説明

パケット交換装置

【課題】アドレステーブルの容量を削減し、さらにリングポート間でパケットを中継する際に高速な検索回路を必要としないパケット交換装置を得る。
【解決手段】アドレステーブル7には、自パケット交換装置の支線回線ポート2に接続された端末装置のアドレスのみを記憶させ、パケット交換部6は、支線回線ポート2からパケットを受け取った場合、リング上の最終中継点を示すパケット交換装置1の識別子を付加してリング回線ポート3に中継するとともに、一方のリング回線ポート3からパケットを受け取った場合、この受け取ったパケットの宛先がアドレステーブル7に登録されているときは支線回線ポート3に中継し、自パケット交換装置がパケットの最終中継点でないときは他方のリング回線ポート3に中継するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、お互いがリング状に接続された、またはリピーターハブを中心にスター状に接続されたパケット交換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ネットワークの信頼性を高める技術としてパケット交換装置をリング状に接続する方法が一般的に知られている。この方法では、伝送路の1箇所が断線した場合、その他のパケット交換装置は断線した箇所を逆周りに迂回してパケットを中継し、残りのパケット交換装置でネットワークの機能を維持することができる(例えば、特許文献1参照)。
この従来技術によれば、パケット交換装置は、パケットを交換するパケット交換部と、受信したパケットに記された送信元端末装置の物理アドレスである送信元MAC(Media Access Control)アドレスをMACアドレス学習情報として保持するアドレステーブルと、受信したパケットに記された宛先MACアドレスとアドレステーブルに保持されたMACアドレス学習情報を比較し、転送先のリング回線ポートまたは支線回線ポートを決定する機能を持つ。
例えば、送信元端末装置から宛先端末装置に至る経路上のパケット交換装置は、リング回線ポートまたは支線回線ポートから受信したパケットに記された宛先MACアドレスを検索キーとしてアドレステーブルを検索し、該当の宛先端末装置がその先に存在するリング回線ポートまたは支線回線ポートを選択し、中継する。これにより、送信元端末装置から宛先端末装置にパケットが届けられる。
【0003】
【特許文献1】特開2004−201009号公報(第5〜10頁、図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のパケット交換装置は、以上のように構成されるので、ネットワーク上の全ての端末装置のMACアドレスをアドレステーブルで管理する必要があり、ネットワーク規模が大きくなるに従い、アドレステーブルが不足する問題があった。
また、リング状のネットワークでは、パケット交換装置のリングポート間のパケット中継時間とスループットがネットワーク全体の性能に大きく影響する。リングポート間のパケット中継時間とスループットを決定する一番の要素は、リングポート間でパケットを中継する際のアドレステーブルの検索時間とスループットであり、ネットワーク全体の性能を向上するために高速な検索回路が必要であった。
【0005】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、アドレステーブルの容量を削減し、さらにリングポート間でパケットを中継する際に高速な検索回路を必要としないパケット交換装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に関わるパケット交換装置は、互いにリング状に接続されてネットワークを構成するパケット交換装置において、
ネットワークに接続され、それぞれ送受信を行う2つのリング回線ポート、端末装置が接続される支線回線ポート、リング回線ポート及び支線回線ポート間でパケットを交換するパケット交換部、及び自パケット交換装置の支線回線ポートに接続された端末装置のアドレスを記憶するアドレステーブルを備え、
パケット交換部は、支線回線ポートからパケットを受け取った場合、リング上の最終中継点を示すパケット交換装置の識別子を付加して2つのリング回線ポートのいずれか一方または両方に中継するとともに、一方のリング回線ポートからパケットを受け取った場合、この受け取ったパケットの宛先がアドレステーブルに登録されているときは支線回線ポートに中継し、自パケット交換装置が受け取ったパケットに付与された最終中継点でないときは他方のリング回線ポートに中継するものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明は、以上説明したように、互いにリング状に接続されてネットワークを構成するパケット交換装置において、
ネットワークに接続され、それぞれ送受信を行う2つのリング回線ポート、端末装置が接続される支線回線ポート、リング回線ポート及び支線回線ポート間でパケットを交換するパケット交換部、及び自パケット交換装置の支線回線ポートに接続された端末装置のアドレスを記憶するアドレステーブルを備え、
パケット交換部は、支線回線ポートからパケットを受け取った場合、リング上の最終中継点を示すパケット交換装置の識別子を付加して2つのリング回線ポートのいずれか一方または両方に中継するとともに、一方のリング回線ポートからパケットを受け取った場合、この受け取ったパケットの宛先がアドレステーブルに登録されているときは支線回線ポートに中継し、自パケット交換装置が受け取ったパケットに付与された最終中継点でないときは他方のリング回線ポートに中継するので、アドレステーブルの容量を削減できるとともに、リングポート間でパケットを中継する際に高速な検索回路を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1によるパケット交換装置の構成を示す内部ブロック図である。
図1において、第1のパケット交換装置1は、外部に1つの支線回線ポート2と、それぞれ送受信を行う2つのリング回線ポート3a、3bを備える。内部に支線回線ポート2を終端する支線回線終端部4と、リング回線ポート3a、3bを終端するリング回線終端部5a、5bと、支線回線終端部4とリング回線終端部5a、5bの間でパケットを交換するパケット交換部6と、自身の支線回線ポート2の先に接続された端末装置のMACアドレスを記憶するアドレステーブル7を備える。
【0009】
図2は、この発明の実施の形態1によるパケット交換装置を含むネットワークを示す構成図である。
図2において、第1のパケット交換装置1a〜1gは、リング回線ポート3を用いてお互いがリング状に接続されネットワークを構成する。端末装置8a〜8uは、第1のパケット交換装置1a〜1gの支線回線ポート2に接続され、第1のパケット交換装置1a〜1gを通じてお互いにパケットを送受信する。
例えば、図2において、第1のパケット交換装置1aのアドレステーブル7には、端末装置8a〜8cの3つのMACアドレスが登録される。他の第1のパケット交換装置1b〜1gに接続された端末装置8d〜8uのアドレスを登録する必要はない。
ネットワークを構築する際に、支線回線ポート2の先に接続された端末装置8のMACアドレスをアドレステーブル7に予め固定的に設定する。
【0010】
図3は、この発明の実施の形態1によるパケット交換装置で使用されるパケットを示す構成図である。
図3(a)は、支線回線ポート2で送受信するパケットの構成図であり、パケット先頭から順に、宛先端末装置8を示す宛先MACアドレス、送信元端末装置8を示す送信元MACアドレス、パケット本体であるペイロードで構成される。
図3(b)は、リング回線ポート3で送受信するパケットの構成図であり、支線回線ポート2で送受信するパケットのさらに先頭に、そのパケットに対するリング上の最終中継点を示す終端パケット交換装置IDが付加されている。
【0011】
図4は、この発明の実施の形態1によるパケット交換装置の動作を示す真理値表である。
図4において、リング回線ポートからパケットを受信した場合、自身が受信パケットの終端パケット交換装置であるか否か、および受信パケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているか否かに応じて、パケットの処理方法を示している。
【0012】
次に、動作について説明する。
図1において、第1のパケット交換装置1は、端末装置8から支線回線ポート2にパケットを受信した場合、自身から最も遠く、お互いが隣接する2台の第1のパケット交換装置1の識別子を、終端パケット交換装置IDとして、パケット先頭に付加した2つのパケットを、リング回線ポート3a、3bのそれぞれに中継する。このとき、隣接する2台の第1のパケット交換装置1に右回りと左回りのパケットが重複して到着しないように、終端パケット交換装置IDを付加する。
あるいは、自身のいずれか一方のリング回線ポート3に接続された第1のパケット交換装置1の識別子を終端パケット交換装置IDとして、パケット先頭に付加し、他方のリング回線ポート3に中継する。
【0013】
第1のパケット交換装置1は、リング回線ポート3a、3bのいずれか一方からパケットを受信した場合、自身が受信パケットの終端パケット交換装置であるか否か、および受信パケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているか否かに応じて、図4に示す真理値表に従って動作する。
【0014】
例えば、図2において、端末装置8aから端末装置8hにパケットを送信する場合、第1のパケット交換装置1aは、支線回線ポート2からリング回線ポート3a、3bの両方に中継する。リング回線ポート3bに中継するパケットでは終端パケット装置IDとしてパケット交換装置1dを設定し、リング回線ポート3aに中継するパケットではパケット交換装置1eを設定する。
第1のパケット交換装置1b、1f、1gは、一方のリング回線ポート3から他方のリング回線ポート3に中継する(図4のNo.4に該当)。
第1のパケット交換装置1cは、一方のリング回線ポート3から他方のリング回線ポート3に中継すると共に、パケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているため、支線回線ポート2に中継する(図4のNo.3に該当)。
第1のパケット交換装置1d、1eは、自身が受信パケットの終端パケット交換装置であるため、パケットを廃棄する(図4のNo.2に該当)。
端末装置8aが端末装置8cに宛てたパケットを送信する場合には、このパケットは端末装置8b、8cとパケット交換装置1aのすべてに到達する。パケット交換装置1aから他のパケット交換装置1b〜1gに不要なパケットを送信しないようにするために、パケット交換装置1では、支線回線ポート2からのパケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているかどうかをチェックし、アドレステーブル7に登録されている場合は、リング回線ポート3a、3bに中継しないようにしてもよい。
【0015】
実施の形態1によれば、以上のように、第1のパケット交換装置1は、アドレステーブル7に登録するMACアドレス数が自身の支線回線ポート2に接続された端末装置8の台数で限定され、容量を大幅に削減することができる。
また、MACアドレス登録数が少ないため、宛先MACアドレスを簡易な回路で高速に検索でき、装置コストを大幅に削減することができる。
【0016】
実施の形態2.
図5は、この発明の実施の形態2によるパケット交換装置の構成を示す内部ブロック図である。
図5において、第2のパケット交換装置9は、外部に1つの支線回線ポート2と、1つの上位回線ポート10を備える。内部に支線回線ポート2を終端する支線回線終端部4と、上位回線ポート10を終端する上位回線終端部11と、支線回線終端部4と上位回線終端部11の間でパケットを交換するパケット交換部6と、自身の支線回線ポート2の先に接続された端末装置のMACアドレスを記憶するアドレステーブル7を備える。
【0017】
図6は、この発明の実施の形態2によるパケット交換装置を含むネットワークを示す構成図である。
図6において、第2のパケット交換装置9a〜9gは、上位回線ポート10を用いてリピーターハブ12に接続されスター状のネットワークを構成する。端末装置8a〜8uは、第2のパケット交換装置9a〜9gの支線回線ポート2に接続され、第2のパケット交換装置9a〜9gを通じてお互いにパケットを送受信する。
【0018】
実施の形態2における支線回線ポート2および上位回線ポート10で送受信するパケットの構成は、いずれも図3(a)に示した実施の形態1における支線回線ポート2のパケット構成と同一である。
【0019】
図7は、この発明の実施の形態2によるパケット交換装置の動作を示す真理値表である。
図7において、上位回線ポート10からパケットを受信した場合、受信パケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているか否かに応じて、パケットの処理方法を示している。
【0020】
次に、動作について説明する。
図5において、第2のパケット交換装置9は、端末装置8から支線回線ポート2にパケットを受信した場合、上位回線ポート10に中継する。
第2のパケット交換装置9は、上位回線ポート10からパケットを受信した場合、受信パケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているか否かに応じて、図7に示す真理値表に従って動作する。
リピーターハブ12は、一つのポートにパケットを受信した場合、他の全てのポートに中継する。
【0021】
例えば、図6において、端末装置8aから端末装置8hにパケットを送信する場合、第2のパケット交換装置9aは、支線回線ポート2から上位回線ポート10に中継する。
リピーターハブ12は、第2のパケット交換装置9aからパケットを受信すると、第2のパケット交換装置9b〜9gに送信する。
第2のパケット交換装置9b、9d〜9gは、リピーターハブ12からパケットを受信すると、宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されていないため、廃棄する(図7のNo.2に相当)。
第2のパケット交換装置9cは、リピーターハブ12からパケットを受信すると、宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているため、支線回線ポート2に中継する(図7のNo.1に相当)。
【0022】
実施の形態2によれば、以上のように、第2のパケット交換装置9は、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0023】
実施の形態3.
図8は、この発明の実施の形態3によるパケット交換装置の構成を示す内部ブロック図である。
図8において、第3のパケット交換装置13は、外部に2つ以上の支線回線ポート2a〜2nと、2つのリング回線ポート3a、3bを備える。内部に支線回線ポート2a〜2nを終端する支線回線終端部4a〜4nと、リング回線ポート3a、3bを終端するリング回線終端部5a、5bと、支線回線終端部4とリング回線終端部5a、5bの間でパケットを交換するパケット交換部6と、自身の支線回線ポート2a〜2nの先に接続された端末装置のMACアドレスを記憶するアドレステーブル7と、支線回線ポート2a〜2nからパケット交換部6へパケットを多重、およびパケット交換部6から支線回線ポート2a〜2nへパケットをコピーして中継するパケット多重分離部14を備える。
【0024】
図9は、この発明の実施の形態3によるパケット交換装置を含むネットワークを示す構成図である。
図9において、第3のパケット交換装置13a〜13gは、リング回線ポート3を用いてお互いがリング状に接続され、ネットワークを構成する。端末装置8a〜8uは、第3のパケット交換装置13a〜13gの支線回線ポート2に接続され、第3のパケット交換装置13a〜13gを通じてお互いにパケットを送受信する。
例えば、図9において、第3のパケット交換装置13aのアドレステーブル7には、端末装置8a〜8cの3つのMACアドレスが登録される。他の第3のパケット交換装置13b〜13gに接続された端末装置8d〜8uのアドレスを登録する必要はない。
【0025】
実施の形態3における支線回線ポート2とリング回線ポート3のパケット構成図は、実施の形態1と同様である。
【0026】
次に、動作について説明する。
図8において、第3のパケット交換装置13は、端末装置8から支線回線ポート2a〜2nのいずれか1つにパケットを受信した場合、実施の形態1と同様にリング回線ポート3a、3bのいずれか一方または両方に中継する。
第3のパケット交換装置13は、リング回線ポート3a、3bのいずれか一方からパケットを受信した場合、実施の形態1と同様に図4に示す真理値表に従って動作する。但し、図4のNo.1とNo.3の場合、支線回線ポート2a〜2n全てに中継する。
パケット多重分離部14は支線回線ポート2間の交換機能を持たないため、例えば端末8aから端末8bなどの同一パケット交換装置13に接続する端末8間でパケットを送受信することがある場合は、パケット交換部6でパケット多重分離部14からのパケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に登録されているかどうかをチェックし、アドレステーブル7に登録されている場合は、パケット多重分離部14に送信してもよい。アドレステーブル7に登録されている場合には、リング回線ポート3a、3bには中継しないようにしてもよいし、無駄にはなるがリング回線ポート3a、3bに中継するようにしてもよい。また、パケット多重分離部14からのパケットを、パケット交換部13がパケット多重分離部14に常に送信するようにしてもよい。
【0027】
実施の形態3によれば、以上のように、第3のパケット交換装置13により実施の形態1と同様の効果が得られると共に、第3のパケット交換装置13は、複数の支線ポートを備えるため、実施の形態1における複数の端末装置が1つの支線ポートを共有する場合に比較し、各端末装置が各支線ポートの伝送帯域を占有でき、各端末装置に広帯域なネットワークを提供することができる。
【0028】
なお、実施の形態3では、実施の形態1と同様のリング状のネットワークにおける例を示したが、実施の形態2と同様のスター状のネットワークであっても同様に動作でき、同様の効果が得られる。
【0029】
実施の形態4.
実施の形態4における第4のパケット交換装置及びこれが含まれるネットワークは、実施の形態1〜実施の形態3のいずれかのパケット交換装置及びネットワークと同じ構成である。
【0030】
実施の形態4における第4のパケット交換装置は、アドレステーブル7の管理方法のみが実施の形態1〜実施の形態3におけるものと異なっている。
第4のパケット交換装置は、支線回線ポート2から受信されたパケットの送信元MACアドレスを参照し、アドレステーブル7に動的に登録する。
【0031】
実施の形態4によれば、これにより、第4のパケット交換装置は、実施の形態1〜実施の形態3と同様の効果が得られると共に、端末装置8の追加時にアドレステーブル7を手動で再設定する必要がなく、端末装置8の追加が容易になり、ネットワークの保守コストを削減することができる。
【0032】
実施の形態5.
実施の形態5における第5のパケット交換装置及びこれが含まれるネットワークは、実施の形態1〜実施の形態3のいずれかのパケット交換装置及びネットワークと同じ構成である。
【0033】
実施の形態5における第5のパケット交換装置は、アドレステーブル7の管理方法のみが実施の形態4におけるものと異なっている。
第5のパケット交換装置は、アドレステーブル7から、使用されないMACアドレスを定期的かつ自動的に消去する。これはアドレステーブル7に特定期間に検索で使用されたかどうかを示す値を格納しておいて、これを定期的にチェックし、使用されていないMACアドレスが検出されれば、自動的に消去するものである。
【0034】
実施の形態5によれば、第5のパケット交換装置は、実施の形態4と同様の効果が得られると共に、端末装置8の追加ばかりでなく、削除、移動、交換時にアドレステーブル7を手動で再設定する必要がなく、端末装置8の削除、移動、交換が容易になり、さらにネットワークの保守コストを削減することができる。
【0035】
実施の形態6.
実施の形態6における第6のパケット交換装置及びこれが含まれるネットワークは、実施の形態1〜実施の形態3のいずれかのパケット交換装置及びネットワークと同じ構成である。
【0036】
実施の形態6における第6のパケット交換装置は、基本的に実施の形態1〜実施の形態5におけるパケット交換装置と同様に動作し、アドレステーブル7の登録内容のみ異なっている。実施の形態1〜実施の形態5のアドレステーブル7は、自身の支線回線ポート2の先に接続された端末装置8のMACアドレスとして、ユニキャストアドレスを想定していたが、実施の形態6は、その端末装置8が所属するマルチキャストグループのアドレスであるマルチキャストアドレスをも登録するようにしている。
第6のパケット交換装置は、アドレステーブル7に対し、自身の支線回線ポート2の先に接続された端末装置8のMACアドレスに加え、これらの端末装置8が参加するマルチキャストグループに割り当てられたマルチキャストアドレスを登録する。
例えば、リング状のネットワークにおいて、第6のパケット交換装置は、リング回線ポート3a、3bのいずれか一方からパケットを受信した場合、自身が受信パケットの終端パケット交換装置であるか否か、および受信パケットの宛先MACアドレスがアドレステーブル7に、ユニキャストアドレスまたはマルチキャストアドレスとして登録されているか否かに応じて、図4に示す真理値表に従って動作する。
このとき、宛先MACアドレスがマルチキャストアドレスであるかユニキャストアドレスであるかに関わらず、同様に動作する。
【0037】
実施の形態6によれば、第6のパケット交換装置は、実施の形態1〜実施の形態5と同様の効果が得られると共に、画像配信や放送などのマルチキャスト通信を収容でき、高機能なネットワークを提供できる。
【0038】
実施の形態7.
実施の形態7における第7のパケット交換装置及びこれが含まれるネットワークは、実施の形態1〜実施の形態3のいずれかのパケット交換装置及びネットワークと同じ構成である。
【0039】
実施の形態7における第7のパケット交換装置は、基本的に実施の形態1〜実施の形態6におけるパケット交換装置と同様に動作し、アドレステーブル7の検索方法のみが異なっている。
第7のパケット交換装置は、リング回線ポートまたは上位回線ポートから受け取ったパケットの宛先MACアドレスが全端末装置8宛であることを示すブロードキャストアドレス(普通、システム内で特定のアドレスが設定される。)である場合、すなわち、そのパケットがブロードキャストパケットである場合には、アドレステーブル7を検索することなく、支線回線ポート2に中継する。
ブロードキャスト通信は、端末装置8の論理的なアドレスであるIP(Internet Protocol)アドレスから物理的なアドレスであるMACアドレスを求めるARP(Address Resolution Protocol)などで、一般的に使用される。
【0040】
実施の形態7によれば、第7のパケット交換装置は、実施の形態1〜実施の形態6と同様の効果が得られると共に、ブロードキャスト通信も行うことができ、さらに高機能なネットワークを提供できる。
【0041】
また、本発明は、上記の実施の形態1〜実施の形態7の構成態様のみに限定されるものではなく、例えば、実施の形態1〜実施の形態7の各構成を適時組み合わせることもでき、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、各種の変形を加えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】この発明の実施の形態1によるパケット交換装置の構成を示す内部ブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるパケット交換装置を含むネットワークを示す構成図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるパケット交換装置で使用されるパケットを示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるパケット交換装置の動作を示す真理値表である。
【図5】この発明の実施の形態2によるパケット交換装置の構成を示す内部ブロック図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるパケット交換装置を含むネットワークを示す構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるパケット交換装置の動作を示す真理値表である。
【図8】この発明の実施の形態3によるパケット交換装置の構成を示す内部ブロック図である。
【図9】この発明の実施の形態3によるパケット交換装置を含むネットワークを示す構成図である。
【符号の説明】
【0043】
1 第1のパケット交換装置
2 支線回線ポート
3 リング回線ポート
4 支線回線終端部
5 リング回線終端部
6 パケット交換部
7 アドレステーブル
8 端末装置
9 第2のパケット交換装置
10 上位回線ポート
11 上位回線終端部
12 リピーターハブ
13 第3のパケット交換装置
14 パケット多重分離部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いにリング状に接続されてネットワークを構成するパケット交換装置において、
上記ネットワークに接続され、それぞれ送受信を行う2つのリング回線ポート、端末装置が接続される支線回線ポート、上記リング回線ポート及び上記支線回線ポート間でパケットを交換するパケット交換部、及び自パケット交換装置の上記支線回線ポートに接続された端末装置のアドレスを記憶するアドレステーブルを備え、
上記パケット交換部は、上記支線回線ポートからパケットを受け取った場合、リング上の最終中継点を示すパケット交換装置の識別子を付加して2つの上記リング回線ポートのいずれか一方または両方に中継するとともに、一方の上記リング回線ポートからパケットを受け取った場合、この受け取ったパケットの宛先が上記アドレステーブルに登録されているときは上記支線回線ポートに中継し、自パケット交換装置が上記受け取ったパケットに付与された最終中継点でないときは他方の上記リング回線ポートに中継することを特徴とするパケット交換装置。
【請求項2】
リピーターハブを中心にスター状に接続されてネットワークを構成するパケット交換装置において、
上記リピーターハブに接続される上位回線ポート、端末装置が接続される支線回線ポート、上記上位回線ポート及び上記支線回線ポート間でパケットを交換するパケット交換部、及び自パケット交換装置の上記支線回線ポートに接続された端末装置のアドレスを記憶するアドレステーブルを備え、
上記パケット交換部は、上記支線回線ポートからパケットを受け取った場合、上記上位回線ポートに中継するとともに、上記上位回線ポートからパケットを受け取った場合、この受け取ったパケットの宛先が上記アドレステーブルに登録されているときは上記支線回線ポートに中継することを特徴とするパケット交換装置。
【請求項3】
上記支線回線ポートは複数設けられ、
いずれかの上記支線回線ポートから受け取ったパケットを上記パケット交換部に中継するとともに、上記パケット交換部から受け取ったパケットを全ての上記支線回線ポートに中継するパケット多重分離部を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2記載のパケット交換装置。
【請求項4】
上記パケット交換部は、上記パケット多重分離部からパケットを受け取った場合、この受け取ったパケットの宛先が上記アドレステーブルに登録されているときは、上記パケット多重分離部にこのパケットを送信することを特徴とする請求項3記載のパケット交換装置。
【請求項5】
上記支線回線ポートから受け取ったパケットの送信元アドレスを上記アドレステーブルに登録することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載のパケット交換装置。
【請求項6】
上記アドレステーブルに登録されたアドレスのうち、使用されない上記アドレスを定期的に消去することを特徴とする請求項5記載のパケット交換装置。
【請求項7】
上記アドレステーブルは、自パケット交換装置の上記支線回線ポートに接続された端末装置が属するマルチキャストグループを示すマルチキャストアドレスを登録することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載のパケット交換装置。
【請求項8】
上記パケット交換部は、上記支線回線ポート以外のポートから受け取ったパケットがブロードキャストパケットの場合には上記支線回線ポートに中継することを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載のパケット交換装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図2】
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【図6】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−231886(P2009−231886A)
【公開日】平成21年10月8日(2009.10.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−71325(P2008−71325)
【出願日】平成20年3月19日(2008.3.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】