パターン形成方法および回折型光学部品
【課題】所望の光学特性を確保することができるパターン形成方法および回折型光学部品を提供する。
【解決手段】基板11の表面に凹凸構造からなるパターン10を有する回折型光学部品1のパターン10を形成する際に、基板11の表面に、光を遮蔽する遮蔽膜12を形成し、遮蔽膜12上にレジストを塗布してフォトレジスト層13を形成する。そして、パターン10に対応する平面パターンを、光によってフォトレジスト層13に露光転写し、現像し、残ったフォトレジスト層13をマスクとして用いて、エッチングにより基板11の表面にパターン10を形成する。これにより、回折型光学部品1において、所望の光学特性を確保することができる。
【解決手段】基板11の表面に凹凸構造からなるパターン10を有する回折型光学部品1のパターン10を形成する際に、基板11の表面に、光を遮蔽する遮蔽膜12を形成し、遮蔽膜12上にレジストを塗布してフォトレジスト層13を形成する。そして、パターン10に対応する平面パターンを、光によってフォトレジスト層13に露光転写し、現像し、残ったフォトレジスト層13をマスクとして用いて、エッチングにより基板11の表面にパターン10を形成する。これにより、回折型光学部品1において、所望の光学特性を確保することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン形成方法および回折型光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
回折型光学部品は、例えば、レーザ光の位相変換、光束分割、整形、サンプリング、均一化などに用いられている。前記回折型光学部品は、石英などの表面に数十〜数百μm単位の微細な断面凹凸形状のパターンを形成した光学部品である。
【0003】
かかる回折型光学部品の断面凹凸形状のパターンは、例えば、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術により石英基板などの表面に微細加工を施すことによって形成されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。
具体的には、図8および9に示されるように、まず、石英基板111上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層112を形成して、素形材102を得(図8(a))、ついで、素形材102を窒素雰囲気下でヒータ20により加熱する(図8(b))。つぎに、素形材102のフォトレジスト層112の上に所望のパターンが形成されているマスク120を圧着させ、当該フォトレジスト層112を露光する(図8(c))。つぎに、露光後の素形材103を現像液140で現像し(図8(d))、得られた素形材104を洗浄して(図8(e))、不要なフォトレジストを除去する。さらに、洗浄後の素形材104を窒素雰囲気下でヒータ20により加熱する(図8(f))。つぎに、石英基板111における非露光部112aで覆われていない露出部分115をドライエッチングする(図9(g))。その後、ドライエッチング後の中間素材105をアセトンに浸漬し、この石英基板111に超音波を印加して、残存した非露光部112aを除去する(図9(h))。これにより、回折型光学部品101を得ることができる(図9(i))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−227503号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】栗巣 賢一、他2名、「ビーム均質化用のSiO2多段階階回折型光学素子の開発(Development of SiO2 multistep diffractive optical element for beam−homogenizing)」、プロシーディングス・オブ・エスピーアイイー・ジ・インターナショナル・ソサエティ・フォア・オプチカル・エンジニアリング(Proceedings of SPIE−−the International Society for Optical Engineering)、2004年2月18日、第5347巻、p.54−61
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載のように、石英基板111上にフォトレジスト層112を直接形成した場合、図10に示されるように、マスク120の開口を通過した光が透明な石英基板111の底面で反射し、その反射光の一部がフォトレジスト層112のうち本来露光されるべきでいない部分112cを露光する。この部分112cは、遮蔽用クロム薄膜122によって入射光は遮光されるが、石英基板111の底面からの反射光により感光してしまう。
したがって、露光後にドライエッチングを行なうと、パターンのエッジ部分が正確に形成されていないので、得られる回折型光学素子は、高い光学特性を確保することが困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、所望の光学特性を確保することができるパターン形成方法および回折型光学部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパターン形成方法は、透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを形成するパターン形成方法であって、
(A) 前記基板の表面に、光を遮蔽する薄膜を形成する工程、
(B) 前記薄膜上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する工程、
(C) 前記パターンに対応する平面パターンを、光によって前記フォトレジスト層に露光転写した後、現像を行う工程、および
(D) 前記現像によって残ったフォトレジスト層をマスクとして用いて、エッチングにより基板の表面に前記パターンを形成する工程
を含むことを特徴としている。
【0009】
本発明のパターン形成方法によれば、基板の表面に、光を遮蔽する薄膜を形成し、この薄膜上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成しているため、マスクを透過した光を当該薄膜によって遮蔽して、基板への光の透過を防ぐことができ、前記フォトレジスト層が基板の底面側より光によって露光されるのを防ぐことができる。
これにより、前記マスクに描かれた平面パターンに基づいて高い精度でレジストパターンを形成することができ、ひいては、基板の表面に形成される凹凸構造からなるパターンを高い精度で形成することができる。
したがって、本発明のパターン形成方法によれば、所望の光学特性を高い精度で確保することができる。
【0010】
本発明のパターン形成方法では、前記透明体からなる基板として、石英基板を用いることができる。石英基板はレーザ光に対する透過性が高いため、かかる構成を採用したパターン形成方法は、レーザ光を用いるのに適した回折型光学部品の製造に好適である。
【0011】
本発明のパターン形成方法では、前記レジストとして水銀ランプより照射される光またはレーザ光により感光するレジストを用い、前記薄膜が前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜を用いることができる。
【0012】
前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜は、シリコン膜であることが好ましい。シリコン膜は、前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を効果的に遮蔽することができるので、基板への水銀ランプより照射される光またはレーザ光の透過を効果的に防ぐことができる。これにより、基板の表面に形成される凹凸構造からなるパターンの精度を向上させ、所望の光学特性を高い精度で確保することができる。
【0013】
本発明の回折型光学部品は、透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを有する回折型光学部品であって、前記パターンが前述したパターン形成方法により形成されていることを特徴とする。
本発明の回折型光学部品は、パターンが前述したパターン形成方法により形成されているので、所望の光学特性を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパターン形成方法および回折型光学部品によれば、所望の光学特性を高い精度で確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る回折型光学部品の一例を示す斜視図であり、(b)は、前記回折型光学部品における凹凸構造の要部斜視説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る回折型光学部品における凹凸構造を示す要部断面説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る回折型光学部品の製造方法の手順を示す概略説明図である。
【図4】図3に示されるパターン形成方法の続きの手順を示す概略説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパターン形成方法におけるポストベーク後の素形材の表面のパターンを示す図面代用写真である。
【図6】本発明の一実施形態に係るパターン形成方法における基板上に残存したフォトレジスト層の非露光部を除去した後の中間素材の表面のパターンを示す図面代用写真である。
【図7】本発明の一実施形態に係る回折型光学部品のパターンを示す図面代用写真である。
【図8】比較例に係るパターン形成方法の手順を示す概略説明図である。
【図9】図8に示されるパターン形成方法の続きの手順を示す概略説明図である。
【図10】比較例に係るパターン形成方法における露光工程を示す概略説明図である。
【図11】比較例に係るパターン形成方法におけるポストベーク後の素形材の表面のパターンを示す図面代用写真である。
【図12】比較例に係る回折型光学部品のパターンを示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[回折型光学部品]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の回折型光学部品の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の図では、回折型光学部品の表面の凹凸構造をわかりやすく説明するために寸法を適宜誇張して描いている。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る回折型光学部品を示す斜視図であり、図1(b)は、前記回折型光学部品における凹凸構造の要部斜視説明図である。
【0017】
図1に示される回折型光学部品1は、透明体からなる円板状の基板本体11bの一方の表面に、突出部11aと溝部15とが配列された凹凸構造からなるパターン10を有している(図1(b)参照)。
【0018】
基板本体11bは、レーザの透過性およびレーザ光に対する耐光性が高い石英からなるため、回折型光学部品1は、レーザ光の透過性に優れるとともに、レーザ光に対する耐光性に優れている。
【0019】
本実施形態に係る回折型光学部品1では、図2に示される凹凸構造の個々の突出部11aにおける高さH間に差を設けたり、個々の突出部11aの幅L1間または個々の溝部15の幅L2間に差を設けたりすることにより、位相差を生じさせ、この位相差による回折作用を持たせることができる。
【0020】
パターン10は、後述するパターン形成方法により形成されている。したがって、基板本体11bの表面に高精度にパターンを形成することができるので、所望の光学特性を確保することができる。
【0021】
[パターン形成方法]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法の手順を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、前述した回折型光学部品1を製造する際のパターン10の形成を例にとって説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法の手順の手順を示す概略説明図であり、図4は、図3に示されるパターン形成方法の続きの手順を示す概略説明図である。
【0022】
本実施形態に係るパターン形成方法では、まず、石英、ZnSe、BK7などの光学ガラスなどの透明体からなる基板11の一方の表面上に、レジストパターンを形成するのに用いられる光遮蔽する遮蔽膜12を形成する(図3(a))。
遮蔽膜12として、例えば、シリコン膜、クロム膜、ニッケル膜などを用いることができるが、後工程で比較的容易にドライエッチングで除去できるシリコン膜を用いるのが好ましい。
遮蔽膜12は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法などにより基板11上に形成することができる。
遮蔽膜12の厚さは、本発明においては特に限定されるものではなく、材料やレジストパターンを形成するのに用いられる光の種類や強度などに応じて適宜選定することができる。例えば、遮蔽膜12としてシリコン膜を用い、かつ水銀ランプ光によりレジストパターンを形成する場合、その厚さは概ね0.05〜1.5μm程度である。
【0023】
つぎに、遮蔽膜12の表面に水銀ランプより照射される光やレーザ光などの光によって感光するフォトレジストを塗布し、遮蔽膜12の表面上にフォトレジスト層13を形成して、素形材2を得る(図3(b))。
【0024】
フォトレジストとして、ネガ型フォトレジストやポジ型フォトレジストを用いることができるが、パターンの微細化を図る観点から、ポジ型フォトレジストを用いるのが好ましい。かかるポジ型フォトレジストとしては、例えば、ロームアンドハース社製S1800シリーズ、AZクラリアント社製AZ1350,AZ1500シリーズ、東京応化製OFPR800などを用いることができる。
【0025】
遮蔽膜12の表面へのフォトレジストの塗布は、例えば、スピンコート法、スプレー法、ディップコート法などにより行われる。これらのなかでは、厚さの制御が容易であることから、スピンコート法が好ましい。このスピンコート法では、スピンコーターなどを用いて遠心力によりフォトレジストを遮蔽膜12の表面に塗布することができる。フォトレジスト層13の厚さは、特に限定されないが、通常、0.5〜1.5μm程度とすることができる。
【0026】
つぎに、レジスト塗布後の素形材2をヒータ20などによって加熱(プリベーク)して、フォトレジスト層13を構成するフォトレジストの溶媒成分を蒸発させ、フォトレジスト層13を固化する(図3(c))。
加熱温度は、フォトレジストに含まれる溶媒の種類などに応じて、適宜設定することができるが、通常、80〜120℃である。また、加熱時間は、加熱温度やフォトレジストに含まれる溶媒の種類などに応じて、適宜設定することができるが、通常、ベーク炉を用いる場合には、30分〜1時間程度である。また、かかる加熱(プリベーク)は、ベーク炉のような密閉炉内で行う場合はレジストの発火による急激な圧力増大を防ぐために窒素雰囲気下で行なうのが好ましい。
【0027】
つぎに、素形材2のフォトレジスト層13の表面に、形成対象のパターンに対応する平面パターンを有するマスク30を密着させ、当該マスク30を通してフォトレジスト層13を露光する(図3(d))。
【0028】
このマスク30は、露光光を遮蔽する遮蔽部31と露光光を透過する開口部32とから構成されている。
そして、本工程では、フォトレジスト層13において、露光光を遮蔽する遮蔽部31が密着している部分が感光されず(非露光部13a)、開口部31を透過した部分が感光される(露光部13b)。このとき、露光光が遮蔽膜12により遮蔽されるので、素形材2の基板11に露光光が入射せず、基板11の底面からの反射光によるフォトレジスト層13の不要な感光を防ぐことができる。
【0029】
露光には、例えば、水銀ランプより照射される光やレーザ光などを用いることができる。かかる露光は、例えば、マスクをフォトレジストへ圧着させる単純な密着露光、マスクとフォトレジストを圧着後、圧着部を減圧して更に密着度を上げたバキュームコンタクト露光などにより行なうことができる。これらのなかでは、マスクのパターンを解像度良く転写できるバキュームコンタクト露光が好ましい。
【0030】
露光の際の光の照射量は、用いる光とレジストの種類、厚みなどに応じて、適宜設定することができる。例えば、S1800シリーズの中の1813を厚み1.2μmで波長436nmのg線を用いる場合、例えば、60〜80mJ程度とすることができる。
【0031】
つぎに、露光後の素形材2を現像液40に浸漬して、現像を行ない、素形材3を得る(図3(e))。
フォトレジストとしてポジ型フォトレジストを用いた場合には、現像によって非露光部13aが残り、露光部13bが除去される(図3(e)参照)。一方、フォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用いた場合には、現像によってフォトレジスト層13における非露光部13aが除去され、露光部13bが残る(図示せず)。
これにより、前記パターン10に対応したレジストパターンを高い精度で形成することができる。
なお、図4に示される以下の工程は、フォトレジストとして、ポジ型フォトレジストを用いた場合について示している。
【0032】
現像液40としては、例えば、アルカリ現像液を用いることができる。かかるアルカリ現像液としてはレジストとしてS1800シリーズを用いた場合、例えば、ロームアンドハース社製、商品名:DEVEROPPERCONC、レジストとしてAZ1350、AZ1500シリーズを用いた場合はAZクラリアント社製、商品名:AZ DEVEROPPER、レジストとしてOFPR800を用いた場合には東京応化製、商品名:「NMD−3(2.38%)」などの現像液が挙げられる。
現像条件は、フォトレジストの種類に応じて、適宜設定することができる。
【0033】
つぎに、現像後の素形材3を洗浄して、この素形材3上に残存した現像液を除去する(図4(f))。
この洗浄工程では、高い精度でパターンを形成する観点から、不純物を含まない溶媒を用いるのが好ましい。前記溶媒としては、例えば、抵抗率16.0MΩ以上の超純水などが挙げられる。
【0034】
つぎに、洗浄後の素形材3をクリーンオーブン20で加熱(ポストベーク)して、この素形材3上に残存した水分を除去するとともに、素形材3における遮蔽膜12と非露光部13aとの密着性を向上させる(図4(g))。
加熱温度、加熱時間などの加熱条件は、前記プリベークを行なう場合と同様の条件であればよい。
【0035】
その後、遮蔽膜12における不要部分(非露光部13aで覆われていない露出部12b)を除去する(図4(h))。
これにより、基板11において、前記露光部13bの下層にあたる部分が露出する。
【0036】
遮蔽膜12における不要部分の除去は、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングにより行なうことができる。なかでも、遮蔽膜12における不要部分を正確に除去して微細なパターンを正確に形成する観点から、ドライエッチングが好ましい。
ドライエッチングを行なった場合、遮蔽膜12における非露光部13aで覆われていない露出部分ではエッチングが進行するのに対して、現像後の非露光部13aが重層されている遮蔽膜12の非露出部分ではエッチングの進行が阻害される。
【0037】
ドライエッチングは、遮蔽膜12を構成する材料と反応してエッチングを進行することができる反応性の気体(エッチングガス)、イオン、ラジカルなどを用いて行なうことができる。かかるドライエッチングとしては、例えば、反応性ガスエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、イオンビームエッチング(IBE)、反応性レーザービームエッチングなどが挙げられる。
反応性イオンエッチングには、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガス、四フッ化炭素(CF4)ガス、トリフルオロメタン(CHF3)ガスなどが用いられる。また、反応性ガスエッチングには、例えば、二フッ化キセノン(XeF2)ガスなどが挙げられる。
なかでも、量産性や装置のコストの観点から、RIEが好ましい。RIEでは、エッチングガスのプラズマ中に存在する活性種を遮蔽膜12における除去対象となる露出部分の表面の原子と反応させて、揮発性の反応生成物を生成させ、当該表面から脱離させることによりエッチングを行なうことができる。エッチングガスとして、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガスなどを用いることができる。このとき、エッチングガスの流量、圧力、エッチング時間などの条件は、遮蔽膜12を選択的に除去することができる条件であればよく、適宜設定することができる。
【0038】
つぎに、基板11の露出部分を除去して、中間素材4を得る(図4(i))。かかる工程では、前工程において高い精度で形成された非露光部13aおよび非露光部12aがマスクとして働くので、前記平面パターンに対応して、パターンを高い精度で形成することができる。
【0039】
基板11の露出部分の除去は、ドライエッチング、ウェットエッチングなどにより行なうことができる。なかでも、基板11の露出部分を正確に除去して微細なパターンを正確に形成する観点から、前述したドライエッチングが好ましい。
【0040】
ドライエッチングを行なった場合、基板11における露出部分ではエッチングが進行するのに対して、非露光部13aおよび非露光部12aが重層されている基板11の非露出部分(突出部11a)では、非露光部13aおよび非露光部12aがマスクとして働き、エッチングの進行が阻害される。これにより、基板本体11bの表面にパターンを形成する。
【0041】
ドライエッチングのなかでは、量産性や装置のコストの観点から、RIEが好ましく、その中でも異方性の高い垂直なエッチングが可能な誘導結合型プラズマによる反応性イオンエッチング(ICP−RIE)が好ましい。
このICP−RIEでは、低圧力で高密度の大口径プラズマによって、基板11の露出部分を効率よくエッチングすることができる。ICP−RIEでは、エッチングガスとして、例えば、三フッ化メタン(CHF3)ガスなどを用いることができる。このとき、エッチングガスの流量、圧力、エッチング時間などの条件は、基板11における露出部分を選択的に除去することができる条件であればよく、適宜設定することができる。
【0042】
つぎに、中間素材4の基板11上に残った非露光部13aを除去して、中間素材5を得る(図4(j))。
非露光部13aの除去は、例えば、非露光部13aを構成するフォトレジストを溶解する溶媒50に、中間素材4を浸漬することにより行なうことができる。このとき、溶媒50に浸漬した前記中間素材4に対して超音波を照射することにより、フォトレジストの溶解を促進する。
前記フォトレジストを溶解する溶媒50は、フォトレジストの種類に応じて、適宜選定することができる。前記溶媒50としては、例えば、アセトンやレジスト専用の剥離液、例えばレジストS1800シリーズではロームアンドハース社製、商品名:REMOVER112A、レジストAZ1350、AZシリーズではAZクラリアント社製、商品名:AZリムーバー、OFPR800では東京応化製、商品名:剥離液104などが挙げられる。
【0043】
その後、中間素材5における突出部11a上に残った非露光部12aを除去する(図4(k))。
非露光部12aの除去は、前述した遮蔽膜12の露光部12bの除去と同様にして行なうことができる。
これにより、基板本体11bの表面に、突出部11aと溝部15とからなる凹凸構造からなるパターン10が形成された回折型光学部品1を得ることができる〔図4(l)参照〕。
【0044】
なお、本発明において、図2に示される凹凸構造の個々の突出部11aにおける高さH間に差を設けるためには、前記成膜工程S1から残存膜除去工程S11を繰り返せばよい。この場合、さらにエッチングすべき突出部11aに応じた平面パターンを有するマスクを用いればよい。
【実施例】
【0045】
つぎに、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法の作用効果について、従来のパターン形成方法の場合と対比することにより説明する。
【0046】
(実施例)
図3および4に示される本発明の一実施形態のパターン形成方法に従って、以下のように、本発明の一実施形態に係る回折型光学素子1を製造した。
基板11として、石英からなる基板を用い、当該基板11の一方の表面上に、0.1μmの厚さのシリコン膜(遮蔽膜12)をスパッタ法によって形成した(図3(a)参照)。つぎに、シリコン膜の表面に、4000rpm、25秒間の条件でスピンコーターを用いて、ポジ型フォトレジスト(ロームアンドハース)社製、S1813)を塗布し、厚さ1.2μmのフォトレジスト層13を形成した(図3(b)参照)。
【0047】
つぎに、フォトレジスト層13を形成した素形材2をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、プリベークを行なった(図3(c)参照)。プリベーク後の素形材2のフォトレジスト層13の表面に、形成対象のパターンに対応する最小線幅2μmの平面パターンを有するマスク30を減圧密着させ、当該マスク30を通して、前記素形材2に対して、水銀ランプのg線(436nm)の光を70mJ照射することにより、バキューム密着露光を行なった(図3(d)参照)。
【0048】
つぎに、ロームアンドハース社製、商品名:DEVEROPPERCONCと純水とを質量比1:1で混合して現像液を用い、23℃に保たれた当該現像液40に露光後の素形材2を60秒間揺動させながら浸漬し、現像を行ない、素形材3を得た(図3(e)参照)。
【0049】
つぎに、素形材3に、抵抗率が18MΩ以上である超純水を2分間噴射して、素形材3の表面を洗浄した(図3(f)参照)。そして、洗浄後の素形材3をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、ポストベークして、洗浄後に残った水分を除去した(図4(g)参照)。
【0050】
その後、エッチングガスとして、六フッ化硫黄ガスを用い、流量10sccm、圧力2Pa、パワー35W、エッチング時間70秒間の条件で、遮蔽膜12の露出部分をドライエッチングによって除去した(図4(h)参照)。つぎに、エッチングガスとして、三フッ化メタンガスを用い、流量10sccm、圧力1Pa、バイアス部パワー200W、ICP部パワー200W、エッチング時間15分間の条件で、基板11の露出部分をドライエッチングによって除去して、中間素材4を得た(図4(i)参照)。
【0051】
つぎに、中間素材4をアセトン(溶媒50)に浸漬し、当該中間素材4に超音波(28KHz、300W、2回)を15分間印加することにより、基板11上に残存した非露光部13aを除去し、中間素材5を得た(図4(j)参照)。その後、エッチングガスとして、六フッ化硫黄ガスを用い、流量10sccm、圧力2Pa、パワー35W、エッチング時間70秒間の条件で、中間素材5における基板11の突出部11a上に残った非露光部12aをドライエッチングによって除去した(図4(k)参照)。
これにより、回折型光学部品1を得た。
【0052】
(比較例)
従来のパターン形成方法によって、以下のように、回折型光学部品101を製造した。
なお、従来のパターン形成方法は、基板111の表面に、4000rpm、25秒間の条件でスピンコーターを用いて、水銀ランプより照射される436nmの光に感光するポジ型フォトレジスト〔ロームアンドハース社製、S1813〕を塗布し、厚さ1.2μmのフォトレジスト層112を直接形成したこと、および、実施例1のパターン形成方法におけるCCP−RIEによるシリコン膜の除去を行なわなかったことが、実施例1のパターン形成方法と大きく異なっている。
【0053】
具体的には、まず、基板111の表面に、4000rpm、25秒間の条件でスピンコーターを用いて、水銀ランプの436nmの光に良く感光するポジ型フォトレジスト(ロームアンドハース社製、S1813)を塗布し、厚さ1.2μmのフォトレジスト層112を形成し、素形材102を得た〔図8(a)参照〕。つぎに、素形材102をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、プリベークを行なった〔図8(b)参照〕。プリベーク後の素形材102のフォトレジスト層112の表面に、形成対象のパターンに対応する最小線幅2μmの平面パターンを有するマスク120を減圧密着させ、当該マスク120を通して、素形材102に対して、水銀ランプの436nmの光を75mJ照射することにより、バキューム密着露光を行ない、素形材103を得た〔図8(c)参照〕。
【0054】
つぎに、ロームアンドハース社製、商品名:DEVEROPPERCONCと純水とを質量比1:1で混合して現像液を用い、23℃に保たれた当該現像液140に露光後の素形材103を60秒間揺動させながら浸漬し、現像を行ない、素形材104を得た〔図8(d)参照〕。その後、素形材104に、抵抗率が18MΩ以上である超純水を2分間噴射して、素形材104の表面を洗浄した〔図8(e)参照〕。そして、洗浄後の素形材104をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、ポストベークして、洗浄後に残った水分を除去した〔図8(f)参照〕。
【0055】
その後、エッチングガスとして、三フッ化メタンガスを用い、流量10sccm、圧力1Pa、バイアス部パワー200W、ICP部パワー200W、エッチング時間15分間の条件で、基板111における非露光部112aで覆われていない露出部分115をドライエッチングによって除去して、中間素材105を得た〔図9(g)参照〕。
【0056】
つぎに、中間素材105をアセトンに浸漬し、当該中間素材105に超音波(28KHz、300W)を15分間、2回、印加することにより、基板111上に残存した非露光部112aを除去した〔図9(h)参照〕。
これにより、回折型光学部品101を得た。
【0057】
(試験例)
本発明の一実施形態に係るパターン形成方法のポストベーク後の素形材3〔図4(g)参照〕の表面のパターン(図5)、基板11上に残存したフォトレジスト層13の非露光部13aを除去した後の中間素材5〔図4(j)参照〕の表面のパターン(図6)、回折型光学部品1の表面のパターン(図7)それぞれを電子顕微鏡により観察した。
また、従来のパターン形成方法のポストベーク後の素形材104〔図8(f)参照〕の表面のパターン(図11)および回折型光学部品101の表面のパターン(図12)それぞれを電子顕微鏡により観察した。これらの結果を、図5〜7、図11および12に示す。
【0058】
図5および6に示された結果から、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法のポストベーク後の素形材3の表面のパターンおよび基板11上に残存したフォトレジスト層13の非露光部13aを除去した後の中間素材5の表面のパターンでは、非露光部13aのエッジが良好に形成されていることがわかる。また、図7に示された結果から、本発明の一実施形態に係る回折型光学部品1の表面のパターンにおいても、突出部11aが明確になっており、突出部11aのエッジが良好に形成されていることがわかる。
【0059】
これに対して、図11に示された結果から、従来のパターン形成方法のポストベーク後の素形材104の表面のパターンでは、フォトレジスト層112の非露光部112aの角部において、大きな欠損があり、非露光部112aの内部にもくぼみがあることがわかる。また、図12に示された結果から、従来のパターン形成方法により得られた回折型光学部品101の表面のパターンにおいても、突出部111bの角部において、大きな欠損があり、突出部111bの内部にもくぼみがあることがわかる。
【0060】
これらの結果より、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法によれば、従来のパターン形成方法に比べて、高い精度でパターンを形成することができ、得られる回折型光学部品において、所望の光学特性を確保することができることがわかる。
【符号の説明】
【0061】
1 回折型光学部品
10 パターン
11 基板
12 遮蔽膜(薄膜)
13 フォトレジスト層
30 マスク
【技術分野】
【0001】
本発明はパターン形成方法および回折型光学部品に関する。
【背景技術】
【0002】
回折型光学部品は、例えば、レーザ光の位相変換、光束分割、整形、サンプリング、均一化などに用いられている。前記回折型光学部品は、石英などの表面に数十〜数百μm単位の微細な断面凹凸形状のパターンを形成した光学部品である。
【0003】
かかる回折型光学部品の断面凹凸形状のパターンは、例えば、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術により石英基板などの表面に微細加工を施すことによって形成されている(例えば、特許文献1および非特許文献1参照)。
具体的には、図8および9に示されるように、まず、石英基板111上にフォトレジストを塗布してフォトレジスト層112を形成して、素形材102を得(図8(a))、ついで、素形材102を窒素雰囲気下でヒータ20により加熱する(図8(b))。つぎに、素形材102のフォトレジスト層112の上に所望のパターンが形成されているマスク120を圧着させ、当該フォトレジスト層112を露光する(図8(c))。つぎに、露光後の素形材103を現像液140で現像し(図8(d))、得られた素形材104を洗浄して(図8(e))、不要なフォトレジストを除去する。さらに、洗浄後の素形材104を窒素雰囲気下でヒータ20により加熱する(図8(f))。つぎに、石英基板111における非露光部112aで覆われていない露出部分115をドライエッチングする(図9(g))。その後、ドライエッチング後の中間素材105をアセトンに浸漬し、この石英基板111に超音波を印加して、残存した非露光部112aを除去する(図9(h))。これにより、回折型光学部品101を得ることができる(図9(i))。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−227503号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】栗巣 賢一、他2名、「ビーム均質化用のSiO2多段階階回折型光学素子の開発(Development of SiO2 multistep diffractive optical element for beam−homogenizing)」、プロシーディングス・オブ・エスピーアイイー・ジ・インターナショナル・ソサエティ・フォア・オプチカル・エンジニアリング(Proceedings of SPIE−−the International Society for Optical Engineering)、2004年2月18日、第5347巻、p.54−61
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1に記載のように、石英基板111上にフォトレジスト層112を直接形成した場合、図10に示されるように、マスク120の開口を通過した光が透明な石英基板111の底面で反射し、その反射光の一部がフォトレジスト層112のうち本来露光されるべきでいない部分112cを露光する。この部分112cは、遮蔽用クロム薄膜122によって入射光は遮光されるが、石英基板111の底面からの反射光により感光してしまう。
したがって、露光後にドライエッチングを行なうと、パターンのエッジ部分が正確に形成されていないので、得られる回折型光学素子は、高い光学特性を確保することが困難である。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、所望の光学特性を確保することができるパターン形成方法および回折型光学部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のパターン形成方法は、透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを形成するパターン形成方法であって、
(A) 前記基板の表面に、光を遮蔽する薄膜を形成する工程、
(B) 前記薄膜上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する工程、
(C) 前記パターンに対応する平面パターンを、光によって前記フォトレジスト層に露光転写した後、現像を行う工程、および
(D) 前記現像によって残ったフォトレジスト層をマスクとして用いて、エッチングにより基板の表面に前記パターンを形成する工程
を含むことを特徴としている。
【0009】
本発明のパターン形成方法によれば、基板の表面に、光を遮蔽する薄膜を形成し、この薄膜上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成しているため、マスクを透過した光を当該薄膜によって遮蔽して、基板への光の透過を防ぐことができ、前記フォトレジスト層が基板の底面側より光によって露光されるのを防ぐことができる。
これにより、前記マスクに描かれた平面パターンに基づいて高い精度でレジストパターンを形成することができ、ひいては、基板の表面に形成される凹凸構造からなるパターンを高い精度で形成することができる。
したがって、本発明のパターン形成方法によれば、所望の光学特性を高い精度で確保することができる。
【0010】
本発明のパターン形成方法では、前記透明体からなる基板として、石英基板を用いることができる。石英基板はレーザ光に対する透過性が高いため、かかる構成を採用したパターン形成方法は、レーザ光を用いるのに適した回折型光学部品の製造に好適である。
【0011】
本発明のパターン形成方法では、前記レジストとして水銀ランプより照射される光またはレーザ光により感光するレジストを用い、前記薄膜が前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜を用いることができる。
【0012】
前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜は、シリコン膜であることが好ましい。シリコン膜は、前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を効果的に遮蔽することができるので、基板への水銀ランプより照射される光またはレーザ光の透過を効果的に防ぐことができる。これにより、基板の表面に形成される凹凸構造からなるパターンの精度を向上させ、所望の光学特性を高い精度で確保することができる。
【0013】
本発明の回折型光学部品は、透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを有する回折型光学部品であって、前記パターンが前述したパターン形成方法により形成されていることを特徴とする。
本発明の回折型光学部品は、パターンが前述したパターン形成方法により形成されているので、所望の光学特性を確保することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパターン形成方法および回折型光学部品によれば、所望の光学特性を高い精度で確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(a)は、本発明の一実施形態に係る回折型光学部品の一例を示す斜視図であり、(b)は、前記回折型光学部品における凹凸構造の要部斜視説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る回折型光学部品における凹凸構造を示す要部断面説明図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る回折型光学部品の製造方法の手順を示す概略説明図である。
【図4】図3に示されるパターン形成方法の続きの手順を示す概略説明図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るパターン形成方法におけるポストベーク後の素形材の表面のパターンを示す図面代用写真である。
【図6】本発明の一実施形態に係るパターン形成方法における基板上に残存したフォトレジスト層の非露光部を除去した後の中間素材の表面のパターンを示す図面代用写真である。
【図7】本発明の一実施形態に係る回折型光学部品のパターンを示す図面代用写真である。
【図8】比較例に係るパターン形成方法の手順を示す概略説明図である。
【図9】図8に示されるパターン形成方法の続きの手順を示す概略説明図である。
【図10】比較例に係るパターン形成方法における露光工程を示す概略説明図である。
【図11】比較例に係るパターン形成方法におけるポストベーク後の素形材の表面のパターンを示す図面代用写真である。
【図12】比較例に係る回折型光学部品のパターンを示す図面代用写真である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[回折型光学部品]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の回折型光学部品の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の図では、回折型光学部品の表面の凹凸構造をわかりやすく説明するために寸法を適宜誇張して描いている。
図1(a)は、本発明の一実施形態に係る回折型光学部品を示す斜視図であり、図1(b)は、前記回折型光学部品における凹凸構造の要部斜視説明図である。
【0017】
図1に示される回折型光学部品1は、透明体からなる円板状の基板本体11bの一方の表面に、突出部11aと溝部15とが配列された凹凸構造からなるパターン10を有している(図1(b)参照)。
【0018】
基板本体11bは、レーザの透過性およびレーザ光に対する耐光性が高い石英からなるため、回折型光学部品1は、レーザ光の透過性に優れるとともに、レーザ光に対する耐光性に優れている。
【0019】
本実施形態に係る回折型光学部品1では、図2に示される凹凸構造の個々の突出部11aにおける高さH間に差を設けたり、個々の突出部11aの幅L1間または個々の溝部15の幅L2間に差を設けたりすることにより、位相差を生じさせ、この位相差による回折作用を持たせることができる。
【0020】
パターン10は、後述するパターン形成方法により形成されている。したがって、基板本体11bの表面に高精度にパターンを形成することができるので、所望の光学特性を確保することができる。
【0021】
[パターン形成方法]
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法の手順を詳細に説明する。なお、以下の説明においては、前述した回折型光学部品1を製造する際のパターン10の形成を例にとって説明する。図3は、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法の手順の手順を示す概略説明図であり、図4は、図3に示されるパターン形成方法の続きの手順を示す概略説明図である。
【0022】
本実施形態に係るパターン形成方法では、まず、石英、ZnSe、BK7などの光学ガラスなどの透明体からなる基板11の一方の表面上に、レジストパターンを形成するのに用いられる光遮蔽する遮蔽膜12を形成する(図3(a))。
遮蔽膜12として、例えば、シリコン膜、クロム膜、ニッケル膜などを用いることができるが、後工程で比較的容易にドライエッチングで除去できるシリコン膜を用いるのが好ましい。
遮蔽膜12は、例えば、スパッタ法、蒸着法、CVD法などにより基板11上に形成することができる。
遮蔽膜12の厚さは、本発明においては特に限定されるものではなく、材料やレジストパターンを形成するのに用いられる光の種類や強度などに応じて適宜選定することができる。例えば、遮蔽膜12としてシリコン膜を用い、かつ水銀ランプ光によりレジストパターンを形成する場合、その厚さは概ね0.05〜1.5μm程度である。
【0023】
つぎに、遮蔽膜12の表面に水銀ランプより照射される光やレーザ光などの光によって感光するフォトレジストを塗布し、遮蔽膜12の表面上にフォトレジスト層13を形成して、素形材2を得る(図3(b))。
【0024】
フォトレジストとして、ネガ型フォトレジストやポジ型フォトレジストを用いることができるが、パターンの微細化を図る観点から、ポジ型フォトレジストを用いるのが好ましい。かかるポジ型フォトレジストとしては、例えば、ロームアンドハース社製S1800シリーズ、AZクラリアント社製AZ1350,AZ1500シリーズ、東京応化製OFPR800などを用いることができる。
【0025】
遮蔽膜12の表面へのフォトレジストの塗布は、例えば、スピンコート法、スプレー法、ディップコート法などにより行われる。これらのなかでは、厚さの制御が容易であることから、スピンコート法が好ましい。このスピンコート法では、スピンコーターなどを用いて遠心力によりフォトレジストを遮蔽膜12の表面に塗布することができる。フォトレジスト層13の厚さは、特に限定されないが、通常、0.5〜1.5μm程度とすることができる。
【0026】
つぎに、レジスト塗布後の素形材2をヒータ20などによって加熱(プリベーク)して、フォトレジスト層13を構成するフォトレジストの溶媒成分を蒸発させ、フォトレジスト層13を固化する(図3(c))。
加熱温度は、フォトレジストに含まれる溶媒の種類などに応じて、適宜設定することができるが、通常、80〜120℃である。また、加熱時間は、加熱温度やフォトレジストに含まれる溶媒の種類などに応じて、適宜設定することができるが、通常、ベーク炉を用いる場合には、30分〜1時間程度である。また、かかる加熱(プリベーク)は、ベーク炉のような密閉炉内で行う場合はレジストの発火による急激な圧力増大を防ぐために窒素雰囲気下で行なうのが好ましい。
【0027】
つぎに、素形材2のフォトレジスト層13の表面に、形成対象のパターンに対応する平面パターンを有するマスク30を密着させ、当該マスク30を通してフォトレジスト層13を露光する(図3(d))。
【0028】
このマスク30は、露光光を遮蔽する遮蔽部31と露光光を透過する開口部32とから構成されている。
そして、本工程では、フォトレジスト層13において、露光光を遮蔽する遮蔽部31が密着している部分が感光されず(非露光部13a)、開口部31を透過した部分が感光される(露光部13b)。このとき、露光光が遮蔽膜12により遮蔽されるので、素形材2の基板11に露光光が入射せず、基板11の底面からの反射光によるフォトレジスト層13の不要な感光を防ぐことができる。
【0029】
露光には、例えば、水銀ランプより照射される光やレーザ光などを用いることができる。かかる露光は、例えば、マスクをフォトレジストへ圧着させる単純な密着露光、マスクとフォトレジストを圧着後、圧着部を減圧して更に密着度を上げたバキュームコンタクト露光などにより行なうことができる。これらのなかでは、マスクのパターンを解像度良く転写できるバキュームコンタクト露光が好ましい。
【0030】
露光の際の光の照射量は、用いる光とレジストの種類、厚みなどに応じて、適宜設定することができる。例えば、S1800シリーズの中の1813を厚み1.2μmで波長436nmのg線を用いる場合、例えば、60〜80mJ程度とすることができる。
【0031】
つぎに、露光後の素形材2を現像液40に浸漬して、現像を行ない、素形材3を得る(図3(e))。
フォトレジストとしてポジ型フォトレジストを用いた場合には、現像によって非露光部13aが残り、露光部13bが除去される(図3(e)参照)。一方、フォトレジストとしてネガ型フォトレジストを用いた場合には、現像によってフォトレジスト層13における非露光部13aが除去され、露光部13bが残る(図示せず)。
これにより、前記パターン10に対応したレジストパターンを高い精度で形成することができる。
なお、図4に示される以下の工程は、フォトレジストとして、ポジ型フォトレジストを用いた場合について示している。
【0032】
現像液40としては、例えば、アルカリ現像液を用いることができる。かかるアルカリ現像液としてはレジストとしてS1800シリーズを用いた場合、例えば、ロームアンドハース社製、商品名:DEVEROPPERCONC、レジストとしてAZ1350、AZ1500シリーズを用いた場合はAZクラリアント社製、商品名:AZ DEVEROPPER、レジストとしてOFPR800を用いた場合には東京応化製、商品名:「NMD−3(2.38%)」などの現像液が挙げられる。
現像条件は、フォトレジストの種類に応じて、適宜設定することができる。
【0033】
つぎに、現像後の素形材3を洗浄して、この素形材3上に残存した現像液を除去する(図4(f))。
この洗浄工程では、高い精度でパターンを形成する観点から、不純物を含まない溶媒を用いるのが好ましい。前記溶媒としては、例えば、抵抗率16.0MΩ以上の超純水などが挙げられる。
【0034】
つぎに、洗浄後の素形材3をクリーンオーブン20で加熱(ポストベーク)して、この素形材3上に残存した水分を除去するとともに、素形材3における遮蔽膜12と非露光部13aとの密着性を向上させる(図4(g))。
加熱温度、加熱時間などの加熱条件は、前記プリベークを行なう場合と同様の条件であればよい。
【0035】
その後、遮蔽膜12における不要部分(非露光部13aで覆われていない露出部12b)を除去する(図4(h))。
これにより、基板11において、前記露光部13bの下層にあたる部分が露出する。
【0036】
遮蔽膜12における不要部分の除去は、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングにより行なうことができる。なかでも、遮蔽膜12における不要部分を正確に除去して微細なパターンを正確に形成する観点から、ドライエッチングが好ましい。
ドライエッチングを行なった場合、遮蔽膜12における非露光部13aで覆われていない露出部分ではエッチングが進行するのに対して、現像後の非露光部13aが重層されている遮蔽膜12の非露出部分ではエッチングの進行が阻害される。
【0037】
ドライエッチングは、遮蔽膜12を構成する材料と反応してエッチングを進行することができる反応性の気体(エッチングガス)、イオン、ラジカルなどを用いて行なうことができる。かかるドライエッチングとしては、例えば、反応性ガスエッチング、反応性イオンエッチング(RIE)、反応性イオンビームエッチング(RIBE)、イオンビームエッチング(IBE)、反応性レーザービームエッチングなどが挙げられる。
反応性イオンエッチングには、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガス、四フッ化炭素(CF4)ガス、トリフルオロメタン(CHF3)ガスなどが用いられる。また、反応性ガスエッチングには、例えば、二フッ化キセノン(XeF2)ガスなどが挙げられる。
なかでも、量産性や装置のコストの観点から、RIEが好ましい。RIEでは、エッチングガスのプラズマ中に存在する活性種を遮蔽膜12における除去対象となる露出部分の表面の原子と反応させて、揮発性の反応生成物を生成させ、当該表面から脱離させることによりエッチングを行なうことができる。エッチングガスとして、例えば、六フッ化硫黄(SF6)ガスなどを用いることができる。このとき、エッチングガスの流量、圧力、エッチング時間などの条件は、遮蔽膜12を選択的に除去することができる条件であればよく、適宜設定することができる。
【0038】
つぎに、基板11の露出部分を除去して、中間素材4を得る(図4(i))。かかる工程では、前工程において高い精度で形成された非露光部13aおよび非露光部12aがマスクとして働くので、前記平面パターンに対応して、パターンを高い精度で形成することができる。
【0039】
基板11の露出部分の除去は、ドライエッチング、ウェットエッチングなどにより行なうことができる。なかでも、基板11の露出部分を正確に除去して微細なパターンを正確に形成する観点から、前述したドライエッチングが好ましい。
【0040】
ドライエッチングを行なった場合、基板11における露出部分ではエッチングが進行するのに対して、非露光部13aおよび非露光部12aが重層されている基板11の非露出部分(突出部11a)では、非露光部13aおよび非露光部12aがマスクとして働き、エッチングの進行が阻害される。これにより、基板本体11bの表面にパターンを形成する。
【0041】
ドライエッチングのなかでは、量産性や装置のコストの観点から、RIEが好ましく、その中でも異方性の高い垂直なエッチングが可能な誘導結合型プラズマによる反応性イオンエッチング(ICP−RIE)が好ましい。
このICP−RIEでは、低圧力で高密度の大口径プラズマによって、基板11の露出部分を効率よくエッチングすることができる。ICP−RIEでは、エッチングガスとして、例えば、三フッ化メタン(CHF3)ガスなどを用いることができる。このとき、エッチングガスの流量、圧力、エッチング時間などの条件は、基板11における露出部分を選択的に除去することができる条件であればよく、適宜設定することができる。
【0042】
つぎに、中間素材4の基板11上に残った非露光部13aを除去して、中間素材5を得る(図4(j))。
非露光部13aの除去は、例えば、非露光部13aを構成するフォトレジストを溶解する溶媒50に、中間素材4を浸漬することにより行なうことができる。このとき、溶媒50に浸漬した前記中間素材4に対して超音波を照射することにより、フォトレジストの溶解を促進する。
前記フォトレジストを溶解する溶媒50は、フォトレジストの種類に応じて、適宜選定することができる。前記溶媒50としては、例えば、アセトンやレジスト専用の剥離液、例えばレジストS1800シリーズではロームアンドハース社製、商品名:REMOVER112A、レジストAZ1350、AZシリーズではAZクラリアント社製、商品名:AZリムーバー、OFPR800では東京応化製、商品名:剥離液104などが挙げられる。
【0043】
その後、中間素材5における突出部11a上に残った非露光部12aを除去する(図4(k))。
非露光部12aの除去は、前述した遮蔽膜12の露光部12bの除去と同様にして行なうことができる。
これにより、基板本体11bの表面に、突出部11aと溝部15とからなる凹凸構造からなるパターン10が形成された回折型光学部品1を得ることができる〔図4(l)参照〕。
【0044】
なお、本発明において、図2に示される凹凸構造の個々の突出部11aにおける高さH間に差を設けるためには、前記成膜工程S1から残存膜除去工程S11を繰り返せばよい。この場合、さらにエッチングすべき突出部11aに応じた平面パターンを有するマスクを用いればよい。
【実施例】
【0045】
つぎに、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法の作用効果について、従来のパターン形成方法の場合と対比することにより説明する。
【0046】
(実施例)
図3および4に示される本発明の一実施形態のパターン形成方法に従って、以下のように、本発明の一実施形態に係る回折型光学素子1を製造した。
基板11として、石英からなる基板を用い、当該基板11の一方の表面上に、0.1μmの厚さのシリコン膜(遮蔽膜12)をスパッタ法によって形成した(図3(a)参照)。つぎに、シリコン膜の表面に、4000rpm、25秒間の条件でスピンコーターを用いて、ポジ型フォトレジスト(ロームアンドハース)社製、S1813)を塗布し、厚さ1.2μmのフォトレジスト層13を形成した(図3(b)参照)。
【0047】
つぎに、フォトレジスト層13を形成した素形材2をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、プリベークを行なった(図3(c)参照)。プリベーク後の素形材2のフォトレジスト層13の表面に、形成対象のパターンに対応する最小線幅2μmの平面パターンを有するマスク30を減圧密着させ、当該マスク30を通して、前記素形材2に対して、水銀ランプのg線(436nm)の光を70mJ照射することにより、バキューム密着露光を行なった(図3(d)参照)。
【0048】
つぎに、ロームアンドハース社製、商品名:DEVEROPPERCONCと純水とを質量比1:1で混合して現像液を用い、23℃に保たれた当該現像液40に露光後の素形材2を60秒間揺動させながら浸漬し、現像を行ない、素形材3を得た(図3(e)参照)。
【0049】
つぎに、素形材3に、抵抗率が18MΩ以上である超純水を2分間噴射して、素形材3の表面を洗浄した(図3(f)参照)。そして、洗浄後の素形材3をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、ポストベークして、洗浄後に残った水分を除去した(図4(g)参照)。
【0050】
その後、エッチングガスとして、六フッ化硫黄ガスを用い、流量10sccm、圧力2Pa、パワー35W、エッチング時間70秒間の条件で、遮蔽膜12の露出部分をドライエッチングによって除去した(図4(h)参照)。つぎに、エッチングガスとして、三フッ化メタンガスを用い、流量10sccm、圧力1Pa、バイアス部パワー200W、ICP部パワー200W、エッチング時間15分間の条件で、基板11の露出部分をドライエッチングによって除去して、中間素材4を得た(図4(i)参照)。
【0051】
つぎに、中間素材4をアセトン(溶媒50)に浸漬し、当該中間素材4に超音波(28KHz、300W、2回)を15分間印加することにより、基板11上に残存した非露光部13aを除去し、中間素材5を得た(図4(j)参照)。その後、エッチングガスとして、六フッ化硫黄ガスを用い、流量10sccm、圧力2Pa、パワー35W、エッチング時間70秒間の条件で、中間素材5における基板11の突出部11a上に残った非露光部12aをドライエッチングによって除去した(図4(k)参照)。
これにより、回折型光学部品1を得た。
【0052】
(比較例)
従来のパターン形成方法によって、以下のように、回折型光学部品101を製造した。
なお、従来のパターン形成方法は、基板111の表面に、4000rpm、25秒間の条件でスピンコーターを用いて、水銀ランプより照射される436nmの光に感光するポジ型フォトレジスト〔ロームアンドハース社製、S1813〕を塗布し、厚さ1.2μmのフォトレジスト層112を直接形成したこと、および、実施例1のパターン形成方法におけるCCP−RIEによるシリコン膜の除去を行なわなかったことが、実施例1のパターン形成方法と大きく異なっている。
【0053】
具体的には、まず、基板111の表面に、4000rpm、25秒間の条件でスピンコーターを用いて、水銀ランプの436nmの光に良く感光するポジ型フォトレジスト(ロームアンドハース社製、S1813)を塗布し、厚さ1.2μmのフォトレジスト層112を形成し、素形材102を得た〔図8(a)参照〕。つぎに、素形材102をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、プリベークを行なった〔図8(b)参照〕。プリベーク後の素形材102のフォトレジスト層112の表面に、形成対象のパターンに対応する最小線幅2μmの平面パターンを有するマスク120を減圧密着させ、当該マスク120を通して、素形材102に対して、水銀ランプの436nmの光を75mJ照射することにより、バキューム密着露光を行ない、素形材103を得た〔図8(c)参照〕。
【0054】
つぎに、ロームアンドハース社製、商品名:DEVEROPPERCONCと純水とを質量比1:1で混合して現像液を用い、23℃に保たれた当該現像液140に露光後の素形材103を60秒間揺動させながら浸漬し、現像を行ない、素形材104を得た〔図8(d)参照〕。その後、素形材104に、抵抗率が18MΩ以上である超純水を2分間噴射して、素形材104の表面を洗浄した〔図8(e)参照〕。そして、洗浄後の素形材104をクリーンオーブン20内に入れ、窒素雰囲気下に110℃で30分間加熱して、ポストベークして、洗浄後に残った水分を除去した〔図8(f)参照〕。
【0055】
その後、エッチングガスとして、三フッ化メタンガスを用い、流量10sccm、圧力1Pa、バイアス部パワー200W、ICP部パワー200W、エッチング時間15分間の条件で、基板111における非露光部112aで覆われていない露出部分115をドライエッチングによって除去して、中間素材105を得た〔図9(g)参照〕。
【0056】
つぎに、中間素材105をアセトンに浸漬し、当該中間素材105に超音波(28KHz、300W)を15分間、2回、印加することにより、基板111上に残存した非露光部112aを除去した〔図9(h)参照〕。
これにより、回折型光学部品101を得た。
【0057】
(試験例)
本発明の一実施形態に係るパターン形成方法のポストベーク後の素形材3〔図4(g)参照〕の表面のパターン(図5)、基板11上に残存したフォトレジスト層13の非露光部13aを除去した後の中間素材5〔図4(j)参照〕の表面のパターン(図6)、回折型光学部品1の表面のパターン(図7)それぞれを電子顕微鏡により観察した。
また、従来のパターン形成方法のポストベーク後の素形材104〔図8(f)参照〕の表面のパターン(図11)および回折型光学部品101の表面のパターン(図12)それぞれを電子顕微鏡により観察した。これらの結果を、図5〜7、図11および12に示す。
【0058】
図5および6に示された結果から、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法のポストベーク後の素形材3の表面のパターンおよび基板11上に残存したフォトレジスト層13の非露光部13aを除去した後の中間素材5の表面のパターンでは、非露光部13aのエッジが良好に形成されていることがわかる。また、図7に示された結果から、本発明の一実施形態に係る回折型光学部品1の表面のパターンにおいても、突出部11aが明確になっており、突出部11aのエッジが良好に形成されていることがわかる。
【0059】
これに対して、図11に示された結果から、従来のパターン形成方法のポストベーク後の素形材104の表面のパターンでは、フォトレジスト層112の非露光部112aの角部において、大きな欠損があり、非露光部112aの内部にもくぼみがあることがわかる。また、図12に示された結果から、従来のパターン形成方法により得られた回折型光学部品101の表面のパターンにおいても、突出部111bの角部において、大きな欠損があり、突出部111bの内部にもくぼみがあることがわかる。
【0060】
これらの結果より、本発明の一実施形態に係るパターン形成方法によれば、従来のパターン形成方法に比べて、高い精度でパターンを形成することができ、得られる回折型光学部品において、所望の光学特性を確保することができることがわかる。
【符号の説明】
【0061】
1 回折型光学部品
10 パターン
11 基板
12 遮蔽膜(薄膜)
13 フォトレジスト層
30 マスク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを形成するパターン形成方法であって、
(A) 前記基板の表面に、光を遮蔽する薄膜を形成する工程、
(B) 前記薄膜上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する工程、
(C) 前記パターンに対応する平面パターンを、光によって前記フォトレジスト層に露光転写した後、現像を行う工程、および
(D) 前記現像によって残ったフォトレジスト層をマスクとして用いて、エッチングにより基板の表面に前記パターンを形成する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記透明体からなる基板が石英基板である、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記レジストが水銀ランプより照射される光またはレーザ光により感光するレジストであり、かつ前記薄膜が前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜である、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜がシリコン膜である、請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを有する回折型光学部品であって、
前記パターンが請求項1〜4のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されていることを特徴とする回折型光学部品。
【請求項1】
透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを形成するパターン形成方法であって、
(A) 前記基板の表面に、光を遮蔽する薄膜を形成する工程、
(B) 前記薄膜上にレジストを塗布してフォトレジスト層を形成する工程、
(C) 前記パターンに対応する平面パターンを、光によって前記フォトレジスト層に露光転写した後、現像を行う工程、および
(D) 前記現像によって残ったフォトレジスト層をマスクとして用いて、エッチングにより基板の表面に前記パターンを形成する工程
を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
前記透明体からなる基板が石英基板である、請求項1に記載のパターン形成方法。
【請求項3】
前記レジストが水銀ランプより照射される光またはレーザ光により感光するレジストであり、かつ前記薄膜が前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜である、請求項1または2に記載のパターン形成方法。
【請求項4】
前記水銀ランプより照射される光またはレーザ光を遮蔽する薄膜がシリコン膜である、請求項3に記載のパターン形成方法。
【請求項5】
透明体からなる基板の表面に凹凸構造からなるパターンを有する回折型光学部品であって、
前記パターンが請求項1〜4のいずれかに記載のパターン形成方法により形成されていることを特徴とする回折型光学部品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図8】
【図9】
【図10】
【図5】
【図6】
【図7】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−154163(P2011−154163A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15191(P2010−15191)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]