説明

パタ―ン形成方法

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、半導体素子製造等のリソグラフィ工程におけるパターン形成方法に関する。
(従来の技術)
従来、リソグラフィ工程においては、g線(436nm)やi線(365nm)またはエキシマレーザ光(308nm,248nm,193nm)によるフォトリソグラフィが主流である。ところが、これらの光を用いたリソグラフィには、その光の解像限界によるレジストパターンの解像限界が存在することになり、これ以下の微細パターンを形状良く得ることは、通常のステッパを用いるのみでは不可能である。
第2図を用いて、従来のパターン形成方法について説明する。
基板1上にポジレジストMP1400を塗布し、90℃2分のプリベークを行ない、1.2μmの厚膜2′を得た{第2図R>図(a)}。NA0.42のg線ステッパにより、マスク3を介して露光4を行ない{第2図(b)}、MF319アルカリ現像液で60秒のパドル現像を行ない、パターン2′Aを形成した{第2図(c)}。
(発明が解決しようとする課題)
ところが、このような方法により得られたパターン2′Aは、マスク寸法である0.5μmのラインよりも20%細った、また、アスペクト比60℃,膜減り20%の劣化したパターンであった。このようなパターンは、後工程での不良となることは明らかであるために、このようなパターン形成方法は用いることはできないということになる。
本発明は、このような従来のパターン形成方法によるパターン解像性不良を解決することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段)
本発明は、上記従来のパターン形成方法の課題を解決するために、基板上にレジストを塗布する工程と、前記レジストをシリコン化合物の雰囲気下でプリベークを行って前記レジストの溶媒成分を蒸発させるとともに前記レジストの表面に前記シリコン化合物を吸着させる工程と、露光・現像によりパターンを形成する工程とを有することを特徴とするものである。
(作 用)
本発明に係るシラン化合物の雰囲気下でのプリベークによれば、レジスト中の溶媒が蒸発すると同時にレジスト表面にシラン化合物が吸着される。この表面付近のシラン化合物は、後の露光後の現像の際に、未露光部分の現像による膜減りを大幅に低減することができ、結局解像性の良いパターンに寄与することができる。シラン化合物の吸着による未露光部の膜減り防止の原理については、シラン化合物がレジスト中の樹脂を結合や錯体状態を形成して樹脂のアルカリ溶解阻止を実現したためと考えられる。なお、シラン化合物はレジスト中の感光成分であるジアゾ基やアジド基に対してはその感光機能に対して阻害を加えないために、露光部は現像液にて通常通り溶解する。
なお、本発明に係るシラン化合物としては、ヘキサメチルジシラザン,ヘキサエチルジシラザン,トリクロロメチルシラン,ジクロロジメチルシランのいずれか、またはその混合物等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
本発明に係るプリベークに関しては、レジストの感度低下を招かないように100℃前後が適当であるが、レジストの種類によってはこの限りではない。
なお、本発明により未露光部パターン上層に吸着したシリコン成分は、ORIE(リアクティブ・イオン・エッチング)に対して耐性が高いために、その含量が大であれば、本発明に係るパターンをマスクとして下層の有機膜をエッチングして、2層形態のパターンを形成することも可能である。
(実施例)
第1図を用いて、本発明のパターン形成方法について説明する。
半導体等の基板1上にポジレジストMP1400を塗布し、ヘキサメチルジシラザンの雰囲気にした蒸気中で、90℃2分のプリベークを行ない、ヘキサメチルジシラザンが吸着した約1.2μmの厚膜のレジスト膜2を得た{第1図R>図(a)}。次いで、NA0.42のg線ステッパにより、マスク3を介して露光4を行ない{第1図(b)}、MF319アルカリ現像液で60秒のパドル現像を行ない、パターン2Aを形成した{第1図(c)}。得られたパターン2Aは、0.5μmのライン・アンド・スペースであり、アスペクト比87゜,膜減り0%という良好なパターンであった。
(発明の効果)
本発明の方法により、通常の方法では得られない微細パターンを形状良く形成することができ、半導体製造の歩留まり向上につながり、工業的価値が大きい。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のパターン形成方法の一実施例の工程断面図、第2図は従来のパターン形成方法の工程断面図である。
1……基板、2……ヘキサメチルジシラザンの吸着したMP1400、2′……MP1400、2A……パターン、3……マスク、4……g線光。

【特許請求の範囲】
【請求項1】基板上にレジストを塗布する工程と、前記レジストをシリコン化合物の雰囲気下でプリベークを行って前記レジストの溶媒成分を蒸発させるとともに前記レジストの表面に前記シリコン化合物を吸着させる工程と、露光・現像によりパターンを形成する工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】シリコン化合物が、ヘキサメチルジシラザン,ヘキサエチルジシラザン,トリクロロメチルシラン,ジクロロジメチルシランのうちいずれか、またはその混合物であることを特徴とする請求項(1)記載のパターン形成方法。

【第1図】
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【第2図】
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