説明

パイプライン処理装置

【課題】短時間で同期を確立可能なパイプライン処理装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ダミー信号生成回路13が、パイプライン処理回路11への入力と同時にビデオ信号を入力し、このビデオ信号に含まれる同期信号の周期Tとビデオ信号がパイプライン処理回路11に入力されてから出力されるまでの遅延時間Tdとを用いて、パイプライン処理回路11から出力されるビデオ信号と同位相の同期信号が挿入されたダミー信号を生成し、同期検出回路15は、パイプライン処理回路でのビデオ信号の記憶処理中にダミー信号生成回路13に接続し、このダミー信号生成回路13で生成されたダミー信号から同期信号を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオ信号をパイプライン処理するパイプライン処理装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、エンコーダやデコーダ、ポストフィルタやプレ解析部といったビデオ符号化装置やビデオ信号処理には、入力されたビデオ信号に対してパイプライン処理を行うパイプライン処理装置が形成されている。そして、このパイプライン処理装置は、図4に示すようにパイプライン処理回路11と同期検出回路15とを縦続的に接続することが一般的であった。
【0003】
このパイプライン処理回路11は、入力されたビデオ信号に対して、例えばビデオ信号の空間周波数特性を変更するフィルタ処理といった一定の加工処理を行うものである。また、入力されたビデオ信号に含まれる全てのフレームを記憶部(図示せず)に記憶させる処理が完了しなければ、同期検出回路15に対して出力を開始できないという特徴も備えている。
【0004】
一方、同期検出回路15は、パイプライン処理回路11から出力されたビデオ信号を入力し、このビデオ信号に挿入されている同期信号を検出して、この同期信号に基づいてビデオ信号に含まれる各フレームを順次出力するものである。
【0005】
従って、パイプライン処理回路11の加工処理に基づいて遅延する時間を遅延時間Tdとし、同期検出回路15で同期確立に要する時間を同期確立時間Tsとした場合に、ビデオ信号がパイプライン処理装置100に入力されてから同期が確立して出力されるまでに必要な時間は、遅延時間Tdと同期確立時間Tsとを合計した時間となっていた。
【0006】
また、図5に示すように、複数のパイプライン処理回路及び同期検出回路を縦続的に複数段接続させる構成も一般的に採られていた。このような構成において、ビデオ信号がパイプライン処理装置100に入力されてから同期が確立して出力されるまでに必要な時間は、第1のパイプライン処理回路11aにおける遅延時間をTd1とし、第1の同期検出回路15aにおける同期確立時間をTs1とすると共に、第2のパイプライン処理回路11bにおける遅延時間をTd2とし、第2の同期検出回路15bにおける同期確立時間をTs2とした場合に、遅延時間Td1と同期確立時間Ts1との合計時間に対して、遅延時間Td2と同期確立時間Ts2との合計時間を更に加えた時間となっていた。
【0007】
図6は、図5に示すパイプライン処理装置を構成する各回路のタイムチャートを示す図である。なお、各回路から出力されるビデオ信号の信号ローレベルは無効状態を示し、信号ハイレベルは有効状態を示し、Fn(nは1以上の整数)はフレーム番号を示し、各フレーム間に記載された縦線は同期位置を示している。
【0008】
まず、ビデオ信号(入力)が有効状態になり、遅延時間Td1が経過した後に第1のパイプライン処理回路11aの出力が有効状態となる。その後、同期確立時間Ts1が経過した後に、第1の同期検出回路15aの出力が有効状態となる。そして、遅延時間Td2が経過した後に第2のパイプライン処理回路11bの出力が有効状態となり、同期確立時間Ts2が経過した後に第2の同期検出回路15bの出力が有効状態となる。
【0009】
この結果、従来のパイプライン処理装置100では、ビデオ信号の入力から起算して、遅延時間Td1+同期確立時間Ts1+遅延時間Td2+同期確立時間Ts2経過後にビデオ信号の出力が有効となる。
【0010】
また、第1の同期検出回路15a及び第2の同期検出回路15bにおいて同期確立までに2フレームを必要とする場合、第1の同期検出回路15aではフレームF1及びフレームF2が失われてフレームF3から出力されることになる。同様に、第2の同期検出回路15bではフレームF3及びフレームF4が失われてフレームF5から出力されることになる。
【0011】
この結果、従来のパイプライン処理装置100では、同期確立時間Ts1及び同期確立時間Ts2でフレームF1〜フレームF4の4つのフレームが失われ、フレームF5以降がビデオ信号として出力されることになる。
【0012】
故に、パイプライン処理回路と同期検出回路とが縦続に接続されているため、ビデオ信号が入力されてから出力されるまでの遅延が非常に大きく、同期確立する以前に入力された数フレームが失われて出力されなくなるという問題があった。特に、パイプライン処理回路及び同期検出回路の段数が増加するに従って、このような遅延問題やフレーム損失問題が顕著に現れていた。
【0013】
このフレーム損失問題に対し、特許文献1では、遅延器を用いて同期確立前の信号を遅延させることによりデータの損失を防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平10−004439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、受信信号自身を遅延させるため、各回路の段数を増加した場合には、段数に比例して遅延時間が増大するという問題があった。また、パイプライン処理回路は、前述したようにビデオ信号の記憶が完了した後に次段への出力を開始するため、同期確立処理を開始するまでに時間がかかるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、短時間で同期を確立可能なパイプライン処理装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
請求項1に記載の本発明は、各データ間に同期信号が夫々挿入されたデータ信号を入力し、当該データ信号を記憶手段に記憶させる記憶処理が完了した後に読み出して出力する処理手段と、前記処理手段への入力と同時に前記データ信号を入力し、当該データ信号に含まれる前記同期信号の周期と前記データ信号が前記処理手段に入力されてから出力されるまでの遅延時間とを用いて、前記処理手段から出力されるデータ信号と同位相の同期信号が挿入されたダミー信号を生成する生成手段と、前記記憶処理中の場合に前記生成手段に接続され、当該生成手段で生成された前記ダミー信号から前記同期信号を検出する同期検出手段と、を有することを要旨とする。
【0017】
請求項2に記載の本発明は、前記同期検出手段が、前記記憶処理が完了した場合に前記処理手段に接続され、当該処理手段から出力されたデータ信号を前記検出した同期信号に同期させて出力することを要旨とする。
【0018】
請求項3に記載の本発明は、前記記憶処理中の場合には前記同期検出手段の接続先を前記生成手段とし、前記記憶処理が完了した場合には当該接続先を前記処理手段に切り替える切替手段を更に有することを要旨とする。
【0019】
請求項4に記載の本発明は、前記ダミー信号が、前記遅延時間を前記同期信号の周期で除算した余りの時間を遅延させて生成されることを要旨とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、短時間で同期を確立可能なパイプライン処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係るパイプライン処理装置のブロック構成を示す構成図である。このパイプライン処理装置100は、パイプライン処理回路11と、パイプライン処理回路11に並列接続されたダミー信号生成回路13と、パイプライン処理回路11及びダミー信号生成回路13の後段に位置する同期検出回路15と、同期検出回路15をパイプライン処理回路11又はダミー信号生成回路に接続するスイッチ回路17とを備えた構成である。
【0023】
パイプライン処理回路11は、各フレーム間に同期信号が夫々挿入されたビデオ信号に対して、例えばビデオ信号の空間周波数特性を変更するフィルタ処理といった一定の加工処理を行う機能を備えている。また、入力されたビデオ信号に含まれる全てのフレームを記憶部(図示せず)に記憶させる記憶処理が完了した後に読み出して、同期検出回路15に対して出力を開始するという特徴も備えている。なお、パイプライン処理回路11は、特許請求の範囲に記載された処理手段に相当する。
【0024】
ダミー信号生成回路13は、パイプライン処理回路11への入力と同時にビデオ信号を入力し、入力したビデオ信号に含まれる同期信号の周期Tと、ビデオ信号がパイプライン処理回路11に入力されてから出力されるまでの遅延時間Tdとを用いて、パイプライン処理回路11から出力されるビデオ信号と同位相の同期信号が挿入されたダミー信号を生成する機能を備えている。なお、ダミー信号生成回路13は、特許請求の範囲に記載された生成手段に相当する。
【0025】
同期検出回路15は、パイプライン処理回路11においてビデオ信号の記憶処理中の場合にはダミー信号生成回路13に接続され、このダミー信号生成回路13で生成されたダミー信号から同期信号を検出する機能を備えている。また、パイプライン処理回路11での記憶処理が完了した場合にはパイプライン処理回路11に接続され、このパイプライン処理回路11から出力されたビデオ信号の各フレームを、ダミー信号から検出した同期信号に同期させて出力する機能を備えている。なお、同期検出回路15は、特許請求の範囲に記載された同期検出手段に相当する。
【0026】
スイッチ回路17は、パイプライン処理回路11においてビデオ信号の記憶処理中の場合には同期検出回路15の接続先をダミー信号生成回路13とし、パイプライン処理回路11での記憶処理が完了した場合には該接続先をパイプライン処理回路11に切り替える機能を備えている。なお、スイッチ回路17は、特許請求の範囲に記載された切替手段に相当する。
【0027】
続いて、図1に示すパイプライン処理装置100の処理フローについて説明する。最初に、パイプライン処理回路11が、入力したビデオ信号を記憶部(図示せず)に記憶させ、全てのフレームの記憶が完了した後に読み出して、所定の加工処理を施した後に出力を開始する(ステップS101)。ここで、ビデオ信号がパイプライン処理回路11に入力されてから出力されるまでの時間を、前述したように遅延時間Tdとする。
【0028】
一方、ダミー信号生成回路13は、パイプライン処理回路11がビデオ信号を入力すると同時に該ビデオ信号を入力し、入力したビデオ信号から一定の位相を調整することにより、パイプライン処理回路11と同じ位相を持つ擬似的なダミー信号を生成して出力する(ステップS102)。
【0029】
ここで、ダミー信号の生成方法について具体的に説明する。ビデオ信号は、フレームを単位として同期信号が周期Tの間隔で繰り返し挿入された構造を備えている。また、前述したように、パイプライン処理回路11においてビデオ信号の入力から出力までは遅延時間Tdを必要とする。そこで、パイプライン処理回路11で費やす遅延時間Tdを、ビデオ信号における同期信号の周期Tで除算した余りの時間Td’を遅延させて出力するダミー信号を生成する。これにより、パイプライン処理回路11から出力されるビデオ信号の同期信号位置と同一の位置に同期信号を有するダミー信号を生成することが可能となる。なお、生成されたダミー信号は、同期検出回路15での同期検出のみに利用されるので、同期信号位置以外に特定の条件を必要とするものではない。
【0030】
そして、スイッチ回路17は、パイプライン処理回路11がビデオ信号を記憶部(図示せず)に記憶させている期間中、ダミー信号生成回路13を選択し、その記憶処理が完了した後、パイプライン処理回路11を選択して、ダミー信号生成回路13で生成されたダミー信号又はパイプライン処理回路11から出力されるビデオ信号を同期検出回路15に出力する(ステップS103)。
【0031】
ここで、スイッチ回路17の切替動作について具体的に説明する。スイッチ回路17は、パイプライン処理回路11から出力される信号の有効状態/無効状態を同期信号の有無で判定する。上記周期Tと同じT時間以内に同期信号が出力される場合には有効状態とし、出力されない場合には無効状態とする。そして、スイッチ回路17は、パイプライン処理回路11へ入力する信号が無効状態から有効状態になった後に、遅延時間Td以内の期間ではダミー信号生成回路13が生成したダミー信号を選択する。この期間は、パイプライン処理回路11におけるビデオ信号の記憶処理中に該当し、パイプライン処理回路11から出力される信号が無効状態になっている期間に相当する。そして、この遅延時間Tdが経過した後、スイッチ回路17は、パイプライン処理回路11から出力されるビデオ信号を選択する。この期間は、パイプライン処理回路11での記憶処理が完了し、パイプライン処理回路11から出力される信号が有効状態になっている期間に相当する。
【0032】
最後に、同期検出回路15は、パイプライン処理回路11からビデオ信号が出力されない期間において、ダミー信号生成回路13で生成されたダミー信号を用いて同期信号を検出し、ビデオ信号がパイプライン処理回路11から送信される期間において、送信されたビデオ信号の各フレームを該同期信号を用いて同期させて出力する(ステップS104)。
【0033】
従って、同期検出回路15において同期検出に要する時間を同期確立時間Tsとする場合、パイプライン処理装置100にビデオ信号が入力されてから同期が確立して出力されるまでに必要な時間は、遅延時間Tdと同期確立時間Tsのうち大きい方の値(Max(Td,Ts))となる。よって、図4に示す従来方式の遅延時間Td+同期確立時間Tsよりも短時間で同期を確立することが可能となる。
【0034】
また、図2に示すように、図1に示す各回路の接続構成を縦続的に複数段接続させることも可能である。図2に示すパイプライン処理装置100は、第1のパイプライン処理回路11aと、第1のパイプライン処理回路11aに並列接続された第1のダミー信号生成回路13aと、第1のパイプライン処理回路11a及び第1のダミー信号生成回路13aの後段に位置する第1の同期検出回路15aと、第1の同期検出回路15aを第1のパイプライン処理回路11a又は第1のダミー信号生成回路13aに接続する第1のスイッチ回路17aと、第1の同期検出回路15aから出力されたビデオ信号を入力する第2のパイプライン処理回路11bと、第2のパイプライン処理回路11bに並列接続された第2のダミー信号生成回路13bと、第2のパイプライン処理回路11b及び第2のダミー信号生成回路13bの後段に位置する第2の同期検出回路15bと、第2の同期検出回路15bを第2のパイプライン処理回路11b又は第2のダミー信号生成回路13bに接続する第2のスイッチ回路17bとを備えた構成である。
【0035】
ここで、第1のパイプライン処理回路11aにおける遅延時間をTd1とし、第1のダミー信号生成回路13aにおける同期確立時間をTs1とすると共に、第2のパイプライン処理回路11bにおける遅延時間をTd2とし、第2のダミー信号生成回路13bにおける同期確立時間をTs2とした場合、パイプライン処理装置100にビデオ信号が入力されてから同期が確立して出力されるまでに必要な時間は、上記と同様に、遅延時間Td1と同期確立時間Ts1のうち大きい方の値(Max(Td1,Ts1))と、遅延時間Td2と同期確立時間Ts2のうち大きい方の値(Max(Td2,Ts2))との合計時間となる。よって、図5に示す従来方式の遅延時間Td1+同期確立時間Ts1+遅延時間Td2+同期確立時間Ts2よりも短時間で同期を確立することが可能となる。
【0036】
図3は、図2に示すパイプライン処理装置を構成する各回路のタイムチャートを示す図である。なお、各回路から出力されるビデオ信号の信号ローレベルは無効状態を示し、信号ハイレベルは有効状態を示し、Fn(nは1以上の整数)はフレーム番号を示し、各フレーム間に記載された縦線は同期位置を示している。
【0037】
まず、ビデオ信号(入力)が有効状態になり、遅延時間Td1が経過した後に第1のパイプライン処理回路11aの出力が有効状態となる。このとき、第1のダミー信号生成回路13aも同時に動作しており、この第1のダミー信号生成回路13aは同期位置の調整のみを行うので、ビデオ信号の入力からTd’の早いタイミングでダミー信号の出力が有効となる。また、第1の同期検出回路15aは、第1のスイッチ回路17aにより第1のダミー信号生成回路13aに接続されているので、ダミー信号の有効後、Ts1後に同期が確立する。したがって、第1の同期検出回路15aにおいて、Max(Td1,Td1’+Ts1)の時間で同期が確立することになる。また、第2のパイプライン処理回路11b、第2のダミー信号生成回路13b、第2のスイッチ回路17b、第2の同期検出回路15bについても同様のタイムチャートとなる。
【0038】
この結果、パイプライン処理装置100にビデオ信号が入力されてから同期が確立して出力されるまでに必要な時間は、Max(Td1,Td1’+Ts1)とMax(Td2,Td2’+Ts2)との合計時間となり、従来のパイプライン処理装置よりも短時間で同期を確立することが可能となる。なお、Td1’はTd1よりも十分に小さい時間であり、Td2’はTd2よりも十分に小さい時間であるので、Max(Td1,Td1’+Ts1)は前述のMax(Td1,Ts1)に略等しい値となり、Max(Td2,Td2’+Ts2)は前述のMax(Td2,Ts2)に略等しい値となる。
【0039】
また、第1の同期検出回路15aにおいて同期確立までに2フレームを必要とする場合であっても、第1の同期検出回路15aは、ダミー信号を用いて予め同期を検出しているので、フレームF1及びフレームF2を失うことなく先頭のフレームF1から出力を開始することができる。同様に、第2の同期検出回路15bにおいて同期確立までに2フレームを必要とする場合であっても、第2の同期検出回路15bは、ダミー信号を用いて予め同期を検出しているので、フレームF1及びフレームF2を失うことなく先頭のフレームF1から出力を開始することができる。
【0040】
この結果、本実施の形態に係るパイプライン処理装置100は、同期確立時間Ts1及び同期確立時間Ts2でフレームF1〜フレームF4の4つのフレームを損失することなく、先頭フレームからのビデオ信号を出力することができる。
【0041】
なお、本実施の形態では、パイプライン処理回路とダミー信号生成回路と同期検出回路とスイッチ回路とが1段又は2段に縦続された場合について説明したが、3段以上の場合であっても同様の効果を得ることが可能である。
【0042】
また、本実施の形態では、パイプライン処理装置100に入力される信号が各フレーム間に同期信号が夫々挿入されたビデオ信号であるとして説明したが、同様のデータ構造を備えた信号、即ち、各データ間に同期信号が夫々挿入されたデータ信号についても適用することが可能である。
【0043】
本実施の形態によれば、従来のパイプライン処理装置に対して、パイプライン処理回路に並列接続されたダミー信号生成回路と、同期検出回路への接続先をパイプライン処理回路又はダミー信号生成回路のいずれかを選択するスイッチとを更に設け、パイプライン処理回路でビデオ信号が記憶されている期間ではダミー信号生成回路を選択し、この記憶処理が完了した後の期間ではパイプライン処理回路を選択する。ダミー信号生成回路は、ビデオ信号に含まれる同期信号の周期と、ビデオ信号がパイプライン処理回路を通過する遅延時間とを用いて、パイプライン処理回路の出力と同一位相のダミー信号を生成する。故に、パイプライン処理回路でのビデオ信号の記憶処理と同期検出処理とを略同時に開始可能とするので、ビデオ信号を入力してから同期を確立して出力するまでの全体時間を短縮することができる。また、ダミー信号を用いて予め同期を検出しているので、フレームの損失を防止することができる。
【0044】
最後に、本実施の形態で説明したパイプライン処理装置100は、コンピュータで構成され、各機能ブロックの各処理はプログラムで実行されるようになっている。また、本実施の形態で説明したパイプライン処理装置100の各動作をプログラムとして例えばCD(Compact Disk)やFD(Floppy(登録商標) Disk)等の記録媒体に記録して、この記録媒体をコンピュータに組み込んだり、若しくは記録媒体に記録されたプログラムを、任意の通信回線を介してコンピュータにダウンロードしたり、又は記録媒体からインストールし、該プログラムでコンピュータを動作させることにより、上述した各処理をパイプライン処理装置100として機能させることができるのは勿論である。また、このような記録媒体を用いることにより、その流通性を高めることが可能となることも付言しておく。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本実施の形態に係るパイプライン処理装置のブロック構成を示す構成図である。
【図2】図1に示す各回路の接続構成を縦続的に複数段接続させた構成を示す構成図である。
【図3】図2に示すパイプライン処理装置を構成する各回路のタイムチャートを示す図である。
【図4】従来のパイプライン処理装置のブロック構成を示す構成図である。
【図5】図4に示す各回路の接続構成を縦続的に複数段接続させた構成を示す構成図である。
【図6】図5に示すパイプライン処理装置を構成する各回路のタイムチャートを示す図である。
【符号の説明】
【0046】
11…パイプライン処理回路
11a…第1のパイプライン処理回路
11b…第2のパイプライン処理回路
13…ダミー信号生成回路
13a…第1のダミー信号生成回路
13b…第2のダミー信号生成回路
15…周期検出回路
15a…第1の周期検出回路
15b…第2の周期検出回路
17…スイッチ回路
17a…第1のスイッチ回路
17b…第2のスイッチ回路
100…パイプライン処理装置
S101〜S104…ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各データ間に同期信号が夫々挿入されたデータ信号を入力し、当該データ信号を記憶手段に記憶させる記憶処理が完了した後に読み出して出力する処理手段と、
前記処理手段への入力と同時に前記データ信号を入力し、当該データ信号に含まれる前記同期信号の周期と前記データ信号が前記処理手段に入力されてから出力されるまでの遅延時間とを用いて、前記処理手段から出力されるデータ信号と同位相の同期信号が挿入されたダミー信号を生成する生成手段と、
前記記憶処理中の場合に前記生成手段に接続され、当該生成手段で生成された前記ダミー信号から前記同期信号を検出する同期検出手段と、
を有することを特徴とするパイプライン処理装置。
【請求項2】
前記同期検出手段は、
前記記憶処理が完了した場合に前記処理手段に接続され、当該処理手段から出力されたデータ信号を前記検出した同期信号に同期させて出力することを特徴とする請求項1に記載のパイプライン処理装置。
【請求項3】
前記記憶処理中の場合には前記同期検出手段の接続先を前記生成手段とし、前記記憶処理が完了した場合には当該接続先を前記処理手段に切り替える切替手段を更に有することを特徴とする請求項2に記載のパイプライン処理装置。
【請求項4】
前記ダミー信号は、
前記遅延時間を前記同期信号の周期で除算した余りの時間を遅延させて生成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパイプライン処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−49762(P2010−49762A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214576(P2008−214576)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【出願人】(591230295)NTTエレクトロニクス株式会社 (565)
【Fターム(参考)】