説明

バルーンカテーテルのバルーンの製造方法

以下の方法工程、即ち、近位スリーブ5および遠位スリーブ6を有するバルーン本体2を作製する工程であって、移行セクション3、4が前記バルーン本体2と各スリーブ5、6との間に延在している工程と、少なくとも遠位スリーブ6に折り目7を形成する工程と、少なくとも遠位スリーブ6の折り目7の遠位セクションを固定する工程とを含む、バルーンカテーテルのバルーン1の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1によるバルーンカテーテルのバルーンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許出願公開第1 316 326 A1号明細書から知られているバルーンの形成方法は、バルーン本体と各隣接スリーブとの間の円錐状の移行セクションにだけ折り目を設ける。
【0003】
米国特許第5,041,125号明細書には、溝の付いた形状の移行ゾーンをバルーン本体の各端部に有するバルーンカテーテルが記載されている。
【0004】
米国特許第5,853,389号明細書には、バルーン部材の意図される拡張された形態に対応する金型キャビティを有する金型の提供を含むバルーンの製造が記載されている。成形中、バルーンの半製品の端部セクションは、バルーン本体とスリーブとの間のバルーン移行セクションに螺旋状の隆起が形成されるように、互いに対してある角度で捩られる。
【0005】
米国特許第5,049,131号明細書には、固定点で互いに固定し平行軸上に延在する線となるようにすることによって得られる折り目を有するように形成されるバルーンが開示されている。
【発明の開示】
【0006】
本発明の目的は、改善された折り畳み特性を有するバルーンカテーテルのバルーンの製造方法を提供することである。
【0007】
この目的の解決は、請求項1の特徴によって達成される。
【0008】
詳細には、本発明による方法は以下の方法工程を含む。
【0009】
まず、近位スリーブと遠位スリーブを有するバルーン本体を作製する。更に、この工程によって作製されるバルーン本体は、近位スリーブとバルーン本体との間、並びにバルーン本体と遠位スリーブとの間に移行セクションを有する。この方法工程により製造されるバルーン本体の全部分にはいかなる種類の折り目もない。このようなバルーン本体の製造方法は、例えば、米国特許第6,696,121号明細書および米国特許第5,951,941号明細書に記載されている。
【0010】
次の工程では、少なくとも遠位スリーブに折り目が形成される。当然ながら、近位スリーブに折り目を形成することも可能であり、折り目はスリーブにだけ形成される、即ち、移行セクションおよび/または本体には折り目が形成されないことが好ましい。技術的には、折り畳みは円錐(移行セクション)の中に到達しなければならず、さもなければバルーンの再折り畳みが可能とならない。
【0011】
最終工程では、少なくとも遠位スリーブの折り目の遠位セクションまたは部分が固定される。
【0012】
スリーブにだけ折り目を設けることが可能であり且つ好ましいが、折り目がスリーブから移行セクションおよびバルーンの本体の中に延在し、折り目が遠位端または近位バルーンスリーブで、例えば溶接によって固定されるように、バルーン本体、移行セクションおよびスリーブを形成した後、バルーン全体を折り畳むことも可能である。
【0013】
従属請求項は、本発明の有利な実施形態を含む。
【0014】
通常、本発明の方法により製造されるバルーンにはインナチューブ(ガイドワイヤチューブ)が設けられ、遠位スリーブの遠位セクションが固定される。遠位スリーブの直径が近位スリーブの直径より大きいことが好ましい。備考:インナチューブは常に遠位スリーブと一緒に固定される。近位スリーブと一緒に固定されると、バルーンを膨張させることができない。
【0015】
更に、バルーンカテーテルの製造中、遠位スリーブの直径を縮小することが好ましい。
【0016】
或いは、バルーン本体、移行セクションおよびスリーブの製造後、遠位スリーブを拡幅することが可能である。
【0017】
他の好ましい実施形態では、充填材料、例えば、プラスチックチューブの形態の充填材料をガイドワイヤチューブと遠位スリーブとの間に位置決めすることができる。
【0018】
スリーブの折り畳まれたセクションを固定するとき、前記充填材料または充填チューブを固定することが好ましい。
【0019】
更に、本発明は、本出願による方法に従って製造されるバルーンに関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本出願の他の利点および特徴は、添付の図面を参照して実施形態の例についての以下の説明を読むと明らかになる。
【0021】
図1の図式的に単純化された図によって示されている本発明による方法の第1の工程により、本発明によるカテーテルのバルーン1が製造される。この製造工程は通常、通常の円筒形のバルーン本体2、2つの移行セクション3および4を形成する成形金型内で実施され、近位スリーブ5と遠位スリーブ6が各移行セクション3および4にそれぞれ連結される。
【0022】
図1に示すように、バルーン全体1にはいかなる種類の折り目も溝も存在しない。
【0023】
本発明による方法の工程2(同様に図式的に単純化された図2の描写に示されている)により、バルーン1は折り畳まれ、このようにして、この場合は遠位スリーブ6から、移行セクション4、バルーン本体2、移行セクション3、近位スリーブ5まで延在する折り目7を形成する。
【0024】
中間工程では、少なくとも遠位スリーブ6にプロテクタを被せて、折り目7を予め固定することができる。
【0025】
図3に示されている最後の方法工程では、スリーブを遠位スリーブ6の部位で固定することができるように、折り目7を少なくとも遠位スリーブ6の遠位セクションで、例えば溶接によって固定する。この方法工程による溶接は、ホットメルトの使用を包含することができる。遠位スリーブ6の遠位部位を固定するだけではなく、遠位スリーブ6の長さ全体にわたって遠位スリーブ6の中に延在する折り目を固定することも可能である。
【0026】
図面には示されていないが、前述したのと同様に近位スリーブ5の中に延在する折り目7を固定することも可能である。
【0027】
更に、完全を期すために、図1は、遠位スリーブ6が近位スリーブ5より大きい直径を有し得ることを示すことに留意すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本出願の方法による第1の工程を示す図である。
【図2】第2の工程を示す図である。
【図3】本発明の方法による第3の工程を示す図である。
【符号の説明】
【0029】
1 バルーン
2 バルーン本体
3 移行セクション
4 移行セクション
5 近位スリーブ
6 遠位スリーブ
7 折り目
8 溶接/固定部分
9 ガイドワイヤチューブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位スリーブ(5)および遠位スリーブ(6)を有するバルーン本体(2)を作製する工程であって、移行セクション(3、4)が前記バルーン本体(2)と前記各スリーブ(5、6)との間に延在している工程と、
少なくとも前記遠位スリーブ(6)に折り目(7)を形成する工程と、
少なくとも前記遠位スリーブ(6)の前記折り目(7)の遠位セクションを固定する工程と
を含む、バルーンカテーテルのバルーン(1)の製造方法。
【請求項2】
前記遠位セクションが前記バルーンカテーテルのガイドワイヤチューブ(9)に固定されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記遠位スリーブ(6)の直径が前記近位スリーブ(5)の直径より大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記バルーンカテーテル(1)の製造中、前記遠位スリーブ(6)の直径を縮小することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記バルーン(1)の製造後、前記遠位スリーブ(6)を拡幅することを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
ガイドワイヤチューブ(9)と前記遠位スリーブ(6)との間に充填材料が導入されることを特徴とする、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記遠位スリーブ(6)の前記折り畳まれたセクションを固定するとき、前記充填材料が固定されることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法で製造される、バルーンカテーテルのバルーン。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公表番号】特表2009−504288(P2009−504288A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526445(P2008−526445)
【出願日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008118
【国際公開番号】WO2007/020087
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(503327303)アボット ラボラトリーズ バスキュラー エンタープライゼズ リミテッド (5)
【Fターム(参考)】