタ係数Kfが選択されるのは物体の出現または消失が発生した瞬間の1フレームのみである。しかし、フィルタ係数Kf選択時の時間フィルタ回路21の応答特性が十分に速くない場合には、1フレームよりも長い期間に亘って、フィルタ係数Kfを選択したままとするほうが好ましい場合がある。このような場合には、時間フィルタ回路21を図10のような構成にするとよい。
【0054】
この構成によれば、出現・消失判定回路214での出現・消失判定に使用されるのは直前のフレームの初期調光値I(N-1,x,y)ではなく、最終調光値F(N-1,x,y)となる。従って、出現・消失判定回路214における出現・消失の判定条件は、それぞれ、数3及び数5に代えて下記数63及び数7のようになる
(数6)
max( F(N-1, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1 ×α < I(N, x, y)
(数7)
F(N-1, x, y)×β < max( I(N, x+i, y+j) )i=-1,0,1、j=-1,0,1
本実施例では、第一の実施例に比べ次の効果を得ることができる。すなわち、上記構成の時間フィルタ回路21によって、最終調光値F(N-1,x,y)は初期調光値I(N-1,x,y)よりも緩やかに変化するため、α、βを適切に選ぶことで、出現・消失判定結果信号220を1フレームよりも長い期間の間、真の状態で維持することができる。これにより、フィルタ係数Kfを、物体が出現または消失したときの1フレームのみならず、この1フレームよりも長い期間に亘って選択し続けることが可能となり、時間フィルタ回路21の応答速度をより速くすることができる。
【実施例3】
【0055】
次に図11を参照して本発明の第三の実施例を説明する。
【0056】
第一の実施例でKfの値を1に設定すると、フィルタ係数Kf選択時には時間フィルタ回路21をバイパスさせたのと同じ効果を得ることができる。これは図11に示す構成と同じ動作となる。
【0057】
すなわち、出現・消失判定回路214によって、物体の出現または消失が発生したと認識されたエリアでは、セレクタ212により、初期調光値12の値が最終調光値13の値として選択される。それ以外のエリアでは、積和演算器210とフレーム遅延回路211による上記数1に示されるような時間フィルタ処理が行われた結果が最終調光値13の値として選択される。本実施例の方式では、1フレームの間に初期調光値12の値がそのまま最終調光値13に適用されるので、第二の実施例のように、出現・消失判定結果信号220をしばらくの間保持するための構成や処理は不要である。
【実施例4】
【0058】
続いて図12〜15を参照して本発明の第四の実施例を説明する。
【0059】
テレビジョン放送で放送される番組を表示するテレビジョン表示装置或いはそれを受信する受信装置等において、該番組の映像に重ね合わせてチャンネル番号、番組情報、或いはメニュー画面等のOSDを表示する場合、かかるOSDの表示位置は装置内部において予め定められている。尚、ここでは、OSDとしてユーザに提示される文字及び図形などの情報を含む部分を「OSD要素」と呼び、このOSD要素を含む画面を「OSD画面」と呼ぶこととする。
【0060】
従って、装置内で明るい物体であるOSD要素の出現または消失が発生するエリアを知ることができるため、エリア制御回路1の内部で物体の出現・消失判定を行わずに、装置内部に設けられたセットマイコン等から出現・消失情報を設定することも可能である。
【0061】
本実施例は、上記OSDの性質を利用して為されており、その構成の詳細をテレビジョン表示装置を例にして図12等を参照して説明する。尚、ここでは、図7のフレームNにおいて右上に出現するOSD要素60を例に説明する。本実施例ではテレビ番組とOSD要素60との重畳はエリア制御回路1の前段のOSD重畳回路6で行っている。
【0062】
図12において、ユーザがテレビジョン表示装置の操作パネルにある、例えばOSD要素を表示させるためのスイッチ51、またはテレビジョン表示装置を遠隔操作するためのリモコン装置(図示せず)のOSD要素を表示させるためのボタン(例えば「番組表示」、「メニュー」ボタン等)を操作すると、セットマイコン50がそれを認識し、必要な処理を行うと同時に、テレビ番組の映像に、OSDメモリ7に格納されたOSD要素の表示データを読み出してOSD要素60を重ね合わせて表示する(図7参照)。これは、セットマイコン50がOSDメモリ7に、例えば図15の右上にあるような、OSD要素60を含むOSD画面32に相当するデータを書き込むことによって行われる。OSD画面32はOSD要素60以外の領域はあらかじめ定められた透明色(この例では黒)で塗られており、OSD要素60の部分だけが本来の色で描画されている。OSD重畳回路6は、OSDメモリ7からOSD画面32のデータを読み出し、この透明色情報及びOSD要素60を用いて、重畳前の入力映像31とOSD画面60重ね合わせる。
【0063】
すなわち、OSD画面32で透明色(黒)となっている画素については、重畳前の入力映像信号31の画素値を選択し、それ以外の部分、すなわちOSD要素60の部分については、OSD画面32の画素値(OSD要素60の画素値)を選択して二つの映像を合成することで、OSD重畳後の入力映像信号11を生成する。
【0064】
上述した第一〜第三の実施例では、エリア制御回路1の内部でOSD重畳後の入力映像信号11を解析して、OSD要素60の出現・消失を検出していたが、本実施例では、OSD要素60を描画しているセットマイコン50が明るい物体としてのOSD要素60の出現・消失情報を生成し、エリア制御回路1へ通知する。
【0065】
本実施例では、上記OSD要素60の出現・消失情報をエリア毎に生成するにあたり、図15の右下に図示される、1エリアあたり1ビットの情報で表した出現・消失マップ33のようなデータ形式を用いる。図15の例では、エリア制御のためのエリア分割数が横6個、縦4個の例を示している。図示された出現・消失マップ33において、値が「1」となっているエリアはOSD要素60の出現または消失が生じたことを示しており、時間フィルタ回路21の応答を速くさせる必要がある、または早くさせた方が好ましいエリアを示している。値が「0」となっているエリアは、OSD要素60の出現や消失が無く、時間フィルタ回路21の応答を遅くさせる必要がある、または遅くさせたほうが好ましいエリアを示している。
【0066】
本実施例では、セットマイコン50がOSD画面32を作成する際に、上記出現・消失マップ33も作成する。この出現・消失マップ33作成は、入力映像信号31の1フレーム毎に行われる。出現・消失マップ33の作成方法は様々な方法が考えられる。例えば、着目したエリア内で、OSD画面32における透明色からそれ以外の色への変化またはそれ以外の色から透明色へ変化した画素が、エリア内の全画素の50%以上あれば、そのエリアで出現・消失があったと判定するなどの方法が考えられる。
【0067】
また、上述のようにOSD要素60が出現または消失する画面上の位置は予め定められている。ここでは、図15の右下の図において右上隅部のエリア及びその左隣のエリアの2エリアが、予め定められたOSD要素60が出現または消失する位置に対応したエリアとする。この場合において、OSD要素60が表示されていない状態からOSD要素60を表示させるためのユーザ操作(例えば「メニュー」ボタンの押下げ)により発生されたOSD表示指令に応答して、当該操作のタイミングで出現・消失マップ33の上記2エリアに対応する値を「0」から「1」に書き換える。逆に、OSD要素60の表示を消去する操作がなされた場合は、そのタイミングで出現・消失マップ33の上記2エリアに対応する値を「1」から「0」に書き換える。このように、画素値を検出せずにユーザ操作に応じて出現・消失マップ33を作成することもまた好適である。更にまた、例えば緊急地震速報等の特定の放送信号を受信したときや、表示装置内部の記録装置または外部に接続された記録装置が予約されたタイマー録画を開始するときに、セットマイコン50によって自動的にOSDが表示される場合もある。従って、特定放送信号の受信時または装置の所定イベントの開始時にセットマイコン50で自動的に発生するOSD表示指令に応答して上記出現・消失マップ33の書き換えを行ってもよい。
【0068】
このようにしてセットマイコン50で作成された出現・消失マップ33は、ステムバス17を介して、エリア制御回路1に書き込まれる。本実施例では、図13の様に、セットマイコン50によってシステムバス17を介して書き込まれた出現・消失マップ33のデータはマイコンI/F回路28で受信され、内部システムバス18によりエリア制御回路1内の時間フィルタ回路21を含む各回路へ送信される。
【0069】
本実施例における出現・消失マップ33を用いた時間フィルタ回路21の構成、動作について図14を参照して説明する。図14において、内部システムバス18により送信された出現・消失マップ33のデータ時間フィルタ回路21内部の出現・消失エリアテーブル220へ書き込まれる。
【0070】
エリア制御動作時には、処理対象となっているエリアに対応した出現・消失情報が出現・消失エリアテーブル220から読み出され、この値に応じてセレクタ212が選択される。この例では、出現・消失情報が「1」のエリアでは、応答速度を速くすべく、初期調光値12がセレクタ212の出力となり、時間フィルタ処理がバイパスされる。一方、出現・消失情報が「0」のエリアでは、応答速度を遅くすべく、積和演算器210の出力がセレクタ212の出力となり、通常の時間フィルタ処理が行われる。このときのフィルタ係数Kは、上述したフィルタ係数Ksに相当する値が用いられる。出現・消失情報が「1」のエリアで、上述したフィルタ係数Kfで積和演算器210により時間フィルタ処理を行うようにしてもよい。このように、本実施例に係る出現・消失エリアテーブル220は、第一〜第三の実施例に示された出現・消失判定回路214の代わりに物体の出現・消失の判定のための判定部として用いられるものである。
【0071】
このようにすることで、第三の実施例と同様に明るい物体であるOSD要素60が出現・消失したエリアのみ、時間フィルタの応答を速くすることが可能となる。
【0072】
第四の実施例の方式の利点としては、OPD要素60の出現の有無を映像から検出するのでなく、例えばユーザ操作に応じてセットマイコン50から通知するため、少なくとも装置内で生成されるOSD要素60については誤検出が発生しないことや、出現・消失を検出するための回路が不要となることがある。また、第四の実施例の方式では、入力映像信号11が同一であっても、OSD情報が装置外部で挿入されOSD重畳前の入力映像信号31の段階で既に映像内に含まれている場合と、OSD情報がセットマイコン50で生成され、OSD要素としてOSD重畳回路6で重畳される場合とでは、各光源の変化の仕方が異なるという特徴がある。このため、第一〜第三の実施例の方法と第四の実施例の方法を組み合わせて、OSD要素の出現の有無を映像から検出しつつ、テレビジョン表示装置または受信装置内部で重畳したOSD要素については、出現・消失マップ33を用いた処理を行うこともできる。このようにすることで、装置外部で重畳されたOSD要素についても検出しつつ、装置内部で重畳されたOSD要素は確実に検出可能に構成することも可能である。
【0073】
上述した第一〜第四の実施例では、出現・消失判定回路214等で各エリアについて物体の出現と消失の両方を判定したが、物体の出現または消失のいずれか一方のみを判定するようにしてもよい。
【0074】
また上述した第一〜第四の実施例については、それぞれ単独で実施できるし、またこれらを任意に組み合わせて実施できることは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、液晶パネルに光を照射するためのバックライトを備えた映像表示装置において、バックライトを複数のエリアに分割して、各エリアの光強度を個別に制御する、いわゆるエリア制御に適用して好適である。
【符号の説明】
【0076】
1:エリア制御回路、2:バックライト駆動回路、3:バックライト、4:液晶パネル駆動回路、5:液晶パネル、6:OSD重畳回路、7:OSDメモリ、9:液晶モジュール、10:タイミング信号、11:入力映像信号、12:初期調光値、13:最終調光値、14:バックライト輝度分布、15:映像補正倍率、16:補正後映像信号、17:システムバス、18:内部システムバス、19:内部タイミング信号、20:初期調光値決定回路、21・200:時間フィルタ回路、22:バックライト輝度分布予測回路、23:補正倍率算出回路、24:映像補正回路、28:マイコンI/F回路、29:タイミング生成回路、31:OSD重畳前の入力映像信号、32:OSD画面、33:出現消失マップ、50セットマイコン、51:スイッチ、60:OSD要素、210:積和演算器、211:遅延回路、212:セレクタ、213:遅延回路、214:出現・消失判定回路、220:出現・消失判定結果信号、500:初期調光値の時間変化、501〜503:応答特性
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輝度を独立に制御可能な複数のエリアに分割されたバックライトと、該バックライトからの光を入力映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する液晶パネルとを有し、入力映像信号に応じて前記バックライトの各エリアの光強度を制御するように構成された映像表示装置において、
時間的に連続する2つのフレーム間で物体が出現及び/または消失したか否かを前記エリア毎に判定する判定部と、
前記判定部により前記物体の出現及び/または消失が判定されたエリアの光強度制御の応答速度を、前記物体の出現及び/または消失が判定されなかったエリアよりも速くするための応答特性制御部と、
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記応答特性制御部は、前記入力映像信号に応じて得られた前記エリアの光強度を制御するための調光値に対し、時間的なフィルタ処理を行う時間フィルタ回路であることを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置において、前記時間フィルタ回路に用いられるフィルタ係数が前記判定部による前記物体の出現及び/または消失の判定結果に応じて制御されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置において、前記物体の出現及び/または消失が判定されたときは、当該エリアについて、前記物体の出現及び/または消失が判定されないときよりも前記応答速度を速くするためのフィルタ係数が前記時間フィルタ回路に設定されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示装置において、前記物体の出現及び/または消失が判定されたエリアのフィルタ係数により、1フレームよりも長い期間、前記時間フィルタ回路により時間的なフィルタ処理が行われることを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の映像表示装置において、前記判定部によって前記物体の出現及び/または消失が判定された場合は、前記フィルタ回路による時間的なフィルタ処理が行われないことを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記バックライトの各エリアが、光を放出する光源と、該光源を面状光にして前記液晶パネルへ照射するための導光板とを含むことを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記物体はOSDであり、前記判定部は、前記OSDを表示するための操作がなされた場合に、前記物体の出現及び/または消失を判定することを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
輝度を独立に制御可能な複数のエリアに分割されたバックライトと、該バックライトからの光を入力映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する液晶パネルとをを有し、入力映像信号に応じて前記バックライトの各エリアの光強度を制御しするように構成された映像表示装置において、
時間的に連続する前記入力映像信号の2つのフレームのうち時間的に前のフレームを第1フレーム、後のフレームを第2フレームとしたとき、
前記複数のエリアのうち第1エリア及び該第1エリアに隣接する第2エリアに前記第1フレームには存在していなかった物体が前記第1エリア内に出現したとき、または前記第1フレームにおいて前記第1エリアに存在していた物体が前記第2フレームで第1及び第2エリアから消失したときの、前記第1エリアに対する光強度制御の応答速度が、前記物体が前記第2エリアから前記第1エリアに移動してきたときの前記応答速度よりも速いことを特徴とする映像表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の映像表示装置において、前記第2エリアは、前記第1エリアに隣接するエリアの全てであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項11】
輝度を独立に制御可能な複数のエリアに分割されたバックライトと、該バックライトからの光を入力映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する液晶パネルとをを有し、入力映像信号に応じて前記バックライトの各エリアの光強度を制御しするように構成された映像表示装置において、
前記複数のエリアのうち所定エリアに前記入力映像信号にOSDを重ね合わせて表示、または表示されたOSDを消去するためのOSD重畳部と、
前記OSD重畳部によって前記所定エリアに前記OSDの表示または消去がされた時に、当該所定エリアの光強度制御の応答速度を他のエリアの光強度制御の応答速度よりも速くするための応答特性制御部と、
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の映像表示装置において、前記OSD重畳部はOSDの表示指令によりOSDの表示または消去を行い、
前記応答特性制御部は、前記OSDの表示または消去の操作のタイミングで、所定エリアの光強度制御の応答速度を他のエリアの光強度制御の応答速度よりも速くする処理を行うことを特徴とする映像表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載の映像表示装置において、前記OSDの表示指令は、ユーザによるOSDの表示により発生されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項14】
請求項11に記載の映像表示装置において、前記OSDの表示指令は、特定の放送信号を受信時、または所定イベント開始時に自動的に発生されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項1】
輝度を独立に制御可能な複数のエリアに分割されたバックライトと、該バックライトからの光を入力映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する液晶パネルとを有し、入力映像信号に応じて前記バックライトの各エリアの光強度を制御するように構成された映像表示装置において、
時間的に連続する2つのフレーム間で物体が出現及び/または消失したか否かを前記エリア毎に判定する判定部と、
前記判定部により前記物体の出現及び/または消失が判定されたエリアの光強度制御の応答速度を、前記物体の出現及び/または消失が判定されなかったエリアよりも速くするための応答特性制御部と、
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記応答特性制御部は、前記入力映像信号に応じて得られた前記エリアの光強度を制御するための調光値に対し、時間的なフィルタ処理を行う時間フィルタ回路であることを特徴とする映像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像表示装置において、前記時間フィルタ回路に用いられるフィルタ係数が前記判定部による前記物体の出現及び/または消失の判定結果に応じて制御されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の映像表示装置において、前記物体の出現及び/または消失が判定されたときは、当該エリアについて、前記物体の出現及び/または消失が判定されないときよりも前記応答速度を速くするためのフィルタ係数が前記時間フィルタ回路に設定されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の映像表示装置において、前記物体の出現及び/または消失が判定されたエリアのフィルタ係数により、1フレームよりも長い期間、前記時間フィルタ回路により時間的なフィルタ処理が行われることを特徴とする映像表示装置。
【請求項6】
請求項2に記載の映像表示装置において、前記判定部によって前記物体の出現及び/または消失が判定された場合は、前記フィルタ回路による時間的なフィルタ処理が行われないことを特徴とする映像表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記バックライトの各エリアが、光を放出する光源と、該光源を面状光にして前記液晶パネルへ照射するための導光板とを含むことを特徴とする映像表示装置。
【請求項8】
請求項1に記載の映像表示装置において、前記物体はOSDであり、前記判定部は、前記OSDを表示するための操作がなされた場合に、前記物体の出現及び/または消失を判定することを特徴とする映像表示装置。
【請求項9】
輝度を独立に制御可能な複数のエリアに分割されたバックライトと、該バックライトからの光を入力映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する液晶パネルとをを有し、入力映像信号に応じて前記バックライトの各エリアの光強度を制御しするように構成された映像表示装置において、
時間的に連続する前記入力映像信号の2つのフレームのうち時間的に前のフレームを第1フレーム、後のフレームを第2フレームとしたとき、
前記複数のエリアのうち第1エリア及び該第1エリアに隣接する第2エリアに前記第1フレームには存在していなかった物体が前記第1エリア内に出現したとき、または前記第1フレームにおいて前記第1エリアに存在していた物体が前記第2フレームで第1及び第2エリアから消失したときの、前記第1エリアに対する光強度制御の応答速度が、前記物体が前記第2エリアから前記第1エリアに移動してきたときの前記応答速度よりも速いことを特徴とする映像表示装置。
【請求項10】
請求項9に記載の映像表示装置において、前記第2エリアは、前記第1エリアに隣接するエリアの全てであることを特徴とする映像表示装置。
【請求項11】
輝度を独立に制御可能な複数のエリアに分割されたバックライトと、該バックライトからの光を入力映像信号に応じて画素毎に変調することにより映像を表示する液晶パネルとをを有し、入力映像信号に応じて前記バックライトの各エリアの光強度を制御しするように構成された映像表示装置において、
前記複数のエリアのうち所定エリアに前記入力映像信号にOSDを重ね合わせて表示、または表示されたOSDを消去するためのOSD重畳部と、
前記OSD重畳部によって前記所定エリアに前記OSDの表示または消去がされた時に、当該所定エリアの光強度制御の応答速度を他のエリアの光強度制御の応答速度よりも速くするための応答特性制御部と、
を備えたことを特徴とする映像表示装置。
【請求項12】
請求項11に記載の映像表示装置において、前記OSD重畳部はOSDの表示指令によりOSDの表示または消去を行い、
前記応答特性制御部は、前記OSDの表示または消去の操作のタイミングで、所定エリアの光強度制御の応答速度を他のエリアの光強度制御の応答速度よりも速くする処理を行うことを特徴とする映像表示装置。
【請求項13】
請求項11に記載の映像表示装置において、前記OSDの表示指令は、ユーザによるOSDの表示により発生されることを特徴とする映像表示装置。
【請求項14】
請求項11に記載の映像表示装置において、前記OSDの表示指令は、特定の放送信号を受信時、または所定イベント開始時に自動的に発生されることを特徴とする映像表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2012−226230(P2012−226230A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95670(P2011−95670)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(509189444)日立コンシューマエレクトロニクス株式会社 (998)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]