説明

バーナを備えたガスタービン燃焼器及びバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法

【課題】本発明の目的は、残留炭素を多く含む低質油を燃料として使用した場合に、低質油が燃焼する際の煤塵の発生を抑制するバーナを備えたガスタービン燃焼器を提供する。
【解決手段】本発明の低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器は、バーナ60に低質油燃料200aを流下させて前記ガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに噴射する液体燃料ノズル20と、前記液体燃料ノズル20の軸心に沿って該液体燃料ノズルの外周側に配設され噴霧空気の一部を噴霧空気103aとして流下させて前記ガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに噴射する噴霧空気ノズル21と、前記液体燃料ノズル20の軸心に沿って該液体燃料ノズル20の内周側に配設され噴霧空気の一部を内部噴霧空気104aとして流下させて前記ガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに噴射する内部噴霧空気ノズル22とを備えて構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軽油やA重油などの液体燃料よりも残留炭素を多く含む低質油をガスタービン燃料として用いるガスタービン燃焼器に係わり、特に残留炭素を含む低質油燃料を燃焼させた際に発生しやすい煤塵を低減するバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスタービンにおいて燃料の多様化が検討されており、石油精製所や化学プラントなどで副次的に発生する残渣油などの低質油の利用が検討されつつある。
【0003】
この低質油はガスタービン燃焼の燃料として主に用いられる軽油やA重油に比べて安価であり、低質油をガスタービンの燃料に利用できれば、資源を有効に活用し得るだけでなく、発電コストの中で大きな部分を占めている燃料費を節約できるため、発電コストを大幅に削減できる。
【0004】
しかしながら、この低質油は軽油やA重油に比べて動粘度が大きく、残留炭素や窒素分、硫黄分を多く含む。そして燃焼の際にセノスファなど低質油に多く含まれている残留炭素由来の煤塵が多量に発生するため、煤塵の抑制が低質油燃焼の技術的課題となっている。
【0005】
特開2004−3730号公報には、一般的な液体燃料を用いたものであるが、NOx排出量の低減を可能にした燃料噴霧ノズルを備えた拡散燃焼用のガスタービン燃焼器の技術が開示されている。
【0006】
この特開2004−3730号公報に記載されたガスタービン燃焼器の燃料噴霧ノズルには、燃焼室内に燃料を噴射する外周側燃料噴孔と内周側燃料噴孔とが燃焼室に臨むように配設させており、更に内周側燃料噴孔の燃料流路に流路抵抗手段を備えさせた構成となっている。
【0007】
上記構成の燃料噴霧ノズルは流路抵抗手段の設置によって外周側燃料噴孔から噴出する燃料よりも流速が遅くなった燃料を内周側燃料噴孔から燃焼室内に噴出させ、燃料噴霧ノズル近傍の燃焼室内に形成される酸素濃度の低い低酸素濃度領域に対して内周側燃料噴孔から燃料噴流を供給して燃焼反応させるものである。
【0008】
そして上記構成の燃料噴霧ノズルを備えたガスタービン燃焼器では、全体の燃料噴射量のうち燃焼器内に形成される低酸素濃度領域で燃焼させる燃料の流量割合が増加できるので、高温の燃焼ガス領域を狭い範囲に制限してNOxの発生量を低減している。
【0009】
また特開2007−33022号公報には、軽油やA重油以外の燃料である水素や一酸化炭素等を含む多成分からなる混合ガス燃料を起動用の軽油から切り替えて使用する際に、火炎温度が高く燃焼速度も速い混合ガス燃料を燃焼した場合でもバーナのメタル温度を適正な温度範囲に抑制して信頼性を向上させたガスタービン燃焼器の技術が開示されている。
【0010】
この特開2007−33022号公報に記載されたガスタービン燃焼器のバーナは、燃焼室に起動用の軽油を噴射する起動用燃料ノズルと、この起動用燃料ノズルの周囲に設けた混合燃料用ノズルと、圧縮空気の一部を燃焼室に噴射する空気流路を有し該混合燃料用ノズルの噴出孔をこの空気流路の内周部に配設した空気旋回器と、燃焼室に臨む混合燃料用ノズルの端面に設けられ該混合燃料用ノズルから噴出する混合燃料の一部を燃焼室に噴射する冷却孔とを備えて構成されている。
【0011】
そして上記構成のバーナを備えたガスタービン燃焼器では、混合ガス燃料を燃焼した場合でもバーナのノズル端面近傍の燃料濃度を高めることにより火炎温度を低下させ、バーナのメタル温度を適正な温度範囲に抑制して信頼性を向上させている。
【0012】
また、技術文献のMoszkowicz,P., Witzel,L. and Claus,G.,“Modelling of Very Fast Pyrolysis of Heavy Fuel Oil Droplets”, Chemical Engineering Science, Vol.51, No.17, pp.4075−4086(1996)には、残留炭素を含む低質油を燃焼させた際に発生する煤塵に含まれているスート(soot)と呼ばれる粒子とセノスファ(cenosphere)と呼ばれる粒子とについて開示されている。
【0013】
【特許文献1】特開2004−3730号公報
【特許文献2】特開2007−33022号公報
【非特許文献1】Moszkowicz,P., Witzel,L. and Claus,G.,“Modelling of Very Fast Pyrolysis of Heavy Fuel Oil Droplets”, Chemical Engineering Science, Vol.51, No.17, pp.4075−4086 (1996)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、特開2004−3730号公報に記載された燃料噴霧ノズルを備えた拡散燃焼用のガスタービン燃焼器、並びに特開2007−33022号公報に記載された混合ガス燃料を燃焼させるガスタービン燃焼器の燃料として、軽油やA重油などの液体燃料よりも残留炭素を多く含む低質油を用いた場合には、この残留炭素に由来のセノスファが残留炭素の一部が微粒化した液滴の表面に殻として形成するため、軽油やA重油などの燃料に比べて液滴の蒸発に時間を要する。
【0015】
しかも、液滴内部の燃料が蒸発したあとは、セノスファと呼ばれる液滴表面に形成された殻が残ることになる。
【0016】
残留炭素を含む低質油の燃焼で発生する煤塵には、上記非特許文献1で述べられているように、スート(soot)と呼ばれる数μm以下の大きさの粒子と、セノスファ(cenosphere)と呼ばれる数μm〜100μm程度の大きさの粒子がある。
【0017】
スートとは、燃料液滴表面から蒸発した燃料が、気相中で、酸素との混合が不十分な状態で不完全燃焼することにより発生する炭素粒子のことをいう。一方、セノスファとは、液滴周囲の火炎からの熱により、液滴内部の揮発成分は蒸発し、残留炭素分は液滴表面に殻を形成することによって発生する炭素粒子のことをいう。
【0018】
低質油の燃焼では、このような残留炭素由来のセノスファが主な煤塵原因となる。セノスファは、燃焼室内で滞留する間に、その表面に拡散してきた酸素との固体表面燃焼により消滅していくが、燃焼室内で燃焼し切れなかったものが煤塵として排出される。
【0019】
上記で詳細に説明したように、セノスファは燃焼の過程で消滅するものの低質油は軽油やA重油の燃料に比べて蒸発に時間がかかる上にセノスファの消滅にも反応時間が必要となるため、低質油の燃焼時に発生する煤塵濃度が高くなり、これが残留炭素を含む低質油を燃焼した時の煤塵増加の原因となっている。
【0020】
低質油はガスタービン燃焼の燃料として主に用いられる軽油やA重油に比べて安価であり、この低質油をガスタービンの燃料として利用できれば燃料代のランニングコストを大幅に削減できるなどの利点がある。
【0021】
しかしながら、この低質油は軽油やA重油に比べて残留炭素を多く含んでいることから、上述したように低質油の燃焼の際にセノスファなど低質油に多く含まれている残留炭素由来の煤塵が発生して煤塵濃度が高くなり、結果的に煤塵の環境規制値を満足できないという問題を有しており、この問題が低質油をガスタービンの燃料に利用する上で課題となっている大きな原因である。
【0022】
本発明の目的は、残留炭素を多く含む低質油を燃料として使用した場合に、低質油が燃焼する際の煤塵の発生を抑制することが可能なバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明の低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器は、バーナに低質油燃料を前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する液体燃料ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの外周側に配設され噴霧空気の一部を噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する噴霧空気ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの内周側に配設され噴霧空気の一部を内部噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する内部噴霧空気ノズルとを備えたことを特徴とする。
【0024】
また、本発明のバーナを備えたガスタービン燃焼器は、前記バーナは低質油燃料を前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する液体燃料ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの外周側に配設され噴霧空気の一部を噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する噴霧空気ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの内周側に配設され噴霧空気の一部を内部噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する内部噴霧空気ノズルとを備え、前記液体燃料ノズル、噴霧空気ノズル及び内部噴霧空気ノズルのうち少なくとも1つのノズルの内部に、そのノズルの内部を流下する流体に旋回速度を与える旋回器を設置したことを特徴とする。
【0025】
本発明の低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法は、前記バーナに備えた液体燃料ノズルに低質油燃料を流下させてこの液体燃料ノズルの先端から前記低質油燃料を噴射させ、前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの内周側に配設された内部噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部となる内部噴霧空気を流下してこの内部噴霧空気ノズルの先端から前記内部噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した低質油燃料が前記内部噴霧空気の噴流の外周側に環状の低質油燃料の噴流を形成するようにし、前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの外周側に配設された噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部を噴霧空気として流下させてこの噴霧空気ノズルの先端から前記噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した環状に形成された低質油燃料の噴流を微細化し、この微細化した低質油燃料の噴流を前記バーナの先端からガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させることを特徴とする。
【0026】
また、本発明のバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法は、前記バーナに備えた液体燃料ノズルに低質油燃料を流下させると共にこの流下する低質油燃料に旋回速度を与えて前記液体燃料ノズルの先端から旋回速度を付与した低質油燃料を噴射させ、前記前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの内周側に配設された内部噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部となる内部噴霧空気を流下させると共にこの流下する内部噴霧空気に旋回速度を与えて前記内部噴霧空気ノズルの先端から旋回速度を付与した内部噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した低質油燃料が前記内部噴霧空気の噴流の外周側に環状の低質油燃料の噴流を形成するようにし、前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの外周側に配設された噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部を噴霧空気として流下させると共にこの流下する噴霧空気に旋回速度を与えて前記噴霧空気ノズルの先端から旋回速度を付与した噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した環状に形成された低質油燃料の噴流を微細化し、この微細化した低質油燃料の噴流を前記バーナの先端からガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、残留炭素を多く含む低質油を燃料として使用した場合に、低質油が燃焼する際の煤塵の発生を抑制することが可能なバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明の実施例であるバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
本発明の一実施例であるバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法について図1を用いて説明する。
【0030】
図1乃至図5を用いて本発明の一実施例であるガスタービン燃焼器について詳細に説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施例であるバーナを備えたガスタービン燃焼器を有するシンプルサイクルのガスタービン発電プラント1の概略構成と、このガスタービン発電プラント1のガスタービン燃焼器3として低質油を燃焼する燃料噴霧バーナ60を備えたガスタービン燃焼器の部分拡大図を共に示したものである。
【0032】
図1において、ガスタービン発電プラント1は、空気を圧縮して加圧する圧縮機2と、この空気圧縮機2で加圧した圧縮空気と燃料の低質油とを燃焼して燃焼ガスを生成するガスタービン燃焼器3と、このガスタービン燃焼器3で生成した燃焼ガス110aにより駆動するタービン4と、この駆動されるタービン4により回転され発電する負荷又は発電機6を備えている。
【0033】
このタービン4を駆動した後の燃焼ガス110aは燃焼ガス111aとしてタービン4から排出される。
【0034】
また、このシンプルサイクルのガスタービン発電プラント1には起動時に空気圧縮機2を駆動するガスタービン駆動用の起動用モータ8も設置されている。
【0035】
上記したガスタービン発電プラント1のガスタービン燃焼器3の頭部には燃料噴霧バーナ60が設置されている。
【0036】
この燃料噴霧バーナ60の先端側はガスタービン燃焼器3の内部に形成された燃焼室3aに面しており、燃料噴霧バーナ60の先端側の反対側は燃料となる低質油燃料200aをガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60に供給する低質油燃料系統200が配設されている。
【0037】
燃料噴霧バーナ60には、該燃料噴霧バーナ60からガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに供給される低質油燃料200aを微粒化するための噴霧空気の1つとして、圧縮機2で加圧した圧縮空気の一部を抽気した抽気空気を噴霧空気103aとして該燃料噴霧バーナ60内部に導く噴霧空気系統103が配設されている。
【0038】
また、燃料噴霧バーナ60には、該燃料噴霧バーナ60からガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに供給される低質油燃料200aを微粒化するための噴霧空気の他の1つとして、圧縮機2で加圧した圧縮空気の一部を抽気した抽気空気を内部噴霧空気104aとして該燃料噴霧バーナ60の内部の軸心側に導く内部空気噴霧系統104が配設されている。
【0039】
ガスタービン燃焼器3に供給される燃焼用空気102aは、圧縮機2で加圧した圧縮空気を燃焼用空気系統102を通じて供給し、ガスタービン燃焼器3の燃焼室3aを区画する円筒形状の燃焼器ライナ11と、この燃焼器ライナ11の外側に設けた円筒形状の外筒10との間の空気流路を通じて流下させて燃焼室3aの内部に流入させている。
【0040】
次に上記した本発明の実施例である燃料噴霧バーナ60を備えたガスタービン燃焼器3を有するガスタービン発電プラント1の運転方法について説明する。
【0041】
図1において、ガスタービン発電プラント1を始動する場合には、起動用モータ8などの外部動力によって圧縮機2とタービン4を一体に回転させ、この圧縮機2で圧縮されて燃焼用空気系統102を通じてガスタービン燃焼器3に供給された燃焼用空気102aと、低質油燃料系統200を通じてガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60に供給された低質油200aをガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに噴出させ、燃焼室3aの内部で低質油燃料200aに着火して燃焼させる。
【0042】
そして、ガスタービン燃焼器3の燃焼室3aの内部で低質油燃料200aを燃焼させて発生した燃焼ガス110aはタービン4に供給され、この燃焼ガス110aによってタービン4を駆動する。
【0043】
ガスタービン燃焼器3の燃焼室3aで燃焼する低質油燃料200aの供給流量の増加に伴って、燃焼室3aの内部では低質油燃料200aの燃焼で発生する燃焼ガス110aの流量が増加し、この燃焼ガス110aで駆動されるタービン4が昇速する。
【0044】
タービン4が昇速して所望の回転数に昇速すると起動用モータ8が離脱することによりガスタービン発電プラント1は自立運転に入り、無負荷の定格回転数に達する。
【0045】
ガスタービン発電プラント1が無負荷の定格回転数に到達した後に発電機6を併入して発電を開始するが、更にガスタービン燃焼器3に供給する低質油燃料200aの流量を増加させるによりガスタービン燃焼器3で発生する燃焼ガス110aの流量も増加して、タービン4で駆動させる発電機6の負荷を所望の負荷まで上昇させる発電を行う。
【0046】
ガスタービン燃焼器3の頭部に備えられた燃料噴霧バーナ60は、燃料噴霧バーナ60の先端部の外周側にスワラー17を設けてあり、ガスタービン燃焼器3に圧縮機2から供給された燃焼用空気102aの一部を圧力バランスによって導いて燃料噴霧バーナ60の外周側に環状に設けた前記スワラー17で燃焼室3aに供給される燃焼用空気102aに対して旋回流をかけて燃焼室3a内に供給し、燃焼室3aの内部で低質油燃料200aが燃焼して形成する火炎81を保持させるための循環流を生じさせる構造となっている。
【0047】
低質油燃料200aの微粒化に必要な噴霧空気のひとつは、圧縮機2から抽気した抽気空気を噴霧空気系統103を通じてガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60に噴霧空気103aとして供給する。
【0048】
そしてこの噴霧空気103aは、噴霧空気系統103に設置した圧力調節弁15によってガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60を流れる低質油燃料200aの圧力と噴霧空気103aの供給圧力の比率が一定となるように制御される。
【0049】
次に図1に示した本実施例のガスタービン燃焼器3に設置された燃料噴霧バーナ60の部分拡大断面図を図2に示し、図2に示した本実施例のガスタービン燃焼器3に設置された燃料噴霧バーナ60の正面図を図3に示す。
【0050】
図1乃至図3に示したガスタービン燃焼器3に備えられた燃料噴霧バーナ60について、その構造の詳細を説明すると、燃料噴霧バーナ60の内部には該燃料噴霧バーナ60の半径方向中心部に低質油燃料200aを導く燃料噴霧ノズル20が該燃料噴霧バーナ60の軸心方向に沿って配設されている。
【0051】
そして燃料噴霧バーナ60に外部の低質油燃料系統200から供給された低質油燃料200aは、燃料噴霧バーナ60の内部に配設した燃料流路となる燃料噴霧ノズル20に導かれ、該燃料噴霧ノズル20の先端の燃料噴霧ノズル噴出口20aから低質油燃料200aを燃焼室3aに噴出させる。
【0052】
燃料噴霧バーナ60の内部で前記液体燃料ノズル20の外周側には、噴霧空気103aを流下させる噴霧空気ノズル21が該液体燃料ノズル20と同心状となるように該液体燃料ノズル20の軸心に沿って配設されており、また前記液体燃料ノズル20の内周側には、内部噴霧空気104aを流下させる内部噴霧空気ノズル22が該液体燃料ノズル20と同心状となるように該液体燃料ノズル20の軸心に沿って配設されている。
【0053】
前記燃料噴霧バーナ60の先端となるバーナ端面18には、その最外周側の位置に圧縮機2で昇圧した圧縮空気を燃焼用空気102aの一部として燃焼室3aに供給する旋回器17が設置されている。
【0054】
燃料噴霧バーナ60に外部から噴霧空気系統103を通じて供給された噴霧空気103aは、燃料噴霧バーナ60の内部に設けた液体燃料ノズル20の外周側に、同心状となるように前記液体燃料ノズル20の軸心に沿って設置されて噴霧空気103aの流路となる噴霧空気ノズル21に導かれ、該噴霧空気ノズル21の先端の噴霧空気ノズル噴出口21aからこの噴霧空気103aを燃焼室3aに噴出させる。
【0055】
また、燃料噴霧バーナ60に外部から内部噴霧空気系統104を通じて供給された内部噴霧空気104aは、燃料噴霧バーナ60の内部に設けた前記燃料噴霧ノズル20の内周側に、同心状となるように前記液体燃料ノズル20の軸心に沿って設置されて内部噴霧空気104aの流路となる内部噴霧空気ノズル22に導かれ、該内部噴霧空気ノズル22の先端の内部噴霧空気ノズル噴出口22aからこの内部噴霧空気104aを燃焼室3aに噴出させる。
【0056】
前記内部噴霧空気ノズル22の先端の内部噴霧空気ノズル噴出口22a、及び燃料噴霧ノズル20の先端の燃料噴霧ノズル噴出口20aの位置は、燃焼室3aに開口した前記噴霧空気ノズル21の先端の噴霧空気ノズル噴出口21aの位置よりもそれぞれ燃料噴霧バーナ60の軸方向内側(内部噴霧空気104a及び低質油燃料200aの流体の上流側)に位置するように離間して配置させて、両者の間に図2に示すような空間部19を該燃料噴霧バーナ60の先端部近傍の内部に形成する必要がある。
【0057】
そして上記した構造によって、噴霧空気ノズル21の噴霧空気ノズル噴出口21aと燃料噴霧ノズル20の燃料噴霧ノズル噴出口22aとの間に低質油燃料200aの微細化を促進する空間部19を確保して、この空間に供給された低質油燃料200aに対してその外周側から噴霧空気103aを、その内周側から内部噴霧空気104aをそれぞれ噴射して低質油燃料200aの微細化を促進させている。
【0058】
即ち、後述する図2に示したように燃料噴霧バーナ60の先端近傍に空間部19を形成して、この空間部19において燃料噴霧バーナ60の内部の軸心側に設けた燃料噴霧ノズル20の先端の燃料噴霧ノズル噴出口22aから噴射した低質油燃料200aに対して、燃料噴霧ノズル20の外周側に配置した噴霧空気ノズル21の先端の噴霧空気ノズル噴出口21aから噴霧空気103aを噴射させ、該噴霧空気103aの相対速度によって低質油燃料200aに対して噴霧空気103aによるせん断力を作用させてこの低質油燃料200aを微粒化する。
【0059】
そして微細化した低質油燃料200aを噴霧空気103aと共に燃焼室3aに面して開口した前記噴霧空気ノズル21の先端の噴霧空気ノズル噴出口21aから該燃焼室3aの内部に噴霧して燃焼させる構成となっている。
【0060】
更に、この燃料噴霧ノズル20の内部の軸心側に同心状に配設した内部噴霧空気ノズル22を通じて該内部噴霧空気ノズル22の先端の内部噴霧空気ノズル噴出口22aから噴出する内部噴霧空気104aによって、燃料噴霧ノズル20の先端の燃料噴霧ノズル噴出口22aから噴射した低質油燃料200aに対して該低質油燃料200aと噴霧空気とが接触する気液界面を増加させて、低質油燃料200aの微細化を更に促進させている。
【0061】
そして上記構成の燃料噴霧バーナ60を備えることによって、燃料噴霧ノズル20の燃料噴霧ノズル噴出口22aから燃焼室3aの内部に噴霧された微細化した低質油燃料200aは、燃焼室3aの内部で蒸発・気化して燃焼し、火炎81を形成する。
【0062】
図2は本実施例のガスタービン燃焼器に備えられた燃料噴霧バーナ60の部分拡大断面図である。図2において、燃料噴霧バーナ60を構成する燃料噴霧ノズル20の内側である燃料噴霧ノズル20の内壁と、この燃料噴霧ノズル20の軸心側に設置された内部噴霧空気ノズル22の外壁との間には旋回器90が配設され、この内部噴霧空気ノズル22の内側には旋回器92が配設されている。
【0063】
更に、噴霧空気ノズル21の内側である噴霧空気ノズル21の内壁と、この噴霧空気ノズル21の軸心側に設置された燃料噴霧ノズル20の外壁との間には旋回器91が配設されている。
【0064】
そして、これらの旋回器90、91、92は該旋回器90、91、92が設置された燃料噴霧ノズル20を流下する低質油燃料200a、噴霧空気ノズル21を流下する噴霧空気103a、及び内部噴霧空気ノズル22を流下する内部噴霧空気104aに対してそれぞれ旋回速度を与えるように構成されている。
【0065】
また、前記旋回器90、91、92によって旋回速度を与えられた低質油燃料200aの噴出方向と、噴霧空気103a及び内部噴霧空気104aの噴出方向とは、互いに角度をなすように形成されている。
【0066】
また、前述したように燃料噴霧バーナ60の最外周側には空気旋回器17が設置されている。
【0067】
低質油燃料の微粒化は、詳細は後述するが液体燃料の液層表面に噴霧空気の供給によって微小な変形が生じ、この液層表面に生じた変形が徐々に成長し、液層表面が破断することによって最終的に多数の液滴が形成される。
【0068】
したがって低質油燃料を微粒化促進するためには、微粒化プロセスの初期に生じる低質油燃料の液層表面の微小な変形を大きくなるようにすればよい。これは、低質油燃料である液体燃料と周囲気体である噴霧空気との相対速度(せん断速度)を大きくすることにより達成される。
【0069】
噴霧空気と液体燃料との気液間のせん断速度が大きくなると、周囲気体である噴霧空気の圧力が下がり、気液間の圧力差が大きくなる。
【0070】
この気液間の圧力差が液体の復元力である表面張力に対抗して、液体燃料の液層表面の変形を助長させたものである。
【0071】
したがって、液体燃料と周囲気体である噴霧空気との相対速度(せん断速度)を大きくすることによって低質油燃料の微粒化を促進されることができる。
【0072】
ところで、上記した本実施例のガスタービン燃焼器3に備えられた燃料噴霧バーナ60の構造において、これらの旋回器90、91、92をすべて設置される必要はなく、旋回器90、91,92のうちの少なくともひとつが設置されていれば、後述する煤塵低減の効果が得られる。
【0073】
また、旋回器90、91、92の構造は、複数の旋回羽根が流体の流れ方向に対して角度をもって流路内に設置された構造となっているが、旋回器90、91、92の構造は低質油燃料200a、噴霧空気103a及び内部噴霧空気104aにそれぞれ旋回速度を与えることができれば特にこれに限定しない。例えば、流路全体がらせん状に形成された構造であってもよい。
【0074】
次に、低質油燃料をガスタービン燃焼器のバーナから噴射して燃焼させた場合に煤塵が発生するメカニズムについて説明する。
【0075】
低質油燃料の燃焼では、前述したように低質油燃料に含まれる残留炭素由来のセノスファが主な煤塵原因となる。セノスファはガスタービンの燃焼室内で滞留する間にその表面に拡散してきた酸素との固体表面燃焼により消滅していくが、燃焼室内で燃焼し切れなかったものがガスタービン燃焼器から煤塵として排出される。
【0076】
このようなメカニズムで煤塵が発生するため、低質油燃料中の残留炭素濃度が多いほどセノスファが多く発生し煤塵濃度は増加する。
【0077】
図3は低質油燃料に含まれる残留炭素濃度の違いによって発生する煤塵濃度の変化を示している。良質油を対象としている通常のバーナを備えたガスタービン燃焼器で低質油燃料を燃焼させると、燃料中の残留炭素の濃度が濃度の低いCから濃度の高いCに徐々に増すに従って、この低質油燃料を燃焼した場合に発生する煤塵濃度は、実線の細線で示したように良質油に相当する低い濃度W(図中の点A)の値から高い濃度W(図中の点B)の値まで徐々に増加する。
【0078】
その結果、残留炭素の濃度が濃度の高いCの低質油燃料を燃焼させた場合に、発生する煤塵濃度は高い濃度Wに達して、例えば50〜100mg/Nmに設定された環境規制値Wを超えてしまう事態が生じ、環境規制を守ることができないことになる。
【0079】
したがって、低質油燃料を用いて環境規制を満足するためには、煤塵濃度をWからW以下の値(例えば、図中のW')まで低減させることを可能とする本発明の燃料噴霧バーナ60を備えたガスタービン燃焼器3を使用して低質油燃料を燃焼させる必要がある。
【0080】
次に、低質油燃料を燃焼させる場合に発生する煤塵の低減方法について説明する。
【0081】
上述した煤塵発生メカニズムより、主な煤塵原因であるセノスファに関して、バーナから噴射する液体燃料が噴霧したときの液滴の噴霧粒径が小さいほど、セノスファ粒径は小さくなる。その結果、セノスファ粒子が燃焼室内で燃焼し切るのに必要な時間も少なくて済むため、発生する煤塵の排出量は減少することになる。
【0082】
またスートに関しても、バーナから噴射する液体燃料の液滴の噴霧粒径が小さいほど、燃料と酸素との混合が進み、十分な混合状態で燃焼が起こるため、発生するスートの排出量は減少する。
【0083】
したがって、セノスファとスートのどちらについても、バーナから噴射する液体燃料の噴霧粒径が小さいほど、それらの発生量は減少する。
【0084】
以上のことから、低質油燃料を用いてガスタービン燃焼器で燃焼させる際の煤塵発生を低減するためには、バーナから噴射する低質油燃料の噴霧粒径を小さくすること、すなわち低質油燃料の微粒化を促進することが有効な手段であることが分かる。
【0085】
煤塵を低減する低質油燃料の微粒化促進について詳細に説明すると、液体の微粒化は次のようなプロセスで起こるものと考えられる。
【0086】
即ち、バーナに備えたノズルから噴射した液体燃料である低質油燃料と噴霧空気とが接している気液界面である液層の表面に噴霧空気の供給によって微小な変形が生じ、低質油燃料の液体と周囲気体の噴霧空気との界面もしくは液体内部の不安定性によって、液層表面の微小な変形が徐々に成長していく。
【0087】
そして、この変形の成長により該変形が液層表面から液層内部にまで広がっていき、液層表面が破断することによって多数の液滴が形成される。
【0088】
このように低質油燃料の微粒化は気液界面(液層表面)において行われ、液層内部に向かって進行していくため、ガスタービン燃焼器3に設置された燃料噴霧バーナ60に形成される低質油燃料の液層が薄いほど、低質油燃料の微粒化は早く完結する。
【0089】
したがって、低質油燃料の液層を薄く形成することが低質油燃料の微粒化促進につながる。
【0090】
次に、本発明の実施例であるガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60における低質油燃料の微粒化促進による作用を説明する。
【0091】
図4は図1に示した本発明の一実施例であるガスタービン燃焼器に設置される燃料噴霧バーナ60の液体燃料ノズル20の近傍を燃焼室側から見た正面図である。
【0092】
図4に示すように、燃料噴霧バーナ60の内部に設置された液体燃料ノズル20の内側を低質油燃料200aが流下するが、この液体燃料ノズル20の内周側には同心状に形成された内部噴霧空気ノズル22が設置されており、この内部噴霧空気ノズル22を通じて内部噴霧空気104aが供給されている。
【0093】
また、この液体燃料ノズル20の外周側には同心状に形成された噴霧空気ノズル21が設置されており、この噴霧空気ノズル21を通じて噴霧空気103aが供給されている。
【0094】
前記液体燃料ノズル20を流れる低質油燃料200aの液層の噴流断面は、燃焼室3a側から見ると円環状に形成されている。
【0095】
したがって前記液体燃料ノズル20を流れる低質油燃料200aの液層のサイズは、液体燃料ノズル20の内径をDL、内部噴霧空気ノズル22の外径をDiとすると、液体燃料ノズル20から噴出させる低質油燃料200aの液層の厚さをΔD(=(DL−Di)/2)と定義できる。
【0096】
一方、液体燃料ノズル20の内周側に内部噴霧空気ノズル22を備えていない従来のノズル構造では、前記液体燃料ノズル20を流れる低質油燃料200aの液層の噴流断面は内径DLの円形状となるため、低質油燃料200aの液層厚はΔD=DL/2となり、大幅に厚くなる。
【0097】
よって従来のノズル構造で低質油燃料200aの液層を完全に微粒化させるためには、液層表面から液体燃料ノズル20の中心部まで厚さDL/2の低質油燃料200aの液層全体を噴霧空気によって微粒化する必要があるが、厚く形成された噴流断面が厚さDL/2の低質油燃料200aをその液層厚の全体に亘って液体燃料ノズル20の外周側を流れる噴霧空気を供給するだけで微粒化するのは困難である。
【0098】
これに対して、前述したように本発明の実施例であるガスタービン燃焼器3における燃料噴霧バーナ60に設けた前記燃料噴霧ノズル20の構造によれば、該液体燃料ノズル20から噴出させる低質油燃料200aの液層厚はΔD=(DL−Di)/2と大幅に薄く形成できることから、液層表面から液層中心部まで微粒化すべき液層厚は従来のノズル構造に比べて内部噴霧空気ノズル22の外径Di/2分だけ大幅に薄くなり、この結果、噴霧空気の供給によって低質油燃料200aは薄く形成された液層厚の全体に亘って微粒化の促進が容易となるので煤塵の発生は低減できる。
【0099】
本発明の実施例であるガスタービン燃焼器3に備えた燃料噴霧バーナ60に設けた液体燃料ノズル20ではさらに次の作用によって低質油燃料200aの微粒化を促進できる。
【0100】
低質油燃料200aの微粒化は液体燃料である低質油燃料と噴霧空気とが接している気液界面で行われるため、気液界面の面積が広いほど微粒化は促進される。
【0101】
ここで、図4は液体燃料ノズル20の2次元断面図とみなすことができるため、気液界面の面積を図4の接触部分の長さにより評価できる。
【0102】
従来のノズル構造では、このような気液界面は直径DLの円形断面を有する液体燃料ノズルの内周側を流れる低質油燃料200aと液体燃料ノズルの外周側を流れる噴霧空気103aとが接する気液界面Lとなるので、その気液界面Lの長さは直径DLの円周長のπDLである。
【0103】
これに対して、前述したように本発明の実施例であるガスタービン燃焼器3における燃料噴霧バーナ60に設けた前記燃料噴霧ノズル20の構造によれば、直径DLの円形断面を有する液体燃料ノズル20の内周側を流れる低質油燃料200aと噴霧空気ノズル21の内部で液体燃料ノズル20の外周側を流れる噴霧空気103aとが接する気液界面Lだけでなく、直径Diの円形断面を有する内部噴霧空気ノズル22の外周側を流れる低質油燃料200aと該内部噴霧空気ノズル22の内周側を流れる内部噴霧空気104aとが接する気液界面Lも気液界面として加わるので、それらの気液界面の総長さL+Lは(πDL+πDi)と大幅に長くなり、従来のノズル構造と比較しても気液界面の長さはπDiだけ長くなる。
【0104】
したがって、本実施例のガスタービン燃焼器3における燃料噴霧バーナ60に設けたノズルでは、従来のノズル構造よりも液体燃料である低質油燃料と噴霧空気とが接する気液界面が広くなるので、低質油燃料200aの微粒化が促進され、その結果、低質油燃料200aを燃焼させた場合でも発生する煤塵の濃度を低減させることが出来る。
【0105】
本発明の一実施例であるガスタービン燃焼器3に備えた燃料噴霧バーナ60に設けた液体燃料ノズル20では、次に述べる理由により更に煤塵低減効果が期待できる。
【0106】
従来のノズル構造では、液体燃料ノズルから噴出した低質油燃料200aの液層の中心部(液体燃料ノズルの軸心)にまで液体燃料ノズルの外周側を流れる噴霧空気103aが進入しにくいため、低質油燃料200aの液層の中心部は酸素濃度が低い状態となっている。
【0107】
前記した液層の中心部の低酸素濃度領域では、セノスファやスートの消滅を引き起こす燃焼反応に必要な酸素が少ないため、この低酸素濃度領域が主な煤塵発生領域となる。
【0108】
これに対して、前述したように本発明の実施例であるガスタービン燃焼器3における燃料噴霧バーナ60に設けた前記燃料噴霧ノズル20の構造によれば、液体燃料ノズル20の外周側に配設した噴霧空気ノズル21から噴霧空気103aを噴出させているだけでなく、液体燃料ノズル20の内周側に配設した内部噴霧空気ノズル22からも内部噴霧空気104aを噴出させている。
【0109】
従って前記液体燃料ノズル20から噴出する、円環状に形成された液層の噴流断面を有する低質油燃料200aの液層には、該低質油燃料200aの液層の外周側に対して噴霧空気ノズル21から噴霧空気103aを噴出させるだけでなく、特に低酸素濃度領域となる低質油燃料200aの液層の中心部に対して内部噴霧空気ノズル22から内部噴霧空気104aを噴出させることによって酸素を供給するため、この液層の中心部の低酸素濃度領域でセノスファやスートの消滅を引き起こす燃焼反応が促進され、この結果、煤塵の発生が大幅に低減される。
【0110】
即ち、低質油燃料200aを本実施例の燃料噴霧バーナ60を備えたガスタービン燃焼器3で燃焼させた場合は、図3に示すように低質油燃料200a中の残留炭素の濃度が濃度の低いCから濃度の高いCに徐々に増すに従って低質油燃料200aを燃焼した場合に発生する煤塵濃度は、実線の太線で表示したように良質油に相当する低い濃度Wの値から濃度W'(図中の点B')の値まで徐々に増加するが、上限の煤塵濃度W'は、例えば50〜100mg/Nmに設定された環境規制値Wを下回る値に低減できるので、環境規制を守ることができる。
【0111】
したがって、本実施例の燃料噴霧バーナ60を備えたガスタービン燃焼器3を用いれば、低質油燃料200aを燃焼させた場合でも発生する煤煙濃度の上限値の濃度W'は環境規制を満足する環境規制値W未満の値にまで低減させることが可能となる。
【0112】
図5を用いて本発明の実施例のガスタービン燃焼器3に備えた燃料噴霧バーナ60で低質油燃料200aを燃焼させた場合の煤塵低減効果を説明する。
【0113】
図5は液体燃料と噴霧空気との流量比と、燃焼で発生する煤塵濃度の関係を調べた実験結果を示す概念図である。横軸は、液体燃料である低質油燃料200aの流量F(kg/s)に対する噴霧空気103aと内部噴霧空気104aとの噴霧空気の合計流量A0(kg/s)との比F/A0を表し、縦軸は発生する煤塵濃度比を表す。
【0114】
図5において、液体燃料と噴霧空気との流量比F/A0の値が大きいことは噴霧空気の合計流量が燃料流量に比べて相対的に少ないことを意味し、例えば液体燃料が噴霧される噴霧域中心部となる燃焼室3aの軸心で酸素濃度が低い場合にはF/A0は大きい値となっている。
【0115】
図5に示した実験結果から理解できるように、液体燃料と噴霧空気との流量比F/A0の値が小さくなると、発生する煤塵濃度が減少することがわかる。例えば、F/A0の値が1.0から0.6に約40%小さくなると、煤塵濃度は1.0から0.5に約50%低減される。
【0116】
したがって、本発明の実施例であるガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60では、内部噴霧空気104を供給することにより、F/A0の値を小さくできるため、その結果、発生する煤塵が低減される。
【0117】
液体燃料と噴霧空気との流量比F/A0の値は約0.9以下の範囲に設定するのが望ましく、F/A0の値を前記の範囲に設定した場合に発生する煤煙濃度比は約0.9以下に低減させることが可能となる。
【0118】
また、本発明の実施例における燃料噴霧バーナを備えたガスタービン燃焼器では、燃料噴霧バーナ60のノズルに前述したように旋回器90、91、92を設置して、流下する低質油燃料200a、噴霧空気103a及び内部噴霧空気104aにそれぞれ旋回速度を与えることで、低質油燃料200a、噴霧空気103a及び内部噴霧空気104aの流れ方向速度に加えてそれぞれの旋回速度が付加されるため、低質油燃料200aと噴霧空気とが接している気液界面で噴霧空気103a及び内部噴霧空気104aの供給によるせん断速度が大きくなり、この低質油燃料200aの微粒化を一層促進させることができる。
【0119】
この結果、本実施例の燃料噴霧バーナを備えたガスタービン燃焼器で低質油燃料200aを燃焼させた場合でも、発生する煤塵の濃度を一段と低減させることが可能となる。
【0120】
上記した本発明の実施例によれば、残留炭素を多く含む低質油を燃料として使用した場合に、低質油が燃焼する際の煤塵の発生を抑制することが可能なバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法を実現することができる。
【実施例2】
【0121】
次に本発明の他の実施例である燃料噴霧バーナを備えたガスタービン燃焼器を有するガスタービンプラントについて、図6を用いて説明する。
【0122】
図6に示した本実施例のバーナを備えたガスタービン燃焼器3の構成は、図1乃至図5に示した先の実施例のバーナを備えたガスタービン燃焼器3の構成と基本構成が共通しているので、本実施例では両者に共通した構成の説明は省略して相違した構成についてのみ以下に説明する。
【0123】
図6の本実施例のガスタービン燃焼器3において、燃料噴霧バーナ60からガスタービン燃焼器3の燃焼室3aに供給される低質油燃料200aを微粒化する噴霧空気は、圧縮機2から抽気された抽気空気105aを抽気空気系統105を通じて導き、この抽気空気系統105から分岐した一方を噴霧空気系統103に連通し、分岐した抽気空気105aの一方を該噴霧空気系統103を通じてガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60に噴霧空気103aとして供給している。
【0124】
また、この抽気空気系統105から分岐した他方を内部空気噴霧系統104に連通し、分岐した抽気空気105aの他方を該内部空気噴霧系統104を通じてガスタービン燃焼器3の燃料噴霧バーナ60の軸心側に内部噴霧空気104aとして供給している。
【0125】
この抽気空気系統105の途中には噴霧空気となる抽気空気105aを加圧する昇圧圧縮機7と、該昇圧圧縮機7で昇圧された抽気空気105aの圧力を調節する噴霧空気圧力調節弁300が設置されている。
【0126】
また、内部空気噴霧系統104には該内部空気噴霧系統104を通じて内部噴霧空気ノズル22に供給される内部噴霧空気104aの圧力を調節する噴霧空気圧力調節弁16が設置されている。
【0127】
噴霧空気103aと内部噴霧空気104aとの流量配分は、圧力バランスによって決定される。燃料噴霧バーナ60の上流側で抽気空気105aを噴霧空気103aと内部噴霧空気104aとに分配する分岐位置が存在しているが、燃料噴霧バーナ60の内部で抽気空気105aを噴霧空気103aと内部噴霧空気104aとに分配する分岐位置が存在するようにした燃料噴霧バーナ60の構造であってもよい。
【0128】
尚、図6に示した実施例では、内部空気噴霧系統104に設置した噴霧空気圧力調節弁16によって内部噴霧空気ノズル22から噴出される内部噴霧空気104aの圧力を調節できるので、液体燃料ノズル20から燃焼室3aに噴霧される低質油燃料200aの微細化に更に寄与することが可能となる。
【0129】
噴霧空気供給系統を空気噴霧系統103と噴霧空気圧力調節弁16を設置した内部空気噴霧系統104とに分岐したことにより、噴霧空気103aと内部噴霧空気104aの供給流量をそれぞれ別々に制御できるため、両者の流量比を様々な値に設定することが可能である。
【0130】
そのため、両者の流量比を低質油燃料200aを燃焼させた場合に発生する煤塵の低減に効果があるような範囲に設定すれば、煤塵をより容易に低減することができる。
【0131】
上記した本発明の実施例によっても、残留炭素を多く含む低質油を燃料として使用した場合に、低質油が燃焼する際の煤塵の発生を抑制することが可能なバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法を実現することができる。
【実施例3】
【0132】
次に本発明の更に他の実施例であるガスタービン燃焼器に備えたバーナについて、図7を用いて説明する。
【0133】
図6に示した本実施例のバーナを備えたガスタービン燃焼器3の構成は、図1乃至図5に示した先の実施例のバーナを備えたガスタービン燃焼器3の構成と基本構成が共通しているので、本実施例では両者に共通した構成の説明は省略して相違した構成についてのみ以下に説明する。
【0134】
図7は、本実施例のガスタービン燃焼器3に備えた燃料噴霧バーナ60の液体燃料ノズル20の近傍を燃焼室側から見た正面図である。本実施例では、ガスタービン燃焼器3に備えた燃料噴霧バーナ60の内部に配設された液体燃料ノズル20の内側を低質油燃料200aが流下し、この液体燃料ノズル20の内周側に同心状に配設された内部噴霧空気ノズル22の内側を内部噴霧空気104aが流下する。
【0135】
また、この液体燃料ノズル20の外周側には同心状に配設された噴霧空気ノズル21の内側を噴霧空気103aが流下する。
【0136】
さらに、先の実施例のガスタービン燃焼器3に備えた燃料噴霧バーナ60の構造と同様に、液体燃料ノズル20、噴霧空気ノズル21及び内部噴霧空気ノズル22の各流路内に前記旋回器90、91、92をそれぞれ設けて各流路を流れる流体に旋回流となる旋回速度を与えるように機能している。
【0137】
この燃料噴霧バーナ60に設置された前記旋回器90、91、92の構造は、液体燃料ノズル20を流下する低質油燃料200aの旋回速度方向70に対して、内部噴霧空気ノズル22を流下する内部噴霧空気104aの旋回速度方向72、及び噴霧空気ノズル21を流下する噴霧空気103aの旋回速度方向71がそれぞれ逆方向となるようにそれぞれ形成されている。
【0138】
上記した旋回器90、91、92を有する構造の燃料噴霧バーナ60をガスタービン燃焼器3に備え、低質油燃料200aの旋回速度方向70に対して内部噴霧空気104a及び噴霧空気103aの旋回速度方向をそれぞれ逆方向に旋回させることによって、燃料噴霧バーナ60から噴出される低質油燃料200aと噴霧空気とが接する気液界面に対する噴霧空気103a及び内部噴霧空気104aによるせん断速度が大きくなるため、低質油燃料200aの微粒化が促進される。
【0139】
この結果、前記燃料噴霧バーナ60から燃焼室3aに噴霧した低質油燃料200aを燃焼させた場合に発生する煤塵の濃度を大幅に抑制させることができる。
【0140】
尚、この燃料噴霧バーナ60による低質油燃料200aの微粒化促進には、内部噴霧空気104aの旋回速度方向72の速度、及び噴霧空気103aの旋回速度方向71の速度は、液体燃料200aの旋回速度方向70の速度よりも共に大きくなるように設定するのが望ましい。
【0141】
また、低質油燃料200aの旋回速度方向70に対して内部噴霧空気104a及び噴霧空気103aの旋回速度方向をそれぞれ逆方向に旋回させるのは、低質油燃料200aと噴霧空気103aとの間、もしくは低質油燃料200aと内部噴霧空気104aとの間のどちらか一方であっても煤塵濃度を低減させる効果がある。
【0142】
上記した本発明の実施例によっても、残留炭素を多く含む低質油を燃料として使用した場合に、低質油が燃焼する際の煤塵の発生を抑制することが可能なバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法を実現することができる。
【産業上の利用可能性】
【0143】
本発明は、軽油やA重油などの液体燃料よりも残留炭素を多く含む低質油をガスタービン燃料として用いる際に発生しやすい煤塵を低減するバーナを備えたガスタービン燃焼器及びガスタービン燃焼器に備えたバーナの噴霧空気供給方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0144】
【図1】本発明の一実施例であるバーナを備えたガスタービン燃焼器を有するガスタービンプラントの概略図。
【図2】図1に示した本発明の一実施例であるガスタービン燃焼器に設置されるバーナの構造を示す側断面の拡大図。
【図3】低質油に含まれる残留炭素濃度と、この残留炭素濃度の違いによって発生する煤塵濃度との関係、並びに本発明の実施例による煤塵濃度をそれぞれ示した特性図。
【図4】図1に示した本発明の一実施例であるガスタービン燃焼器に設置されるバーナの液体燃料ノズル近傍を燃焼室側から見た正面図。
【図5】本発明の一実施例であるバーナを備えたガスタービン燃焼器による低質油の煤塵低減効果を示す説明図。
【図6】本発明の他の実施例であるバーナを備えたガスタービン燃焼器を有するガスタービンプラントの概略図。
【図7】本発明の更に他の実施例であるガスタービン燃焼器に設置されるバーナの液体燃料ノズル近傍を燃焼室側から見た正面図。
【符号の説明】
【0145】
1:ガスタービン発電プラント、2:圧縮機、3:ガスタービン燃焼器、3a:燃焼室、4:タービン、6:発電機、7:昇圧圧縮機、8:起動用モータ、10:外筒、11:燃焼器ライナ、15、16:流量調整弁、17:空気旋回器、18:バーナ端面、20:液体燃料ノズル、20a:液体燃料ノズル噴出口、21:噴霧空気ノズル、21a:噴霧空気ノズル噴出口、22:内部噴霧空気ノズル、22a:内部噴霧空気ノズル噴出口、60:燃料噴霧バーナ、70〜72:旋回速度方向、81:火炎、90、91、92:旋回器、101a:吸入空気、102:燃焼用空気系統、102a:燃焼用空気、103:空気噴霧系統、103a:噴霧空気、104:内部空気噴霧系統、104a:内部噴霧空気、105:抽気空気系統、105a:抽気空気、110a:燃焼ガス、111a:排気ガス、200a:低質油燃料、300:圧力調整弁、L、L:気液界面、W:環境規制値、WB':上限の煤塵濃度W

【特許請求の範囲】
【請求項1】
低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器において、前記バーナは低質油燃料を前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する液体燃料ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの外周側に配設され噴霧空気の一部を噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する噴霧空気ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの内周側に配設され噴霧空気の一部を内部噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する内部噴霧空気ノズルとを備えたことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器。
【請求項2】
低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器において、前記バーナは低質油燃料を前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する液体燃料ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの外周側に配設され噴霧空気の一部を噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する噴霧空気ノズルと、前記液体燃料ノズルの軸心に沿って該液体燃料ノズルの内周側に配設され噴霧空気の一部を内部噴霧空気として前記ガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射する内部噴霧空気ノズルとを備え、前記液体燃料ノズル、噴霧空気ノズル及び内部噴霧空気ノズルのうち少なくとも1つのノズルの内部に、そのノズルの内部を流下する流体に旋回速度を与える旋回器を設置したことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載したバーナを備えたガスタービン燃焼器において、圧縮機から抽気された抽気空気を前記バーナに備えた噴霧空気ノズルに供給する空気噴霧系統と、同じく圧縮機から抽気された抽気空気を前記バーナに備えた内部噴霧空気ノズルに供給する内部空気噴霧系統とを配設したことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載したバーナを備えたガスタービン燃焼器において、圧縮機から抽気された抽気空気を導く抽気空気系統と、この抽気空気系統から分岐して前記バーナに備えた噴霧空気ノズルに分岐した一方の抽気空気を供給する空気噴霧系統と、同じく抽気空気系統から分岐して前記バーナに備えた内部噴霧空気ノズルに分岐した他方の抽気空気を供給する内部空気噴霧系統とを配設したことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載したバーナを備えたガスタービン燃焼器において、前記バーナの内部に設けた前記液体燃料ノズルの先端から低質油燃料を噴霧する燃料噴霧ノズル噴出口の位置と、内部噴霧空気ノズルの先端から内部噴霧空気を噴霧する内部噴霧空気ノズル噴出口の位置とを、それぞれ前記噴霧空気ノズルの先端から噴霧空気を噴霧する噴霧空気ノズル噴出口の位置よりもバーナの軸方向内側に位置するように離間させて両者の間に低質油燃料を微細化する空間部を形成させたことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器。
【請求項6】
請求項2に記載したバーナを備えたガスタービン燃焼器において、前記旋回器は前記液体燃料ノズルの内部と、前記噴霧空気ノズル及び内部噴霧空気ノズルのうち少なくとも一方の内部にそれぞれ設置させ、前記液体燃料ノズルに設置した該旋回器と前記噴霧空気ノズル及び内部噴霧空気ノズルのうち少なくとも一方に設置した該旋回器では、流下する流体に与える旋回速度の方向が互いに逆方向となるように前記旋回器を形成したことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器。
【請求項7】
低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法において、前記バーナに備えた液体燃料ノズルに低質油燃料を流下させてこの液体燃料ノズルの先端から前記低質油燃料を噴射させ、前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの内周側に配設された内部噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部となる内部噴霧空気を流下してこの内部噴霧空気ノズルの先端から前記内部噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した低質油燃料が前記内部噴霧空気の噴流の外周側に環状の低質油燃料の噴流を形成するようにし、前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの外周側に配設された噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部を噴霧空気として流下させてこの噴霧空気ノズルの先端から前記噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した環状に形成された低質油燃料の噴流を微細化し、この微細化した低質油燃料の噴流を前記バーナの先端からガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させることを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法。
【請求項8】
低質油燃料を噴霧空気と共にガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させるバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法において、前記バーナに備えた液体燃料ノズルに低質油燃料を流下させると共にこの流下する低質油燃料に旋回速度を与えて前記液体燃料ノズルの先端から旋回速度を付与した低質油燃料を噴射させ、前記前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの内周側に配設された内部噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部となる内部噴霧空気を流下させると共にこの流下する内部噴霧空気に旋回速度を与えて前記内部噴霧空気ノズルの先端から旋回速度を付与した内部噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した低質油燃料が前記内部噴霧空気の噴流の外周側に環状の低質油燃料の噴流を形成するようにし、前記バーナに備えられて液体燃料ノズルの外周側に配設された噴霧空気ノズルに噴霧空気の一部を噴霧空気として流下させると共にこの流下する噴霧空気に旋回速度を与えて前記噴霧空気ノズルの先端から旋回速度を付与した噴霧空気を噴射させて前記液体燃料ノズルの先端から噴射した環状に形成された低質油燃料の噴流を微細化し、この微細化した低質油燃料の噴流を前記バーナの先端からガスタービン燃焼器の燃焼室に噴射して燃焼させることを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法。
【請求項9】
請求項8に記載したバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法において、前記液体燃料ノズルによって低質油燃料の噴流に付与された旋回速度の方向と、前記内部噴霧空気ノズルによって内部噴霧空気の噴流に付与された旋回速度の方向、及び前記噴霧空気ノズルによって噴霧空気の噴流に付与された旋回速度の方向とが互いに逆方向となるようにこれらの噴流に旋回速度を付与したことを特徴とするバーナを備えたガスタービン燃焼器の噴霧空気供給方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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