説明

バリアブルPDF編集システム

【課題】フルカラー化したフォームのデザインを自分自身で行いたいという印刷物の発注者の要望に対応し、かつ発注者から支給される原稿に基づいて印刷会社における製造を可能とするシステムとしてバリアブルPDF編集システムの提供。
【解決手段】複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPDF原稿を編集するバリアブルPDF編集システムであって、製造工程を管理するための製造管理情報のカラム情報である製造管理カラム情報を設定する製造管理カラム情報設定手段と、設定した製造管理カラム情報に基づいてバリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する製造管理情報付加手段とを有するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可変情報が含まれるバリアブルPDFを編集する技術分野に属する。特に、製造依頼元より入稿したバリアブルPDF原稿に対して、製造工程において必要とする製造管理情報を付加することが可能なバリアブルPDF編集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
固定情報だけでなく可変情報が含まれる印刷物としてダイレクトメールが良く知られている。ダイレクトメールにおける宛先、その宛先に応じたメッセージ等は代表的な可変情報である。利用明細のダイレクトメールであれば、利用明細の部分も可変情報である。取扱商品の案内状であれば、送付する顧客の属性に合致する取扱商品だけを選択して案内すると効果的であり、そのような取扱商品の部分も可変情報となる。ダイレクトメールだけでなく、パーソナル保険システム等におけるパーソナル約款、学習者が選択した科目とその科目の学習の進展に合わせて必要とする部分だけを編集したパーソナル問題集、等も可変情報が含まれる印刷物である。
このような可変情報が含まれる印刷物の印刷データを編集する従来のシステムとしては、割付領域内に確実に印刷情報を割り付けるバリアブル印刷文書編集システム(特許文献1)、割付の不具合を容易に確認できてこれを修正できるバリアブル印刷文書編集システム(特許文献2)、バリアブルプリンタ装置の多面割付情報を容易に作成するバリアブルプリント割付編集システム(特許文献3)、等が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−152310
【特許文献2】特開2008−134961
【特許文献3】特開2007−130947
【0004】
ところで、可変情報が含まれる印刷物は、顧客、学習者、等の個人に対して提供される印刷物であるから、その個人との好適なコミュニケーション媒体でもある。そこで個人宛のメッセージを含む印刷物を通じて顧客、学習者、等の個人に好印象を与えることは重要であり、それを可能とする印刷物が求められる。
しかしながら従来においては、可変情報が含まれる印刷物においてフォームの部分は印刷会社が版下を作成し、オフセット印刷機等を使用して印刷し、その上にモノクロプリンタで可変情報を印字していた。このため、印刷物の発注者から印刷会社に支給されるデータはテキスト及びモノクロイメージ以外にはなく、印刷物の発注者は顧客を良く知る立場でありながら、自由にフォームのデザインを行うことができないという問題があった。
一方、印刷物の発注者においては、PDF(Portable Document Format)によって簡易にフルカラー化したフォームのデザインを自分自身で提供する環境が十分に整って来ている。そして、近年フルカラーPDFを高速に出力できるプリンタが市場に出現する状況下において、印刷物の発注者が、版下部分と可変情報を含むPDFを作成して入稿し、出力を依頼することが多くなってきた。これは、フルカラー化によりグラフなど帳票自身がより複雑な形態となり、印刷物の発注者がコンサルティングでのノウハウを帳票に含めていくためには必要な流れである。しかしながら、印刷会社においては、入稿するPDF原稿そのままでは、印刷、封入封緘、区分工程等における製造管理情報を有しないため製造を行うことができないという問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記の問題を解決するために成されたものである。その目的は、フルカラー化したフォームのデザインまで自分自身で行いたいという印刷物の発注者の要望に対応し、かつ発注者から支給される原稿に基づいて印刷会社における製造を可能とするシステムとしてバリアブルPDF編集システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1に係るバリアブルPDF編集システムは、複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPDF原稿を編集するバリアブルPDF編集システムであって、製造工程を管理するための製造管理情報のカラム情報である製造管理カラム情報を設定する製造管理カラム情報設定手段と、前記設定した製造管理カラム情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する製造管理情報付加手段とを有するようにしたものである。
また、本発明の請求項2に係るバリアブルPDF編集システムは、請求項1に係るバリアブルPDF編集システムにおいて、前記可変情報に含まれている顧客情報のカラム情報である顧客カラム情報を設定する顧客カラム情報設定手段と、前記設定した顧客カラム情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿における顧客単位の枚数情報を抽出する顧客単位枚数情報抽出手段と、質量区分情報を設定する質量区分情報設定手段と、前記設定した質量区分情報と前記枚数情報に基づいて顧客単位の質量情報を演算する顧客単位質量情報演算手段と、前記演算した質量情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿を質量順に顧客単位で並び替える顧客単位質量順ソート手段とを有し、前記製造管理情報付加手段は前記並び替えたバリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する製造管理情報付加手段であるようにしたものである。
また、本発明の請求項3に係るバリアブルPDF編集システムは、請求項1または2に記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、バリアブルPDF原稿を検査するための検査プロファイルを作成する検査プロファイル作成手段と、前記作成した検査プロファイルに基づいてバリアブルPDF原稿の仕様を検査するPDF仕様検査手段と、前記検査で不良と判定されたページを含む顧客単位の全ページを除去し新たなバリアブルPDF原稿を生成する不良ページ除去手段とを有するようにしたものである。
また、本発明の請求項4に係るバリアブルPDF編集システムは、請求項1〜3のいずれかに記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、入稿したバリアブルPDF原稿の可変情報には含まれていなかった新規の可変情報を前記バリアブルPDF原稿に追記する可変情報追記手段を有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に係るバリアブルPDF編集システムによれば、複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPDF原稿を編集するバリアブルPDF編集システムであって、製造管理カラム情報設定手段により製造工程を管理するための製造管理情報のカラム情報である製造管理カラム情報が設定され、製造管理情報付加手段により前記設定した製造管理カラム情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿に製造管理情報が付加される。すなわち、PDF原稿であるから印刷物の発注者によって簡易にフルカラー化したフォームのデザインを行うことができ、そのPDF原稿に製造管理情報を付加することができるから、印刷会社における製造が可能である。したがって、フルカラー化したフォームのデザインまで自分自身で行いたいという印刷物の発注者の要望に対応し、かつ発注者から支給される原稿に基づいて印刷会社における製造を可能とするシステムとしてバリアブルPDF編集システムが提供される。
また、本発明の請求項2に係るバリアブルPDF編集システムによれば、請求項1に係るバリアブルPDF編集システムにおいて、顧客カラム情報設定手段により前記可変情報に含まれている顧客情報のカラム情報である顧客カラム情報が設定され、顧客単位枚数情報抽出手段により前記設定した顧客カラム情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿における顧客単位の枚数情報が抽出され、質量区分情報設定手段により質量区分情報が設定され、顧客単位質量情報演算手段により前記設定した質量区分情報と前記枚数情報に基づいて顧客単位の質量情報が演算され、顧客単位質量順ソート手段により前記演算した質量情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿が質量順に顧客単位で並び替えられ、前記製造管理情報付加手段は前記並び替えたバリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する。したがって、製造管理情報を付加し、かつ質量順に顧客単位で並び替えられたバリアブルPDF原稿を得ることができる。
また、本発明の請求項3に係るバリアブルPDF編集システムによれば、請求項1または2に記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、検査プロファイル作成手段によりバリアブルPDF原稿を検査するための検査プロファイルが作成され、PDF仕様検査手段により前記作成した検査プロファイルに基づいてバリアブルPDF原稿の仕様が検査され、不良ページ除去手段により前記検査で不良と判定されたページを含む顧客単位の全ページを除去し新たなバリアブルPDF原稿が生成される。したがって、PDF仕様が適合するページだけからなるバリアブルPDF原稿を得ることができる。
また、本発明の請求項4に係るバリアブルPDF編集システムによれば、請求項1〜3のいずれかに記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、可変情報追記手段により入稿したバリアブルPDF原稿の可変情報には含まれていなかった新規の可変情報が前記バリアブルPDF原稿に追記される。したがって、入稿したバリアブルPDF原稿が有していなかった可変情報を追記したバリアブルPDF原稿を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明のバリアブルPDF編集システムにおける構成の一例を示す説明図である。
【図2】本発明のバリアブルPDF編集システムにおける構成の一例を示すブロック図である。
【図3】本発明のバリアブルPDF編集システムにおける検査プロファイルの一例を示す表である。
【図4】本発明のバリアブルPDF編集システムにおける設定に係わる処理過程の一例を示すフロー図である。
【図5】本発明のバリアブルPDF編集システムにおける出力に係わる処理過程の一例を示すフロー図である。
【図6】本発明のバリアブルPDF編集システムにおいて編集し出力した管理情報付バリアブルPDFの印刷物(表ページ)の一例を示す図である。
【図7】本発明のバリアブルPDF編集システムにおいて編集し出力した管理情報付バリアブルPDFの印刷物(裏ページ)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の実施の形態について図を参照しながら説明する。本発明のバリアブルPDF編集システムにおける構成の一例を図1、図2に示す。図1、図2において、100はバリアブル編集システム、110は記憶部、111は製造管理カラム情報、112は製造管理情報、113は顧客カラム情報、114は顧客情報、115は顧客単位枚数情報質量区分情報、116は質量区分情報、117は検査プロファイル、118は顧客単位質量情報、119はPDF仕様検査結果、120は処理部、121は製造管理カラム情報設定手段、122は製造管理情報付加手段、123は検査プロファイル作成手段、124はPDF仕様検査手段、125は不良ページ除去手段、126は顧客カラム情報設定手段、127は顧客単位枚数情報抽出手段、128は質量区分情報設定手段、129は顧客単位質量情報演算手段、130は顧客単位質量順ソート手段、131は可変情報追記手段、200,200’はバリアブルPDF原稿、300,300’は追記する顧客データ、400,400’は製造管理情報付バリアブルPDF、500は並び替えたバリアブルPDFである。
本発明のバリアブルPDF編集システム100は、図1、図2に示すように、バリアブルPDF原稿200と追記する顧客データ300を入力データとし、製造管理情報付バリアブルPDF400を出力データとする編集システムである。すなわち、複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPDF原稿の編集システムである。
【0010】
バリアブルPDF原稿200は、たとえば、得意先が印刷会社へ印刷発注するときに印刷原稿として印刷会社に提供するPDF(Portable Document Format)の原稿である。バリアブルPDF原稿200は固定情報だけでなく可変情報を含む多数のページによって構成される。可変情報が含まれている印刷物としては、「背景技術」においても説明したように、ダイレクトメールにおける宛先、その宛先に応じたメッセージ(利用明細、顧客に特化した商品情報、等)、パーソナル保険システム等におけるパーソナル約款、学習者が選択した科目とその科目の学習の進展に合わせて必要とする部分だけを編集したパーソナル問題集、等である。
追記する顧客データ300は、たとえば、カスタマーバーコード(図6のカスタマーコード402参照)である。カスタマーバーコードは郵便物の宛先をバーコード化し郵便番号自動読取区分機での処理を効率化するためのバーコードである。特定の条件に一致し、機械処理が可能なようにカスタマーバーコードを印字した郵便物は一定の割引を受けることができる。その他、顧客データであって、バリアブルPDF原稿200の可変情報には含まれていない情報であれば追記する顧客データ300の対象となる。また、含まれていたとしても記載する態様を変化させるようなときには追記する顧客データ300の対象となる。
【0011】
製造管理情報付バリアブルPDF400は、バリアブルPDF編集システム100において製造管理情報112を付加する等の編集が行われた最終のデータ、すなわち印刷物と同様のイメージを有するPDFデータである。
製造管理情報112としては、たとえば、品質管理用のQRコード、処理日・回数・進行単位、ページ連番、通数連番、枚目/枚数、封入封緘識別コード、墨玉、色玉、トンボ、等である。
また、製造管理情報付バリアブルPDF400には上記の製造管理情報112だけでなく、前述したカスタマーバーコード、ユニークキーとして顧客コード、等の追記する顧客データ300も付加される。
【0012】
バリアブルPDF編集システム100は、図1に一例を示すように、パーソナルコンピュータシステム、等のデータ処理装置のハードウェアとソフトウェアによって実現することができる。バリアブルPDF編集システム100は、図2に一例を示すように、記憶部110と処理部120とを有する。
記憶部110は、図2に示す一例においては、外部から読み込んだデータとして、バリアブルPDF原稿200’、追記する顧客データ300’を有する(記憶する)。また、外部へ書き出すデータとして製造管理情報付バリアブルPDF400’を有する。また、データ処理の途中で生じるバリアブルPDFの一つとして並び替えたバリアブルPDF500を有する。データ処理の途中で生じる他のデータとして、製造管理カラム情報111、製造管理情報112、顧客カラム情報113、顧客情報114、顧客単位枚数情報115、質量区分情報116、検査プロファイル117、顧客単位の質量情報、PDF仕様検査結果119を有する。
処理部120は、図2に示す一例においては、製造管理カラム情報設定手段121、製造管理情報付加手段122、検査プロファイル作成手段123、PDF仕様検査手段124、不良ページ除去手段125、顧客カラム情報設定手段126、顧客単位枚数情報抽出手段127、質量区分情報設定手段128、顧客単位質量情報演算手段129、顧客単位質量順ソート手段130、可変情報追記手段131を有する。
【0013】
製造管理カラム情報設定手段121は製造工程を管理するための製造管理情報112のカラム情報である製造管理カラム情報111を設定する。製造管理カラム情報111は、製造に係わる属性であって、たとえば、品質管理用のQRコード、処理日・回数・進行単位、ページ連番、通数連番、枚目/枚数、封入封緘識別コード、墨玉、色玉、トンボ、等である。QRコードは処理日・回数・進行単位、ページ連番、等を機械読取(QRコードリーダでの読み取り)を可能とするために設けられる。処理日はデータ処理を行った日、回数はその日に同一品目を処理した回数、進行単位は進行単位を区分するためのコード、ページ連番はプリント単位内でのページの通し番号、通数連番は顧客単位製品のシーケンス番号、枚目/枚数は顧客単位製品内でのページの通し番号、封入封緘識別コードは名寄せ照合を行うためのコード、墨玉と色玉とトンボは多色印刷を行うときに印刷管理マークである。
製造管理情報112は、それらの属性値である。たとえば、属性である「ページ連番」の属性値は「0000001」、「0000002」、「0000003」、・・・、属性である「枚目/枚数」の属性値は「1/3」、「2/3」、「3/3」、等である。
製造管理カラム情報111は、そのような属性とともに、各々の属性をバリアブルPDF原稿200’に属性値として付与するときの配置、属性値のフォーマット(桁数等)、文字種、サイズ、等の属性を含んでいる。
製造管理カラム情報設定手段121は、OS(Operating System)上で操作可能なインターフェースを提供するGUI(Graphical User Interface)を使用し、オペレータの指示入力にしたがって、カラムの位置及び属性値を決定し、製造管理カラム情報111を設定する。
【0014】
製造管理情報付加手段122は設定した製造管理カラム情報111に基づいてバリアブルPDF原稿200’に製造管理情報112を付加する。たとえば、バリアブルPDF原稿200’が3万人の顧客に対する10万枚の印刷物に相当する原稿であるものとする。また、製造管理情報付加手段122は製造管理カラム情報111の「枚目/枚数」対する製造管理情報112を各々の顧客のバリアブルPDF原稿200’に付加するものとする。このとき、たとえば、1人目の顧客分の各枚目には「1/3」、「2/3」、「3/3」を付加し、2人目の顧客分の各枚目には「1/2」、「2/2」を付加し、3人目の顧客分の各枚目には「1/4」、「2/4」、「3/4」、「4/4」を付加し、・・・・、3万人目の顧客分の各枚目には「1/3」、「2/3」、「3/3」を付加する等の処理を製造管理情報付加手段122は行う。
製造管理情報付加手段122は、製造管理情報112を生成しながらバリアブルPDF原稿200’に付加することができる。また、バリアブルPDF原稿200’のすべてのページと製造管理カラム情報111のすべての属性に対応させて製造管理情報112を生成させ、バリアブルPDF原稿200’にその生成した製造管理情報112を付加することができる。
【0015】
検査プロファイル作成手段123は印刷物の発注者から印刷会社に入稿したバリアブルPDF原稿200’を検査するための検査プロファイル117を作成する。バリアブルPDF原稿200’の検査はそのすべてのページが適正な仕様(設定内容、様式、等)で統一されており、それに基づいて適正な印刷物を得ることができるか否かを判定するための検査である。
検査プロファイル117は、製造条件(印刷機、封入封緘機、等のすべての製造工程における条件)とサンプリングしたバリアブルPDF原稿に基づいて決定する検査の具体的な内容である。検査プロファイル117の一例を表として図3に示す。図3においては、チェック項目とエラー例が示されている。チェック項目としては1.プロセスカラー、2.フォントスタイル、3.埋め込みフォント、4.文字サイズ、5.線画、6.画像位置、7画像解像度、8.レイヤー、9.QRコード、10.装飾、11.オーバープリント、12.透明オブジェクト、13.ファイル名が挙げられている。
【0016】
チェック項目1.プロセスカラーのエラー例(エラー内容)としては(1)RGBが使用されている、(2)キャリブレーション済みのグレーまたはRGBが使用されている、(3)Labカラーが使用されている、(4)ICCベースカラーが使用されている、(5)特色が使用されている、が挙げられている。当然ながら、印刷においてはプロセスカラー(YMCK)だけが一般的に使用可能である。
チェック項目2.フォントスタイルのエラー例(エラー内容)としては(1)擬似ボールドスタイルが使用されている。(2)擬似イタリックスタイルが使用されている。(3)擬似アウトラインスタイルが使用されている、が挙げられている。当然ながら、可変情報の印刷機(たとえばインクジェットプリンター)によって印字が可能なフォントスタイルだけが使用可能である。
チェック項目3.埋め込みフォントのエラー例(エラー内容)としては(1)フォントが埋め込まれておらず、アウトライン化もされていない、が挙げられている。当然ながら、印字を行うためには。フォントが埋め込まれているか、アウトライン化もされている必要性がある。
図3に示す他のチェック項目についても同様であり、図3における記述内容により理解は容易であるから説明を省略する。
【0017】
PDF仕様検査手段124は作成した検査プロファイル117に基づいてバリアブルPDF原稿200’の仕様を検査する。PDF仕様検査手段124はバリアブルPDF原稿200’の全ページに対して、検査プロファイル117におけるすべてのチェック項目に関するチェックを実行しPDF仕様検査結果119を生成する。PDF仕様検査結果119は、バリアブルPDF原稿200’の各ページに対応させて、エラーの有無と、エラーが有るときには、そのエラーの内容を記述するファイルである。
不良ページ除去手段125は、そのPDF仕様検査結果119に基づいて、検査で不良と判定されたページを含む顧客単位の全ページを除去した新たなバリアブルPDF原稿(図示せず)を生成する。不良ページ除去手段125はPDF仕様検査手段124が生成したPDF仕様検査結果119を参照しながら不良ページを含む顧客単位の全ページを除去する。
【0018】
顧客カラム情報設定手段126はバリアブルPDF原稿200’の可変情報に含まれている顧客情報114のカラム情報である顧客カラム情報113を設定する。顧客カラム情報113は、一人一人の顧客に係わる属性であって、たとえば、レコードキー、顧客キー(顧客ID番号等のユニークキー)、住所、氏名、郵便番号、電話番号、等である。顧客情報114は、それらの属性値である。たとえば、属性である「氏名」の属性値は「日本 太郎」、「日本 花子」、等である。
また、顧客カラム情報設定手段126は追記する顧客データ300’についても顧客情報114と同様の処理を行う。
顧客カラム情報113は、そのような属性とともに、各々の属性が付与されているバリアブルPDF原稿における位置、属性値のフォーマット(桁数等)、文字種、サイズ、等の属性を含んでいる。
顧客カラム情報設定手段126は、GUIを使用しバリアブルPDF原稿における可変情報を表示し、その表示に対するオペレータの指示入力にしたがってそのような属性を決定し、顧客カラム情報113として設定する。
【0019】
顧客単位枚数情報抽出手段126は設定した顧客カラム情報113に基づいてバリアブルPDF原稿における顧客単位枚数情報115を抽出する。たとえば、顧客カラム情報113における「顧客キー」が同一であるバリアブルPDF原稿のページから枚数を算出することによって顧客単位枚数情報115を抽出することができる。顧客単位枚数情報115は、たとえば、顧客キーと枚数をカラム情報(属性)とする表形式データ(リレーション)として得ることができる。
【0020】
質量区分情報設定手段128は質量区分情報116を設定する。質量区分情報116は、たとえば、バリアブルPDF原稿を顧客キー単位で枚数ごとに集約し、重量区分単位にバリアブルPDF原稿を分割するために使用される。質量区分情報116は、たとえば、用紙の枚数と重量との関係を用紙の種類ごとに定めたデータである。質量区分情報設定手段127は、GUIを使用し、オペレータの指示入力にしたがって質量区分情報116を設定する。具体例としては、質量区分情報設定手段127は、料金割引が適用される郵便物における重量区分(たとえば、25g以下、50g以下、等)に対応して、ある種類の用紙については、1〜6枚は25g以下、7〜12枚は25〜50g、13〜18枚は75g、19〜24枚は100g、25枚以上は定形外というように質量区分情報116を設定する。
【0021】
顧客単位質量情報演算手段128は設定した質量区分情報116と抽出した顧客単位枚数情報115に基づいて顧客単位質量情報118を演算する。顧客単位質量情報118は、たとえば、顧客キーと枚数と質量(または質量区分)をカラム情報(属性)とする表形式データ(リレーション)として得ることができる。
なお、複数の種類の用紙を使用するときには、用紙の種類と枚数から決まる質量をすべての種類の用紙について合算した後に、料金割引が適用される郵便物における重量区分にしたがって質量区分を行う。
顧客単位質量順ソート手段130は演算した顧客単位質量情報118に基づいてバリアブルPDF原稿を質量順に顧客単位で並び替える。この並び替えによって並び替えたバリアブルPDF原稿500を得る。この並び替えを行って得たバリアブルPDF原稿500のファイルは1つのファイルとしてもよく、また料金割引が適用される郵便物における重量区分にしたがって分割した複数のファイルとしてもよい。分割したファイル単位で印刷、封入封緘した製品(郵便物)は、そのロットのすべてが同一重量区分となるから郵送手続までの処理が簡単となり間違いがなくなる。
【0022】
可変情報追記手段131は入稿したバリアブルPDF原稿の可変情報には含まれていなかった新規の可変情報を前記バリアブルPDF原稿に追記する。可変情報追記手段131による追記は、前述した製造管理情報付加手段122等によって行われる管理情報の付加と同様の処理によって行うことができる。追記する新規の可変情報は顧客に係わるデータが多く、図2における追記する顧客データ300’がそれである。具体例としてはカスタマーバーコードを挙げることができる。カスタマーバーコードは宛先の住所を表すバーコードであって、料金割引を受けようとする場合に発送者があらかじめ郵便物に印刷するバーコードである。カスタマーバーコードは顧客情報114における住所と対応しているから、可変情報追記手段131は顧客情報114を参照してカスタマーバーコードを生成し追記する顧客データ300’として記憶部110に記憶することができる。
【0023】
なお、図2には示していないが、本発明のバリアブルPDF編集システムは面付・分割単位設定手段を有する。面付・分割単位設定手段は、編集の最終段階のバリアブルPDF原稿(たとえば、前述の顧客単位質量順ソート手段130が重量区分にしたがって分割した複数のファイル)に対して、その各ページを印刷するときの面付、すなわち多面付(帳票印刷においては通常は2面付)するときの面付け(配置)を設定する。また、面付・分割単位設定手段は編集の最終段階のバリアブルPDF原稿に対して、ロール単位に分割したPDF(製造管理情報付バリアブルPDF400’)を出力するための設定を行う。ロール単位というのは、印刷用巻取紙であるロールの全幅全長、一本のロールに印刷可能なページ数、封入封緘機の仕様、等の印刷条件によって決めるファイルのデータサイズのことである。
【0024】
以上、構成について説明した。次に、本発明のバリアブルPDF編集システムにおける動作について説明する。その動作は、バリアブルPDF原稿200’に対してデータ処理の内容を設定する設定過程と、設定したデータ処理の内容に基づいて製造管理情報付バリアブルPDF400’を生成し出力する出力過程の2つを含んでいる。
まず、設定過程について説明する。本願発明のバリアブルPDF編集システムにおける設定に係わるデータ処理の過程をフロー図として図4に示す。
まず、図4のステップS1(検査プロファイル作成)において、検査プロファイル作成手段123は、オペレータによるGUIを介した指示入力に従って、バリアブルPDF原稿200’を検査するための検査プロファイル117を作成する。
次に、ステップS2(顧客カラム情報設定)において、顧客カラム情報設定手段126は、オペレータによるGUIからの指示入力に従って、バリアブルPDF原稿200’の可変情報に含まれている顧客情報114のカラム情報である顧客カラム情報113を設定する。
次に、ステップS3(質量区分情報設定)において、質量区分情報設定手段128は、オペレータによるGUIからの指示入力に従って、質量区分情報116を設定する。
次に、ステップS4(製造管理カラム情報設定)において、製造管理カラム情報設定手段121は、オペレータによるGUIを介した指示入力に従って、製造工程を管理するための製造管理情報112のカラム情報である製造管理カラム情報111を設定する。
次に、ステップS5(可変情報追記設定)において、顧客カラム情報設定手段126は、オペレータによるGUIを介した指示入力に従って、追記する顧客データ300’、等における追記する可変情報を設定する。
次に、ステップS6(面付・分割単位設定)において、面付・分割単位設定手段は面付・分割単位を設定する。
【0025】
次に、出力過程について説明する。本願発明のバリアブルPDF編集システムにおける出力に係わるデータ処理の過程をフロー図として図4に示す。
まず、図5のステップS101(バリアブルPDF原稿チェック)において、PDF仕様検査手段124は作成した検査プロファイルに基づいてバリアブルPDF原稿の仕様を検査する。そしてPDF仕様検査手段124はPDF仕様検査結果119を生成する。さらに、不良ページ除去手段125はそのPDF仕様検査結果119に基づいてその検査で不良と判定されたページを含む顧客単位の全ページを除去した新たなバリアブルPDF原稿(図示せず)を生成する。
次に、ステップS102(顧客単位枚数情報算出)において、顧客単位枚数情報抽出手段127は設定した顧客カラム情報に基づいて上記の新たなバリアブルPDF原稿における顧客単位の枚数情報を抽出する。
次に、ステップS104(重量区分情報ソート)において、顧客単位質量情報演算手段129は設定した質量区分情報と枚数情報に基づいて顧客単位の質量情報を演算する。さらに、顧客単位質量順ソート手段130は演算した質量情報に基づいて上記の新たなバリアブルPDF原稿を質量順に顧客単位で並び替える。
次に、ステップS104(管理情報の付与)において、製造管理情報付加手段122は設定した製造管理カラム情報111に基づいて上記の並び替えたバリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する。
次に、ステップS105(可変情報追記)において、可変情報追記手段131は入稿したバリアブルPDF原稿200’の可変情報には含まれていなかった新規の可変情報(追記する顧客データ300’、等)を上記の並び替えたバリアブルPDF原稿に追記する。
次に、ステップS106(面付・分割)において、面付・分割単位処理部は面付・分割単位の設定に基づいて上記の追記したバリアブルPDF原稿に対して面付・分割単位の処理を行う。
次に、ステップS107(製造管理情報付バリアブルPDF出力)において、上記の面付・分割単位の処理によって得られた製造管理情報付バリアブルPDF400’を記録媒体または、外部のシステム(印刷機、等)に製造管理情報付バリアブルPDF400として出力する。
次に、ステップS108(ログファイル生成)において、上記出力過程におけるログファイル(図示せず)を生成し記憶部110に記憶する。ログファイルには、バリアブルPDF原稿200’の仕様を検査するステップ(ステップS101)において除去された理由(図3に示すエラー内容、等)とページを特定することができる情報、出力した製造管理情報付バリアブルPDF400’、400の仕様、製造年月日、製造番号、等が含まれている。
【0026】
製造管理情報付バリアブルPDF400’、400を印刷出力したページの一例を図6、図7に示す。図6は表ページ、図7は裏ページである。図6、図7に示すように、印刷用紙はピントラクターにより送り量を規制することが可能なピン孔を有する帳票用紙である。
図6、図7において、401はバリアブルPDF原稿200’、200に存在する宛先(住所氏名)である。402は追記する顧客データ300’、300の1つのカスタマーコードである。403,404は顧客情報114の1つの顧客コードである。顧客コードは、図6、図7に示す一例においては、「0030」が印字されている。そこに「顧客コード」と印字されているが、判り易いように示したものであって、実際の印刷物には「0030」だけが印字されている。
【0027】
また、411以降は製造管理情報112であり、419までが表ページ、それ以降が裏ページである。411は枚目/枚数、412は処理日‐回数‐進行単位、413は通数連番、414は管理情報のQRコード、415は通しページ連番のバーコード(たとえば、JIS−X−0503として規格化されたNW7)、416は各印刷色の通しページ連番、417は見当マーク(トンボ)、418はページ連番のQRコード、419はページ連番、420は見当マーク(トンボ)、421は各印刷色の通しページ連番、422は通しページ連番のバーコード(、423はページ連番のQRコード、424はページ連番である。
枚目/枚数411としては、上述の「顧客コード」と同様に、実際の印刷物には「0001/0001」だけが印字されている。処理日‐回数‐進行単位412としも「123456−0011−0001」だけが印字されている。同様に、通数連番413としては「999999999」、QRコード414はQRコードそのもの、通しページ連番のバーコード415,422としてはバーコードそのもの、各印刷色の通しページ連番416,421としては「999999」、ページ連番のQRコード418,423としてはQRコードそのもの、見当マーク417,420はとしてはトンボそのもの、ページ連番のQRコード418としてはQRコードそのもの、ページ連番419,424としては「0000009」だけが印字されている。
【産業上の利用可能性】
【0028】
不特定多数ではなく、個人を識別できるレベルの顧客に対して、ダイレクトメール、法律的に義務づけられた帳票の発送、電子帳票情報を配信する業務、等において利用可能である。
【符号の説明】
【0029】
100 バリアブル編集システム
110 記憶部
111 製造管理カラム情報
112 製造管理情報
113 顧客カラム情報
114 顧客情報
115 顧客単位枚数情報
116 質量区分情報
117 検査プロファイル
118 顧客単位質量情報
119 PDF仕様検査結果
120 処理部
121 製造管理カラム情報設定手段
122 製造管理情報付加手段
123 検査プロファイル作成手段
124 PDF仕様検査手段
125 不良ページ除去手段
126 顧客カラム情報設定手段
127 顧客単位枚数情報抽出手段
128 質量区分情報設定手段
129 顧客単位質量情報演算手段
130 顧客単位質量順ソート手段
131 可変情報追記手段
200,200’ バリアブルPDF原稿
300,300’ 追記する顧客データ
400,400’ 製造管理情報付バリアブルPDF
401 宛先(住所氏名)
402 カスタマーコード
403,404 顧客コード
411 枚目/枚数
412 処理日‐回数‐進行単位
413 通数連番
414 管理情報のQRコード
415,422 通しページ連番のバーコード
416,421 各印刷色の通しページ連番
417,420 見当マーク(トンボ)
418,423 ページ連番のQRコード
419,424 ページ連番
500 並び替えたバリアブルPDF

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の顧客の各々に対応する可変情報を含むバリアブルPDF原稿を編集するバリアブルPDF編集システムであって、
製造工程を管理するための製造管理情報のカラム情報である製造管理カラム情報を設定する製造管理カラム情報設定手段と、
前記設定した製造管理カラム情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する製造管理情報付加手段と、
を有することを特徴とするバリアブルPDF編集システム。
【請求項2】
請求項1に記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、前記可変情報に含まれている顧客情報のカラム情報である顧客カラム情報を設定する顧客カラム情報設定手段と、
前記設定した顧客カラム情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿における顧客単位の枚数情報を抽出する顧客単位枚数情報抽出手段と、
質量区分情報を設定する質量区分情報設定手段と、
前記設定した質量区分情報と前記枚数情報に基づいて顧客単位の質量情報を演算する顧客単位質量情報演算手段と、
前記演算した質量情報に基づいて前記バリアブルPDF原稿を質量順に顧客単位で並び替える顧客単位質量順ソート手段と、
を有し、前記製造管理情報付加手段は前記並び替えたバリアブルPDF原稿に製造管理情報を付加する製造管理情報付加手段であることを特徴とするバリアブルPDF編集システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、 バリアブルPDF原稿を検査するための検査プロファイルを作成する検査プロファイル作成手段と、
前記作成した検査プロファイルに基づいてバリアブルPDF原稿の仕様を検査するPDF仕様検査手段と、
前記検査で不良と判定されたページを含む顧客単位の全ページを除去し新たなバリアブルPDF原稿を生成する不良ページ除去手段と、
を有することを特徴とするバリアブルPDF編集システム。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のバリアブルPDF編集システムにおいて、入稿したバリアブルPDF原稿の可変情報には含まれていなかった新規の可変情報を前記バリアブルPDF原稿に追記する可変情報追記手段を有することを特徴とするバリアブルPDF編集システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−198403(P2010−198403A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−43432(P2009−43432)
【出願日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】