説明

バナジウムイオン含有高血圧及び高中性脂肪血症改善剤並びに高中性脂肪血症患者用血糖降下剤

【課題】 成人病疾患を持つ人々を対象に一定期間バナジウムイオン水の飲用による効果を検証し、これらの治験結果に基づいて、成人病疾患に対する信頼できるバナジウムイオン水の用途を提供する。
【解決手段】 バナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあり、哺乳動物における高血圧の予防又は治療に用いる高血圧改善剤若しくは高中性脂肪血症改善剤であるか、又は高中性脂肪血症の被験者における糖尿病の予防又は治療に用いる血糖降下剤を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バナジウムイオン含有健康飲料水を用いる成人病の予防又は治療方法に関し、より詳しくは、バナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/Lの濃度で含有する飲料水を高血圧及び/又は高中性脂肪血症の患者に摂取させることを特徴とする高血圧及び/又は糖尿病の予防又は治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
富士山麓の相模川水系から湧出するバナジウム水(50〜130μg/Lのバナジウム含有)には以下のような多岐に亘る生理活性があることが知られている。数年前より高額なミネラルウォーターとして市販され、成人病疾患を持っている人々から支持され飲用されている。しかし、血糖値が劇的に下がる抗糖尿病作用(例えば、非特許文献1及び2参照。)に目を奪われ、バナジウムイオン水はインスリン様物質という固定観念に縛られて今迄学術的な解明についてのアプローチは殆どなされていない。中性脂肪の低下、発汗発熱の促進、運動生理活性の向上などは基本的にインスリン拮抗物質の作用によって起こる現象であり、インスリン様物質という説明ではバナジウムイオン水の効能全般を理論化できない。
【0003】
これまでに確認されているバナジウムイオン水の生理活性は次のとおりである。
臨床的効果として血糖値を下げ糖尿病を改善する。また、中性脂肪を下げ高中性脂肪血症を改善する。3年間程の継続飲用で、重度の糖尿病(HbAC=10.5%)、高中性脂肪血症(中性脂肪=300〜400mg/dl)及び肥満(体重78kg)が完全に改善した例もある(HbAC=6.0%、中性脂肪=70〜150mg/dl、体重=66kg)。
【0004】
その他、尿酸値を下げ通風を改善すること、冷え性を改善すること、発汗を促進し、利尿効果により浮腫を改善すること、及び便秘症を改善することが知られている。なお、このバナジウムイオン水が湧出している富士山麓の相模川水系の人々、なかでも高濃度のバナジウム水が湧出している忍野村は長寿村として知られ、山梨県の他の水系の人々より老衰死が40%ほど多いと報じられている。
【0005】
【非特許文献1】Sakurai H. et al. Expert Opin Investig Drugs, Vol. 12, pp.1189-1203, 2003
【非特許文献2】Cusi K. et al. J Clin Endocrinol Metab, Vol. 86, pp.1410-1417, 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、バナジウムイオン水の生理活性を裏付けるものとしては、いくつかの断片的な臨床結果と、営業上得られる様々な報告と地元での風評であり、理論化するのに不十分であった。そこで、本発明は成人病疾患を持つ人々を対象に一定期間バナジウムイオン水の飲用による効果を検証し、これらの治験結果に基づいて、成人病疾患に対する信頼できるバナジウムイオン水の用途を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
複数の成人病疾患を持つ人々を対象に3〜6ヶ月間バナジウムイオン水の飲用による効果を生化学的なデータに基づいて検証した結果、従来から予想されていた生理活性の確認のほかに、いくつかの新たな知見が得られた。本発明は、これらの新たな知見に基づいてなされたものであって、バナジウムイオン水の成人病疾患に対する新たな用途と処方を提供するものである。
【0008】
すなわち、1つの側面では、バナジウムイオン水の効果としてこれまで知られていない高血圧の改善作用に関するものであり、本発明の高血圧改善剤は、バナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあり、哺乳動物における高血圧の予防又は治療に用いることを特徴とする。
【0009】
他の側面において、本発明は、バナジウムイオンを少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあることを特徴とする高中性脂肪血症改善剤を提供する。
【0010】
他の1つの側面において、従来から知られているバナジウムイオン水の抗糖尿病作用をさらに詳細に解析した結果得られた知見に基づくものであって、本発明の血糖降下剤は、バナジウムイオンを少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあり、高中性脂肪血症の被験者における糖尿病の予防又は治療に用いることを特徴とする。
【0011】
これらの用途に用いられるバナジウムイオン水は、バナジウムイオンが100〜300μg/Lの濃度で含まれることが好ましい。さらに好ましくは、一日当たりのバナジウムイオンの摂取量が少なくとも80μgであることを特徴とする。
【0012】
異なる側面において、上記高血圧改善剤、高中性脂肪血症改善剤又は血糖降下剤からなることを特徴とする健康飲料水が提供される。
【0013】
本発明のさらに異なる側面において、バナジウムイオンを少なくとも80μg/Lの濃度で含有する健康飲料水を、高中性脂肪血症の糖尿病患者に摂取させることを特徴とする糖尿病の予防又は治療方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果は、本発明者らが提唱してきたバナジウムイオン(V5+)の生理活性に関する仮説、すなわち、Na−KATPアーゼが失活することから始まり、電位依存性Ca2+チャネルの開口を経て小胞体のCa2+オシレーションとミトコンドリアCa2+濃度の上昇によって矛盾なく説明できるとする仮説に、基本的に矛盾するものではない。複数の成人病疾患が全て改善する場合、全く改善しない場合、血圧と中性脂肪だけが改善する場合等、個人差によって著しい差異が生じた理由は、上記基本的な作用機序の他に、遺伝子の多型によって影響を受けるサブシステムが幾重にも存在して代謝に関わっていることが予想される。本発明により得られた様々な知見はまた、バナジウムイオンの生理活性研究の基盤を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の実施において、生化学、金属化学、臨床医学および環境科学等の一般的方法及び従来技術について、実施者は、特に示されなければ、当該分野の標準的な参考書籍を参照し得る。これらには、例えば、改訂「最新元素知識」近角聰ら著、東京書籍;「環境汚染物質の生体への影響2、クロム・バナジウム」NATIONAL RESERCH COUNCIL編、木村正巳・小野哲・和田攻訳;「カルシウムイオンとシグナル伝達」御子柴克彦ら編、共立出版2000年;「イオンの水和」大瀧仁志著、1990年;「内皮由来循環調節ホルモンによる血圧調節」竹田亮他、最新医学2004年10月;「ドパミン受容体」真田寛啓他、最新医学2004年10月;「カテコールアミン受容体」加藤規弘、最新医学2004年10月;「カルシウムチャネル」村上学他、最新医学2004年10月;「交感神経の関与」高橋伯夫、最新医学2004年10月;「バナジウム」桜井弘、日本臨床2004年12月などを挙げることができる。
【0016】
(本発明の高血圧及び高中性脂肪血症改善剤並びに血糖降下剤)
本発明の高血圧及び高中性脂肪血症改善剤並びに血糖降下剤(以下、「本発明の改善剤」という。)は、5価のバナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/L含有する飲料水であればよく、種々の方法により製造することができる。例えば、富士山の伏流水から採取することが好ましい。冨士山麓の地殻(玄武岩中)には、高濃度のバナジウム(V5+)が確認されており、この玄武岩層を150mに渡り、幾重にも重なるバサルト層を通り抜ける雨水等には、岩中に含まれるバナジウムなどのミネラルが多く吸収されている。このような富士山麓の地下数100mから湧水する天然水は、同時に弱アルカリ性であり、また水の分子が非常に小さく含有成分の体内吸収率が高く、飲み心地が非常に良いため、毎日継続して飲用するのに適していると考えられる。
【0017】
バナジウムイオンは水溶液中において広い範囲の酸化数(+2から+7)をとり得、生成する化学種は極めて変化に富んだ性質を示す。本発明の改善剤は、含有するバナジウムイオンの酸化状態が重要であるのみならず、溶液のpHも、どんな化学種(例えば、陽イオン種、陰イオン種、縮合した化学種あるいは不溶性水酸化物等)が生成するかに大きな影響を与える。従って、バナジウムイオンが水溶液中でどのような形態で存在するかは極めて重要である。本発明の改善剤においては、5価のバナジウムイオン(V5+)を含有することが重要であり、水溶液中ではVO又はVO3−の水和イオンの形態で存在することができる。
【0018】
水溶液中の各種金属イオン(バナジウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等)の濃度は、当業者に公知の一般飲料水の水質試験方法により測定することができる。これらの測定は、本発明の改善剤そのもの(原液)を用いて測定することもできるが、これを一定量まで濃縮したものを用いて測定することもできる。
【0019】
本発明の改善剤は、ミネラルウォーターやその他の飲料水の一般的な製造方法に従って製造することができる。例えば、冨士箱根国立公園内の地下150mより汲み上げた源水をタンクに充填し、所望により真空濃縮機で濃縮する。バナジウムイオンの濃度を調整するために必要な場合には源水と濃縮水を適切な比率で混合タンクにて混合し、フィルター濾過により不純物を除去する。続いて、殺菌機にて125℃で殺菌し、充填用ミラーボールにて充填し、キャップ、洗浄、ラベル、印字等を行って所定の箱詰めを行う。このようなミネラルウォーターは、例えば、株式会社ソーケンから「冨士バナジウム明光水」として市販されている。
【0020】
(本発明の改善剤の作用効果)
上記のような多岐に亘る一連のバナジウムイオン水の生理活性を、殆ど矛盾なく説明できる「一つの仮説」がいくつかの治験結果を整理、組み立てなおすことで完成した。この仮説を図面を参照しながら以下に詳細に説明する。図1は、バナジウムイオン水による一連の作用機序(仮説)を示したフローチャートである。
【0021】
(1)作用発現の端緒(I、II、III)
バナジウムイオン水を通じてV5+イオンを60〜80μg/日以上継続して1〜3ヶ月摂取すると、Na−KATPアーゼの活性阻害が起こり、それから波及する一連の作用機序によって、個体差はあるが概ね様々な生理活性が発現する。
【0022】
(2)利尿効果と血圧降下(IV)
Na−KATPアーゼの活性阻害によって、腎ネフロン遠位尿細管及びヘレンループ上行脚上皮での再Na吸収が抑制されることから、血圧降下剤チアジド系利尿薬及びループ系利尿薬と同様に利尿効果と同時に血圧降下をもたらすと考えられる。
【0023】
(3)細胞膜におけるイオンチャネルの働き(IV、V、VI)
Na−KATPアーゼの活性阻害により、Na濃度が高い細胞外液(内外の濃度差は十数倍)から細胞内へ流入し、細胞内のNa濃度が増加する。その結果、細胞膜電位が脱分極化を起こし、膜電位依存性Ca2+チャネルが働き、Na−Ca2+対抗輸送系が促進され、細胞内からNaが汲み出されてCa2+イオンが組み入れられる(細胞内液のCa2+濃度は100nM、細胞外液の濃度は1mM、内外の濃度差は約数千〜1万倍)。サイトゾルのCa2+が増加すると、細胞内オルガネラの小胞体が過剰になったCa2+を汲み入れる(小胞体のCa2+濃度は細胞外液と同じ程度の濃度になる)。細胞内へのCa2+の流入が多い場合は、リン酸カルシウムとして貯蔵する)。それらによってサイトゾルのCa2+濃度は10−7M以下に低下し、膜電位は分極しCa2+チャネルは閉口する。
【0024】
(4)小胞体のオシレーション(IIV、IIIV、IX)
小胞体のCa2+濃度があるレベル以上になると、刺激により小胞体からCa2+オシレーション(律動的放出)がおこり、それによって筋収縮、神経伝達物質の放出、グリコーゲンの分解等を促進する。そのなかで、膵β細胞の小胞体のCa2+オシレーションによって、それに同調してインスリン分泌が促進されることが知られている。この点に関しては、糖尿病治療薬であるインスリン分泌を促進するスルホニル尿素系薬剤と同様の作用を発現している。
【0025】
5+の生理活性の中核をなすものとして骨格筋や心筋の小胞体でのCa2+オシレーションが重要である。この筋小胞体は特に発達しており、形も大きくCa2+濃度がある程度まで上昇すると、それが引き金になってCa2+が放出されるCa2+誘発Ca2+放出(CICR:calcium induced calcium release)という機構がある。この筋小胞体からのオシレーションにより筋の収縮と弛緩が間歇的に起こり、運動と同様な血圧降下を誘導する。
【0026】
(5)筋小胞体オシレーションによる生理活性物質の発現(IX)
筋小胞体オシレーションによってアドレナリンの作用発現によってアデニル酸シクラーゼの活性化を通じてcAMP濃度を上昇させる。このセカンドメセンジャーcAMP濃度の上昇から始まる一連の作用(図1のIX参照)により、糖・脂質代謝が促進される結果、中性脂肪が低下して高中性脂肪血症が改善されると共に血圧も降下する。
【0027】
(6)褐色脂肪細胞における産熱促進(X)
サイトゾルへCa2+が流入し、ミトコンドリア内のマトリクスのCa2+濃度が上昇する。これによりクエン酸サイクルの諸酵素が活性化され、NADH濃度も上がり酸化的リン酸化でATPが増産され、エネルギー代謝を促進し運動活力なども増強される。褐色脂肪組織は、腋か、項部、後頚部、大動脈周囲、脂肪組織内部に存在し、ヒトでは体重の2〜5%を占めている(新生児で多い)。このBATと呼ばれる特殊な脂肪細胞ではATP脱共役酵素(uncoupling protein (UCP1))がある為、エネルギーは殆どATPではなく熱として産生される。生体はこの機構によって外気温の変化のなかで体温を非常に狭い一定範囲に保つことができる。そしてこのUCPIの活性はミトコンドリア内Ca2+濃度依存性であり、バナジウムイオン水の飲用による発熱、発汗の促進と冷え性の改善が説明される。このBATの代謝活性は白色脂肪組織(white adipose tissue, WAT)に比べて約10倍高く、BATでの産熱はエネルギー消費の点で重要なファクターになっており、糖尿病・高脂血症・高血圧などの生活習慣病とのかかわりを持っている。
【0028】
(毒性についての考察)
バナジウムイオン水の安全性については、バナジウムイオン水の摂水地である富士吉田市を中心とした10数万人の住民の生活用水であり、全く風土病もなく長寿の地域であることから保証されている。摂取量も食物からの摂取も加わることから単なる飲料水からの摂取量を大きく上回っていると考えられる。しかし、必須金属についてもすべて過剰摂取による毒性ゾーンがあるのでその点から以下考察する。
【0029】
(1)五酸化バナジウムは、酸化反応をおこした後塩化バナジルや硫酸バナジルなどの塩となって体外へ排出される。バナジウム塩は可溶性の型で摂取した場合でさえ投与量の1%程度が吸収されるに過ぎない。吸収されたバナジウムは急速に排泄され、吸収量の60%は24時間以内に尿中へ排泄される。吸収率が低く比較的排泄が早いため、このような特色を持たないクロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、亜鉛などの他の金属よりも毒性は極めて少ない。
【0030】
(2)更に五酸化バナジウムの水溶液の経口摂取の場合は、粉塵での吸入や静脈注射に比べてその毒性は極めて低くなる。その原因は不明であるが、バナジウム水溶液を酸性にすると毒性が著しく弱められるという事実が知られており、強酸である胃酸が大きく影響していると考えられる。
【0031】
(3)しかしながら、金属は必須金属でもすべてそれぞれ適量ゾーン以下の不足による障害ゾーンと適量以上の毒性ゾーンを持つが、バナジウムのこのような特性から適量ゾーンの範囲が他の金属に比べて非常に広いと考えられる。
【実施例1】
【0032】
本発明は以下の治験結果によってさらに詳細に説明されるが、これらの実施例は、糖尿病、高中性脂肪血症、高血圧及び痛風等の成人病患者から任意に選択した延べ30人程度の治験対象者の結果であり、治験途中における各人の事情(転勤、長期出張、別の疾患で入院等)により一応の治験結果が得られた22名のデータに基づくものであり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0033】
(1)治験に用いたバナジウム水と飲用方法
治験に用いたバナジウム水は、株式会社ソーケンにより製造され、一般に「明光水(バナジウム濃度130〜160μg/L)として市販されているミネラルウォーターで、2Lボトル1本を2〜3日で飲用することを目安とした(1日最低摂取量80μg以上を確保)。飲用方法は各自適宜。
【0034】
(2)治験対象者
糖尿病、高脂血症、高血圧、痛風等の成人病を1つ以上発症していて、これまでバナジウムイオン水を飲用していない40才以上の者約30人。
【0035】
(3)測定項目と測定時期
身長、体重、血圧、代謝系を中心とした一般検査項目について、治験水飲用直前(1回目)、飲用開始後40〜50日後(2回目)、飲用開始後90〜100日後(3回目)、飲用開始後135〜140日後(4回目)、及び各人の状況に応じて180〜190日後(5回目)に測定した。なお、測定時刻は午前10時30分〜12時、及び午後1時〜2時である。
【0036】
(4)医療機関
ストレスケア日比谷クリニック(医療法人社団緑和会)
【0037】
(6)治験結果
(A)血圧降下
高血圧、又は標準血圧にかかわらず、収縮期血圧で22名中21名について、拡張期血圧で22名全員について以下の表1に示したとおりの血圧降下が見られた。図2は、これら22人の測定結果を示したものである。
【0038】
【表1】

【0039】
(B)中性脂肪低下
以下の表2に示すように、300mg/dL以上の高中性脂肪血症の被験者10名は全員大幅に改善した。150〜300mg/dLの高中性脂肪血症の被験者7名の群では3名が改善した。図3はこれら17人の中性脂肪降下状況を示す。
【0040】
【表2】

【0041】
[注1]中性脂肪値は、測定直前の飲食に大きく影響されるので、最終的に改善されている場合は、平均降下値、平均降下率、最大降下値の算定に、経過のなかで最も低い値を採用した。
[注2]最終的に改善されていない場合は、最終値を採用している。
[注3]非改善者4名のうち3名は、途中まで平均して22%ほどの改善を見せていたので、暑さが和らいだ秋口になって治験水の飲用が不十分になったため最終的に悪化したと考えられる。
【0042】
(C)血糖降下(HbACで測定)
表3に示したように、HbACが6.5%以上の糖尿病症状を持っている被験者11名のうち、中性脂肪値が25%以上降下している群の7名では6名が平均8.6%低下した。中性脂肪値が降下しなかった群の4名では2名が平均6.8%降下した。図4は、これらの結果をグラフに示したものである。
【0043】
【表3】

【0044】
[注1]直前の飲食及び投薬によって血糖値は大きく変動するため、整合性が取りにくいのでHbACだけで治験結果を集約した。緩やかに変化するHbACでの検証のため、4〜6ヶ月の治験期間では変化率が小さい。
【0045】
(D)HDL−C上昇の状況
一般に善玉コレステロールといわれるHDL−Cは、中性脂肪と逆相関の関係にあるので、中性脂肪が降下した13名のHDL−Cの変化を検証すると、以下の表4に示したとおりHDL−Cは平均で4.4mg/dL、率にして11.6%上昇していることが分かった。この面からも高脂血症を改善する。
【0046】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の高血圧改善剤、高中性脂肪血症改善剤及び血糖降下剤は、医薬及び健康飲料水として有用である。従って、本発明の1つの側面における糖尿病の治療方法は、セルフメディケーションとして位置づけられるものであり、健康医療産業分野において利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1.a】本発明の改善剤の一連の作用機序を示したフローチャートである。
【図1.b】本発明の改善剤の一連の作用機序を示したフローチャートである。
【図2】22名の血圧降下の状況を示したグラフである。
【図3】18名の中性脂肪の降下状況を示したグラフである。
【図4】HbACが6.5%以上の糖尿病患者の状況を示したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バナジウムイオン(V5+)を少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあり、哺乳動物における高血圧の予防又は治療に用いることを特徴とする高血圧改善剤。
【請求項2】
前記バナジウムイオンが100〜300μg/Lの濃度で含まれることを特徴とする請求項1に記載の高血圧改善剤。
【請求項3】
一日当たりのバナジウムイオンの摂取量が少なくとも80μgであることを特徴とする請求項1又は2に記載の高血圧改善剤。
【請求項4】
バナジウムイオンを少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあることを特徴とする高中性脂肪血症改善剤。
【請求項5】
前記バナジウムイオンが100〜300μg/Lの濃度で含まれることを特徴とする請求項4に記載の高中性脂肪血症改善剤。
【請求項6】
一日当たりのバナジウムイオンの摂取量が少なくとも80μgであることを特徴とする請求項4又は5に記載の高中性脂肪血症改善剤。
【請求項7】
バナジウムイオンを少なくとも80μg/Lの濃度で含有する水溶液の形態にあり、高中性脂肪血症の被験者における糖尿病の予防又は治療に用いることを特徴とする血糖降下剤。
【請求項8】
前記バナジウムイオンが100〜300μg/Lの濃度で含まれることを特徴とする請求項7に記載の血糖降下剤。
【請求項9】
一日当たりのバナジウムイオンの摂取量が少なくとも80μgであることを特徴とする請求項7又は8に記載の血糖降下剤。
【請求項10】
請求項1〜3の何れか一項に記載の高血圧改善剤、請求項4〜6の何れか一項に記載の高中性脂肪血症改善剤、又は請求項7〜9の何れか一項に記載の血糖降下剤からなることを特徴とする健康飲料水。
【請求項11】
バナジウムイオンを少なくとも80μg/Lの濃度で含有する健康飲料水を、高中性脂肪血症の糖尿病患者に摂取させることを特徴とする糖尿病の予防又は治療方法。

【図1.a】
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【図1.b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−232679(P2006−232679A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−45597(P2005−45597)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【出願人】(505066176)
【出願人】(500430039)
【出願人】(503426156)
【Fターム(参考)】