説明

バフ研磨方法、バフ研磨組成物及び自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物

【課題】バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含むバフ研磨用水性乳化研磨組成物を用いて、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法。及び前記粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、前記潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、(ハ)増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バフ研磨方法、バフ研磨組成物及び自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物に関する。さらに詳しくは、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法、それに用いる水性乳化バフ研磨組成物及び自動車等の板金補修塗装作業等において、上塗り塗装後の塗装面の塗り肌を修整するために使用される水性乳化バフ研磨組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等の板金補修塗装作業においては、上塗り塗装後にペーパー水研ぎ及びバフ研磨を施し、新車の塗り肌と同程度まで塗膜の平滑化を行っている。特に、バフ研磨工程では、最終的に目視で研磨部分が判別できない程度まで高度に仕上げ磨きすることが求められている。
従来のバフ研磨工程で使用される研磨組成物は、研磨粒子や油脂類を溶解させた石油系溶剤等を、界面活性剤を用いて水中に分散及び乳化させたものが一般的であるが、これらの界面活性剤は、研磨粒子の分散や溶剤の乳化等を行うための必要成分であるが、揮発性がなく残留分に透明感がないために、バフ研磨仕上げ後の光沢に悪影響を及ぼすことがあった。また、潤滑性を阻害してバフ研磨作業時に塗膜上に固着することがあり、作業性に問題があった。
また、従来のバフ研磨工程は、上記の研磨組成物を工程の最終段階で研磨面の研磨屑(研磨組成物と塗膜の磨き屑が混然一体となったもの)がなくなるまで磨ききることが一般的であるために、研磨組成物に揮発性の石油系溶剤などを用いて、研磨が進むにつれて研磨屑が乾燥しきって(ドライアウト)、研磨面の外に飛散して最終的に研磨面に研磨屑が残らないようにしている。研磨面に研磨屑がなくなった時点で工程は終了するが、完全に拭取りを行なわないようにするためには、少し磨き過ぎる程度まで研磨する必要があり、ちょうど良いタイミングで研磨を終了することは困難であった。その結果、磨き過ぎた分(研磨組成物を含んだ磨き屑が残っていない状態における空磨きによって)研磨面に微細なバフ目(バフによる擦過傷)が発生することがあった。バフ目は、組成物中の潤滑油成分による油膜の下に発生するため、研磨直後は油膜に隠れて判別しにくいが、洗車等によって油膜が流出すると目立って後から問題になる場合があった。
研磨組成物中にポリエチレンワックス等を配合してバフ目を目立たなくさせる方法が考案されている(特許文献1参照)が、研磨キズ中にワックスを埋め込んで一時的な平滑化を行っているために、経時的にワックスが脱落して研磨跡が再び目立ってくるという問題があった。本発明者らは、乳化剤の種類を限定することによって、潤滑性を改善し、光沢良く仕上げられる組成物を考案した(特許文献2、特許文献3参照)が、これらの組成物でも磨き過ぎによるバフ目の発生を抑止することは困難であった。
一方、バフ目の発生そのものを抑止する研磨方法としては、湿式研磨方法が挙げられる。本発明者らは、バフ目を発生させない吸水性のバフ素材を用いた湿式研磨方法を考案した(特許文献4参照)が、ポリッシャーの回転数を上げると水の飛散が問題となり、回転数を下げると研磨力が低下するなど、現状の研磨方法に比べ、著しく作業性が劣るため、実用化に至らなかった。
【0003】
【特許文献1】特許第2848657号明細書
【特許文献2】特許第4113380号明細書
【特許文献3】特許第4215246号明細書
【特許文献4】特開平2−311261公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このように前記従来の自動車等の補修塗装作業に使用されるバフ研磨用組成物及びその研磨方法は、工程の仕上げ段階で発生するバフ目を抑止することが困難であった。
本発明は、かかる事情に鑑みなされたものであって、従来の研磨方法と同等の研磨性、作業性を有するにもかかわらず、バフ目の発生がない優れた光沢面が得られ、研磨屑の飛散がない快適な作業環境を提供することができるバフ研磨方法、即ち、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法、バフ研磨組成物及び自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物を提供することを目的とする。
これによって、従来のバフ研磨工程の仕上がり感(バフ目の発生)が格段に改善され、場合によっては、従来の研磨・仕上げ2工程が、1工程に短縮できる可能性を有する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究した結果、従来の研磨方法と同等の研磨性、作業性を有するにもかかわらず、バフ目の発生がない優れた光沢面が得られ、研磨屑の固着や飛散がなく、快適な作業環境を提供することができるバフ研磨方法、バフ研磨組成物及び自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物を見出した。
すなわち、本発明は、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含むバフ研磨用水性乳化研磨組成物を用いて、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法である。
また、本発明のバフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法においては、(イ)研磨粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、(ロ)潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、(ハ)増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いることができる。
さらに、本発明は、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含む水性乳化研磨組成物において、前記研磨粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、前記潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、前記増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いたことを特徴とする水性乳化バフ研磨組成物である。
また、本発明の水性乳化バフ研磨組成物においては、研磨粒子が結晶粒子径1μm以下のα−アルミナであって、α−アルミナの50%平均粒子径が1〜50μmであり、α−アルミナの90%粒子径が100μm以下とすることができる。
さらに、本発明の水性乳化バフ研磨組成物においては、潤滑油として、リシノール酸トリグリセライド、流動パラフィン及びグリセリンを含み、流動パラフィン:グリセリン=4:6〜8:2であり、かつ、リシノール酸トリグリセライド:(流動パラフィン及びグリセリン)=1:20〜1:1とすることができる。
またさらに、本発明の水性乳化バフ研磨組成物を自動車塗装面のキズ補修に用いる自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物として用いることができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明のバフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法及びバフ研磨用水性乳化研磨組成物は、表1の結果から明らかなように、研磨力及び研磨速度に優れ、バフ目がなく、研磨後の仕上がりが非常に良い。しかも、研磨作業中に塗膜への研磨屑の固着及び研磨屑の飛散がなく、極めて快適に作業できるバフ研磨方法、バフ研磨組成物及び自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】研磨状態の経時変化図1は、研磨状態の経時変化を表している。従来例1(仕上り速度が速い粗磨き用コンパウンド)は、研磨粒子の量が多いため、研磨速度が大きく(正の傾きが大きい)、最大研磨力も大きいが、潤滑油量が少ないため、研磨クズの乾燥速度が大きい(最大研磨力に到達後の負の傾きが大きい)。一方、従来例2(仕上り速度が遅い粗磨き用コンパウンド)は、従来例1と比較すると研磨速度は小さく、最大研磨力も小さいが、石油系溶剤及び界面活性剤の量が多いため、研磨クズの乾燥速度は小さい。いずれの場合も最大研磨力に到達した後、揮発性石油系溶剤の揮散に伴って研磨クズが乾燥(粉散)し、最終的にドライアウトして仕上がるため、バフ目発生のリスクが高まる。(理想的にはA1又はA2を終点としなければならないが、実際にはB1又はB2が終点となっている。)それに対して本発明の実施例は、最大研磨力に到達した後、研磨クズの乾燥速度が極めて緩やかで、研磨粒子の損失がなく、研磨力を維持し続け、ドライアウトすることがないため、バフ目発生のリスクはない。研磨の終点は拭取りにより確認する必要があるが、研磨量は各グラフの積分値(グラフと時間軸で囲まれる部分の面積)であり、研磨力の低下がないため、仕上り時間が従来例と比較して長くなることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の水性乳化バフ研磨組成物は、分散媒(水):分散質(潤滑油及び研磨粒子)は、30〜80:70〜20であるO/W型の水性乳化組成物であって、分散質は基本的に、研磨粒子、潤滑油及び増粘安定化剤から構成されている。
本発明で用いる(イ)研磨粒子は、特に限定されるものではないが、アルミナ、シリカ、アルミノシリケート、又は酸化第二錫が好ましく、さらに好ましくはアルミナ、シリカである。アルミナは、焼成条件によって結晶型が異なり、結晶型により硬度が異なるため、自由に硬度を調整することができる。最も硬度が高いα−アルミナは、結晶粒子径を微細化することによって、高い研磨力のまま、研磨キズを抑制することができ、微細な結晶からなる粒子は吸油量を高め、油成分を必須とするバフ研磨組成物の研磨粒子としては極めて好適である。シリカには、結晶性と非結晶性があり、いずれもα−アルミナほど硬度は高くないが、塗装面より十分に硬く、研磨粒子として好適である。このようなシリカの例としては、硅石粉、砥ノ粉、トリポリ、焼成ケイソウ土、シラスなどが挙げられる。アルミノシリケートはアルミナ、シリカより柔らかいがソフトに研磨する材料としては優れており、仕上がり性が良い。このようなアルミノシリケートの例としては、焼成クレー、ムライトなどが挙げられる。酸化第二錫は、メタ錫酸を焼成して得られるものであって、比重が大きく、硬度は高くないが研磨力が良い。
研磨粒子の粒度は、バフ研磨に必要な研磨力によって、任意に選ぶことができるが、概ね、粗磨き用途では、50%平均粒子径は10〜50μm、90%粒子径は100μm以下が好ましく、仕上げ磨き用途では、50%平均粒子径は1〜8μm、90%粒子径は20μm以下が好ましい。粒度は粒子径で表し、粒子径は、体積基準の積算%粒子径を意味する。
粗磨き用途では、50%平均粒子径が、10μmより小さいと研磨力が十分ではなく、50μmを超えると研磨跡の修正に時間がかかる。90%粒子径が100μmを超えると研磨跡の修正が困難になる。
仕上げ磨き用途では、50%平均粒子径が1μmより小さいと研磨力が十分ではなく、8μmを超えると研磨跡が目立ち、光沢が悪くなる。90%粒子径が20μmを超えると線傷として目立つようになる。
研磨粒子の吸油量は、50ml/100g以上が好ましく、さらに好ましくは60ml/100g以上である。研磨粒子の吸油量が50ml/100gより小さいと光沢よく仕上がらない。ここでいう吸油量とは、アマニ油吸油量(JIS K 5101に規定するもの)を表す。
研磨粒子の研磨組成物全体に対する含有量は、バフ研磨の用途によって異なる。粗磨き用途では、研磨粒子の含有量は、研磨組成物全体に対して、10〜60質量%が好ましい。さらに好ましくは、20〜50質量%である。研磨粒子の含有量が研磨組成物全体に対して10質量%より少ないと研磨力が低下し、60質量%より多いと、仕上り性や作業性が低下すると共に研磨粒子の分散安定化が困難になる。一方、仕上げ磨き用途では、研磨粒子の含有量は、研磨組成物全体に対して、10〜40質量%が好ましい。さらに好ましくは、20〜30質量%である。研磨粒子の含有量が研磨組成物全体に対して10質量%より少ないと研磨力が低下し、40質量%より多いと仕上り性や作業性が低下する。
【0009】
本発明においては、(ロ)潤滑油としては、リシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンの混合物が必要である。
本発明において用いる流動パラフィンは、40℃における動粘度が5〜80cStのノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィンの中から選ばれ、通常複数の粘度のものを組み合わせて用いる。
流動パラフィン:グリセリン=3:7〜8:2、かつ、リシノール酸トリグリセライド:(流動パラフィン及びグリセリン)=1:9〜1:1が好ましい。
流動パラフィンがグリセリンに対して多すぎると、光沢を損ね、スッキリ仕上がらない。流動パラフィンがグリセリンに対して少なすぎると潤滑性が低下し、研磨粒子が塗膜上に焼きつきやすくなる。
一方、ヒマシ油が流動パラフィン及びグリセリンに対して多すぎると光沢を損ね、スッキリ仕上がらない。ヒマシ油が流動パラフィン及びグリセリンに対して少なすぎると、潤滑性及び光沢が低下する。なお、ヒマシ油には通常約90質量%のリシノール酸トリグリセライドが含まれている。
ヒマシ油及び流動パラフィン及びグリセリンの含有量は、研磨組成物全体の10〜30質量%が好ましい。ヒマシ油及び流動パラフィン及びグリセリンの配合量が研磨組成物全体の10質量%より少ないと光沢感が低下し、研磨屑がドライアウトしやすくなり、30質量%より多いと研磨力が低下する。
【0010】
本発明において用いる増粘安定剤は、会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーであり、特にアクリル酸とアクリル酸エステルを共重合させた会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いるのが好ましい。
これらは、液に必要な粘性を付与すると同時に、研磨粒子の分散安定性や流動パラフィン及びリシノール酸トリグリセライドの乳化安定性を発現させる作用を有する。
また、比較的微量で効果を得ることができ、研磨作用に悪影響を及ぼしにくい。また、中性から弱アルカリ性で安定な調剤が可能である。これらは、適当なアルカリ剤と組み合わせて中和することにより、研磨組成物全体を低粘度液状、高粘度液状、ペースト状に自由に調整することができる。
このような増粘剤の例としては、プライマルRM−4、プライマルRM−5、プライマルTT−615、プライマルTT−935、プライマルTT−950(以上ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社)、カーボポール981、カーボポール934、カーボポールETD2020、カーボポールEZ−1、カーボポールUltrez10、PEMULEN
TR−1、PEMULEN TR−2(以上BFGoodrich社)等が挙げられる。
本発明で用いる増粘剤に性能を妨げない範囲で他の増粘剤を併用しても良い。このような増粘剤としては、ポリビニルアルコールやカルボキシメチルセルロース、発酵セルロース、キサンタンガム等の多糖類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0011】
本発明の組成物には、陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まないことが重要である。陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤は、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)であるので、バフ研磨された表面に残った水性乳化バフ研磨組成物を、布やスポンジ等でふき取る際に、何回もふき取る作業が必要になるので、これらの界面活性剤は存在しない方が良いことが判明した。さらに、これらの界面活性剤を用いると仕上げ時の光沢や拭取り性が低下する。
本発明の趣旨を妨げない範囲で、本発明では、潤滑油、増粘安定化剤のほかに、沸点範囲が100〜220℃の揮発性有機溶剤を用いることを妨げない。このような有機溶剤の例としては、芳香族系、エーテル系、エステル系、テルペン系及びグリコールエーテル系溶剤などが挙げられる。
【0012】
水は研磨組成物を水性乳化分散物とするための必須成分であって、8〜79.9質量%であって、研磨剤、潤滑油、増粘安定化剤を水性乳化分散物として安全に取り扱うことができる組成物を構成することを目的としている。
本発明の研磨組成物は液状から高粘度ペースト状まで任意の状態に調整することができ、必要に応じ、本発明の目的を損なわない範囲で種々の高分子増粘剤、種々のワックス類、その他の研磨性粉体、防錆剤、防腐剤、色素、香料などを配合することができる。
【0013】
本発明は、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法であって、塗装面のバフ研磨方法において、発生した研磨屑が乾燥して完全に飛散・消滅するまで研磨して、拭取りせずに仕上げるのではなく、発生した研磨屑を拭取りによって仕上げることを特徴とするバフ研磨方法である。従来の研磨方法では、研磨の途中段階で摩擦熱により揮発性溶剤が減少し、組成中の潤滑油量が少ないので研磨屑が乾燥・飛散し、完全に研磨屑を除去しようとすると研磨面を過剰に研磨することになる。その結果、バフ材による擦過傷がバフ目として残りやすくなるのである。本発明の研磨組成物は、従来の一般的な研磨組成物に比べて潤滑油量が多いので、研磨作業によって研磨クズが乾燥するスピードが極めて緩やかで、通常の研磨条件では容易に乾燥せず、湿式研磨と同じ効果を発現し、バフ目の発生を抑制する。しかも、従来の湿式研磨に比べて随時水分補給する必要はなく、回転数を上げても水の飛散はない。また、従来の研磨方法では、組成物中の揮発性溶剤と潤滑剤の合算量が経時的に減少するため、研磨力が経時的に変動していた。従って、作業者は研磨の段階に応じて磨き方を調節する必要があり、特に研磨作業の終盤ではポリッシャーの押圧力を弱くしてバフ目残りを低減する工夫をする必要があった。しかし、本発明の研磨組成物を用いた研磨方法では、組成物中の水分が蒸発した後は、極めて乾燥の遅い潤滑油と研磨粒子が最適なバランスで研磨面上に保持されるため、研磨作業中、安定した研磨力を発現させることができる。従って、作業者はバフ目残りを考慮した磨き方の調節をする必要がなくなるのである。
【0014】
このように本発明のバフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法では、バフ目残りがないために、研磨後の仕上り性が格段に向上し、従来、研磨工程と仕上げ工程の2工程必要であった工程数が1工程に短縮できる可能性がある。また、湿式研磨の特長を取り入れたにもかかわらず、従来の研磨ツールをそのまま利用できる。さらに、拭取りにより研磨屑をほぼ完全に回収できるので、従来のように作業現場に粉塵が飛散することがなく、作業者や環境に配慮した安全な作業を行うことができるなど非常に有用な効果が期待できる。
【0015】
本発明の実施の形態をまとめると以下の通りである。
(1)陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含むバフ研磨用水性乳化研磨組成物を用いて、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法。
(2)(イ)研磨粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、(ロ)潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、(ハ)増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いた上記(1)に記載したバフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法。
(3)陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含む水性乳化研磨組成物において、前記研磨粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、前記潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、前記増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いたことを特徴とする水性乳化バフ研磨組成物。
(4)研磨粒子が結晶粒子径1μm以下のα−アルミナであって、α−アルミナの50%平均粒子径が1〜50μmであり、α−アルミナの90%粒子径が100μm以下である上記(3)に記載した水性乳化バフ研磨組成物。
(5)潤滑油として、リシノール酸トリグリセライド、流動パラフィン及びグリセリンを含み、流動パラフィン:グリセリン=4:6〜8:2であり、かつ、リシノール酸トリグリセライド:(流動パラフィン及びグリセリン)=1:20〜1:1である上記(3)又は上記(4)に記載した水性乳化バフ研磨組成物。
(6)上記(3)〜上記(5)のいずれか一つに記載された水性乳化バフ研磨組成物を自動車塗装面のキズ補修に用いる自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物。
次に実施例によって本発明をさらに具体的に詳細に亘って説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0016】
流動パラフィン(クロンプトン社製)15g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)2.5g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)5gを混合した。次に水32.3g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)1g、グリセリン(花王株式会社製)4gを混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径25μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)40gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.2gを添加して組成物を増粘・安定化させ、実施例1の粗磨き用研磨組成物を得た。
【実施例2】
【0017】
流動パラフィン(クロンプトン社製)12g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)2g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)3gを混合した。次に水48.3g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)1.5g、グリセリン(花王株式会社製)3gを均一に混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径5μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)30gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.2gを添加して組成物を増粘・安定化させ、実施例2の仕上げ磨き用研磨組成物を得た。
【実施例3】
【0018】
流動パラフィン(クロンプトン社製)9g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)1.5g及び芳香族炭化水素含有の石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)3gを混合した。次に水66.2g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)2.5g、グリセリン(花王株式会社製)2.5gを均一に混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径5μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)15gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.3gを添加して組成物を増粘・安定化させ、実施例3の仕上げ磨き用研磨組成物を得た。
【実施例4】
【0019】
流動パラフィン(クロンプトン社製)18g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)3g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)7gを混合した。次に水15.8g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
RM−5/有効成分濃度30%)1g、グリセリン(花王株式会社製)5gを均一に混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径25μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)50gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.2gを添加して組成物を増粘・安定化させ、実施例4の粗磨き用研磨組成物を得た。
【実施例5】
【0020】
流動パラフィン(クロンプトン社製)15g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)2.5g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)5gを混合した。次に水32.3g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)1g、グリセリン(花王株式会社製)4gを均一に混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径25μmのシリカ粉40gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.2gを添加して組成物を増粘・安定化させ、実施例5の粗磨き用研磨組成物を得た。
【実施例6】
【0021】
実施例1の組成物の石油系溶剤を加えず、混合・安定化させ、実施例6の粗磨き用研磨組成物を得た。
【0022】
(比較例1)
実施例1の組成物に、陰イオン界面活性剤としてオレイン酸1.5g及びモルホリン0.5gを加え、均一に混合して比較例1の組成物を得た。
【0023】
(比較例2)
実施例1の組成物に、非イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(HLB:15)1gを加え、均一に混合して比較例2の組成物を得た。
【0024】
(比較例3)
流動パラフィン(クロンプトン社製)4g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)0.5g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)5gを混合した。次に水48.3g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)1g、グリセリン(花王株式会社製)1gを均一に混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径25μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)40gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.2gを添加して組成物を増粘・安定化させ、比較例3の粗磨き用研磨組成物(潤滑油量5.5質量%)を得た。
【0025】
(比較例4)
実施例1の組成物において、増粘安定剤を添加せず、均一に混合したがすぐに分離して比較例4の組成物を得ることはできなかった。
【0026】
<1>粗磨き用研磨組成物の性能評価方法
普通乗用車の黒色ボンネット塗装(補修用3:1型ウレタン塗料を塗装したもの)表面を耐水ペーパー#1500を用いて水研ぎした。粗磨き用コンパウンド(実施例1、4、5、6、比較例1〜3、従来例1、2)とウールバフを用いてペーパー磨き跡の修正を行ない、ペーパー目(ペーパーの磨き傷)の除去速度、研磨屑の乾燥状態及び拭取り性、粉散性、仕上げ後のバフ目残り及び光沢、ポリッシャーのハンドリング性について評価した。
従来型コンパウンド(比較用)種類
従来例1・・・仕上り速度が速い従来型粗磨き用コンパウンド
従来例2・・・仕上り速度が遅い従来型粗磨き用コンパウンド
バフ研磨条件:電動ポリッシャー(リョービ株式会社製PE―2000)
ポリッシャー回転速度・・・1500rpm
バフ・・・ウールバフ(石原薬品株式会社製)
押圧荷重・・・4kg
<2>仕上げ磨き用研磨組成物の性能評価方法
上記、粗磨き用コンパウンド(従来例1)の磨き跡を仕上げ磨き用コンパウンド(実施例2、3、従来例3)とスポンジバフを用いて仕上げ研磨を行ない、バフ目(従来例1の研磨傷)の除去速度、研磨屑の乾燥状態及び拭取り性、粉散性、仕上げ後のバフ目残り及び光沢、ポリッシャーのハンドリング性について評価した。仕上げ磨き用コンパウンドによる仕上げ後のバフ目残りの状態は、蛍光灯下の目視評価で違いが判別できなかったので、水銀灯下でも行なった。
従来型コンパウンド(比較用)種類
従来例3・・・仕上り速度が速い従来型仕上げ用コンパウンド
バフ研磨条件:電動ポリッシャー(リョービ株式会社製PE―2000)
ポリッシャー回転速度・・・1500rpm
バフ・・・スポンジバフ(石原薬品株式会社製)
押圧荷重・・・4kg
【0027】
(従来例1)
流動パラフィン(クロンプトン社製)4g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)2g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)10gを混合した。次に水29.9g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)0.5g、グリセリン(花王株式会社製)2g及び界面活性剤としてソルビタンモノオレエート(花王株式会社製)1.5gを混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径25μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)50gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.1gを添加して組成物を増粘・安定化させ、従来例1の粗磨き用研磨組成物を得た。
【0028】
(従来例2)
流動パラフィン(クロンプトン社製)4g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)2g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)25gを混合した。次に水31.4g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)0.5g、グリセリン(花王株式会社製)2g及び界面活性剤としてソルビタンモノオレエート(花王株式会社製)3.0gを混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径25μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)32gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.1gを添加して組成物を増粘・安定化させ、従来例2の粗磨き用研磨組成物を得た。
【0029】
(従来例3)
流動パラフィン(クロンプトン社製)3g、ヒマシ油(伊藤製油株式会社製)0.5g及び石油系溶剤(JX日鉱日石エネルギー株式会社製/芳香族炭化水素約20%含有/沸点160〜200℃)15gを混合した。次に水68.2g中に会合型アルカリ可溶性アクリルポリマー(ロームアンドハースジャパン株式会社製プライマル
TT−615/有効成分濃度30%)2.0g、グリセリン(花王株式会社製)1gを混合した後、前記油相中に投入して乳化させた。更に50%平均粒子径5μmの焼成アルミナ粉(α結晶粒子径1μm以下)10gを均一に湿潤分散させた後、アルカリ剤としてモルホリン0.3gを添加して組成物を増粘・安定化させ、従来例3の仕上げ磨き用研磨組成物を得た。
【0030】
それぞれの評価結果を表1に表わす。
【表1】


(評価基準)
1.ペーパー目の除去速度・・・従来例1の作業に要した時間との比較。
○:従来例1とほぼ同じ作業時間を要する。(1〜1.2倍)
△:従来例1より多くの作業時間を要する。(1.2〜1.5倍)
2.バフ目の除去速度・・・従来例3の作業に要した時間との比較。
○:従来例3とほぼ同じ作業時間を要する。(1〜1.2倍)
△:従来例3より多くの作業時間を要する。(1.2〜1.5倍)
3.研磨屑の乾燥状態・・・目視
W:ウェット状態で残っている
D:ドライアウトしている
4.研磨屑の拭取り性・・・手作業
○:容易に拭取りできる
×:拭取り難い
5.粉散性・・・目視
○:粉散が気にならない。
×:粉散が気になる。
6.仕上がり状態(バフ目)・・・目視(10段階評価)
10:水銀灯下でも見えない。
8〜9:蛍光灯下では見えないが、水銀灯下では見える。
6〜7:蛍光灯下でわずかに見えるが目立たない。
4〜5:蛍光灯下で細かいバフ目が見える。
3以下:蛍光灯下でバフ目が目立つ。
7.仕上り状態(光沢)・・・20度光沢度計値
◎:95以上
○:90〜95
△:80〜90
×:80未満
8.ポリッシャーのハンドリング性・・・操作状態
○:スムーズに操作できる。
△:やや抵抗感あり重い感じがする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明のバフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法、バフ研磨組成物及び自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物は、従来の常識を覆すものであり、バフ研磨の作業性を高めることができるため、産業上の利用価値が高い。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含むバフ研磨用水性乳化研磨組成物を用いて、バフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法。
【請求項2】
(イ)研磨粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、(ロ)潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、(ハ)増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いた請求項1に記載したバフ研磨作業終了時、バフ研磨された表面がウエット状態(ドライアウトしていない状態)を保つことを特徴とするバフ研磨方法。
【請求項3】
陽イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤から選ばれる界面活性剤を含まず、(イ)研磨粒子10〜60質量%、(ロ)潤滑油10〜30質量%、(ハ)増粘安定化剤0.1〜2.0質量%及び水8〜79.9質量%を含む水性乳化研磨組成物において、前記研磨粒子としてアルミナ、シリカ、アルミノシリケート、酸化第二錫から選ばれる1種又は2種以上を用い、かつ、前記潤滑油としてリシノール酸トリグリセライド(ヒマシ油)及び流動パラフィン及びグリセリンを用い、かつ、前記増粘安定化剤として会合型アルカリ可溶性アクリルポリマーを用いたことを特徴とする水性乳化バフ研磨組成物。
【請求項4】
研磨粒子が結晶粒子径1μm以下のα−アルミナであって、α−アルミナの50%平均粒子径が1〜50μmであり、α−アルミナの90%粒子径が100μm以下である請求項3に記載した水性乳化バフ研磨組成物。
【請求項5】
潤滑油として、リシノール酸トリグリセライド、流動パラフィン及びグリセリンを含み、流動パラフィン:グリセリン=4:6〜8:2であり、かつ、リシノール酸トリグリセライド:(流動パラフィン及びグリセリン)=1:20〜1:1である請求項3又は4に記載した水性乳化バフ研磨組成物。
【請求項6】
請求項3〜5のいずれか一つに記載された水性乳化バフ研磨組成物を自動車塗装面のキズ補修に用いる自動車塗装面補修用の水性乳化バフ研磨組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2012−251099(P2012−251099A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126163(P2011−126163)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(000197975)石原薬品株式会社 (83)
【Fターム(参考)】