説明

バーナ

【課題】燃焼量の増減に対して燃焼用空気の流速を略一定に保つことによって、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができるバーナを提供すること。
【解決手段】燃料を噴射するノズル5,6と、送風手段から送られる燃焼用空気を前記ノズル5,6から噴射される燃料の周囲に供給する空気供給路3を備えるバーナ1において、前記空気供給路3に開口する複数のエア噴出口17に連通する複数の孔21が形成された回転板20と、該回転板20を回転駆動する駆動手段22と、該駆動手段22を制御する制御手段4を設け、燃焼負荷に応じて前記回転板20の回転角度を制御して前記空気供給路3のエア噴出口17の開口面積を調整するよう構成する。又、前記制御手段4は、前記空気供給路3のエア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう前記駆動手段22を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ボイラ等の燃焼機器に用いられるバーナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラ等の燃焼機器を運転する場合、複数の燃焼位置において燃焼量を段階的に変化させたり、或いは燃料供給量を無段階に制御して燃焼量を連続的に変化させて発停回数を抑制し、燃焼の安定化と省エネルギを実現することが行われている。
【0003】
ところで、燃焼量を変化させるためのバーナとしては、燃料を噴射するノズルの周囲に一次空気を供給する内側空気流路(一次空気流路)と、その外側に二次空気を供給するために一次空気流路の外側に形成された外側空気流路(二次空気流路)を備えたものが多く使用されている。斯かるバーナにおいては、一次空気流量と二次空気流量との比は固定されている。
【0004】
上記構成のバーナを用いた燃焼機器においてターンダウン比(最小燃焼量:最大燃焼量)を大きくするために燃焼量を絞り、これに対応して空気流量も絞ると、ノズル周囲の空気流速(燃焼用空気量/流路面積)が低下し、燃料と空気との混合状態が悪化し、燃焼不良によって煤煙等が発生する可能性がある。又、バーナによっては空気流速の低下によって保炎が不安定となり、大きな燃焼音(振動音)が発生するという問題もある。このため、従来の燃焼機器においては、ターンダウン比は1:3〜1:4程度が限界となっていた。
【0005】
そこで、例えば特許文献1には、内側空気流路と外側空気流路のそれぞれにダンパ等の流量調整手段を設け、燃焼量を小さくする場合には外側空気流路を通過する燃焼用空気の流量を絞り、ノズルの周囲に供給される燃焼用空気の流速の低下を抑制するようにしたバーナが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−344982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1において提案されたバーナにおいては、燃焼量を小さくする場合、外側空気流路を通過する燃焼用空気の流量を絞ることによって内側空気流路を通過する燃焼用空気の流量を増加させて間接的に燃焼用空気の流速を上げるようにしているために制御が複雑となり、ノズル周囲の燃焼用空気の流速を効果的に調整することが困難であるという問題がある。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、燃焼量の増減に対して燃焼用空気の流速を略一定に保つことによって、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができるバーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、燃料を噴射するノズルと、送風手段から送られる燃焼用空気を前記ノズルから噴射される燃料の周囲に供給する空気供給路を備えるバーナにおいて、前記空気供給路に開口する複数のエア噴出口に連通する複数の孔が形成された回転板と、該回転板を回転駆動する駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段を設け、燃焼負荷に応じて前記回転板の回転角度を制御して前記空気供給路のエア噴出口の開口面積を調整するよう構成したことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記回転板に形成された孔を非円形孔としたことを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記駆動手段を、駆動源である電動モータと、該電動モータによって回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の回転を前記回転板に伝達するギヤ機構とで構成したことを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記制御手段は、前記空気供給路のエア噴出口を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記空気供給路を、前記ノズルの周囲に形成された内側空気流路とその外側に形成された外側空気流路とで構成し、前記回転板を前記外側空気流路のエア噴出口に対向配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明によれば、燃焼負荷(燃焼用空気の流量)に応じて回転板の回転角度を制御して空気供給路のエア噴出口の開口面積を調整するようにしたため、特に空気流速の低下を招き易い低負荷時(燃焼用空気の流量が少ない場合)にはエア噴出口の開口面積を回転板によって絞ることによって空気流速を高めることができ、燃焼用空気の流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化が防がれ、良好で安定した燃焼状態を維持して大きなターンダウン比を得ることができるとともに、安定保炎が実現して燃焼音(振動音)を低く抑えることができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、回転板に例えば楕円孔等の非円形孔を形成することによって、エア噴出口の開口面積の変化が回転板の回転に対して比例的になるようにすることができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、駆動源である電動モータの回転を回転軸とギヤ機構を経て回転板に伝達し、燃焼負荷に応じて回転板の回転角度を制御してエア噴出口の開口面積を調整することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、空気供給路のエア噴出口を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるため、燃焼用空気の流速を各燃焼負荷に対して最適に設定することができ、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。
【0018】
請求項5記載の発明によれば、内側空気流路を流れる空気は一次空気としてノズルから噴射される燃料と混合して混合気を形成し、この混合気は着火燃焼してノズルの下流側に火炎を形成し、外側空気流路を流れる空気は二次空気として前記火炎に供給されるが、外側空気流路のエア噴出口の開口面積が回転板によって調整されることによって空気供給路全体としての開口面積が燃焼量の増減に応じて調整されるため、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係るバーナの構成を示す縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大詳細図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】本発明に係るバーナの回転板の平面図である、
【図5】図4のB部拡大断面図である。
【図6】低燃焼時の状態を示す図1のC−C線断面図である。
【図7】中燃焼時の状態を示す図1のC−C線断面図である。
【図8】高燃焼時の状態を示す図1のC−C線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0021】
図1は本発明に係るバーナの構成を示す縦断面図、図2は図1の要部拡大詳細図、図3は図1のA−A線断面図だ、図4は回転板の平面図、図5は図4のB部拡大断面図である。
【0022】
図1に示すように、バーナ1は、停止、低燃焼、中燃焼及び高燃焼の4つの段階で制御される4位置制御方式が採用されるボイラに使用されるものであって、燃料噴射部2と、不図示の送風手段と、空気供給路3と及び制御手段4を備えている。
【0023】
上記燃料噴射部2は、燃料を噴射する2本のノズル5,6と、該ノズル5,6に燃料を供給する燃料ポンプ(P)7を備えており、該燃料ポンプ7から延びて各ノズル5,6にそれぞれ接続される燃料供給管8,9の途中には開閉弁である電磁弁V1,V2が設けられている。尚、燃料ポンプ7は不図示の燃料タンクに接続されており、燃料ポンプ7からの燃料は燃料ポンプ7によって加圧され、電磁弁V1,V2が開くと燃料は燃料供給管8,9からノズル5,6へとそれぞれ供給され、各ノズル5,6の先端から所定量の燃料が噴射される。尚、本実施の形態では、燃料として液体の油燃料が使用されている。
【0024】
前記送風手段は、燃焼用空気の供給量を燃焼量の増減に応じて増減させる機能を有するものであって、図示しないが、燃焼用空気を送り出す送風ファンと、該送風ファンを回転駆動する電動モータと、該電動モータの回転数を制御するためのインバータを含んで構成されている。
【0025】
前記空気供給路3は、ノズル5,6の周囲を囲んで該ノズル5,6との間に内側空気流路(一次空気流路)10を形成する上下方向に配された円筒状の内筒11と、該内筒11の外側に同心状に上下方向に配された外筒12を備えており、内筒11と外筒12との間には円筒状の外側空気流路(二次空気流路)13が形成されている。
【0026】
上記内筒11と外筒12は、その外側を覆う垂直な第1ダクト14内に収容されており、第1ダクト14は水平な第2ダクト15を介して送風手段に接続されている。そして、二重筒を構成する内筒11と外筒12間の前記外側空気流路13の下端には環状プレート16が配置されており、この環状プレート16には、図3に示すように、8つの円孔状のエア噴出口17が同一円周上に等角度ピッチ(45°ピッチ)で形成されている。そして、内筒11の下端はミキシングケース18の上方に開口しており、外側空気流路13は、複数の前記エア噴出口17と各エア噴出口17に接続された円筒状の噴射管19を介してミキシングケース18の上方に開口している。
【0027】
而して、本実施の形態では、外側空気流路13内であって、前記環状プレート16に形成された複数のエア噴出口17の入口部分には円環状の回転可能な回転板20がエア噴出口17に対向するよう配置されている。この回転板20には、図4に示すように、エア噴出口17と同数(8つ)で同径の円孔状の孔21が同一円周上に等角度ピッチ(45°ピッチ)で形成されている。又、回転板20の外周には垂直に起立するフランジ20Aが形成されており、このフランジ20Aには図5に示すように矩形の係合孔20aが周方向に適当なピッチで複数形成されている(図5には一部のみ図示)。
【0028】
上記回転板20は、図1に示す駆動手段22によって回転駆動されるが、駆動手段22は、第1ダクト14の上方に縦置き状態で配された駆動源である電動モータ23と、該電動モータ23から第1ダクト14を貫通して外側空気流路13内を垂直下方に延びる回転軸24と、該回転軸24の下端に結着されたギヤ25を備えており、図5に示すように、ギヤ25の歯25aは回転板20のフランジ20Aに形成された前記係合孔20aに噛合している。尚、ギヤ25と回転板20のフランジ20Aに形成された係合孔20aは、電動モータ23によって駆動される回転軸24の回転を減速して回転板20に伝達するギヤ機構を構成している。
【0029】
前記制御手段4は、例えばROMに格納された制御プログラムと、この制御プログラムを実行する演算部とを備えており、ボイラに設けられた不図示の制御装置から出力される燃焼制御(停止、低燃焼、中燃焼及び高燃焼)に関する制御信号を受けると、その制御信号に応じた送風量(燃焼用空気の流量)に係る信号を送風手段に送信するとともに、駆動信号を燃料ポンプ7と電磁弁V1,V2及び電動モータ23にそれぞれ送信する。
【0030】
次に、以上のように構成されたバーナ1の作用を図6〜図8を参照しながら以下に説明する。尚、図6〜図8は図1のC−C線断面図であり、図6は低燃焼時の状態を、図7は中燃焼時の状態を、図8は高燃焼時の状態をそれぞれ示す。
【0031】
ボイラの運転を開始すると、ボイラは停止状態からプレパージ、プレイグニッション、着火トライ等の処理を経て低燃焼状態となる。この低燃焼状態において、制御手段4は、送風手段に制御信号を送信して第2ダクト15に低燃焼状態に対応する小流量の燃焼用空気を図1に矢印にて示すように送り出すとともに、燃料ポンプ7と電磁弁V1及び電動モータ23に駆動信号をそれぞれ送信して燃料ポンプ7を駆動すると同時に一方の電磁弁V1を開き、電動モータ23を起動する。すると、燃焼用空気は、第2ダクト15から第1ダクト14へと流れ、その一部は図1に矢印にて示すように内側空気流路10を下方へ向かって流れ、残りは図1に矢印にて示すように外側空気流路13を下方に向かって流れる。又、燃料は燃料ポンプ7によって加圧され、この加圧された燃料は電磁バルブV1と燃料供給管8を通ってノズル5へと供給され、該ノズル5の先端から所定量の燃料が下方に向けて噴射される。
【0032】
而して、前述のように電動モータ23が起動されると、その回転は回転軸24を経てギヤ25へと伝達され、該ギヤ25が所定の速度で回転駆動される。このようにギヤ25が回転駆動されると、該ギヤ25の歯25aが噛合する係合孔20aを備える回転板20が前述のように回転する。このように回転板20が回転すると、該回転板20に形成された複数の孔21と環状プレート16に形成された複数のエア噴出口17との連通状態が変化し、エア噴出口17の開口面積が変化する。
【0033】
低燃焼時においては、図6に示すように、環状プレート16のエア噴出口17と回転板20の孔21とのズレが大きく、両者が連通する面積(斜線を付した面積)、つまりエア噴出口17の開口面積は図示のS1に絞られる。
【0034】
ところで、前述のようにノズル5から燃料が噴射されると、内側空気流路10を下方に向かって流れる空気は、一次空気としてノズル5から噴射される燃料とミキシングケース18内において混合して混合気を形成し、この混合気は着火燃焼してノズル5の下流側に火炎を形成する。又、外側空気流路13を下方に向かって流れる空気は、回転板20によって開口面積がS1に絞られた各エア噴出口17とこれに接続された各噴射管19を通って二次空気としてミキシングケース18内に形成された火炎に供給され、混合気の燃焼によって発生する熱がボイラでの蒸気の生成に供される。
【0035】
ここで、低燃焼時には送風手段から送り出される燃焼用空気の流量が少なく、内側空気流路10及び外側空気流路13を流れる流量も少ないため、各エア噴出口17の開口面積が一定である場合には、外側空気流路13を流れる燃焼用空気の流量が少ない低燃焼時には各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速が低下し、流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化によって燃焼不良が発生し易い問題があることは前述の通りである。
【0036】
然るに、本実施の形態では、前述のように低燃焼時には回転板20によって各エア噴出口17の開口面積をS1に絞るようにしたため、各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速が各エア噴出口17の開口面積が一定である場合のそれよりも高められる。この場合の燃焼用空気の流速u1は、各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流量をQ1とすると、次式で求められる。
【0037】
u1=Q1/S1 … (1)
上述のように燃焼用空気の流量が少ない低燃焼時においては、回転板によって各エア噴出口17の開口面積がS1に絞られて各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速u1がエア噴出口17の開口面積が一定である場合のそれよりも高められるため、燃焼用空気の流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化が防がれ、良好で安定した燃焼状態を維持して大きなターンダウン比を得ることができるとともに、安定保炎が実現して燃焼音(振動音)を低く抑えることができる。
【0038】
次に、ボイラへの要求負荷が増大して不図示のスチームヘッダの圧力が中燃焼状態に対応する圧力まで低下すると、ボイラの制御装置から制御手段4に対してバーナ1を中燃焼状態に移行するための信号が送信され、制御手段4は、送風手段と電磁弁V1,V2及び電動モータ23に対してそれぞれ制御信号を出力する。すると、送風手段からは中燃焼状態に対応する中流量の燃焼用空気が送り出されるとともに、電磁弁V1が閉じられ、電磁弁V2が開かれる。すると、燃料ポンプ7によって加圧された燃料は、電磁弁V2と燃料供給管9を通ってノズル6へと供給され、ノズル6からは中燃焼に必要な量の燃料が噴射されて燃焼に供される。
【0039】
上述のように中燃焼状態において送風手段から中流量の燃焼用空気が送り出されると、外側空気流路13を下方へ向かって流れる燃焼用空気の流量は低燃焼時のそれよりも多くなるが、制御手段4は、各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう電動モータ23を制御する。
【0040】
即ち、燃焼状態が低燃焼から中燃焼に移行して燃焼用空気の流量が多くなると、電動モータ23が起動され、その回転は回転軸24からギヤ25を経て回転板20に伝達されるため、該回転板20が所定角度だけ回転し、図7に示すように、環状プレート16のエア噴出口17と回転板20の孔21とのズレが小さくなり、両者が連通する面積(斜線を付した面積)、つまりエア噴出口17の開口面積は図示のS2に広げられる(S2>S1)。
【0041】
従って、この中燃焼状態において外側空気流路13の各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速u2は、各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流量をQ2とすると、次式で求められる。
【0042】
u2=Q2/S2 … (2)
上述のように燃焼用空気の流量が中程度である中燃焼時においては、回転板20が燃焼用空気の流量の増加に応じて所定角度だけ回転し、外側空気流路13の各エア噴出口17の開口面積がS2に絞られて各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速u2が各エア噴出口17の開口面積が一定である場合のそれよりも高められるため、燃焼用空気の流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化が防がれ、良好で安定した燃焼状態が維持される。
【0043】
次に、ボイラへの要求負荷が更に増大して不図示のスチームヘッダの圧力が高燃焼状態に対応する圧力まで低下すると、ボイラの制御装置から制御手段4に対してバーナ1を高燃焼状態に移行するための信号が送信され、制御手段4は、送風手段と電磁弁V1,V2及び電動モータ23に対してそれぞれ制御信号を出力する。すると、送風手段からは高燃焼状態に対応する大流量の燃焼用空気が送り出されるとともに、両電磁弁V1,V2が共に開かれ、燃料ポンプ7によって加圧された燃料は電磁弁V1,V2と燃料供給管8,9を通ってノズル5,6へと供給され、両ノズル5,6から高燃焼に必要な量の燃料が噴射されて燃焼に供される。
【0044】
上述のように高燃焼状態において送風手段から大流量の燃焼用空気が送り出されると、外側空気流路13を下方へ向かって流れる燃焼用空気の流量は中燃焼時のそれよりも更に多くなる。このように燃焼用空気の流量が多くなると、外側空気流路13を下方へ向かって流れる燃焼用空気の流量は中燃焼時のそれよりも更に多くなるが、制御手段4は、前述のように各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう電動モータ23を駆動制御する。
【0045】
即ち、燃焼状態が中燃焼から高燃焼に移行して燃焼用空気の流量が更に多くなると、電動モータ23が起動され、その回転は回転軸24からギヤ25を経て回転板20に伝達されるため、該回転板20が所定角度だけ回転し、図8に示すように、環状プレート16のエア噴出口17と回転板20の孔21とが完全に一致して両者が連通するため、両者が連通する面積(斜線を付した面積)は最大面積S3となる(S3>S2>S1)。
【0046】
従って、この高燃焼状態において外側空気流路13の各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速u3は、各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流量をQ3とすると、次式で求められる。
【0047】
u3=Q3/S3 … (3)
上述のように燃焼用空気の流量が最大である高燃焼時においては、各エア噴出口17の開口面積が最大値S3となって各エア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速u3が燃料と空気の混合が良好になされる程度に保たれるため、良好で安定した高燃焼状態が維持される。
【0048】
以上のように、本実施の形態では、燃焼負荷(燃焼用空気の流量)に応じて回転板20の回転角度を制御して外側空気流路13のエア噴出口17の開口面積を調整するようにしたため、特に空気流速の低下を招き易い低負荷時(燃焼用空気の流量が少ない場合)にはエア噴出口17の開口面積を回転板20によって絞ることによって空気流速を高めることができ、燃焼用空気の流速不足による燃料と空気との混合状態の悪化が防がれ、良好で安定した燃焼状態を維持して大きなターンダウン比を得ることができるとともに、安定保炎が実現して燃焼音(振動音)を低く抑えることができる。
【0049】
そして、本実施の形態では、駆動手段22の駆動源である電動モータ23の回転を回転軸24とギヤ25を含むギヤ機構を経て回転板20に伝達し、燃焼負荷に応じて回転板20の回転角度を制御してエア噴出口17の開口面積を調整することができる。
【0050】
又、本実施の形態では、外側空気流路13のエア噴出口17を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるようエア噴出口17の開口面積を調整するようにしたため、燃焼用空気の流速を各燃焼負荷に対して最適に設定することができ、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。
【0051】
更に、本実施の形態では、内側空気流路10を流れる空気は一次空気としてノズル5,6から噴射される燃料と混合して混合気を形成し、この混合気は着火燃焼してノズル5,6の下流側に火炎を形成し、外側空気流路13を流れる空気は二次空気として前記火炎に供給されるが、外側空気流路13のエア噴出口17の開口面積が回転板20によって調整されることによって空気供給路3全体としての開口面積が燃焼量の増減に応じて調整されるため、燃焼不良を招くことなく簡単な構成で大きなターンダウン比を得ることができる。
【0052】
尚、以上の実施の形態では、回転盤20に円孔状の孔21を形成したが、この孔21を楕円孔等の非円形孔とすれば、エア噴出口17の開口面積の変化が回転板20の回転に対して比例的になるようにすることができる。
【0053】
又、以上は本発明を4位置制御方式を採用するボイラに設けられるバーナに対して適用した形態について説明したが、本発明は、停止、低燃焼及び高燃焼の3位置制御方式を採用するボイラのバーナや燃焼量を無段階で連続的に変更する制御方式を採用するボイラのバーナに対しても同様に適用可能であることは勿論である。そして、本発明は、ボイラの他、吸収式冷凍機等のバーナに対して適用可能であって、特に油燃料を燃焼させるバーナに好適であるが、ガス燃料を燃料とするバーナに対しても適用可能である。
【符号の説明】
【0054】
1 バーナ
2 燃料噴射部
3 空気供給路
4 制御手段
5,6 ノズル
7 燃料ポンプ
8,9 燃料供給管
10 内側空気流路
11 内筒
12 外筒
13 外側空気流路
14 第1ダクト
15 第2ダクト
16 環状プレート
17 エア噴出口
18 ミキシングケース
19 噴射管
20 回転板
20A 回転板のフランジ
20a フランジの係合孔
21 回転板の孔
22 駆動手段
23 電動モータ
24 回転軸
25 ギヤ
25a ギヤの歯
V1,V2 電磁弁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を噴射するノズルと、送風手段から送られる燃焼用空気を前記ノズルから噴射される燃料の周囲に供給する空気供給路を備えるバーナにおいて、
前記空気供給路に開口する複数のエア噴出口に連通する複数の孔が形成された回転板と、該回転板を回転駆動する駆動手段と、該駆動手段を制御する制御手段を設け、燃焼負荷に応じて前記回転板の回転角度を制御して前記空気供給路のエア噴出口の開口面積を調整するよう構成したことを特徴とするバーナ。
【請求項2】
前記回転板に形成された孔を非円形孔としたことを特徴とする請求項1記載のバーナ。
【請求項3】
前記駆動手段を、駆動源である電動モータと、該電動モータによって回転駆動される駆動軸と、該駆動軸の回転を前記回転板に伝達するギヤ機構とで構成したことを特徴とする請求項1又は2記載のバーナ。
【請求項4】
前記制御手段は、前記空気供給路のエア噴出口を通過する燃焼用空気の流速が該燃焼用空気の流量の増減に対して略一定となるよう前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のバーナ。
【請求項5】
前記空気供給路を、前記ノズルの周囲に形成された内側空気流路とその外側に形成された外側空気流路とで構成し、前記回転板を前記外側空気流路のエア噴出口に対向配置したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のバーナ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−149815(P2012−149815A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8548(P2011−8548)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】