説明

パターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法

【課題】 液滴を乾燥して形成した積層パターンの均一性を向上するとともに、その生産性を向上したパターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 下層溶媒に下層官能基26aと上層官能基26bを有する界面活性剤26を混和して下層形成溶液25Lを生成し、同下層形成溶液25Lからなる下層液滴25Dを乾燥して正孔輸送層を形成した。そして、正孔輸送層上に、発光層形成材料を含む上層形成溶液からなる上層液滴を濡れ広がらせることによって発光層を積層するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、発光素子を備えるディスプレイには、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)を備える電気光学装置としての有機エレクロトルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)が知られている。
【0003】
有機EL素子は、一般的に、その有機EL層の構成材料によって製造方法が大別される。すなわち、低分子有機材料を有機EL層の構成材料とする場合には、同低分子有機材料を蒸着して有機EL層を形成する、いわゆる気相プロセスが利用されている。一方、高分子有機材料を有機EL層の構成材料とする場合には、同高分子有機材料を有機溶媒等に溶解した溶液を塗布して乾燥する、いわゆる液相プロセスが利用されている。
【0004】
なかでも、その液相プロセスにおけるインクジェット法は、前記溶液を微小な液滴として吐出するため、他の液相プロセス(例えば、スピンコート等)に比べて、有機EL層の形成位置や膜厚等をより高い精度で制御することができる。しかも、インクジェット法は、有機EL層を形成する領域(素子形成領域)にのみ前記液滴を吐出するため、原材料である高分子有機材料の使用量を低減することができる。
ところが、インクジェット法では、前記素子形成領域に対する液滴の接触角が大きくなると(濡れ性が低くなると)、吐出した液滴が、パターン形成領域の一部に偏倚するようになる。その結果、有機EL層は、各液滴間の境界等によって、その形状の均一性(例えば、有機EL層の膜厚均一性や有機EL層間の膜厚均一性等)を損なう問題を招く。
そこで、こうしたインクジェット法では、従来より、吐出する液滴の濡れ性を向上する提案がなされている(例えば、特許文献1)。特許文献1では、液滴を吐出する前に、パターン形成領域(透明電極上)に親液性のプラズマ処理(酸素プラズマ処理)を施すようにしている。これによって、液滴の濡れ性を向上することができ、パターン形成領域内のパターン形状の均一性を向上することができる。
【特許文献1】特開2002−334782 号広報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的に、有機EL層は、少なくとも有色の光を発光する発光層と、同発光層と陽極(例えば、ITO膜)との間に形成される正孔輸送層を有する積層パターンで形成されている。こうした積層パターンを形成する場合、インクジェット法では、上層パターンを形成する液滴内への下層パターンの溶解(相溶)を回避するため、上層パターンと下層パターンを異なる極性の材料で構成するようにしている。例えば、上層パターンを親油性の発光材料を芳香族系の有機溶媒に溶解あるいは分散させて形成し、下層パターンを親水性の正孔輸送層を水に溶解あるいは分散させて形成するようにしている。
【0006】
つまり、上層パターンを形成する材料には、下層パターンに対する濡れ性の低い材料が選択されている。そのため、上層パターンを形成する液滴の濡れ性を確保するためには、下層パターンに対して、上記する親液性のプラズマ処理を施さなければならない。
【0007】
しかしながら、下層パターン(例えば、正孔輸送層)がプラズマ耐性の低い有機物で形成されるため、その下層パターンにプラズマ処理等を施すと、同下層パターンに損傷を来たす問題となる。しかも、こうしたプラズマ処理工程を追加する分だけ、有機ELディス
プレイの生産性を損なう問題となる。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、その目的は、液滴を乾燥して形成した積層パターンの均一性を向上するとともに、その生産性を向上したパターン形成基板、電気光学装置及び電気光学装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のパターン形成基板は、パターン形成材料を含む液滴を乾燥して形成したパターンを積層することによって形成した積層パターンを備えるパターン形成基板において、下層パターンが、上層パターンを形成する前記液滴に対して親液性を有する界面活性剤を含有した。
【0010】
本発明のパターン形成基板によれば、下層パターンが界面活性剤を含有する分だけ、下層パターンに対して、上層パターンを形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、各種表面処理工程等を追加することなく、下層パターンの上に、均一な形状の上層パターンを積層することができる。ひいては、パターン形成基板の生産性を向上することができる。
【0011】
このパターン形成基板において、前記界面活性剤は、上層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基と、下層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基とを備えた。
【0012】
このパターン形成基板によれば、界面活性剤が下層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えるため、下層パターンを形成する液滴内に、同界面活性剤を均一に混和させることができる。また、界面活性剤が上層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えるため、同界面活性剤によって、上層パターンを形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、下層パターン上に、均一な形状の上層パターンを積層することができ、パターン形成基板の生産性を向上することができる。
【0013】
このパターン形成基板において、前記界面活性剤は、親水性を有する官能基と、親油性を有する官能基とを備えた有機化合物であり、上層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えたシランカップリング剤の加水分解生成物等を用いることができる。
【0014】
このパターン形成基板において、前記パターン形成材料は、発光素子形成材料であって、前記積層パターンは、発光素子である。
このパターン形成基板によれば、均一な形状の発光素子を形成することができ、同発光素子を備えたパターン形成基板の生産性を向上することができる。
【0015】
本発明の電気光学装置は、薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して形成した薄膜層を積層することによって形成した発光素子を備える電気光学装置において、下層薄膜層が、上層薄膜層を形成する前記液滴に対して親液性を有する界面活性剤を含有した。
【0016】
本発明の電気光学装置によれば、下層薄膜層が界面活性剤を含有する分だけ、下層薄膜層に対して、上層薄膜層を形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、各種表面処理工程を追加することなく、下層薄膜層の上に、均一な形状の上層薄膜層を積層することができる。ひいては、電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0017】
この電気光学装置において、前記界面活性剤は、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基と、下層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基とを有
する。
【0018】
この電気光学装置によれば、界面活性剤が下層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えるため、下層薄膜層を形成する液滴内に、同界面活性剤を均一に混和させることができる。また、界面活性剤が上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えるため、同界面活性剤によって、上層薄膜層を形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、下層薄膜層上に、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0019】
この電気光学装置において、前記界面活性剤は、親水性を有する官能基と、親油性を有する官能基とを備えた有機化合物であり、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えたシランカップリング剤の加水分解生成物等を用いることができる。
【0020】
この電気光学装置において、前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層したエレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置によれば、エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0021】
この電気光学装置において、前記発光素子は、有機材料からなる前記積層膜を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0022】
この電気光学装置において、前記上層薄膜層は、疎水性の液体に溶解可能又は分散可能な発光層形成材料からなる発光層であって、下層薄膜層は、親水性の液体に溶解可能又は分散可能な正孔輸送層形成材料からなる正孔輸送層である。
【0023】
この電気光学装置によれば、親水性の液体に溶解可能あるいは分散可能な正孔輸送層が界面活性剤を含有するため、同正孔輸送層の上層に、疎水性の液体に溶解可能あるいは分散可能な発光層を均一に積層することができる。
【0024】
本発明の電気光学装置の製造方法は、薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して薄膜層を形成し、前記薄膜層を積層することによって発光素子を形成するようにした電気光学装置の製造方法において、下層薄膜層を形成する液滴に、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する界面活性剤を混和し、前記界面活性剤を混和した液滴を乾燥して前記下層薄膜層を形成した後に、前記下層薄膜層上で、前記上層薄膜層を形成する液滴を乾燥して前記下層薄膜層上に前記上層薄膜層を積層するようにした。
【0025】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、下層薄膜層を形成する液滴に界面活性剤を混和する分だけ、下層薄膜層に対して、上層薄膜層を形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、各種表面処理工程を追加することなく、下層薄膜層の上に、均一な形状の上層薄膜層を積層することができる。ひいては、電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0026】
この電気光学装置の製造方法において、前記界面活性剤は、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基と、下層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基とを有する。
【0027】
この電気光学装置の製造方法によれば、界面活性剤が下層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えるため、下層薄膜層を形成する液滴内に、同界面活性剤を
均一に混和させることができる。また、界面活性剤が上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えるため、同界面活性剤によって、上層薄膜層を形成する液滴の濡れ性を向上することができる。従って、下層薄膜層上に、均一な形状の上層薄膜層を積層することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0028】
この電気光学装置の製造方法において、前記界面活性剤は、親水性を有する官能基と、親油性を有する官能基とを備えた有機化合物であり、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えたシランカップリング剤等を用いることができる。
【0029】
この電気光学装置の製造方法において、前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層するようにしたエレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置の製造方法によれば、エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0030】
この電気光学装置の製造方法において、前記発光素子は、有機材料からなる前記薄膜層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子である。
この電気光学装置の製造方法によれば、有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0031】
この電気光学装置の製造方法において、正孔輸送層形成材料を含む親水性の液体に前記界面活性剤を混和し、前記界面活性剤を混和した液体からなる前記液体を乾燥することによって下層の正孔輸送層を形成した後に、前記正孔輸送層上で、発光層形成材料を含む疎水性の液体からなる液滴を乾燥して上層の発光層を積層するようにした。
【0032】
この電気光学装置の製造方法によれば、正孔輸送層が界面活性剤を含有するため、親水性の液滴を乾燥して形成した正孔輸送層上に、発光層形成材料を含む撥水性の液体を濡れ広がらせることができ、発光層を均一に積層することができる。従って、正孔輸送層及び発光層からなる有機エレクトロルミネッセンス素子を備えた電気光学装置の生産性を向上することができる。
【0033】
この電気光学装置の製造方法において、前記親水性の液体の主成分は極性を有する液体であって、前記疎水性の液体の主成分は非極性の液体である。
この電気光学装置の製造方法によれば、極性を有する液体を乾燥して形成した正孔輸送層上に、非極性の液体を乾燥して形成した発光層を均一に積層することができる。
【0034】
この電気光学装置の製造方法において、前記液滴は、液滴吐出装置から吐出するようにした。
この電気光学装置の製造方法によれば、液滴吐出装置によって微細な液滴を形成する分だけ、より均一な形状の発光素子を形成することができ、電気光学装置の生産性を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図10に従って説明する。図1は、電気光学装置としての有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す概略平面図である。
【0036】
図1に示すように、有機ELディスプレイ10には、パターン形成基板としての透明基板11が備えられている。透明基板11は、四角形状に形成される無アルカリガラス基板であって、その表面(素子形成面11a)には、四角形状の素子形成領域12が形成されている。その素子形成領域12には、上下方向(列方向)に延びる複数のデータ線Lyが
所定の間隔をおいて形成されている。各データ線Lyは、それぞれ透明基板11の下側に配設されるデータ線駆動回路Dr1に電気的に接続されている。データ線駆動回路Dr1は、図示しない外部装置から供給される表示データに基づいてデータ信号を生成し、そのデータ信号を対応するデータ線Lyに所定のタイミングで出力するようになっている。
【0037】
また、素子形成領域12には、列方向に延びる複数の電源線Lvが所定の間隔をおいて各データ線Lyに併設されている。各電源線Lvは、それぞれ素子形成領域12の下側に形成される共通電源線Lvcに電気的に接続され、図示しない電源電圧生成回路の生成する駆動電源を各電源線Lvに供給するようになっている。
【0038】
さらにまた、素子形成領域12には、データ線Ly及び電源線Lvと直交する方向(行方向)に延びる複数の走査線Lxが所定の間隔をおいて形成されている。各走査線Lxは、それぞれ透明基板11の左側に形成される走査線駆動回路Dr2に電気的に接続されている。走査線駆動回路Dr2は、図示しない制御回路から供給される走査制御信号に基づいて、複数の走査線Lxの中から所定の走査線Lxを所定のタイミングで選択駆動し、その走査線Lxに走査信号を出力するようになっている。
【0039】
これらデータ線Lyと走査線Lxの交差する位置には、対応するデータ線Ly、電源線Lv及び走査線Lxに接続されることによってマトリックス状に配列される複数の画素13が形成されている。その画素13内には、それぞれ制御素子形成領域14と発光素子形成領域15が区画形成されている。そして、素子形成領域12の上側を四角形状の封止基板16(図1における2点鎖線)で覆うことによって、画素13が保護されるようになっている。
尚、本実施形態における各画素13は、それぞれ対応する色の光を発光する画素であって、赤色の光を発光する赤色画素又は緑色の光を発光する緑色画素又は青色を発光する青色画素である。そして、これら各画素13によって、透明基板11の裏面(表示面11b)側にフルカラーの画像を表示するようになっている。
次に、上記する画素13について以下に説明する。図2は、制御素子形成領域14及び発光素子形成領域15のレイアウトを示す概略平面図である。図3及び図4は、それぞれ図2の一点鎖線A−A及びB−Bに沿った制御素子形成領域14を示す概略断面図であって、図5は、図2の一点鎖線C−Cに沿った発光素子形成領域15を示す概略断面図である。
【0040】
まず、制御素子形成領域14の構成について以下に説明する。図2に示すように、各画素13の下側には、それぞれ制御素子形成領域14が形成され、その制御素子形成領域14には、それぞれ第1トランジスタ(スイッチング用トランジスタ)T1、第2トランジスタ(駆動用トランジスタ)T2及び保持キャパシタCsが形成されている。
【0041】
図3に示すように、スイッチング用トランジスタT1は、その最下層に第1チャンネル膜B1を備えている。第1チャンネル膜B1は、素子形成面11a上に形成される島状のp型ポリシリコン膜であって、その中央位置には第1チャンネル領域C1が形成されている。その第1チャンネル領域C1を挟む左右両側には、活性化したn型領域(第1ソース領域S1及び第1ドレイン領域D1)が形成されている。つまり、スイッチング用トランジスタT1は、いわゆるポリシリコン型TFTである。
【0042】
第1チャンネル領域C1の上側には、素子形成面11a側から順に、ゲート絶縁膜Gox及び第1ゲート電極G1が形成されている。ゲート絶縁膜Goxは、シリコン酸化膜等の光透過性を有する絶縁膜であって、第1チャンネル領域C1の上側及び素子形成面11aの略全面に堆積されている。第1ゲート電極G1は、タンタルやアルミニウム等の低抵抗金属膜であって、第1チャンネル領域C1と相対向する位置に形成され、図2に示すよ
うに、走査線Lxと電気的に接続されている。その第1ゲート電極G1は、図3に示すように、ゲート絶縁膜Goxの上側に堆積される第1層間絶縁膜IL1によって電気的に絶縁されている。
【0043】
そして、走査線駆動回路Dr2が走査線Lxを介して第1ゲート電極G1に走査信号を入力すると、スイッチング用トランジスタT1は、その走査信号に基づいたオン状態となる。
【0044】
第1ソース領域S1には、前記第1層間絶縁膜IL1及びゲート絶縁膜Goxを貫通するデータ線Lyが電気的に接続されている。また、第1ドレイン領域D1には、第1層間絶縁膜IL1及びゲート絶縁膜Goxを貫通する第1ドレイン電極Dp1が電気的に接続されている。これらデータ線Ly及び第1ドレイン電極Dp1は、図3に示すように、第1層間絶縁膜IL1の上側に堆積される第2層間絶縁膜IL2によって電気的に絶縁されている。
【0045】
そして、走査線駆動回路Dr2が、走査線Lxを線順次走査に基づき1本ずつ順次選択すると、画素13のスイッチング用トランジスタT1が順次、選択期間中だけオン状態になる。スイッチング用トランジスタT1がオン状態となると、データ線駆動回路Dr1から出力されるデータ信号が、データ線Ly及びスイッチング用トランジスタT1(チャンネル膜B1)を介して第1ドレイン電極Dp1に出力される。
【0046】
図4に示すように、駆動用トランジスタT2は、第2チャンネル領域C2、第2ソース領域S2及び第2ドレイン領域D2を有したチャンネル膜B2を備えるポリシリコン型TFTである。その第2チャンネル膜B2の上側には、ゲート絶縁膜Goxを介して第2ゲート電極G2が形成されている。第2ゲート電極G2は、タンタルやアルミニウム等の低抵抗金属膜であって、図2に示すように、スイッチング用トランジスタT1の第1ドレイン電極Dp1及び保持キャパシタCsの下部電極Cp1と電気的に接続されている。これら第2ゲート電極G2及び下部電極Cp1は、図4に示すように、ゲート絶縁膜Goxの上側に堆積される前記第1層間絶縁膜IL1によって電気的に絶縁されている。
【0047】
第2ソース領域S2は、この第1層間絶縁膜IL1を貫通する保持キャパシタCsの上部電極Cp2に電気的に接続されている。その上部電極Cp2は、図2に示すように、対応する電源線Lvに電気的に接続されている。つまり、駆動用トランジスタT2の第2ゲート電極G2と第2ソース領域S2間との間には、図2及び図4に示すように、第1層間絶縁膜IL1を容量膜とする保持キャパシタCsが接続されている。第2ドレイン領域D2は、第1層間絶縁膜IL1を貫通する第2ドレイン電極Dp2に電気的に接続されている。これら第2ドレイン電極Dp2及び上部電極Cp2は、第1層間絶縁膜IL1の上側に堆積される第2層間絶縁膜IL2によって電気的に絶縁されている。
【0048】
そして、データ線駆動回路Dr1から出力されるデータ信号がスイッチング用トランジスタT1を介して第1ドレイン領域D1に出力されると、保持キャパシタCsが、出力されたデータ信号に相対する電荷を蓄積する。続いて、スイッチング用トランジスタT1がオフ状態になると、保持キャパシタCsに蓄積される電荷に相対した駆動電流が、駆動用トランジスタT2(チャンネル膜B2)を介して第2ドレイン領域D2に出力される。
【0049】
次に、発光素子形成領域15の構成について以下に説明する。
図2に示すように、各画素13の上側には、それぞれ四角形状の発光素子形成領域15が形成されている。図5に示すように、その発光素子形成領域15であって前記第2層間絶縁膜IL2の上側には、透明電極としての陽極20が形成されている。
【0050】
陽極20は、ITO等の光透過性を有する透明導電膜であって、その一端が、図4に示すように、第2層間絶縁膜IL2を貫通して第2ドレイン領域D2に電気的に接続されている。その陽極20の上面20aは、後述する親液化処理(図6におけるステップ12)によって下層液滴25D(図9参照)を親液するようになっている。
【0051】
その陽極20の上側には、各陽極20を互いに絶縁するシリコン酸化膜等の第3層間絶縁膜IL3が堆積されている。この第3層間絶縁膜IL3には、陽極20の略中央位置を上側に開口する四角形状の貫通孔21が形成され、その第3層間絶縁膜IL3の上側には、隔壁層22が形成されている。
【0052】
隔壁層22は、所定の波長からなる露光光Lpr(図7参照)を露光すると、露光された部分のみがアルカリ性溶液等の現像液に可溶となる、いわゆるポジ型の感光性材料で形成され、後述する下層形成溶液25L(図9参照)及び上層形成溶液27L(図10参照)を撥液する感光性ポリイミド等の樹脂で形成されている。
【0053】
その隔壁層22には、貫通孔21と相対向する位置を上側に向かってテーパ状に開口する収容孔23が形成されている。収容孔23は、後述する下層液滴25D(図9参照)及び上層液滴27D(図10参照)を対応する発光素子形成領域15内に収容可能な大きさで形成されている。そして、この収容孔23の内周面によって、発光素子形成領域15(陽極20及び貫通孔21)を囲う隔壁24が形成されている。
【0054】
発光素子形成領域15内であって陽極20の上側には、下層パターンとしての下層薄膜層(正孔輸送層)25が形成されている。正孔輸送層25は、パターン形成材料及び薄膜層形成材料を構成する正孔輸送層形成材料25s(図9参照)からなるパターンである。
尚、本実施形態における正孔輸送層形成材料25sは、例えばベンジジン誘導体、スチリルアミン誘導体、トリフェニルメタン誘導体、トリフェニルアミン誘導体、及びヒドラゾン誘導体等の低分子化合物、又はこれらの構造を一部に含む高分子化合物や、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリビニルカルバゾール、α−ナフチルフェニルジアミン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸との混合物(PEDOT/PSS)(Baytron P、バイエル社商標)等の高分子化合物である。
【0055】
その正孔輸送層25内には、界面活性剤26が含有されている。界面活性剤26は、後述する下層液滴25Dに対して親液性(本実施形態では親水性)を有する下層官能基26aと、後述する上層液滴27Dに対して親液性(本実施形態では親油性)を有する上層官能基26bを有している。界面活性剤26は、その下層官能基26aを正孔輸送層25側にし、上層官能基26bを同正孔輸送層25の上面に露出するように含有されている。
下層官能基26aは、後述する親水性の下層溶媒(あるいは正孔輸送層形成材料25s)との親和性を高めるものであって、その親和性は、下層溶媒(あるいは正孔輸送層形成材料25s)との間に、親和力やファンデルワールス力、静電引力等の親和力、又は共有結合、イオン結合、配位結合、水素結合等の結合形成によるものである。その下層官能基26aは、例えば水酸基、シュウ酸基、アンモニウム基、硫酸基、燐酸基、あるいはこれらのナトリウム塩やカリウム塩等である。
【0056】
一方、上層官能基26bは、後述する疎水性の上層溶媒(あるいは、発光層形成材料27s)との親和性を高めるものである。その上層官能基26bは、例えばフェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基等の環状構造を有する有機基である。あるいは、上層官能基26bは、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デ
シル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等の有機基であってもよく、上層溶媒(あるいは、発光層形成材料27s)との親和性を高める有機基であればよい。
【0057】
その正孔輸送層25の上側には、上層パターンとしての上層薄膜層(発光層)27が積層されている。発光層27は、パターン形成材料及び薄膜層形成材料を構成する発光層形成材料27s(図10参照)からなるパターンである。
【0058】
尚、本実施形態における発光層27は、それぞれ対応する色の発光層形成材料27s(赤色の光を発光する赤色発光層形成材料、緑色の光を発光する緑色発光層形成材料及び青色を発光する青色発光層形成材料)で形成されている。赤色用発光層形成材料は、例えばポリビニレンスチレン誘導体のベンゼン環にアルキル又はアルコキシ置換基を有する高分子化合物や、ポリビニレンスチレン誘導体のビニレン基にシアノ基を有する高分子化合物等である。また、緑色用発光層形成材料は、例えばアルキル、又はアルコキシ又はアリル誘導体置換基をベンゼン環に導入したポリビニレンスチレン誘導体等である。青色用発光層形成材料は、例えばポリフルオレン誘導体(ジアルキルフルオレンとアントラセンの共重合体やジアルキルフルオレンとチオフェンの共重合体等)である。
【0059】
そして、これら正孔輸送層25と発光層27によって積層パターンとしての有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL層)30が形成されている。
有機EL層30上側であって隔壁層22(隔壁24)の上側には、アルミニウム等の光反射性を有する金属膜からなる背面電極としての陰極31が形成されている。陰極31は、素子形成面11a側全面を覆うように形成され、各画素13が共有することによって各発光素子形成領域15に共通する電位を供給するようになっている。
【0060】
すなわち、これら陽極20、有機EL層30及び陰極31によって、発光素子としての有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)が構成される。
そして、データ信号に応じた駆動電流が第2ドレイン領域D2を介して陽極20に供給されると、有機EL層30は、その駆動電流に応じた輝度で発光する。この際、有機EL層30から陰極31側(図4における上側)に向かって発光された光は、同陰極31によって反射される。そのため、有機EL層30から発光された光は、その殆どが、陽極20、第2層間絶縁膜IL2、第1層間絶縁膜IL1、ゲート絶縁膜Gox、素子形成面11a及び透明基板11を透過して透明基板11の裏面(表示面11b)側から外方に向かって出射する。すなわち、データ信号に基づく画像が有機ELディスプレイ10の表示面11bに表示される。
【0061】
陰極31の上側には、エポキシ樹脂等からなる接着層32が形成され、その接着層32を介して素子形成領域12を覆う封止基板16が貼着されている。封止基板16は、無アルカリガラス基板であって、画素13及び各種配線Lx,Ly,Lvの酸化等を防止するようになっている。
(有機ELディスプレイ10の製造方法)
次に、有機ELディスプレイ10の製造方法について以下に説明する。図6は、有機ELディスプレイ10の製造方法を説明するフローチャートであって、図7〜図10は、同有機ELディスプレイ10の製造方法を説明する説明図である。
【0062】
図6に示すように、はじめに透明基板11の素子形成面11aに各種配線Lx,Ly,Lv,Lvc及び各トランジスタT1,T2を形成し、隔壁層22をパターニングする有機EL層前工程を行う(ステップS11)。図7は、有機EL層前工程を説明する説明図
である。
【0063】
すなわち、有機EL層前工程では、まず素子形成面11aの全面にエキシマレーザ等によって結晶化したポリシリコン膜を形成し、そのポリシリコン膜をパターニングして各チャンネル膜B1,B2を形成する。次に、各チャンネル膜B1,B2及び素子形成面11aの上側全面に、シリコン酸化膜等からなるゲート絶縁膜Goxを形成し、そのゲート絶縁膜Goxの上側全面にタンタル等の低抵抗金属膜を堆積する。そして、その低抵抗金属膜をパターニングして、各ゲート電極G1,G2、保持キャパシタCsの下部電極Cp1及び走査線Lxを形成する。
【0064】
各ゲート電極G1,G2を形成すると、同ゲート電極G1,G2をマスクにしたイオンドーピング法によって、それぞれ各チャンネル膜B1,B2にn型不純物領域を形成する。これによって、各チャンネル領域C1,C2、各ソース領域S1,S2及び各ドレイン領域D1,D2を形成する。各チャンネル膜B1,B2にそれぞれ各ソース領域S1,S2及び各ドレイン領域D1,D2を形成すると、各ゲート電極G1,G2、下部電極Cp1、走査線Lx及びゲート絶縁膜Goxの上側全面にシリコン酸化膜等からなる第1層間絶縁膜IL1を堆積する。
【0065】
第1層間絶縁膜IL1を堆積すると、その第1層間絶縁膜IL1であって各ソース領域S1,S2及び各ドレイン領域D1,D2と相対する位置に一対のコンタクトホールをパターニングする。次に、同コンタクトホール内及び第1層間絶縁膜IL1の上側全面にアルミニウム等の金属膜を堆積し、その金属膜をパターニングすることによって各ソース領域S1,S2に対応するデータ線Lyと保持キャパシタCsの上部電極Cp2をそれぞれ形成する。同時に、各ドレイン領域D1,D2に対応する各ドレイン電極Dp1,Dp2を形成する。そして、データ線Ly、上部電極Cp2、各ドレイン領域D1,D2及び第1層間絶縁膜IL1の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第2層間絶縁膜IL2を堆積する。これによって、スイッチング用トランジスタT1及び駆動用トランジスタT2を形成する。
【0066】
第2層間絶縁膜IL2を堆積すると、その第2層間絶縁膜IL2であって第2ドレイン領域D2と相対向する位置にビアホールを形成する。次に、そのビアホール内及び第2層間絶縁膜IL2の上側全面に、ITO等の光透過性を有する透明導電膜を堆積し、その透明導電膜をパターニングすることによって第2ドレイン領域D2と接続する陽極20を形成する。陽極20を形成すると、その陽極20及び第2層間絶縁膜IL2の上側全面にシリコン酸化膜等からなる第3層間絶縁膜IL3を堆積する。
【0067】
第3層間絶縁膜IL3を堆積すると、図7に示すように、第3層間絶縁膜IL3の上側全面に、感光性ポリイミド樹脂等を塗布して隔壁層22を形成する。そして、マスクMkを介して、陽極20と相対向する位置の隔壁層22に所定の波長からなる露光光Lprを露光して現像すると、同隔壁層22に隔壁24を内周面にする収容孔23がパターニングされる。
【0068】
収容孔23をパターニングすると、隔壁層22をマスクにして第3層間絶縁膜IL3をパターニングし、陽極20の上側に、収容孔23と連通する貫通孔21を形成する。
これによって、素子形成面11aに各種配線Lx,Ly,Lv,Lvc及び各トランジスタT1,T2を形成し、収容孔23をパターニングする有機EL層前工程を終了する。
【0069】
図6に示すように、有機EL層前工程を終了すると(ステップS11)、後述する下層液滴25D及び上層液滴27Dを形成するために、収容孔23内及び隔壁層22の表面を処理する表面処理工程を行う(ステップS12)。図8は、表面処理工程を説明する説明
図である。
【0070】
すなわち、表面処理工程では、まず、素子形成面11a全面を酸素系のプラズマPsに晒して、収容孔23内の陽極20(上面20a)及び第3層間絶縁膜IL3(貫通孔21)を親水性にする親水化処理を行う。続いて、前記する親水化処理を行うと、素子形成面11a全面をフッ素系のプラズマPsに晒して、隔壁層22(隔壁24)を再び撥液性にする撥液化処理を行う。
図6に示すように、表面処理工程を終了すると(ステップS12)、収容孔23内に正孔輸送層形成材料25s及び界面活性剤26を含有する下層液滴25Dを形成し、正孔輸送層25を形成する下層形成工程を行う(ステップS13)。図9は、その下層形成工程を説明する説明図である。
【0071】
まず、下層液滴25Dを形成するための液滴吐出装置の構成について以下に説明する。
図9に示すように、本実施形成における液滴吐出装置を構成する液体吐出ヘッド35には、ノズルプレート36が備えられている。そのノズルプレート36の下面(ノズル形成面36a)には、液体を吐出する多数のノズル36nが上方に向かって形成されている。各ノズル36nの上側には、図示しない液体収容タンクに連通して液体をノズル36n内に供給可能にする液体供給室37が形成されている。各液体供給室37の上側には、上下方向に往復振動して液体供給室37内の容積を拡大縮小する振動板38が配設されている。その振動板38の上側であって各液体供給室37と相対向する位置には、それぞれ上下方向に伸縮して振動板38を振動させる圧電素子39が配設されている。
そして、液滴吐出装置に搬送される透明基板11は、図9に示すように、素子形成面11aをノズル形成面36aと平行にして、かつ各収容孔23の中心位置をそれぞれノズル36nの直下に配置して位置決めされる。
【0072】
ここで、液体供給室37内に、正孔輸送層形成材料25sを下層溶媒に溶解し、その溶液に界面活性剤26を混和して生成した下層形成溶液25Lを供給する。
尚、本実施形態における下層溶媒は、親水性の液体であって、その主成分が、例えば水、エタノール、N−メチルピロリドンや1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の極性の液体で構成されている。そのため、下層形成溶液25Lに混和される界面活性剤26は、その下層官能基26aによって、下層形成溶液25L内で偏倚することなく均一に溶解されている。つまり、下層形成溶液25Lは親水性の溶液であって、界面活性剤26を均一に混和した溶液である。
【0073】
そして、液体吐出ヘッド35に下層液滴25Dを形成するための駆動信号を入力すると、同駆動信号に基づいて圧電素子39が伸縮して液体供給室37の容積が拡大縮小する。このとき、液体供給室37の容積が縮小すると、縮小した容積に相対する量の下層形成溶液25Lが、各ノズル36nから微小下層液滴25bとして吐出される。吐出された微小下層液滴25bは、それぞれ収容孔23内の陽極20上面に着弾する。続いて、液体供給室37の容積が拡大すると、拡大した容積分の下層形成溶液25Lが、図示しない液体収容タンクから液体供給室37内に供給される。つまり、液体吐出ヘッド35は、こうした液体供給室37の拡大縮小によって、所定の容量の下層形成溶液25Lを収容孔23に向かって吐出する。尚、この際、液体吐出ヘッド35は、下層液滴25Dに含まれる正孔輸送層形成材料25sが所望する膜厚を形成する分だけ微小下層液滴25bを吐出する。
【0074】
そして、収容孔23内に吐出された微小下層液滴25bは、上記する親液化処理を行う分だけ、陽極20上面及び貫通孔21全体に均一に濡れ広がる。均一に濡れ広がる微小下層液滴25bは、やがて、図9の2点鎖線に示すように、その表面張力と隔壁24の撥液性によって、半球面状の表面を呈する下層液滴25Dを形成する。
【0075】
下層液滴25Dを形成すると、続いて、透明基板11(下層液滴25)を所定の減圧下に配置して同下層液滴25Dの下層溶媒を蒸発させ、界面活性剤26を均一に含有する状態で正孔輸送層形成材料25sを硬化する。硬化する正孔輸送層形成材料25sは、陽極20上面全体に均一に濡れ広がる分だけ、均一な形状を有する正孔輸送層25を形成する。
【0076】
尚、この際、下層液滴25Dは、下層溶媒に親液しない上層官能基26bを下層液滴25Dの表面に露出するように乾燥する。そのため、正孔輸送層25は、下層官能基26aを内方にして、かつ上層官能基26bを露出するように界面活性剤26を配置する。
【0077】
これによって、貫通孔21(収容孔23)内であって陽極20上面全体に、界面活性剤26を含有した正孔輸送層25を形成する。
図6に示すように、正孔輸送層25を形成すると(ステップS13)、各収容孔23内に、対応する色の発光層形成材料を含有する上層液滴27Dを形成し、発光層27を形成する上層形成工程を行う(ステップS14)。図10は、上層形成工程を説明する説明図である。
上層形成工程では、下層形成工程と同じく、各色の発光層形成材料27sを上層溶媒に溶解した上層形成溶液27Lからなる微小上層液滴27bを、各ノズル36nから対応する正孔輸送層25上に吐出する。この際、液体吐出ヘッド35は、発光層形成材料27sが収容孔23内で所望する膜厚を形成する分だけ微小上層液滴27bを吐出する。
【0078】
尚、本実施形態における上層溶媒は、疎水性であって、かつ正孔輸送層形成材料25sを溶解しない(相溶しない)液体である。また、上層溶媒は、その主成分が、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、シクロへキシルベンゼン、ジハイドロベンゾフラン、トリメチルベンゼン、テトラメチルベンゼン等の非極性の液体で構成されている。つまり、上層形成溶液27Lは、下層形成溶液25Lと相反する疎水性の溶液である。
【0079】
正孔輸送層25上に吐出された疎水性の微小上層液滴27bは、上記する界面活性剤26(上層官能基26b)との親和力によって、その界面活性剤26が含有される分だけ、正孔輸送層25上面全体に均一に濡れ広がる。そして、均一に濡れ広がる微小上層液滴27bは、やがて、図10の2点鎖線に示すように、その表面張力と隔壁24の撥液性によって、半球面状の表面を呈する上層液滴27Dを形成する。
【0080】
上層液滴27Dを形成すると、上記する下層形成工程と同じく、透明基板11(上層液滴27D)を所定の減圧下に配置して上層溶媒を蒸発させ、発光層形成材料27sを硬化する。硬化する発光層形成材料27sは、正孔輸送層25上面全体に均一に濡れ広がる分だけ、その形状(例えば、発光素子形成領域15内の膜厚分布や発光素子形成領域15間の膜厚分布等)を均一にした発光層27を形成する。すなわち、均一な形状を有する有機EL層30を形成する。
【0081】
図6に示すように、上層形成工程を終了すると(ステップS14)、発光層27(有機EL層30)及び隔壁層22上に陰極31を形成し、画素13を封止する有機EL層後工程を行う(ステップ15)。すなわち、有機EL層30及び隔壁層22の上側全面にアルミニウム等の金属膜からなる陰極31を堆積し、陽極20、有機EL層30及び陰極31からなる有機EL素子を形成する。有機EL素子を形成すると、陰極31(画素13)の上側全面にエポキシ樹脂等を塗布して接着層32を形成し、その接着層32を介して封止基板16を透明基板11に貼着する。
【0082】
これによって、有機EL層30の形状を均一にした有機ELディスプレイ10を製造することができる。
次に、上記のように構成した本実施形態の効果を以下に記載する。
(1)上記実施形態によれば、下層溶媒に下層官能基26aと上層官能基26bを有する界面活性剤26を混和して下層形成溶液25Lを生成し、同下層形成溶液25Lからなる下層液滴25Dを乾燥して正孔輸送層25を形成するようにした。従って、界面活性剤26(上層官能基26b)を含有する分だけ、上層液滴27Dを正孔輸送層25上面全体に濡れ広がすことができる。
【0083】
(2)しかも、下層官能基26aによって、界面活性剤26を下層形成溶液25L内に均一に混和させることができ、正孔輸送層25に、同界面活性剤26を均一に含有させることができる。その結果、プラズマ等の表面処理による正孔輸送層25の破損を回避して、発光層27の形状を均一にすることができる。ひいては、正孔輸送層25の表面処理工程を削減して有機EL層30の形状を均一にすることができ、有機ELディスプレイ10の生産性を向上することができる。
【0084】
(3)上記実施形態によれば、正孔輸送層25に含有する界面活性剤26によって、同正孔輸送層25の上面のみを親液化するようにした。従って、プラズマ等の全面処理を施す場合に比べ、隔壁層22等の表面状態(撥液性)を維持することができる。その結果、各収容孔23内において、吐出した微小上層液滴27bの漏れ等を回避することができ、同微小上層液滴27bの量に相対する発光層27を確実に形成することができる。ひいては、有機EL層30間の形状の均一性をさらに向上することができる。
(4)上記実施形態によれは、上層形成溶液27Lの上層溶媒を、疎水性(非極性)の液体であって、正孔輸送層形成材料25sを溶解しない(相溶しない)液体で構成するようにした。従って、正孔輸送層25の形状を保持して上層液滴27Dを形成することができる。その結果、正孔輸送層25の均一性を保持する分だけ、発光層27の形状、ひいては有機EL層30の形状を均一にすることができる。
【0085】
(5)上記実施形態によれば、下層液滴25Dを、液滴吐出装置から吐出する微小下層液滴25bによって形成するようにした。従って、所望する容量の界面活性剤26を下層液滴25D(正孔輸送層25)内に確実に含有させることができ、他の液相プロセス(例えば、スピンコート法等)に比べ、より均一な有機EL層30を形成することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態における界面活性剤26は、例えばペンタエチレングリコールモノベンジルエーテル、4−n−ペンチルシクロヘキサン酸、4−フェノキシ−ブチル酸、2−フェノキシエタノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、2−フェノキシプロパノール、2−フェノキシプロピオン酸、3−フェノキシプロピオン酸、5−フェノキシバレル酸、フェニルアニリン、フェニルアラニオール、4−フェニル−1−ブタノール、4−フェニル−2−ブタノール、3−フェノキシ−1,2−プロパンジオール、2−フェニルブチル
酸、4−フェニルブチル酸、1,2−フェニレンジ酢酸、1,3−フェニレンジ酢酸、N−フェニルジエタノールアミン、2−フェニルエチルアルコール、2−フェニルエチルアミン、N−フェニルエチレンアミン、フェニルエチレングリコール、2−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン、2−フェニルグリコノール、6−フェニルヘキサン酸、3−フェニル酢酸、5−フェニル−1−ペンタノール、5−フェニルペンタン酸、5−フェニル−4−ペンチン−1−オール、2−フェニル−1,3−プロパンジオール、3−フェニル−1−プロパノール、3−フェニルプロピオンアルデヒド、2−フェニルプロピオン酸、3−フェニルプロピルアミン、4−(3−フェニルプロピル)ピリジン、1−フェニル−1−プロピン−3−オール、(フェニルチオ)酢酸、2−(フェニルチオ)エタノール、5−フェニルバレル酸、1−ナフチロキシ酢酸、2−ナフチロキシ酢酸、2−(1−ナフチル)エタノール、1−(1−ナフチル)エタノール、1−(1−ナフチル)エチルアミン、N−1−ナフチルエチレンジアミン、3−(2−ナフチル)アラニン、1−ナフタレン酸、2−ナフタレン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレン酢酸、1−アントラセンカルボン酸、2−アントラセンカルボン酸、3−アントラセンカルボン酸、1−ピレンブチル酸、1−ピレンメタノール、2−ピリジンメタノール、3−ピリジンメタノール、4−ピリジンメタノール、2−ピリジンプロパノール、3−ピリジンプロパノール、4−ピリジンプロパノール、2−ピリジン酢酸、3−ピリジン酢酸、4−ピリジン酢酸、3−(3−ピリジル)アクリル酸、2−(2−ピリジル)エタンスルホン酸、2−(4−ピリジル)エタンスルホン酸、(4−ピリジルチオ)酢酸、チオフェン−2−酢酸、チオフェン−3−酢酸、2−チオフェンアクリル酸、2−チオフェンエタノール、3−チオフェンエタノール、3−チオフェンマロン酸、2−チオフェンメタノール、3−チオフェンメタノール、n−デシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−デシルトリメチルアンモニウムブロマイド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、n−オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、n−オクタデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ジ−n−ドデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジ−n−ドデシルジメチルアンモニウムブロマイド、n−デシルピリジニウムクロライド、n−デシルピリジニウムブロマイド、n−ドデシルピリジニウムクロライド、n−ドデシルピリジニウムブロマイド、n−ドデシルピリジニウムアイオダイド、n−テトラデシルピリジニウムクロライド、n−テトラデシルピリジニウムブロマイド、n−ヘキサデシルピリジニウムクロライド、n−ヘキサデシルピリジニウムブロマイド、n−ヘキサデシルピリジニウムアイオダイド、n−オクタデシルピリジニウムクロライド、n−オクタデシルピリジニウムブロマイド、n−ドデシルピコリニウムクロライド、n−ドデシルピコリニウムブロマイド、n−オクタデシルピコリニウムクロライド、n−オクタデシルピコリニウムブロマイド、n−オクタデシルピコリニウムアイオダイド、N,N’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N,N’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N,N’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムビス(メチルサルフェイト)、N,N’−ジメチル−4,4’−ビピリジニウムビス(р−トルエンスルホネート)、N,N’−ジ(n−プロピル)−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N,N’−ジ(n−プロピル)−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N,N’−ジ(n−プロピル)−4,4’−ビピリジニウムビス(р−トルエンスルホネート)、N,N’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N,N’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N,N’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムジアイオダイド、N,N’−ジベンジル−4,4’−ビピリジニウムビス(р−トルエンスルホネート)、N,N’−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N,N’−ジフェニル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N,N’−ビス(3−スルホネートプロピル)−4,4’−ビピリジニウム、1,3−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラクロライド、1,3−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラブロマイド、1,3−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラクロライド、1,3−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラブロマイド、1,4−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}ブタンテトラクロライド、1,4−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}ブタンテトラブロマイド、1,4−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}ブタンテトラクロライド、1,4−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}ブタンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−メチル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−ベンジル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラブロマイド、N−n−ドデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N−n−ドデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムブロマイドアイオダイド、N−n−ドデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムブロマイドメチルサルフェイト、N−n−ドデシル−N’−ベンジル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N−n−ドデシル−N’−ベンジル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N−n−ドデシル−N’−ベンジル−4,4’−ビピリジニウムクロライドブロマイド、N−n−ヘキサデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N−n−ヘキサデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムブロマイドアイオダイド、N−n−ヘキサデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムブロマイドメチルサルフェイト、N−n−ヘキサデシル−N’−ベンジル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N−n−ヘキサデシル−N’−ベンジル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N−n−オクタデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N−n−オクタデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムブロマイドアイオダイド、N−n−オクタデシル−N’−メチル−4,4’−ビピリジニウムブロマイドメチルサルフェイト、N−n−オクタデシル−N’−ベンジル−4、4’−ビピリジニウムジブロマイド、N,N’−ジ−n−ドデシル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N,N’−ジ−n−ドデシル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、N,N’−ジ−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジニウムジクロライド、N,N’−ジ−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジニウムジブロマイド、1,3−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラクロライド、1,3−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラブロマイド、1,4−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}ブタンテトラブロマイド、1,6−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}ヘキサンテトラブロマイド、1,3−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}プロパンテトラブロマイド、1,4−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}ブタンテトラブロマイド、1,6−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}ヘキサンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ドデシル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}−o−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}−m−キシレンテトラブロマイド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラクロライド、α,α’−ビス{N−(N’−n−ヘキサデシル−4,4’−ビピリジル)}−p−キシレンテトラブロマイド、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリルアミド、シクロヘキシルメタクリルアミド、N−シクロヘキシル−N−メチルアクリルアミド、
N−シクロヘキシル−N−メチルメタクリルアミド、シクロヘキシルメチルアクリレート、シクロヘキシルメチルメタクリレート、シクロヘキシルメチルアクリルアミド、シクロヘキシルメチルメタクリルアミド、N−シクロヘキシルメチル−N−メチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルメチル−N−メチルメタクリルアミド、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、フェニルアクリルアミド、フェニルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリルアミド、ベンジルメタクリルアミド、N−ベンジル−N−メチルアクリルアミド、N−ベンジル−N−メチルメタクリルアミド、1−ノルボルニルアクリレート、1−ノルボルニルメタクリレート、1−ノルボルニルアクリルアミド、1−ノルボルニルメタクリルアミド、N−メチル−N−(1−ノルボルニル)アクリルアミド、N−メチル−N−(1−ノルボルニル)メタクリルアミド、シクロオクチルアクリレート、シクロオクチルメタクリレート、シクロオクチルアクリルアミド、シクロオクチルメタクリルアミド、N−シクロオクチル−N−メチルアクリルアミド、N−シクロオクチル−N−メチルメタクリルアミド、アダマンチルアクリレート、アダマンチルメタクリレート、アダマンチルアクリルアミド、アダマンチルメタクリルアミド、N−アダマンチル−N−メチルアクリルアミド、N−アダマンチル−N−メチルメタクリルアミド、1−ナフチルアクリレート、1−ナフチルメタクリレート、1−ナフチルアクリルアミド、1−ナフチルメタクリルアミド、N−メチル−N−(1−ナフチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(1−ナフチル)メタクリルアミド、2−ナフチルアクリレート、2−ナフチルメタクリレート、2−ナフチルアクリルアミド、2−ナフチルメタクリルアミド、N−メチル−N−(2−ナフチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(2−ナフチル)メタクリルアミド、n−ドデシルアクリレート、n−ドデシルメタクリレート、n−ドデシルアクリルアミド、n−ドデシルメタクリルアミド、N−n−ドデシル−N−メチルアクリルアミド、N−n−ドデシル−N−メチルメタクリルアミド、シクロドデシルアクリレート、シクロドデシルメタクリレート、シクロドデシルアクリルアミド、シクロドデシルメタクリルアミド、N−シクロドデシル−N−メチルアクリルアミド、N−シクロドデシル−N−メチルメタクリルアミド、n−ヘキサデシルアクリレート、n−ヘキサデシルメタクリレート、n−ヘキサデシルアクリルアミド、n−ヘキサデシルメタクリルアミド、N−n−ヘキサデシル−N−メチルアクリルアミド、N−n−ヘキサデシル−N−メチルメタクリルアミド、n−オクタデシルアクリレート、n−オクタデシルメタクリレート、n−オクタデシルアクリルアミド、n−オクタデシルメタクリルアミド、N−n−オクタデシル−N−メチルアクリルアミド、N−n−オクタデシル−N−メチルメタクリルアミド、ジ−n−オクチルアクリルアミド、ジ−n−オクチルメタクリルアミド、ジ−n−デシルアクリルアミド、ジ−n−デシルメタクリルアミド、ジ−n−ドデシルアクリルアミド、ジ−n−ドデシルメタクリルアミド、9−アントラセンメチルアクリレート、9−アントラセンメチルメタクリレート、9−アントラセンメチルアクリルアミド、9−アントラセンメチルメタクリルアミド、9−フェナントレンメチルアクリレート、9−フェナントレンメチルメタクリレート、9−フェナントレンメチルアクリルアミド、9−フェナントレンメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−(9−フェナントレンメチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(9−フェナントレンメチル)メタクリルアミド、1−ピレンメチルアクリレート、1−ピレンメチルメタクリレート、1−ピレンメチルアクリルアミド、1−ピレンメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−(1−ピレンメチル)アクリルアミド、N−メチル−N−(1−ピレンメチル)メタクリルアミド、4−アクリロイルオキシメチルフタロシアニン等である。
・上記実施形態では、下層官能基26a及び上層官能基26bを有する界面活性剤26を下層形成溶液25Lに混和するようにしたが、これに限らず、上層官能基26bを有するシランカップリング剤を下層形成溶液25Lに混和し、正孔輸送層25にシランカップリング剤又は同シランカップリング剤の加水分解性生物を含有するようにしても良い。そのシランカップリング剤は、例えばジメチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン
、1−プロペニルメチルジクロロシラン、プロピルジメチルクロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、プロピルトリクロロシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、テトラデシルトリクロロシラン、3−チオシアネートプロピルトリエトキシシラン、p−トリルジメチルクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシラン、p−トリルトリクロロシラン、p−トリルトリメトキシシラン、p−トリルトリエトキシシラン、ジ−n−プロピルジ−n−プロポキシシラン、ジイソプロピルジイソプロポキシシラン、ジ−n−ブチルジ−n−ブチロキシシラン、ジ−sec−ブチルジ−sec−ブチロキシシラン、ジ−t−ブチルジ−t−ブチロキシシラン、オクタデシルトリクロロシラン、オクタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルジメチルクロロシラン、オクタデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメトキシジクロロシラン、7−オクテニルジメチルクロロシラン、7−オクテニルトリクロロシラン、7−オクテニルトリメトキシシラン、オクチルメチルジクロロシラン、オクチルジメチルクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、10−ウンデセニルジメチルクロロシラン、ウンデシルトリクロロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルドデシルジエトキシシラン、メチルオクタデシルジメトキシシラン、メチルオクタデシルジエトキシシラン、n−オクチルメチルジメトキシシラン、n−オクチルメチルジエトキシシラン、トリアコンチルジメチルクロロシラン、トリアコンチルトリクロロシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルイソプロポキシシラン、メチル−n−ブチロキシシラン、メチルトリ−sec−ブチロキシシラン、メチルトリ−t−ブチロキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルイソプロポキシシラン、エチル−n−ブチロキシシラン、エチルトリ−sec−ブチロキシシラン、エチルトリ−t−ブチロキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−ドデシルトリメトキシシラン、n−オクタデシルトリエトキシシラン、2−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、4−〔2−(トリクロロシリル)エチル〕ピリジン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1,3−(トリクロロシリルメチル)ヘプタコサン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、フェニルジメトキシシラン、フェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、フェニルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ベンジルトリメトキシシラン、ベンジルメチルジメトキシシラン、ベンジルジメチルメトキシシラン、ベンジルジメトキシシラン、ベンジルジエトキシシラン、ベンジルメチルジエトキシシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ベンジルトリエトキシシラン、ジベンジルジメトキシシラン、ジベンジルジエトキシシラン、3−アセトキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、6−(アミノヘキシルアミノプロピル)トリメトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、p−アミノフェニルエトキシシラン、m−アミノフェニルトリメトキシシラン、m−アミノフェニルエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシシラン、ω−アミノウンデシルトリメトキシシラン、アミルトリエトキシシラン、ベンゾオキサシレピンジメチルエステル、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、8−ブロモオクチルトリメトキシシラン、ブロモフェニルトリメトキシシラン、3−ブロモプロピルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、2−クロロメチルトリエトキシシラン、クロロメチルメチルジエトキシシラン、クロロメチルメチルジイソプロポキシラン、p−(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、クロロフェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−(4−クロロスルフォニルフェニル)エチルトリメトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、2−シアノエチルトリメトキシシラン、シアノメチルフェネチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シクロヘキセニルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルジメチルクロロシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルメチルジクロロシシラン、シクロヘキシルジメチルクロロシラン、シクロヘキシルエチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジクロロシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、(シクロヘキシルメチル)トリクロロシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロオクチルトリクロロシラン、(4−シクロオクテニル)トリクロロシラン、シクロペンチルトリクロロシラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、1,1−ジエトキシ−1−シラシクロペンタ−3−エン、3−(2,4−ジニトロフェニルアミノ)プロピルトリエトキシシラン、(ジメチルクロロシリル)メチル−7,7−ジメチルノルピナン、(シクロヘキシルアミノメチル)メチルジエトキシシラン、(3−シクロペンタジエニルプロピル)トリエトキシシラン、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル)トリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、(フルフリルオキシメチル)トリエトキシシラン、2−ヒドロキシ−4−(3−トリエトキシプロポキシ)ジフェニルケトン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルメチルジクロロシラン、3−(p−メトキシフェニル)プロピルトリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)メチルジクロロシラン、p−(メチルフェネチル)トリクロロシラン、p−(メチルフェネチル)ジメチルクロロシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)メチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−メチルジエトキシシリル−2−ノルボルネン、1,2,3,4,7,7,−ヘキサクロロ−6−トリエトキシシリル−2−ノルボルネン、3−ヨードプロピルトリメトキシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メルカプトメチル)メチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メチル{2−(3−トリメトキシシリルプロピルアミノ)エチルアミノ}−3−プロピオネート、7−オクテニルトリメトキシシラン、R−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、S−N−α−フェネチル−N’−トリエトキシシリルプロピルウレア、フェネチルトリメトキシシラン、フェネチルメチルジメトキシシラン、フェネチルジメチルメトキシシラン、フェネチルジメトキシシラン、フェネチルジエトキシシラン、フェネチルメチルジエトキシシラン、フェネチルジメチルエトキシシラン、フェネチルトリエトキシシラン、(3−フェニルプロピル)ジメチルクロロシラン、(3−フェニルプロピル)メチルジクロロシラン、N−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(トリエトキシシリルプロピル)ダンシルアミド、N−(3−トリエトキシシリルプロピル)−4,5−ジヒドロイミダゾール、2−(トリエトキシシリルエチル)−5−(クロロアセトキシ)ビシクロヘプタン、(S)−N−トリエトキシシリルプロピル―O―メントカルバメート、3−(トリエトキシシリルプロピル)−p−ニトロベンズアミド、3−(トリエトキシシリル)プロピルサクシニック無水物、N−〔5−(トリメトキシシリル)−2−アザ−1−オキソ−ペンチル〕カプロラクタム、2−(トリメトキシシリルエチル)ピリジン、N−(トリメトキシシリルエチル)ベンジル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、フェニルビニルジエトキシシラン、3−チオシアナートプロピルトリエトキシシラン、(トリデカフロオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)トリエトキシシラン、N−{3−(トリエトキシシリル)プロピル}フタルアミド酸、(3,3,3−トリフルオロプロピル)メチルジメトキシシシラン、(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメトキシシシラン、1−トリメトキシシリル−2−(クロロメチル)フェニルエタン、2−(トリメトキシシリル)エチルフェニルスルホニルアジド、β−トリメトキシシリルエチル−2−ピリジン、トリメトキシシリルプロピルジエチレントリアミン、N−(3−トリメトキシシリルプロピル)ピロール、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムブロマイド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリブチルアンモニウムクロライド、N−トリメトキシシリルプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、ビニルメチルジエトキシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルフェニルジクロロシラン、ビニルフェニルジエトキシシラン、ビニルフェニルジメチルシラン、ビニルフェニルメチルクロロシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリス−t−ブトキシシラン、アダマンチルエチルトリクロロシラン、アリルフェニルトリクロロシラン、(アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、フェニルトリクロロシラン、フェニルジメチルクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ベンジルトリクロロシラン、ベンジルジメチルクロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、フェネチルジイソプロピルクロロシラン、フェネチルトリクロロシラン、フェネチルジメチルクロロシラン、フェネチルメチルジクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、5−(ビシクロヘプテニル)トリエトキシシラン、2−(ビシクロヘプチル)ジメチルクロロシラン、2−(ビシクロヘプチル)トリクロロシラン、1,4−ビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン、ブロモフェニルトリクロロシラン、3−フェノキシプロピルジメチルクロロシラン、3−フェノキシプロピルトリクロロシラン、t−ブチルフェニルクロロシラン、t−ブチルフェニルメトキシシラン、t−ブチルフェニルジクロロシラン、p−(t−ブ
チル)フェネチルジメチルクロロシラン、p−(t−ブチル)フェネチルトリクロロシラン、1,3−(クロロジメチルシリルメチル)ヘプタコサン、((クロロメチル)フェニルエチル)ジメチルクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)メチルジクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリクロロシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、クロロフェニルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリクロロシラン、2−シアノエチルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルジメチルエトキシシラン、3−シアノプロピルメチルジクロロシラン、3−シアノプロピルトリクロロシラン、等である。
・上記実施形態では、正孔輸送層形成材料25s及び発光層形成材料27sをそれぞれ下層溶媒及び上層溶媒に溶解して下層形成溶液25L及び上層形成溶液27Lを形成するようにした。これに限らず、正孔輸送層形成材料25s及び発光層形成材料27sをそれぞれ対応する分散媒に分散させ、各分散液を下層形成溶液25L及び上層形成溶液27Lとするようにしてもよい。
・上記実施形態では、有機ELディスプレイ10の正孔輸送層25が界面活性剤26を含有する構成にしたが、これに限らず、有機ELディスプレイ10の製造工程において、発光層27を形成するときに、正孔輸送層25が上層液滴27Dに対する親液性を有する界面活性剤26を含有する構成であればよい。すなわち、界面活性剤26は、上層液滴27Dを形成するときに、その濡れ性を高める性質を発現することができればよく、正孔輸送層25を形成したとき、あるいは発光層27を形成した後に、その界面活性能力を有しないものであってもよい。
・上記実施形態では、積層パターンを正孔輸送層25と発光層27の2層に具体化したが、これに限らず、例えばこれら2層を繰り返して積層するマルチフォトン構造であってもよく、複数の薄膜層を積層するものであればよい。
・上記実施形態では、有機ELディスプレイ10をボトムエミッション型に具体化したが、これに限らず、トップエミッション型に具体化してもよい。あるいは、発光層27を下層薄膜層として構成し、同発光層27に界面活性剤26を含有させるようにしてもよい。・上記実施形態では、正孔輸送層形成材料25s及び発光層形成材料27sを有機高分子材料に具体化したが、これに限らず、公知の低分子材料によって構成してもよい。
・上記実施形態では、有機EL層30を正孔輸送層25及び発光層27によって構成したが、同発光層27の上層にフッ化リチウムとカルシウムの積層膜等からなる電子注入層を設ける構成にしてもよい。また、この際、電子注入層を液滴によって形成し、発光層27に界面活性剤を含ませる構成にしてもよい。
・上記実施形態では、制御素子形成領域14にスイッチング用トランジスタT1及び駆動用トランジスタT2を備える構成にしたが、これに限定されるものでなく、所望の素子設計によって、例えば1つのトランジスタや多数のトランジスタ、あるいは多数のキャパシタからなる構成にしてもよい。
・上記実施形態では、有機EL層30をインクジェット法によって形成する構成にした。これに限らず、有機EL層30の形成方法は、例えば、スピンコート法等によって塗布する液体によって下層液滴25D及び上層液滴27Dを形成するようにしてもよく、液体を乾燥して硬化させることによって有機EL層30を形成する方法であればよい。
・上記実施形態では、圧電素子39によって微小下層液滴25bを吐出するようにしたが、これに限らず、例えば液体供給室37に抵抗加熱素子を設け、その抵抗加熱素子の加熱によって形成される気泡の破裂によって微小下層液滴25bを吐出するようにしてもよい。
・上記実施形態では、積層パターンを有機EL層30として具体化した、これに限らす、例えば、各色のカラーフィルタであってもよく、さらには走査線Lxやデータ線Ly等の各種配線パターンであってもよい。
・上記実施形態では、電気光学装置を有機ELディスプレイ10として具体化したが、これに限らず、例えば液晶パネルに装着されるバックライト等であってもよく、あるいは平面状の電子放出素子を備え、同素子から放出された電子による蛍光物質の発光を利用した電界効果型ディスプレイ(FEDやSED等)であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明を具体化した有機ELディスプレイを示す概略平面図。
【図2】同じく、画素を示す概略平面図。
【図3】同じく、制御素子形成領域を示す概略断面図。
【図4】同じく、制御素子形成領域を示す概略断面図。
【図5】同じく、発光素子形成領域を示す概略断面図。
【図6】同じく、電気光学装置の製造工程を説明するフローチャート。
【図7】同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。
【図8】同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。
【図9】同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。
【図10】同じく、電気光学装置の製造工程を説明する説明図。
【符号の説明】
【0087】
10…電気光学装置としての有機ELディスプレイ、11…パターン形成基板としての透明基板、15…発光素子形成領域、20…透明電極としての陽極、22…隔壁層、24…隔壁、25…下層パターン及び下層薄膜層としての正孔輸送層、25D…下層液滴、25s…薄膜層形成材料を構成する正孔輸送層形成材料、26…界面活性剤、26a…下層官能基、26b…上層官能基、27…上層パターン及び上層薄膜層としての発光層、27s
…薄膜層形成材料としての発光層形成材料、27D…上層液滴、30…積層パターンとしての有機EL層、31…背面電極としての陰極、35…液滴吐出装置を構成する液体吐出ヘッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン形成材料を含む液滴を乾燥して形成したパターンを積層することによって形成した積層パターンを備えるパターン形成基板において、
下層パターンは、上層パターンを形成する前記液滴に対して親液性を有する界面活性剤を含有したことを特徴とするパターン形成基板。
【請求項2】
請求項1に記載するパターン形成基板において、
前記界面活性剤は、上層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基と、下層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基とを備えたことを特徴とするパターン形成基板。
【請求項3】
請求項1又は2に記載するパターン形成基板において、
前記界面活性剤は、親水性を有する官能基と、親油性を有する官能基とを備えた有機化合物であることを特徴とするパターン形成基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載するパターン形成基板において、
前記界面活性剤は、上層パターンを形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えたシランカップリング剤又は前記シランカップリング剤の加水分解生成物であることを特徴とするパターン形成基板。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載するパターン形成基板において、
前記パターン形成材料は、発光素子形成材料であって、前記積層パターンは、発光素子であることを特徴とするパターン形成基板。
【請求項6】
薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して形成した薄膜層を積層することによって形成した発光素子を備える電気光学装置において、
下層薄膜層は、上層薄膜層を形成する前記液滴に対して親液性を有する界面活性剤を含有したことを特徴とする電気光学装置。
【請求項7】
請求項6に記載する電気光学装置において、
前記界面活性剤は、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基と、下層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基とを有することを特徴とする電気光学装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載する電気光学装置において、
前記界面活性剤は、親水性を有する官能基と、親油性を有する官能基とを備えた有機化合物であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項9】
請求項6〜8のいずれか1つに記載する電気光学装置において、
前記界面活性剤は、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えたシランカップリング剤又は前記シランカップリング剤の加水分解生成物であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項6〜9のいずれか1つに記載する電気光学装置において、
前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層したエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項11】
請求項10に記載する電気光学装置において、
前記発光素子は、有機材料からなる前記薄膜層を備えた有機エレクトロルミネッセンス
素子であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項12】
請求項10又は11に記載する電気光学装置において、
前記上層薄膜層は、疎水性の液体に溶解可能又は分散可能な発光層形成材料からなる発光層であって、下層薄膜層は、親水性の液体に溶解可能又は分散可能な正孔輸送層形成材料からなる正孔輸送層であることを特徴とする電気光学装置。
【請求項13】
薄膜層形成材料を含む液滴を乾燥して薄膜層を形成し、前記薄膜層を積層することによって発光素子を形成するようにした電気光学装置の製造方法において、
下層薄膜層を形成する液滴に、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する界面活性剤を混和し、前記界面活性剤を混和した液滴を乾燥して前記下層薄膜層を形成した後に、前記下層薄膜層上で、前記上層薄膜層を形成する液滴を乾燥して前記下層薄膜層上に前記上層薄膜層を積層するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記界面活性剤は、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基と、下層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基とを有することを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項15】
請求項13又は14に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記界面活性剤は、親水性を有する官能基と、親油性を有する官能基とを備えた有機化合物であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項16】
請求項13〜15のいずれか1つに記載する電気光学装置の製造方法において、
前記界面活性剤は、上層薄膜層を形成する液滴に対して親液性を有する官能基を備えたシランカップリング剤であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項17】
請求項13〜16のいずれか1つに記載する電気光学装置の製造方法において、
前記発光素子は、透明電極と背面電極との間に、前記薄膜層を積層するようにしたエレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記発光素子は、有機材料からなる前記薄膜層を備えた有機エレクトロルミネッセンス素子であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載する電気光学装置の製造方法において、
正孔輸送層形成材料を含む親水性の液体に前記界面活性剤を混和し、前記界面活性剤を混和した液体からなる液滴を乾燥することによって下層の正孔輸送層を形成した後に、前記正孔輸送層上で、発光層形成材料を含む疎水性の液体からなる液滴を乾燥して上層の発光層を積層するようにしたこと特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載する電気光学装置の製造方法において、
前記親水性の液体の主成分は極性を有する液体であって、前記疎水性の液体の主成分は非極性の液体であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項21】
請求項13〜20のいずれか1つに記載する電気光学装置の製造方法において、
前記液滴は、液滴吐出装置から吐出するようにしたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−172853(P2006−172853A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−362541(P2004−362541)
【出願日】平成16年12月15日(2004.12.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】