説明

バリア布

【課題】 耐久性並びに耐汚れ性及び耐水性と共に、家族用乗用車に望まれている心地よい審美的外観を有し、更に望ましくは難燃性及び耐UV退色性を有するバリア布を提供する。
【解決手段】 第1面及び第2面を有する布基材、布基材の少なくとも第1面に配置された低表面エネルギー防汚化合物、布基材の第2面上に配置されたポリマー安定化層、ポリマー安定化層上に配置された、弾性成分を含むポリマー物質からなる接着剤、接着剤の上に配置されたバリアフィルムを含んでなるバリア布。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バリア布に関する。
【背景技術】
【0002】
布を清浄化可能かつ耐液体性にして液体汚れが生じ得る環境でより有用であるようにする試みが、これまで数多く行われてきた。ビニル(樹脂)被覆布地は、比較的簡単に清浄化でき、かなり低価格であるので、そのような目的に最も広く利用されてきた。そのような布地は、一般に、ビニル表面が外側面又は使用者に触れる表面を形成するように、目の粗い布にビニル被覆を適用することにより、製造される。しかしながら、そのようなビニル被覆布地は、典型的にかなり感触が硬く、自動車、レストラン、療養施設などの、心地よさや使用者による視覚的認知が重要と考えられる環境での使用にとって望ましい外観や触感を有していない。更に、ビニルは、使用者の肌に不快感を与える傾向があり、また、ビニルは連続した非通気性表面を形成するので、シートと使用者との間に汗を溜めることがある。加えて、ビニル表面は、非常に熱くなることがあり、ある状況では座るのに不快であり、痛みさえ感じることがある。
【0003】
表面ラミネート布地は、布の審美的特性を高めるために使用されているが、ラミネートフィルムと布自体との間の一般に分離性の接着の故に、そのような製品は、長期間使用すると、剥がれ、亀裂が生じ、層剥離する。そのようなラミネート製品は、標準的な室内製品の一般的に望ましい感触を有していない。加えて、布基材への液体バリアフィルム又は塗膜の接着は、フッ素化合物で汚れ防止処理を行おうとする場合、一層困難になる。何故なら、そのような化合物は、その本質的性質として、適用された塗布液をはじく傾向があるからである。
【0004】
上述した従来技術の材料の多くの欠点を克服するが、現在の方法で製造された布は、ある最終用途、特に複雑に成形された輸送用車両の座席形状などにとって最適であるよりは柔軟性及びしなやかさが劣る。(自動車及びトラックに関連して先にある程度説明したが、本明細書及び請求項で用いる「輸送用乗物の座席」なる用語は、船、航空機、ヘリコプター、自転車及びオートバイ、列車、トラクター、ブルドーザーの様な機械(これらに限定されない)を含む全ての種類の乗物の座席及び他の表面を包含するものである。)
【0005】
上記のような多数の望ましい性質を有する布を得るために開発された1つの方法は、
1997年2月12日出願の米国特許出願第08/799,790号(米国特許第5,899,798号(Kimbrell, Jr. ら)として1999年5月4日に発行)の部分継続出願である1999年4月6日出願の米国特許出願第09/286,797号(米国特許第6,136,730号(Kimbrell, Jr. ら)として2000年10月24日に発行)の継続出願である2000年7月25日出願の米国特許出願第09/625,474号の部分継続出願である2001年5月23日出願の米国特許出願第09/864,461号(発明者:Demottら)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第5,899,798号
【特許文献2】米国特許第6,136,730号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、清浄化可能でかつ耐液体性であり、輸送用乗物の座席のような用途での使用が可能になるような優れた難燃性を有し、良好な柔軟性を含む優れた審美特性を有する布がなお求められている。
【0008】
上記に照らして、本発明の広い目的は、輸送用乗物において使用でき、スポーツ・ユーティリティ・ビークルに一般的に望まれている耐久性並びに耐汚れ性及び耐水性と共に、家族用乗用車に望まれている心地よい審美的外観を有し、更に望ましくは難燃性及び耐UV退色性を有する布を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、耐汚染性と流体バリア性の両方を有し、しかも従来の室内装飾用布のようにドレープ性(被覆性)を発揮する布を提供することである。なお、良好なドレープ性とは、布の柔軟性及び/又は布の剛さ欠如を意味する。
【0010】
本発明の他の目的は、上記の性質を有する布を経済的かつ効率的に製造できる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明は、従来の未処理布に一層匹敵するドレープ性を有しながら、耐汚染性及び流体バリア性の独特の組み合わせを有する布を提供する。このようにすると、布は、占有者サポート表面を形成するのに使用した場合に快適であるのみならず、布は、複雑に構成された座席形状のような用途にも使用することができる。加えて、布は、望ましくは、高水準の耐UV退色性及び難燃性を有し、通常の座席用発泡体材料に対して良好な結合を形成するので、布は、自動車用座席の製造に特に有用である。
【0012】
更に、布は、所望される付加的な性能特性を付与するために、付加的な物質、例えば帯電防止剤、抗菌剤などを受け入れることができる。布は、低表面エネルギー防汚化合物により処理された繊維布を供給し、布基材と協働して、ASTM D751 (2001) に従って試験して少なくとも約0.55lbs/in、好ましくは約1lbs/in以上の結合強さ、少なくとも約50mb、より好ましくは少なくとも約100mbの静水耐圧性、及びAATCC Test Method 118-1997 に従って試験して約3以上の油評点(oil rating;撥油性)を有する布を提供する物質の少なくとも1層、好ましくは2層又はそれ以上を適用することにより、製造することができる。好ましくは、布は、SAE J1885 MAR92 に従って測定して、4インチ未満の燃焼速度、及び225kjで約4.0又はそれ以下のΔE(良好な耐UV耐色性を示す)も有する。
【0013】
方法の1つの態様において、低表面エネルギー防汚化合物は、布表面の少なくとも一方に供給され、安定化物質、例えばアクリル材料は、布表面の他方に適用される。接着物質は、安定化物質に適用され、その接着物質は、バリア材料を構造物に結合するのに役立つ。別の態様では、安定化層は省略され、布が自動車産業での難燃性基準を達成できるように、FR(難燃)添加剤を、バリア材料及び/又は接着材料に加えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下における本発明の詳細な説明では、本発明を十分かつ完全に理解できるように、本発明のある好ましい態様について記載する。これは、本発明を記載した特定の好ましい態様に限定することを意図しておらず、発明の説明において特定の用語を使用することがあるが、そのような用語は、具体的に説明するために使用しているのであって、限定のために使用しているのではない。
【0015】
本発明は、良好な清浄可能性、流体バリア性、難燃性及び耐久性を有しながら、繊維布の風合い及びドレープ性(柔軟性/しなやかさにより示される)を有する布を提供することにより、従来の布の欠点を解消する。加えて、本発明は、経済的かつ効率的にそのような布を製造する方法も開示する。更に、本発明の布は、付加的な特性、例えば耐UV性、抗菌性などを有するように製造することができる。
【0016】
望ましくは、本発明の布は、低表面エネルギー防汚化合物、例えばフッ素化合物により化学的に処理された布基材、及び清浄可能性、流体バリア特性、難燃性及び耐久性の独特の組み合わせを布に与える1つ又はそれ以上の付加層を有する。本発明の1つの態様において、布は、耐UV退色性も有する。好ましくは、布は、AATCC Test Method 118-1997 に従って試験して約3以上の油評点(oil rating)により示される良好な清浄可能性、AATCC Test Method 127-1998 に従って試験して少なくとも約50mb、より好ましくは少なくとも約100mbの静水耐圧性、FMVSS-302 (Federal Motor Vehicle Safety Standard) に従って試験して約4in/min (インチ/分)未満の燃焼速度、ASTM D751 に従って試験して約0.55lbs/in以上の結合強さを有する。この用途に特に好ましいのは、約4以上、より好ましくは約5以上の油評点を有する布である。
【0017】
上記のように、布は、望ましくは良好な流体バリア性を有する。そのためには、布は、AATCC Test Method 127-1998 に従って試験して少なくとも約50mb、より好ましくは約100mb以上、更に好ましくは約125mb以上、一層好ましくは約150mb以上の静水耐圧性を有する。本発明の特に好ましい態様では、布は、約200mb以上の静水耐圧性を有する。加えて、布は、望ましくは、AATCC Test Method 22-1996 に従って試験して、少なくとも約70、より好ましくは少なくとも約75、一層好ましくは約80の噴霧評点(Spray Rating)を有する。このようにすると、布は、こぼれた液体に耐えることができ、土埃、食品などと接触した場合にもホースで水洗いできるので、最終用途、例えばハイブリッド輸送用車両のための上記自動車用シートとして、良好に機能することができる。
【0018】
本発明の別の態様において、望ましくは、布は、自動車内装のような用途のために、良好な難燃性を有する。現行の政府の標準規格は、自動車内装用途に用いる材料は約4in/min 未満の燃焼速度を有すると規定している。本発明により製造された布は、この難燃性基準を達成でき、それを上回ることさえある。本発明の1つの態様において、布は、長さ方向及び幅方向それぞれで、4in/min 未満、より好ましくは各方向で約3in/min 未満、一層好ましくは各方向で約2in/min 未満の燃焼速度を有する。また、本発明のある態様では、布は、長さ方向及び幅方向それぞれで、約1in/min 未満の難燃性を有するように製造でき、ある場合には、長さ方向及び幅方向の一方又は両方で自消性であってよい。
【0019】
また布は、望ましくは良好な安定性をも有し、層間剥離及び剥がれに抵抗性を示す。この高い結合強さにより、布は、従来のタイプのバリア布により達成されるよりも優れた洗濯性を達成できるものと考えられる。「洗濯性」とは、布が、家庭用洗剤と温度条件、より好ましくは産業的条件(これは、当業者によれば、布をより厳しい温度及び/又は洗剤に暴露すると理解されている)を使用した通常の洗濯機による洗濯に耐えることができることを意味する。更に、望ましくは布は、通常のシート布裏打ち材料、例えばポリウレタン発泡体と強い結合を形成することができる。当業者なら容易に理解できるように、そのような発泡体は、通常、シート材料の裏面に供給され、付加的なクッション性を与え、座席の使用者をシート形成部品、例えばバネから保護するのを補助する。望ましくは、布は、一般的にシート材料裏打ちとして使用されている種々のポリウレタン発泡体に固定してASTM D751 (2001) に従って試験した場合、少なくとも約0.55lbs/in、好ましくは少なくとも約0.75lbs/inの結合強さを有する。この結合強さは、布構造体が強固に一体結合され、発泡体が布に強固に結合されていることを示す。さらに好ましくは、発泡体−布は、約1lbs/in以上、一層好ましくは約1.1lbs/in以上の結合強さを有する。当業者なら容易に理解できるように、輸送用乗物の製造業者は、通常、少なくとも0.55lbs/inの全体的結合強さを要求する。従って、本発明の布により達成される高い結合強さにより、本発明の布を輸送用乗物の座席の製造に使用することが可能になる。
【0020】
また本発明の布は、望ましくは、従来技術のバリア布に比べて優れている審美的特徴に寄与することになる良好な柔軟性を有する。特に、布は、好ましくは、ASTM D 1399 (1966), Test Method for Stiffness of Fabrics, Option A に従って測定して、布表面を上向きにした場合及び又は下向きにした場合の両方で長さ方向及び幅方向のいずれでも、約120mm以下、より好ましくは約100mm以下の曲げ長さ剛性(曲げ長さ)を有する。さらに好ましくは、布は、表面を上向きにして試験した場合に、約80mm未満、一層好ましくは約60mm未満の曲げ長さ剛性を有する。当業者なら理解できるように、良好な柔軟性は、造形製品の製造に布を用いるのを容易にするばかりでなく、シートのような製品の快適性を増す。更に、うまくドレープできる布の性能は、発泡体裏打ち又は所望の他の付加的材料の適用を容易にする。加えて、布は、付加的な成分、例えば抗菌剤、帯電防止剤などの配合により、付加的な特性を有することができる。付加的な成分は、他の層の中に含ませて、又は別の操作により、適用することができる。
【0021】
上記のように、本発明の布は、清浄可能性、流体バリア性、難燃性及び柔軟性を含む特性の独特の組み合わせを有する。その為には、布は、防汚性を有する布基材を含んでいる。好ましくは、布基材の防汚性は、低表面エネルギー防汚化合物、例えばフッ素化合物仕上げ剤により実現される。
【0022】
布は、既知の方法により製造することができる。既知の方法には、織り、編み、組み、不織布製造法、繊維の熱結合、これらの組み合わせが含まれる。例として、以下で説明する布は、織布であるが、他の種類の布も本発明において使用することができることは言うまでもない。織布を使用する場合、布は、平織りであっても、例えばジャカード織り又はドビー織りにより模様を含むように織られていてもよい。本発明の多くの形態において、比較的「密な」布構造を使用することが好ましい。この「密な」布構造は、布が、布構造を構成する隣接した繊維又はヤーンの間に大きい空間を有さないことを意味する。当業者なら容易に理解できるように、そのような構成は、特定の布製造方法及び装置、及び/又は下流での加工方法、例えば熱定着又はヒートセットの選択により、達成できる。布基材は、特定の最終用途にとって望ましい任意の重さを有し得る。布を輸送用乗物最終用途で使用する場合、約5〜6オンス/平方ヤードの重さ、より好ましくは約8オンス/平方ヤードの重さを有するのが好ましいことが分かっている。
【0023】
布は、あらゆる種類の繊維及び/又はヤーンから製造することができ、繊維及び/又はヤーンは、特定の布及び予定される最終用途について布特性を最適化するように選択される。例えば、溶液(原液)染色されたポリエステルヤーンは、本発明の布において優れた性能を発揮することが分かっている。しかしながら、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン及びアクリルのような合成材料、及び綿、ウールのような天然繊維を含む他の種類の材料も使用できるが、これらに限定されない。更に、布基材は、所望によりパルプ繊維を含み又はパルプ繊維から本質的に形成されてよい。また、ヤーン寸法は、特定の用途に対して布を最適化するように選択することができる。例えば、太デニール、細デニール、分割性繊維、ミクロデニール繊維、紡績又はフィラメントファイバ、テキスチャード加工及びフラットファイバ、並びにこれらの組み合わせを、本発明において使用することができる。さらに、布は、フラットタイプ布(例えば平織り布)、フラシ天又はパイル布、若しくはスエード調布であってもよい。本発明のある態様では、毛羽立ち表面を有する布基材が最終構造において特に望ましい結合強さを有する傾向があることが見出されている。そのような毛羽立ち表面は、この技術分野では既知であり、例えば、布構造に毛羽立ちヤーンを含ませること、布構造を構成するヤーンを機械的又は化学的に研磨することなどにより、得ることができる。例えば、本発明において優れた機能を発揮することが見出されているヤーンの1種は、Albi-type テキスチャード加工ヤーンであり、これは、多数の微小繊維(フィブリル)から形成された毛羽立ち表面を有するテキスチャード加工ヤーンである。
【0024】
布基材は、好ましくは着色される。これは、Hunter Color Eye(この装置は、当業者には周知である)により分析した場合、布の色が、約93以下のL値を有することを意味する。本発明の好ましい形態では、布基材は、溶液染色繊維及び/又はヤーン、例えば、望ましい耐光性及びリサイクル性を有することが知られている溶液染色ポリエステル、又は塩素漂白剤との接触による変色に対する良好な耐性を有する溶液染色ナイロンを含ませることにより、着色できる。しかしながら、着色繊維基材を与える他の方法も、本発明で使用でき、そのような方法には、他の染色方法、例えばパッケージ染色、ヤーン染色などにより染色されたヤーンの使用、又は、限定されないがピース染色、サーモゾル染色、ジェット染色、レンジ染色などを含む不連続、連続若しくは半連続染色方法による布基材の染色が含まれるが、これらに限定されない。加えて、布基材は、既知の方法により、プリント又は着色され得る。
【0025】
上記のように、布基材は望ましくは防汚特性を有する。その為に、布基材及び/又は布基材を構成する要素は、防汚化合物、例えば低表面エネルギー防汚化合物により処理することができる。好ましくは、防汚化合物は、フッ素化合物(好ましくは、高耐久性高撥水撥油性フッ素化合物)を含むか、又はそれから本質的になり、該化合物は、繊維基材の少なくとも第1表面に適用される。例えば、低表面エネルギー防汚化合物は、化合物が適用される表面にのみ化合物を保持するように設計された方法(例えば、ある種の発泡、ロール塗布、噴霧など)より布に適用することができ、若しくは、該化合物は、布全体に(例えば、パジングにより)適用するか、又は両布基材表面それぞれに片面塗布により適用して、布の両面に適用することができる。あるいは、布は、例えば低表面エネルギー防汚化合物を布製造の前にヤーンに適用することにより該化合物で処理された要素から製造することができる。上記のように、低表面エネルギー防汚化合物の適用は、一般に、布基材が付加的な材料に接着する能力を低下させ、可燃性を増す。しかしながら、この化合物は、材料に良好な防汚性及び清浄化可能特性を与える。
【0026】
本発明の1つの態様では、低表面エネルギー防汚化合物で処理した布基材は、次いで、安定化層により処理される。この安定化層は、好ましくは、ラテックス及び/又は溶媒系ポリマー、プラスチゾル、及び/又は他のポリマー塗膜の層である。好ましくは、安定化層は、約10℃未満のガラス転移温度Tgを有するアクリルラテックスから本質的になるか、または含む。本発明の特に好ましい形態では、このアクリル層は、本質的に、又は難燃性化合物の配合により、難燃性にされる。適当な難燃性化合物には、環式ホスホネート、ハロゲン化パラフィン、臭素化環式化合物など、又はこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。この層は、布基材の寸法安定性を改良し、毛玉を少なくし、要素であるヤーン及びファイバが例えばかぎ裂きにより布基材から簡単に抜け落ちるのを防止する。好ましくは、この層は、約0.25〜7.5オンス/平方ヤード、より好ましくは約2オンス/平方ヤードの水準で適用される。使用する布基材の一方の面のみが低表面エネルギー防汚化合物により処理されている場合、好ましくは、アクリルは布基材の他方の面に適用される。アクリルは、既知の方法により適用でき、既知の方法には、塗装、噴霧塗布法、押出法、ロール又はキスロール塗布法、発泡などが含まれるが、これらに限定されない。好ましくは、安定化層は、連続層として適用されるが、所望により、不連続的に、例えばランダム又は所定のパターンで、供給することができる。ナイフ塗布は、良好な連続被覆を布基材に供給するので、好ましい適用方法である。望ましくは、アクリルは、好ましくは約300°F〜400°F、より好ましくは約350°Fの温度においてテンター内で加工することにより、乾燥される。
【0027】
本発明のこの態様では、次いで、望ましくは接着剤物質を安定化物質で処理した布基材に適用する。接着剤は、望ましくは弾性成分を含んでいるポリマー物質である。使用できる接着剤物質の例は、メタロセンポリエチレン、アクリレートポリマー(例えば、メタクリレートポリマー)、ポリウレタン、ポリプロピレン組成物、PETポリエステル組成物、ポリブチレンテレフタレート(PBT)ポリエステル組成物、ポリエチレンエラストマー、ポリウレタン、エラストマー性ポリエチレン、及びこれらの組み合わせ又はブレンドである。特に好ましい本発明の形態では、接着剤物質は、メタロセンポリエチレン接着剤である。接着剤を適用する厚さ及び適用方法は、使用する装置の形式、使用する接着剤の種類、及び予定される布の用途に応じて、製造業者により選択されるが、接着剤の厚さは、通常約0.1〜5ミル、より好ましくは約0.5〜3ミルである。本発明のこの特定の態様については、メタロセンポリエチレンを、押出塗布法により約1〜2ミルの厚さで適用すると、最終用途にとって優れた製品、例えば輸送用乗物の座席を製造できることが見出されている。
【0028】
次いで、望ましくはバリア物質が接着剤物質層に適用される。使用できるバリア物質の例には、ウレタン、ポリエステル、ポリオレフィン、オレフィンコポリマー、ゴム(天然及び合成ゴム)、シリコーン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、これらの可塑化物、並びにこれらの組み合わせ及びブレンドが包含される。バリア物質は、結合強さを維持しかつ層間剥離を防止するために、好ましくは、布の引張弾性率よりも小さい引張弾性率を有する。本発明のこの特定の態様では、メタロセンポリエチレン層により布構造に積層された厚さ1〜2ミルのポリエステルポリウレタン又はポリエーテルポリウレタンフィルムが、望ましい最終製品を与えることが見出されている。この態様ではフィルムの積層を記載しているが、バリア物質の層を供給する他の手段も本発明の範囲において利用することができる。例えば、バリア物質は、押出、塗布法、トランスファー法、噴霧、発泡などの方法により適用することができる。しかしながら、ポリウレタンフィルムの積層が、布構造の上に良好なポリウレタンの連続層を供給することが見出されている。使用するバリア物質の厚さは、使用する物質の種類、使用する適用方法、及び予定される最終用途に従って、選択され得る。本発明のこの特定の態様では、好ましくは約0.25〜5ミル、より好ましくは約1〜3ミルの厚さを有するポリウレタンフィルムが、輸送用乗物の座席の製造のような用途で有用である布の製造において良好に機能することが見出されている。本発明のある態様では、このバリア層は、本明細書でさらに説明するように、難燃性化合物も含んでいてよい。
【0029】
特定の最終用途のために設計された本発明のある態様では、布に発泡体層を適用することが望ましいことがある。例えば、ある種の座席用途では、付加的なクッション機能を布に与え、布を、座席の支持構造の部分を構成する物品、例えばバネから遮蔽するために、発泡体層を供給するのが望ましい。本発明のこの形態では、発泡体物質にしっかりと結合することができるバリア物質を選択することが望ましい。ポリウレタンフィルムバリアを有する本発明の上記態様は、自動車座席用布を形成するために通常使用される種々の常套ウレタン発泡体と良好に結合することが分かっている。発泡体の適用は、接着剤による結合などの結合方法により行うことができ、または火炎貼り合わせのような積層方法により行ってもよい。しかしながら、発泡体の他の適用及び固定方法も、本発明の範囲において使用することができる。
【0030】
この態様において記載した布は、良好なドレープ性(高水準の柔軟性/しなやかさにより示される)、良好な流体バリア性、良好な防汚性、難燃性及び結合強さを有する。実際、後記実施例に示されているように、驚くべきことに、本発明により製造された布は、従来達成されていた水準より優れた清浄可能性及び審美性で、自動車用布に必要とされる厳格な基準を満たすどころか、それをしのぎさえすることが見出されている。
【0031】
本発明の別の形態では、既に記載したような種々の低表面エネルギー防汚処理を行った布基材が提供される。本発明のこの態様では、アクリル仕上げ剤を提供する工程は省略し、接着剤層を布基材自体に適用する。本発明のこの態様では、バリア物質層は、布全体の難燃性を改良するために、該層の難燃性を増すのに適した接着剤を含む。例えば、先に記載したのと同じベースウレタンを使用でき、ウレタンは、布の予定される最終用途に必要な難燃性の特定水準を布が達成できるように、難燃添加剤の有効量が配合されるように変更される。適当な難燃剤には、環式ホスホネート、ハロゲン化パラフィン、臭素化環式化合物などが含まれる。本発明の更なる形態では、アクリル層及び接着剤層の両方が省略され、弾性物質層は、所望水準の難燃性を達成するように、難燃添加剤の有効量を含むように変更される。しかしながら、この形態では、望ましい水準の柔軟性及び接着性が確実に保持されるように注意しなければならない。
【0032】
先に記載したように、布は、付加的な特性、例えば耐UV退色性、抗菌性、帯電防止性などを有することができる。良好に機能することが見出されている耐UV退色剤は、ベンゾトリアゾール、変性トリアジンなどであり、これらは、防汚化合物と同時に適用でき、あるいは別の工程で適用できる。
【0033】
抗菌作用が望まれる場合、抗菌剤は、布基材の少なくとも第1面、又は布基材の両面に配置できる。抗菌剤は、噴霧、発泡塗布、キスロール塗布などにより布の第1面に配置でき、浸漬、パジングなどにより布基材の両面に配置できる。また、抗菌剤は、染色工程において布上に抗菌剤を付着させることにより、布基材上に配置することができる。加えて、抗菌剤は、布基材を形成する繊維に配合することもできる。更に別の態様では、抗菌剤は、布の他の層に供給でき、または別の独立した層として供給することもできる。適当な抗菌剤には、銀、シリコーンクワット(silicon quat;第4級アンモニウム官能シリコーン)、トリクロサン及び有機スズ化合物が包含されるが、これらに限定されない。抗菌剤は、有効最小静菌濃度、例えばDM−50(Thompson Research(カナダ、トロント)から市販の抗菌剤)で1.00%の水準、で適用される。当業者なら理解できるように、布に抗菌剤を含ませると、抗カビ性、臭気制御などの望ましい特性を布に与えることができる。
【0034】
帯電防止剤を、布基材の少なくとも第1面に配置することができる。帯電防止剤は、噴霧、発泡塗布、キスロール塗布などにより布の第1面に配置でき、浸漬、パジングなどにより布基材の両面に配置できる。また、帯電防止剤は、低表面エネルギー防汚化合物と一緒に布基材上に配置でき、又は別個の工程で、布基材上に配置される他の剤と共に又は別に、配置することができる。適当な帯電防止剤は、高エトキシル化エステル、第4級アンモニウム化合物などを含み得る。
【0035】
布の流体バリア性についての先の説明は、液体に対するバリア機能に主として着目して行ってきたが、布は、他の流体、例えば空気及び/又は他のガスに対するバリアとしても使用できる。このことは、後記のミューレン破裂試験データにより証明される。この破裂試験は、布が空気の透過をどの程度阻止するかの指標である。ある理論により制限される意図はないが、この優れた空気透過性は、本発明の態様のいくつかで使用した被覆とフィルムとの独特の組み合わせに部分的に起因しているのであろう。換言すると、被覆のみを適用すると、うまく被覆されない領域が残り、その領域ではフィブリル又は他の3次元突起が布基材上に存在するというのが、発明者の見解である。本発明の態様のいくつかにおいて記載したように被覆とフィルムを組み合わせて適用すると、フィルムがうまく被覆されていない領域を覆い、それにより独特の水準のバリア特性が得られると考えられる。
【0036】
これら及び他の添加剤は、他の層の1つ又はそれ以上に含ませることができ、又は別の操作で適用でき、又は布基材の上に若しくはその原材料成分の一部として(例えば、本質的に抗菌性又は帯電防止性繊維の使用により)供給することができる。
【0037】
数種の異なる層を供給することを含むとして製品の製造方法を記載してきたが、適用方法は、可能なら製造効率を最適化するように変更することができる。例えば、多成分フィルムを使用して、複数の層を単一の操作で供給することができる(例えば、バリアフィルムの上に予め供給された接着剤を有する2成分フィルムなど)。
【実施例】
【0038】
複数の布サンプルを後記のように製造した。
サンプルは、種々の性質について試験した。試験した性質には、流体バリア性(静水耐圧試験及び噴霧試験)、防汚性(撥油性試験)、難燃性(燃焼速度、燃焼時間及び炭化長試験)、結合強さ(結合強さ試験)、耐UV性(UV試験)、熱衝撃性(熱衝撃試験)、及び摩擦色落ち(摩擦色落ち試験における染色堅牢度)が含まれる。
【0039】
流体バリア性:
本発明では、流体バリア性は、American Association of Textile Chemists and Colorists (AATCC) のWater Resistance: Hydrostatic Pressure Test Method 127-1998 及びWater Repellency: Spray Test Method 22-1996 に従って測定する。
本発明のリリースバリア布は、AATCC Water Resistance: Hydrostatic Pressure Test Method 127-1998 により測定して、約50ミリバール以上、より好ましくは100ミリバールより大きい静水耐圧性を有する。さらに好ましくは、布は、約150ミリバール以上、一層好ましくは200ミリバール以上の静水耐圧性を有する。本発明のリリースバリア布は、AATCC Water Repellency: Spray Test Method 22-1996 により測定して、約70(ISO4)以上の撥水評点を有する。
【0040】
防汚性:
本発明では、防汚性は、AATCC Oil Repellency: Hydrocarbon Resistance Test Method 118-1997 に従って測定する。本発明のリリースバリア布は、AATCC Oil Repellency: Hydrocarbon Resistance Test Method 118-1997 に従って測定して、約Grade 3 以上、より好ましくは約Grade 4 以上である。本発明のある態様では、耐油性は、約5以上、最大評点8までである。
【0041】
耐UV性:
本発明では、耐UV性は、SAE Recommended Practice SAE J1885 MAR92, Accelerated Exposure of Automotive Interior Trim Components Using A Controlled Irradiance Water Cooled Xenon-Arc Apparatus により測定する。本発明のリリースバリア布の耐UV性は、SAE J1885 MAR92 により評価して、225kJにおいて約4.0以下のΔEを示した。
【0042】
熱衝撃性:
本発明では、熱衝撃性は、布サンプルを約100℃に加熱し、サンプルを約95°Fの主として水の模擬体に適用し、1秒後に布サンプルと模擬体との間の界面での温度を測定して、評価する。サンプルは、3mm厚ポリウレタン発泡体裏打ちにマウントした約325平方インチの布片である。模擬体は、プラスチック袋に入れた、寒天ゲル安定剤を含む水約25ポンドである。界面での温度は、プラスチック袋の表面に熱電対を配置して測定する。本発明のリリースバリア布は、模擬体への接触後1秒で、約35℃の温度となった。
【0043】
難燃性:
本発明では、難燃性は、FMVSS-302 により測定する。本発明のバリア布は、本発明のある形態では、望ましくは約4インチ以下の燃焼速度を有するが、これは、自動車内装布に対する現行の政府の難燃性要求を達成するのを可能にするのに十分な難燃性であることを示している。試験結果において「SE」とある場合、布が自己消炎性であることを示す。
【0044】
摩擦色落ち:
本発明では、摩擦色落ち性は、AATCC Colorfastness to Crocking: AATCC Crockmeter Method TM 8-1996 により測定する。本発明のリリースバリア布の摩擦色落ち耐性は、AATCC Colorfastness to Crocking: AATCC Crockmeter Method TM 8-1996 により測定して、約3以上である。
【0045】
耐電防止性:
本発明では、帯電防止性は、AATCC Electrical Resistivity of Fabrics Test Method TM 76-1978 により測定する。本発明のリリースバリア布の帯電防止性は、AATCC Electrical Resistivity of Fabrics Test Method TM 76-1978 により測定して、約1012Ω/□以下、好ましくは1010〜約1012Ω/□である。
【0046】
曲げ長さ剛性:
本発明では、布の曲げ長さ剛性は、引張りの不存在下で2つの同等の反対向きの力が平行線に沿って布片のいずれかの端部に作用して布を曲げた場合の、硬さの指標であり、ASTM D 1388 (1996), Standard Test Method for Stiffness of Fabrics, Option A により測定する。
【0047】
曲げ剛性:
本発明では、布の曲げ剛性は、布を自重で曲げる方法により示される布質量と布硬さとの間の相互作用であり、ASTM D 1388 (1996), Standard Test Method for Stiffness of Fabrics, Option B により測定する。
【0048】
円形曲げ剛性:
本発明では、布の円形曲げ剛性は、多方向曲げに対する布の抵抗の指標であり、ASTM D 4032 (1994), Standard Test Method for Stiffness of Fabric by the Circular Bend Procedure により測定する。
【0049】
結合強さ
結合強さは、ASTM D 751 (2001) に従って試験する。一般に、自動車座席用途には、0.55より大きい結合強さが要求される。
【0050】
ミューレン破裂:
サンプルFは、通常使用されるダイアフラムに代えて布サンプルを使用して、ASTM D 3786-87 に従って試験した。得られる値が高いことは、布が、空気のような気体に対するバリアとして良好に機能し、従って、膨張性又は他の類似のタイプのバリア最終用途においてうまく機能することを示す。
【0051】
約60本経糸/インチ及び約45本緯糸/インチを有する約8オンス/平方インチの100%ポリエステル布を、サンプルA〜Gそれぞれで用いた。布は、経糸及び緯糸それぞれに、2つ撚り150フィラメントテキスチャードポリエステルヤーンを用いて織った。布を、以下に記載するように、種々の異なる方法で処理した。
【0052】
サンプルA
フッ素化学仕上げ剤の有効量を布上にパジングし、布は、押出塗布により1.5ミルのEMA(エチレン−アクリル酸メチル)被覆により裏打ちした。布は、上記の試験方法により接着性及び難燃性について試験した。これら試験の結果を表1〜3に示す。
【0053】
サンプルB
サンプルAの場合と同様の方法で、布上にフッ素化学仕上げ剤の有効量をパジングし、布に、1.5ミルのポリプロピレン/ポリブチレンブレンド塗膜により裏打ちした。布は、上記の試験方法により接着性及び難燃性について試験した。これら試験の結果を表1〜3に示す。
【0054】
サンプルC
サンプルAの場合と同様の方法で、布上にフッ素化学仕上げ剤の有効量をパジングし、布に、サンプルBの場合のポリプロピレン/ポリブチレンブレンドに代えて1.5ミルのエチレン−アクリル酸メチル共重合体塗膜により裏打ちした。サンプルは、上記の試験方法により接着性及び難燃性について試験した。これら試験の結果を表1〜3に示す。
【0055】
サンプルD
サンプルAの場合と同様の方法で、布上にフッ素化学仕上げ剤の有効量をパジングし、布に、約2オンス/平方ヤードの割合で難燃性アクリルにより裏打ちした。布のアクリル被覆面に、2ミルのポリウレタンフィルムを積層した。布は、結合強さ、流体バリア性(噴霧試験及び静水圧試験)、防汚性及び難燃性について試験した。これら試験の結果を表1〜3に示す。
【0056】
サンプルE
サンプルAの場合と同様の方法で、布上にフッ素化学仕上げ剤の有効量をパジングし、サンプルDの場合と同様にして、布の被覆面に、2ミルのポリウレタンフィルムを積層した(ただし、この場合はアクリルの中間層無し)。布は、上記の方法により流体バリア性(噴霧試験及び静水圧試験)、防汚性及び難燃性について試験した。しかし、布は巻き込んでしまい、結合強さの試験はできなかった。これら試験の結果を表1〜3に示す。
【0057】
サンプルF
サンプルAの場合と同様の方法で、布上にフッ素化学仕上げ剤の有効量をパジングし、布に、約2オンス/平方ヤードの割合でアクリルを塗布した。布を乾燥し、次いでメタロセンポリエチレン接着剤を2ミルで押出塗布した。ポリエーテルウレタン(マサチューセッツ州South Deerfield 在 Deerfield Urethane 製PT-5000)の2ミルフィルムを、メタロセンポリエチレン接着剤を用いて積層した。布は、防汚性、流体バリア性及び難燃性について試験した。これら試験の結果を表1〜3に示す。布は、ミューレン破裂試験にも付した。その結果は表4に示す。
(表に記載されているように、2種の布サンプルにつき8個の別個の検体を試験し、結果は平均値として示す。)
【0058】
サンプルG
サンプルGは、2ミルのポリエーテルウレタンフィルムではなく1ミルのポリエステルポリウレタンフィルム(Deerfield Urethane 製PS-8010)を適用したことを唯一の相違として、サンプルFの場合と同様の方法で作成した。布は、サンプルFの場合と同様の試験に付した。結果を表1〜4に示す。
【0059】
【表1】

【0060】
【表2】

【0061】
【表3】

【0062】
【表4】

【0063】
上記の実施例により示されるように、本発明に従って製造した布は、約0.55又はそれ以上の結合強さと、約50又はそれ以上の(実際はそれより実質的に大きい)静水耐圧性の独特の組み合わせを達成した。換言すると、布は、従来達成できたよりも優れた水準のドレープ性を維持しながら、耐久性と流体バリア性との独特の組み合わせを有する。さらに、このような効果は、高い水準の難燃性を達成しつつ、得られ、それにより、布を、最終用途としての輸送用乗物座席用布として使用することが可能になる。
【0064】
実施例H
3×3綾織物を、3/150ポリエステル経糸及び3/150緯糸を用い、約35ピック/インチ及び約50エンド/インチで、製造できる。フッ素化学仕上げ剤の有効量を、布にパジングし、ナイフコーティングによりアクリルラテックス約65g/mにより裏打ちした。約10g/mの低融点コポリエステル接着剤を用いて、約20g/mのポリエーテルポリウレタンフィルムを布のアクリルラテックス塗布面に結合する。接着剤は、フィルム外面に熱ローラを適用して活性化する。仕上がった布の重量は、約380g/mである。仕上がり布を、次いで、曲げ長さ剛性、曲げ剛性及び円形曲げ剛性について、上記の試験方法に従って試験し、表5〜7に示す結果を得た。
【0065】
【表5】

【0066】
【表6】

【0067】
【表7】

【0068】
実施例Hにより示されるように、本発明のサンプルは、約120mm又はそれ以下の曲げ長さ剛性、及び他の良好な剛性並びに柔軟性を有するように、製造できる。
【0069】
本発明の布を輸送用乗物材料として特に有用であると説明してきたが、本発明の布は、船舶カバー、屋外備品及び天幕、膨張製品、例えばエアマットレス、救命具及び救命ボート、枕、屋内家具(家庭用及び商業用)、カーテン、シャワーカーテン、壁紙、間仕切り、医療及び病院用途、傘、レインフライ、全ての種類の悪天候用保護材、手術用防護衣、衣料、バリアスーツ、テント、バックパックなどの用途にも有用であるが、これらに限定されない。これらの別の用途では、意図する用途に特に適した布にするために、これら物品を難燃性、耐UV退色性、空気透過水準、結合強さなどを、改変するのが望ましい。例えば、屋外備品や天幕のような屋外用布として使用する場合、AATCC Test Method 186-2000 に従い、噴霧湿気中蛍光灯の下で試験して、布は、約200〜300時間又はそれ以上の時間の耐UV退色性を有するのが望ましい。同様に、抗菌性及び柔軟性の水準について、それら物品は、特定の用途に最適な製品となるように、処理されなければならない。
【0070】
本明細書では、本発明の好ましい態様を説明してきたが、特定の用語を用いたとしても、それら用語は一般的かつ説明的な意味で使用されており、限定するためではなく、本発明の範囲は、請求項により規定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面及び第2面を有する布基材、
布基材の少なくとも第1面に配置されたフッ素化合物、
布基材の第2面に配置されたアクリルラテックス、
アクリルラテックス上に配置されたコポリマー接着剤、
コポリマー接着剤上に配置されたポリエステルポリウレタンバリアフィルム
を含んでなるバリア布。
【請求項2】
第1面及び第2面を有する布基材、
布基材の少なくとも第1面に配置された低表面エネルギー防汚化合物、
布基材の第2面上に配置されたポリマー安定化層、
ポリマー安定化層上に配置された、弾性成分を含むポリマー物質からなる接着剤、
接着剤の上に配置されたバリアフィルム
を含んでなるバリア布。

【公開番号】特開2010−208347(P2010−208347A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−152271(P2010−152271)
【出願日】平成22年7月2日(2010.7.2)
【分割の表示】特願2004−557133(P2004−557133)の分割
【原出願日】平成15年10月9日(2003.10.9)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】