説明

バルブ装置及び該バルブ装置の組み付け方法

【課題】バルブ装置の弁閉状態においてバルブを簡便且つ高精度にシート部材に着座させる。
【解決手段】排気ガス再循環バルブを構成するシャフト38の孔部46に、バルブ14の軸部44を挿入した状態で、該バルブ14をバルブシート16に対向する位置まで回転させ、ガス流入口20に装着された組付用治具60に挿通された調整用ボルト70を前記バルブ14に螺合させ螺回させることにより、前記バルブ14を前記バルブシート16側に向かって移動させて当接させる。この状態で、バルブ14の軸部44をシャフト38に対して固定することで排気ガス再循環バルブの組み付けがなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流通する流路をバルブで開閉することにより該流体の流通状態を切り換えるバルブ装置及び該バルブ装置の組み付け方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、流体の流通する流路に接続され、該流路の連通状態を弁体の回転作用下に切り換えて前記流体の流通状態を制御するバルブ装置が知られている。このようなバルブ装置は、例えば、流路を有した弁箱の内部に、断面U字状の弁体が回転自在に設けられ、該弁体が前記流路に設けられたシートリングの弾性体に当接することによって流路が閉塞され、一方、該弁体が前記弾性体から離間することによって前記流路が開口し、前記弁体との間を通じて流体が流通する。また、シートリングの端部には弾性材料からなる弾性体が装着され、前記シートリングは、流路内に挿入された後、その開口から挿入された筒状のインサートによって固定され保持される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−161505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した特許文献1に係るバルブ装置では、弁箱内に挿入されたシートリングが、流路の開口から挿入されたインサートの端部によって保持され位置決めされる構成としているため、前記シートリングと弁体との接触度合いに応じて該シートリングの位置を調整することが困難である。例えば、シートリング、弁体、インサート等に寸法ばらつきが生じている場合には、バルブ装置の組み付け状態において、前記弁体とシートリングとの接触度合いにばらつきが生じ、その都度、調整作業が必要となり、その組付作業性が低下してしまうという問題が発生する。
【0005】
本発明は、前記の課題を考慮してなされたものであり、弁閉状態においてバルブを簡便且つ高精度にシート部材に着座させることが可能なバルブ装置及び該バルブ装置の組み付け方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の目的を達成するために、本発明は、流体の流入する流入口と該流体が流通する通路を有したボディと、前記通路に配置され少なくとも外周面の一部が球面に形成された着座部を有し、連結されたシャフトを介して回動可能に設けられたバルブと、前記流入口に対して可動自在に設けられ、且つ、前記バルブが着座するシート部材とを備えるバルブ装置において、
前記バルブには、前記シャフトの軸線と直交方向に形成され、弁閉時において前記流入口に臨み、且つ、該バルブの軸線上に形成されるねじ穴を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、外周面の一部が少なくとも球面に形成された着座部を有するバルブには、シャフトの軸線と直交方向に形成され、弁閉時において前記流入口に臨み、且つ、該バルブの軸線上にねじ穴が形成される。そして、例えば、ボディの流入口に装着された組付用治具をねじ穴に螺合させ、螺回させることによって前記バルブを流入口側へと移動させ、シート部材に対して当接させることができる。
【0008】
従って、バルブは、そのねじ穴を介して着座部をシート部材に対して均一に当接させることができるため、弁閉状態におけるバルブの着座状態にばらつきが生じることがなく、該バルブを前記シート部材に対して高精度に着座させることが可能となる。
【0009】
また、ねじ穴は、バルブの軸線と直交した平面部の略中央に形成するとよい。
【0010】
さらに、シャフトには、バルブの軸線上に設けられた軸部の挿入される孔部を有し、前記孔部の内周径を前記軸部の外周径に対して大きく設定するとよい。
【0011】
さらにまた、本発明は、流体の流入する流入口と該流体の流通する通路とを有したボディと、前記通路に配置され少なくとも外周面の一部が球面に形成された着座部を有し、シャフトを介して回動可能に設けられたバルブと、前記通路に設けられ前記流体の流通する孔部を有し前記ボディに対して可動自在に設けられ、且つ、前記バルブが着座するシート部材とを備えるバルブ装置の組み付け方法において、
前記バルブの着座部を前記シート部材及び前記流入口に対向配置する工程と、
調整用ボルトを前記バルブの中心に形成されたねじ穴に螺合させる工程と、
前記調整用ボルトを螺回させ、前記バルブを前記組付用治具側に向かって軸方向に引っ張り、前記着座部を前記シート部材に対して当接させる工程と、
前記バルブが前記シート部材に対して当接した状態において、前記バルブの軸部と前記シャフトとを連結する工程と、
を有することを特徴とする。
【0012】
本発明によれば、シャフトの孔部に対してバルブの軸部が移動自在に挿入され、該バルブがシート部材及び流入口と対向配置された状態で、前記流入口に組付用治具を装着し、その孔部に挿通された調整用ボルトを前記バルブのねじ穴に螺合させることにより、前記調整用ボルトの螺回作用下に前記バルブを前記シート部材側に向かって移動させることができ、しかも、前記調整用ボルトによって前記バルブとシート部材及び流入口とが同軸上に配置された状態となる。
【0013】
従って、組付用治具及び調整用ボルトを介してバルブをシート部材側に向かって移動させ、その着座部を前記シート部材に対して均一且つ所定圧力で当接させた状態で、前記バルブとシャフトとを連結することができるため、シート部材に対する前記バルブの当接状態にばらつきが生じることなく、所望の弁閉状態で簡便且つ高精度にバルブを組み付けることが可能となる。
【0014】
また、バルブは、流入口に対して大径で形成され、流体が外部へと排出される流出口から通路内へと挿入されるとよい。
【0015】
さらに、バルブは、組付用治具における該バルブ側の端部に当接することによって軸方向に沿った移動が規制されるとよい。
【0016】
またさらに、バルブの軸部を、シャフトの孔部に対して該孔部の軸方向及び径方向に移動自在に挿入するとよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0018】
すなわち、ボディの内部において、シャフトの孔部に軸部の挿通されたバルブを、組付用治具及び調整用ボルトを介してシート部材側に向かって移動させ、その着座部を前記シート部材に対して均一且つ所定圧力で当接させた状態で、前記バルブとシャフトとを連結することにより、前記バルブのシート部材に対する着座状態にばらつきが生じることなく、バルブを所望の弁閉状態で簡便且つ高精度に組み付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態に係るバルブ装置及び該バルブ装置の組み付け方法が適用された排気ガス再循環バルブの全体断面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図3Aは、シャフトに対してバルブを組み付ける前の状態を示す拡大断面図であり、図3Bは、前記バルブの組み付けられたシャフトを回転させ、該バルブをバルブシートに臨む位置に配置した状態を示す拡大断面図である。
【図4】図3Bに示すバルブを組付用治具を介して位置決めし、該バルブとシャフトとが連結された組み付け状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係るについて好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るバルブ装置の組み付け方法が適用された排気ガス再循環バルブを示す。
【0022】
この排気ガス再循環バルブ10は、図1及び図2に示されるように、ボディ本体(ボディ)12と、該ボディ本体12の内部に回動自在に設けられるバルブ14と、前記バルブ14の外周面に当接するバルブシート(シート部材)16と、前記ボディ本体12の上部に設けられ、前記バルブ14に対して回転駆動力を付与する駆動力伝達機構18とを含む。
【0023】
このボディ本体12は、例えば、金属製材料から形成され、その下側には、排気ガスの供給されるガス流入口20と、その反対側に設けられ、前記排気ガスを導出して内燃機関(図示せず)へと循環させるガス流出口22が設けられている。なお、ボディ本体12において、図2に示されるように、ガス流入口20とガス流出口22とは略一直線上に設けられると共に、前記ガス流出口22の内周径B1が、前記ガス流入口20の内周径B2に対して大きく設定される(B1>B2)。
【0024】
このガス流入口20とガス流出口22との間には連通室24が形成され、この連通室24の内部に円盤状のバルブ14が回動自在に配設される。
【0025】
また、連通室24とガス流入口20との間には、ガス流入口20に対して拡径した装着孔26が形成され、該装着孔26には、バルブ14の外周面に摺接するバルブシート16が設けられる。
【0026】
このバルブシート16は、例えば、金属製材料から形成され、装着孔26において連通室24側(矢印A1方向)にバルブ14に当接するシート部28を有する。シート部28の中央には、連通孔30が軸方向(矢印A1、A2方向)に貫通し、ガス流入口20と連通している。
【0027】
また、バルブシート16は、装着孔26において軸方向(矢印A1、A2方向)及び径方向に移動可能に設けられ、該装着孔26の連通室24側(矢印A1方向)に設けられたリング状のストッパ32との間にスプリング34が介装され、該スプリング34によって前記バルブシート16がガス流入口20側(矢印A2方向)へと付勢されている。
【0028】
シート部28は、図1及び図2に示されるように、徐々に拡径するテーパ状のシート面を有し、前記シート面に対してバルブ14が当接することによってガス流入口20と連通室24との連通が遮断された弁閉状態となる。
【0029】
一方、ボディ本体12の略中央部には、図1に示されるように、連通室24から鉛直上方に向かって貫通したシャフト孔36が形成され、後述する駆動力伝達機構18のシャフト38が挿通される。
【0030】
バルブ14は、半球面状に形成された着座面40を有した円盤状の本体部42と、該本体部42の略中央から軸方向(矢印A1方向)に突出した軸部44とを備える。
【0031】
本体部42は、軸方向に沿った一端面(平面部)42a及び他端面42bが、それぞれ該軸方向と直交した平面状に形成されると共に、前記他端面42bに対して直交するように突出して軸部44が形成される。軸部44は、バルブ14の軸線上に形成される。そして、軸部44は、シャフト38に開口した孔部46に挿通され、例えば、溶接等によって連結される。これにより、バルブ14は、シャフト38が回転することによって一体的に回転する。
【0032】
着座面40は、本体部42の外周面に形成され、一端面42aから他端面42bに向かって徐々に拡径するように球面状に形成される。そして、着座面40がバルブシート16のシート部28に当接(着座)することによって弁閉状態となる。
【0033】
また、本体部42の一端面42aには、略中央に軸方向(矢印A1方向)に沿ったねじ穴48が形成され、該一端面42aから所定深さで形成される。なお、軸部44とねじ穴48とは同軸上に形成される。
【0034】
駆動力伝達機構18は、バルブ14の連結されるシャフト38と、前記シャフト38の上端部に連結されるバルブギア50と、ボディ本体12の上部に連結され、前記バルブギア50を介して前記シャフト38を回転駆動させる駆動源52とを含む。
【0035】
シャフト38は、その上端部がバルブギア50の略中央部に挿通されてナット54を締め付けることによって固定されると共に、ボディ本体12においてバルブ14の上方及び下方にそれぞれ装着された軸受56a、56bによって回転自在に支持されている。
【0036】
また、シャフト38には、連通室24内に配置される部位に、軸方向と直交方向に貫通した孔部46が形成され、該孔部46にはバルブ14の軸部44が挿通される。この孔部46は、軸部44の外周径C1より大きな内周径C2で形成されている(C1<C2)。また、シャフト38には、孔部46を中心として上方及び下方に略平面状、且つ、所定長さで切り欠かれた切欠部58が形成される。切欠部58は、孔部46の一端側及び他端側にそれぞれ設けられる。
【0037】
駆動源52は、例えば、通電作用下に回転駆動するステッピングモータやロータリーアクチュエータからなり、その回転駆動力がバルブギア50を介してシャフト38へと伝達されることにより、シャフト38に連結されたバルブ14が軸線を中心として回動動作する。
【0038】
本発明の実施の形態に係るバルブ装置の組み付け方法が適用された排気ガス再循環バルブ10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に、前記バルブ装置の組み付け方法について図3及び図4を参照しながら説明する。
【0039】
ここでは、先ず、バルブ14をシャフト38及びバルブシート16に対して位置決めする際に用いられる組付用治具60について説明する。この組付用治具60は、例えば、金属製材料から形成され、ガス流入口20に挿入されるベース部62と、該ベース部62の先端に形成された保持部64とを備え、前記ベース部62の端部には、その外周面に対して半径外方向に拡径したフランジ部66が形成される。また、組付用治具60の中央には、ベース部62及び保持部64を貫通するように軸方向(矢印A1、A2方向)に沿ってボルト孔68が形成され、該ボルト孔68には、バルブ14のねじ穴48に螺合される調整用ボルト70が挿入される。このフランジ部66側(矢印A2方向)となるボルト孔68の端部には、前記調整用ボルト70の頭部が挿入される拡径穴72を有する。
【0040】
なお、調整用ボルト70は、その頭部が拡径穴72に挿入された状態で、先端部分(少なくとも、ねじ部分)が保持部64の端面64aから突出する長さで形成される。
【0041】
また、ベース部62は、円筒状に形成され、その外周径はガス流入口20の内周径と略同等に形成される。すなわち、ガス流入口20に対して組付用治具60のベース部62を挿入することによってボルト孔68が前記ガス流入口20の中心となり、前記ボルト孔68、ベース部62及び保持部64がガス流入口20と同軸上となるように配置される。
【0042】
保持部64の端面64aは、ボルト孔68の軸線と略直交する平面状に形成され、バルブ14を組み付ける際、該バルブ14の一端面42aを当接させる当接面として機能する。
【0043】
次に、上述した組付用治具60及び調整用ボルト70を用いて、排気ガス再循環バルブ10の組み付けを行う場合について説明する。
【0044】
先ず、図3Aに示されるように、ガス流出口22からバルブシート16をボディ本体12の内部へと挿入し、そのシート部28が連通室24側(矢印A1方向)となるように装着孔26に装着する。次に、ボディ本体12の下部からシャフト孔36にシャフト38を挿通し、その上端部をナット54でバルブギア50に連結する。これにより、シャフト38の孔部46及び切欠部58が連通室24内に配置された状態となる。
【0045】
そして、ガス流出口22を通じてバルブ14を軸部44側(矢印A1方向側)からボディ本体12の内部へと挿入し、前記軸部44をシャフト38の孔部46に挿入する(図3B中、二点鎖線形状参照)。なお、シャフト38は、予め孔部46がガス流出口22側(矢印A1方向)に向かって開口するように回転させておく。この時点では、バルブ14は、軸部44を介してシャフト38に仮組みされた状態であり、該軸部44の外周径C1と前記シャフト38の孔部46の内周径C2との関係から該バルブ14は径方向及び軸方向に移動可能な状態にある。
【0046】
次に、図3Bに示されるように、シャフト38を180°回転させ、該バルブ14をバルブシート16に対向させる。すなわち、バルブ14は、本体部42がボディ本体12のガス流入口20側(矢印A2方向側)に配置された状態となる。
【0047】
また、バルブ14は、上述したようにシャフト38に対して軸方向及び径方向に移動自在な状態にあるため、前記バルブ14の着座面40とバルブシート16のシート部28とが非接触な状態にあるか、若しくは、排気ガス再循環バルブ10の組み付け時と比較し、バルブシート16に対する接触圧力が所定圧力より小さな状態で当接した状態にある。
【0048】
次に、組付用治具60を、その保持部64側(矢印A1方向側)からボディ本体12のガス流入口20へと挿入し、フランジ部66をボディ本体12の外壁面に当接させる。これにより、ベース部62がガス流入口20に挿入され、組付用治具60のベース部62及び保持部64と前記ガス流入口20とが同軸上に配置された状態となる。そして、ボルト孔68に挿通された調整用ボルト70の先端を、バルブ14のねじ穴48に螺合させた後、前記調整用ボルト70を螺回させることによってバルブ14が前記組付用治具60側(矢印A2方向)に向かって引っ張られて移動することとなる。
【0049】
この際、バルブ14は、ガス流入口20に対して同軸上に配置された組付用治具60に設けられた調整用ボルト70に螺合され、且つ、該調整用ボルト70の螺回作用下に発生する軸方向(矢印A2方向)に沿った推力Fによって移動するため、前記バルブ14は、前記ガス流入口20と同軸上となるように位置が調整される。すなわち、バルブ14の中心である軸部44及びねじ穴48が、ガス流入口20及び組付用治具60の軸線上となるように調整され配置される。
【0050】
そして、バルブ14の一端面42aが、前記組付用治具60における保持部64の端面64aに当接することによって前記バルブ14の軸線に対する傾きが調整され、バルブシート16のシート部28に対して着座面40が周方向に沿って均一の圧力で当接(着座)した状態となると共に、前記バルブ14のバルブシート16側(矢印A2方向)への移動が規制される。
【0051】
これにより、バルブ14が、図4に示されるように、バルブシート16に対して所定圧力で当接し、且つ、該バルブシート16との位置関係に応じてシャフト38の孔部46において軸部44が軸方向及び径方向に移動することによって調整され、前記バルブシート16及びガス流入口20に対して同軸上に配置された状態へと調整される。
【0052】
最後に、シャフト38の孔部46より突出したバルブ14の軸部44を、例えば、溶接等によって切欠部58近傍で固定することにより、前記孔部46における前記軸部44の軸方向及び径方向への移動が規制され、前記バルブ14がバルブシート16に対する最適な当接状態で維持されたまま、前記シャフト38に対して強固に固定される。そして、バルブ14がシャフト38に対して固定されたことが確認された後、調整用ボルト70を前記とは反対方向に螺回させ、バルブ14のねじ穴48から離脱させると共に、ガス流入口20から組付用治具60を取り外して排気ガス再循環バルブ10の組み付け作業が完了する。
【0053】
以上のように、シャフト38に対して軸方向及び径方向に移動自在な状態で仮組みされたバルブ14を、ガス流入口20に装着された組付用治具60に挿通させた調整用ボルト70と螺合させ、該調整用ボルト70の螺回作用下に生じる軸方向に沿った推力Fによってバルブシート16側(矢印A2方向)へと引き寄せ、該バルブシート16に対して所定圧力で均一に当接させ、且つ、ガス流入口20と同軸上に調整する。このバルブシート16に対する相対的な位置決めがなされた状態でバルブ14をシャフト38に対して固定することで、前記バルブ14を簡便且つ高精度に組み付けることが可能となる。
【0054】
換言すれば、組付用治具60及び調整用ボルト70を用いてバルブ14をシャフト38へと組み付けることにより、該バルブ14、シャフト38、バルブシート16等に寸法ばらつきがある場合でも、前記バルブ14、シャフト38及びバルブシート16の相対的な位置決めを確実且つ高精度に行うことができる。その結果、排気ガス再循環バルブ10において、弁閉時におけるバルブシート16に対するバルブ14の位置決めを確実且つ高精度に行うことができ、それに伴って、組付性及び組付精度の向上を図ることができる。
【0055】
また、バルブ14は、組付用治具60側(矢印A2方向)へと引っ張られる際、保持部64の端面64aに当接して移動が規制されるため、前記保持部64の軸方向に沿った長さを変更することによって前記バルブ14の軸方向に沿った移動量を調整することが可能である。
【0056】
例えば、排気ガス再循環バルブ10の仕様毎に、フランジ部66からの保持部64の端面64aまでの長さが異なる別の組付用治具を準備し、適宜使い分けることによりバルブシート16に対するバルブ14の接触状態(接触圧力)をそれぞれ別個に設定することが可能となる。
【0057】
さらに、上述した組付用治具60における保持部64の軸方向に沿った長さを変更してバルブ14の軸方向への移動量を調整する代わりに、例えば、バルブ14に螺合される調整用ボルト70の回転量(回転角度)を調整することにより、その螺回作用下に移動するバルブ14へ付与される推力Fの大きさを自在に調整することができるため、それに伴って、前記バルブ14の軸方向への移動量を調整することが可能である。この場合には、組付用治具60を新たな別の組付用治具へと交換する必要がないため、異なる複数の組付用治具を管理する煩雑さがなく好適である。すなわち、調整用ボルト70の回転量(回転角度)を調整することでバルブ14とバルブシート16との接触圧力を変更したい場合に容易に対応することができる。
【0058】
また、シャフト38における孔部46の内周径C2は、例えば、バルブ14とバルブシート16との間の寸法ばらつきを吸収する際の軸部44の移動量に基づいて設定するとよい。
【0059】
次に、上述したように組み付けられた排気ガス再循環バルブ10の動作並びに作用効果について説明する。なお、ここでは、図1及び図2に示されるように、バルブ14がバルブシート16のシート部28に着座し、ガス流入口20とガス流出口22との間の流路が前記バルブ14によって遮断された弁閉状態を初期位置として説明する。
【0060】
図2に示すように、上述した初期位置では、バルブ14の着座面40がバルブシート16のシート部28に当接しているため、ガス流入口20に供給されているガスの連通室24側(矢印A1方向)への流通が遮断されている。
【0061】
次に、このような弁閉状態から、図1に示す駆動源52が駆動すると、該駆動源52の回転駆動力がバルブギア50を介してシャフト38へと伝達され、前記シャフト38に連結されたバルブ14が所定角度だけ回転する。このように、バルブ14が回転することにより、前記バルブ14がバルブシート16から離間する方向に変位する。
【0062】
そして、バルブ14の着座面40が、シート部28から離間することによって、弁開状態となり、ガス流入口20に供給されたガスが連通室24内へと導入される。
【0063】
そして、駆動源52の駆動作用下にさらにバルブ14を回転させることにより、該バルブ14がバルブシート16から徐々に離間し、前記バルブ14が初期位置から、例えば、約90°回転した状態で完全な弁開状態となる。このような弁開状態において、ガス流入口20に供給されたガスが、バルブシート16の連通孔30、連通室24を通じてガス流出口22へと流通し、図示しない内燃機関へと供給される。
【0064】
なお、本発明に係るバルブ装置及び該バルブ装置の組み付け方法は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0065】
10…排気ガス再循環バルブ 12…ボディ本体
14…バルブ 16…バルブシート
18…駆動力伝達機構 20…ガス流入口
22…ガス流出口 24…連通室
26…装着孔 36…シャフト孔
38…シャフト 40…着座面
42…本体部 42a…一端面
42b…他端面 44…軸部
46…孔部 48…ねじ穴
60…組付用治具 62…ベース部
64…保持部 66…フランジ部
68…ボルト孔 70…調整用ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の流入する流入口と該流体が流通する通路を有したボディと、前記通路に配置され少なくとも外周面の一部が球面に形成された着座部を有し、連結されたシャフトを介して回動可能に設けられたバルブと、前記流入口に対して可動自在に設けられ、且つ、前記バルブが着座するシート部材とを備えるバルブ装置において、
前記バルブには、前記シャフトの軸線と直交方向に形成され、弁閉時において前記流入口に臨み、且つ、該バルブの軸線上に形成されるねじ穴を備えることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
請求項1記載のバルブ装置において、
前記ねじ穴は、前記バルブの軸線と直交した平面部の略中央に形成されることを特徴とするバルブ装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のバルブ装置において、
前記シャフトには、前記バルブの軸線上に設けられた軸部の挿入される孔部を有し、前記孔部の内周径が前記軸部の外周径に対して大きく設定されることを特徴とするバルブ装置。
【請求項4】
流体の流入する流入口と該流体の流通する通路とを有したボディと、前記通路に配置され少なくとも外周面の一部が球面に形成された着座部を有し、シャフトを介して回動可能に設けられたバルブと、前記通路に設けられ前記流体の流通する孔部を有し前記ボディに対して可動自在に設けられ、且つ、前記バルブが着座するシート部材とを備えるバルブ装置の組み付け方法において、
前記バルブの着座部を前記シート部材及び前記流入口に対向配置する工程と、
調整用ボルトを前記バルブのねじ穴に螺合させる工程と、
前記調整用ボルトを螺回させ、前記バルブを前記組付用治具側に向かって軸方向に引っ張り、前記着座部を前記シート部材に対して当接させる工程と、
前記バルブが前記シート部材に対して当接した状態において、前記バルブの軸部と前記シャフトとを連結する工程と、
を有することを特徴とするバルブ装置の組み付け方法。
【請求項5】
請求項4記載の組み付け方法において、
前記バルブは、前記流入口に対して大径で形成され、前記流体が外部へと排出される流出口から前記通路内に挿入されることを特徴とするバルブ装置の組み付け方法。
【請求項6】
請求項4又は5記載の組み付け方法において、
前記バルブは、前記組付用治具における該バルブ側の端部に当接することによって軸方向に沿った移動が規制されることを特徴とするバルブ装置の組み付け方法。
【請求項7】
請求項4〜6のいずれか1項に記載の組み付け方法において、
前記バルブの軸部は、前記シャフトの孔部に対して該孔部の軸方向及び径方向に移動自在に挿入されることを特徴とするバルブ装置の組み付け方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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