パターン修正方法
【課題】微細パターンを安定に修正することができ、修正液によって欠陥部周辺が汚染されるのを防止することが可能なパターン修正方法を提供する。
【解決手段】このパターン修正方法では、フィルム3の孔3aを欠陥部2aに位置決めし、修正ペースト13を付着させた塗布針15先端の平坦面15aを孔3aの上方に配置し、塗布針15を下降させて平坦面15aでフィルム3を基板1に押圧し、修正ペースト13を孔3a内に供給する。平坦面15aの直径は、塗布動作を1回だけ実行しても孔3aの下側の開口部まで修正ペースト13を充填できない程度の大きさに設定される。塗布動作を複数回実行して修正ペースト13を欠陥部2aに塗布する。したがって、修正ペースト13の過剰な供給を防止できる。
【解決手段】このパターン修正方法では、フィルム3の孔3aを欠陥部2aに位置決めし、修正ペースト13を付着させた塗布針15先端の平坦面15aを孔3aの上方に配置し、塗布針15を下降させて平坦面15aでフィルム3を基板1に押圧し、修正ペースト13を孔3a内に供給する。平坦面15aの直径は、塗布動作を1回だけ実行しても孔3aの下側の開口部まで修正ペースト13を充填できない程度の大きさに設定される。塗布動作を複数回実行して修正ペースト13を欠陥部2aに塗布する。したがって、修正ペースト13の過剰な供給を防止できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はパターン修正方法に関し、特に、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正方法に関する。より特定的には、この発明は、フラットパネルディスプレイの製造工程において発生する配線(電極)の断線欠陥部、あるいはカラーフィルタの白抜け欠陥部を修正するパターン修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの大型化、高精細化に伴い、ガラス基板上に形成された配線や液晶カラーフィルタなどに欠陥が存在する確率が高くなっており、歩留まりの向上を図るため欠陥を修正する方法が提案されている。
【0003】
たとえば、液晶ディスプレイのガラス基板の表面には電極が形成されている。この電極が断線している場合、塗布針先端に付着させた導電性の修正ペースト(修正液)を断線欠陥部に塗布し、電極の長さ方向に塗布位置をずらしながら複数回塗布して電極を修正する(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、欠陥部を覆うようにフィルムを設け、欠陥部とフィルムとをレーザ光を用いて略同時に除去し、除去した部分にフィルムをマスクとして修正インク(修正液)を塗布し、その後、フィルムを剥離除去する方法がある(たとえば、特許文献2,3参照)。
【0005】
さらに、予めフィルムに貫通孔を形成し、フィルムの表面の開口部と欠陥部とを所定の隙間を開けて対峙させ、孔を含む範囲でフィルムを基板に押圧するとともに孔を介して欠陥部に修正インク(修正液)を塗布し、フィルムの復元力でフィルムを基板から剥離させる方法がある(たとえば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−292442号公報
【特許文献2】特開平11−125895号公報
【特許文献3】特開2005−95971号公報
【特許文献4】特開2008−65066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、塗布針先端に付着させた修正ペーストを断線欠陥部に転写するため、その塗布径は塗布針先端の平坦面の寸法で決まり、10μm前後の塗布径を実現するのは困難であり、これを用いた細線形成も同様に難しかった。
【0008】
また、特許文献2,3の方法では、フィルムをマスクとして基板に接触させた状態で修正インクを塗布するので、10μm前後の細線で断線欠陥部を修正することが可能であるが、修正インクを孔に塗布した時点で、フィルムと基板との隙間に毛細管現象で修正インク、あるいは、その溶媒が吸い込まれ、基板を汚染することも考えられる。
【0009】
また、特許文献4の方法では、塗布針先端の平坦面からフィルムの孔内に注入される修正インクの量が過剰である場合、修正インクが欠陥部の周囲にはみ出して、修正パターンが膨らむことも考えられる。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、微細パターンを安定に修正することができ、修正液によって欠陥部周辺が汚染されるのを防止することが可能なパターン修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るパターン修正方法は、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、フィルムに開けた孔を欠陥部に位置決めする第1のステップと、修正液を付着させた塗布針先端の平坦面を孔の上方に配置する第2のステップと、塗布針を下降させて平坦面でフィルムのうちの孔の周りの部分を基板に押圧し、平坦面に付着した修正液を孔内に供給する第3のステップとを含む。平坦面の直径は、第2および第3のステップを1回だけ実行しても孔の下側の開口部まで修正液を充填できない程度の大きさに設定される。第1のステップを実行した後に第2および第3のステップを交互に複数回実行し、修正液を孔を介して欠陥部に塗布する。
【0012】
好ましくは、第1のステップでは、フィルムに開けた孔を欠陥部に対して所定の隙間を開けて対峙させる。
【0013】
また好ましくは、孔は長軸および短軸を有し、塗布針先端の平坦面の直径は、孔の短軸はよりも長く、孔の長軸よりも短い。
【0014】
また好ましくは、孔は長軸および短軸を有し、孔の長軸は欠陥部よりも長く、孔内に供給された修正液のうちの余分な修正液は孔の長軸の方向に逃がされる。
【0015】
また好ましくは、塗布針先端の平坦面の直径は30μm以下である。
また好ましくは、第2および第3のステップの実行回数は、予め実験により求められた回数に設定される。
【0016】
また好ましくは、孔の寸法と第2および第3のステップの実行回数との関係を示すテーブルを予め実験によって作成しておき、フィルムに開けた孔の寸法とテーブルとに基づいて第2および第3のステップの実行回数を設定する。
【0017】
また好ましくは、さらに、第3のステップを1回実行するごとに欠陥部を観察し、欠陥部に修正液が塗布されたか否かを判別する第4のステップを含む。
【0018】
また好ましくは、第4のステップでは、フィルム越しに欠陥部を観察する。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係るパターン修正方法は、フィルムに開けた孔を欠陥部に位置決めする第1のステップと、修正液を付着させた塗布針先端の平坦面を孔の上方に配置する第2のステップと、塗布針を下降させて平坦面でフィルムのうちの孔の周りの部分を基板に押圧し、平坦面に付着した修正液を孔内に供給する第3のステップとを含む。平坦面の直径は、第2および第3のステップを1回だけ実行しても孔の下側の開口部まで修正液を充填できない程度の大きさに設定される。第1のステップを実行した後に第2および第3のステップを交互に複数回実行し、修正液を孔を介して欠陥部に塗布する。したがって、修正液を孔内に少しずつ供給するので、修正液が孔内に過剰に供給されて修正液が欠陥部の周囲にはみ出すことがない。よって、微細パターンを安定に修正することができ、修正液によって欠陥部周辺が汚染されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施の形態によるパターン修正方法を示す図である。
【図2】図1に示した基板の表面を示す図である。
【図3】図1に示したフィルムに孔を開ける方法を示す断面図である。
【図4】図1に示したフィルムの孔を介して欠陥部に修正インクを塗布する方法を示す断面図である。
【図5】図4に示した塗布方法をより詳細に示す断面図である。
【図6】図4に示した塗布方法をより詳細に示す他の断面図である。
【図7】図1〜図6に示したパターン修正方法を示すフローチャートである。
【図8】図2で示した欠陥部に形成された修正層を示す図である。
【図9】実施の形態の変更例を示す図である。
【図10】図9で示した欠陥部を修正する方法を示す図である。
【図11】図9で示した欠陥部に形成された修正層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係るパターン修正方法では、欠陥部に応じた形状の孔をフィルムに開け、その孔を基板上に形成された微細パターンの欠陥部に位置合わせし、基板から一定距離だけ隙間を開けた状態でフィルムを配置する。隙間は、フィルムを支持する支点間距離によって異なるが、たとえば10〜1000μm程度である。孔の大きさは、孔内に塗布針先端の平坦面が落ちないように、孔の短軸は、平坦面の直径よりも短く設定される。
【0022】
この状態で、先端が非常に小さな平坦面に加工された塗布針の先端部に修正液を付着させ、その塗布針先端の平坦面で孔中央を上方から基板に押し付けると、フィルムが変形して、孔を含む微小範囲のフィルムが基板の欠陥部を含む微小範囲に接触する。接触時間は孔を塗布針が押している間であり極短時間とされる。塗布針を上方に退避させると、孔を含む微小範囲のフィルムはフィルムの復元力によって基板から離れる。
【0023】
塗布針先端の平坦面の直径が30μm以下になると、1回に塗布される修正液の量が非常に少なくなるため、1回の塗布では修正液は孔の下側の開口部まで到達せず、欠陥部に修正液は付着しない。同じ孔に対して塗布動作を複数回実施することで、孔内に溜まる修正液の量を増やし、最終的に孔の下側の開口部まで修正液を充填して欠陥部に修正液を塗布する。塗布形状は孔形状と略同じである。
【0024】
したがって、本願のパターン修正方法では、少量の修正液を孔に少しずつ充填するので、孔内に注入される修正液の量が過剰になることを防止することができる。また、フィルムが基板に接触する時間を極短時間にするので、毛細管現象によって修正液がフィルムと基板の隙間に侵入することを防止することができ、修正液によって欠陥部周辺の基板が汚染されるのを防止することができる。また、孔を修正長さよりも長めに形成すれば、塗布されるパターンは多少長めとなるが、余分な修正液は孔の延在方向に逃げることが可能となる。
【0025】
また、塗布針先端の平坦面の直径を30μm以下にすると、フィルムを基板側に押圧する範囲は塗布針の平坦面より少し大きめの範囲に限定されるため、基板上に塗布されるパターンの長軸は、塗布針先端の平坦面の直径の略3倍以下にすることが好ましい。たとえば、孔の長軸長は塗布針の平坦面の直径の3倍程度までに留めると良い。仮に3倍以上の孔にすると、基板に塗布されるパターンの両端が膨らむ傾向を示す。以下、この発明に係るパターン修正方法について図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図1(a)は、この発明の一実施の形態によるパターン修正方法を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のIB−IB線断面図である。図1(a)(b)において、このパターン修正方法では、基板1の上方に孔3aの開いたフィルム3が配置される。基板1
の表面には、図2に示すように、微細パターンである配線2が形成されており、配線2には配線2の一部が欠けたオープン欠陥部(断線欠陥部)2aが発生している。
【0027】
図1(a)(b)に戻って、このパターン修正方法では、オープン欠陥部2aを修正する形状に合わせて孔3aが形成されたフィルム3がマスクとして使用される。孔3aが欠陥部2aに位置合わせされ、フィルム3が基板1に対して隙間Gを開けて対峙した状態で配置される。フィルム3は、たとえば薄膜のポリイミドフィルムであり、その幅はマスクとして使用するのに十分な幅があれば良く、たとえば、5mm〜15mm程度にスリットしたロール状フィルムを使用する。フィルム3の厚さFtは、その下が透けて見える程度のものが好ましく、たとえば10〜25μm程度である。
【0028】
孔3aの開口部は、たとえば、短軸長がSw、長軸長がSlの長方形状に形成される。また、欠陥部2aの両端に位置する正常な配線面2bにも修正ペーストを塗布できるように、孔3aは欠陥部2aよりも長く形成するのが好ましい。孔3aの中央部を塗布針先端の平坦面Aで押圧することで修正ペーストを孔3aに少しずつ充填しながら欠陥部2aに修正ペーストを塗布する。
【0029】
孔3aは、フィルム3にレーザ光を照射することによって形成される。レーザとしては、YAG第3高調波レーザやYAG第4高調波レーザ、あるいはエキシマレーザなどのパルスレーザを用いる。図3に示すように、レーザ部4は観察光学系5の上部に固定され、レーザ部4から出射されたレーザ光は観察光学系5の下端に固定した対物レンズ6を介してフィルム3に照射される。孔3aは、たとえばレーザ部4に内蔵される可変スリット(図示せず)により整形され、対物レンズ6で集光されたレーザ光の断面形状になる。孔3aの形状および寸法は、可変スリットにより決定される。
【0030】
フィルム3に孔3aを開ける工程は、欠陥部2aの位置から離れた位置で行なわれるか、あるいは、欠陥部2aにレーザ光が当たらないようにフィルム3単体で行なわれる。たとえば、加工台7から上方に離れた位置で、2本の固定ローラ8,9間にフィルム3を水平に張り渡し、固定ローラ8,9間のフィルム3の中央部にレーザ光を照射して孔3aを形成する。加工台7の代わりに基板1上で孔3aを加工してもよい。この場合は、レーザアブレーションにより発生する異物(ごみ)が基板1上に落下しないように、フィルム3と基板1の間に遮蔽板10を挿入するとよい。
【0031】
なお、加工台7は、フィルム3に孔3aを開ける際の加工領域であり、基板1とは異なる位置に配置されるが、省略することも可能であり、その場合には遮蔽板10のみを備える。または、フィルム3と基板1の間に加工台7を加工時のみ挿入する方式であってもよい。
【0032】
このように、欠陥部2aにフィルム3を付着、あるいは密着させた状態でレーザ光による孔3aの加工を行なわないので、配線2や欠陥部2aの近傍を損傷することはない。また、フィルム3を浮かした状態で孔3aを開けるので、フィルム3の裏面に異物が付着することを抑制することができる。
【0033】
孔3aの形成が終了した時点では、孔3a周りのフィルム3面には、孔3a部を除去(レーザアブレーション)した際に発生した異物が飛散しているので、異物を除去するため、孔3aを中心としたその周りの広い範囲に弱いパワーでレーザ光を照射してもよい。このとき、レーザをYAG第2高調波レーザに切り替えて、弱いレーザパワーで孔3aを中心とする広い範囲にレーザ光を照射すれば、異物のみを除去することも可能であり、新たに異物が発生することを防止することができる。フィルム3を反転させる機構(図示せず)を用いてフィルム3の裏面も同様に処理してもよい。レーザ部4としては、孔3aを開
けるためのレーザ光と、異物を除去するためのレーザ光の2種類のレーザ光のうちのいずれかのレーザ光を選択的に出射できるものを使用するとよい。
【0034】
次に、たとえば欠陥位置情報に基づいて基板1に対してフィルム3を相対的に移動させ、図1(a)(b)に示すように、欠陥部2aの上方にフィルム3の孔3aを位置決めし、フィルム3と基板1が隙間Gを開けて対峙した状態にする。この工程は手動で行なっても構わない。フィルム3は一定の張力によって張られた状態にある。隙間Gは、フィルム3を支持する支点(たとえば図3に示した固定ローラ8,9)の間隔やフィルム3の厚さによって異なるが、たとえば10〜1000μm程度に設定される。基板1の表面に凹凸がある場合、基板1に対峙したフィルム3が、基板1とは接触しない程度の隙間Gを保ってもよいし、孔3aを含む微小範囲が、欠陥部2aと接触しないような隙間Gを保つようにしてもよい。
【0035】
図4(a)(b)は、図1(a)(b)の状態で欠陥部2aに修正ペーストを塗布する方法を示す断面図である。図4(a)において、欠陥部2aとフィルム3が一定の隙間を持って対峙し、かつ、欠陥部2aと孔3aとが位置合わせされた状態にあり、塗布ユニット11は、対物レンズ6の直下で、かつ、欠陥部2aの真上に挿入された状態にある。このとき、塗布ユニット11が対物レンズ6の下方に挿入されるが、挿入スペースを確保するため、対物レンズ6は低倍率のものに切り換えることが望ましい。たとえば、10倍の対物レンズ6の作動距離(WD)は30mm程度あり、塗布ユニット11の高さを低く設計すれば容易に挿入可能である。
【0036】
塗布ユニット11は、その底に第1の孔12aが開口され、修正ペースト13が注入された容器12と、第2の孔14aが開口され、容器12を密封する蓋14と、第1および第2の孔12a,14aと略同じ径を有する塗布針15とを含む。塗布針15の先端の平坦面15aは、第2の孔14aを貫通して修正ペースト13内に浸漬される。第1および第2の孔12a,14aの内径は、それらに貫通する塗布針15の外径よりも少し大きいが微小であるので、修正ペースト13の表面張力や容器12の撥液性により、第1の孔12aからの修正ペースト13の漏れはほとんど無い。
【0037】
容器12に形成され、修正ペースト13を注入するための穴は、孔12aに近づくに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。したがって、少ない修正ペースト13でも塗布針15の平坦面15aを浸漬することができ、経済的である。修正ペースト13の量は、たとえば20μl(マイクロリットル)である。修正ペースト13は日持ちしないものもあり、容器12は定期的に交換する。あるいは、使用済み容器12を洗浄後、再利用することも可能である。容器12の着脱を簡単にするため、容器12を手でつかみ易い構造とし、かつ、磁石の吸引力を利用して着脱可能な構造にすれば使い勝手が向上する。
【0038】
塗布針15の基端部は塗布針固定板16に固着され、塗布針固定板16は図示しないガイド(直動部材)により上下動可能に支持される。この状態から、図4(b)に示すように、塗布針15の平坦面15aを容器12の底面に設けた第1の孔12aから下方に突出させると、塗布針15の平坦面15aには修正ペースト13が付着する。さらに塗布針15を下降させ、平坦面15aで孔3aの開口部の一部を閉蓋するようにフィルム3上を押圧すると、フィルム3が変形して孔3aの周りの微小範囲のフィルムが欠陥部2aの周囲に付着する。
【0039】
塗布針15の平坦面15aの直径は、たとえば、10〜30μm程度とし、孔3aの短軸長Swよりも長い直径の平坦面15aを持つ塗布針15を選択して使用すると良い。孔3aの略中央が平坦面15aによって押圧されて孔3a内に修正ペースト13が充填されるが、塗布針15の平坦面15aは微小なため、1回に充填される量は微量となり、孔3
aの下側開口部まで修正ペースト13が到達しない程度とされる。修正ペースト13の塗布量は、塗布針先端の平坦面15aの大きさに依存し、平坦面15aの直径が30μm以下になると、1回に塗布される修正ペースト13の量が非常に少なくなる傾向がある。
【0040】
塗布針15は、図示しないガイド(直動軸受)によって上下方向に進退可能に支持されており、塗布針15を含む可動部の自重のみでフィルム3を押す。塗布針15が下降してフィルム3に接触した後もさらに下降させようとしても、塗布針15がガイドに沿って上方に退避するので、塗布針15の平坦面15aは過負荷とならない。塗布針15の駆動手段(図示せず)は、制御手段(図示せず)により、時間管理されて制御される。
【0041】
同じ孔3aに対して、図4(a)(b)で示した塗布動作を繰り返し複数回実行することで孔3a内に修正ペースト13が充填されて欠陥部2aに修正ペースト13が塗布される。この塗布方法では、塗布針15を容器12に戻す時間が短時間で済むため、欠陥修正に要する時間が短縮される。
【0042】
また、修正ペースト13は孔12a,14aを除いて密閉された容器12内に入っており、塗布針15は蓋14の孔14aに微小な隙間を持って常に挿入された状態にあるため、修正ペースト13が大気に直接触れる面積は小さい。したがって、修正ペースト13の希釈液(溶媒)の蒸発を防止することができ、修正ペースト13の使用可能な日数(交換周期)を長くすることが可能となり、修正装置の保守の手間が軽減化される。
【0043】
また、塗布動作の待機状態において塗布針15の平坦面15aを修正ペースト13の中に浸けているため、塗布針15の平坦面15aに付着した修正ペースト13の乾燥を防ぐことができ、塗布針15の先端部の洗浄工程も省略可能となる。
【0044】
図5(a)(b)および図6(a)(b)は、塗布工程をより詳細に示す図である。図5(a)は、その先端に修正ペースト13が付着した塗布針15でフィルム3を押圧する1回目の塗布状態を示し、図5(b)は1回目の塗布が終了した状態を示している。
【0045】
塗布針15先端の平坦面15aに修正ペースト13が付着した状態で、平坦面15aで孔3aの上側開口部の中央部を閉蓋するようにして塗布針15を上方からフィルム3に押し付けると、フィルム3が変形して孔3aの周りの微小範囲のフィルム3が欠陥部2aの周囲に付着する。これにより、孔3a内に修正ペースト13が充填されるが、1回の塗布量が少ないため1回の塗布では孔3aの下側開口部まで修正ペースト13は充填されず、欠陥部2aには修正ペースト13は付着しない。
【0046】
図6(a)は、孔3aの下側開口部まで修正ペースト13が充填された状態を示し、図6(b)は、最終的に欠陥部2aに修正ペースト13が塗布され、修正層13aが形成された状態を示す。同じ孔3aに対して、図5(a)(b)に示す塗布動作を複数回実施すると、図6(a)に示すように孔3aの下側開口部まで修正ペースト13が充填され、図6(b)に示すように欠陥部2aに修正ペースト13が塗布される。
【0047】
なお、予備試験により孔3aに修正ペースト13を充填して欠陥部2aに塗布するために必要な塗布回数を求めておき、その回数だけ塗布動作を実行するとよい。
【0048】
また、実験によって孔3aの寸法と塗布回数の関係を示すテーブルを予め作成しておき、そのテーブルとフィルム3に開けた孔3aの寸法とに基づいて塗布回数を設定してもよい。
【0049】
また、1回塗布するごとに、フィルム3越しに欠陥部2aを観察し、欠陥部2aに修正
ペースト13が塗布されたか否かを判別しながら修正してもよい。図7は、そのような塗布方法を示すフローチャートである。
【0050】
図7のステップS1において、欠陥部2aを観察して欠陥部2aを修正するための塗布形状を決定し、ステップS2において、その塗布形状の貫通孔3aをフィルム3に形成する。ステップS3において、欠陥部2aと孔3aを一定の隙間を開けて位置合わせし、ステップS4において、塗布針15によって修正ペースト13を孔3aに塗布する。
【0051】
ステップS5において、欠陥部2aをフィルム3越しに観察し、欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されたか否かを判別する。欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されていないと判別された場合は、再度ステップS4に戻って塗布を実行し、欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されていると判別された場合は、塗布を終了する。
【0052】
なお、ステップS4で1回の塗布が終了すると、図4(a)(b)に示した塗布ユニット11は対物レンズ6の下方から外れた位置に退避されるので、そのまま観察光学系5に接続されるCCDカメラ(図示せず)により欠陥部2aを観察することが可能となる。
【0053】
また、塗布の開始前に観察画像のフォーカス位置を基板1の表面に合わせておけば、塗布が終了して塗布針15が対物レンズ6の下方から退避位置に戻った段階で、フォーカス位置を探すことなく欠陥部2aの状態を確認することができる。
【0054】
また、ステップS5では、欠陥部2aの上方には修正ペースト13がその表面に塗布されたフィルム3が存在するが、フォーカス位置から離れているため欠陥部2aの観察にはあまり影響しない。
【0055】
図8は、欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されて修正層13aが形成された状態を示す。修正層13aは、欠陥部2aとその両側の配線2の正常な部分の一部を覆うように形成される。修正層13aの幅は配線2の幅と略等しく、修正層13aの長さは欠陥部2aよりも長い。
【0056】
修正層13aには、修正ペースト13の仕様に合わせて紫外線硬化処理、加熱硬化処理、あるいは乾燥処理が施される。欠陥部2aは配線2に発生したものであるので、たとえば導電性ナノペーストが修正ペースト13として使用される。この場合は、塗布が終了した時点で、修正層13aを焼成して配線2の導通を確保する。
【0057】
以上のように、この実施の形態では、微小な平坦面15aを持つ塗布針15を用いて、少しずつ修正ペースト13を孔3aに塗布するため、孔3aに対する修正ペースト13の供給が過剰とならない。したがって、修正ペースト13の過剰な供給によって修正層13aが膨らむことを防止することができ、パターン修正を安定に行なうことができる。
【0058】
また、孔3aを含む微小範囲のフィルム3が欠陥部2aの周囲に接触する時間は、塗布針15がフィルム3を押している間だけであり、修正ペースト13がフィルム3と基板1(欠陥部2a近傍)との隙間に毛細管現象で流れる前に、塗布針15を上方に退避させるので、欠陥部2aの周りに修正ペースト13が広がるのを防止することができる。
【0059】
なお、この実施の形態では、直線状の欠陥部2aを修正する場合について説明したが、L字形やコの字形などのように直線状以外の形状の欠陥部であっても、その欠陥部に応じた形状の孔3aをフィルム3に開ければ修正可能であることは言うまでもない。
【0060】
また、この実施の形態では、この発明が配線2に発生したオープン欠陥部2aの修正に
適用された場合について説明したが、本発明は液晶カラーフィルタ基板の白抜け欠陥部の修正に適用することも可能である。
【0061】
図9は、液晶カラーフィルタ基板20の要部を示す図である。図9において、液晶カラーフィルタ基板20は、ガラス基板上に、格子状のブラックマトリックス21を形成し、ブラックマトリックス21で囲まれた複数の矩形領域にR(赤色)画素22、G(緑色)画素23、およびB(青色)画素24を所定の周期で形成したものである。カラーフィルタの高精細化に伴い、最近ではブラックマトリックス21や画素22〜24の幅が20μm以下のものも存在する。
【0062】
図9では、ブラックマトリックス21に白抜け欠陥部21aが存在する例が示されている。白抜け欠陥部21aを修正する場合は、図1で示したように白抜け欠陥部21aに応じた形状の孔3aをフィルム3に形成する。孔3aの開口部は、たとえば、短軸長がSw、長軸長がSlの長方形状であり、白抜け欠陥部21aの形状と略同じ大きさに加工されるが、長軸長Slは欠陥部21aよりも長めであってよい。
【0063】
次に図10に示すように、フィルム3を一定の隙間Gを開けて液晶カラーフィルタ基板20に対峙させた状態で、たとえば図7で示した塗布動作を実行して修正を行なう。これにより図11に示すように、白抜け欠陥部21aに修正インクが充填されて修正層25が形成される。修正インクが紫外線硬化タイプであれば、修正層25に紫外線を照射して硬化させる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 基板、2 配線、2a オープン欠陥部、2b 配線面、3 フィルム、3a 孔、4 レーザ部、5 観察光学系、6 対物レンズ、7 加工台、8,9 固定ローラ、10 遮蔽板、11 塗布ユニット、12 容器、12a,14a 孔、13 修正ペースト、13a,25 修正層、14 蓋、15 塗布針、15a 平坦面、16 塗布針固定板、20 液晶カラーフィルタ基板、21 ブラックマトリックス、21a 白抜け欠陥部、22 R画素、23 G画素、24 B画素。
【技術分野】
【0001】
この発明はパターン修正方法に関し、特に、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正方法に関する。より特定的には、この発明は、フラットパネルディスプレイの製造工程において発生する配線(電極)の断線欠陥部、あるいはカラーフィルタの白抜け欠陥部を修正するパターン修正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイの大型化、高精細化に伴い、ガラス基板上に形成された配線や液晶カラーフィルタなどに欠陥が存在する確率が高くなっており、歩留まりの向上を図るため欠陥を修正する方法が提案されている。
【0003】
たとえば、液晶ディスプレイのガラス基板の表面には電極が形成されている。この電極が断線している場合、塗布針先端に付着させた導電性の修正ペースト(修正液)を断線欠陥部に塗布し、電極の長さ方向に塗布位置をずらしながら複数回塗布して電極を修正する(たとえば、特許文献1参照)。
【0004】
また、欠陥部を覆うようにフィルムを設け、欠陥部とフィルムとをレーザ光を用いて略同時に除去し、除去した部分にフィルムをマスクとして修正インク(修正液)を塗布し、その後、フィルムを剥離除去する方法がある(たとえば、特許文献2,3参照)。
【0005】
さらに、予めフィルムに貫通孔を形成し、フィルムの表面の開口部と欠陥部とを所定の隙間を開けて対峙させ、孔を含む範囲でフィルムを基板に押圧するとともに孔を介して欠陥部に修正インク(修正液)を塗布し、フィルムの復元力でフィルムを基板から剥離させる方法がある(たとえば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−292442号公報
【特許文献2】特開平11−125895号公報
【特許文献3】特開2005−95971号公報
【特許文献4】特開2008−65066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の方法では、塗布針先端に付着させた修正ペーストを断線欠陥部に転写するため、その塗布径は塗布針先端の平坦面の寸法で決まり、10μm前後の塗布径を実現するのは困難であり、これを用いた細線形成も同様に難しかった。
【0008】
また、特許文献2,3の方法では、フィルムをマスクとして基板に接触させた状態で修正インクを塗布するので、10μm前後の細線で断線欠陥部を修正することが可能であるが、修正インクを孔に塗布した時点で、フィルムと基板との隙間に毛細管現象で修正インク、あるいは、その溶媒が吸い込まれ、基板を汚染することも考えられる。
【0009】
また、特許文献4の方法では、塗布針先端の平坦面からフィルムの孔内に注入される修正インクの量が過剰である場合、修正インクが欠陥部の周囲にはみ出して、修正パターンが膨らむことも考えられる。
【0010】
それゆえに、この発明の主たる目的は、微細パターンを安定に修正することができ、修正液によって欠陥部周辺が汚染されるのを防止することが可能なパターン修正方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明に係るパターン修正方法は、基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、フィルムに開けた孔を欠陥部に位置決めする第1のステップと、修正液を付着させた塗布針先端の平坦面を孔の上方に配置する第2のステップと、塗布針を下降させて平坦面でフィルムのうちの孔の周りの部分を基板に押圧し、平坦面に付着した修正液を孔内に供給する第3のステップとを含む。平坦面の直径は、第2および第3のステップを1回だけ実行しても孔の下側の開口部まで修正液を充填できない程度の大きさに設定される。第1のステップを実行した後に第2および第3のステップを交互に複数回実行し、修正液を孔を介して欠陥部に塗布する。
【0012】
好ましくは、第1のステップでは、フィルムに開けた孔を欠陥部に対して所定の隙間を開けて対峙させる。
【0013】
また好ましくは、孔は長軸および短軸を有し、塗布針先端の平坦面の直径は、孔の短軸はよりも長く、孔の長軸よりも短い。
【0014】
また好ましくは、孔は長軸および短軸を有し、孔の長軸は欠陥部よりも長く、孔内に供給された修正液のうちの余分な修正液は孔の長軸の方向に逃がされる。
【0015】
また好ましくは、塗布針先端の平坦面の直径は30μm以下である。
また好ましくは、第2および第3のステップの実行回数は、予め実験により求められた回数に設定される。
【0016】
また好ましくは、孔の寸法と第2および第3のステップの実行回数との関係を示すテーブルを予め実験によって作成しておき、フィルムに開けた孔の寸法とテーブルとに基づいて第2および第3のステップの実行回数を設定する。
【0017】
また好ましくは、さらに、第3のステップを1回実行するごとに欠陥部を観察し、欠陥部に修正液が塗布されたか否かを判別する第4のステップを含む。
【0018】
また好ましくは、第4のステップでは、フィルム越しに欠陥部を観察する。
【発明の効果】
【0019】
この発明に係るパターン修正方法は、フィルムに開けた孔を欠陥部に位置決めする第1のステップと、修正液を付着させた塗布針先端の平坦面を孔の上方に配置する第2のステップと、塗布針を下降させて平坦面でフィルムのうちの孔の周りの部分を基板に押圧し、平坦面に付着した修正液を孔内に供給する第3のステップとを含む。平坦面の直径は、第2および第3のステップを1回だけ実行しても孔の下側の開口部まで修正液を充填できない程度の大きさに設定される。第1のステップを実行した後に第2および第3のステップを交互に複数回実行し、修正液を孔を介して欠陥部に塗布する。したがって、修正液を孔内に少しずつ供給するので、修正液が孔内に過剰に供給されて修正液が欠陥部の周囲にはみ出すことがない。よって、微細パターンを安定に修正することができ、修正液によって欠陥部周辺が汚染されるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施の形態によるパターン修正方法を示す図である。
【図2】図1に示した基板の表面を示す図である。
【図3】図1に示したフィルムに孔を開ける方法を示す断面図である。
【図4】図1に示したフィルムの孔を介して欠陥部に修正インクを塗布する方法を示す断面図である。
【図5】図4に示した塗布方法をより詳細に示す断面図である。
【図6】図4に示した塗布方法をより詳細に示す他の断面図である。
【図7】図1〜図6に示したパターン修正方法を示すフローチャートである。
【図8】図2で示した欠陥部に形成された修正層を示す図である。
【図9】実施の形態の変更例を示す図である。
【図10】図9で示した欠陥部を修正する方法を示す図である。
【図11】図9で示した欠陥部に形成された修正層を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係るパターン修正方法では、欠陥部に応じた形状の孔をフィルムに開け、その孔を基板上に形成された微細パターンの欠陥部に位置合わせし、基板から一定距離だけ隙間を開けた状態でフィルムを配置する。隙間は、フィルムを支持する支点間距離によって異なるが、たとえば10〜1000μm程度である。孔の大きさは、孔内に塗布針先端の平坦面が落ちないように、孔の短軸は、平坦面の直径よりも短く設定される。
【0022】
この状態で、先端が非常に小さな平坦面に加工された塗布針の先端部に修正液を付着させ、その塗布針先端の平坦面で孔中央を上方から基板に押し付けると、フィルムが変形して、孔を含む微小範囲のフィルムが基板の欠陥部を含む微小範囲に接触する。接触時間は孔を塗布針が押している間であり極短時間とされる。塗布針を上方に退避させると、孔を含む微小範囲のフィルムはフィルムの復元力によって基板から離れる。
【0023】
塗布針先端の平坦面の直径が30μm以下になると、1回に塗布される修正液の量が非常に少なくなるため、1回の塗布では修正液は孔の下側の開口部まで到達せず、欠陥部に修正液は付着しない。同じ孔に対して塗布動作を複数回実施することで、孔内に溜まる修正液の量を増やし、最終的に孔の下側の開口部まで修正液を充填して欠陥部に修正液を塗布する。塗布形状は孔形状と略同じである。
【0024】
したがって、本願のパターン修正方法では、少量の修正液を孔に少しずつ充填するので、孔内に注入される修正液の量が過剰になることを防止することができる。また、フィルムが基板に接触する時間を極短時間にするので、毛細管現象によって修正液がフィルムと基板の隙間に侵入することを防止することができ、修正液によって欠陥部周辺の基板が汚染されるのを防止することができる。また、孔を修正長さよりも長めに形成すれば、塗布されるパターンは多少長めとなるが、余分な修正液は孔の延在方向に逃げることが可能となる。
【0025】
また、塗布針先端の平坦面の直径を30μm以下にすると、フィルムを基板側に押圧する範囲は塗布針の平坦面より少し大きめの範囲に限定されるため、基板上に塗布されるパターンの長軸は、塗布針先端の平坦面の直径の略3倍以下にすることが好ましい。たとえば、孔の長軸長は塗布針の平坦面の直径の3倍程度までに留めると良い。仮に3倍以上の孔にすると、基板に塗布されるパターンの両端が膨らむ傾向を示す。以下、この発明に係るパターン修正方法について図面を用いて詳細に説明する。
【0026】
図1(a)は、この発明の一実施の形態によるパターン修正方法を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のIB−IB線断面図である。図1(a)(b)において、このパターン修正方法では、基板1の上方に孔3aの開いたフィルム3が配置される。基板1
の表面には、図2に示すように、微細パターンである配線2が形成されており、配線2には配線2の一部が欠けたオープン欠陥部(断線欠陥部)2aが発生している。
【0027】
図1(a)(b)に戻って、このパターン修正方法では、オープン欠陥部2aを修正する形状に合わせて孔3aが形成されたフィルム3がマスクとして使用される。孔3aが欠陥部2aに位置合わせされ、フィルム3が基板1に対して隙間Gを開けて対峙した状態で配置される。フィルム3は、たとえば薄膜のポリイミドフィルムであり、その幅はマスクとして使用するのに十分な幅があれば良く、たとえば、5mm〜15mm程度にスリットしたロール状フィルムを使用する。フィルム3の厚さFtは、その下が透けて見える程度のものが好ましく、たとえば10〜25μm程度である。
【0028】
孔3aの開口部は、たとえば、短軸長がSw、長軸長がSlの長方形状に形成される。また、欠陥部2aの両端に位置する正常な配線面2bにも修正ペーストを塗布できるように、孔3aは欠陥部2aよりも長く形成するのが好ましい。孔3aの中央部を塗布針先端の平坦面Aで押圧することで修正ペーストを孔3aに少しずつ充填しながら欠陥部2aに修正ペーストを塗布する。
【0029】
孔3aは、フィルム3にレーザ光を照射することによって形成される。レーザとしては、YAG第3高調波レーザやYAG第4高調波レーザ、あるいはエキシマレーザなどのパルスレーザを用いる。図3に示すように、レーザ部4は観察光学系5の上部に固定され、レーザ部4から出射されたレーザ光は観察光学系5の下端に固定した対物レンズ6を介してフィルム3に照射される。孔3aは、たとえばレーザ部4に内蔵される可変スリット(図示せず)により整形され、対物レンズ6で集光されたレーザ光の断面形状になる。孔3aの形状および寸法は、可変スリットにより決定される。
【0030】
フィルム3に孔3aを開ける工程は、欠陥部2aの位置から離れた位置で行なわれるか、あるいは、欠陥部2aにレーザ光が当たらないようにフィルム3単体で行なわれる。たとえば、加工台7から上方に離れた位置で、2本の固定ローラ8,9間にフィルム3を水平に張り渡し、固定ローラ8,9間のフィルム3の中央部にレーザ光を照射して孔3aを形成する。加工台7の代わりに基板1上で孔3aを加工してもよい。この場合は、レーザアブレーションにより発生する異物(ごみ)が基板1上に落下しないように、フィルム3と基板1の間に遮蔽板10を挿入するとよい。
【0031】
なお、加工台7は、フィルム3に孔3aを開ける際の加工領域であり、基板1とは異なる位置に配置されるが、省略することも可能であり、その場合には遮蔽板10のみを備える。または、フィルム3と基板1の間に加工台7を加工時のみ挿入する方式であってもよい。
【0032】
このように、欠陥部2aにフィルム3を付着、あるいは密着させた状態でレーザ光による孔3aの加工を行なわないので、配線2や欠陥部2aの近傍を損傷することはない。また、フィルム3を浮かした状態で孔3aを開けるので、フィルム3の裏面に異物が付着することを抑制することができる。
【0033】
孔3aの形成が終了した時点では、孔3a周りのフィルム3面には、孔3a部を除去(レーザアブレーション)した際に発生した異物が飛散しているので、異物を除去するため、孔3aを中心としたその周りの広い範囲に弱いパワーでレーザ光を照射してもよい。このとき、レーザをYAG第2高調波レーザに切り替えて、弱いレーザパワーで孔3aを中心とする広い範囲にレーザ光を照射すれば、異物のみを除去することも可能であり、新たに異物が発生することを防止することができる。フィルム3を反転させる機構(図示せず)を用いてフィルム3の裏面も同様に処理してもよい。レーザ部4としては、孔3aを開
けるためのレーザ光と、異物を除去するためのレーザ光の2種類のレーザ光のうちのいずれかのレーザ光を選択的に出射できるものを使用するとよい。
【0034】
次に、たとえば欠陥位置情報に基づいて基板1に対してフィルム3を相対的に移動させ、図1(a)(b)に示すように、欠陥部2aの上方にフィルム3の孔3aを位置決めし、フィルム3と基板1が隙間Gを開けて対峙した状態にする。この工程は手動で行なっても構わない。フィルム3は一定の張力によって張られた状態にある。隙間Gは、フィルム3を支持する支点(たとえば図3に示した固定ローラ8,9)の間隔やフィルム3の厚さによって異なるが、たとえば10〜1000μm程度に設定される。基板1の表面に凹凸がある場合、基板1に対峙したフィルム3が、基板1とは接触しない程度の隙間Gを保ってもよいし、孔3aを含む微小範囲が、欠陥部2aと接触しないような隙間Gを保つようにしてもよい。
【0035】
図4(a)(b)は、図1(a)(b)の状態で欠陥部2aに修正ペーストを塗布する方法を示す断面図である。図4(a)において、欠陥部2aとフィルム3が一定の隙間を持って対峙し、かつ、欠陥部2aと孔3aとが位置合わせされた状態にあり、塗布ユニット11は、対物レンズ6の直下で、かつ、欠陥部2aの真上に挿入された状態にある。このとき、塗布ユニット11が対物レンズ6の下方に挿入されるが、挿入スペースを確保するため、対物レンズ6は低倍率のものに切り換えることが望ましい。たとえば、10倍の対物レンズ6の作動距離(WD)は30mm程度あり、塗布ユニット11の高さを低く設計すれば容易に挿入可能である。
【0036】
塗布ユニット11は、その底に第1の孔12aが開口され、修正ペースト13が注入された容器12と、第2の孔14aが開口され、容器12を密封する蓋14と、第1および第2の孔12a,14aと略同じ径を有する塗布針15とを含む。塗布針15の先端の平坦面15aは、第2の孔14aを貫通して修正ペースト13内に浸漬される。第1および第2の孔12a,14aの内径は、それらに貫通する塗布針15の外径よりも少し大きいが微小であるので、修正ペースト13の表面張力や容器12の撥液性により、第1の孔12aからの修正ペースト13の漏れはほとんど無い。
【0037】
容器12に形成され、修正ペースト13を注入するための穴は、孔12aに近づくに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。したがって、少ない修正ペースト13でも塗布針15の平坦面15aを浸漬することができ、経済的である。修正ペースト13の量は、たとえば20μl(マイクロリットル)である。修正ペースト13は日持ちしないものもあり、容器12は定期的に交換する。あるいは、使用済み容器12を洗浄後、再利用することも可能である。容器12の着脱を簡単にするため、容器12を手でつかみ易い構造とし、かつ、磁石の吸引力を利用して着脱可能な構造にすれば使い勝手が向上する。
【0038】
塗布針15の基端部は塗布針固定板16に固着され、塗布針固定板16は図示しないガイド(直動部材)により上下動可能に支持される。この状態から、図4(b)に示すように、塗布針15の平坦面15aを容器12の底面に設けた第1の孔12aから下方に突出させると、塗布針15の平坦面15aには修正ペースト13が付着する。さらに塗布針15を下降させ、平坦面15aで孔3aの開口部の一部を閉蓋するようにフィルム3上を押圧すると、フィルム3が変形して孔3aの周りの微小範囲のフィルムが欠陥部2aの周囲に付着する。
【0039】
塗布針15の平坦面15aの直径は、たとえば、10〜30μm程度とし、孔3aの短軸長Swよりも長い直径の平坦面15aを持つ塗布針15を選択して使用すると良い。孔3aの略中央が平坦面15aによって押圧されて孔3a内に修正ペースト13が充填されるが、塗布針15の平坦面15aは微小なため、1回に充填される量は微量となり、孔3
aの下側開口部まで修正ペースト13が到達しない程度とされる。修正ペースト13の塗布量は、塗布針先端の平坦面15aの大きさに依存し、平坦面15aの直径が30μm以下になると、1回に塗布される修正ペースト13の量が非常に少なくなる傾向がある。
【0040】
塗布針15は、図示しないガイド(直動軸受)によって上下方向に進退可能に支持されており、塗布針15を含む可動部の自重のみでフィルム3を押す。塗布針15が下降してフィルム3に接触した後もさらに下降させようとしても、塗布針15がガイドに沿って上方に退避するので、塗布針15の平坦面15aは過負荷とならない。塗布針15の駆動手段(図示せず)は、制御手段(図示せず)により、時間管理されて制御される。
【0041】
同じ孔3aに対して、図4(a)(b)で示した塗布動作を繰り返し複数回実行することで孔3a内に修正ペースト13が充填されて欠陥部2aに修正ペースト13が塗布される。この塗布方法では、塗布針15を容器12に戻す時間が短時間で済むため、欠陥修正に要する時間が短縮される。
【0042】
また、修正ペースト13は孔12a,14aを除いて密閉された容器12内に入っており、塗布針15は蓋14の孔14aに微小な隙間を持って常に挿入された状態にあるため、修正ペースト13が大気に直接触れる面積は小さい。したがって、修正ペースト13の希釈液(溶媒)の蒸発を防止することができ、修正ペースト13の使用可能な日数(交換周期)を長くすることが可能となり、修正装置の保守の手間が軽減化される。
【0043】
また、塗布動作の待機状態において塗布針15の平坦面15aを修正ペースト13の中に浸けているため、塗布針15の平坦面15aに付着した修正ペースト13の乾燥を防ぐことができ、塗布針15の先端部の洗浄工程も省略可能となる。
【0044】
図5(a)(b)および図6(a)(b)は、塗布工程をより詳細に示す図である。図5(a)は、その先端に修正ペースト13が付着した塗布針15でフィルム3を押圧する1回目の塗布状態を示し、図5(b)は1回目の塗布が終了した状態を示している。
【0045】
塗布針15先端の平坦面15aに修正ペースト13が付着した状態で、平坦面15aで孔3aの上側開口部の中央部を閉蓋するようにして塗布針15を上方からフィルム3に押し付けると、フィルム3が変形して孔3aの周りの微小範囲のフィルム3が欠陥部2aの周囲に付着する。これにより、孔3a内に修正ペースト13が充填されるが、1回の塗布量が少ないため1回の塗布では孔3aの下側開口部まで修正ペースト13は充填されず、欠陥部2aには修正ペースト13は付着しない。
【0046】
図6(a)は、孔3aの下側開口部まで修正ペースト13が充填された状態を示し、図6(b)は、最終的に欠陥部2aに修正ペースト13が塗布され、修正層13aが形成された状態を示す。同じ孔3aに対して、図5(a)(b)に示す塗布動作を複数回実施すると、図6(a)に示すように孔3aの下側開口部まで修正ペースト13が充填され、図6(b)に示すように欠陥部2aに修正ペースト13が塗布される。
【0047】
なお、予備試験により孔3aに修正ペースト13を充填して欠陥部2aに塗布するために必要な塗布回数を求めておき、その回数だけ塗布動作を実行するとよい。
【0048】
また、実験によって孔3aの寸法と塗布回数の関係を示すテーブルを予め作成しておき、そのテーブルとフィルム3に開けた孔3aの寸法とに基づいて塗布回数を設定してもよい。
【0049】
また、1回塗布するごとに、フィルム3越しに欠陥部2aを観察し、欠陥部2aに修正
ペースト13が塗布されたか否かを判別しながら修正してもよい。図7は、そのような塗布方法を示すフローチャートである。
【0050】
図7のステップS1において、欠陥部2aを観察して欠陥部2aを修正するための塗布形状を決定し、ステップS2において、その塗布形状の貫通孔3aをフィルム3に形成する。ステップS3において、欠陥部2aと孔3aを一定の隙間を開けて位置合わせし、ステップS4において、塗布針15によって修正ペースト13を孔3aに塗布する。
【0051】
ステップS5において、欠陥部2aをフィルム3越しに観察し、欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されたか否かを判別する。欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されていないと判別された場合は、再度ステップS4に戻って塗布を実行し、欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されていると判別された場合は、塗布を終了する。
【0052】
なお、ステップS4で1回の塗布が終了すると、図4(a)(b)に示した塗布ユニット11は対物レンズ6の下方から外れた位置に退避されるので、そのまま観察光学系5に接続されるCCDカメラ(図示せず)により欠陥部2aを観察することが可能となる。
【0053】
また、塗布の開始前に観察画像のフォーカス位置を基板1の表面に合わせておけば、塗布が終了して塗布針15が対物レンズ6の下方から退避位置に戻った段階で、フォーカス位置を探すことなく欠陥部2aの状態を確認することができる。
【0054】
また、ステップS5では、欠陥部2aの上方には修正ペースト13がその表面に塗布されたフィルム3が存在するが、フォーカス位置から離れているため欠陥部2aの観察にはあまり影響しない。
【0055】
図8は、欠陥部2aに修正ペースト13が塗布されて修正層13aが形成された状態を示す。修正層13aは、欠陥部2aとその両側の配線2の正常な部分の一部を覆うように形成される。修正層13aの幅は配線2の幅と略等しく、修正層13aの長さは欠陥部2aよりも長い。
【0056】
修正層13aには、修正ペースト13の仕様に合わせて紫外線硬化処理、加熱硬化処理、あるいは乾燥処理が施される。欠陥部2aは配線2に発生したものであるので、たとえば導電性ナノペーストが修正ペースト13として使用される。この場合は、塗布が終了した時点で、修正層13aを焼成して配線2の導通を確保する。
【0057】
以上のように、この実施の形態では、微小な平坦面15aを持つ塗布針15を用いて、少しずつ修正ペースト13を孔3aに塗布するため、孔3aに対する修正ペースト13の供給が過剰とならない。したがって、修正ペースト13の過剰な供給によって修正層13aが膨らむことを防止することができ、パターン修正を安定に行なうことができる。
【0058】
また、孔3aを含む微小範囲のフィルム3が欠陥部2aの周囲に接触する時間は、塗布針15がフィルム3を押している間だけであり、修正ペースト13がフィルム3と基板1(欠陥部2a近傍)との隙間に毛細管現象で流れる前に、塗布針15を上方に退避させるので、欠陥部2aの周りに修正ペースト13が広がるのを防止することができる。
【0059】
なお、この実施の形態では、直線状の欠陥部2aを修正する場合について説明したが、L字形やコの字形などのように直線状以外の形状の欠陥部であっても、その欠陥部に応じた形状の孔3aをフィルム3に開ければ修正可能であることは言うまでもない。
【0060】
また、この実施の形態では、この発明が配線2に発生したオープン欠陥部2aの修正に
適用された場合について説明したが、本発明は液晶カラーフィルタ基板の白抜け欠陥部の修正に適用することも可能である。
【0061】
図9は、液晶カラーフィルタ基板20の要部を示す図である。図9において、液晶カラーフィルタ基板20は、ガラス基板上に、格子状のブラックマトリックス21を形成し、ブラックマトリックス21で囲まれた複数の矩形領域にR(赤色)画素22、G(緑色)画素23、およびB(青色)画素24を所定の周期で形成したものである。カラーフィルタの高精細化に伴い、最近ではブラックマトリックス21や画素22〜24の幅が20μm以下のものも存在する。
【0062】
図9では、ブラックマトリックス21に白抜け欠陥部21aが存在する例が示されている。白抜け欠陥部21aを修正する場合は、図1で示したように白抜け欠陥部21aに応じた形状の孔3aをフィルム3に形成する。孔3aの開口部は、たとえば、短軸長がSw、長軸長がSlの長方形状であり、白抜け欠陥部21aの形状と略同じ大きさに加工されるが、長軸長Slは欠陥部21aよりも長めであってよい。
【0063】
次に図10に示すように、フィルム3を一定の隙間Gを開けて液晶カラーフィルタ基板20に対峙させた状態で、たとえば図7で示した塗布動作を実行して修正を行なう。これにより図11に示すように、白抜け欠陥部21aに修正インクが充填されて修正層25が形成される。修正インクが紫外線硬化タイプであれば、修正層25に紫外線を照射して硬化させる。
【0064】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 基板、2 配線、2a オープン欠陥部、2b 配線面、3 フィルム、3a 孔、4 レーザ部、5 観察光学系、6 対物レンズ、7 加工台、8,9 固定ローラ、10 遮蔽板、11 塗布ユニット、12 容器、12a,14a 孔、13 修正ペースト、13a,25 修正層、14 蓋、15 塗布針、15a 平坦面、16 塗布針固定板、20 液晶カラーフィルタ基板、21 ブラックマトリックス、21a 白抜け欠陥部、22 R画素、23 G画素、24 B画素。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、
フィルムに開けた孔を前記欠陥部に位置決めする第1のステップと、
修正液を付着させた塗布針先端の平坦面を前記孔の上方に配置する第2のステップと、
前記塗布針を下降させて前記平坦面で前記フィルムのうちの前記孔の周りの部分を前記基板に押圧し、前記平坦面に付着した前記修正液を前記孔内に供給する第3のステップとを含み、
前記平坦面の直径は、前記第2および第3のステップを1回だけ実行しても前記孔の下側の開口部まで前記修正液を充填できない程度の大きさに設定され、
前記第1のステップを実行した後に前記第2および第3のステップを交互に複数回実行し、前記修正液を前記孔を介して前記欠陥部に塗布する、パターン修正方法。
【請求項2】
前記第1のステップでは、前記フィルムに開けた前記孔を前記欠陥部に対して所定の隙間を開けて対峙させる、請求項1に記載のパターン修正方法。
【請求項3】
前記孔は長軸および短軸を有し、
前記塗布針先端の前記平坦面の直径は、前記孔の短軸はよりも長く、前記孔の長軸よりも短い、請求項1または請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項4】
前記孔は長軸および短軸を有し、
前記孔の長軸は前記欠陥部よりも長く、
前記孔内に供給された前記修正液のうちの余分な修正液は前記孔の長軸の方向に逃がされる、請求項1から請求項3までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項5】
前記塗布針先端の前記平坦面の直径は30μm以下である、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項6】
前記第2および第3のステップの実行回数は、予め実験により求められた回数に設定される、請求項1から請求項5までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項7】
前記孔の寸法と前記第2および第3のステップの実行回数との関係を示すテーブルを予め実験によって作成しておき、
前記フィルムに開けた前記孔の寸法と前記テーブルとに基づいて前記第2および前記第3のステップの実行回数を設定する、請求項1から請求項5までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項8】
さらに、前記第3のステップを1回実行するごとに前記欠陥部を観察し、前記欠陥部に前記修正液が塗布されたか否かを判別する第4のステップを含む、請求項1から請求項7までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項9】
前記第4のステップでは、前記フィルム越しに前記欠陥部を観察する、請求項8に記載のパターン修正方法。
【請求項1】
基板上に形成された微細パターンの欠陥部を修正するパターン修正方法であって、
フィルムに開けた孔を前記欠陥部に位置決めする第1のステップと、
修正液を付着させた塗布針先端の平坦面を前記孔の上方に配置する第2のステップと、
前記塗布針を下降させて前記平坦面で前記フィルムのうちの前記孔の周りの部分を前記基板に押圧し、前記平坦面に付着した前記修正液を前記孔内に供給する第3のステップとを含み、
前記平坦面の直径は、前記第2および第3のステップを1回だけ実行しても前記孔の下側の開口部まで前記修正液を充填できない程度の大きさに設定され、
前記第1のステップを実行した後に前記第2および第3のステップを交互に複数回実行し、前記修正液を前記孔を介して前記欠陥部に塗布する、パターン修正方法。
【請求項2】
前記第1のステップでは、前記フィルムに開けた前記孔を前記欠陥部に対して所定の隙間を開けて対峙させる、請求項1に記載のパターン修正方法。
【請求項3】
前記孔は長軸および短軸を有し、
前記塗布針先端の前記平坦面の直径は、前記孔の短軸はよりも長く、前記孔の長軸よりも短い、請求項1または請求項2に記載のパターン修正方法。
【請求項4】
前記孔は長軸および短軸を有し、
前記孔の長軸は前記欠陥部よりも長く、
前記孔内に供給された前記修正液のうちの余分な修正液は前記孔の長軸の方向に逃がされる、請求項1から請求項3までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項5】
前記塗布針先端の前記平坦面の直径は30μm以下である、請求項1から請求項4までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項6】
前記第2および第3のステップの実行回数は、予め実験により求められた回数に設定される、請求項1から請求項5までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項7】
前記孔の寸法と前記第2および第3のステップの実行回数との関係を示すテーブルを予め実験によって作成しておき、
前記フィルムに開けた前記孔の寸法と前記テーブルとに基づいて前記第2および前記第3のステップの実行回数を設定する、請求項1から請求項5までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項8】
さらに、前記第3のステップを1回実行するごとに前記欠陥部を観察し、前記欠陥部に前記修正液が塗布されたか否かを判別する第4のステップを含む、請求項1から請求項7までのいずれかに記載のパターン修正方法。
【請求項9】
前記第4のステップでは、前記フィルム越しに前記欠陥部を観察する、請求項8に記載のパターン修正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−108246(P2012−108246A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255886(P2010−255886)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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