説明

バルブソケット用のガスケット

【課題】ガスケットのシール性能を向上させる。
【解決手段】本発明は、バルブBを保持するバルブホルダ41の周りに設けたフード部24を、ランプハウス30に貫通して設けた取付孔31に差し込んで回転止めすることによりランプハウス30に固定されるバルブソケット20用のガスケット10であって、フード部24の外周面に周設されたフランジ部22に接触可能な面シール部分12と、この面シール部分12からフード部24の外周面に沿って同フード部24の軸方向に延出された軸シール部分11とが一体に形成されており、面シール部分12は、フランジ部22とこれに対向して配置される取付孔31の後側開口縁部33との間でフード部24の軸方向に狭圧され、軸シール部分11は、フード部24の外周面とこれに対向して配置される取付孔31の内周面34との間でフード部24の径方向に狭圧される構成としたところに特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブソケット用のガスケットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バルブソケット用のガスケットとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。バルブソケットは、バルブを保持するバルブホルダを備えており、このバルブホルダの周りにフード部が形成されている。フード部の外周面には、フランジ部が周設されており、このフランジ部とフード部の外周面に接触するようにしてガスケットが装着されている。
【0003】
一方、バルブソケットが取り付けられる被取付部(例えばランプハウス)には、フード部が差し込まれる取付孔が貫通して設けられている。フード部を取付孔に差し込んで回転止めすることによりバルブソケットが被取付部に固定され、ガスケットが取付孔の開口縁部とフランジ部との間でフード部の軸方向に狭圧されることでこれらの間が防水されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭62−165686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、例えばガスケットに過大な力が加えられた状態で回転止めした場合に、ガスケットが変形するなどしてシール性能が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ガスケットのシール性能を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、バルブを保持するバルブホルダの周りに設けたフード部を、被取付部に貫通して設けた取付孔に差し込んで回転止めすることにより被取付部に固定されるバルブソケット用のガスケットであって、フード部の外周面に周設されたフランジ部に接触可能な面シール部分と、この面シール部分からフード部の外周面に沿って同フード部の軸方向に延出された軸シール部分とが一体に形成されており、面シール部分は、フランジ部とこれに対向して配置される取付孔の開口縁部との間でフード部の軸方向に狭圧され、軸シール部分は、フード部の外周面とこれに対向して配置される取付孔の内周面との間でフード部の径方向に狭圧される構成としたところに特徴を有する。
【0008】
このような構成によると、面シール部分に加えて軸シール部分で防水できるため、両シール部分のいずれか一方に不具合があった場合でも、他方によって防水できる。したがって、ガスケットのシール性能を向上させることができる。
【0009】
本発明の実施の態様として、以下の構成が好ましい。
フード部の外周面に密着する密着面を備えている構成としてもよい。
このような構成によると、フード部を取付孔に差し込んで回転止めする際に、密着面がフード部の外周面に密着しているから、回転止めによってガスケットがめくれるなどのおそれがない。
【0010】
軸シール部分におけるフード部の軸方向先端部には、同後端部に設けられた面シール部分から離れるほどフード部の外周面に近づくテーパ面が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、テーパ面が取付孔の開口縁に摺接することにより、軸シール部分を取付孔に差し込む際の案内をすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ガスケットのシール性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態のバルブソケットおよびガスケットを側方から見た断面図
【図2】バルブソケットの正面図
【図3】バルブソケットの背面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
本発明の実施形態を図1ないし図3の図面を参照しながら説明する。本実施形態のバルブソケット20は、図1に示すように、略円筒状のソケット本体21と、このソケット本体21の後側に着脱可能とされるコネクタ(図示せず)と、ソケット本体21とランプハウス(本発明の「被取付部」の一例)30との間を防水するガスケット10とを備えて構成されている。なお、以下の説明において前方(前側)とは、図1における左方(左側)とする。
【0014】
ソケット本体21の内部には、隔壁23が形成されており、この隔壁23よりも前方部分がフード部24とされ、隔壁23よりも後方部分がコネクタ嵌合部25とされている。フード部24は、図2に示すように、略円筒形とされており、コネクタ嵌合部25は、図3に示すように、上下方向に長い略方形の筒状とされている。このコネクタ嵌合部25の内部に、前記したコネクタが嵌合可能とされている。
【0015】
フード部24の外周面には、図1に示すように、フランジ部22が周設されている。また、ソケット本体21の外周面においてフランジ部22の前方には、複数の取付突起26が設けられている。複数の取付突起26は、図2に示すように、周方向に沿って等角度間隔で間欠的に配置されている。
【0016】
コネクタ嵌合部25の内部には、バルブBと電気的に接続される+側と−側とからなる一対のタブ端子40が装着されている。隔壁23には、両タブ端子40の外周形状に適合して両タブ端子40を挿通可能とする一対の挿通孔23Aが前後方向に貫通形成されている。これにより両タブ端子40は、コネクタ嵌合部25の内部において上下左右に位置決めされた状態で装着される。
【0017】
一方、フード部24の内部には、両タブ端子40と一体に形成されたバルブホルダ41が装着されている。このバルブホルダ41は、バルブBの電極(図示せず)を挟持してバルブBを取着するホルダとして機能している。バルブBの電極は、+側と−側とから構成され、各電極を挟持する接点部は、それぞれ対応するタブ端子40と電気的に接続されている。なお、バルブBは、周知のウェッジベースバルブとされている。
【0018】
バルブホルダ41の上下両側には、一対の係止片42が設けられている。両係止片42は、フード部24の内面に設けられた上下一対の係止突起24Aと前後方向に係止可能とされている。両係止片42が両係止突起24Aに係止した状態では、バルブホルダ41の後面が隔壁23の前面と接触している。これにより、バルブホルダ41がフード部24の内部で前後方向に位置決めされた状態で装着される。
【0019】
一方、ランプハウス30には、フード部24が差し込まれる取付孔31が貫通して設けられている。取付孔31には、複数の取付突起26と対応して複数の切り欠き(図示せず)が設けられている。複数の取付突起26を対応する切り欠きに合うようにフード部24を取付孔31に差し込んだ後、フード部24を回転させることにより、複数の取付突起26が取付孔31の前側開口縁部32と前後方向に係止する。これにより、バルブソケット20がランプハウス30に取り付け固定される。
【0020】
ガスケット10は、ゴムなどの弾性材を略円筒状に成形したものである。このガスケット10は、フード部24の外周面に沿って前後方向に延びる円筒状の軸シール部分11と、軸シール部分11の後端部から径方向外側に張り出すリング状の面シール部分12とから構成されている。また、ガスケット10の内面側には、フード部24の外周面に対して面接触状態で密着する平面状の密着面13が形成されている。これにより、バルブソケット20を回転止めする際に、ガスケット10がめくれるなどの不具合をなくすことができる。
【0021】
軸シール部分11は、フード部24の外周面とこれに対向する取付孔31の内周面34との間でフード部24の径方向に狭圧される。一方、面シール部分12は、フランジ部22の前面とこれに対向する取付孔31の後側開口縁部33との間でフード部24の軸方向に狭圧される。これにより、バルブソケット20とランプハウス30との間は、軸シール部分11と面シール部分12の双方によって防水される。
【0022】
また、軸シール部分11の前端部には、テーパ面14が周設されている。このテーパ面14は、前方に向かうほどフード部24の外周面に近づく傾斜面を有している。したがって、軸シール部分11を取付孔31に対して後方から挿入する際に、テーパ面14が取付孔31の開口縁に摺接することで、軸シール部分11を正規の嵌合位置に案内することができる。
【0023】
本実施形態は以上のような構成であって、続いてその作用を説明する。まず、バルブソケット20にバルブBを取り付けるには、バルブBのウェッジベースをフード部24内のバルブホルダ41に挿入し、このバルブホルダ41内の各接点部でバルブBの各電極を挟持する。これにより、バルブBがバルブホルダ41に保持される。
【0024】
次に、フード部24をランプハウス30の取付孔31に対して後方から挿入していく。すると、ガスケット10の軸シール部分11のテーパ面14が取付孔31の開口縁に摺接し、正規の嵌合位置に案内される。これと併行して、複数の取付突起26を、対応する複数の切り欠きに通しつつ、ガスケット10の面シール部分12を撓ませながらフランジ部22を取付孔31の後側開口縁部33に押し付ける。そして、フード部24を回すと、複数の取付突起26が取付孔31の前側開口縁部32に係止してバルブソケット20が図1に示す状態に取り付けられる。このとき、ガスケット10の密着面13がフード部24の外周面に密着しているため、ガスケット10がめくれることはない。
【0025】
この状態では、ランプハウス30とバルブソケット20との間が軸シール部分11と面シール部分12の双方で防水されているため、ガスケット10のシール性能を向上させることができる。これにより、ランプハウス30内にバルブソケット20から水が浸入してレンズが曇ることのないランプとすることができる。なお、上記実施形態では軸シール部分11が面シール部分12と一体に形成されているため、部品点数を減少することができ、ガスケット10をフード部24の外周面に対して容易に取り付けることができる。
【0026】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では平面状の密着面13を備えているものの、本発明によると、複数のリップ部を設けておき、このリップ部を潰しながらフード部24の外周面に密着させてもよい。
【0027】
(2)上記実施形態ではテーパ面14を備えているものの、本発明によると、必ずしも軸シール部分11の前端部にテーパ面14を形成しなくてもよく、その代わりに取付孔31の後側開口縁部33に案内用のテーパ面を形成してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10…ガスケット
11…軸シール部分
12…面シール部分
13…密着面
14…テーパ面
20…バルブソケット
22…フランジ部
24…フード部
30…ランプハウス(被取付部)
31…取付孔
33…後側開口縁部
34…内周面
41…バルブホルダ
B…バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バルブを保持するバルブホルダの周りに設けたフード部を、被取付部に貫通して設けた取付孔に差し込んで回転止めすることにより前記被取付部に固定されるバルブソケット用のガスケットであって、
前記フード部の外周面に周設されたフランジ部に接触可能な面シール部分と、この面シール部分から前記フード部の外周面に沿って同フード部の軸方向に延出された軸シール部分とが一体に形成されており、
前記面シール部分は、前記フランジ部とこれに対向して配置される前記取付孔の開口縁部との間で前記フード部の軸方向に狭圧され、
前記軸シール部分は、前記フード部の外周面とこれに対向して配置される前記取付孔の内周面との間で前記フード部の径方向に狭圧されることを特徴とするバルブソケット用のガスケット。
【請求項2】
前記フード部の外周面に密着する密着面を備えていることを特徴とする請求項1に記載のバルブソケット用のガスケット。
【請求項3】
前記軸シール部分における前記フード部の軸方向先端部には、同後端部に設けられた前記面シール部分から離れるほど前記フード部の外周面に近づくテーパ面が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバルブソケット用のガスケット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−108485(P2011−108485A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−262138(P2009−262138)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】