説明

バーナ装置及びこれを備えた媒体加熱装置

【課題】 高負荷燃焼時においては燃焼用空気の流速分布が不均一であっても燃焼プレートでの保炎を良好に保つことができるバーナ装置を提供すること。
【解決手段】 燃料用ガスと燃焼用空気とを混合するための混合部20と、複数の炎孔18を有する燃焼プレート16と、混合部20に燃料用ガスを供給するための燃料用ガス供給手段24と、混合部20に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気供給手段50と、を備えたバーナ装置。混合部20は複数の混合ユニット28から構成され、各混合ユニット28は燃焼プレート16に向けて延びる第1及び第2混合流路30,32と、第1混合流路30に配設された燃料噴出ノズル42とを備えている。第1及び第2混合流路30,32は仕切壁38,40により仕切られ、仕切壁38,40には燃料噴出ノズル42のガス噴出口44に対応してガス供給孔46が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯器などに適用されるバーナ装置及びこれを備えた媒体加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器、ボイラ、加熱炉、ストーブなどの燃焼装置においては、燃料用ガスを燃料として用いるバーナ装置が広く用いられている。このバーナ装置の一例として、全一次空気式バーナ装置が知られている。この全一次バーナ装置は、混合室を有するバーナ本体と、複数の炎孔を有する燃焼プレートと、混合室に燃料用ガスを供給するための燃料用ガス供給手段と、混合室に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気供給手段と、を備え、燃焼プレートはフェルト状金属繊維板、多孔質セラミック板、多数の炎孔(例えば円形状孔)を設けた金属プレートなどから構成される。
【0003】
このような全一次空気式バーナ装置においては、燃料用ガス供給手段からの燃料用ガスと燃焼用空気供給手段からの燃焼用空気とが混合室内で実質上均一に混合され、均一に混合された混合ガス(燃料用ガスと燃焼用空気とが混合したガス)が燃焼プレートの多数の炎孔から噴出して燃焼する。
【0004】
この種の全一次空気式バーナ装置では、予混合燃焼である高空気比燃焼(平均の空気比が1以上である燃焼)が実現できるために、燃焼の低NOx化を図ることができるとともに、バーナ装置自体の構造が簡単になるために、バーナ装置のコンパクト化を図ることができる。
【0005】
しかし、燃料用ガスと燃焼用空気とを予め均一に混合した高空気比混合ガスを小さい炎孔から噴出させて燃焼させるために、燃焼プレート表面の燃焼面上に形成される各火炎(各炎孔から噴出する混合ガスの燃焼による火炎)の空気比が実質上等しく、それ故に、各火炎のバランスが揃って互いに干渉して燃焼振動が発生し易く、この燃焼振動による共鳴音が発生し易くなる。
【0006】
このような燃焼振動の発生を抑えるために、バーナ本体の混合室における燃料用ガスと燃焼用空気との混合状態が不均一になるように構成したバーナ装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このバーナ装置では、燃焼プレートの複数の炎孔から噴出する混合ガスの空気比にムラが存在し、それ故に、燃焼プレートの燃焼面上に形成される火炎が不均一になり、各火炎の固有の振動周波数が異なるようになる。従って、燃焼火炎が相互に干渉することがなく、これによって、燃焼振動の発生が抑えられ、燃焼振動による共鳴音の発生を防止することができる。
【0007】
【特許文献1】特開2002−286207号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、空気比ムラを存在させた全一次空気式バーナ装置においては、高負荷燃焼時に燃焼用空気の流速分布が不均一であると、燃焼用空気の流速が速い領域では空気流量自体も多くなり、それ故に、この領域における混合ガスの濃度が相対的に薄くなる(空気比が高くなる)。また、燃焼用空気の流速が速い領域では燃焼プレートの炎孔から噴出する混合ガスの噴出流速も速くなり、これらのことに起因して、燃焼プレートでの火炎の保炎が難しくなる。また、低負荷燃焼時では燃料用ガスの供給を絞るとともに、これに合わせて燃焼用空気の供給量を絞るために、燃焼プレートの炎孔から噴出する混合ガスの流速が遅くなる。このように流速が遅くなると、各炎孔の火炎が燃焼プレートに近づき、燃焼プレートの温度が高くなり、その表面が赤熱する傾向になる。
【0009】
この高負荷燃焼時の保炎に関する問題を解消するためには、混合室内に整流板を配設する、混合室内に整流部を設けるなどすればよいが、整流板を設けるように構成した場合、整流板が抵抗となるために、燃焼用空気供給手段を構成する空気供給ファンの駆動動力が増大し、バーナ装置としての総合的な効率が低下するという問題が生じる。また、整流部を設けるように構成した場合、全一次空気式バーナ装置の長所であるコンパクト性が損なわれる。また、低負荷燃焼時の燃焼プレートの赤熱に関する問題を解消するためには、燃焼用空気の供給量を幾分増大して各炎孔の火炎を燃焼プレートから離すようにすればよいが、このようにした場合、混合ガスの空気比が高くなり(燃料用ガスが薄くなる)、混合ガスの燃焼が不安定になるという問題が生じる。
【0010】
本発明の目的は、高負荷燃焼時においては燃焼用空気の流速分布が不均一であっても燃焼プレートでの保炎を良好に保つことができるとともに、低負荷燃焼時においては燃焼プレート表面の赤熱を回避しながら安定して燃焼させることができるバーナ装置を提供することである。
【0011】
また、本発明の他の目的は、低負荷燃焼から高負荷燃焼にわたって安定して燃焼して媒体を加熱することができる媒体加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に記載のバーナ装置は、燃料用ガスと燃焼用空気とを混合するための混合部と、複数の炎孔を有する燃焼プレートと、前記混合部に燃料用ガスを供給するための燃料用ガス供給手段と、前記混合部に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気供給手段と、を備え、前記燃料用ガス供給手段から供給される燃料用ガスと前記燃焼用空気供給手段から供給される燃焼用空気とが前記混合部にて混合され、この混合された混合ガスが前記燃焼プレートの前記複数の炎孔から噴出して燃焼するバーナ装置であって、
前記混合部は所定方向に並設された複数の混合ユニットから構成され、前記複数の混合ユニットの各々は、それぞれ、前記燃焼プレートに向けて流れる燃焼用空気に燃料用ガスを混合するための第1及び第2混合流路と、燃料用ガスを噴出するためのガス噴出口を有する燃料噴出ノズルとを備えており、
各混合ユニットの前記第1及び第2混合流路は仕切壁を介して相互に隣接して設けられ、前記燃料噴出ノズルは前記第1混合流路に配設され、前記仕切壁には前記燃料噴出ノズルの前記ガス噴出口に対応してガス供給孔が設けられており、
高負荷燃焼時には、前記燃料噴出ノズルの前記ガス噴出口から噴出される燃料用ガスの噴出量が多く、前記ガス噴出口からの燃料用ガスの噴出量の多くが前記仕切壁の前記ガス供給孔を通して前記第2混合流路に供給され、また低負荷燃焼時には、前記燃料噴出ノズルの前記ガス噴出口から噴出される燃料用ガスの噴出量が少なく、前記ガス噴出口からの燃料用ガスの噴出量の多くが前記第1混合流路に供給されることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載のバーナ装置は、請求項1に記載のバーナ装置と、前記バーナ装置の前記燃焼プレートの前記複数の炎孔における混合ガスの燃焼によって生成される燃焼ガスが流れる燃焼ガス流路と、熱を受ける受熱媒体が流れる受熱管と、を備え、前記受熱管が前記燃焼ガス流路内に配設され、前記燃焼ガス流路を流れる燃焼ガスと前記受熱管を流れる受熱媒体との間で熱交換が行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載のバーナ装置によれば、バーナ本体の混合部は複数の混合ユニットから構成され、各混合ユニットは、燃焼用空気に燃料用ガスを混合するための第1及び第2混合流路と、燃料用ガスを噴出するためのガス噴出口を有する燃料噴出ノズルとを備え、燃料噴出ノズルが第1混合流路に配設され、燃料噴出ノズルのガス噴出口からの燃料用ガスは、第1及び第2混合流路を流れる燃焼用空気とガス噴出口から噴出される燃料用ガスとの運動エネルギーを利用して第1及び第2混合流路に分配供給されるように構成されている。
【0015】
高負荷燃焼時においては、燃料噴出ノズルのガス噴出口から噴出される燃料用ガスの噴出量が多く、その運動エネルギーは大きいために、燃料用ガスの噴出量の多くが仕切壁のガス供給孔を通して第2混合流路に供給される。従って、混合ユニットの第2混合流路を通して炎孔から噴出される混合ガスの空気比と混合ユニットの第1混合流路を通して炎孔から噴出される混合ガスの空気比とに差異が生じるようになる。その結果、燃焼プレートの燃焼火炎の相互干渉が抑えられ、相互干渉による燃焼振動の発生を防止することができる。
【0016】
また、この高負荷燃焼時において燃焼用空気の流速分布が不均一になって一部の混合ユニットにおいて燃焼用空気の流量が幾分多くなったときには、この混合ユニット(第1混合流路及び第2混合流路)を流れる燃焼用空気の流速が幾分速くなり、燃焼プレートの炎孔から噴出する混合ガスの流速も幾分速くなり、炎孔における燃焼火炎の保炎がし難い状態となる。この状態においては、第1混合流路を流れる燃焼用空気の流速が幾分速く、この燃焼用空気の運動エネルギーも、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態と比較して、幾分大きくなっている。このような状態にあるので、燃焼用空気の流量が幾分多い状態は、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態に比して、燃料噴出ノズルのガス噴出口から噴出される燃料用ガスは、第1混合流路へ幾分多く分配されるようになる。その結果、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態に比して、第1混合流路における混合ガスの空気比が幾分低くなり(燃料用ガスの濃度が幾分高くなる)、第1混合流路の炎孔から噴出する混合ガスの流速が幾分速いにもかかわらず、この第1混合流路の炎孔から噴出する混合ガスの燃焼火炎は安定し、この安定した燃焼火炎でもって、第2混合流路の炎孔から噴出する混合ガスの燃焼火炎を安定させることができる。また、この高負荷燃焼時において燃焼用空気の流速分布が不均一になって一部の混合ユニットにおいて燃焼用空気の流量が幾分少なくなったときには、この混合ユニット(第1混合流路及び第2混合流路)を流れる燃焼用空気の流速が幾分遅くなり、燃焼プレートの炎孔から噴出する混合ガスの流速も幾分遅くなり、炎孔における燃焼火炎の保炎がし易い状態となる。この状態においては、第1混合流路を流れる燃焼用空気の流速も幾分遅く、この燃焼用空気の運動エネルギーも、燃焼用空気の流量が幾分多い状態と比較して、幾分小さくなっている。このような状態にあるので、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態は、燃焼用空気の流量が幾分多い状態に比して、燃料噴出ノズルのガス噴出口から噴出される燃料用ガスは、第1混合流路へ幾分少なく分配されるようになる。その結果、燃焼用空気の流量が幾分多い状態に比して、第1混合流路における混合ガスの空気比が幾分高くなる(燃料用ガスの濃度が幾分低くなる)が、第1混合流路の炎孔から噴出する混合ガスの流速が幾分遅いために、このような状態においても第1混合流路の炎孔から噴出する混合ガスの燃焼火炎は安定し、この安定した燃焼火炎でもって、第2混合流路の炎孔から噴出する混合ガスの燃焼火炎を安定させることができる。このように高負荷燃焼時に燃焼用空気の流速分布が不均一になったとしても、燃焼プレートの炎孔から噴出する混合ガスの燃焼火炎を安定させることができる。
【0017】
更に、低負荷燃焼時には、燃焼用空気の流量を絞り過ぎずに幾分多めに設定した状態にて燃料用ガスの供給量を絞るようになる。このような供給状態では、燃料噴出ノズルのガス噴出口から噴出される燃料用ガスの噴出量が少なくてその運動エネルギーが小さく、また第1混合流路を流れる燃焼用空気の運動エネルギーも小さいが、燃焼用空気の流量は絞り過ぎずに幾分多めに設定されているので、ガス噴出口からの燃料用ガスの噴出量の比較的多く(この場合、噴出量の大部分)が第1混合流路に供給される。その結果、第1混合流路の混合ガスの空気比が高く(燃料用ガスの濃度が薄く)なり過ぎず、この混合ガスの燃焼を安定させることができる。また、このときには、燃焼用空気の流量が少なくて燃焼プレート表面が赤熱する傾向にあるが、燃焼用空気の流量が幾分多めに設定されているために、燃焼火炎が燃焼プレートから離れ、安定した燃焼状態を保ちながらこの赤熱の発生を回避することができる。
【0018】
また、本発明の請求項2に記載の媒体加熱装置によれば、上述したバーナ装置を備えているので、高負荷燃焼時には燃焼用空気の流速分布が不均一になったとしても、良好な保炎状態を保って燃焼プレートでの燃焼火炎を安定させることができ、また低負荷燃焼時には燃焼プレートの赤熱を回避しながら燃焼火炎を安定させることができ、燃焼火炎が安定した媒体加熱装置を提供することができる。尚、この媒体加熱装置は例えば給湯器であり、この場合、受熱媒体は例えば水(水道水)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して、本発明に従うバーナ装置及びこれを備えた媒体加熱装置について説明する。図1は、本発明に従うバーナ装置を一部切り欠いて示す断面図であり、図2は、図1のバーナ装置を示す平面から見た断面図であり、図3は、図1のバーナ装置における一つの混合ユニット及びその近傍を示す断面図であり、図4は、低負荷燃焼時の混合ユニットの燃料用ガスの流れを説明するための断面図であり、図5は、高負荷燃焼時の燃焼用空気の流量が幾分多いときの混合ユニットにおける燃料用ガスの流れを説明するための断面図であり、図6は、高負荷燃焼時の燃焼用空気の流量が幾分少ないときの混合ユニットにおける燃料用ガスの流れを説明するための断面図であり、図7は、図1のバーナ装置を備えた媒体加熱装置を一部切り欠いて示す正面断面図である。
【0020】
図1及び図2において、図示のバーナ装置2は方形枠状のバーナ本体4を備え、バーナ本体4は矩形状の底壁6及びこの底壁6から上方に延びる4側壁8,10,12,14を有し、このバーナ本体4の上端部(4側壁8,10,12,14の上端部)に燃焼プレート16が設けられている。燃焼プレート16は例えば金属プレートから構成され、その実質上全域に複数の小さい炎孔18が設けられている。これら炎孔18は、例えば円形状、楕円形状などの適宜の形状でよく、例えば打抜き加工などで形成することができる。
【0021】
この実施形態では、バーナ本体4内の上部に燃料用ガスと燃焼用空気とを混合するための混合部20が設けられ、バーナ本体4の下部(混合部20の下側)には、混合部20に向けて燃焼用空気が流れる空気流路部22が設けられている。またバーナ本体4の底壁6には、燃焼用空気供給手段24を構成する送風ファン26が取り付けられ、かかる送風ファン26からの空気(燃焼用空気として利用される)がバーナ本体4の底壁6に設けられた供給開口(図示せず)を通して流入し、かく流入した燃焼用空気は空気流路部22を通して混合部20に送給される。
【0022】
この実施形態では、混合部20は複数(図示の例では、6個)の混合ユニット28から構成されている。混合ユニット28はバーナ本体4内に所定方向(図1及び図2において左右方向)に並設して設けられ、これら混合ユニット28にて燃料用ガスと燃焼用空気とが後述する如く混合され、かく混合された混合ガスが燃焼プレート16の複数の炎孔18から噴出される。複数の混合ユニット28は実質上同一の構成であり、図3をも参照して、これら混合ユニット28の一つについて説明する。
【0023】
図示の混合ユニット28は、少なくとも一つの第1混合流路30と、この第1混合流路30に隣接して並設された少なくとも一つの第2混合流路32とを有し、図示の形態では、第1混合流路30の両側に第2混合流路32が配設されている。各混合ユニット28は一対のユニット壁34,36と、一対のユニット壁34,36の内側に配設された一対の仕切壁38,40を備え、一対の仕切壁38,40の間に第1混合流路30が規定され、片側(図1〜図3において左側)のユニット壁34(図1及び図2において左端に位置する混合ユニット28においては、バーナ本体4の側壁14をこのユニット壁として用いるようにしてもよい)と片側の仕切壁38との間に一方の第2混合流路32が規定され、他側(図1〜図3において右側)のユニット壁36(図1及び図2において右端に位置する混合ユニット28においては、バーナ本体4の側壁10をこのユニット壁として用いるようにしてもよい)と他側の仕切壁40との間に他方の第2混合流路32が規定されている。これら第1及び第2混合流路30,32の上流端(下端)は空気流路部22に連通しており、それらの下流端(上端)には燃焼プレート16が設けられ、混合ユニット28の第1及び第2混合流路30,32に対応して複数の炎孔18が設けられている。この形態では、燃焼プレート16の第1混合流路30を覆う部位には炎孔18a(図3参照)が設けられ、炎孔18aは第1混合流路30の奥行き方向(図1において左下から右上の方向、図2において上下方向、図3において紙面に垂直な方向)に間隔をおいて複数設けられている。また、燃焼プレート16の第2混合流路32を覆う部位には炎孔18b(図3参照)が設けられ、炎孔18bは第2混合流路32の奥行き方向に間隔をおいて複数設けられている。
【0024】
各混合ユニット28の第1混合流路30には、燃料用ガスが噴出する燃料噴出ノズル42が配設されている。燃料噴出ノズル42は例えば断面形状が矩形状の筒状部材から構成され、一対の仕切壁38,40間を仕切壁38,40に沿って実質上平行に奥行き方向に延び、その先端は閉塞されている。燃料噴出ノズル42は第1混合流路30の上流部に配置され、一対の仕切壁38,40に対向する側壁部43にガス噴出口44が設けられ、かかるガス噴出口44は燃料噴出ノズル42の長手方向(即ち、第1混合流路30の奥行き方向)に間隔をおいて複数設けられている。燃料噴出ノズル42は、断面形状が円形状、楕円形状などの適宜の形状でよく、またガス噴出口44も、円形状、楕円形状などの適宜の形状でよい。
【0025】
燃料噴射ノズル42の各ガス噴出口44に対応して、一対の仕切壁38,40の所定部位にはガス供給孔46が設けられている。即ち、燃料噴出ノズル42の片側(図3において左側)に設けられた各ガス噴出口44に対応して、片側の仕切壁38の各ガス噴出口44に対向する部位にガス供給孔46が設けられ、また燃料噴出ノズル42の他側(図3において右側)に設けられた各ガス噴出口44に対応して、他側の仕切壁40の各ガス噴出口44に対向する部位にガス供給孔46が設けられている。各ガス供給孔46の大きさは燃料噴出ノズル42のガス噴出口44の大きさよりも大きく、これらガス噴出口44から後述する如く噴出された燃料用ガスは、ガス供給孔46を通して第2混合流路32に流れ易くなっている。
【0026】
バーナ本体4の側壁8の外側には、燃料用ガス供給手段50を構成するガス供給管52が設けられ、ガス供給管52はバーナ本体4の横方向(図1及び図2において左右方向である幅方向)に延びている。各混合ユニット28に配設された燃料噴出ノズル42の一端側はバーナ本体4の側壁8を貫通してガス供給管52内に連通され、ガス供給管52はガスボンベ、ガス埋設管などのガス供給源に接続され、ガス供給源からの燃料用ガス(例えば、都市ガス、LPガスなど)が、矢印54で示すように、ガス供給管52を通して各混合ユニット28の燃料噴出ノズル42に供給される。
【0027】
次に、主として図1とともに図4〜図6を参照して、上述したバーナ装置2の燃焼について説明する。バーナ装置2を燃焼させるときには、ガス供給源(図示せず)からの燃料用ガスがガス供給管52に供給されるとともに、送風ファン26からの燃焼用空気がバーナ本体4の空気流路部22に供給される。ガス供給管52に供給された燃料は、各混合ユニット28の燃料噴出ノズル42に送給され、各燃料噴出ノズル42内を先端に向けて流れ、各燃料噴出ノズル44から噴出する。また、バーナ本体4の空気流路部22に供給された燃焼用空気は、各混合ユニット28の第1及び第2混合流路30,32に流れ、第1及び第2混合流路30,32を流れる燃焼用空気に、燃料噴出ノズル42からの燃料用ガスが噴出されて混合され、混合ユニット28の第1混合流路30にて混合された混合ガス(燃料用ガスと燃焼用空気とが混合されたガス)は燃焼プレート16の炎孔18aから噴出して燃焼され、燃料噴出ノズル42から仕切壁38,40のガス供給孔46を通して供給された燃料用ガスと第2混合流路32にて混合された混合ガスは燃焼プレート16の炎孔18bから噴出して燃焼される。
【0028】
このようなバーナ装置2においては、低負荷燃焼時、図4に示すような燃焼状態となる。図4において、この低負荷燃焼時では、燃焼用空気の流量が絞り過ぎずに幾分多めに設定され、このような状態にて燃料用ガスの供給量が絞られるようになる。このような状態では、燃料噴出ノズル42のガス噴出口44から噴出される燃料用ガスの噴出量が少なくてその運動エネルギーが小さく、また第1混合流路30を流れる燃焼用空気の運動エネルギーも小さいが、燃焼用空気の流量は絞り過ぎずに幾分多めに設定されているので、ガス噴出口44からの燃料用ガスの噴出量の大部分が第1混合流路30に供給され、仕切壁38,40のガス供給孔46を通して第2混合流路32に供給されることはほとんどない。従って、燃料噴出ノズル42からの燃料用ガスは第1混合流路30を流れる燃焼用空気に混合され、かく混合された混合ガスは燃焼プレート16の炎孔18aを通して噴出して燃焼される。この第1混合流路30の混合ガスは、絞り過ぎずに幾分多めに設定されているために、空気比が高く(燃料用ガスの濃度が薄く)なり過ぎず、この混合ガスを安定して燃焼させることができる。また、このときには、燃焼用空気の流量が少なくて燃焼プレート表面が赤熱する傾向にあるが、燃焼用空気の流量が幾分多めに設定されているために、燃焼火炎が燃焼プレートから離れ、安定した燃焼状態を保ちながらこの赤熱の発生を回避することができる。
【0029】
また、高負荷燃焼時においては、図5及び図6に示すような燃焼状態となる。高負荷燃焼時では、燃料噴出ノズル42のガス噴出口44から噴出される燃料用ガスの供給量が多く、その運動エネルギーが大きくなるために、これらガス噴出口44から噴出される燃料用ガスの噴出量の比較的多くが仕切壁38,40のガス供給孔46を通して第2混合流路32に供給される。従って、混合ユニット28の第2混合流路32を通して炎孔18bから噴出される混合ガスの空気比と、また混合ユニット28の第1混合流路30を通して炎孔18aから噴出される混合ガスの空気比とに差異が生じるようになる。その結果、燃焼プレート16の複数の炎孔18a,18bの火炎の燃焼状態が異なり、燃焼プレート16の燃焼火炎の相互干渉が抑えられ、相互干渉による燃焼振動の発生を防止することができる。
【0030】
この高負荷燃焼時において燃焼用空気の流速分布が不均一になって一部の混合ユニット28において燃焼用空気の流量が幾分多くなったときには、図5(a)に示す燃焼状態となる。図5(a)において、このような燃焼用空気の供給状態においては、混合ユニット28の第1及び混合流路30,32を流れる燃焼用空気の流速が幾分速くなり、燃焼プレート16の炎孔18a,18bから噴出する混合ガスの流速も幾分速くなり、炎孔18a,18bにおける燃焼火炎の保炎がし難い状態となる。このような状態においては、第1混合流路30を流れる燃焼用空気の流速が幾分速く、この燃焼用空気の運動エネルギーも、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態と比較して、幾分大きくなっている。このような状態にあるので、燃焼用空気の流量が幾分多い状態は、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態に比して、燃料噴出ノズル42のガス噴出口44から噴出される燃料用ガスは、第1混合流路30へ幾分多く分配されるようになる。その結果、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態に比して、第1混合流路30における混合ガスの空気比が幾分低くなり(燃料用ガスの濃度が幾分高くなる)、第1混合流路30の炎孔18aから噴出する混合ガスの流速が幾分速いにもかかわらず、この第1混合流路30の炎孔18aから噴出する混合ガスの燃焼火炎は安定し、この安定した燃焼火炎でもって、第2混合流路32の炎孔18bから噴出する混合ガスの燃焼火炎を安定させることができる。
【0031】
また、この高負荷燃焼時において燃焼用空気の流速分布が不均一になって一部の混合ユニット28において燃焼用空気の流量が幾分少なくなったときには、図6(a)に示す燃焼状態となる。図6(a)において、このような燃焼用空気の供給状態においては、混合ユニット28の第1及び第2混合流路30,32を流れる燃焼用空気の流速が幾分遅くなり、燃焼プレート16の炎孔18a,18bから噴出する混合ガスの流速も幾分遅くなり、炎孔18a,18bにおける燃焼火炎の保炎がし易い状態となる。この状態においては、第1混合流路30を流れる燃焼用空気の流速が幾分遅く、この燃焼用空気の運動エネルギーも、燃焼用空気の流量が幾分多い状態と比較して、幾分小さくなっている。このような状態にあるので、燃焼用空気の流量が幾分少ない状態は、燃焼用空気の流量が幾分多い状態に比して、燃料噴出ノズル42のガス噴出口44から噴出される燃料用ガスは、第1混合流路30へ幾分少なく分配されるようになる。その結果、燃焼用空気の流量が幾分多い状態に比して、第1混合流路30における混合ガスの空気比が幾分高くなる(燃料用ガスの濃度が幾分低くなる)が、第1混合流路30の炎孔18aから噴出する混合ガスの流速が幾分遅いために、このような状態においても第1混合流路30の炎孔18aから噴出する混合ガスの燃焼火炎は安定し、この安定した燃焼火炎でもって、第2混合流路32の炎孔18bから噴出する混合ガスの燃焼火炎を安定させることができる。
【0032】
上述したように、このバーナ装置4においては、高負荷燃焼時に燃焼用空気の流速分布が不均一になったとしても、燃焼プレート16の炎孔18a,18bから噴出する混合ガスの燃焼火炎を安定させることができる。
【0033】
上述したバーナ装置4は、例えば、図7に示す媒体加熱装置に適用することができる。図7において、給湯器の如き媒体加熱装置102には、上述したバーナ装置2が装備され、媒体加熱装置102の装置本体104の底部に取り付けられている。このバーナ装置2の構成は、上述したと同様であり、その説明を省略する。
【0034】
この装置本体104の前面上端部には排気口106が設けられ、装置本体104内には、バーナ装置2の燃焼により発生する燃焼ガスを排気口106に導く燃焼ガス流路108が設けられている。燃焼ガス流路108内には、所要の通りに湾曲した受熱管110が配設され、この受熱管110は、燃焼ガスとの間で熱交換する熱交換器112を構成する。この受熱管110を通して受熱媒体、例えば水(水道水)が矢印で示すように流れる。
【0035】
この媒体加熱装置102においては、バーナ装置2が燃焼すると、燃焼によって生成される燃焼ガスは燃焼ガス流路108を通して排気口106から外部に排出される。このとき、受熱媒体(例えば、水)は受熱管110を通して流れ、かく受熱管110を通して流れる間に、受熱管110を流れる受熱媒体と燃焼ガス流路108を流れる燃焼ガスとの間で熱交換が行われて加熱され、加熱された受熱媒体が受熱管110から排出さる。この媒体加熱装置102では、上述したバーナ装置2を備えているので、受熱媒体の加熱時における燃焼振動を抑え、燃焼共鳴音の発生を防止することができる。
【0036】
この媒体加熱装置102においては、バーナ装置2を下部に、熱交換器112を上部に配設した形態のものに適用して説明したが、これとは反対に、バーナ装置2を上部に、熱交換器112を下部に配設し、バーナ装置2を下向きに燃焼させる形態の媒体加熱装置にも同様に適用することができる。
【0037】
以上、本発明に従うバーナ装置及びそれを備えた媒体加熱装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0038】
例えば、上述した実施形態では、第1混合流路30の両外側に第2混合流路32を設けているが、このような構成に限定されず、第1混合流路30の片側に第2混合流路32を設けるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明に従うバーナ装置を一部切り欠いて示す断面図。
【図2】図1のバーナ装置を示す平面から見た断面図。
【図3】図1のバーナ装置における一つの混合ユニット及びその近傍を示す断面図。
【図4】低負荷燃焼時の混合ユニットの燃料用ガスの流れを説明するための断面図。
【図5】高負荷燃焼時の燃焼用空気の流量が幾分多いときの混合ユニットにおける燃料用ガスの流れを説明するための断面図。
【図6】高負荷燃焼時の燃焼用空気の流量が幾分少ないときの混合ユニットにおける燃料用ガスの流れを説明するための断面図。
【図7】図1のバーナ装置を備えた媒体加熱装置を一部切り欠いて示す正面断面図。
【符号の説明】
【0040】
2 バーナ装置
4 バーナ本体
16 燃焼プレート
18,18a,18b 炎孔
20 混合部
24 燃焼用空気供給手段
28 混合ユニット
30 第1混合流路
32 第2混合流路
34,36 ユニット壁
38,40 仕切壁
42 燃料噴出ノズル
44 ガス噴出口
46 ガス供給孔
50 燃料用ガス供給手段
102 媒体加熱装置
104 装置本体
108 燃焼ガス流路
110 受熱管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料用ガスと燃焼用空気とを混合するための混合部と、複数の炎孔を有する燃焼プレートと、前記混合部に燃料用ガスを供給するための燃料用ガス供給手段と、前記混合部に燃焼用空気を供給するための燃焼用空気供給手段と、を備え、前記燃料用ガス供給手段から供給される燃料用ガスと前記燃焼用空気供給手段から供給される燃焼用空気とが前記混合部にて混合され、この混合された混合ガスが前記燃焼プレートの前記複数の炎孔から噴出して燃焼するバーナ装置であって、
前記混合部は所定方向に並設された複数の混合ユニットから構成され、前記複数の混合ユニットの各々は、それぞれ、前記燃焼プレートに向けて流れる燃焼用空気に燃料用ガスを混合するための第1及び第2混合流路と、燃料用ガスを噴出するためのガス噴出口を有する燃料噴出ノズルとを備えており、
各混合ユニットの前記第1及び第2混合流路は仕切壁を介して相互に隣接して設けられ、前記燃料噴出ノズルは前記第1混合流路に配設され、前記仕切壁には前記燃料噴出ノズルの前記ガス噴出口に対応してガス供給孔が設けられており、
高負荷燃焼時には、前記燃料噴出ノズルの前記ガス噴出口から噴出される燃料用ガスの噴出量が多く、前記ガス噴出口からの燃料用ガスの噴出量の多くが前記仕切壁の前記ガス供給孔を通して前記第2混合流路に供給され、また低負荷燃焼時には、前記燃料噴出ノズルの前記ガス噴出口から噴出される燃料用ガスの噴出量が少なく、前記ガス噴出口からの燃料用ガスの噴出量の多くが前記第1混合流路に供給されることを特徴とするバーナ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のバーナ装置と、前記バーナ装置の前記燃焼プレートの前記複数の炎孔における混合ガスの燃焼によって生成される燃焼ガスが流れる燃焼ガス流路と、熱を受ける受熱媒体が流れる受熱管と、を備え、前記受熱管が前記燃焼ガス流路内に配設され、前記燃焼ガス流路を流れる燃焼ガスと前記受熱管を流れる受熱媒体との間で熱交換が行われることを特徴とする媒体加熱装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate