説明

バルブの開閉装置

【課題】 ボール弁等のバルブに取り外し可能に装着して使用するバルブの開閉装置であって、簡単な構造によって該バルブの開閉用レバーを確実且つ円滑に回動させてバルブを開閉させるようにする。
【解決手段】 バルブBの上端に取り外し可能に取り付けた固定座板1の外周部における後部上に、バルブBの弁棒21を中心として円弧状に湾曲したシリンダ2を配設すると共にシリンダ2内のピストンの両面からこのシリンダ2と同じく、上記弁棒21を中心として円弧状に湾曲したピストンロッド4、5を突設し、これらのピストンロッド4、5の先端間に弁棒21の上端に固着したレバー22を介在させて、ピストンロッド4、5を一体的に弁棒21の回りを時計方向又は半時計方向に旋回動させることにより、レバー22を一体に回動させてバルブBの弁体23を開閉させるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弁体を開閉するレバーを備えたボール弁やバタフライ弁等のバルブに装着して該レバーを開閉方向に回動させるためのバルブの開閉装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ボール弁等のバルブを手動によることなく流体圧によって開閉させるように構成した装置としては、例えば特許文献1に記載されているようなアクチュエータが知られている。このアクチュエータは、シリンダから突出しているピストンロッドの周囲にシリンダと一体の筒状本体を設けてこの筒状本体にピストンロッドに対して直交方向に出力軸を回転自在に配設し、この出力軸に二股状に形成したアーム部を有する伝達駒の基端部を固着すると共に該伝達駒のアーム部を上記ピストンロッドの外周面の適所に突設したピンに係合させ、さらに、本体から突出している上記出力軸の端部をボール弁等のバルブの弁棒に連結した構造を有している。
【0003】
そして、上記シリンダ内に油圧等の圧力流体を供給することにより、内部のピストンロッドをその長さ方向に往復運動させて、この往復運動を上記伝達駒を介して出力軸に回転運動として変換伝達し、出力軸に連結した弁棒を回動させて弁体を開閉させるように構成している。
【0004】
【特許文献1】特許第3836240号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のように構成したアクチュエータによれば、長さ方向に作動するピストンロッドの往復運動を出力軸に回転運動として伝達しているため、直線運動を回転運動に変換するための上記伝達駒やこの伝達駒に係合するピン、伝達駒を出力軸に固着するための手段等を必要として装置全体が複雑化するばかりでなく、ピストンロッドに突設している上記ピンと出力軸に固着している上記伝達駒のアーム部との係合部分が互いに摺接し合うため、その部分が摩損してガタツキが発生し、円滑な開閉動作が行えなくなる虞れがある。
【0006】
また、このアクチュエータの出力軸をボール弁等のバルブの弁棒に連結する手段も別途必要とする上に、その連結によるアクチュエータとバルブとの組み立て作業に手間を要するばかりでなく、弁棒の上端に固着しているレバーを手動による回動操作を行うことで開閉させるようにしている既設のバルブにこのアクチュエータを装着して手動によることなくアクチュエータの作動によって開閉を行えるようにするには、上記出力軸とバルブの弁棒との連結手段と共にアクチュエータをバルブに設置、固定する手段を必要とし、その構造も複雑化して既設のバルブに装着することが困難であるといった問題点がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、簡単な構造によって確実且つ円滑なバルブの開閉を可能にし、且つ、既設のバルブであってもそのバルブに簡単に装着を行えるようにして該バルブを手動によることなく圧力流体によって円滑に開閉させることができるバルブの開閉装置を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のバルブの開閉装置は、請求項1に記載したように、弁棒の上端に固着したレバーを回動させることによって弁本体内の弁体を一体に回動させて弁本体に設けている通路を開閉させるように構成したバルブの開閉装置であって、弁本体の上端に固定座板を取り付け、この固定座板上における上記レバーの後方側にこのレバーを固着した上記弁棒を中心として円弧状に湾曲したシリンダを配設し、このシリンダのピストンロッドを該シリンダと同様に上記弁棒を中心として円弧状に湾曲させてシリンダから突出させた該ピストンロッドの突出部の先端により上記ピストンの往復動に従って上記レバーを開閉方向に回動させるように構成していることを特徴とする。
【0009】
このように構成したバルブの開閉装置において、請求項2に係る発明は、上記シリンダ内で往復運動するピストンの両面中央部に弁棒を中心として円弧状に湾曲した弁体閉止用ピストンロッドと開放用ピストンロッドとの基端部をそれぞれ固着すると共にこれらのピストンロッドの先端面を弁棒の上端に固着しているレバーの両側面に該レバーを挟持するように対向させ、ピストンの運動によりこれらのヒストンロッドをピストと同一方向に弁棒回りに一体に移動させてレバーを同一方向に回動させるように構成している。
【0010】
一方、請求項3に係る発明は、上記シリンダ内で往復運動するピストンの一面中央部に弁棒を中心として円弧状に湾曲した弁体開閉用ピストンロッドの基端部を固着すると共にこのピストンロッドの先端部を弁棒の上端に固着しているレバーに係脱自在に係合させてピストンの往復運動によりレバーを開閉方向に回動させるように構成している。
【0011】
また、請求項4に係る発明は、上記固定座板を一定厚みを有する円板形状に形成してその中央部に上記弁棒上端部の挿通孔を設けていると共に上面における後半外周部に、弁棒回りを進退する円弧状に湾曲した上記ピストンロッドを有し、且つ、その内部のピストンの両側流体室に圧力流体を供給、排出可能に供給する両側供給口を備えた上記シリンダを設置してあり、さらに、この固定座板の下面に弁本体の上端に着脱自在に固定させる固定台板部を一体に設けていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のバルブの開閉装置によれば、弁本体の上端部に取り付けた固定座板において、この固定座板から上方に突出している弁棒の上端部に固着した弁体開閉用レバーの後方側の上面に、上記弁棒を中心として円弧状に湾曲したシリンダを配設し、このシリンダのピストンロッドを該シリンダと同様に弁棒を中心として円弧状に湾曲させて該ピストンロッドの作動により上記レバーを回動させるように構成しているので、ピストンロッドの先端面をレバーの側面に当接、又は該レバーにピストンロッドの先端部を係合させておくことによって何等の連結手段を採用することなくピストンロッドを弁棒回りに回動させてレバーをこのピストンロッドと一体的に同一方向に円滑に回動させることができる。
【0013】
さらに、ピストンロッドは弁棒を中心として回動するので、この弁棒の先端に固着している上記レバーに対して、常に、直交する方向にその回動力を伝達することができ、シリンダに供給する動力源を効率よくレバーの回動力に変換することができると共にピストンロッドの伸長量とレバーの回動量とを常に一致させながらレバーを軽快に開閉させることができる。
【0014】
このように、固定座板上に弁棒を中心として円弧状に湾曲したピストンロッドを有するシリンダを配設した簡単な構造によって、シリンダの作動によるバルブの確実且つ円滑な開閉を可能にし得ると共に、既に管路中等に付設されている既設のバルブに対しても、シリンダを配設している上記固定座板を弁本体の上端部に装着することによって、バルブ開閉用の上記レバーをピストンロッドにより回動させることができるバルブ開閉装置を簡単に構成することができる。
【0015】
請求項2に係る発明によれば、上記シリンダ内で往復運動するピストンの両面中央部に弁棒を中心として円弧状に湾曲した弁体閉止用ピストンロッドと開放用ピストンロッドとをそれぞれ固着すると共にこれらのピストンロッドの先端面を弁棒の上端に固着しているレバーの両側面に該レバーを挟持するように対向させているので、シリンダ内のピストンを一方向に移動させることによって一方のピストンロッドを同一方向に伸長させてその先端をレバーの対向側面に当接させた状態にして該レバーを同一方向に回動させることができる。この際、他方のピストンロッドは一方のピストンロッドの伸長に従って、同一量だけ収縮(後退)して一方のピストンロッドによるレバーの回動を円滑に行わせながらバルブを開放又は閉止させることができる。
【0016】
さらに、このバルブの開閉装置によれば、既に管路中等に付設されている既設のバルブに対して装着する際に、円弧状に湾曲した弁体閉止用ピストンロッドと開放用ピストンロッドとの先端間の間隔部に既設のバルブのレバーを介在させた状態となるように取り付けるだけで、バルブの開閉が確実に可能となる開閉装置として簡単に組み込むことができるものである。
【0017】
請求項3に係る発明によれば、ピストンの一面側の中央部に弁棒を中心として円弧状に湾曲した一本の弁体開閉用ピストンロッドの基端部を固着すると共にこのピストンロッドの先端部を弁棒の上端に固着しているレバーに係脱自在に係合させているので、ピストンロッドの往復運動によってこのピストンロッドを伸長(前進)、収縮(後退)させてレバーをその方向に回動させ、バルブの開閉を行わせることができる。この際、ピストンロッドの先端が、レバーを固着させている弁棒を中心として旋回する方向に回動するので、ピストンロッドの先端部とレバーとの係合部分に擦り合いによる摩損などが生じることがなく、長期に亘って円滑な開閉動作を行わせることができる。
【0018】
さらに、このバルブ開閉装置によれば、既に管路中等に付設されている既設のバルブに対して装着する際に、上記円弧状に湾曲した一本のピストンロッドの先端部を既設のバルブのレバーに係止させた状態となるように取り付けるだけで、バルブの開閉が確実に可能となる開閉装置として簡単に組み込むことができる。
【0019】
また、このバルブ開閉装置を弁本体に装着するための上記固定座板は、請求項4に記載したように、この固定座板の上面外周部に、その内部のピストンに一体に固着している円弧状に湾曲したピストンロッドを備えたシリンダを設置し、この固定座板の中央部に弁本体側の弁棒上端部を挿通させる挿通孔を設けていると共に下面に弁本体の上端に着脱自在に固定させる固定台板部を一体に設けているので、弁棒の上端からレバーを取り外した状態で固定座板の中央に設けている挿通孔に該弁棒の上端部を挿通させ、固定座板から上方に突出した該弁棒の上端部にレバーを固着させることによって、該レバーの側面を固定座板の上面外周部に配設している上記円弧状に湾曲したピストンロッドの先端面と当接、又は、係合可能な状態に容易に組み立てることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1はバルブ開閉装置を備えたバルブの斜視図、図2は縦断正面図、図3は一部を横断した平面図、図4は分解斜視図であって、バルブの開閉装置Aは、バルブBの弁箱である弁本体20の上端面に取り付けた固定座板1の上面外周部における後部に、バルブBにおける弁棒21を中心として円弧状に湾曲したシリンダ2を配設すると共にこのシリンダ2内で往復運動するピストン3の中央部にシリンダ2と同じく、弁棒21を中心として円弧状に湾曲したピストンロッド4、5の基端部をそれぞれ一体に固着し、シリンダ2の両端からそれぞれ相反する方向に突出するこれらのピストンロッド4、5の突出部を固定座板1の前部上において互いにその先端部を小間隔を存して対向させ、その間隔部6に上記弁棒21の上端部にその基端部を固着しているレバー22を介在させ、ピストンロッド4、5の先端をこのレバー22の両側面にそれぞれ近接又は当接させた状態にしてピストン3の往復運動によって該ピストン3の移動方向に伸長(前進)するピストンロッドの先端面でレバー22を回動させ、バルブBを開閉させるように構成している。
【0021】
上記シリンダ2の円弧長は半円周長よりも短い長さに形成されていると共に、その両端開口部に密閉端部材7、8を装着してあり、この密閉端部材7、8を固定座板1の後部両側上面にそれそれ設置して、数本のビス9により固定座板1上に固着している。なお、ビス9によることなくこれらの密閉端部材7、8の下面を接着剤によって固定座板1の上面に固着してもよい。
【0022】
これらの密閉端部材7、8は図3に示すように、その対向面にシリンダ2の開口端部をシール材10を介して挿嵌させている円形の嵌合孔部7a、8aを設けていると共に、対向面とは反対側の前方に向けている面の中央部にシール材11を介して上記ピストンロッド4、5をそれぞれ摺動自在に挿通させている小径開口部7b、8bを設けてあり、さらに、これらの密閉端部材7、8内における上記嵌合孔部7a、8aと小径開口部7b、8bとの間に、ピストン3によって分割されているシリンダ2内の流体室2A、2Bにそれぞれ連通した通路7c、8cを設けていると共に密閉端部材7、8の外面からこれらの通路7c、8cに連通した圧力流体供給、排出口7d、8dをそれぞれ設けて、これらの圧力流体供給、排出口7d、8dに圧力流体供給管(図示せず)を接続させる供給口部材12、13をそれぞれ取り付けている。
【0023】
このシリンダ2内のピストン3に固着している上記ピストンロッド4、5は、それぞれ半円形状に湾曲した形状に形成してその一端部を基端側としてピストン3の両面中央部にそれぞれ固着してもよいが、図3に示すピストンロッド4、5においては、一部を切除してなるリング状に湾曲したロッド体をピストンの中央部(中心部)に貫通させてその長さ方向の中央部をピストン3にネジ等によって固着することにより、その固着部から互いに相反する方向に円弧状に突出したロッド部分をそれぞれこれらのピストンロッド4、5に形成し、上記一部を切除してなる部分を上記間隔部6として該間隔部6に弁本体20の上記レバー22を介在させた構造としている。
【0024】
上記固定座板1は、一定厚みを有する円板形状の硬質合成樹脂板又は金属板からなり、その中央部にバルブBの上記弁棒21の上端部を挿通させた挿通孔14を設けてあり、レバー22を固定座板1の上面に沿ってその長さ方向を該挿通孔14から前方に向けた状態にして、この挿通孔14を通じて上方に突設した該弁棒21の上端部にその基端部をビス28によって取り外し可能に固着している。具体的には、レバー22の基端部を筒部22a に形成していると共に該筒部22a の中間部に、ビス挿通孔22b を設けたビス着座部22c を形成して、このビス着座部22c から下方の筒部22a に弁棒21の先端部を挿嵌させ、筒部22a の上方からビス28をビス着座部22c に設けている挿通孔22b を通じて該挿通孔22b と連通した弁棒上端部の中心部に設けている螺子孔21a に螺合させることにより、レバー22を弁棒21の上端部に固着するように構成している。
【0025】
上記弁本体20の上端面にこの固定座板1を着脱自在に固着するための構成は、固定座板1の下面中央部に台板部1aを一体に設けて、固定座板1の中央部上面とこの台板部1aの中央部下面間に上記挿通孔14を貫通させ、この挿通孔14の径を、弁本体20の上面から上方に突設している上記弁軸21を挿通させた筒体部20a の外径に略等しくしてこの筒体部20a を該挿通孔14に挿嵌させると共に、台板部1aの外周面両側部から該挿通孔14に連通する螺子孔15、15を設けて該螺子孔15にビス16を螺合させ、このビス16の先端を挿通孔14に挿嵌している弁本体20の上記筒体部20a の外周面に押し付けることにより固定座板1をバルブBの弁本体20の上面に固着した構造としている。
【0026】
バルブBは、図に示すように一般的に知られているボール弁であり、その弁本体20の両側部に、互いに直線的に連通する流体の流入口25と流出口26を設けていると共に弁本体20の中央部に弁室24を設けてこの弁室24内に弁体23を回動自在に配設し、この弁体23の上面に上記弁棒21の下端を一体に固着し、この弁棒21を上記筒体部20a 内に挿通してその上端部を該筒体部20a から突出させ、この突出端に上記レバー22の基端部を取り外し可能に固着させてなるもので、レバー22によって弁棒21と弁体23を一体に回動させて該弁体23に直径方向に貫通している通孔27を上記流入、流出口25、26に連通させる開状態と、この状態からレバー22を逆方向に90度、回動させることによって弁体23の外周面で流入、流出口25、26を密閉する閉状態とを行わせるように構成している。なお、バルブBとしてはバタフライ弁であってもよい。
【0027】
このバルブBに上記バルブ開閉装置Aを装着するには、弁本体20の筒体部20a に挿通している弁棒21の上端からレバー22を取り外したのち、固定座板1上に配設しているピストンロッド4、5の先端間の間隔部6を前方側に向けた状態で該固定座板1の中央部に設けている挿通孔14を弁本体20の上記筒体部20a に被せることにより、該筒体部20a を挿通孔14に挿嵌させる。しかるのち、固定座板1の下面の台板部1aに設けている螺子孔15、15にビス16、16を螺合させ、このビス16、16の先端を弁本体20の筒体部20a の外周面に圧着させることによって固定座板1を弁本体20上に固定する。
【0028】
次いで、レバー22を前後方向に向けてピストンロッド4、5の先端間の間隔部6内に直交するように介入させ、その基端筒部22a を固定座板1の挿通孔14に挿嵌した筒体部20aの上端から上方に突出している弁棒21の上端部に被せてビス28により固定することによりバルブBにバルブ開閉装置Aを組み込むことができる。なお、バルブBからこのバルブ開閉装置Aを取り外す場合には、ビス28を外してレバー22を弁棒21から除去したのち、ビス16、16を外して固定座板1の台板部1aと弁本体20の筒体部20a との固着を解き、固定座板1を取り除いたのち、レバー22を弁棒21の先端に装着すればよい。
【0029】
このバルブ開閉装置AによってバルブBを開閉するには、上記ピストンロッド4、5における一方のピストンロッド5を弁体開放用ピストンロッドとし、他方のピストンロッド4を弁体閉止用ピストンロッドとして作動させるもので、バルブBを開放させるには、弁体開放用ピストンロッド5を突出させているピストン3の反対側に面したシリンダ2内の一方の流体室2Aに圧縮空気又は圧油等の圧力流体を供給することにより行う。即ち、この流体室2Aに圧力流体を供給すると、ピストン3が他方の流体室2B側に摺動移動し、弁体開放用ピストンロッド5が弁軸21を中心としてレバー22に向かって旋回動してその先端でレバー22の一側面を押圧しながら該レバー22を図5に示すように同一方向に回動させ、このレバー22を固着させている弁軸21を介して弁体23が開方向に一体に回動し、弁本体20に設けている流入、流出口25、26間にその通孔27を連通させて開弁させる。
【0030】
この時、弁体閉止用ピストンロッド4はレバー22に対してその先端を当接又は近接させた状態を保持しながらこの弁体開放与ピストンロッド4の移動(伸長)に従って収縮方向に後退移動し、レバー22に対しては何等作用しない。
【0031】
次に、バルブBを閉止させるには、上記と反対側の流体室2Bに圧力流体を供給すると、弁体閉止用ピストンロッド4がシリンダ2から伸長する方向に弁軸21回りに旋回動し、その先端でレバー22の他側面を押圧しながら該レバー22を上記と反対方向に回動させ、弁体23が上記開弁状態から徐々にその開度を減少させながらレバー22と一体的に回動し、該レバー22が上記開弁状態から図6に示すように90度の角度まで回動した時に完全に閉弁した状態にすることができる。
【0032】
図7、図8は本発明バルブの開閉装置の別な実施の形態を示すもので、上記のバルブ開閉装置においては、シリンダ2内のピストン3の両面から弁軸21を中心として円弧状に湾曲した一対のピストンロッド4、5を突設しているが、この実施の形態においては、ピストン3の一面のみから上記弁軸21を中心として円弧状に湾曲した一本のピストンロッド45を突設し、このピストンロッド45をレバー22に係合、連結してピストン3の往復運動によりレバー22を時計方向、半時計方向に回動させてバルブBを開閉させるように構成している。
【0033】
ピストンロッド45の先端部とレバー22との係合は、このピストンロッド45の先端部をU字状に屈曲させてレバー22を受け入れ可能な幅を有するレバー係止凹部45a を形成し、この係止凹部45a にレバー22をピストンロッド45の円弧長方向に対して直交する方向に向けた状態で挿通、係合させた構造としている。その他の構成については上記実施の形態と同じであるので、同一部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0034】
このように構成したバルブ開閉装置A'を上記バルブBに組み込むには、バルブBの弁本体20の筒体部20a に挿通している弁棒21の上端からレバー22を取り外したのち、固定座板1上に配設している上記ピストンロッド45の先端部を前方側に向けた状態で該固定座板1の中央部に設けている挿通孔14を弁本体20の上記筒体部20a に被せることにより、該筒体部20a を挿通孔14に挿嵌させる。しかるのち、固定座板1の下面の台板部1aに設けている螺子孔15、15にビス16、16を螺合させ、このビス16、16の先端を弁本体20の筒体部20a の外周面に圧着させることによって固定座板1を弁本体20上に固定する。
【0035】
次いで、レバー22を前後方向に向けてその先端部をピストンロッド45の先端部に形成している係止凹部45a に上方から落とし込むようにして係合させると共に該レバー22の基端筒部22a を弁棒21の上端部に被せてビス28により固定することによりバルブBにバルブ開閉装置A'を組み込むことができる。なお、バルブBからこのバルブ開閉装置A'を取り外す場合には、ビス28を外してレバー22を上方に引き上げることによりピストンロッド45の係止凹部45a との係合を解くと共に弁棒21から除去したのち、ビス16、16を外して固定座板1の台板部1aと弁本体20の筒体部20a との固着を解き、固定座板1を取り除いたのち、レバー22を弁棒21の先端に装着すればよい。
【0036】
このバルブ開閉装置A'によってバルブBを開放するには、図9に示す閉弁状態からピストンロッド45を突出させているピストン3の反対側に面したシリンダ2内の流体室2Aに圧縮空気又は圧油等の圧力流体を供給すると、ピストン3が他方の流体室2B側に摺動移動し、上記ピストンロッド45が弁軸21を中心としてシリンダ2から伸長する方向に旋回動してその先端係止凹部45a に係合させているレバー22を同一方向に回動させ、このレバー22を固着させている弁軸21を介して弁体23が開方向に一体に回動してレバー22が上記閉弁位置から図10に示す90度回動した位置に達した時に完全に開弁するものである。
【0037】
次に、バルブBを閉止させるには、上記と反対側の流体室2Bに圧力流体を供給すると、ピストンロッド45がシリンダ2に向かって収縮する方向に旋回動し、その先端係止凹部45a に係合させているレバー22が上記開弁時と反対方向に回動して弁体23を開放させる。なお、ピストンロッド45を伸長させる方向に旋回動させることによって弁体23を閉止方向に回動させ、収縮させる方向に旋回動させることによって弁体24を開放方向に回動させるように構成しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】バルブ開閉装置を備えたバルブの斜視図。
【図2】その縦断正面図。
【図3】一部を横断した平面図。
【図4】分解斜視図。
【図5】開弁状態時の平面図。
【図6】閉弁状態時の平面図。
【図7】本発明の別な実施の形態を示す斜視図。
【図8】その分解斜視図。
【図9】閉弁状態時の平面図。
【図10】開弁状態時の平面図。
【符号の説明】
【0039】
A バルブ開閉装置
B バルブ
1 固定座板
2 シリンダ
3 ピストン
4、5 ピストンロッド
12、13 圧力流体供給口部材
20 弁本体
21 弁棒
22 レバー
23 弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁棒の上端に固着したレバーを回動させることによって弁本体内の弁体を一体に回動させて弁本体に設けている通路を開閉させるように構成したバルブの開閉装置であって、弁本体の上端に固定座板を取り付け、この固定座板上における上記レバーの後方側にこのレバーを固着した上記弁棒を中心として円弧状に湾曲したシリンダを配設し、このシリンダのピストンロッドを該シリンダと同様に上記弁棒を中心として円弧状に湾曲させてシリンダから突出させた該ピストンロッドの突出部の先端によりピストンの往復動に従って上記レバーを開閉方向に回動させるように構成していることを特徴とするバルブの開閉装置。
【請求項2】
シリンダ内で往復運動するピストンの両面中央部に弁棒を中心として円弧状に湾曲した弁体閉止用ピストンロッドと開放用ピストンロッドとの基端部をそれぞれ固着すると共にこれらのピストンロッドの先端面を弁棒の上端に固着しているレバーの両側面に該レバーを挟持するように対向させ、ピストンの運動によりこれらのヒストンロッドをピストと同一方向に弁棒回りに一体に移動させてレバーを同一方向に回動させるように構成していることを特徴とする請求項1に記載のバルブの開閉装置。
【請求項3】
シリンダ内で往復運動するピストンの一面中央部に弁棒を中心として円弧状に湾曲した弁体開閉用ピストンロッドの基端部を固着すると共にこのピストンロッドの先端部を弁棒の上端に固着しているレバーに係脱自在に係合させてピストンの往復運動によりレバーを開閉方向に回動させるように構成していることを特徴とする請求項1に記載のバルブの開閉装置。
【請求項4】
固定座板は一定厚みを有する円板形状に形成されていてその中央部に弁棒上端部の挿通孔を設けていると共に上面における後半外周部に、弁棒回りを進退する円弧状に湾曲したピストンロッドを有し、且つ、その内部のピストンの両側流体室に圧力流体を供給、排出可能に供給する供給口部材を備えたシリンダを設置してあり、さらに、この固定座板の下面に弁本体の上端に着脱自在に固定させる固定台板部を一体に設けていることを特徴とする請求項1、請求項2又は請求項3に記載のバルブの開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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