説明

バーコードリーダおよびラベル貼付システム

【課題】 簡素な構造で物品上のバーコードラベルの位置を検出できるバーコードリーダを提供する。
【解決手段】 バーコードリーダは、物品の側面をCCDラインセンサによって複数箇所検出する一走査を物品先端から物品後端まで等間隔で複数回行い、各走査における検出信号のA/D変換後の値を時系列順に物品先端から物品後端に対応する一連の検出値としてメモリに記憶し、所定の上昇幅以上の検出値の立ち上がり点に対応する位置をバーコードラベル200の先端210fとして判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品に貼られたバーコードラベル中のバーコードに記録された情報を光学的に読み取るバーコードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
情報を光学的に読み取り可能に記録したバーコードは、物品またはその梱包(以後、単に物品と呼ぶ)に直接印刷されるか、あるいは、ラベルに印刷して成るバーコードラベルとして物品に貼られ、物品の仕分け等に広く用いられている。
【0003】
このようなバーコードを光学的に読み取るバーコードリーダは、バーコードに光を照射する投光源と、照射されたバーコードの反射光を検出する光学センサとを有し、バーコードを形成する並列した複数のバーをその並列方向に走査することにより、情報の読み出しを行う。走査の方法としては、単一の光学素子を持つ光学センサを手動的または機械的にバーの並列方向に移動する方法や、複数のバーに対応して並列した複数の光学素子を持つラインセンサを用いて複数の光学素子を順番に電気的に切り替える方法や、投光源を機械的に走査し、単一の光学素子を持つ光学センサで電気的に切り替える方法がある。
【0004】
物品の流通過程においてバーコードラベルを用いる例として、物品のバージョン等の情報をバーコードに記録して成るバーコードラベルを物品に貼り付けておき、物流センタ等において物品を搬送しながらバーコードラベルのバーコードからバーコードリーダによって情報を読み取り、古い情報が記録されている場合には、古いバーコードラベル上に新しい情報を記録したバーコードを持つバーコードラベルを重ね貼りすることにより、情報を更新する例がある。
【0005】
ここで、古いバーコードラベルに新しいバーコードラベルを自動的に重ね貼りするためには、物品上の古いバーコードラベルの貼り付け位置を検出する必要がある。従来、バーコードラベルの貼り付け位置は、バーコードラベルの貼り付け位置の検出に専用に設けられた光電センサやカメラを備えた画像処理装置によって実現していた。
【0006】
尚、物品に貼り付けられたバーコードラベル、物品に貼り付けられたRFIDタグ、または物品に形成されたバーコードの物品上の位置を検出する技術や、バーコードが形成された物品自体の位置を検出する技術は、例えば、特許文献1〜5に開示されている。
【0007】
特許文献1に開示された技術は、物品に貼り付けられているRFIDタグを無線式であるRFID検出センサによって検出し、その位置にラベルを貼り付けている。特許文献2に開示された技術は、試験管に貼り付けられているラベルを光学式センサまたは超音波センサである製品ラベル検出センサによって検出し、その位置にラベルを重ね貼りしている。特許文献3に開示された技術は、物品に形成されているバーコードをカメラによって撮像し、バーコードが表す情報を解読してバーコード印字データとして再形成している。特許文献4に開示された技術は、物品に形成されているバーコードの周囲に所定形状の図形を予め形成しておき、この図形をカメラによって撮像し、物品上のバーコードの位置を検出している。特許文献5に開示された技術は、物品に形成されているバーコードを所定距離離して設けられた2台のバーコードリーダによって検出し、物品自体の位置を計測している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−282218号公報
【特許文献2】特開2008−302934号公報
【特許文献3】特開昭63−184897号公報
【特許文献4】特開平04−148390号公報
【特許文献5】特開平10−062118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
バーコードラベルの貼り付け位置を検出するために、従来は専用の光電センサや画像処理装置を用いていたため、構成が複雑であり、設置場所の確保、バーコードラベルの貼付システムを構築するためのコスト、また、画像処理に時間を要することから検出速度の点で問題があった。
【0010】
尚、特許文献1〜4に開示された技術は、物品上のバーコードラベルの位置を検出するため専用に、光学式センサ、超音波センサ、あるいはカメラを含む画像処理装置を用いるため、構造が複雑であり、システム構築に高いコストがかかる。また、特許文献5に開示された技術は、あくまでもバーコードが形成された物品自体の位置を検出するものであって物品上のバーコードラベルの位置を検出するものではないし、バーコードリーダを2台必要とするものである。
【0011】
それ故、本発明の課題は、簡素な構造で物品上のバーコードラベルの位置を検出できるバーコードリーダを提供することである。
【0012】
本発明の他の課題は、上記のようなバーコードリーダを有し、物品上に既に貼り付けられたラベルの位置を検出し、新たなラベルをそのラベルに重ね貼りできるラベル貼付システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明によれば、バーコードラベルのラベル地に形成された複数のバーが並列して成るバーコードに記録された情報を光学的に読み取るバーコードリーダであって、バーコードに照射光を投光する投光源と、照射光が投光されたバーコードの反射光を受光して反射光強度に応じたレベルの検出信号を生成する光学センサとを有し、搬送方向に搬送される物品の側面にバーコードの複数のバーの並列方向が前記搬送方向に対して垂直になるように貼られたバーコードラベル中のバーコードを、該並列方向に沿って前記光学センサによって走査し、該光学センサの検出信号に基づきバーコードに記録された情報を光学的に読み取るバーコードリーダにおいて、物品は、所定の搬送速度で搬送され、バーコードラベルは、ラベル地の前記投光源の照射光に対する反射率が物品の表面よりも高く、かつ、物品の前記搬送方向における長さであるラベル長が決まっており、物品上のバーコードラベルの貼り付け位置として、物品の前記搬送方向におけるバーコードラベル先端を前記光学センサの検出信号に基づいて検出するラベル位置検出機能をさらに有し、前記バーコードリーダは、物品の側面を複数のバーの前記並列方向に沿う一走査を、前記搬送方向における物品先端から物品後端まで等間隔で複数回行い、各走査における検出信号をA/D変換し、当該A/D変換された値を一走査毎に時系列順に物品先端から物品後端に対応する一連の検出値としてメモリに記憶し、前記一連の検出値のうちの所定の上昇幅以上の検出値の立ち上がり点を前記搬送方向におけるバーコードラベル先端として判断することを特徴とするバーコードリーダが得られる。
【0014】
前記バーコードリーダは、前記一連の検出信号中の連続する二つの検出信号を順次微分して前記メモリに記憶し、当該微分値のうちの所定の大きさ以上の正である微分値を抽出し、当該微分値が対応する位置を前記搬送方向におけるバーコードラベル先端の候補として前記メモリに記憶し、当該候補の中からバーコードラベル先端を決定するものであってもよい。
【0015】
前記バーコードリーダは、前記バーコードラベル先端の候補が対応する微分値について、その所定回数手前の微分値が所定の大きさ以上の負である微分値を抽出し、当該微分値が対応する位置をバーコードラベル先端の候補から除外するものであってもよい。あるいは、前記バーコードリーダは、前記バーコードラベル先端の候補が対応する微分値について、その所定の回数手前の所定回数に亘る各微分値を加算し、当該加算微分値が所定の大きさ以上の負である加算微分値を抽出し、当該加算微分値が対応する位置をバーコードラベル先端の候補から除外するものであってもよい。
【0016】
前記バーコードリーダは、前記バーコードラベル先端の候補が対応する微分値について、その前記ラベル長が対応する複数の微分値後の微分値をバーコードラベル後端の候補が対応する微分値として抽出し、当該微分値について、その所定の回数前後それぞれの所定回数に亘る各微分値を加算し、当該加算微分値が所定の大きさ以上の負でない場合には、当該加算微分値の前記ラベル長が対応する複数の微分値手前の微分値に対応する位置をバーコードラベル先端の候補から除外するものであってもよい。
【0017】
前記バーコードリーダは、各走査における検出信号のA/D変換後の値を一走査毎に時系列順に物品先端から物品後端に対応する一連の検出値としてメモリに記憶する処理を、物品の側面のうちの複数のバーの前記並列方向に沿った所定の領域に対してのみ行うものであってもよい。
【0018】
本発明によれば、前記バーコードリーダと、前記バーコードリーダによって検出したバーコードに記録された情報が更新すべき情報である場合に、該バーコードリーダによって検出した既存のバーコードラベルの先端位置に基づき、当該既存のバーコードラベル上に新規のバーコードラベルを重ね貼りするラベル貼付装置とを有することを特徴とするラベル貼付システムが得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によるバーコードリーダは、簡素な構造で物品上のバーコードラベルの位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】(a)〜(d)は、本発明の実施例によるバーコードリーダを有するラベル貼付システムの構成と、その動作を説明するための斜視図である。
【図2】本発明の実施例によるバーコードリーダを示す図であり、(a)は光学系の概念図、(b)は全体のブロック図である。
【図3】(a)〜(c)は、図2に示されたバーコードリーダの動作を説明するためのフロー図である。
【図4】図2に示されたバーコードリーダの動作を説明するための図であり、(a)は物品の幾つかの搬送段階を示す斜視図、(b)は物品の側面図、(c)はCCDラインセンサの検出信号を示す図、(d)は各走査における検出信号の加算値または平均値を時系列順に並べた図である。
【図5】図2に示されたバーコードリーダによる一連の走査による検出信号の微分処理を説明するための図であり、(a)は検出信号の微分を行った例を示し、(b)は微分の前に積分を行った例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明によるバーコードリーダは、物品の搬送方向におけるバーコードラベル先端を検出するラベル位置検出機能を有している。本発明によるバーコードリーダは、物品の側面を光学センサによって複数箇所検出する一走査を物品先端から物品後端まで等間隔で複数回行い、各走査の加算値または平均値を時系列順に物品先端から物品後端に対応する一連の検出値としてメモリに記憶し、所定の上昇幅以上の検出値の立ち上がり点に対応する位置をバーコードラベル先端として判断する。
【0022】
本バーコードリーダは、上記構成により、簡素な構造で物品上のバーコードラベルの位置を検出できる。即ち、バーコードラベルの貼り付け位置を検出するために専用の光電センサや画像処理装置が不要であって、構成が簡素であり、設置場所の確保が容易であると共に、低コストでバーコードラベル貼付システムを構築でき、また、短時間でバーコードラベルを貼り付け可能である。
【実施例】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明によるバーコードリーダおよびバーコードリーダを有するバーコードラベル貼付システムの実施例を説明する。
【0024】
図1(a)〜(d)を参照すると、本発明の実施例のバーコードラベル貼付システムは、例えば、物流センタに設置されたコンベア40の近傍に配置され、バーコードリーダ10と、ラベル貼付装置50とを有している。ラベル貼付装置50と、バーコードリーダ10とは、図示しない通信ラインを介して接続されている。
【0025】
バーコードリーダ10は、コンベア40によって搬送される物品100に貼り付けられたバーコードラベル200のラベル地に形成された複数のバーが並列して成るバーコード220に記録された情報を光学的に読み取る。
【0026】
ラベル貼付装置50は、バーコードリーダ10によって検出したバーコード220に記録された情報が更新すべき情報である場合に、バーコードリーダ10によって検出した既存のバーコードラベルの先端位置に基づき、既存のバーコードラベル上に新規のバーコードラベルを重ね貼りする。尚、ラベル貼付装置50は、バーコードリーダ10との通信機能(コマンド送信、レスポンス受信機能)、ラベルを貼り付ける機能(ラベラー機能)、バーコードリーダ10が読み取ったバーコード情報を保持・処理する機能、バーコードの情報が正確か否かを判断する機能を持っている。
【0027】
さらに図2(a)および(b)を参照すると、バーコードリーダ10は、バーコード220に照射光を投光する投光源としての投光LED11と、照射光が投光されたバーコード220の反射光を反射ミラー12および受光レンズ13を介して受光して反射光強度に応じたレベルの検出信号を生成する光学センサとしてのCCDラインセンサ21とを有している。尚、本実施例においては、光学センサとしてCCDラインセンサ21を使用しているが、バーコードをピンポイントで照射するレーザ光源と、このレーザ光源をモータ等によって機械的にスキャニングする駆動部と一次元光学センサーから成る構成のバーコードリーダを用いてもよい。
【0028】
バーコードリーダ10はさらに、コンベア40によって搬送方向に搬送される物品100の側面にバーコードの複数のバーの並列方向が搬送方向に対して垂直になるように貼られたバーコードラベル200中のバーコード220を、複数のバーの並列方向に沿ってCCDラインセンサ21によって走査した際に得られるCCDラインセンサ21の検出信号に基づきバーコードに記録された情報を光学的に読み取るコード解析部31を有している。尚、バーコードの読み取り(解析)処理については、既知のことであるため、詳細な説明は省略する。
【0029】
尚、物品100は、コンベア40によって所定の搬送速度で搬送される。また、バーコードラベル200のラベル地の投光LED11の照射光に対する反射率は、物品100の表面よりも高い。本例では、物品100は、商品の梱包であるダンボール箱であって所謂黄土色である一方、バーコードラベル200のラベル地は一般的に白色である。また、バーコードラベル200に印刷されたバーコード220(複数のバー)は、黒色である。
【0030】
さらに、物品100に貼り付けられたバーコードラベル200の物品100の搬送方向における長さであるラベル長は、規格に従って決まっている。ラベル長は、時間もしくは走査数で与えられ、メモリ34またはラベル位置検出部33に付随した図示しない記憶手段に予め記憶される。また、物品100の側面に貼り付けられたバーコードラベル200は、物品100の搬送方向に直交する方向における貼り付け位置は予め決められており、物品100の搬送方向における貼り付け位置を検出する。特に、バーコードラベル200のラベル長は前述のごとく決まっているため、バーコードラベル先端210fを検出する。
【0031】
本バーコードリーダ10は特に、図2(b)に示されるように、物品100上のバーコードラベル200の貼り付け位置として、物品100の搬送方向におけるバーコードラベル先端210fをCCDラインセンサ21の検出信号に基づいて検出するラベル位置検出部33と、コード解析部31やラベル位置検出部33と、ラベル貼付装置50との間でコマンドや検出結果を送受信するための通信インターフェース37とをさらに有している。制御部35は、バーコードリーダのすべての動作を制御する。尚、図2(b)には図示されていないが、バーコードリーダ10は、電源回路等をも有している。
【0032】
バーコードリーダは、物品100の側面を複数のバーの並列方向に沿ってCCDラインセンサ21によって行う一走査を、搬送方向における物品先端100fから物品後端100rまで等間隔で複数回行い、ラベル位置検出部33は、各走査における検出信号を一走査毎に加算または平均化し、各走査の加算値または平均値を時系列順に物品先端100fから物品後端100rに対応する一連の検出値としてメモリ34に記憶し、一連の検出値のうちの所定の上昇幅以上の検出値の立ち上がり点をメモリ34に記憶し、その立ち上がり点に対応する位置を搬送方向におけるバーコードラベル先端210fとして判断する。
【0033】
尚、本発明において、物品の側面とは、物品の搬送方向に平行な四面のいずれかであればよく、コンベアに接する載置面や、載置面に対向する上面であってもよい。また、物品100の側面を複数のバーの並列方向に沿ってCCDラインセンサ21によって行う各走査は、500μs(マイクロ秒)〜10ms(ミリ秒)程度の一定の時間間隔で行われる。物品100の搬送速度は決まっているため、各走査は、等距離間隔で行われることになる。
【0034】
ラベル位置検出部33は、一連の検出信号中の連続する二つの検出信号を順次微分してメモリ34に記憶し、その微分値のうちの所定の大きさ以上の正である微分値を抽出し、その微分値が対応する位置を物品の搬送速度に基づき算出し、その位置を搬送方向におけるバーコードラベル先端210fの候補としてメモリ34に記憶し、その候補の中からバーコードラベル先端を決定する。あるいは、ラベル位置検出部33は、バーコードラベル先端210fの候補が対応する微分値について、その所定回数手前の微分値が所定の大きさ以上の負である微分値を抽出し、その微分値が対応する位置をバーコードラベル先端210fの候補から除外する。あるいは、ラベル位置検出部33は、バーコードラベル先端210fの候補が対応する微分値について、その所定の回数手前の所定回数に亘る各微分値を加算または平均化し、その加算または平均化微分値が所定の大きさ以上の負である加算または平均化微分値を抽出し、その加算または平均化微分値が対応する位置をバーコードラベル先端210fの候補から除外する。
【0035】
ラベル位置検出部33は、バーコードラベル先端210fの候補が対応する微分値もしくは加算または平均化微分値について、そのラベル長が対応する複数の微分値後の微分値をバーコードラベル後端210rの候補が対応する微分値として抽出し、その微分値について、その所定の回数前後それぞれの所定回数に亘る各微分値を加算または平均化し、その加算または平均化微分値が所定の大きさ以上の負でない場合には、その加算または平均化微分値のラベル長が対応する複数の微分値手前の微分値もしくは加算または平均化微分値に対応する位置をバーコードラベル先端210fの候補から除外する。
【0036】
ラベル位置検出部33は、ラベル位置検出のための処理を、必ずしも物品の側面の搬送方向に直交する方向(バーコードの複数のバーの並列方向)の一端から他端までの全域に対して行う必要はなく、物品の側面のうち、複数のバーの並列方向に沿った所定の領域に対して行うことも可能である。本実施例においては、図1(a)、図1(d)から明らかなように、領域Aについてのみラベル位置検出のための処理を行っている。具体的には、この領域長の指定は、時間によって行う。例えば、物品100側面の一端から他端までの全域を走査する際の時刻が0〜500μsであるとすると、領域Aは、時刻400〜430μsという時刻指定が、メモリ34またはラベル位置検出部33に付随した図示しない記憶手段に予め記憶される。あるいは、時間によらず、画素数(ピクセル)で行ってもよい。例えば、物品100側面の一端から他端までの全域が2048ピクセルであった場合、領域Aは、1000〜1100ピクセルという指定がされる。このように、ラベル位置検出のための処理を行う領域を限定することにより、前述のごとく、物品100の側面上のバーコードラベル200の搬送方向に直交する方向における位置は決まっており、また、バーコードラベル200のラベル地のどの場所にバーコード220や文字や図形が印刷されるかも予め決まっている。このため、領域Aとして、バーコードラベル200上にバーコード220、文字、図形等がなくラベル地素地が多く含まれるような領域を設定することにより、光反射ノイズの発生を低く抑えられ、ラベルの検出性能が向上する。尚、具体的には、CCDラインセンサ21の走査幅L21(図1(d))は物理的に固有であり、物品100との距離が変更されない限りは不変である。
【0037】
次に、本実施例によるバーコードリーダ10を有するバーコードラベル貼付システムの動作を説明する。
【0038】
さらに図3(a)〜(c)ならびに図4(a)〜(d)を参照すると、ステップS10において、最初にラベル貼付装置50からバーコードリーダ10に対し、バーコードラベルの貼り付け位置検出を指示するコマンドと、検出に必要な情報とが送信される。バーコードリーダ10が受信するコマンドおよび情報は、ラベル貼り付け位置検出開始のコマンドと、後述するラベル検出条件の閾値、ラベル長、救済措置としてのリトライフラグである。バーコードリーダ10は、受け取った情報をメモリ34に記憶すると共に、コマンドに対して肯定応答ACK(ACKnowledgement)を返し、準備が完了する。尚、コマンド受信エラー時には、否定応答NAK(Negative AcKnowledgement)を返す。
【0039】
ステップS20において、ラベル貼付装置50からの走査開始トリガにより、バーコードリーダ10は、走査の開始タイミングを取得する。走査開始位置は、物品100の搬送方向における物品先端からであり、その検出には図示しない物体検出センサが用いられる。
【0040】
ステップS30において、バーコードリーダ10は、CCDラインセンサ21によって走査を開始する。この走査は、CCDラインセンサ21の走査幅L21(図1(d))分である。走査による検出信号のうち、指定された領域Aの検出信号を取り込む。ここで、領域Aに対しては、複数箇所のサンプリング(例えば、5箇所)が行われる。複数箇所のサンプリングを行うことにより、ノイズの影響(波形の歪み)が軽減される。
【0041】
ステップS40において、バーコードリーダ10は、ステップS41、S42のラベル位置検出部33によるA/D変換(Analogue to Digital変換)と、ステップS46〜S48のコード解析部31によるコード解析とを並行して実施する。
【0042】
ステップS41において、バーコードリーダ10のラベル位置検出部33は、CCDラインセンサ21の走査による検出信号のうち、指定された領域Aの検出信号をサンプリング(例えばサンプリングレート5〜10μs)してA/D変換し、領域Aに対する全検出信号を加算する。尚、サンプリングレートは、例えば領域Aに対して5箇所程度にまで減らして処理の高速化を図ってもよい。複数箇所のサンプリングを行うことにより、ノイズの影響(波形の歪み)が軽減される。尚、加算された検出信号をサンプリング数で除して平均化してもよい。これらに限らず、領域Aの反射率、もしくは反射率に相当する値を求められればよい。尚、図4(c)は、図4(a)、図4(b)に示された各段階での一走査の検出信号を示す。各段階は、代表的な段階を示したに過ぎず、実際の各走査は、500μs〜10ms程度の時間間隔で行われる。
【0043】
ステップS42において、ラベル位置検出部33は、加算された検出信号を一走査で取得したデータとしてメモリ34に記憶する。
【0044】
ステップS41、S42の動作は、走査毎に繰り返す。
【0045】
他方、ステップS46〜S48において、バーコードリーダ10のコード解析部31は、バーコードラベル200に印刷されているバーコード220の読み取りを、この走査されたデータを解析することにより行う。解析は、その走査におけるバーコード220の有無にかかわらずに走査毎に行われる。特定の先頭バーを検出する等により、バーコード220を検出すると、バーコード情報としてメモリ32に記憶する。記憶された情報は、ラベル貼付装置50に送信する。あるいは、ラベル貼付装置50から比較情報を取得し、バーコードリーダ10の内部でチェックすることも可能である。
【0046】
ステップS50において、バーコードリーダ10は、ラベル貼付装置50からの走査終了トリガの有無を判断する。走査終了位置は、物品100の搬送方向における物品後端までであり、その検出にも図示しない物体検出センサが用いられる。あるいは、読み取り開始からの時間経過量で終了するように設定されてもよい。物品100の搬送方向における先端から後端までの走査終了後、検出信号が加算または平均化された加算値または平均値に基づき、バーコードラベル200のバーコードラベル先端210fを検出するための処理を開始する。図4(d)は、加算値または平均値を物品100の先端から後端に対応して連続的に記した図である。即ち、横軸は物品の移動時間、縦軸は電圧値である。
【0047】
ステップS60において、ラベル位置検出部33は、一連の加算値または平均値における時系列に連続した二信号の差分を算出する。即ち、微分する。微分することにより、信号の変動の大きさが分かる。微分された値が正の場合は、手前の走査から値が大きくなった(反射率の低い色(黄土色)から反射率の高い色(白)に変化した)ことを意味する。一方、微分された値が負の場合は、手前の走査から値が小さくなった(反射率の高い色(白)から反射率の低い色(黄土色)に変化した)ことを意味する。微分は、一連の加算値または平均値における連続した二信号全てについて行い、微分結果は時系列順にメモリ34に一旦記憶される。尚、微分を行う前に、一連の加算値または平均値における時系列に連続した2または3程度の信号毎に積分してもよい。積分することにより、ノイズの影響を緩和させることができる。積分値も、メモリ34に一旦記憶する。図5(a)は一連の加算値または平均値における時系列に連続した二信号の微分結果例であり、図5(b)は一連の加算値または平均値における時系列に連続した二信号を積分後に、連続する二つの積分結果を微分した例である。
【0048】
ステップS70において、ラベル位置検出部33は、一連の加算値または平均値に対応する全微分値について、正の最大値を検出し、メモリ34に一旦記憶する。正の最大の微分値により、一連の加算値または平均値のうちの最も大きい上昇幅の立ち上がり点が分かる。ただし、本例においては、正の最大の微分値に基づき、バーコードラベル先端210fを即時決定はしない。
【0049】
ステップS80において、ラベル位置検出部33は、正の最大の微分値に次ぎ大きい正の微分値として、所定値以上の大きさの正の微分値をバーコードラベル先端210fの候補として抽出(例えば正の最大の微分値の70%、75%、60%など)し、メモリ34に一旦記憶する。単に正の最大の微分値に基づきバーコードラベル先端210fを決定しないのは、物品100の表面よりも反射率の高いインクで記載された文字や絵、物品100の表面よりも反射率の高い汚れなどが検出値に含まれている可能性があり、その位置をバーコードラベル先端として誤認識することを防止するためである。
【0050】
ステップS90において、ラベル位置検出部33は、バーコードラベル先端210fの候補について、その所定走査数だけ手前(例えば、全走査数の10%程度手前)に所定の大きさ以上の負の微分値(例えば、バーコードラベル先端210fの候補対応の微分値のマイナス1.25倍程度よりも小さい微分値)の有無を確認する。大きな負の微分値が存在しない場合には、ステップS100に移行する。一方、仮に、大きな負の微分値が存在する場合は、バーコードラベル先端210fの候補から除外し、メモリ34の記憶内容を更新し、ステップS120に移行する。尚、急激な変化ではなく、徐々に変化が起こる場合も考慮すべく、バーコードラベル先端210fの候補について、所定走査数前(例えば、全走査数の10%程度前)までのマイナスの微分値を加算し、当該加算微分値が所定の大きさ以上の負の値(例えば、バーコードラベル先端210fの候補対応の微分値のマイナス1.25倍程度よりも小さい値)であるかどうかを確認するようにしてもよい。仮に、大きな負の値である場合は、バーコードラベル先端210fの候補から除外し、メモリ34の記憶内容を更新する。
【0051】
ステップS100において、ラベル位置検出部33は、ステップS90を経ても残っているバーコードラベル先端210fの候補について、メモリ34に記憶されているか、あるいは、ラベル貼付装置50から取得したラベル長を表す情報に基づき、先端候補に対するバーコードラベル後端210rの候補を抽出し、先端候補と後端候補とを対応付けしてメモリ34に一旦記憶する。そして、バーコードラベル後端210rの候補に対応する微分値の所定の回数前後それぞれの所定回数(例えば、前後それぞれ全走査数の5%程度(計10%程度))に亘る各微分値を加算し、加算微分値が所定の大きさ(例えば、バーコードラベル先端210fの候補が対応する微分値のマイナス1倍)以上の負でない場合には、その加算微分値のラベル長が対応する複数の微分値手前の微分値に対応する位置をバーコードラベル先端210fの候補から除外し、メモリ34の記憶内容を更新し、ステップS120に移行する。バーコードラベル後端210rは、白から黄土色への変化が起きるため、この方法で確認する。さらに、バーコードラベル後端が本当に端なのかを確認するため、バーコードラベル後端の後、数走査で正の微分値の変化が見られないかを確認してもよい。
【0052】
ステップS110において、ラベル位置検出部33は、バーコードラベル先端210fの候補をバーコードラベル先端210fとして決定し、その走査番号(バーコードラベル先端210fとして決定した微分値を算出するために用いた走査番号のいずれか)と走査の時間間隔から、物品の先端からバーコードラベル先端までの時間を算出する。バーコードリーダ10は、これを、バーコード220に記録されている情報と共に通信インターフェース37を介してラベル貼付装置50に送信する。尚、バーコード220に記録されている情報と共に、バーコードラベル先端210fが走査開始のタイミングからどれだけの走査回数であるかをラベル貼付装置50に送信し、この走査回数に基づいてラベル貼付装置50がバーコードラベル先端210fの位置を特定するようにしてもよい。
【0053】
ステップS120において、ラベル位置検出回路33は、バーコードラベル先端210fの次候補の有無を判断し、次候補が有る場合にはステップS90に戻る一方、次候補が無い場合には物品100の側面にはバーコードラベル200が貼り付けられていないと判断し、ステップS130に移行する。
【0054】
ステップS130において、ラベル位置検出部33は、物品100にはバーコードラベル200が貼り付けられていないエラーと判断する。バーコードリーダ10は、その旨をバーコード無しの情報と共に、通信インターフェース37を介してラベル貼付装置50に送信する。ラベル貼付装置50は、新しい情報がバーコード220に記録されたバーコードラベル200を、重ね貼りではなく、新規に物品100に貼り付ける。
【0055】
そして、バーコードリーダ10は、ラベル貼付装置50から終了コマンドを受け取り、1つの物品100に対する処理を終了する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上、本発明の実施例について説明してきたが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本願特許請求の範囲に記載された技術範囲内であれば、種々の変形が可能であることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
10 バーコードリーダ
11 投光LED
12 反射ミラー
13 受光レンズ
21 CCDラインセンサ
31 コード解析部
32 メモリ
33 ラベル位置検出部
34 メモリ
35 制御部
37 通信インターフェース
40 コンベア
50 ラベル貼付装置
100 物品
200 バーコードラベル
210f バーコードラベル先端
210r バーコードラベル後端
220 バーコード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーコードラベルのラベル地に形成された複数のバーが並列して成るバーコードに記録された情報を光学的に読み取るバーコードリーダであって、
バーコードに照射光を投光する投光源と、照射光が投光されたバーコードの反射光を受光して反射光強度に応じたレベルの検出信号を生成する光学センサとを有し、搬送方向に搬送される物品にバーコードの複数のバーの並列方向が前記搬送方向に対して垂直になるように貼られたバーコードラベル中のバーコードを、該並列方向に沿って前記光学センサによって走査し、該光学センサの検出信号に基づきバーコードに記録された情報を光学的に読み取るバーコードリーダにおいて、
物品は、所定の搬送速度で搬送され、
バーコードラベルは、ラベル地の前記投光源の照射光に対する反射率が物品の表面よりも高く、かつ、物品の前記搬送方向における長さであるラベル長が決まっており、
物品上のバーコードラベルの貼り付け位置として、物品の前記搬送方向におけるバーコードラベル先端を前記光学センサの検出信号に基づいて検出するラベル位置検出機能をさらに有し、
前記バーコードリーダは、
物品を複数のバーの前記並列方向に沿う一走査を、前記搬送方向における物品先端から物品後端まで等間隔で複数回行い、
各走査における検出信号をA/D変換し、当該A/D変換された値を一走査毎に時系列順に、物品先端から物品後端に対応する一連の検出値としてメモリに記憶し、
前記一連の検出値のうちの所定の上昇幅以上の検出値の立ち上がり点を前記搬送方向におけるバーコードラベル先端として判断することを特徴とするバーコードリーダ。
【請求項2】
前記バーコードリーダは、前記一連の検出信号中の連続する二つの検出信号を順次微分して前記メモリに記憶し、当該微分値のうちの所定の大きさ以上の正である微分値を抽出し、当該微分値が対応する位置を前記搬送方向におけるバーコードラベル先端の候補として前記メモリに記憶し、当該候補の中からバーコードラベル先端を決定する請求項1に記載のバーコードリーダ。
【請求項3】
前記バーコードリーダは、前記バーコードラベル先端の候補が対応する微分値について、その所定回数手前の微分値が所定の大きさ以上の負である微分値を抽出し、当該微分値が対応する位置をバーコードラベル先端の候補から除外する請求項2に記載のバーコードリーダ。
【請求項4】
前記バーコードリーダは、前記バーコードラベル先端の候補が対応する微分値について、その所定の回数手前の所定回数に亘る各微分値を加算し、当該加算微分値が所定の大きさ以上の負である加算微分値を抽出し、当該加算微分値が対応する位置をバーコードラベル先端の候補から除外する請求項2に記載のバーコードリーダ。
【請求項5】
前記バーコードリーダは、前記バーコードラベル先端の候補が対応する微分値について、その前記ラベル長が対応する複数の微分値後の微分値をバーコードラベル後端の候補が対応する微分値として抽出し、当該微分値について、その所定の回数前後それぞれの所定回数に亘る各微分値を加算し、当該加算微分値が所定の大きさ以上の負でない場合には、当該加算微分値の前記ラベル長が対応する複数の微分値手前の微分値に対応する位置をバーコードラベル先端の候補から除外する請求項2乃至4のいずれか一項に記載のバーコードリーダ。
【請求項6】
前記バーコードリーダは、各走査における検出信号のA/D変換後の値を一走査毎に時系列順に物品先端から物品後端に対応する一連の検出値としてメモリに記憶する処理を、物品の側面のうちの複数のバーの前記並列方向に沿った所定の領域に対してのみ行う請求項1乃至5のいずれか一項に記載のバーコードリーダ。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のバーコードリーダと、前記バーコードリーダによって検出したバーコードに記録された情報が更新すべき情報である場合に、該バーコードリーダによって検出した既存のバーコードラベルの先端位置に基づき、当該既存のバーコードラベル上に新規のバーコードラベルを重ね貼りするラベル貼付装置とを有することを特徴とするラベル貼付システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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