説明

バッテリレス無線スイッチシステム

【課題】 複数機器の同時操作が可能なバッテリレスの無線スイッチを簡単かつ省電力に構成できるシステムを提供する。
【解決手段】 無線スイッチ2に、複数のボタンA,Bと、ボタンA,Bが操作されたときに電力を発生する発電部と、発電部が発生した電力を用いてボタンA,Bに対応する照明機器4の識別信号を送信する通信部とを設ける。コントロールユニット3の制御部は、ボタンAまたはBが個別に操作されたときに、そのボタンに対応する識別信号に基づいて照明機器4を個別に制御し、複数のボタンA,Bが同時に操作されたときに、各ボタンA,Bに対応する識別信号の組み合わせに基づいて複数の照明機器4を一斉に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを持たない無線スイッチのボタン操作に応答して負荷機器を制御する無線スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
照明機器用の無線スイッチシステムとして、従来、無線スイッチに複数のボタンを設け、各ボタンに別々の照明機器を割り当て、1つのボタンの操作により1回路の照明機器をON/OFFし、複数回路の照明機器をON/OFFする場合は、同数のボタンを続けて操作するシステムが知られている。また、複数回路の照明機器を1つの専用ボタンに関連付け、予め設定した点灯パターンで一斉に制御するシステムも知られている。
【0003】
特許文献1には、バッテリレスの無線スイッチに照明機器を動作させるための複数のボタンを設け、受信機にボタンの操作に応答して照明機器を制御するためのユーザインターフェースとプロセッサーとを設けたシステムが記載されている。そして、無線スイッチで複数のボタンが同時に操作されたときに、プロセッサーが複数の照明機器をユーザインターフェースで予め設定された特定の点灯パターンで制御するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2011−513937号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の無線スイッチシステムは、複数のボタンが同時に操作されたときに、制御対象となる複数の照明機器を特定するために、無線スイッチが各ボタンに予め関連付けられた識別信号とは異なる専用信号を送信していた。このため、無線スイッチに識別信号と専用信号を別々に処理するための制御回路が必要になるうえ、この回路がバッテリレス無線スイッチの限られた電力を消費するという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、複数機器の同時操作が可能なバッテリレスの無線スイッチを簡単かつ省電力に構成できるシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の無線スイッチシステムは、負荷機器を動作させるための複数のボタンを備えた無線スイッチと、ボタンの操作に応答して負荷機器を制御するためのコントロールユニットとを備え、無線スイッチに、ボタンが操作されたときに電力を発生する発電部と、発電部が発生した電力を用いてボタンに対応する負荷機器の識別信号を送信する通信部とを設け、コントロールユニットに、複数のボタンが個別に操作されたときに、各ボタンに対応する識別信号に基づいて負荷機器を個別に制御し、複数のボタンが同時に操作されたときに、各ボタンに対応する識別信号の組み合わせに基づいて複数の負荷機器を一斉に制御する制御部を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の無線スイッチシステムは、コントロールユニットの制御部が、複数の識別信号の組み合わせに関連付けて複数の負荷機器の動作パターンを記憶する手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の無線スイッチシステムによれば、複数のボタンが同時に操作されたときに、各ボタンに対応する識別信号をコントロールユニット側の制御部で処理するので、無線スイッチに制御回路を設ける必要がなく、制御回路が電力を消費することもなく、バッテリレスの無線スイッチを簡単かつ省電力に構成できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態を示す無線スイッチシステムの概観図である。
【図2】図1のシステムの回路構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態の無線スイッチシステム1は、無線スイッチ2とコントロールユニット3とを備え、負荷機器としての複数の照明機器(L1〜L4)4を制御する。照明機器4はコントロールユニット3に接続され、コントロールユニット3が無線スイッチ2に無線接続されている。無線スイッチ2の外面には、照明機器4をON/OFFする2つのボタンA,Bが設けられている。
【0012】
図2に示すように、無線スイッチ2の内部には、ボタンA,Bが操作されたときに電力を発生する発電部5と、ボタンA,Bに予め関連付けられた照明機器4の識別信号を出力する通信部6とが設けられている。発電部5には、ボタンA,Bが押されたときの物理力で発電する圧電素子等が用いられている。通信部6は、発電部5が発生した電力を用い、押されたボタンA,Bに対応する照明機器4を特定するための識別信号を送信する。
【0013】
コントロールユニット3には、照明回路を開閉するリレーR1〜R4と、リレーR1〜R4を駆動するリレー駆動部8と、無線スイッチ2から識別信号を受信する受信部9と、受信した信号に基づいてリレー駆動部8を制御する制御部10とが設けられている。そして、制御部10は、ボタンA,Bが別々に操作されたときに照明機器4の個別制御を行い、ボタンA,Bが同時に操作されたときに照明機器4の一斉制御を行うようになっている。
【0014】
例えば、個別制御に際し、ボタンAが押されたときに、リレーR1を駆動して照明機器L1(図1参照)を点灯させ、ボタンBが押されたときに、リレーR2を駆動して照明機器L2を点灯させる。一斉制御にあたっては、ボタンA,Bが所定時間内に同時に押されたときに、リレーR1〜R4を駆動して照明機器L1〜L4を一斉に点灯させる。ボタンA,Bが再操作されたときには、照明機器L1〜L4が個別または一斉に消灯する。
【0015】
制御部10はメモリを装備し、ボタンA,Bに対応する識別信号の組み合わせに関連付けて、複数の照明機器4の動作パターンを記憶している。従って、2つ以上のボタンの操作を組み合わせてより多くの照明機器4の点灯、消灯、減光、増光等を多様に制御することができる。特に、各ボタンに対応する識別信号をコントロールユニット3側の制御部10で処理しているので、バッテリレスの無線スイッチ2を簡単かつ省電力に構成することができる。
【0016】
なお、本発明は、照明機器に限定されるものではなく、エアコン、音響機器、画像表示装置などの各種電気機器に適用することもできる。その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0017】
1 無線スイッチシステム
2 無線スイッチ
3 コントロールユニット
4 照明機器
5 発電部
6 通信部
10 制御部
A,B ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷機器を動作させるための複数のボタンを備えた無線スイッチと、ボタンの操作に応答して負荷機器を制御するためのコントロールユニットとを備え、
前記無線スイッチに、ボタンが操作されたときに電力を発生する発電部と、発電部が発生した電力を用いてボタンに対応する負荷機器の識別信号を送信する通信部とを設け、
前記コントロールユニットに、複数のボタンが個別に操作されたときに、各ボタンに対応する識別信号に基づいて負荷機器を個別に制御し、複数のボタンが同時に操作されたときに、各ボタンに対応する識別信号の組み合わせに基づいて複数の負荷機器を一斉に制御する制御部を設けたことを特徴とする無線スイッチシステム。
【請求項2】
前記制御部が、複数の識別信号の組み合わせに関連付けて複数の負荷機器の動作パターンを記憶する手段を備えた請求項1記載の無線スイッチシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−62770(P2013−62770A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201649(P2011−201649)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000124591)河村電器産業株式会社 (857)
【Fターム(参考)】