説明

バースライド門扉

【課題】 門扉をオープンな開放感と、心理的な侵入抑止性によるクローズの安心感を確保したものとする。
【解決手段】 起立壁3の道路側に吊元ベース1を固定し、この吊元ベース1を被嵌して開口に向けてスライド突出し、また、吊元ベースにスライド収容するようにスライドバー2を設置する。吊元ベース1とスライドバー2には、それぞれガイドレール12、21を備えるとともに、吊元ベース1の開口側先端及びスライドバー2の後端にそれぞれ他方のガイドレール12、21に係合するスライドガイド16、24とガイドローラー17、25を備えることによって、スライドバー2の垂下りを防止し直進性を確保する。開口の反対側には機能門柱4を配置して、スライドバー2の戸当とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の玄関に使用する門扉であって、特に、起立壁からスライドバーをスライド突出することによって開口を遮断し得るようにしたバースライド門扉に関する。
【背景技術】
【0002】
建物の玄関に使用する門扉として、出願人は、下記特許文献1によって、敷地内側に起立壁を、道路側でこの起立壁に配置した引戸を配置して、起立壁に隣接する開口を開閉自在としたものを提案済みであり、これによれば、起立壁における敷地の外側面上下に上向き複数の水平ローラーを、引戸本体の敷地の内側面上下に下向き開口のガイドレールをそれぞれ配置し、該ガイドレールによって水平ローラーを被嵌係合して、引戸本体の開閉に際して、その荷重を下位レールに転動する走行ローラーによって支持し、その自立性を水平ローラーのガイドレールによる被嵌係合によって確保するようにして、引戸本体の軽量な開閉とその直進性を確保し且つその転倒可能性を解消するとともに水平ローラーの道路側への露出を防止するようにして、敷地外側の道路側に引戸本体を、敷地内側に起立壁を配置したユニークな外観を有するものとしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特願2009−46311号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この場合、従来の引戸門扉と同様に、開口を引戸本体で遮断した、従前と異なる印象の引戸門扉とすることができるが、近時、玄関周りをオープンとすることによって充分な開放感を確保する一方、防犯的な人の侵入を抑制することによるクローズの安心感を得られる門扉が要請される傾向があり、上記特許文献1のものは、この要請に照らすと、なお、オープンな開放感に欠けたものとなる場合が多く、必ずしもこのような要請に応えるものとはいえず、該要請に応じた新規な形態の門扉を提供することが求められる。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、その解決課題とするところは、オープンな開放感とクローズの安心感を併存するようにした新規な門扉を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に沿って、本発明は、専用のパネル、現場施工のRC壁やブロック壁等の起立壁或いは支柱(門柱)に、長尺の吊元ベースを配置し、該吊元ベースに開口遮断用のスライドバーをスライド自在に配置することによって、吊元ベースからスライドバーをスライド突出して、出入用の開口をスライドバーで閉鎖し、スライドバーを吊元ベースにスライド収容して、該開口を開放することによって、バースライド形態の門扉として、例えば昼間はスライドバーをスライド収容してオープンな開放感を確保する一方、夜間はスライドバーをスライド突出して、心理的な侵入抑止性によるクローズの安心感を確保するようにしたものであって、即ち、請求項1に記載の発明を、長尺の吊元ベースと、該吊元ベースに長手方向スライド自在に配置した開口遮断用長尺のスライドバーとを備え、上記吊元ベースを起立壁又は門柱の上下中間位置に水平に配置し、該吊元ベースにおけるスライドバーのスライド突出とスライド収容によって開口を開閉自在としてなることを特徴とするバースライド門扉としたものである。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、該門扉がスライドバーのスライド突出側先端に戸当り手段を備えることによって、該スライドバーの最大スライド長さを規制し得るものとするように、これを、上記スライドバーのスライド突出側の開口端部に、該スライドバーのスライド長さを規制する戸当り門柱又は開口を挟んだ起立壁設置の戸当り部材を配置してなることを特徴とする請求項1に記載のバースライド門扉としたものである。
【0008】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、該門扉を、道路側からの外観を良好にした優れたデザインを確保し得るものとするように、これを、上記吊元ベースを、上記起立壁又は門柱の道路側に配置することによって、スライドバーのスライド開閉を起立壁又は門柱の道路側で行なってなることを特徴とする請求項1又は2に記載のバースライド門扉としたものである。
【0009】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、吊元ベースを被嵌して外側表面にスライドバーを配置することによって、同じく外観を良好にして優れたデザインを確保し得るものとするように、これを、上記スライドバーを、吊元ベースを被嵌するようにその外側に配置してなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のバースライド門扉としたものである。
【0010】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、スライドバーをスライド突出したとき、吊元ベースとの間で連続する共通のデザインを備えたものとすることによって、外観を更に良好なものとし得るように、これを、上記吊元ベースとスライドバーの表面に、スライドバーのスライド突出時に相互に連続する表面形成のライン又は表面設置の帯材による共通の長手方向連続模様を配置してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のバースライド門扉としたものである。
【0011】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、スライドバー又はこれと吊元ベースを、合成樹脂又はアルミ押出材の帯材によって、デザインに優れて、外観を更に良好なものとし得るように、これを、上記スライドバー又はこれと吊元ベースの表面に、着色合成樹脂又はアルミ押出材の装飾用帯材を配置してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のバースライド門扉としたものである。
【0012】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、吊元ベース及びスライドバーをアルミ押出材によって形成することにより、長尺のものでありながらスライドに必要な精度を容易に確保し得るものとするように、これを、吊元ベース及びスライドバーを、アルミ押出材に切断等の加工を施して形成したアルミ製としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のバースライド門扉としたものである。
【0013】
請求項8及び9に記載の発明は、同じく上記に加えて、それぞれ、スライドバーのスライド突出とスライド収納を可及的簡易且つ確実になし得るとともにその安定且つスムーズな作動をなし得るものとするように、請求項8に記載の発明を、上記吊元ベースとスライドバーにそれぞれガイドレールを配置するとともに該各ガイドレールにスライド自在のスライドガイド及び/又は転動自在のガイドローラーを配置してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のバースライド門扉とし、請求項9に記載の発明を、上記スライドガイド及び/又はガイドローラーを、吊元ベースの開口側先端部とスライドバーの吊元ベース側後端部に配置することによってスライド収容及びスライド突出の如何を問わずにスライドバーを常時吊元ベースに支持自在としてなることを特徴とする請求項8に記載のバースライド門扉としたものである。
【0014】
請求項10に記載の発明は、同じく上記に加えて、スライド突出とスライド収容を行うスライドバーの自重による垂下りを確実に防止し、その直進性を確保することによって、該スライドバーの作動の安定性を更に向上したものとするように、これを、上記スライドガイド及び/又はガイドローラーによるスライドバーの支持を、これらの長手方向に少なくとも3箇所において行ってなることを特徴とする請求項8又は9に記載のバースライド門扉としたものである。
【0015】
請求項11に記載の発明は、同じく上記に加えて、可及的に少ない部材でスライドバーの自重による垂下りの防止と直進性の確保を行って、スライドバーの安定性を高度に確保したものとするように、これを、上記吊元ベースのガイドレールに対するスライドバーのスライドガイド及びガイドローラーを、吊元ベース側後端部に上下位各2箇所配置し且つスライドバーのガイドレールに対する吊元ベースのスライドガイドを開口側先端部に上下位2箇所、ガイドローラーを上位又は下位に1箇所配置して、スライドガイド4箇所、ガイドローラー3箇所でスライドバーを支持してなることを特徴とする請求項10に記載のバースライド門扉としたものである。
【0016】
本発明はこれらをそれぞれ発明の要旨として、上記課題解決の手段としたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上のとおりに構成したから、請求項1に記載の発明は、起立壁或いは支柱に、長尺の吊元ベースを配置し、該吊元ベースに開口遮断用のスライドバーをスライド自在に配置することによって、吊元ベースからスライドバーをスライド突出して、出入用の開口をスライドバーで閉鎖し、スライドバーを吊元ベースにスライド収容して、該開口を開放することによって、バースライド形態の門扉として、例えば昼間はスライドバーをスライド収容してオープンな開放感を確保する一方、夜間はスライドバーをスライド突出して、心理的な侵入抑止性によるクローズの安心感を確保するようにして、オープンな開放感とクローズの安心感を併存するようにした新規な門扉を提供することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、上記に加えて、該門扉がスライドバーのスライド突出側先端に戸当り手段を備えることによって、該スライドバーの最大スライド長さを規制し得るものとすることができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、同じく上記に加えて、該門扉を、道路側からの外観を良好にした優れたデザインを確保し得るものとすることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明は、同じく上記に加えて、吊元ベースを被嵌して外側表面にスライドバーを配置することによって、同じく外観を良好にして優れたデザインを確保したものとすることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、同じく上記に加えて、スライドバーをスライド突出したとき、吊元ベースとの間で連続する共通のデザインを備えたものとすることによって、外観を更に良好なものとすることができる。
【0022】
請求項6に記載の発明は、同じく上記に加えて、スライドバー又はこれと吊元ベースを、合成樹脂又はアルミ押出材の帯材によって、デザインに優れて、外観を更に良好なものとすることができる。
【0023】
請求項7に記載の発明は、同じく上記に加えて、吊元ベース及びスライドバーをアルミ押出材によって形成することにより、長尺のものでありながらスライドに必要な精度を容易に確保したものとすることができる。
【0024】
請求項8及び9に記載の発明は、同じく上記に加えて、それぞれ、スライドバーのスライド突出とスライド収納を可及的簡易且つ確実になし得るとともにその安定且つスムーズな作動をなし得るものとすることができる。
【0025】
請求項10に記載の発明は、同じく上記に加えて、スライド突出とスライド収容を行うスライドバーの自重による垂下りを確実に防止し、その直進性を確保することによって、該スライドバーの作動の安定性を更に向上したものとすることができる。
【0026】
請求項11に記載の発明は、同じく上記に加えて、可及的に少ない部材でスライドバーの自重による垂下りの防止と直進性の確保を行って、スライドバーの安定性を高度に確保したものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】バースライド門扉の設置状態を示す正面図である。
【図2】バースライド門扉の正面図である。
【図3】バースライド門扉の平面図である。
【図4】バースライド門扉の側面図である。
【図5】吊元ベースとスライドバーのスライドガイドとガイドローラーの配置状態を示すそれぞれの背面図である。
【図6】吊元ベースの縦断面図である。
【図7】スライドバーの縦断面図である。
【図8】バースライド門扉の正面図である。
【図9】図8のA‐A線縦断面図である。
【図10】図8のB‐B線縦断面図である。
【図11】図8のC‐C線縦断面図である。
【図12】図8のD‐D線縦断面図である。
【図13】バースライド門扉の側面図である。
【図14】吊元ベースとスライドバーの部材配置状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下図面の例に従って本発明を更に具体的に説明すれば、Aは、図1に示す如くに、建物、例えば、住宅の玄関先に設置して使用するバースライド門扉であり、該門扉Aは、長尺の吊元ベース1と、該吊元ベース1に長手方向スライド自在に配置した開口遮断用長尺のスライドバー2とを備え、上記吊元ベース1を起立壁又は門柱、本例にあっては起立壁3の上下中間位置に水平に配置し、該吊元ベース1におけるスライドバー2のスライド突出とスライド収容によって開口を開閉自在としたものとしてあり、このとき、本例の門扉Aは、上記スライドバー2のスライド突出側の開口端部に、該スライドバー2のスライド長さを規制する戸当り門柱又は開口を挟んだ起立壁設置の戸当り部材、本例にあっては、インターホン、表札、郵便受等を配置した戸当門柱4、即ち、機能門柱を配置したものとし、また、上記吊元ベース1は、これを、上記起立壁3の道路側に配置することによって、スライドバー2のスライド開閉を起立壁の道路側で行なったものとし、本例にあって該スライドバー2は、これを、吊元ベース1を被嵌するようにその外側に配置したものとしてある。
【0029】
本例の門扉Aにおける、バースライド門扉Aは、その高さ幅を、例えば10乃至20cm程度、本例にあっては15cm程度、長さを、開口 の幅に合せて1.5m程度としてあり、このとき該門扉Aにおける上記吊元ベース1とスライドバー2の表面に、スライドバー2のスライド突出時に相互に連続する表面形成のライン又は表面設置の帯材、本例にあっては帯材15、23による共通の長手方向連続模様を配置したものとしてある。
【0030】
本例にあって、吊元ベース1とスライドバー2は、これらを、アルミ押出材に切断等の加工を施して形成したアルミ製にして、上記1.5m程度の長さのものとしてあり、該アルミ押出材は、本例の吊元ベース1にあってベース本体10と該ベース本体10の正面側に一体的に配置した正面プレート14を備えた2部材構成としてある。該ベース本体10は、裏面に上下一対のタッピングホールを配置し且つ該正面に向けて交差突出した上下突出部の内側にスライド突条を配置した断面コ字状の縦基板11と、該縦基板11の上下突出部の先端から外側に向けて起立して、先端に対向方向の内側に向けて屈曲した屈曲条13を有する上下のガイドレール12を備えた厚肉にしてハット型の断面形状のものとし、正面プレート14を、その表面中央位置に断面C字状の凹溝を備えた正面基板と、裏面に向けて交差突出し、対向面にスライド溝条を配置した上下突出部を備えたものとし、これらベース本体10と正面プレート14を、スライド突条とスライド溝条を嵌合することによって、これらを一体化したものとしてある。
【0031】
スライドバー2は、表面中央位置に、上記正面プレートの凹溝と同幅(同高さ)の断面C字状の凹溝を配置した断面コ字状の縦基板20と、該縦基板20の上下突出部の先端から内側に向けて起立して、先端に非対向方向の外側に向けて屈曲した屈曲条23を有する上下のガイドレールを備えた厚肉にしてC字状の断面形状のものとしてある。
【0032】
このとき、上記スライドバー2を、吊元ベース1を被嵌するようにその外側に配置した本例の門扉Aにあって、上記スライドバー2に用いたアルミ押出材は、吊元ベース1の上下のガイドレール12を、縦基板20の上下に対面配置するようにC字状の断面形状の内側に受入れ自在としてあり、これによって、本例のバースライド門扉Aにあって、該スライドバー2を、吊元ベース1を被嵌するように吊元ベース1の外側に配置するようにしてある。また、これら吊元ベース1及びスライドレール2の各断面C字状の上記凹溝には、例えばアクリル、ポリカーボネート等の耐候性に優れた、顔料添加によって着色した同色同幅の帯材15、23を、それぞれ長手方向からスライド挿入して全長に亘って装着してあり、これによって、本例のバースライド門扉Aにあって、上記共通の長手方向連続模様を形成するようにしてある。
【0033】
このように構成した上記吊元ベース1とスライドバー2には、これらに配置した各ガイドレール12、21にスライド自在のスライドガイド及び/又は転動自在のガイドローラー、本例にあってはスライドガイド16、24及びガイドローラー17、25を配置してある。スライドガイド16、24は、上下にレール受溝を配置し中間に連結部を配置した断面H字状をなす合成樹脂又はアルミ製の成形材、例えばPOR等の耐久性ある合成樹脂製のものとしてあり、また、ガイドローラー17、25は、金属基板、例えばSUS板に、同じくPOR等の耐久性ある合成樹脂製のローラーを軸支固定したものとしてある。
【0034】
該スライドガイド16、24及びガイドローラー17、25は、これを、吊元ベース1の開口側先端部とスライドバー2の吊元ベース側後端部に配置することによって、バースライド門扉Aにあって、スライド収容及びスライド突出の如何を問わずにスライドバー2を常時吊元ベース1に支持自在としたものとしてあり、このとき、本例の上記スライドガイド16、24及びガイドローラー17、25によるスライドバー2の支持は、これを、これらの長手方向に少なくとも3箇所において行うとともに、本例にあって、上記吊元ベース1のガイドレール12に対するスライドバー2のスライドガイド24及びガイドローラー25は、これらを、吊元ベース側後端部に上下位各2箇所配置し且つスライドバー2のガイドレール21に対する吊元ベース1のスライドガイド16を開口側先端部に上下位2箇所、ガイドローラー17を上位又は下位に1箇所配置して、スライドガイド16を4箇所、ガイドローラー17を3箇所としてスライドバー2を支持したものとしてある。
【0035】
即ち、スライドガイド16、24は吊元ベース1とスライドバー2に各2箇所の合計4箇所、ガイドローラー17、25は吊元ベース1に1箇所、スライドバー2に2箇所の合計3箇所に配置するとともにこれら配置を、吊元ベース1の長手方向開口側の先端に、スライドバー2の長手方向吊元ベース側の後端において行うことによって、バースライド門扉Aにあって、スライドバー2を吊元ベース1から、その先端を戸当り門柱4に対接する位置までスライド突出したとき、スライドガイド16、24乃至ガイドローラー17、25が、吊元ベース1の開口側の先端に集合するように位置して、スライドバー2を支持し、スライドバー2を、吊元ベース1にスライド収容したとき、スライドガイド16、24乃至ガイドローラー17、25がバースライド門扉Aの長手方向両端側に分散するように位置して、同じくスライドバー2を支持するものとし、従って、スライドバー2のスライド突出及びスライド収容の如何を問わず、スライドバー2は、これを常時これらのスライドガイド16、24乃至ガイドローラー17、25によって安定支持したものになる。
【0036】
このとき、本例の吊元ベース1にあって上記2箇所のスライドガイド16は、開口側の先端に、上下に対向して、その前後位置をスライドバー2のガイドレール21位置に合せて、例えば、その上記上下突出部 にネジ5止め固定することによって、該スライドバー1の上記上下のガイドレール21に係合するように、その配置を行ない、また、上記1箇所のガイドローラー17は、本例にあって、吊元ベース1の上位にして、同じくスライドバー2の上位のガイドレール21位置、特にその下向きの屈曲条22の位置に合せて、ガイドローラー17を軸支した金属基板を吊元ベース1、特のベース本体10のガイドレール12を部分的に切欠いた上下突出部にネジ5止め固定することによって、該スライドバー2における上位のガイドレール21の上記屈曲条22に対接して、該屈曲条22を下支え支持するように、その配置を行なってある。このとき、上位のスライドガイド16とガイドローラー17は、その位置関係を、開口側の先端前方にスライドガイド16を、先端後方に、該スライドガイド16に近接してこれらと直列をなすように、ガイドローラー17を配置したものとしてある。
【0037】
一方、本例のスライドバー2にあって上記2箇所のスライドガイド24は、吊元側の後端に、同じく上下に対向して、その前後位置を吊元ベース1のガイドレール12位置に合せて、同じく、例えば、その上記上下突出部の先端から内側に向けて起立した起立部にネジ5止め固定することによって、該吊元ベース1の上記上下のガイドレール12に係合するように、その配置を行ない、また、上記2箇所のガイドローラー25は、該スライドバー2の上下に対向して、同じく吊元ベース1の上位のガイドレール12位置、特にその下向きの屈曲条13の位置に合せて、ガイドローラー25を軸支した金属基板を吊元ベース1の上記起立部にネジ5止め固定することによって、該吊元ベース1の上下のガイドレール12の上記屈曲条13に対接して、該屈曲条13に載置するように、その配置を行なってある。このとき、スライドガイド24とガイドローラー25は、その位置関係を、長手方向端部の先端後方(後端側)にスライドガイド24を、後端前方に、該スライドガイド24に近接してこれらと直列をなすように、ガイドローラー25を配置したものとしてある。
【0038】
吊元ベース1とスライドバー2のスライドガイド16、24及びガイドローラー17、25は、以上のとおり、これらをそれぞれ長手方向各端部に集合的に配置することによって、上記スライドバー2の支持を、これらの長手方向に少なくとも3箇所、本例にあって3箇所において行って、該スライドバー2の垂下り防止とスライドの直進性を確保するようにしてある。
【0039】
これら吊元ベース1とスライドバー2を備えたバースライド門扉Aは、スライドガイド16、17とガイドローラー24、25の非設置側の端部、即ち、吊元ベース1の開口と逆側の後端から、スライドバー2の開口側先端を、該スライドバー2によって吊元ベース1を被嵌し且つ吊元ベース1及びスライドバー2のスライドガイド16、24を、それぞれスライドバー2及び吊元ベース1のガイドレール21、12に係合し、また、ガイドローラー17、25を同じく吊元ベース1とスライドバー2のガイドレール21、12の屈曲条13、22に対接するように、相互に嵌め込み状にスライド装着するようにしてあり、これによって、吊元ベース1に対するスライドバー2の開口側に向けたスライド突出と該吊元ベースに対するスライド収容をなし得るようにしてある。
【0040】
本例にあって門扉Aは、これを、例えば、アルミ押出材の中空板材31を上下に多数配置して形成したアルミ製の横張りパネルによる起立壁3の道路側に、その吊元ベース1を配置することによって、該起立壁3に隣接し且つ上記機能門柱とした戸当り門柱4との間に配置した出入用の開口の開閉を行うようにしてある。
【0041】
該吊元ベース1の起立壁3への配置は、例えば、起立壁3の中間位置に、上記中空板材31間にバースライド門扉Aを介設するように、起立壁3の両端及び幅方向中間に配置した支柱30に、上記中空板材31と同様にベース本体10をネジ固定して行ったものとしてあり、このとき該ベース本体10の縦基板11を中空板材31と同一高さ幅とすることによって、起立壁3の背面側を上下方向に同一デザインを呈するようにしてある。
【0042】
起立壁3においてバースライド門扉Aのスライドバー2は、そのスライド収容の限界を画するように、例えば、図示省略のストッパーを配置することによって、吊元ベース1から脱出するのを防止する一方、開口側先端に引手27を配置して、その開閉を容易になし得るようにしてある。
【0043】
図中18は、吊元ベース1のベース本体10に配置したタッピングホールにネジを螺入することによって該吊元ベース1の端面を閉塞した端部カバー、26は、スライドバー2の端部に位置するスライドガイド24にネジを螺入することによって該スライドバー2の端面を閉塞した端部カバーを示す。
【0044】
このように起立壁に設置した本例のバースライド門扉Aは、例えば、昼間はスライドバー2をスライド収容してオープンな開放感を確保する一方、夜間はスライドバー2をスライド突出して、心理的な侵入抑止性によるクローズの安心感を確保することができ、該門扉Aを起立壁の道路側に配置し、スライドバー2が吊元ベース1を被嵌するように外側に配置し、また、スライドバー2と吊元ベース1に共通の長手方向連続模様を配置したこと等によって、新規な門扉形態をなすとともに道路側からの外観を良好にした優れたデザインにして斬新なものとすることができる。更に、吊元ベース1に対するスライドバー2のスライド突出及びスライド収容を、ガイドレール12、21に対して係合し、また対接するスライドガイド16、24やガイドローラー17、25を用いて支持したことによって安定した確実な開閉を行うものとするとともに該支持を、スライドバー2の後端部における上下位各2箇所のスライドガイド24とガイドローラー25、吊元ベース1の開口側先端部における上下位2箇所のスライドガイド16、上位1箇所のガイドローラー17によって行うようにしたことにより、可及的に少ない部材によって、スライドバー2の自重による垂下りの防止とその直進性を高度に確保したものとすることができる。
【0045】
図示した例は以上のとおりとしたが、起立壁を、既設乃至新設のRC乃至ブロック塀とし、また、例えば、アルミ製の横桟を多数配置した格子パネルとし、吊元ベース及び/又はスライドバーを該横桟配置状のリブを備えたものとすること、既設壁に代えて、吊元ベースを起立した複数の門柱に架設するように配置すること、バースライド門扉を、起立壁又は門柱に上下複数配置し、また、起立壁又は門柱の敷地側に配置すること、例えば、吊元ベースにスライドバーを挿入配置することによって、スライドバーを吊元ベースに嵌合するようにその内側に配置したものとすること、戸当り門柱に代えて、開口を挟んだ起立壁設置の戸当り部材を用いること、この場合、起立壁の外側に、短尺に切断した吊元ベースとスライドバーのアルミ押出材の組合せによってブロック状に形成したものを用いること、上記スライドバー又はこれと吊元ベースの表面に、着色合成樹脂又はアルミ押出材の装飾用帯材を配置したものとすること等を含めて、本発明の実施に当って、吊元ベース、スライドバー、起立壁又は門柱、戸当り門柱又は戸当り部材、スライドガイド、ガイドローラー等の各具体的形状、構造、材質、これらの関係、これらに対する付加等は、上記発明の要旨に反しない限り様々な形態のものとすることができる。
【符号の説明】
【0046】
A バースライド門扉
1 吊元ベース
10 ベース本体
11 縦基板
12 ガイドレール
13 屈曲条
14 正面プレート
15 帯材
16 スライドガイド
17 ガイドローラー
18 端部カバー
2 スライドバー
20 縦基板
21 ガイドレール
22 屈曲条
23 帯材
24 スライドガイド
25 ガイドローラー
26 端部カバー
27 引手
3 起立壁
30 支柱
31 中空板材
4 戸当り門柱
5 ネジ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の吊元ベースと、該吊元ベースに長手方向スライド自在に配置した開口遮断用長尺のスライドバーとを備え、上記吊元ベースを起立壁又は門柱の上下中間位置に水平に配置し、該吊元ベースにおけるスライドバーのスライド突出とスライド収容によって開口を開閉自在としてなることを特徴とするバースライド門扉。
【請求項2】
上記スライドバーのスライド突出側の開口端部に、該スライドバーのスライド長さを規制する戸当り門柱又は開口を挟んだ起立壁設置の戸当り部材を配置してなることを特徴とする請求項1に記載のバースライド門扉。
【請求項3】
上記吊元ベースを、上記起立壁又は門柱の道路側に配置することによって、スライドバーのスライド開閉を起立壁又は門柱の道路側で行なってなることを特徴とする請求項1又は2に記載のバースライド門扉。
【請求項4】
上記スライドバーを、吊元ベースを被嵌するようにその外側に配置してなることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のバースライド門扉。
【請求項5】
上記吊元ベースとスライドバーの表面に、スライドバーのスライド突出時に相互に連続する表面形成のライン又は表面設置の帯材による共通の長手方向連続模様を配置してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のバースライド門扉。
【請求項6】
上記スライドバー又はこれと吊元ベースの表面に、着色合成樹脂又はアルミ押出材の装飾用帯材を配置してなることを特徴とする請求項1、2、3又は4に記載のバースライド門扉。
【請求項7】
吊元ベース及びスライドバーを、アルミ押出材に切断等の加工を施して形成したアルミ製としてなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のバースライド門扉。
【請求項8】
上記吊元ベースとスライドバーにそれぞれガイドレールを配置するとともに該各ガイドレールにスライド自在のスライドガイド及び/又は転動自在のガイドローラーを配置してなることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6又は7に記載のバースライド門扉。
【請求項9】
上記スライドガイド及び/又はガイドローラーを、吊元ベースの開口側先端部とスライドベースの吊元ベース側後端部に配置することによってスライド収容及びスライド突出の如何を問わずにスライドバーを常時吊元ベースに支持自在としてなることを特徴とする請求項8に記載のバースライド門扉。
【請求項10】
上記スライドガイド及び/又はガイドローラーによるスライドバーの支持を、これらの長手方向に少なくとも3箇所において行ってなることを特徴とする請求項8又は9に記載のバースライド門扉。
【請求項11】
上記吊元ベースのガイドレールに対するスライドバーのスライドガイド及びガイドローラーを、吊元ベース側後端部に上下位各2箇所配置し且つスライドバーのガイドレールに対する吊元ベースのスライドガイドを開口側先端部に上下位2箇所、ガイドローラーを上位又は下位に1箇所配置して、スライドガイド4箇所、ガイドローラー3箇所でスライドバーを支持してなることを特徴とする請求項10に記載のバースライド門扉。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate