バルブ付き血液透析カテーテル
【課題】血液透析カテーテルを含むカテーテルにおけるさらなる改善を提供すること。
【解決手段】長手方向軸と流体の経路用の少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域と遠位端領域とを有する細長いカテーテル部材と、該カテーテル部材の該遠位端領域に隣接して配置されたバルブであって、該バルブは、該少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、該バルブを通り、該少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合されたバルブとを備えている医療用カテーテルアセンブリ。
【解決手段】長手方向軸と流体の経路用の少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域と遠位端領域とを有する細長いカテーテル部材と、該カテーテル部材の該遠位端領域に隣接して配置されたバルブであって、該バルブは、該少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、該バルブを通り、該少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合されたバルブとを備えている医療用カテーテルアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概して、医療用カテーテルアセンブリに関し、特にカテーテルの管腔の閉塞のリスクを最小化するように構成されたバルブを含む血液透析カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の記載)
カテーテルは、体の空洞、管、脈管に対して流体を引き抜き、流体を導入することを意図する柔軟な医療用器具である。カテーテル器具は、血液透析手順における特定の用途を有し得、血液透析手順は、血液が治療のために血管から引き抜かれ、その後循環のために血管に戻される。公知の血液透析カテーテルは、複数の管腔(例えば、二重管腔(dual lumen)カテーテルまたは三重管腔(triple−lumen)カテーテル)を含み、該管腔はカテーテル内での双方向の流体の流れを可能にすることにより、1つの管腔が血液の引き抜き専用であり、他の管腔は治療された血液を脈管に戻すこと専用である。例示的な血液透析手順の間に、複数の管腔カテーテルが体に挿入され、そして血液がカテーテルの動脈の管腔を通って引き抜かれる。除去された血液は、血液透析器に方向づけられ、該血液透析器は老廃物および毒素を除去するために、血液を透析するかまたは純化する。透析された血液はカテーテルの静脈の管腔を通って患者に戻される。
【0003】
公知の血液透析カテーテルに関連する1つの複雑な問題は、動脈の管腔の閉塞に関し、特に、脈管壁とのカテーテルの先端の位置上の閉塞に関する。位置上の閉塞は、カテーテルの先端が脈管壁に押しつけられ、その後のカテーテルの管腔のうちの1つへの脈管内膜の陥入の結果として起こり得る。流入ポートが位置的に閉塞されるとき、カテーテルの動脈管腔に真空が形成され、脈管壁を動脈管腔にさらに引き込む。
【0004】
結果として、臨床医は、患者の治療の継続を可能にするために血流の妨害を処理しなければならない。位置的な閉塞を解決する1つの解決策は、カテーテルの管腔の流れを逆転させることである。しかしながら、カテーテルの管腔によって流れを逆転させることは、ラインを分離および再結合することを含み、臨床医のカテーテルの扱いを増加させ、微生物の汚染および感染の機会を増加させ、さらに透析治療の時間を長引かせる。このことは、コストの増加および患者の不快感の増加を含む様々な欠点をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
したがって、本開示は血液透析カテーテルを含むカテーテルにおけるさらなる改善に関する。一実施形態において、医療用カテーテルアセンブリは、長手方向軸と流体の経路のための少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域および遠位端領域を有する細長いカテーテル部材と、該カテーテル部材の遠位端領域に隣接して配置されたバルブとを含む。バルブは、少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、バルブを通り少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合される。カテーテル部材は、少なくとも1つの管腔と連通し、バルブの遠位にある流体ポートを含み得る。バルブはバルブの遠位の位置における少なくとも1つの管腔内での少なくとも部分的な閉塞のときに開放位置に動くように適合され得る。
【0006】
カテーテル部材はバルブを有する外側カテーテル壁を含み、バルブは外側カテーテル壁内に画定されたフラップである。外側カテーテル壁およびフラップは、モノリシックに形成され得る。フラップは、概して三角形の形状であり得る。代替的に、バルブはカテーテル部材の遠位領域に隣接する変形可能区画を含み得る。変形可能区画は、カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で所定の真空レベルが達成されると変形するように構成される。バルブは、一方向圧力解放部材であり得、該一方向圧力解放部材はカテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で所定の真空レベルが達成されると開くように構成される。バルブは、バルブが開放位置にあるときカテーテル壁内に開口部を画定するように配列され得る。
【0007】
一実施形態において、カテーテル部材は外側カテーテル壁を含む。外側カテーテル壁は、その中にスリットを画定する内側部分を有し、それにより、内側部分は開放位置と閉鎖位置との間で動くように相対運動のために適合される。カテーテル壁の内側部分は、実質的に直線状のスリットを画定し得る。代替的に、カテーテル壁の内側部分は、実質的に正弦波の(sinusoidal)スリットを画定し得る。
【0008】
カテーテル部材は、第2の管腔および第2のバルブを含み得る。第2のバルブは、第2の管腔内の所定の真空圧レベルに応答して、閉鎖位置から開放位置に動き、第2のバルブおよび第2の管腔を通る流体の流れを可能にする。この実施形態において、カテーテルは、第2の管腔と流体連通し、第2のバルブの遠位にある第2のポートを含み得る。
【0009】
別の実施形態において、透析カテーテルは、近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定し、第1および第2の長手方向管腔を画定する外側壁部材を含む。外側部材は、それぞれ第1および第2の長手方向管腔と流体連通する第1および第2のポートを含む。第1の開口部および第1の長手方向管腔は、血液透析器内での循環のために、真空下での血液の除去のための流入経路を画定する。第2の開口部および第2の長手方向管腔は、血液透析器からの血液の戻りのための流出経路を画定する。バルブは、第1のポートの近位の外側部材に対して配置される。バルブは第1の長手方向管腔内で実現される所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、バルブを通り、第1の長手方向管腔に入る血液の流れを可能にするように適合され得る。バルブは、バルブの遠位の位置において第1の長手方向管腔内で少なくとも部分的な管腔の閉塞があるときに開放位置に動くように適合され得る。バルブは、カテーテル部材の外側壁部材に画定されるフラップを含み得る。フラップは、閉鎖位置と開放位置との間で一体蝶番の周りで動くように適合される。第2のバルブは、第2のポートの近位の外側部材に対して配置され得る。第2のバルブは、第2の長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置まで動き、第2のバルブを通る流体の流れを可能にするように適合され得る。
【0010】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
長手方向軸と流体の経路用の少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域と遠位端領域とを有する細長いカテーテル部材と、
該カテーテル部材の該遠位端領域に隣接して配置されたバルブであって、該バルブは、該少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、該バルブを通り、該少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合されたバルブと
を備えている医療用カテーテルアセンブリ。
(項目2)
上記カテーテル部材は、上記少なくとも1つの管腔と連通し、上記バルブの遠位にある流体ポートを含み、該バルブは該バルブの遠位の位置における少なくとも1つの管腔内での少なくとも部分的な管腔の閉塞のときに、上記開放位置に動くように適合される、上記項目に記載のカテーテルアセンブリ。
(項目3)
上記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、上記バルブは該外側カテーテル壁内に画定されるフラップである、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目4)
上記外側カテーテル壁および上記フラップはモノリシックに形成される、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目5)
上記フラップは概して三角形の形状である、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目6)
上記バルブは上記カテーテル部材の上記遠位端領域に隣接する変形可能区画を含み、該変形可能区画は該カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で上記所定の真空レベルを達成すると変形するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目7)
上記バルブは一方向圧力解放部材を含み、該一方向圧力解放部材は上記カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で上記所定の真空レベルを達成すると上記開放位置に動くように適合される、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目8)
上記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、該外側カテーテル壁はスリットを画定する内側部分を有し、これにより該内側部分は、上記開放位置と上記閉鎖位置との間で動く相対運動のために適合されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目9)
上記カテーテル壁の上記内側部分は実質的に直線状のスリットを画定する、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目10)
上記カテーテル壁の上記内側部分は実質的に正弦波の形状のスリットを画定する、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目11)
上記カテーテルは第2の管腔と第2のバルブとを含み、該第2のバルブは、該第2の管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置まで動き、該第2のバルブおよび該第2の管腔を通る流体の流れを可能にするように適合されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目12)
上記カテーテル部材は上記第2の管腔と連通し、上記第2のバルブの遠位部にある第2の流体ポートを含む上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目13)
上記細長いカテーテル部材は、上記近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定する外側壁部材を含み、上記少なくとも1つの管腔は第1の長手方向管腔および第2の長手方向管腔を含み、該外側壁部材は該第1の長手方向管腔および該第2の長手方向管腔とそれぞれ流体で連通する第1および第2のポートを含み、該第1のポートおよび第1の管腔は、血液透析機内の循環のために真空下で血液を除去するための流入経路を画定し、該第2のポートおよび該第2の長手方向管腔は、該血液透析機からの血液の戻りのための流出経路を画定する、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目14)
上記フラップは上記閉鎖位置と上記開放位置との間で一体蝶番の周りで動くように適合される、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目15)
上記第2のポートの近位に上記外側壁部材に対して配置された第2のバルブを含み、該第2のバルブは上記長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、該第2のバルブを通る流体の流れを可能にするように適合されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書で開示されるカテーテルアセンブリのさまざまな実施形態が、添付の図面を参照して本明細書において記載される。
【図1】図1は、本開示の原理に従うカテーテルアセンブリの透視図であり、カテーテルハブおよびカテーテルハブから延びる細長いカテーテルを描く。
【図2】図2は、カテーテルアセンブリの細長いカテーテルの側面平面図である。
【図3】図3は、細長いカテーテルの先端領域の側面断面図である。
【図4】図4は、閉鎖位置にあるバルブを描く、図2に示される詳細な領域4−4の、拡大され分離された透視図である。
【図5】図5は、閉鎖位置にあるバルブ(または複数のバルブ)を描く、細長いカテーテルの先端領域の拡大された断面図である。
【図6】図6は、開放状態にあるバルブ(または複数のバルブ)を描く図5の図に類似する図である。
【図7】図7は、カテーテルアセンブリの代替の実施形態の先端領域の透視図である。
【図8】図8は、カテーテルアセンブリのバルブの別の代替の実施形態の先端領域の透視図である。
【図9】図9は、細長いカテーテルの先端領域の別の代替の実施形態の透視図である。
【図10】図10は、閉鎖位置にあるバルブを描く図9の細長いカテーテルの先端領域の部分的な断面における側面平面図である。
【図11】図11は、開放状態にあるバルブを描く図10の図に類似する図である。
【図12】図12は、細長いカテーテルの先端領域の代替の実施形態の部分的な断面における側面平面図である。
【図13】図13は、細長いカテーテルアセンブリの別の代替の実施形態の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の詳細な説明)
開示されるカテーテルおよび使用方法の例示的な実施形態が、被験体の体に対して流体を投与するための医療用カテーテルに関して議論され、特に血液透析カテーテルに関して議論される。しかしながら、本開示は、被験体の、外科的、診断的および関連する疾病の治療、体の不快感を含む、さまざまなカテーテル用途で使用され得ることが想定される。本開示されるカテーテルに関する原理は、様々なカテーテル関連手順(例えば、血液透析、心臓、腹部、尿管、腸管、慢性および/または急性の手順の用途)と共に使用することを含むことがさらに想定される。さらに、カテーテルは、流体(例えば、薬物、生理食塩水、体液、血液および尿など)の投与または引き抜きのために使用され得る。
【0013】
以下の議論において、用語「近位」または「後」は、臨床医に対して近い構造の部分をいい、一方で用語「遠位」または「先」は臨床医から遠い部分をいう。本明細書で使用される場合、用語「被験体」はヒトの患者または他の動物をいう。用語「臨床医」は、医師、患者または他のケア提供者をいい、支援要員を含み得る。
【0014】
ここで図面を参照すると(図面において、同様のコンポーネントは、いくつかの図面を通して同様の参照番号で指定される)、図1は、本開示の原理に従う血液透析カテーテル10を透視図で描く。カテーテル10は共に組み立てられたいくつかのコンポーネント、すなわち、カテーテルハブまたはハウジング12、カテーテルハブ12から遠位方向に延びる細長いカテーテル部材14、およびカテーテルハブ12から近位方向に延びる第1の延長管16および第2の延長管18を含む。カテーテルシステム10は、延長管16、18のそれぞれの周りに取り付けられた一対のクランプ20をさらに含み得る。
【0015】
カテーテルハブ12は、臨床医による係合のために寸法が合わせられた任意のハウジングであり得、ステンレス鋼などの金属または適合性ポリマ材料を含む任意の適切な材料で形成され得る。カテーテルハブ12は、それに固定される関係で第1の延長管16および第2の延長管18を受容するように適合された細長い開口部を画定し得る。一つの好適な実施形態において、延長管16および18は、締まりばめまたは摩擦ばめ、セメントまたは接着剤を介して、カテーテルハブ12のそれぞれの延長コンジット(図示せず)内に固定される。カテーテルハブ12は、また、カテーテル部材14を受容する中央開口部(図示せず)を画定し得る。カテーテル部材14は、前述の方法論のうちの任意の方法論を介して、ハブ12の遠位区画または先端区画の中央開口部内に固定され得る。
【0016】
カテーテルハブ12は、カテーテルハブ12から外側にぶら下がる一対の向かい合うウィング26(図1には1つのウィング26のみが見えている)をさらに含み得る。ウィング26は、第1の延長管16および第2の延長管18を支持するために支持要素として作用し得る。さらに、縫合糸がウィング26の周りに巻かれて、カテーテルハブ12を被験体に対して固定し得ることが企図される。代替として、ウィング26またはカテーテルハブ12は、縫合糸を受容するために、その外側壁に環状の溝を有し得る。縫合糸は、環状の溝内に巻かれ得、その後被験体に対して固定され得る。
【0017】
ここで、図1と関連して、図2−3を参照すると、細長いカテーテル部材14が議論される。カテーテル部材14は、長手方向軸「k」および、長手方向軸「k」に対して横断する関係にある横方向軸「b」を画定する。適切なカテーテルの1つは、Mahurkarに対する米国特許第4,568,329号に記載され、この特許の全内容は本明細書において参照により援用される。カテーテル部材14は、二重管腔カテーテルであり得、該二重管腔カテーテルは外側壁28と、第1および第2の長手方向管腔30および32とを有し、第1および第2の長手方向管腔30および32は、平坦な分割器または隔壁34によって分離され、これらはカテーテル部材14の長さを延長したりしなかったりし得る。第1および第2の長手方向管腔30および32のそれぞれは、断面において、長円形、腎臓の形状、またはD形状であり得る。他の管腔配列は、また、円形のパイ形状などを含むことも想定される。同軸管腔もまた想定される。カテーテル部材14はまた、脈管器官内のカテーテル部材のエントリを容易にするために利用されるガイドワイヤの受容および通過のためのガイドワイヤ管腔を含み得る。あるいは、第1および第2の長手方向管腔30および32のうちの1つは、また、流体を引き抜いたり送達したりするその機能に加えて、ガイドワイヤ管腔としての働きもし得る。さらなる実施形態として、血液透析カテーテル10は二重カテーテルとして表現されるが、単一または三重カテーテルもまた想定される。
【0018】
続けて図1−3を参照して、カテーテル部材14は、先端領域36を含み、該先端領域は被験体内に(すなわち、脈管器官を通って)導入される。例示される実施形態において、先端領域36は、先端領域36の第1の近位区画40にわたる断面において円形であり得、長手方向管腔30と流体連通する入り口開口部42を画定する。先端領域36は、第1の近位区画40を越えて延び、長手方向管腔32を囲む第2の遠位区画44をさらに画定し得る。第2の遠位区画42は、断面において円形であり得、出口開口部46まで延びる円錐カテーテル先端44を有し得る。血液透析手順において、入り口開口部42は、長手方向管腔30を通して処理するための血液を引き込み、処理された血液は長手方向管腔32を通り、そして出口開口部46を通って外に戻され、血液の上流において循環に戻る。
【0019】
図3−5を参照すると、カテーテル部材の先端領域36は、1つ以上のバルブ部材48をさらに含み得る。バルブ部材48は、外側カテーテル壁28内に画定された変形可能区画であり得る。一実施形態において、バルブ部材48は、概して三角形形状のスリットによって少なくとも部分的に画定され、該スリットは、長手方向管腔30に隣接するカテーテル壁28において形成される。代替において、バルブ部材48は、長手方向管腔32に隣接して配置され得る。一実施形態において、バルブ部材48は、概して、三角形の頂点が、カテーテルハブ12に向いて配置される三角形である。三角形の形状とは異なる他の形状および構成は、また、例えば、長方形、弓形、ダイアモンド形状およびその変化形を含むことが想定される。
【0020】
バルブ部材48は、長手方向管腔30における圧力の差または変化に応答して、実質的に閉鎖した位置(図3−5)と実質的に開放した位置(図6)との間で動くように適合される。より具体的には、バルブ部材48は、長手方向管腔30内の所定の真空圧レベルまたは負の圧力レベルを達成すること(例えば、閉塞がカテーテル先端44に隣接して発生しているとき)に応答して閉鎖位置から開放位置まで動き得る。このような閉塞は、長手方向管腔30内に刺さった(lodged)外来物質または血塊の形態であり得るか、あるいは動脈壁とのカテーテル先端44の位置的な閉塞の結果であり得る。いったん開放位置になると、バルブ部材48は、カテーテル壁28内の開口部50を通る流体の流れを可能にし、それにより、バルブ部材48の遠位(例えば、隣接する入り口開口部42)に配置された閉塞を迂回する。開口部50は、変位したバルブ48によって画定される。従って、バルブ部材48は、カテーテル部材14の長手方向管腔30内で所定の真空レベルを達成すると開放位置に動くように適合された一方向バルブとして作用し得る。
【0021】
一実施形態において、バルブ部材48は、一体蝶番52の周りで、図3の閉鎖位置と図6の開放位置との間で旋回する。この実施形態において、バルブ部材48は、カテーテル壁28とモノリシックに形成される。例えば、ピボットピンなどの使用を含む、バルブ部材48とカテーテル壁28とを旋回可能に接続する他の手段もまた想定される。バルブ部材48はまた、カテーテル壁28に対して厚さまたは断面が低減された範囲を画定し得る。部材48の断面の寸法を変更することは、バルブ部材48を開放するために必要とされる閾値の制御に関して柔軟性を提供する。
【0022】
一実施形態において、カテーテル部材10の先端領域36は、長手方向管腔32と流体連通する第2のバルブ部材54を含む。第2のバルブ部材54は、最初に参照されたバルブ部材48と同様の態様で機能し、例えば、出口開口部46が閉塞しているときに、長手方向管腔32に、流体取り入れバイパス能力または流体排出バイパス能力を提供する。図5および6は、それぞれ閉鎖位置および開放位置の第2のバルブ部材54を示す。さらなる代替として、カテーテル部材10の先端36は、第1のバルブ48を有しないことがあり、第1のバルブ48は、長手方向管腔30へのアクセスを可能にする。
【0023】
カテーテル部材14は、好適には、柔軟性があり、従来の射出成形または押し出し手段によって形成され得る。カテーテル部材14の外側壁28は、所望に応じて強化材料を含み得る。カテーテル部材14は、通常の状態において予め湾曲した構成を有し得(すなわち、予め形成された屈曲を有する)、該予め湾曲した構成は、外部のストレス要因がない状態においてカテーテル部材が配置されるべき体の空洞または脈管に適合することを想定される。あるいは、カテーテル部材14は、任意の通常湾曲した方向付けを有さないことがある。
【0024】
第1および第2の延長管16および18は、体の脈管へ流体を供給し、体の脈管から流体を引き抜くように適合された任意の適切な管であり得る。第1および第2の延長管16および18は、好適には、圧縮可能な材料を含むことにより、管16および18は、管16および18内の開口部を実質的に閉鎖するようにクランプ20を介して選択的に圧縮され得る。カテーテルハブ12から離れた延長管16および18の自由端または後端は、そこに据え付けられたアダプタ56を有する。アダプタ56は、流体を投与する環境において利用される任意の従来のルアーコネクタまたはアダプタであり得る。適切な接続の1つはルアーコネクタであり、該ルアーコネクタは、流体供給源に固定するための外部ねじ山またはカムを組み込み得る。アダプタ56は、摩擦ばめまたはトレランスフィット(tolerance fit)、接着剤、セメントなどを含む前述の手段のうちの任意の手段によって固定され得る。
【0025】
クランプ20は、第1および第2の延長管16および18の周りに据え付けられる。各クランプ20は、延長管16および18と圧縮性でない係合状態の第1の開放位置から、第2の実質的に閉鎖した位置に動き、それぞれの延長管を圧縮して、管内で管腔を閉じ、それによって、いずれの方向にも流体が流れないようにするように適合される。
【0026】
カテーテル10のコンポーネントは、特定のカテーテルの用途および/または実践する人物の好みに応じて、医療用の用途に適した材料(例えば、ポリマまたは金属(例えば、チタンおよびステンレス鋼))から製造される。半剛性および剛性のポリマならびに弾性材料(例えば、成形された医療用グレードのポリウレタン、シリコーンなど)が、製造のために企図されている。カテーテル10の任意の密閉コンポーネントは、低摩擦特性の材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被覆された、PTFE含浸された、内側に潤滑油を塗布したエラストマなど)から製造され得る。しかしながら、当業者は、本開示に従って、組み立ておよび製作に適した他の材料および製造方法もまた適切であることを認識する。
【0027】
血液透析用途の間に使用する際には、1つのアダプタ56(図1)が、血液透析器に接続され得、例えば、ポートまたは入り口開口部42を通して、長手方向管腔30に、そして血液透析器内での循環および治療のために延長管16を通して、血液を引き抜く。残りのアダプタ56は、血液透析器から、送達のために延長管18および長手方向管腔32を通して、出口開口部46を通って患者に血液を戻すように意図される。クランプ20は、所望に応じて、それぞれの第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で操作され得る。
【0028】
血液透析手順の間に、カテーテル部材14の先端領域36は閉塞するか、または血栓が長手方向管腔30内に存在する場合には、長手方向管腔30は、増加する吸引力を受けるが、血液透析器は動作し続ける。長手方向管腔30内で構築される真空圧または負の圧力の増加は、特に、カテーテル先端と脈管壁との閉塞のときに、カテーテル先端44の閉塞された状態を望ましくないように維持するか、または増加させる。しかしながら、この増加された吸引は、図6の開放位置までバルブ部材48を動かすか、または引き込む傾向があり、それにより、カテーテル壁28の開口部50を通る流体の通過および血液透析手順の継続を可能にする。さらに、開口部50を通る流体の通過の間に、それぞれの管腔30および32内の圧力が通常の動作レベルを達成し、このことが、望ましくは、脈管壁からカテーテル先端44を取り除くこと(dislodgement)をもたらす。一実施形態において、バルブ部材46は、約100mmHgから約400mmHgの範囲の圧力レベル(おそらくは約250mmHg)を受けると開くように適合される。長手方向管腔32が閉塞されるとき、バルブ部材54が開いて、バルブ部材48と類似の態様で管腔32を通る流体の流れを可能にする。
【0029】
図7は、別の代替の実施形態を図示し、ここではバルブ部材が、カテーテル部材14の内側部分62と64との間でカテーテル部材14内に画定される実質的に直線状のスリット60の形態であり得る。線形スリット60は、長手方向管腔30が所定の値または閾値未満の真空レベルをうけるとき、実質的に閉鎖した位置にあり得、長手方向管腔30内の真空レベルが閾値レベルを超えるとき、例えば、線形スリット60に隣接する内側部分62および64の半径方向内側へのたわみ(deflection)を介して開放し得る。線形スリット60は、長手方向軸「k」に対して平行に配列され得る。代替において、線形スリット60は、図7に想像線で描かれるように長手方向軸「k」に対してほぼ横断し得る。線形スリット60は、また、長手方向軸「k」に対して斜めの関係で配列され得る。スリット60が弓形の構成であり得ることもさらに想定される。
【0030】
図8は、本開示の別の代替の実施形態を示す。この実施形態に従って、カテーテル部材14は、概して、正弦波形状のスリット72の形態のバルブ部材70を含む。正弦波形状のスリット72は、長手方向軸「k」に対して、ほぼ平行な関係で、横切る関係で、または斜めの関係で、軸の周りで振動するように配列され得る。この正弦波配列は、スリットまたはバルブ部材70の実効長および面積を増加させ、これらは、開放されると、長手方向管腔30およびバルブ部材70を通る、両方向における流体の流れを容易にし得る。正弦波スリット72およびバルブ部材70は、また、閉塞のときにバルブ部材70を開放するために必要とされる閾値吸引レベルを低減し得る。
【0031】
バルブ部材を開放するために長手方向管腔内で必要とされる真空閾値レベルに影響する他の機構または配列もまた想定される。例えば、バルブ部材は可変の断面の寸法を有し得、それにより、例えば、バルブ部材の幅または厚さが、バルブ部材の開放および閉鎖に対して所望の特徴を達成するために変更され得る。
【0032】
図9−11を参照すると、本開示の別の実施形態が示される。カテーテル部材80は、先端領域または遠位端領域82を含む。遠位端領域82のこの実施形態は、同一人に譲渡されたHaaralaに対する米国特許第7,182,746号に記載され、この特許の全内容が本明細書において参照により援用される。先端領域82は一対の向かい合う開口部またはポート84および86を含み、該一対の向かい合う開口部またはポート84および86は、まったく反対の関係で、かつそれぞれ第1および第2の長手方向管腔88および90と流体連通して、その外側壁に配列される。開口部84および86は、それぞれ、カテーテル先端92から離れた位置にある。開口部84および86は、それぞれ、示されるように、概して部分的な弓形の開口部を画定するために、弓形または螺旋形の窪んだ壁を有することを特徴とし得る。開口部84および86は、手順の間に流体の通過を可能にする。先端領域82は、上述した実施形態の任意の実施形態と設計および動作において実質的に類似の1つ以上のバルブ部材94を含む。バルブ部材94は、いずれかの管腔88および90内での過剰な真空圧または負の圧力の引き込みに応答して、図9の閉鎖位置と図11の開放状態との間で動く。
【0033】
図12は、代替の実施形態を示し、ここでは少なくとも1つのバルブ部材94が、長手方向管腔88および90のそれぞれと流体連通する。図13は、先端領域92の代替の実施形態を示し、この実施形態において、バルブ部材94の方向付けは逆になり、三角形形状のスリットの頂点がカテーテル先端44に面する。この配列は、バルブ94を開放位置に動かすために必要とされる吸引力または負の圧力を低減し得る。
【0034】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して記載されてきたが、本開示はこれらの正確な実施形態に限定されないことと、様々な他の変更および修正が、本開示の範囲または精神から逸脱することなしに、当業者によって、実施され得ることとが理解されるべきである。
【0035】
(要約)
血液透析カテーテルは、近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定し、第1および第2の長手方向管腔を画定する細長いカテーテルを含む。外側部材は、それぞれ第1および第2の長手方向管腔と流体連通する第1および第2のポートを含む。第1の開口部および第1の管腔は、血液透析器内の循環のために真空下で血液を除去するための流入経路を画定する。第2の開口部および第2の管腔は、血液透析器からの戻りのための流出経路を画定する。バルブは第1のポートの近位に、外側部材に対して配置される。バルブは、第1の長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、バルブを通り、第1の長手方向管腔に入る血液の流れを可能にするように適合される。バルブは、バルブの遠位の位置における第1の長手方向管腔内の少なくとも部分的な管腔閉塞のときに、開放位置に動くように適合され得る。
【符号の説明】
【0036】
10 血液透析カテーテル10
12 カテーテルハブまたはハウジング
14 細長いカテーテル部材14
16 第1の延長管
18 第2の延長管
20 クランプ
26 ウィング
56 アダプタ
【技術分野】
【0001】
(背景)
(技術分野)
本開示は、概して、医療用カテーテルアセンブリに関し、特にカテーテルの管腔の閉塞のリスクを最小化するように構成されたバルブを含む血液透析カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の記載)
カテーテルは、体の空洞、管、脈管に対して流体を引き抜き、流体を導入することを意図する柔軟な医療用器具である。カテーテル器具は、血液透析手順における特定の用途を有し得、血液透析手順は、血液が治療のために血管から引き抜かれ、その後循環のために血管に戻される。公知の血液透析カテーテルは、複数の管腔(例えば、二重管腔(dual lumen)カテーテルまたは三重管腔(triple−lumen)カテーテル)を含み、該管腔はカテーテル内での双方向の流体の流れを可能にすることにより、1つの管腔が血液の引き抜き専用であり、他の管腔は治療された血液を脈管に戻すこと専用である。例示的な血液透析手順の間に、複数の管腔カテーテルが体に挿入され、そして血液がカテーテルの動脈の管腔を通って引き抜かれる。除去された血液は、血液透析器に方向づけられ、該血液透析器は老廃物および毒素を除去するために、血液を透析するかまたは純化する。透析された血液はカテーテルの静脈の管腔を通って患者に戻される。
【0003】
公知の血液透析カテーテルに関連する1つの複雑な問題は、動脈の管腔の閉塞に関し、特に、脈管壁とのカテーテルの先端の位置上の閉塞に関する。位置上の閉塞は、カテーテルの先端が脈管壁に押しつけられ、その後のカテーテルの管腔のうちの1つへの脈管内膜の陥入の結果として起こり得る。流入ポートが位置的に閉塞されるとき、カテーテルの動脈管腔に真空が形成され、脈管壁を動脈管腔にさらに引き込む。
【0004】
結果として、臨床医は、患者の治療の継続を可能にするために血流の妨害を処理しなければならない。位置的な閉塞を解決する1つの解決策は、カテーテルの管腔の流れを逆転させることである。しかしながら、カテーテルの管腔によって流れを逆転させることは、ラインを分離および再結合することを含み、臨床医のカテーテルの扱いを増加させ、微生物の汚染および感染の機会を増加させ、さらに透析治療の時間を長引かせる。このことは、コストの増加および患者の不快感の増加を含む様々な欠点をもたらす。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(概要)
したがって、本開示は血液透析カテーテルを含むカテーテルにおけるさらなる改善に関する。一実施形態において、医療用カテーテルアセンブリは、長手方向軸と流体の経路のための少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域および遠位端領域を有する細長いカテーテル部材と、該カテーテル部材の遠位端領域に隣接して配置されたバルブとを含む。バルブは、少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、バルブを通り少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合される。カテーテル部材は、少なくとも1つの管腔と連通し、バルブの遠位にある流体ポートを含み得る。バルブはバルブの遠位の位置における少なくとも1つの管腔内での少なくとも部分的な閉塞のときに開放位置に動くように適合され得る。
【0006】
カテーテル部材はバルブを有する外側カテーテル壁を含み、バルブは外側カテーテル壁内に画定されたフラップである。外側カテーテル壁およびフラップは、モノリシックに形成され得る。フラップは、概して三角形の形状であり得る。代替的に、バルブはカテーテル部材の遠位領域に隣接する変形可能区画を含み得る。変形可能区画は、カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で所定の真空レベルが達成されると変形するように構成される。バルブは、一方向圧力解放部材であり得、該一方向圧力解放部材はカテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で所定の真空レベルが達成されると開くように構成される。バルブは、バルブが開放位置にあるときカテーテル壁内に開口部を画定するように配列され得る。
【0007】
一実施形態において、カテーテル部材は外側カテーテル壁を含む。外側カテーテル壁は、その中にスリットを画定する内側部分を有し、それにより、内側部分は開放位置と閉鎖位置との間で動くように相対運動のために適合される。カテーテル壁の内側部分は、実質的に直線状のスリットを画定し得る。代替的に、カテーテル壁の内側部分は、実質的に正弦波の(sinusoidal)スリットを画定し得る。
【0008】
カテーテル部材は、第2の管腔および第2のバルブを含み得る。第2のバルブは、第2の管腔内の所定の真空圧レベルに応答して、閉鎖位置から開放位置に動き、第2のバルブおよび第2の管腔を通る流体の流れを可能にする。この実施形態において、カテーテルは、第2の管腔と流体連通し、第2のバルブの遠位にある第2のポートを含み得る。
【0009】
別の実施形態において、透析カテーテルは、近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定し、第1および第2の長手方向管腔を画定する外側壁部材を含む。外側部材は、それぞれ第1および第2の長手方向管腔と流体連通する第1および第2のポートを含む。第1の開口部および第1の長手方向管腔は、血液透析器内での循環のために、真空下での血液の除去のための流入経路を画定する。第2の開口部および第2の長手方向管腔は、血液透析器からの血液の戻りのための流出経路を画定する。バルブは、第1のポートの近位の外側部材に対して配置される。バルブは第1の長手方向管腔内で実現される所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、バルブを通り、第1の長手方向管腔に入る血液の流れを可能にするように適合され得る。バルブは、バルブの遠位の位置において第1の長手方向管腔内で少なくとも部分的な管腔の閉塞があるときに開放位置に動くように適合され得る。バルブは、カテーテル部材の外側壁部材に画定されるフラップを含み得る。フラップは、閉鎖位置と開放位置との間で一体蝶番の周りで動くように適合される。第2のバルブは、第2のポートの近位の外側部材に対して配置され得る。第2のバルブは、第2の長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置まで動き、第2のバルブを通る流体の流れを可能にするように適合され得る。
【0010】
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
長手方向軸と流体の経路用の少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域と遠位端領域とを有する細長いカテーテル部材と、
該カテーテル部材の該遠位端領域に隣接して配置されたバルブであって、該バルブは、該少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、該バルブを通り、該少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合されたバルブと
を備えている医療用カテーテルアセンブリ。
(項目2)
上記カテーテル部材は、上記少なくとも1つの管腔と連通し、上記バルブの遠位にある流体ポートを含み、該バルブは該バルブの遠位の位置における少なくとも1つの管腔内での少なくとも部分的な管腔の閉塞のときに、上記開放位置に動くように適合される、上記項目に記載のカテーテルアセンブリ。
(項目3)
上記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、上記バルブは該外側カテーテル壁内に画定されるフラップである、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目4)
上記外側カテーテル壁および上記フラップはモノリシックに形成される、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目5)
上記フラップは概して三角形の形状である、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目6)
上記バルブは上記カテーテル部材の上記遠位端領域に隣接する変形可能区画を含み、該変形可能区画は該カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で上記所定の真空レベルを達成すると変形するように構成されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目7)
上記バルブは一方向圧力解放部材を含み、該一方向圧力解放部材は上記カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で上記所定の真空レベルを達成すると上記開放位置に動くように適合される、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目8)
上記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、該外側カテーテル壁はスリットを画定する内側部分を有し、これにより該内側部分は、上記開放位置と上記閉鎖位置との間で動く相対運動のために適合されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目9)
上記カテーテル壁の上記内側部分は実質的に直線状のスリットを画定する、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目10)
上記カテーテル壁の上記内側部分は実質的に正弦波の形状のスリットを画定する、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目11)
上記カテーテルは第2の管腔と第2のバルブとを含み、該第2のバルブは、該第2の管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置まで動き、該第2のバルブおよび該第2の管腔を通る流体の流れを可能にするように適合されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目12)
上記カテーテル部材は上記第2の管腔と連通し、上記第2のバルブの遠位部にある第2の流体ポートを含む上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目13)
上記細長いカテーテル部材は、上記近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定する外側壁部材を含み、上記少なくとも1つの管腔は第1の長手方向管腔および第2の長手方向管腔を含み、該外側壁部材は該第1の長手方向管腔および該第2の長手方向管腔とそれぞれ流体で連通する第1および第2のポートを含み、該第1のポートおよび第1の管腔は、血液透析機内の循環のために真空下で血液を除去するための流入経路を画定し、該第2のポートおよび該第2の長手方向管腔は、該血液透析機からの血液の戻りのための流出経路を画定する、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目14)
上記フラップは上記閉鎖位置と上記開放位置との間で一体蝶番の周りで動くように適合される、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
(項目15)
上記第2のポートの近位に上記外側壁部材に対して配置された第2のバルブを含み、該第2のバルブは上記長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、該第2のバルブを通る流体の流れを可能にするように適合されている、上記項目のいずれかに記載のカテーテルアセンブリ。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本明細書で開示されるカテーテルアセンブリのさまざまな実施形態が、添付の図面を参照して本明細書において記載される。
【図1】図1は、本開示の原理に従うカテーテルアセンブリの透視図であり、カテーテルハブおよびカテーテルハブから延びる細長いカテーテルを描く。
【図2】図2は、カテーテルアセンブリの細長いカテーテルの側面平面図である。
【図3】図3は、細長いカテーテルの先端領域の側面断面図である。
【図4】図4は、閉鎖位置にあるバルブを描く、図2に示される詳細な領域4−4の、拡大され分離された透視図である。
【図5】図5は、閉鎖位置にあるバルブ(または複数のバルブ)を描く、細長いカテーテルの先端領域の拡大された断面図である。
【図6】図6は、開放状態にあるバルブ(または複数のバルブ)を描く図5の図に類似する図である。
【図7】図7は、カテーテルアセンブリの代替の実施形態の先端領域の透視図である。
【図8】図8は、カテーテルアセンブリのバルブの別の代替の実施形態の先端領域の透視図である。
【図9】図9は、細長いカテーテルの先端領域の別の代替の実施形態の透視図である。
【図10】図10は、閉鎖位置にあるバルブを描く図9の細長いカテーテルの先端領域の部分的な断面における側面平面図である。
【図11】図11は、開放状態にあるバルブを描く図10の図に類似する図である。
【図12】図12は、細長いカテーテルの先端領域の代替の実施形態の部分的な断面における側面平面図である。
【図13】図13は、細長いカテーテルアセンブリの別の代替の実施形態の透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(実施形態の詳細な説明)
開示されるカテーテルおよび使用方法の例示的な実施形態が、被験体の体に対して流体を投与するための医療用カテーテルに関して議論され、特に血液透析カテーテルに関して議論される。しかしながら、本開示は、被験体の、外科的、診断的および関連する疾病の治療、体の不快感を含む、さまざまなカテーテル用途で使用され得ることが想定される。本開示されるカテーテルに関する原理は、様々なカテーテル関連手順(例えば、血液透析、心臓、腹部、尿管、腸管、慢性および/または急性の手順の用途)と共に使用することを含むことがさらに想定される。さらに、カテーテルは、流体(例えば、薬物、生理食塩水、体液、血液および尿など)の投与または引き抜きのために使用され得る。
【0013】
以下の議論において、用語「近位」または「後」は、臨床医に対して近い構造の部分をいい、一方で用語「遠位」または「先」は臨床医から遠い部分をいう。本明細書で使用される場合、用語「被験体」はヒトの患者または他の動物をいう。用語「臨床医」は、医師、患者または他のケア提供者をいい、支援要員を含み得る。
【0014】
ここで図面を参照すると(図面において、同様のコンポーネントは、いくつかの図面を通して同様の参照番号で指定される)、図1は、本開示の原理に従う血液透析カテーテル10を透視図で描く。カテーテル10は共に組み立てられたいくつかのコンポーネント、すなわち、カテーテルハブまたはハウジング12、カテーテルハブ12から遠位方向に延びる細長いカテーテル部材14、およびカテーテルハブ12から近位方向に延びる第1の延長管16および第2の延長管18を含む。カテーテルシステム10は、延長管16、18のそれぞれの周りに取り付けられた一対のクランプ20をさらに含み得る。
【0015】
カテーテルハブ12は、臨床医による係合のために寸法が合わせられた任意のハウジングであり得、ステンレス鋼などの金属または適合性ポリマ材料を含む任意の適切な材料で形成され得る。カテーテルハブ12は、それに固定される関係で第1の延長管16および第2の延長管18を受容するように適合された細長い開口部を画定し得る。一つの好適な実施形態において、延長管16および18は、締まりばめまたは摩擦ばめ、セメントまたは接着剤を介して、カテーテルハブ12のそれぞれの延長コンジット(図示せず)内に固定される。カテーテルハブ12は、また、カテーテル部材14を受容する中央開口部(図示せず)を画定し得る。カテーテル部材14は、前述の方法論のうちの任意の方法論を介して、ハブ12の遠位区画または先端区画の中央開口部内に固定され得る。
【0016】
カテーテルハブ12は、カテーテルハブ12から外側にぶら下がる一対の向かい合うウィング26(図1には1つのウィング26のみが見えている)をさらに含み得る。ウィング26は、第1の延長管16および第2の延長管18を支持するために支持要素として作用し得る。さらに、縫合糸がウィング26の周りに巻かれて、カテーテルハブ12を被験体に対して固定し得ることが企図される。代替として、ウィング26またはカテーテルハブ12は、縫合糸を受容するために、その外側壁に環状の溝を有し得る。縫合糸は、環状の溝内に巻かれ得、その後被験体に対して固定され得る。
【0017】
ここで、図1と関連して、図2−3を参照すると、細長いカテーテル部材14が議論される。カテーテル部材14は、長手方向軸「k」および、長手方向軸「k」に対して横断する関係にある横方向軸「b」を画定する。適切なカテーテルの1つは、Mahurkarに対する米国特許第4,568,329号に記載され、この特許の全内容は本明細書において参照により援用される。カテーテル部材14は、二重管腔カテーテルであり得、該二重管腔カテーテルは外側壁28と、第1および第2の長手方向管腔30および32とを有し、第1および第2の長手方向管腔30および32は、平坦な分割器または隔壁34によって分離され、これらはカテーテル部材14の長さを延長したりしなかったりし得る。第1および第2の長手方向管腔30および32のそれぞれは、断面において、長円形、腎臓の形状、またはD形状であり得る。他の管腔配列は、また、円形のパイ形状などを含むことも想定される。同軸管腔もまた想定される。カテーテル部材14はまた、脈管器官内のカテーテル部材のエントリを容易にするために利用されるガイドワイヤの受容および通過のためのガイドワイヤ管腔を含み得る。あるいは、第1および第2の長手方向管腔30および32のうちの1つは、また、流体を引き抜いたり送達したりするその機能に加えて、ガイドワイヤ管腔としての働きもし得る。さらなる実施形態として、血液透析カテーテル10は二重カテーテルとして表現されるが、単一または三重カテーテルもまた想定される。
【0018】
続けて図1−3を参照して、カテーテル部材14は、先端領域36を含み、該先端領域は被験体内に(すなわち、脈管器官を通って)導入される。例示される実施形態において、先端領域36は、先端領域36の第1の近位区画40にわたる断面において円形であり得、長手方向管腔30と流体連通する入り口開口部42を画定する。先端領域36は、第1の近位区画40を越えて延び、長手方向管腔32を囲む第2の遠位区画44をさらに画定し得る。第2の遠位区画42は、断面において円形であり得、出口開口部46まで延びる円錐カテーテル先端44を有し得る。血液透析手順において、入り口開口部42は、長手方向管腔30を通して処理するための血液を引き込み、処理された血液は長手方向管腔32を通り、そして出口開口部46を通って外に戻され、血液の上流において循環に戻る。
【0019】
図3−5を参照すると、カテーテル部材の先端領域36は、1つ以上のバルブ部材48をさらに含み得る。バルブ部材48は、外側カテーテル壁28内に画定された変形可能区画であり得る。一実施形態において、バルブ部材48は、概して三角形形状のスリットによって少なくとも部分的に画定され、該スリットは、長手方向管腔30に隣接するカテーテル壁28において形成される。代替において、バルブ部材48は、長手方向管腔32に隣接して配置され得る。一実施形態において、バルブ部材48は、概して、三角形の頂点が、カテーテルハブ12に向いて配置される三角形である。三角形の形状とは異なる他の形状および構成は、また、例えば、長方形、弓形、ダイアモンド形状およびその変化形を含むことが想定される。
【0020】
バルブ部材48は、長手方向管腔30における圧力の差または変化に応答して、実質的に閉鎖した位置(図3−5)と実質的に開放した位置(図6)との間で動くように適合される。より具体的には、バルブ部材48は、長手方向管腔30内の所定の真空圧レベルまたは負の圧力レベルを達成すること(例えば、閉塞がカテーテル先端44に隣接して発生しているとき)に応答して閉鎖位置から開放位置まで動き得る。このような閉塞は、長手方向管腔30内に刺さった(lodged)外来物質または血塊の形態であり得るか、あるいは動脈壁とのカテーテル先端44の位置的な閉塞の結果であり得る。いったん開放位置になると、バルブ部材48は、カテーテル壁28内の開口部50を通る流体の流れを可能にし、それにより、バルブ部材48の遠位(例えば、隣接する入り口開口部42)に配置された閉塞を迂回する。開口部50は、変位したバルブ48によって画定される。従って、バルブ部材48は、カテーテル部材14の長手方向管腔30内で所定の真空レベルを達成すると開放位置に動くように適合された一方向バルブとして作用し得る。
【0021】
一実施形態において、バルブ部材48は、一体蝶番52の周りで、図3の閉鎖位置と図6の開放位置との間で旋回する。この実施形態において、バルブ部材48は、カテーテル壁28とモノリシックに形成される。例えば、ピボットピンなどの使用を含む、バルブ部材48とカテーテル壁28とを旋回可能に接続する他の手段もまた想定される。バルブ部材48はまた、カテーテル壁28に対して厚さまたは断面が低減された範囲を画定し得る。部材48の断面の寸法を変更することは、バルブ部材48を開放するために必要とされる閾値の制御に関して柔軟性を提供する。
【0022】
一実施形態において、カテーテル部材10の先端領域36は、長手方向管腔32と流体連通する第2のバルブ部材54を含む。第2のバルブ部材54は、最初に参照されたバルブ部材48と同様の態様で機能し、例えば、出口開口部46が閉塞しているときに、長手方向管腔32に、流体取り入れバイパス能力または流体排出バイパス能力を提供する。図5および6は、それぞれ閉鎖位置および開放位置の第2のバルブ部材54を示す。さらなる代替として、カテーテル部材10の先端36は、第1のバルブ48を有しないことがあり、第1のバルブ48は、長手方向管腔30へのアクセスを可能にする。
【0023】
カテーテル部材14は、好適には、柔軟性があり、従来の射出成形または押し出し手段によって形成され得る。カテーテル部材14の外側壁28は、所望に応じて強化材料を含み得る。カテーテル部材14は、通常の状態において予め湾曲した構成を有し得(すなわち、予め形成された屈曲を有する)、該予め湾曲した構成は、外部のストレス要因がない状態においてカテーテル部材が配置されるべき体の空洞または脈管に適合することを想定される。あるいは、カテーテル部材14は、任意の通常湾曲した方向付けを有さないことがある。
【0024】
第1および第2の延長管16および18は、体の脈管へ流体を供給し、体の脈管から流体を引き抜くように適合された任意の適切な管であり得る。第1および第2の延長管16および18は、好適には、圧縮可能な材料を含むことにより、管16および18は、管16および18内の開口部を実質的に閉鎖するようにクランプ20を介して選択的に圧縮され得る。カテーテルハブ12から離れた延長管16および18の自由端または後端は、そこに据え付けられたアダプタ56を有する。アダプタ56は、流体を投与する環境において利用される任意の従来のルアーコネクタまたはアダプタであり得る。適切な接続の1つはルアーコネクタであり、該ルアーコネクタは、流体供給源に固定するための外部ねじ山またはカムを組み込み得る。アダプタ56は、摩擦ばめまたはトレランスフィット(tolerance fit)、接着剤、セメントなどを含む前述の手段のうちの任意の手段によって固定され得る。
【0025】
クランプ20は、第1および第2の延長管16および18の周りに据え付けられる。各クランプ20は、延長管16および18と圧縮性でない係合状態の第1の開放位置から、第2の実質的に閉鎖した位置に動き、それぞれの延長管を圧縮して、管内で管腔を閉じ、それによって、いずれの方向にも流体が流れないようにするように適合される。
【0026】
カテーテル10のコンポーネントは、特定のカテーテルの用途および/または実践する人物の好みに応じて、医療用の用途に適した材料(例えば、ポリマまたは金属(例えば、チタンおよびステンレス鋼))から製造される。半剛性および剛性のポリマならびに弾性材料(例えば、成形された医療用グレードのポリウレタン、シリコーンなど)が、製造のために企図されている。カテーテル10の任意の密閉コンポーネントは、低摩擦特性の材料(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)被覆された、PTFE含浸された、内側に潤滑油を塗布したエラストマなど)から製造され得る。しかしながら、当業者は、本開示に従って、組み立ておよび製作に適した他の材料および製造方法もまた適切であることを認識する。
【0027】
血液透析用途の間に使用する際には、1つのアダプタ56(図1)が、血液透析器に接続され得、例えば、ポートまたは入り口開口部42を通して、長手方向管腔30に、そして血液透析器内での循環および治療のために延長管16を通して、血液を引き抜く。残りのアダプタ56は、血液透析器から、送達のために延長管18および長手方向管腔32を通して、出口開口部46を通って患者に血液を戻すように意図される。クランプ20は、所望に応じて、それぞれの第1の開放位置と第2の閉鎖位置との間で操作され得る。
【0028】
血液透析手順の間に、カテーテル部材14の先端領域36は閉塞するか、または血栓が長手方向管腔30内に存在する場合には、長手方向管腔30は、増加する吸引力を受けるが、血液透析器は動作し続ける。長手方向管腔30内で構築される真空圧または負の圧力の増加は、特に、カテーテル先端と脈管壁との閉塞のときに、カテーテル先端44の閉塞された状態を望ましくないように維持するか、または増加させる。しかしながら、この増加された吸引は、図6の開放位置までバルブ部材48を動かすか、または引き込む傾向があり、それにより、カテーテル壁28の開口部50を通る流体の通過および血液透析手順の継続を可能にする。さらに、開口部50を通る流体の通過の間に、それぞれの管腔30および32内の圧力が通常の動作レベルを達成し、このことが、望ましくは、脈管壁からカテーテル先端44を取り除くこと(dislodgement)をもたらす。一実施形態において、バルブ部材46は、約100mmHgから約400mmHgの範囲の圧力レベル(おそらくは約250mmHg)を受けると開くように適合される。長手方向管腔32が閉塞されるとき、バルブ部材54が開いて、バルブ部材48と類似の態様で管腔32を通る流体の流れを可能にする。
【0029】
図7は、別の代替の実施形態を図示し、ここではバルブ部材が、カテーテル部材14の内側部分62と64との間でカテーテル部材14内に画定される実質的に直線状のスリット60の形態であり得る。線形スリット60は、長手方向管腔30が所定の値または閾値未満の真空レベルをうけるとき、実質的に閉鎖した位置にあり得、長手方向管腔30内の真空レベルが閾値レベルを超えるとき、例えば、線形スリット60に隣接する内側部分62および64の半径方向内側へのたわみ(deflection)を介して開放し得る。線形スリット60は、長手方向軸「k」に対して平行に配列され得る。代替において、線形スリット60は、図7に想像線で描かれるように長手方向軸「k」に対してほぼ横断し得る。線形スリット60は、また、長手方向軸「k」に対して斜めの関係で配列され得る。スリット60が弓形の構成であり得ることもさらに想定される。
【0030】
図8は、本開示の別の代替の実施形態を示す。この実施形態に従って、カテーテル部材14は、概して、正弦波形状のスリット72の形態のバルブ部材70を含む。正弦波形状のスリット72は、長手方向軸「k」に対して、ほぼ平行な関係で、横切る関係で、または斜めの関係で、軸の周りで振動するように配列され得る。この正弦波配列は、スリットまたはバルブ部材70の実効長および面積を増加させ、これらは、開放されると、長手方向管腔30およびバルブ部材70を通る、両方向における流体の流れを容易にし得る。正弦波スリット72およびバルブ部材70は、また、閉塞のときにバルブ部材70を開放するために必要とされる閾値吸引レベルを低減し得る。
【0031】
バルブ部材を開放するために長手方向管腔内で必要とされる真空閾値レベルに影響する他の機構または配列もまた想定される。例えば、バルブ部材は可変の断面の寸法を有し得、それにより、例えば、バルブ部材の幅または厚さが、バルブ部材の開放および閉鎖に対して所望の特徴を達成するために変更され得る。
【0032】
図9−11を参照すると、本開示の別の実施形態が示される。カテーテル部材80は、先端領域または遠位端領域82を含む。遠位端領域82のこの実施形態は、同一人に譲渡されたHaaralaに対する米国特許第7,182,746号に記載され、この特許の全内容が本明細書において参照により援用される。先端領域82は一対の向かい合う開口部またはポート84および86を含み、該一対の向かい合う開口部またはポート84および86は、まったく反対の関係で、かつそれぞれ第1および第2の長手方向管腔88および90と流体連通して、その外側壁に配列される。開口部84および86は、それぞれ、カテーテル先端92から離れた位置にある。開口部84および86は、それぞれ、示されるように、概して部分的な弓形の開口部を画定するために、弓形または螺旋形の窪んだ壁を有することを特徴とし得る。開口部84および86は、手順の間に流体の通過を可能にする。先端領域82は、上述した実施形態の任意の実施形態と設計および動作において実質的に類似の1つ以上のバルブ部材94を含む。バルブ部材94は、いずれかの管腔88および90内での過剰な真空圧または負の圧力の引き込みに応答して、図9の閉鎖位置と図11の開放状態との間で動く。
【0033】
図12は、代替の実施形態を示し、ここでは少なくとも1つのバルブ部材94が、長手方向管腔88および90のそれぞれと流体連通する。図13は、先端領域92の代替の実施形態を示し、この実施形態において、バルブ部材94の方向付けは逆になり、三角形形状のスリットの頂点がカテーテル先端44に面する。この配列は、バルブ94を開放位置に動かすために必要とされる吸引力または負の圧力を低減し得る。
【0034】
本開示の例示的な実施形態が添付の図面を参照して記載されてきたが、本開示はこれらの正確な実施形態に限定されないことと、様々な他の変更および修正が、本開示の範囲または精神から逸脱することなしに、当業者によって、実施され得ることとが理解されるべきである。
【0035】
(要約)
血液透析カテーテルは、近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定し、第1および第2の長手方向管腔を画定する細長いカテーテルを含む。外側部材は、それぞれ第1および第2の長手方向管腔と流体連通する第1および第2のポートを含む。第1の開口部および第1の管腔は、血液透析器内の循環のために真空下で血液を除去するための流入経路を画定する。第2の開口部および第2の管腔は、血液透析器からの戻りのための流出経路を画定する。バルブは第1のポートの近位に、外側部材に対して配置される。バルブは、第1の長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、バルブを通り、第1の長手方向管腔に入る血液の流れを可能にするように適合される。バルブは、バルブの遠位の位置における第1の長手方向管腔内の少なくとも部分的な管腔閉塞のときに、開放位置に動くように適合され得る。
【符号の説明】
【0036】
10 血液透析カテーテル10
12 カテーテルハブまたはハウジング
14 細長いカテーテル部材14
16 第1の延長管
18 第2の延長管
20 クランプ
26 ウィング
56 アダプタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向軸と流体の経路用の少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域と遠位端領域とを有する細長いカテーテル部材と、
該カテーテル部材の該遠位端領域に隣接して配置されたバルブであって、該バルブは、該少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、該バルブを通り、該少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合されたバルブと
を備えている医療用カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテル部材は、前記少なくとも1つの管腔と連通し、前記バルブの遠位にある流体ポートを含み、該バルブは該バルブの遠位の位置における少なくとも1つの管腔内での少なくとも部分的な管腔の閉塞のときに、前記開放位置に動くように適合される、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、前記バルブは該外側カテーテル壁内に画定されるフラップである、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記外側カテーテル壁および前記フラップはモノリシックに形成される、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記フラップは概して三角形の形状である、請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記バルブは前記カテーテル部材の前記遠位端領域に隣接する変形可能区画を含み、該変形可能区画は該カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で前記所定の真空レベルを達成すると変形するように構成されている、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記バルブは一方向圧力解放部材を含み、該一方向圧力解放部材は前記カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で前記所定の真空レベルを達成すると前記開放位置に動くように適合される、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、該外側カテーテル壁はスリットを画定する内側部分を有し、これにより該内側部分は、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で動く相対運動のために適合されている、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記カテーテル壁の前記内側部分は実質的に直線状のスリットを画定する、請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記カテーテル壁の前記内側部分は実質的に正弦波の形状のスリットを画定する、請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記カテーテルは第2の管腔と第2のバルブとを含み、該第2のバルブは、該第2の管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置まで動き、該第2のバルブおよび該第2の管腔を通る流体の流れを可能にするように適合されている、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記カテーテル部材は前記第2の管腔と連通し、前記第2のバルブの遠位部にある第2の流体ポートを含む請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記細長いカテーテル部材は、前記近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定する外側壁部材を含み、前記少なくとも1つの管腔は第1の長手方向管腔および第2の長手方向管腔を含み、該外側壁部材は該第1の長手方向管腔および該第2の長手方向管腔とそれぞれ流体で連通する第1および第2のポートを含み、該第1のポートおよび第1の管腔は、血液透析機内の循環のために真空下で血液を除去するための流入経路を画定し、該第2のポートおよび該第2の長手方向管腔は、該血液透析機からの血液の戻りのための流出経路を画定する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記フラップは前記閉鎖位置と前記開放位置との間で一体蝶番の周りで動くように適合される、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記第2のポートの近位に前記外側壁部材に対して配置された第2のバルブを含み、該第2のバルブは前記長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、該第2のバルブを通る流体の流れを可能にするように適合されている、請求項13に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項1】
長手方向軸と流体の経路用の少なくとも1つの管腔とを画定し、近位端領域と遠位端領域とを有する細長いカテーテル部材と、
該カテーテル部材の該遠位端領域に隣接して配置されたバルブであって、該バルブは、該少なくとも1つの管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動いて、該バルブを通り、該少なくとも1つの管腔に入る流体の流れを可能にするように適合されたバルブと
を備えている医療用カテーテルアセンブリ。
【請求項2】
前記カテーテル部材は、前記少なくとも1つの管腔と連通し、前記バルブの遠位にある流体ポートを含み、該バルブは該バルブの遠位の位置における少なくとも1つの管腔内での少なくとも部分的な管腔の閉塞のときに、前記開放位置に動くように適合される、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項3】
前記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、前記バルブは該外側カテーテル壁内に画定されるフラップである、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項4】
前記外側カテーテル壁および前記フラップはモノリシックに形成される、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項5】
前記フラップは概して三角形の形状である、請求項4に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項6】
前記バルブは前記カテーテル部材の前記遠位端領域に隣接する変形可能区画を含み、該変形可能区画は該カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で前記所定の真空レベルを達成すると変形するように構成されている、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項7】
前記バルブは一方向圧力解放部材を含み、該一方向圧力解放部材は前記カテーテル部材の少なくとも1つの管腔内で前記所定の真空レベルを達成すると前記開放位置に動くように適合される、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項8】
前記カテーテル部材は外側カテーテル壁を含み、該外側カテーテル壁はスリットを画定する内側部分を有し、これにより該内側部分は、前記開放位置と前記閉鎖位置との間で動く相対運動のために適合されている、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項9】
前記カテーテル壁の前記内側部分は実質的に直線状のスリットを画定する、請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項10】
前記カテーテル壁の前記内側部分は実質的に正弦波の形状のスリットを画定する、請求項8に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項11】
前記カテーテルは第2の管腔と第2のバルブとを含み、該第2のバルブは、該第2の管腔内の所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置まで動き、該第2のバルブおよび該第2の管腔を通る流体の流れを可能にするように適合されている、請求項2に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項12】
前記カテーテル部材は前記第2の管腔と連通し、前記第2のバルブの遠位部にある第2の流体ポートを含む請求項11に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項13】
前記細長いカテーテル部材は、前記近位端領域および遠位端領域と長手方向軸とを画定する外側壁部材を含み、前記少なくとも1つの管腔は第1の長手方向管腔および第2の長手方向管腔を含み、該外側壁部材は該第1の長手方向管腔および該第2の長手方向管腔とそれぞれ流体で連通する第1および第2のポートを含み、該第1のポートおよび第1の管腔は、血液透析機内の循環のために真空下で血液を除去するための流入経路を画定し、該第2のポートおよび該第2の長手方向管腔は、該血液透析機からの血液の戻りのための流出経路を画定する、請求項1に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項14】
前記フラップは前記閉鎖位置と前記開放位置との間で一体蝶番の周りで動くように適合される、請求項3に記載のカテーテルアセンブリ。
【請求項15】
前記第2のポートの近位に前記外側壁部材に対して配置された第2のバルブを含み、該第2のバルブは前記長手方向管腔内で実現された所定の真空圧レベルに応答して閉鎖位置から開放位置に動き、該第2のバルブを通る流体の流れを可能にするように適合されている、請求項13に記載のカテーテルアセンブリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−75696(P2010−75696A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−217222(P2009−217222)
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月18日(2009.9.18)
【出願人】(501289751)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (320)
【Fターム(参考)】
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