説明

パイロジェニック金属酸化物からのバインダー無添加の安定高純度成形体の製造方法

【課題】従来技術を改良し、特に、例えばパイロジェニックSiOなどのパイロジェニック金属酸化物を基礎とする成形体を提供し、並びにまた、金属、炭素、及びリンによる汚染が殆どなく、同時に高い強度を有する成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、バインダーの添加なしのパイロジェニック金属酸化物からの安定な、高純度の成形体の製造、及びその使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロジェニック金属酸化物(pyrogenen Metalloxiden)からなるバインダー無添加の安定な高純度の成形体の製造及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
パイロジェニック金属酸化物は、極度に微細な粒子サイズ、高い比表面積、規定される表面化学を有する規定される球形の1次粒子、及び内部表面(細孔)がない特徴を有する。更にこれらは、非常に高い化学的純度を有する。
【0003】
上述した特性を考慮して、触媒用の支持材として、例えばパイロジェニック二酸化珪素に対する関心がますます高まっている(非特許文献1)。
【0004】
しかし、パイロジェニック金属酸化物がとりわけ微細なため、例えばこれらのパイロジェニック金属酸化物からできた触媒として又は触媒支持材として使用されるような成形体の製造は困難である。安定した成形体を得るため、金属酸化物粉からなる成形体は、一般に、バインダー及び潤滑剤を使用してプレス成形又は押出成形によって製造される。バインダー及び潤滑油は無機添加物又は有機添加物である。
【0005】
例えばステアリン酸マグネシウムなどの無機添加物は、製造される成形体中に、例えば酸化マグネシウムなどの無機化合物の形で残留する。有機添加物も、成形体の製造工程において炭素などの不純物となり得る。従って、製造される成形体においては、例えばパイロジェニックSiOなどの使用されるパイロジェニック金属酸化物に望まれる非常に高い純度が損なわれる。
【0006】
高い純度及び大きい表面積の他に、更なる特性として非常に低いかさ密度を有する成形体を得ることが望まれる。これは、第1に将来触媒される反応における材料の輸送に好ましい効果を有し、第2に特定の反応器容量を満たすために必要とされる支持材料の質量を軽減できる。これは、支持材料の反応器容量に対する費用の割合を改善し、この方法をより経済的にする。
【0007】
低いかさ密度は、例えば、少なくとも1つの通路が成形体を貫通するような成形体、例えば環状物によって達成できる。非常に薄い壁厚を有する環状体は、特に有用である。しかし、成形体の壁厚が薄い場合、その機械的強度は、触媒の製造及び反応器への充填の少なくともいずれかのためにはもはや十分ではなく、従って触媒支持体材料としては不適当である。
【0008】
従来技術は、金属酸化物からなる成形体を製造する多数の可能な方法を記載しているが、将来の強度を達成するために常にバインダーが添加される。
【0009】
特許文献1には、パイロジェニック金属酸化物、水、シリカゾル、及びプレス補助材の混合物からなるプレス成形品の製造が記載されている。多官能アルコール(例えばグリセロール)を補助材として請求している。
【0010】
特許文献2は、パイロジェニック二酸化珪素をカオリン及びグラファイトの少なくともいずれか、糖、澱粉、尿素、並びにワックスと共に水に混入することを開示している。プレス成形体を、パンチプレス、偏心プレス、押出成形機、ロータリープレス、及びコンパクタ(Kompaktoren)のいずれかを使用して製造し得る。類似の方式が特許文献3で採用されているが、そこではパイロジェニック二酸化珪素の代わりにパイロジェニック二酸化珪素/酸化アルミニウムの混合酸化物が使用されている。
【0011】
特許文献4は、パイロジェニック二酸化珪素、尿素、メチルセルロース及びステアリン酸マグネシウムの少なくともいずれか、グラファイト、ステアリン酸アルミニウム、及び水からのプレス成形体の製造について記載している。
【0012】
特許文献5は、パイロジェニック二酸化珪素、メチルセルロース、ミクロワックス、ポリエチレングリコール、及び水からなるプレス成形体を製造するための方法を記載している。普通、プレス成形体は、50重量%〜90重量%の二酸化珪素、0.1重量%〜20重量%のメチルセルロース、0.1重量%〜15重量%のミクロワックス、及び0.1重量%〜15重量%のポリエチレングリコールの含有量を有する。
【0013】
特許文献6は、更にガラスファイバーを含有し、二酸化珪素及び二酸化チタンの少なくともいずれかに基づく成形体を開示している。この成形体は、微粉の二酸化珪素及び二酸化チタンの少なくともいずれかを、ガラスファイバー、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ワックスエマルジョン及びポリエチレングリコールのいずれか、多糖類、並びに酸化ポリエチレンと共に水を添加しながらホモジナイズすることによって製造される。結果として生じる組成物を成形し、押出物を得る。
【0014】
特許文献7によれば、パイロジェニックシリカ及びアルコールアンモニア水溶液から安定した成形体を製造することが可能である。対照的に、純粋のアンモニア水溶液では、好結果は得られない。アルコールアンモニア水溶液を高比率で用いると、成形される混合物は強アルカリ性になる。アルコールの使用は、結果として生じる触媒支持材中に炭素による汚染をもたらす危険性を有している。特許文献8によれば、安定な成形体は、成形体を水温処理した場合にのみ、パイロジェニックシリカ及びアンモニア溶液から又はパイロジェニックシリカ及びアルカリ金属を含有するシリカゾルから得ることができる。アンモニアの添加の場合、混合物は再び強いアルカリ性を示す。この過剰の塩基(pH>10)がSiOの部分溶解をもたらすことが知られている。
【0015】
従来技術の文書が示すところによれば、今まで、安定した成形体の製造は、押出補助材、細孔形成剤、若しくはゾルなどの無機添加物若しくは有機添加物、又は追加の強化工程なしでは可能でなかった。これらの手段の全てが、製品において少なからぬ比率の望ましくない汚染を引き起こす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】欧州特許出願公開第72390号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第327722号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第327815号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第393356号明細書
【特許文献5】欧州特許出願公開第807615号明細書
【特許文献6】独国特許出願公開第10247314号明細書
【特許文献7】独国特許出願公開第4142898号明細書
【特許文献8】独国特許出願公開第4142902号明細書
【非特許文献】
【0017】
【非特許文献1】D.Koth,H.Ferch,Chem.Ing.Techn.1980年、52巻,p.628.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の目的は、従来技術を改良し、特に、例えばパイロジェニックSiOなどのパイロジェニック金属酸化物を基礎とする成形体を提供し、並びにまた、金属、炭素、及びリンによる汚染が殆どなく、同時に高い強度を有する成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、成形体を製造する方法であって、
少なくとも1つのパイロジェニック金属酸化物を溶媒中に懸濁する工程と、
得られた懸濁液を高エネルギーミルによって粉砕する工程と、
次に粉砕によって活性化された金属酸化物を含有する懸濁液を凝固させる工程と、
続いて凝固された懸濁液を成形する工程とを含むことを特徴とする方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
パイロジェニック金属酸化物粉は、水素/酸素炎中での金属酸化物前駆体の火炎加水分解又は火炎酸化から得られる。これは、最初に略球形の1次粒子を形成し、これらは反応の間に共に焼結しアグリゲート(Aggregate)を形成する。このアグリゲートは、その後、共に凝集してアグロメレート(Agglomeraten)を形成できる。エネルギーを導入することによって一般的に比較的容易にアグリゲートに分離できるアグロメレートとは対照的に、このアグリゲートの更なる粉砕は、仮にできたとしてもエネルギーの徹底的な導入によってのみ可能となる。
【0021】
パイロジェニック金属酸化物としては、酸化珪素(Si)、酸化アルミニウム(Al)、酸化チタン(Ti)、酸化ジルコニウム(Zr)、酸化セリウム(Ce)及びこれらの金属酸化物の混合物のいずれかを使用することが可能である。好ましくは酸化珪素を使用し、特に好ましくは二酸化珪素(SiO)(WACKER HDK(登録商標)T40)を使用する。
【0022】
懸濁液を製造するために、パイロジェニック金属酸化物粉及び様々な金属酸化物粉の混合物のいずれかを、溶媒(好ましくは水)中に撹拌することによって徐々に導入する。早すぎるゲル化を回避するために、この導入は、好ましくは5分〜90分の期間にわたって行う。
【0023】
使用する金属酸化物を活性化するために、これらを、粉砕(Vermahlung)によって高エネルギー状態にする。この粉砕は、好ましくは粉砕の間に放出される熱を除去する溶媒(好ましくは水)の存在下に行われる。
【0024】
活性な、微細に砕かれた懸濁液を製造するためには、例えば環状ギャップミルなどの摩擦ミルにおいて成分を粉砕することが有利であることが見出されている。環状ギャップミルにおいては、中央に搭載されるミリングコーンが、ベル形中空コーン中を回転する。粉砕される材料は、下からミルに投入され、ハウジングの外壁とミリングコーンの間の環状ギャップ中で粉砕され、ベルミルとも呼ばれるミルの上部部分においてミルから放出される。得られる懸濁液は、容器に収集され、ミルのインレットから再循環させることができる。
環状ギャップミルの代わりに、湿式粉砕のために当業者に既知であり、例えば直立又は水平の撹拌ボールミル(stehende oder liegende Ruhrwerkskugelmuhle)などのような全ての他の種類のミルを使用することも可能である。全てのセクションにおいて循環させることによって、溶媒は、好ましくは回路中の全てのセクションで室温に保たれる。加えて、起こり得るいかなる温度勾配も除去するために、内部冷却回路をミル中に設けることができる。
【0025】
金属酸化物を液体中に予め懸濁し、次にこの懸濁液を湿式粉砕する過程を2つの別個の工程において行う代わりに、この固体(金属酸化物及び種々の金属酸化物の混合物の少なくともいずれか)を、湿式粉砕工程の間に溶媒へ添加することもできる。この固体を予め導入するか、粉砕工程の間に高エネルギーミル中に導入するかに関わりなく、粉砕は、好ましくは固体の添加が終了した後、0.5時間〜4時間行われる。
【0026】
金属酸化物懸濁液は、当業者に既知の、鋼鉄、ガラス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、炭化珪素、窒化珪素及び他の材料のいずれかでできたビーズなどの粉砕メディアを使用することによって製造できる。材料は好ましくは、珪酸ジルコニウム、酸化ジルコニウム、及び窒化珪素からなり、特に好ましくは窒化珪素からなる。粉砕ビーズの直径は、通常0.8mm〜2.0mmである。
【0027】
懸濁液の製造によって、非常に均質な懸濁液が製造されるべきである。本発明の目的のためには、懸濁液が実質的にアグロメレートを含まなければ、均質となる。アグロメレートは、例えば触媒支持材としてなどのそれぞれの使用に供される、将来できるセラミックミクロ構造物中を不均一とする。アグロメレートの除去を確かにするために、分散操作の終わりに篩にかけることによって懸濁液から残留アグロメレートを除去することもできる。
【0028】
低粘度(例えば2Pa・s未満)かつ低降伏点(Eine niedrige Viscositaet und Fliessgrenze)を有することは、懸濁液の均一性を最適にするために重要である。これらは、pHを変更することによって達成できる。パイロジェニック二酸化珪素の場合は、これは酸の添加によって生じさせることができる。
【0029】
予め行う懸濁の間及び粉砕工程の間の両方で、pHは、2.0〜4.0の範囲、特に好ましくは2.5〜3.5の範囲に保たれる。これは、酸又は塩基を適宜添加することによって達成できる。酸又は塩基としては、後に成形体中に不純物を残存させない、又はごくわずかな量の不純物しか残さない、当業者に既知の全ての鉱物又は非鉱物の酸又は塩基を使用することが可能である。酸としては塩酸及び硝酸のいずれかが好適に使用され、塩基としてはアンモニア、好ましくはアンモニア水溶液が好適に使用される。
【0030】
金属酸化物懸濁液の固形成分含有量は、好ましくは5重量%〜40重量%、より好ましくは10重量%〜30重量%、及び特に好ましくは15重量%〜25重量%である。これは、金属酸化物懸濁液が2つの別個の工程で製造されているか、金属酸化物粉が湿式粉砕工程の間のみで添加されているかに依存しない。
【0031】
凝固工程においては、活性化金属酸化物を含有する懸濁液は、pH変化及び1つ以上の金属酸化物の更なる添加のいずれかによって、その均一な安定した流体状態から懸濁液が凝固しペースト状の塊を与え始める状態へと変換される。この凝固状態の懸濁液は、粘弾性固体と呼ぶことができる。即ちその貯蔵弾性率G′が、その損失弾性率G″の数倍高くなっている。
【0032】
ペースト状の塊を形成させる凝固工程を、微粉の金属酸化物又は種々の金属酸化物の混合物を懸濁液中へ更に混入撹拌することによって行う場合、これには、適切ならば、ゲル化過程を促進するための例えばアンモニア水溶液などの塩基の添加の追加も伴わせることができる。
【0033】
更なる微粉の金属酸化物の添加が終了するまで、pHは、例えば塩酸などの酸を適宜添加することによって2〜4の範囲に保つことができる。この添加量の固体の追加が終了した後、適切ならば、pHを、撹拌しながら例えばアンモニア水溶液などの塩基を滴下することによって、4〜10の範囲に、特に好ましくは5〜8の範囲に調整することができる。ここでは、pHの変更及び1つ以上の金属酸化物の添加の少なくともいずれかがレオロジーを変化させる。ゲル状成形組成物が、液体懸濁液から形成される。追加で添加される微粉の金属酸化物の懸濁液中に存在する金属酸化物に対する量の比は、通常、1:1から微粉金属酸化物1部に対し懸濁液中の金属酸化物2部の割合までである。混入撹拌する際、確実に、導入する金属酸化物が最初に活性化されている金属酸化物懸濁液中に非常に均一に分配され、ペースト状の塊において不均一にさせられないように注意しなければならない。高いせん断力を使用して懸濁液中に金属酸化物粉を混合するのは、避けるべきである。それは、さもなければ、その後の成形工程のために適切な組成物の可塑性が再び失われ、組成物が液状になり過ぎるからである。液状になりすぎた懸濁液は、より長い時間(数時間〜数日)放置することで、後の成形工程のために必要とされる適切な可塑特性を取り戻すことができる。
【0034】
組成物の混合が不十分である場合、成形組成物内の不均一性は、後の成形工程に好ましくない影響を及ぼし得る。この場合、低い機械的安定性を有する成形体又は成形のために絶対的に不適当な塊が形成される。成形組成物中の固形金属酸化物の割合は、例えばパイロジェニックSiOに基づく支持材料の場合では、10重量%〜40重量%である。
【0035】
成形方法として錠剤化を行う場合は、より高い固形成分含有量を選択することが有利である。沈殿させた金属酸化物粒子をパイロジェニック金属酸化物粒子に加える場合、例えば沈殿させたシリカの場合、分散液の固形成分含有量を40重量%から最大60重量%まで増加させることが可能である。
【0036】
代わりに、凝固工程を、pHの変更だけによって行うこともできる。本発明のこの実施形態においては、アンモニア水溶液を徐々に、好ましくは滴下することによって、活性化懸濁液のpH値を最終的に4〜10の範囲、特に好ましくは、5〜8の範囲の値に上昇させ、組成物をゲル化する。組成物の微細な造粒を防止するために、更なる混合は直ちに止める(撹拌器の中断)。可塑化可能組成物の固形成分含有量は、通常、10重量%〜40重量%である。
【0037】
組成物の成形は、例えば押出成形、錠剤化、及びプレス成形のいずれかによって行うことができる。成形体は、好ましくは、押出成形によって製造される。ここでは、当業者に既知の全ての装置、例えば押出成形機、スクリュー押出成形機、タブレット成形機、連続プレス、及びラム押出機(Kolbenstrangpresse)などを想定することができる。成形組成物に作用して、組成物の液状化及び成形組成物の相分離をもたらし得るせん断力を更には与えないか少量しか与えないラム押出機を使用することが好ましい。
【0038】
成形体の構造は、それぞれの場合に選択される成形手段によって決定される。例えば、環状物、小粒、円筒、車輪、及び球などの構造を製造することが可能である。環状物及び小粒の長さは、成形の後に切断装置を直接使用することで規定される。成形体は、当業者に既知の方法(乾燥器、赤外線加熱(IR−Heizung)、及びマイクロ波)によって乾燥する。乾燥は、25℃〜200℃、好ましくは30℃〜100℃、特に好ましくは40℃〜80℃の範囲の温度で行う。乾燥時間は、金属酸化物の水に対する比に依存するが、0.5時間〜50時間、好ましくは2時間〜30時間の範囲である。
成形触媒体の乾燥は、なお重大であり、過度に急速な乾燥(例えば高すぎる温度及び低すぎる大気湿度のいずれかによる)は、なお存在する水蒸気が材料から細孔を経由して十分に速く脱出するのを許容せず、それゆえ成形体中にひびを形成させるか成形体を崩壊させ得る。
【0039】
乾燥された後成形体は、か焼(Kalzinierung)される。か焼方法としては、当業者に既知の全ての通例の方法を用いることが可能である。か焼は、大気中の炉の中で行うことが好ましく、このとき酸素含有量を変化させることができ更なる気体を空気に混入することができる。ここでは、種々の保護ガスの使用が可能である。適切な保護ガスとしては、当業者に既知の全ての保護ガスが挙げられ、特に好ましいのは、窒素、アルゴン、及びヘリウムのいずれかである。空気は、同じく保護ガスによって完全に置き換えることができる。か焼は、500℃〜1,250℃、好ましくは700℃〜1,100℃、及び特に好ましくは850℃〜1,000℃の範囲の温度で行う。焼結時間は、0.5時間〜20時間の範囲内であり;典型的な焼結時間は2時間〜10時間の範囲内である。か焼は、大気圧下及び減圧下のいずれかで行うことができる。本発明の方法は、従来技術において通例得られるものと同じ強度を、より低いか焼温度で達成することを可能にする。
【0040】
か焼工程は、触媒過程のための重要なパラメーターである触媒支持材の表面積を減少させる。しかし、本発明による支持材料は、その優れた均一性のために、か焼処理なし又は低い温度でのか焼処理によってでさえも申し分のない安定性を示すので、従来技術の支持材よりも高い純度のみならず従来技術の支持材よりも著しく大きな支持材表面積及び細孔容積を有することができる。
【0041】
本発明の方法から得られる成形体は、概して、成形体の特性及び特に成形体中に存在する多孔質材の特性を有する材料の使用が望ましい、当業者に既知の全ての方法及び作業工程において使用できる。本発明の成形体は、特に化学反応における触媒として好適に使用されるか、本方法に適合するそれぞれの活性成分を塗布された後対応する支持触媒体を与える支持材料として役に立つ。
【0042】
本発明の方法から得られる成形体は、例えば、押出補助材、細孔形成剤、及びゾルのいずれかなどの補助材/添加物の通例の添加なしで製造されることによっても特徴づけられる。補助材を省略することによって、(例えばパイロジェニック)金属酸化物の化学的純度を高く維持することが可能になる。支持材料の形は、本発明の方法にとっては重大でない。活性成分を、成形工程の前にペースト状の塊に添加し、従って成形工程の後には支持材料中に既に多かれ少なかれ微細に分配されるようにするか、例えば含浸によって触媒支持材の製造の後に初めてその後の処理工程として塗布するかは、同様に本発明にとって重大ではない。
【0043】
高純度の出発粉及び高純度製造方法のために、高純度金属酸化物を別の高純度金属酸化物でターゲットドーピングすることが可能である。例としては、パイロジェニックSiOをパイロジェニックAlでドーピングすることによって酸性触媒支持材を製造することが挙げられる。このドーピングは、SiO中にルイス酸中心群(Lewis−saure Zentren)を作りだす。同様に、高純度混合酸化物を、SiO、Al、ZrO、及びTiOなどの高純度酸化物から製造することができる。
【0044】
微細に砕かれた酸化物の本発明による使用は、非常に高い表面積を有する成形体をもたらす。達成されるBET表面積は、30m/g〜500m/g、好ましくは150m/g〜450m/g、及び特に好ましくは250m/g〜400m/gの範囲内にある。微細に砕かれた酸化物は、0.5ml/g〜1.8ml/g、好ましくは0.7ml/g〜1.5ml/g、及び特に好ましくは0.9ml/g〜1.3ml/gの範囲の高細孔容積を有する成形体の製造ももたらす。
【0045】
微細な細孔を有する成形体を、微細に砕かれた金属酸化物から焼結によって形成することができる。10nm〜20nmの範囲の直径を有する細孔の割合は、通常50%を超える割合、好ましくは60%を超える割合、及びなお特に好ましくは70%を超える割合である。
【実施例】
【0046】
(実施例1)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を40g、160gの脱イオン水中に入れて撹拌し、珪酸ジルコニウム粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:0.8mm〜1.0mm)を含む環状ギャップミル(Ringspaltmuhle)中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、40gの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、370m/gの表面積(BET表面積)及び1.1ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、10Nであった。
【0047】
(実施例2)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を20g、180gの脱イオン水中に入れて撹拌し、ガラス粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、20gの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に550℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、280m/gの表面積(BET表面積)及び1.1ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、9Nであった。
【0048】
(実施例3)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を35g、160gの脱イオン水中に入れて撹拌し、セリウム安定化酸化ジルコニウム粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:0.8mm)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、33gの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、360m/gの表面積(BET表面積)及び1.3ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、10Nであった。
【0049】
(実施例4)
成形体を95℃の温度及び65%の大気湿度で6時間乾燥し、そして次に950℃で2時間か焼したこと以外は実施例3と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、310m/gの表面積(BET表面積)及び1.0ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、19Nであった。
【0050】
(実施例5)
成形体を75℃の温度及び75%の大気湿度で10時間乾燥し、そして次に1,050℃で5時間か焼したこと以外は実施例3と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、170m/gの表面積(BET表面積)及び0.9ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、20Nであった。
【0051】
(実施例6)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を40g、160gの脱イオン水中に入れて撹拌し、イットリウム安定化酸化ジルコニウム粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:0.8mm)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、40gの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、350m/gの表面積(BET表面積)及び1.3ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、8Nであった。
【0052】
(実施例7)
成形体を950℃で8時間か焼したこと以外は実施例6と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、300m/gの表面積(BET表面積)及び1.1ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、19Nであった。
【0053】
(実施例8)
成形体を900℃で2時間か焼したこと以外は実施例6と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、320m/gの表面積(BET表面積)及び1.2ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、13Nであった。
【0054】
(実施例9)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を36g、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、酸化アルミニウム粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、32gの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び70%の大気湿度で12時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、350m/gの表面積(BET表面積)及び1.2ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、9Nであった。
【0055】
(実施例10)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を36g、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、34gの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び80%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、330m/gの表面積(BET表面積)及び1.2ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、18Nであった。
【0056】
(実施例11)
成形体を950℃で2時間か焼したこと以外は実施例10と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、310m/gの表面積(BET表面積)及び1.1ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、22Nであった。
【0057】
(実施例12)
成形体を900℃で8時間か焼したこと以外は実施例10と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、320m/gの表面積(BET表面積)及び1.2ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、25Nであった。
【0058】
(実施例13)
成形体を1,100℃で8時間か焼したこと以外は実施例10と同様にして、支持材料を製造した。本発明による環状支持体は、120m/gの表面積(BET表面積)及び0.6ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、60Nであった。
【0059】
(実施例14)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を10kg、40kgの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む撹拌ボールミル中で2時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、5kgの微粉のパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合5.5mmの長さと、5.5mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、360m/gの表面積(BET表面積)及び1.3ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、6Nであった。かさ密度は、270g/lであった。
【0060】
(実施例15)
成形体が5.5mmの長さと、5.5mmの外径と、2.5mmの穴を有していたこと以外は実施例14と同じにして、支持材料を製造した。成形体は、900℃で8時間か焼した。本発明による環状支持体は、290m/gの表面積(BET表面積)及び1.2ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、10Nであった。かさ密度は、320g/lであった。
【0061】
(実施例16)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を36g、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、50m/gの表面積(BET表面積)を有する微粉のパイロジェニック二酸化チタン20gを、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び70%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、250m/gの表面積(BET表面積)を有していた。
【0062】
(実施例17)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を36g、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、50m/gの表面積(BET表面積)を有する微粉のパイロジェニック二酸化チタン25gを、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、180m/gの表面積(BET表面積)を有していた。
【0063】
(実施例18)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を36g、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、10gの60m/gの表面積(BET表面積)を有する微粉のパイロジェニック二酸化ジルコニウムを、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、300m/gの表面積(BET表面積)を有していた。
【0064】
(実施例19)
表面積(BET表面積)が100m/gであるパイロジェニック酸化アルミニウムを36g、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、12gの60m/gの表面積(BET表面積)を有する微粉のパイロジェニック二酸化ジルコニウムを、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、85m/gの表面積(BET表面積)を有していた。
【0065】
(実施例20)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)30gと5gの50m/gの表面積を有するパイロジェニック二酸化チタンとを、164gの脱イオン水中に入れて撹拌し、窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む環状ギャップミル中で2.5時間循環させかつ粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、5gの50m/gの表面積(BET表面積)を有する微粉のパイロジェニック二酸化チタンと15gのパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)とを、ペーストのようなゲル状塊が形成されるまで、分散液中に入れて撹拌した。この組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合6mmの長さと、6mmの外径と、3mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で24時間乾燥し、そして次に650℃で1.5時間か焼した。本発明による環状支持体は、320m/gの表面積(BET表面積)を有していた。
【0066】
(実施例21)(pHの変更による凝固)
パイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を4kg、35kgの脱イオン水中に入れて撹拌した。塩酸を添加することによってpHを2.8に調整し、一定に保った。連続的に撹拌しながら、4.5kgのパイロジェニックシリカ(WACKER HDK(登録商標) T40)を更に入れて撹拌した。金属酸化物粉の添加終了後、更なる塩酸の添加によってpHを一定値(pH2.8)に維持しながら、混合物を更に10分間ホモジナイズし、次に懸濁液を窒化珪素粉砕ビーズ(粉砕ビーズの直径:2.0mm、充填度:70容量%)を含む撹拌ボールミル中で45分間粉砕した。粉砕工程の間の角速度は11m/sであった。粉砕の終了後、pH値が6.2になり、塊がゲル化するまで、連続的に撹拌しながら懸濁液にアンモニア水溶液を添加した。得られた組成物を、適切なダイを通してラム押出機中に押出して望ましい形に成形し、そして成形体に望まれる長さに適宜切断した。得られた成形体、この場合5.5mmの長さと、5.5mmの外径と、2.5mmの穴を有する環状物を、85℃の温度及び75%の大気湿度で8時間乾燥し、そして次に650℃で3時間か焼した。本発明による環状支持体は、270m/gの表面積(BET表面積)及び1.2ml/gの細孔容積を有していた。この環状物の横方向の機械的強度は、10Nであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形体を製造する方法であって、
少なくとも1つのパイロジェニック金属酸化物(pyrogen hergestelltes Metalloide)を溶媒中に懸濁する工程と、
得られた懸濁液を高エネルギーミルによって粉砕する工程と、
次に粉砕によって活性化された金属酸化物を含有する懸濁液を凝固させる工程と、
続いて凝固された懸濁液を成形する工程とを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
パイロジェニック金属酸化物として、Si、Al、Ti、Zr、及びCeからなる群から選択される1つ以上の化合物を使用する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パイロジェニック金属酸化物としてSiOを使用する請求項2に記載の方法。
【請求項4】
溶媒として水を使用する請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
溶媒を循環させる請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
摩擦ミル(Reibmuhle)、環状ギャップミル(Ringspaltmuhle)、及び撹拌ボールミル(Ruhrwerkskugelmuhle)のいずれかで粉砕する請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
溶媒に金属酸化物を前懸濁させる工程を省略し、前記金属酸化物の前記溶媒への添加を湿式粉砕工程の間に行う請求項1から6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
懸濁液を0.5時間〜4時間粉砕する請求項1から7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
粉砕媒体(Mahlwerkzeuge)として鋼鉄、ガラス、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、珪酸ジルコニウム、炭化珪素、及び窒化珪素製のビーズからなる群から選択される1つ以上のメディアを使用する請求項1から8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前懸濁工程及び粉砕工程の間のpHが2.0〜4.0の範囲にある請求項1から9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
pHを塩酸、硝酸、アンモニア、及びこれらの水溶液のいずれかによって制御する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
金属酸化物懸濁液の固形成分含有量が5重量%〜40重量%である請求項1から11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
pHの変更及び1つ以上の金属酸化物の更なる添加の中から選択される1つ以上の手段によって懸濁液の凝固が行われる請求項1から12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
pHを4〜10の範囲の値に設定することによって活性化金属酸化物を含有する懸濁液の凝固を行う請求項1から13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
1つ以上の金属酸化物を更に添加することによって活性化金属酸化物を含有する懸濁液の凝固を行う請求項1から14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
追加で添加される金属酸化物の量と、懸濁液中に存在する金属酸化物の量との比が1:1〜1:2である請求項13及び15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
pHの調節及び更なる金属酸化物の添加の少なくともいずれかが活性化懸濁液のレオロジー変化をもたらす請求項13から16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
成形工程が押出、錠剤化、及びプレス成形からなる群から選択される1つ以上の手段によって行われる請求項1から17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
得られる成形体を25℃〜200℃の範囲の温度で乾燥する請求項1から18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
成形体がか焼(Kalzinierung)される請求項1から19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
請求項1に記載の方法によって得られることを特徴とするパイロジェニック金属酸化物からなる成形体。
【請求項22】
化学反応における触媒としての請求項21に記載の成形体の使用。
【請求項23】
方法に適合したそれぞれの活性成分を塗布された後、対応する支持された触媒を与える支持材料としての請求項21に記載の成形体の使用。

【公表番号】特表2010−513177(P2010−513177A)
【公表日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540721(P2009−540721)
【出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際出願番号】PCT/EP2007/063381
【国際公開番号】WO2008/071611
【国際公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】