説明

パイロット式流調弁装置

【課題】従来に増して操作を軽くすることのできるパイロット式流調弁装置を提供する。
【解決手段】主弁16と、背圧室24と、導入小孔26と、パイロット水路28と、パイロット水路28の開度を変化させるパイロット弁30と、パイロット弁30を駆動する駆動軸46とを備え、パイロット弁30の進退運動に追従して主弁16を進退運動させて主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁装置10において、パイロット弁30の全体を背圧室24の圧力の作用する水室44内に水没状態に設けるとともに、駆動軸46をパイロット弁30の進退方向と直交する方向に設けてOリング50-1,50-2にてシールし、それらシール部間の部位とパイロット弁30とにまたがって駆動軸46の回転によりパイロット弁30を進退運動させるカム機構53を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は流調弁装置に関し、詳しくは小さな操作力で簡単に操作することのできるパイロット式流調弁装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より水栓として各種のものが用いられているが、これら水栓は主水路の開度を変化させる主弁を主弁座に対して接近離間方向に進退運動させる際に大きな力を要し、操作が重いといった問題があった。
そこで水栓における操作を軽くする手段として、かかる水栓をパイロット式流調弁装置、即ちパイロット弁を進退運動させることによって主弁をこれに追従して進退運動させ、主水路の開度を変化させる方式のパイロット式流調弁装置を内蔵した水栓とすることが考えられる。
【0003】
図8はその具体例を比較例として示した図である。
同図において200,202は主水路を形成する1次側の流入水路,2次側の流出水路で、204はその主水路上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁である。
この主弁204は、主弁座206に対し接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させ、その開度に応じて主水路における流量を調節する。
【0004】
208は主弁204の背後に形成された背圧室で、この背圧室208は、主弁204に対して内部の圧力を閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁204には、これを貫通して流入水路200と背圧室208とを連通させる導入小孔210が設けられている。
この導入小孔210は、流入水路200からの水を背圧室208に導いて背圧室208の圧力を増大させる。
主弁204にはまた、これを貫通して背圧室208と流出水路202とを連通させる水抜水路としてのパイロット水路212が設けられている。
このパイロット水路212は、背圧室208内の水を流出水路202に抜いて背圧室208の圧力を減少させる。
【0005】
214は駆動軸216に一体運動状態に設けられたパイロット弁で、このパイロット弁214が主弁204に設けられたパイロット弁座218に対し図中上下方向、即ち主弁204の進退方向と同方向に進退運動することでパイロット水路212の開度(背圧室208に対する開度)が変化せしめられる。
尚220は環状シール部材としてのOリングで、このOリング220によって、パイロット弁214及びこれと一体の駆動軸216と背圧室208との間が水密にシールされている。
【0006】
この図8に示すパイロット式流調弁装置にあっては、パイロット弁214がパイロット弁座218に向かって前進運動すると、パイロット弁214とパイロット弁座218との隙間が小さくなってパイロット水路212の開度が小となり、背圧室208からパイロット水路212を通じて流出水路202に抜ける水の量が少なくなって背圧室208の圧力は増大する。
また一方パイロット弁214が図中上向きに後退運動すると、パイロット弁214とパイロット弁座218との隙間が大きくなってパイロット水路212の開度が大となり、ここにおいて背圧室208からパイロット水路212を通じて流出水路202に抜ける水の量が多くなって背圧室208の圧力が減少する。
そして主弁204は、その背圧室208の圧力と流入水路200の圧力とをバランスさせるようにして、パイロット弁214の進退運動に追従して図中上下方向に進退運動し、主水路の開度を変化させる。
そしてその主水路の開度の変化に応じて、流入水路200から流出水路202への水の流量が調節される。
【0007】
この図8に示すパイロット式流調弁装置にあっては、背圧室208の圧力の増減に基づいて主弁204を進退運動させ、そしてその背圧室208の圧力の増減をパイロット弁214の進退運動により制御するようになしていることから、小さい力で主弁204を開閉動作させることができ、軽い操作で流量調節を行うことができる特長を有する。
【0008】
しかしながらこの図8に示すパイロット式流調弁装置の場合、パイロット弁214及びこれと一体の駆動軸216に対して背圧室208の圧力が図中上向き、即ちパイロット弁214の後退方向に作用するため、パイロット弁214を閉弁方向、即ち前進方向に駆動軸216にて駆動する際に、その圧力に抗してこれを前進移動させなければならず、その分操作が重くなるといった問題を内包している。
【0009】
本発明はこのような課題を解決すべく案出されたものである。
尚本発明に対する先行技術として下記特許文献1に開示されたものがある。
この特許文献1に開示のものは、アクチュエータの出力軸とパイロット弁とにまたがってカム機構を設け、出力軸の回転運動をカム機構によってパイロット弁の進退方向の運動に変換するようになしたものであるが、この特許文献1に開示のものにおいて、パイロット弁には圧力室の圧力が後退方向に作用しており、この点で図8に示すものと同様で、パイロット弁を閉弁方向に駆動する際に背圧室内の圧力に抵抗してこれを駆動しなければならず、その分操作が重くなるといった問題、即ち上記と同様の問題を内包するもので、本発明の課題を解決することのできないものである。
【0010】
【特許文献1】特開平1−229184号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は以上のような事情を背景とし、従来に増して操作を軽くすることのできるパイロット式流調弁装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
而して請求項1のものは、(イ)主弁座に対して接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる主弁と、(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と、(ハ)前記主水路における1次側の流入水路の水を該背圧室に導いて該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と、(ニ)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と、(ホ)該背圧室側に設けられ、前記主弁に設けられたパイロット弁座に対して接近離間方向に進退運動して、該パイロット水路の開度を変化させるパイロット弁と、(ヘ)該パイロット弁を駆動する駆動軸とを備え、該パイロット弁の進退運動に追従して前記主弁を進退運動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁装置において、前記パイロット弁の全体を前記背圧室の圧力の作用する水室内に水没状態に設けるとともに、前記駆動軸を該パイロット弁の進退方向に対して交差する方向に且つ該水室を横切るように設けて、軸方向の隔たった箇所で該水室の互いに対向する両壁にシール部材にてシールし、それらシール部間の部位と前記パイロット弁とにまたがって該駆動軸の回転若しくは軸方向の運動を該パイロット弁の前記進退方向の運動に変換する運動変換機構を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項2のものは、請求項1において、前記運動変換機構がカム機構であることを特徴とする。
【0014】
請求項3のものは、請求項1において、前記運動変換機構がギア機構であることを特徴とする。
【発明の作用・効果】
【0015】
以上のように本発明は、パイロット弁と駆動軸とを分けて、パイロット弁の全体を背圧室の圧力の作用する水室内に水没状態に設けるとともに、駆動軸をパイロット弁の進退方向に対して交差する方向に且つ水室を横切るように設けてシール部材にて水室に対しシールをなし、そしてシール部間の部位とパイロット弁とにまたがって運動変換機構を設けて、駆動軸の回転若しくは軸方向の運動をパイロット弁の進退方向の運動に変換するようになしたもので、本発明においては、パイロット弁の全体が水没状態にあることからかかるパイロット弁に対して背圧室の圧力が後退方向に作用することがなく、即ちかかるパイロット弁を背圧室の圧力に抗して前進方向に駆動しなくても良く、パイロット弁に対する前進方向の駆動を少ない力で行うことができる。
【0016】
また駆動軸に対しては軸方向に隔たったシール部のそれぞれに背圧室の圧力が互いに逆向きに働くため、パイロット弁を駆動する際に駆動軸自体に対し背圧室の圧力が抵抗力となって働くといったことがなく、駆動軸自体の操作も少ない力で行うことができる。
その結果として、本発明によれば僅かな力で軽やかにパイロット弁の駆動、ひいては流量調節を行うことが可能となる。
【0017】
ここで駆動軸は好適には軸周りに回転運動するようになしておくことができる。
また駆動軸はパイロット弁の進退方向に対して直交する方向に配向させておくことができる。
【0018】
本発明においては、上記運動変換機構をカム機構となすことができ(請求項2)、或いはかかる運動変換機構をギア機構となすことができる(請求項3)。
この場合においてギア機構はピニオンギアとラックギアとを含むものとなしておくことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本実施形態のパイロット式流調弁装置で、12,14は主水路を形成する1次側の流入水路,2次側の流出水路で、16はその主水路上に設けられたダイヤフラム弁から成る主弁である。
【0020】
主弁16は、主弁本体18とこれにより保持されたゴム製のダイヤフラム膜20とから成っている。
この主弁16は、主弁座22に対して接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる。
詳しくは、主弁座22への主弁16の着座によって主水路を遮断し、また主弁座22から図中上向きに離間することによって主水路を開放する。
また主弁座22からの離間量に応じて主水路の開度を大小変化させ、主水路を流れる水の流量を調節する。
【0021】
この主弁16の図中上側、即ち主弁16に対し流出水路14と反対側に背圧室24が設けられている。
背圧室24は、内部の圧力を主弁16に対し閉弁方向の押圧力として作用させる。
主弁16には、これを貫通して1次側の流入水路12と背圧室24とを連通させる導入小孔26が設けられている。
この導入小孔26は、流入水路12からの水を背圧室24に導いて背圧室24の圧力を増大させる。
【0022】
主弁16にはまた、これを貫通して背圧室24と2次側の流出水路14とを連通させる水抜き水路としてのパイロット水路28が設けられている。
このパイロット水路28は、背圧室24内の水を流出水路14に抜いて背圧室24の圧力を減少させる。
【0023】
30は円柱形状をなすプランジャから成るパイロット弁で、上部に大径の頭部32を有している。頭部32の頂面は部分球面形状に形成されている。
このパイロット弁30とボデー34との間、詳しくはパイロット弁30における大径の頭部32とボデー34との間には、パイロット弁30を図中上方向、即ち後退方向に付勢する復帰スプリング36が介装され、パイロット弁30に対し図中上向きにばね力を及ぼしている。
【0024】
このパイロット弁30は図中上下方向、即ち主弁16に設けられたパイロット弁座38(図2(B)参照)に対し図中上下方向(軸方向)に進退運動して、パイロット水路28の開度を変化させる。
詳しくは、パイロット弁30がパイロット弁座38に着座することでパイロット水路28が遮断され、またパイロット弁30がパイロット弁座38から図中上向きに離間することでパイロット水路28が開放される。
更にパイロット弁30のパイロット弁座38からの離間量に応じてパイロット水路28の開度が変化せしめられる。
【0025】
40は背圧室24に対してパイロット弁30周りの連通路42を介して連通状態に設けられた連通室で、本実施形態ではこれら背圧室24と連通路42及び連通室40とで背圧室24と同圧の水室44が構成されている。
パイロット弁30は、この水室44の内部に水没状態に設けられており、従ってパイロット弁30は背圧室24の圧力による抵抗を受けることなく図中上下方向に進退運動することが可能である。
【0026】
46は駆動軸で、パイロット弁30の進退方向と直交する方向に図中横向きに配向され、連通室40を横切る状態でボデー34に組み付けられている。
駆動軸46は、その一端側即ち図中左端側がボデー34から突き出す状態で先端部と中間部とがボデー34に形成された嵌合孔48-1,48-2にそれぞれ回転可能に嵌合されている。
【0027】
駆動軸46には、その先端部と中間部とに環状溝が形成されていてそこにシールリングとしての弾性を有するOリング50-1,50-2(図3参照)が嵌着されており、これらOリング50-1,50-2にて駆動軸46と連通室40、即ち水室44との間が水室44の互いに対向する両壁で水密にシールされている。
尚、図3中矢印で示しているように先端部のOリング50-1については水室44の圧力は図中右向きに作用し、また中間部のOリング50-2に対しては水室44の圧力は図中左向きに作用する。
それら反対方向に作用する圧力は互いに相殺され、従って駆動軸46に対し水室44の圧力は軸方向に作用していない。
【0028】
尚駆動軸46には径方向に突出したフランジ部52が設けられており、このフランジ部52によって駆動軸46が図中左方向に抜止めされている。
この駆動軸46の左側に突き出した部分には、図示を省略するハンドルが一体回転状態に組み付けられ、ハンドルを介して駆動軸46に回転操作力が加えられるようになっている。
【0029】
この実施形態では、駆動軸46におけるOリング50-1と50-2との間の部位と、パイロット弁30とにまたがってカム機構(運動変換機構)53が設けられている。
詳しくは、駆動軸46の先端部と中間部との間の部位、即ちOリング50-1と50-2との間の部位に偏芯カム54が一体回転状態に設けられており(図2,図3参照)、偏芯カム54の外周面がパイロット弁30の上端に当接させられている。
この偏芯カム54は、駆動軸46の回転に伴って駆動軸46の軸心周りに回転運動し、これに伴ってパイロット弁30を図中下向き即ち閉弁方向に前進運動させる働きをなす。
尚パイロット弁30の図中上向き即ち後退方向の運動は、偏芯カム54の回転に伴って復帰スプリング36がパイロット弁30を図中上向きに押し上げることで行われる。
【0030】
この実施形態では、図1に示す状態即ち主弁16が主弁座22に着座し、またパイロット弁30がパイロット弁座38に着座した状態、つまり主弁16が閉弁した状態の下で駆動軸46を回転させると、これに伴って偏芯カム54が一体に回転運動し、かかる偏芯カム54の図中下端の位置を漸次上方に変位させて行く(図2(B)参照)。
これに伴ってパイロット弁30が復帰スプリング36の付勢力で上方に後退運動する。
【0031】
また一方偏芯カム54が駆動軸46と一体回転運動してその下端の位置を漸次下方に変位させることで、パイロット弁30が図中下向きに即ち閉弁方向に前進運動させられ、そして偏芯カム54の下端位置が最も下方に位置したところで図1に示す状態となって、パイロット弁30が閉弁状態となる。
而してパイロット弁30が図1に示す閉弁状態から駆動軸46の回転運動、即ち偏芯カム54の回転運動に伴って一定量図中上向きに前進移動すると、かかるパイロット弁30とパイロット弁座38との間に隙間が生ずる(図4(I)参照)。
【0032】
するとその隙間を通じて背圧室24内の水がパイロット水路28を通じて流出水路14側に抜き出され、背圧室24の圧力が減少する。
ここにおいて流入水路12の圧力が背圧室24の圧力に打ち勝つに到って、主弁16が図4(II)に示しているように図中上向きに上昇、即ち後退運動させられ、そして背圧室24の圧力と流入水路12の圧力とが丁度バランスした位置で主弁16が停止する。
このとき主弁16と主弁座22との間には隙間が生じて、その隙間を通じて流入水路12から流出水路14へと水が流れ込む。
【0033】
この状態から更にパイロット弁30が図4(III)に示しているように図中上向きに後退運動すると、背圧室24の圧力と流入水路12の圧力とをバランスさせるようにして主弁16がパイロット弁30の後退運動に追従して図中上向きに後退運動し、主水路における開度を更に大として水の流量を増大させる。
【0034】
一方、駆動軸46を逆方向に回転操作すると、偏芯カム54の回転運動に伴ってパイロット弁30が図5(I)に示しているように図中下向きに前進運動し、パイロット弁30とパイロット弁座38との間の隙間を小さくする。
すると背圧室24の圧力が増大して流入水路12の圧力に打ち勝つに到り、これにより主弁16がそれらの圧力をバランスさせるように図5(II)に示しているように図中下向きに前進運動し、主弁座22との間の隙間を小さくする。即ち流入水路12から流出水路14への水の流量を減少させる。
【0035】
この状態から更に偏芯カム54の下端の位置が下方に変位すると、パイロット弁30が図5(III)に示しているように図中下向きに前進運動し、これに追従して主弁16が図中下向きに前進運動し、水の流量を更に減少させる。
そしてパイロット弁30が主弁16に形成されたパイロット弁座38に着座し、また主弁16が主弁座22に着座することで、流入水路12と流出水路14とが遮断された状態となって、ここに流入水路12から流出水路14への水の流れが停止する(図1に示す状態)。
【0036】
これら図4及び図5に示しているように、この実施形態においてはパイロット弁30と主弁16との間、詳しくはパイロット弁座38との間に完全閉弁状態(図1に示す状態)を除いて常時それらの間に隙間を生ぜしめる。そしてその隙間を大きく又は小さく変化させることで主弁16が進退運動し、主水路の水の流量を調節する。
【0037】
以上のような本実施形態のパイロット式流調弁装置10によれば、パイロット弁30の全体が水没状態にあることから、かかるパイロット弁30に対して背圧室24の圧力が後退方向に作用することがなく、かかるパイロット弁30を背圧室24の圧力に抗して前進方向に駆動しなくても良い。これによりパイロット弁30に対する前進方向の駆動を少ない力で行うことができる。
【0038】
また駆動軸46に対しては、軸方向に隔たったOリング50-1,50-2のそれぞれに背圧室24の圧力が互いに逆向きに働くため、パイロット弁30を駆動する際に駆動軸46自体に対し背圧室24の圧力が抵抗力となって働くといったことがなく、駆動軸46自体の操作も少ない力で行うことができる。
その結果として、本実施形態によれば僅かな力で軽やかにパイロット弁30の駆動、ひいては流量調節を行うことができる。
【0039】
図6は本発明の他の実施形態を示している。
この例では水室44が背圧室24単独で構成されており、その内部にパイロット弁56が水没状態に設けられている。
パイロット弁56は略円柱形状に形成されており、かかるパイロット弁56が背圧室24に設けられた半円形状のガイド58の案内面60にて上下方向に摺動案内されるようになっている。
【0040】
駆動軸46は、この背圧室24即ち水室44を横切る状態に且つパイロット弁56の進退方向と直角方向に配設されており、そして先端部のOリング50-1と中間部のOリング50-2との間の部位とパイロット弁56とにまたがって、運動変換機構としてのギア機構61が設けられている。
【0041】
このギア機構61は駆動軸46に一体回転状態に設けられたピニオンギア62と、パイロット弁56に設けられたラックギア64とから成っている。
これらピニオンギア62及びラックギア64は互いに噛み合わされており、駆動軸46と一体にピニオンギア62が正逆両方向に回転することで、パイロット弁56が図6(B)中上下方向即ち進退方向に駆動されるようになっている。
【0042】
この図6の実施形態では、ピニオンギア62の正逆両方向の回転によってパイロット弁56が前進方向にも後退方向にも駆動され、従ってこの実施形態では上記の復帰スプリング36を省略することができる。
【0043】
図7は本発明の更に他の実施形態を示している。
この内図7(A)の例は、駆動軸46を軸方向に進退運動させるようにし、そしてその駆動軸46にカム面66を有するカム68を一体に設けてカム機構53を構成した例である。
一方図7(B)の例は、駆動軸46を回転運動させるようにし、そしてその駆動軸46にクランク部70を設けて、そのクランク部70とパイロット弁72とを連結部材74にて連結し、駆動軸46の回転運動によってパイロット弁72を図中上下方向に進退運動させるようになした例である。
ここで連結部材74は上端部と下端部とがそれぞれクランク部70及びパイロット弁72に対して相対回動可能にそれぞれに接続されている。
【0044】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施形態であるパイロット式流調弁装置を示す断面図である。
【図2】同パイロット式流調弁装置の要部拡大図である。
【図3】図2とは別の要部拡大図である。
【図4】同パイロット式流調弁装置の作用説明図である。
【図5】図4に続く作用説明図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示す断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態を示す図である。
【図8】本発明のパイロット式流調弁装置に対する比較例を示す比較例図である。
【符号の説明】
【0046】
10 パイロット式流調弁装置
12 流入水路
14 流出水路
16 主弁
22 主弁座
24 背圧室
26 導入小孔
28 パイロット水路
30 パイロット弁
38 パイロット弁座
44 水室
46 駆動軸
50-1,50-2 Oリング
53 カム機構
61 ギア機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)主弁座に対して接近離間方向に進退運動して主水路の開度を変化させる主弁と
(ロ)該主弁の背後に形成され、内部の圧力を該主弁に対して閉弁方向の押圧力として作用させる背圧室と
(ハ)前記主水路における1次側の流入水路の水を該背圧室に導いて該背圧室の圧力を増大させる導入小孔と
(ニ)該背圧室と前記主水路における2次側の流出水路とを連通させる状態に前記主弁を貫通して設けられ、該背圧室の水を該流出水路に抜いて該背圧室の圧力を減少させるパイロット水路と
(ホ)該背圧室側に設けられ、前記主弁に設けられたパイロット弁座に対して接近離間方向に進退運動して、該パイロット水路の開度を変化させるパイロット弁と
(ヘ)該パイロット弁を駆動する駆動軸と
を備え、該パイロット弁の進退運動に追従して前記主弁を進退運動させて前記主水路の流量調節を行うパイロット式流調弁装置において
前記パイロット弁の全体を前記背圧室の圧力の作用する水室内に水没状態に設けるとともに、前記駆動軸を該パイロット弁の進退方向に対して交差する方向に且つ該水室を横切るように設けて、軸方向の隔たった箇所で該水室の互いに対向する両壁にシール部材にてシールし、それらシール部間の部位と前記パイロット弁とにまたがって該駆動軸の回転若しくは軸方向の運動を該パイロット弁の前記進退方向の運動に変換する運動変換機構を設けたことを特徴とするパイロット式流調弁装置。
【請求項2】
請求項1において、前記運動変換機構がカム機構であることを特徴とするパイロット式流調弁装置。
【請求項3】
請求項1において、前記運動変換機構がギア機構であることを特徴とするパイロット式流調弁装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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