説明

パターン検査方法及びその装置

【課題】
虚報を多発させることなく、システマティック欠陥を検出する半導体パターン検査装置を提供する。
【解決手段】
検査対象パターンを撮像して得た画像から抽出した特徴量と設計データから生成した設計データ画像から抽出した検査対象パターンを撮像して得た画像に対応する箇所の特徴量と検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データ画像とを用いて作成した教示データの情報を用いて虚報と欠陥とを識別するための識別境界を算出し、検査対象パターンの検査領域を撮像して得た画像から検査対象パターンの検査領域の画像特徴量を算出し、検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像を作成してこの作成した設計データ画像の特徴量を算出し、算出した検査対象パターンの検査領域の画像特徴量と設計データ画像の特徴量と識別境界とに基づいて検査対象パターンの検査領域内の欠陥を検出するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パターンの検査方法及びその装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体回路パターンの微細化に伴い、光露光装置の解像度は限界に達し、設計通りのパターンを半導体ウェハ上に形成することが困難になりつつある。半導体ウェハ上に形成されたパターンは、線幅が設計値からずれたり、あるいは、パターン先端に縮退が生じたり、あるいは、パターンの付け根の形状変化といった不良が発生しやすくなる。こうした欠陥は、システマティック欠陥と呼ばれ、全ダイで共通に発生するため、ダイ・ツー・ダイ(die to die)比較と呼ばれる隣接するダイ間での比較を行う方式では検出することが難しい。
【0003】
一方、特開2011−17705号公報(特許文献1)には、隣接ダイと比較する代わりに、検査対象パターンを、設計データと比較する方法が開示されている。具体的には、検査対象パターンから輪郭線を抽出し、これと、線分もしくは曲線で表現された設計データとを比較して、両者の乖離の程度に応じ、乖離が大きければ欠陥と判定する。設計データとの比較なので、全ダイで共通に発生するシステマティック欠陥であっても、原理的には検出可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−17705号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】N. Dalal、 and B. Triggs:”Histograms of Oriented Gradients for Human Detection、” Computer Vision and Pattern Recognition、 Vol. 1、 pp. 886-893(2005)
【非特許文献2】T.Kurita、 and S.Hayamizu、 ”Gesture Recognition using HLAC Features of PARCOR Images and HMM based Recognizer、'' Proc. of Inter. Conf. on Automatic Face and Gesture Recognition : FG'98、 pp.422-427、 1998.
【非特許文献3】C. M. Bishop:Pattern Recognition and Machine learning (日本語版、 上巻):シュプリンガージャパン、 pp. 185-190(2006)
【非特許文献4】C. M. Bishop:Pattern Recognition and Machine learning (日本語版、 下巻):シュプリンガージャパン、 pp. 35-55(2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ウェハ上に転写されたパターンには、欠陥とはいえない設計データとの形状の乖離(コーナの丸みの違いなど)が多く存在する。前記特許文献1に記載されている発明では、検査対象パターンから抽出した輪郭線と、線分もしくは曲線で表現された設計データとの乖離が大きければ欠陥と判定する方式であるため、上記のような欠陥とはいえない形状の乖離と、システマティック欠陥との判別が難しい。この結果、システマティック欠陥を検出しようとすると、欠陥とはいえない形状の乖離部分も検出され、虚報が多発するという問題があった。
【0007】
本発明は上記した従来技術の課題を解決して、虚報を多発させることなく、システマティック欠陥を検出することを可能にするパターン検査方法及びその装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した目的を達成するために、本発明では、検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データから生成した設計データ画像とを比較することにより検査対象パターンの欠陥をを検出するパターン検査装置を、検査対象パターンを撮像してこの検査対象パターンの画像を取得する撮像手段と、この撮像手段で検査対象パターンを撮像して得た画像から検査対象パターンの画像の特徴量を算出する検査対象パターン画像特徴量算出手段と、設計データから設計データ画像を作成する設計データ画像作成手段と、この設計データ画像作成手段で検査対象パターンの設計データから作成した設計データ画像の特徴量を算出する設計データ画像特徴量算出手段と、撮像手段で検査対象パターンを撮像して取得した検査対象パターンの画像と設計データ画像作成手段で生成した検査対象パターンの設計データ画像とを表示する表示画面を備えた表示手段と、検査対象パターンの画像と検査対象パターンの設計データ画像とが表示された表示手段の画面で指示された検査対象パターンの欠陥の教示画像データを作成して記憶する教示画像データ作成手段と、検査対象パターン画像特徴量算出手段で算出した検査対象パターンの画像の特徴量と設計データ画像特徴量算出手段で算出した設計データ画像の特徴量と教示画像データ作成手段で作成した教示画像データとを用いて検査対象パターンの画像において虚報と欠陥とを識別する識別境界を算出して記憶する識別境界算出手段と、検査対象パターンの検査領域を撮像手段で撮像して得た画像から検査対象パターン画像特徴量算出手段で算出した検査対象パターンの画像の特徴量と、検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像作成手段で作成した画像から設計データ画像特徴量算出手段で算出した設計データ画像の特徴量とから識別境界算出手段に記憶した識別境界を用いて検査対象パターンの欠陥を判定する欠陥判定手段とを備えて構成した。
【0009】
また上記した目的を達成するために、本発明では、検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データから生成した設計データ画像とを比較することにより検査対象パターンの欠陥を検出する方法において、検査対象パターンうちのサンプルパターンを撮像してこのサンプルパターンの画像を取得し、この撮像して取得したサンプルパターンの画像からこのサンプルパターンの画像の特徴量を算出し、サンプルパターンの設計データからサンプルパターンの画像に対応する設計データ画像を作成し、この作成した設計データ画像について算出したサンプルパターンの画像の特徴量に対応する特徴量を算出し、撮像して取得したサンプルパターンの画像と作成した設計データ画像とを用いて欠陥を教示するための教示画像データを作成し、算出したサンプルパターンの画像の特徴量と算出したサンプルパターンの画像の特徴量に対応する設計データ画像の特徴量と作成した教示画像データとを用いてサンプルパターンの画像から欠陥の画像を識別するための識別境界を算出し、検査対象パターンの検査領域を撮像して得た画像から検査対象パターンの検査領域の画像特徴量を算出し、検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像を作成してこの作成した設計データ画像の特徴量を算出し、算出した検査対象パターンの検査領域の画像特徴量と設計データ画像の特徴量と算出した識別境界とに基づいて検査対象パターンの検査領域内の欠陥を検出するようにした。
【0010】
更に上記した目的を達成するために、本発明では、検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データから生成した設計データ画像とを比較することにより検査対象パターンの欠陥を検出する方法において、検査対象パターンを撮像して得た画像から抽出した特徴量と設計データから生成した設計データ画像から抽出した検査対象パターンを撮像して得た画像に対応する箇所の特徴量と検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データ画像とを用いて作成した教示データの情報を用いて虚報と欠陥とを識別するための識別境界を算出し、この算出した識別境界を記憶し、検査対象パターンの検査領域を撮像して得た画像から検査対象パターンの検査領域の画像特徴量を算出し、検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像を作成してこの作成した設計データ画像の特徴量を算出し、算出した検査対象パターンの検査領域の画像特徴量と設計データ画像の特徴量と記憶しておいた識別境界とに基づいて検査対象パターンの検査領域内の欠陥を検出するようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、予め、欠陥部と正常部を教示し、それに基づき、欠陥と正常を判別する識別境界面を求めるので、虚報を多発させることなく、システマティック欠陥を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施例に係る欠陥判定方式の流れを示すフロー図である。
【図2A】本発明の実施例に係る電子線式パターン検査装置の概略の構成を示すブロック図である。
【図2B】本発明の実施例に係る電子線式パターン検査装置の画像処理部の構成を示すブロック図である。
【図3A】設計データ画像である。
【図3B】走査電子顕微鏡(SEM)撮像して取得した実パターン画像である。
【図3C】5×5画素で構成されるオペレータのイメージを示す図である。
【図3D】図3Cのオペレータと同じサイズの領域を1画素分として構成したオペレータのイメージを示す図である。
【図3E】3×3画素で構成されるオペレータのイメージを示す図である。
【図3F】3×3画素で構成されるオペレータを実パターン画像に重ねて表示した実パターンの画像である。
【図4】特徴空間上において正常と欠陥の二つの空間に分ける識別境界の概念を示した識別境界の曲面図である。
【図5】電子線式パターン検査装置で撮像された画像の帯電の影響を概念的に示したパターンの平面図である。
【図6】実パターン画像と設計データからGUIによる教示データの作成例を示したGUIの正面図である。
【図7】欠陥判定の結果を表示するGUIの例を示したGUIの正面図である。
【図8A】識別境界を求める手法であるLDAとSVMについて説明するグラフである。
【図8B】識別境界を求める手法であるLDAとSVMについて説明するグラフである。
【図9A】設計データ画像である。
【図9B】図9Aの設計データ画像に対応する箇所をSEMで撮像して得た実パターンの画像である。
【図9C】設計データ画像と実パターンの画像と教示画像データとを並べて配置した図である。
【図9D】設計データ画像と実パターンの画像と教示画像データとを並べて配置した図である。
【図9E】設計データ画像と実パターンの画像と教示画像データとを並べて配置した図である。
【図9F】欠陥種別毎に教示を行うためのGUIの正面図である。
【図10A】特徴ベクトルの分布と1つの直線の識別境界とを示したグラフである。
【図10B】特徴ベクトルの分布と2つの直線の識別境界とを示したグラフである。
【図11A】設計パターン画像である。
【図11B】SEMで撮像して得た実パターンの画像である。
【図11C】特徴ベクトルの分布と2つの曲線の識別境界とを示したグラフである。
【図12A】正常部と欠陥部におけるある特徴ベクトルのヒストグラムを示したグラフである。
【図12B】正常と欠陥を識別する際の感度調整を行うためのGUIの正面図である。
【図13】欠陥判定された画素から後処理で欠陥判定を行う例を示したがそのイメージを示す図である。
【図14A】if-then ルールに基づく処理の流れを示すフロー図である。
【図14B】特徴量空間上の欠陥判定領域を2本の直線で示した状態を表すグラフである。
【図14C】if-then ルールに基づく処理の流れを示すフロー図である。
【図14D】特徴量空間上の欠陥判定領域を4本の直線で示した状態を表すグラフである。
【図14E】特徴量空間上の欠陥判定領域をax+byの線形和で表したグラフである。
【図14F】特徴量空間上の欠陥判定領域を非線形な関数で表したグラフである。
【図15A】位置合わせ前の設計データの画像である。
【図15B】図15Aに対応する位置合わせ前の実画像である。
【図15C】実画像と設計データの位置合わせを行う例を表わすイメージである。
【図15D】実画像と設計データの位置合わせを行う際の位置をずらしながら差分の二乗和を算出したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に本発明を実施するための形態を、図を用いて説明する。
【実施例1】
【0014】
(1)全体構成
図2Aに本発明に係るパターン検査装置の全体構成を示す。本実施の形態では、検査対象ウェハ212の画像を走査電子顕微鏡(SEM)200によって取得する。走査電子顕微鏡200の電子光学系201は、電子線221を発生させる電子線源203と電子線221を収束させるコンデンサレンズ204と、電子線221をXY方向に偏向する偏向器206と、電子線221を対象基板上に収束させる対物レンズ207を備えている。検査対象ウェハ212を真空で保持する試料室202には、リターディング電圧211が加えられたXYステージ210と、検査対象ウェハ212を外部から試料室に送り込むカセット213を備える。
【0015】
試料上から発生した2次電子214は、リターディング電圧211に加速され検出器215まで引き上げられる。検出器215によって検出信号がA/D変換機216に送られ、デジタル画像に変換され、記憶装置220に蓄えられる。画像処理部219は、記憶装置220から順次画像を読み出し、設計データとの比較により欠陥検出を行う。検査条件の設定や、検査結果の確認は表示手段218上のGUIにて行う。
【0016】
図2Bに、画像処理部219の詳細な構成を示す。画像処理部219は、設計データから画像を作成する設計データ画像作成部2191、設計データ画像作成部2191で作成した設計データ画像とSEM200で撮像して得た検査対象基板のパターン画像の位置合わせを行う位置合わせ処理部2192と、SEM200で撮像して得た検査対象基板のパターン画像の特徴量を算出する検査対象パターン画像特徴量算出部2193、設計データ画像作成部2191で作成した設計データ画像の特徴量を算出する設計データ画像特徴量算出部2194、検査対象基板のパターン画像から作成された教示画像データを記憶する教示画像データ記憶部2195、欠陥画像と良品画像とを識別するための識別境界を算出する識別境界算出部2196と、識別境界算出部2196で算出した識別境界を用いて検査対象パターン画像特徴量算出部2193で算出した検査対象パターン画像特徴量と設計データ画像特徴量算出部2194で算出した設計データ画像特徴量とから欠陥を判定する欠陥判定部2197とを備えている。
【0017】
(2)欠陥検出の全体フロー
図1は、図2Aの画像処理装置219で行われる欠陥検出の全体フローである。本実施例では、検査に先立ち、検査前準備の処理S100として、検査対象ウェハ212のいくつかのサンプリング領域を図2で説明した走査電子顕微鏡200で撮像して取得した少数の実画像11と、この実画像11に対応する設計データ画像12(設計データに基づいて作成した画像)を画像11とピクセル単位で位置合わせを行い(S101)、それぞれのサンプリング領域に含まれるパターンの特徴を表す特徴量を算出し(S102、S103)、これと、欠陥座標が指定された教示データ13とから、正常パターンと欠陥パターンとを識別するルールである識別境界を算出する(S104)。
【0018】
検査時の処理S110では、検査対象ウェハ212の検査対象領域の実画像14と、この実画像14に対応する設計データ15を位置合わせを行い(S111)、実画像14と位置合わせ済みの設計データ15を、検査前準備の処理S100のS102、S103における特徴量算出ステップと同様に画像処理をして特徴量を算出し(S112、S113)、これらに対し、検査前準備の処理S100のS104にて算出した識別境界を適用することにより、欠陥判定(S114)を行い、判定の結果を画面上に表示する(S115)。
【0019】
以下、各処理内容(特徴量算出S102、S103、S112、S113、識別境界の算出S104、欠陥判定S114、判定結果表示S115)について詳述する。
【0020】
(3)位置合わせ
本実施例では、上述のように、実画像および、設計データからそれぞれのパターンの特徴を表す特徴量を算出し、これらに対して、正常と欠陥を識別するルールを適用することで欠陥判定を行う。
【0021】
まず始めに、実画像と設計データの位置合わせについて図15A乃至図15Dを用いて説明する。撮像後の実画像と設計データは、普通位置がずれた状態であるため、設計データの位置情報を補正することで実画像との位置を合わせる必要がある。図15Aの設計データ画像1501とそれに対応する図15Bの実画像1502は、座標1503と座標1504が画像データ上において位置が対応しているが、実際に正しいのは座標1503に対して座標は1505である。そこで図15Cに示すように実画像1506に対して、設計データ画像の原点(画像の左上端の座標など)をパス1507に沿ってずらし、実画像と設計データ画像の差の二乗和をそれぞれずらした位置で算出する。図15Dは、軸1510をパス1507の位置、軸1509を差の絶対値の和を取ったときの波形1508のグラフある。この波形において最小値1511のとる時の設計データの位置を元に正しく位置合わせされた座標として補正を行う。
【0022】
(4)特徴量の算出
次に、特徴量の算出方法について述べる。検査対象ウェハ212を走査電子顕微鏡200で撮像して取得した実画像(以下、実パターン画像という)から算出する特徴量(図1のS102とS112に相当)について述べる。
【0023】
実パターン画像の特徴量の算出は、実パターン画像の画素ごとに行う。図3Bの実パターン画像302において注目画素304の特徴量を算出することを考える。注目画素304の特徴量は、注目画素304の周辺画素における輝度値を組み合わせることで算出を行う。最終的によい識別境界を得るには、なるべく注目画素周辺のパターン形状の情報をよく表現するような特徴量であり、かつ特徴量の次元数が小さくなることが望ましい。
【0024】
もっとも単純な特徴量は、図3Cに示したオペレータ305のように注目画素306の周辺画素におけるそれぞれの輝度値をそのまま特徴量にすることである。これは、オペレータサイズ分(図3Cの例では、5画素×5画素)だけ実パターン形状の完全な情報をもっていることになるが、オペレータのサイズを大きくしていくと爆発的に特徴量の次元が増え、形状的な情報としては冗長すぎる。そこで図3Dに示したオペレータ307のような注目画素309よりも十分に大きいオペレータ307と同じサイズの領域をオペレータサイズ308として様々な統計量を算出し、特徴量にするほうがよい。
【0025】
図3Bの実パターン画像302から求められる統計的な特徴量としては、
(a)オペレータ内の輝度の平均値
(b)モーメント特徴量
(c)HOG(Histograms of Oriented )Gradients)特徴量(非特許文献1参照)
(d)高次局所自己相関特徴量(非特許文献2参照)
などが有効である。
【0026】
さらに、図3Eに示したオペレータ310のように、注目画素311の近傍において局所的な領域であるセル312の領域をとり、このセル毎に統計的な特徴量をとることで、注目画素回りの広い範囲の形状情報を特徴量として算出することができる。図3Fに、オペレータ315として図3Eに示したオペレータ310を図3Bの実パターン画像302示した注目画素304の周辺に適用した例を示す。この例では、セルのHOG特徴量を算出することでセル316とセル317において垂直方向のエッジ成分が、セル318とセル319において斜め方向のエッジ成分が抽出され、注目画素319(図3Bの注目画素304、図3Eの注目画素311に相当)はラインの角であることが表現される。
【0027】
また図5はSEM画像における帯電の影響を示した図である。一般的にSEM像500を得る時は、電子ビームを501方向にスキャンすることで得られる。そのため、エッジ502が存在する領域のスキャン方向側に帯電の影響による影503が生じる。このような特徴も、オペレータ310で輝度の平均値を算出するなどで表現することができる。
【0028】
次に、設計データ画像301から算出する特徴量(図1のS103、S113で算出する特徴量に相当)について述べる。
【0029】
図3Aに示した設計データ画像301からも、実パターン画像302の注目画素304に対応する注目画素303の特徴量を算出する。設計データ画像301からの特徴量は、設計データから図3Aのような輪郭線画像(設計データ画像)を作成し、図3Bの実パターン画像302と同じ特徴量を求めてもよい。
【0030】
また、以下のような設計データ専用の特徴量として
(i) 配線構造のベクトル成分
(ii) 配線上であるか否か
(iii) ラインの端点、連結点の関係
などを算出することも効果的である。
【0031】
(i)は、設計データの注目画素周辺の配線方向がどちらに伸びているかの度合いである。(ii)は注目画素がパターン配線の上であるかどうかの特徴量を表す。(iii)は配線構造をグラフ構造にした時、エッジの端点と連結点の場所を求め、注目画素周辺にそれがどのように分布しているかの特徴量を表す。
【0032】
(5)識別境界の算出
正常と欠陥を識別するルールである識別境界(図1のS104で算出)の算出方法について述べる。識別境界とはS102とS103で求めた各特徴量を軸とする特徴空間401(図4参照)において正常の空間402と欠陥の空間403に分けるような超曲面(2次元上における曲線)404のことである。正常部の特徴ベクトル405と欠陥部の特徴ベクトル406を識別するルールはそれぞれの特徴量に対して条件式を決めた図14Aの1401の例のようなif−thenルールがもっともシンプルである(xとyは特徴量を表す)。このルールを決定する時は解析的に求めても、しきい値であるA1とB1をユーザに入力してもらってもよい。
【0033】
図14Bに特徴量空間上の欠陥判定領域を斜線部として1420に示す。黒丸点1421は正常部の画素から得られた特徴ベクトル、黒罰点1422は欠陥部の画素から得られた特徴ベクトルである。判定領域は特徴量の軸に垂直な辺を持つ矩形状の領域で定義される。図14Cの1403のようにif−thenルールを増やすことで図14Dに示したように、識別境界1404の精度を高めることが可能である。しかし、この場合、複雑な境界を矩形の組み合わせで表わすためルールが膨大に増え、ユーザによる調整が困難になる。真の識別境界がxとyで相関を持つ時などは、図14Eに示したように、ax+byの線形和で表現される識別境界の1405や、図14Fに示したように、非線形な関数で表わされる識別境界1406のほうがよりよい境界を求めることができる。
【0034】
これらの境界もユーザによるパラメータ調整で求めることは非常に困難であるが、既に正常か欠陥か既知である特徴ベクトルとする教示データから学習を行うことで、正常部の特徴ベクトル405と欠陥部の特徴ベクトル406をもっともよく分けるような境界を求めることが可能である。また、教示データにユーザの意図が反映することができれば、識別境界も意図に沿って引くことが可能となる。
【0035】
始めに教示データ(図1の13)の作成方法について述べる。
図6は教示データを作成するためのGUI600の例を示す。画像表示部601には、既に位置合わせ済みの実パターンから抽出した輪郭線602(実線)と設計データの輪郭線603(点線)とを表示する。2つの輪郭線602と603とにおいて形状に相違する領域がある時、604、605、606、607、608のような2つの輪郭線で囲まれた領域が生じる。ユーザは領域選択ツール610を選び、画像表示部601に表示される画像から欠陥にしたい領域中の一点をポインティングデバイス616で指定することで、輪郭線602と603とに囲まれた領域を選択することができる。実パターンの輪郭線602が消失している部分は、鉛筆ツール611を選択して輪郭線602と603とに囲まれた領域が閉じるように修正することができる。また誤って抽出された輪郭線や鉛筆ツールで修正をまちがえた部分は消しゴムツール612で消去することができる。
【0036】
613、614、615はカラー選択ボタンで白613を選択すると欠陥部を指定するモードに、黒614を選択すると正常部を指定するモードに、灰色615を選択するとユーザが欠陥か正常かわからない部分を選択するモードになる。教示画像作成において基本的にクリックされなかった点に関してはすべて正常部と見なす。この画像の場合、604、606、608を欠陥領域と判断し、白い領域を欠陥部、黒い領域を正常部とした教示画像609が作成され、確認することができる。確認後、「LOAD」ボタン621をポインタ616でクリックすると教示画像609が画像処理部219にロードされる。一方、「SAVE」ボタン622をポインタ616でクリックすると、教示画像609は記憶装置220に一時記憶される。
【0037】
図9Aは設計データに基づいて作成されたパターン901の図、図9Bは、設計データに対する正常な実パターン902の画像の例である。ここで実際には図9Cに示すような実パターン画像903が得られたとすると、図9Cに示すような画像の領域905、906が欠陥領域となる欠陥画像907が得られ、識別境界を求める時に使う教示データのセットとして、図9Cのような設計データに基づいて作成されたパターン901と設計データに対する正常な実パターン902の画像と欠陥画像907とを含む画像のセット904を作成することができる。ここで欠陥画像907に含まれる欠陥領域の画像905と906とを、設計データに基づいて作成されたパターン901に対して実パターンのラインが膨張している凸欠陥領域の画像905と設計データに基づいて作成されたパターン901に対して実パターンのラインが縮退している凹欠陥領域の画像906に種類を分けることができる。
【0038】
そこで、図9Dに示すように、この凸欠陥領域の画像905だけの教示画像909を設計データに基づいて作成されたパターン901と設計データに対する正常な実パターン902の画像と組合せて教示データセットにした凸欠陥教示データセット908と、図9Eに示すように、凹欠陥領域の画像906だけの教示画像911を設計データに基づいて作成されたパターン901と設計データに対する正常な実パターン902の画像と組合せて教示データセットにした凹欠陥教示データセット910を作成する。その結果、図9Fに示すように、凸欠陥教示データセット908と凹欠陥教示データセット910それぞれで識別境界914を求めることで、欠陥検出と欠陥分類を同時に行うことができる。
【0039】
図9Fは、図9B、C、Dで説明した画像のセット904、908及び910を一つの画面912上に並べて同時に表示した例を示す図である。この図9Fに示した画面912の例においては、凸欠陥教示データセット908が画面上のチェックボックス916で選択されていて、凸欠陥教示データセット908の識別境界914が特徴空間のグラフ913上に表示された状態を示している。後述するが、これにより判定精度を高める効果や、欠陥種毎にユーザが感度の調整を行うことができるというメリットがある。今回目的とするようなシステマティック欠陥検出では、欠陥種類を凸欠陥、凹欠陥、ブリッジング、ネッキング、ライン幅の膨張、ライン幅の縮退などでわけるとよい。
【0040】
図9Fの画面912は、これら欠陥種毎に識別平面を求めるときに使うことができるGUIである。
図9Fの画面912に示した915の部分で画像のセット904、908、910などの欠陥種別毎に分けたデータセットを選択することができ、また特徴空間のグラフ913の部分において選択したデータセット(図9Fの例では画像のセット908)の特徴空間上の分布や各特徴量に対するヒストグラム(図示せず)が表示されユーザは確認することができる。画面912上に表示されている「学習」のボタン916をマウスでクリックすることで、選択したデータセットに対する識別境界を求めて特徴空間のグラフ913上に識別境界914を表示することができる。
【0041】
識別境界314の算出方法としては、一般的なパターン認識手法である、線形判別手法(以下LDA)、サポートベクターマシン(以下SVM)が適用可能である(非特許文献3、および非特許文献4参照)
図8A及び図8Bを用いてLDAの原理を説明する。判り易くするために、設計データの特徴量805を1次元(縦軸)、実パターンデータの特徴量806を1次元(横軸)として扱う。図8A及び図8B中の803のような罰点は欠陥、804のような黒丸点は正常の特徴ベクトルである。直線801は線形判別分析(以下LDA)によって求められた識別境界である。
【0042】
図8A中801は直線で表現されるが、実際の特徴ベクトルは3次元以上を取るので識別境界は超平面になる。直線801を境界にデータを分けることは全特徴ベクトルを特徴量の線形和を求めることで軸807に射影し、しきい値808(直線801に平行な1対の点線で挟まれた範囲)で判別している事と同じである。
【0043】
LDAでは、
射影された正常部の特徴ベクトル集合の分散:σ
欠陥部の特徴ベクトル:
全特徴ベクトルの分散:
とした時に表される
分離度:J=(σ+σ)/σ ・・・(数1)
を最大にするような射影軸を求める。
【0044】
LDAの特徴として特徴ベクトル集合の統計量から特徴量の線形和によって表現される識別面および識別境界を求めている。そのため特徴ベクトルの数が多くても学習時間が短く、1個の特徴ベクトルに対する正常・欠陥判定の計算時間も短い。またユーザにとってもよく利いている特徴量がどれなのかわかりやすいというメリットがある。
【0045】
図8Bの曲線802は非線形サポートベクターマシン(以下非線形SVM)によって求められた識別境界である。非線形SVMでは特徴ベクトルを超空間上の点に一度変換し、超空間上の超平面を求めることでデータを分割する。この超平面を図8Bの2次元上で表現すると、802のような曲線になる。識別超平面は超空間上の正常部と欠陥部の特徴ベクトルの間に存在する最も大きなマージン(隙間)を通るような超平面が求められる。2次元上でこのマージンは曲線809と810の間813で表され、サポートベクターと呼ばれる図中の白丸点811と白罰点812の特徴ベクトルによって決定される。非線形SVMもLDAと同じように、本質的には1軸上にベクトルを射影ししきい値により正常欠陥を判定している。
【0046】
SVMの特徴としては、元の特徴量の次元において超曲面上の識別境界を求めるため、理想的な識別境界である図4に示した識別超曲面404に近い識別境界を得ることができ、高い判定精度を持つ。
【0047】
前述したような図9Cの教示データセット904から特徴ベクトルを計算すると、図10Aのグラフ1001に示すように欠陥部の特徴ベクトル1011が正常部の特徴ベクトル1012を挟んで対角線上に分布することがある。図10Aのグラフにおいて、縦軸は設計データ特徴量を表し、横軸は実パターン画像特徴量を表す。非線形SVMでは図8Bで説明したように曲線状の識別境界をとることができるので、このような特徴ベクトルの分布に対して対応可能であるが。LDAで求める識別境界は直線でしか表せないため、求められる識別境界は図10Aの直線1002のようになり、有効な判別境界を求めるには限界がある。しかし、欠陥種によって学習データを分けることで、図10Bに示すように、直線1003と直線1004の二つの識別境界を引くことができ、正しく判定することが可能となる。図10Bのグラフにおいて、縦軸は設計データ特徴量を表し、横軸は実パターン画像特徴量を表す。
【0048】
(6)検査時の処理内容
図1で説明した識別境界算出工程S104で算出された識別境界を用い、検査対象ウェハ212の欠陥検出を行う。
【0049】
検査対象ウェハ212を図2で説明したSEM200で撮像して得た実パターン画像14とその設計データ画像15に対して、S104の識別境界算出工程に用いられた特徴量と同じ特徴量を算出し(S112、S113)、算出して得られた特徴ベクトルに対して識別境界算出工程S104で求められた識別境界で、正常・欠陥の判定を行う(S114)。S112における実パターン画像14の特徴量の算出は、SEMによって実パターン画像14が撮像された後に計算しなくてはならないが、設計データ画像15の特徴量は検査前に算出しておき、記憶装置に事前に保持しておけば検査時の計算時間の削減になる。
【0050】
図11A乃至図11Cは、学習した識別境界から実際に検査対象ウェハの欠陥検出を行う例を示したものである。図11Aは検査対象である設計データ画像1101を示し、図11Bは実パターン画像1102を示す。図11Aの設計データ画像1101と図11Bの実パターン画像1102上の対応する画素1103から求めた特徴ベクトルを図11Cに示したグラフ上の点1108に、画素1104から求められた特徴量ベクトルをグラフ上の点1109に表す。検査前準備段階S100においては正常部の特徴量ベクトル1106や欠陥部の特徴量ベクトル1105などから、SVMによる識別境界1107が求められている。この識別境界1107により、特徴ベクトル1108は正常部として、特徴ベクトル1109は欠陥部として判定される。
【0051】
図13は画素単位の欠陥判定を行ったあとの後処理について説明する図である。画素単位の欠陥判定後に(a)に示すような、欠陥判定で正常と判定された画素を黒、欠陥と判定された画素を白とした画像1301が得られる。この時、欠陥部は領域1306のように欠陥画素が連結して検出されるが、誤判定によって1画素もしくは数画素で連結された1305が同時に得られる。このような極小な領域はノイズとして除去する。具体的には(b)に示すように、欠陥画素に対してモルフォロジー演算などで縮退を行い(画像1302)、(c)に示すように、膨張させることで画像1303のような画像が得られる。
このほかに(d)に示すように、画像1301に対して連結した欠陥画素の領域の長径1307を求め、あるしきい値以上であれば欠陥領域とする方法などがある。
【0052】
最終的に判定された欠陥領域は、図1のS114における判定結果表示においてユーザに確認される。
【0053】
図7はGUI700による判定結果表示の例を示す。表示領域701にはウェハマップが表示され、注目しているダイの位置や、おおまかな欠陥分布の位置を表示する。表示領域702にはダイのマップでが表示され、注目している配線パターンの位置703の表示や大きな欠陥や欠陥頻度の多い領域などを点704にて表示する。表示領域705は欠陥種ごとに発生頻度のヒストグラムを表示する部分である。表示領域706は注目している配線パターンの座標情報や、表示倍率などを表示する部分である。表示領域707は注目している配線パターン領域の設計データ画像7071と実パターン画像7072を表示する部分である。実パターン画像7072上には欠陥判定領域7073〜7076などが線で囲まれ表示される。708は操作パネルで、見たい配線パターンの位置や倍率、欠陥表示の切り替えなどが行える。
【0054】
(7)欠陥検出感度の調整
図12A及び図12Bでは、欠陥判定の感度調整について説明する。LDAやSVMによって求められた識別境界で欠陥判定を行うことは、特徴ベクトルを図12Aに示したような1201のような1軸上に射影してヒストグラムを求め、しきい値1202によってヒストグラムを2つに分けるという操作をしている。ヒストグラムは欠陥部の山1203と正常部の山1204の2つの山からなる。しきい値1202を矢印1205の方向に移動することで欠陥に対する感度を低減させ、矢印1206の方向に移動することで虚報に対する感度を低減させて虚報の検出率を低減することができる。
【0055】
これを利用した欠陥種ごと感度調整の例を、図12BのGUI1207によって示す。欠陥種ごとの学習によって得られた複数の識別境界をもとに特徴ベクトルのヒストグラム1208−1〜3のように欠陥種ごとに表示する。ユーザは、ポインティングデバイス等を利用しスライダ1211を変化させることで欠陥種ごとのしきい値を調整する。調整後の判定結果は実パターン画像1212上に実時間で反映され、欠陥領域1213や1214が表示されたり表示されなくなったりする。ユーザは設計データ画像1211と見比べながら、適切なしきい値に調整を行うことができる。
【0056】
以上、本発明者によってなされた発明を実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
200…走査電子顕微鏡 212…検査対象ウェハ 215…検出器 216…A/D変換器 218…表示手段 219…画像処理部 220…記憶装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データから生成した設計データ画像とを比較することにより検査対象パターンの欠陥を検出する装置であって、
検査対象パターンを撮像して該検査対象パターンの画像を取得する撮像手段と、
該撮像手段で前記検査対象パターンを撮像して得た画像から該検査対象パターンの画像の特徴量を算出する検査対象パターン画像特徴量算出手段と、
設計データから設計データ画像を作成する設計データ画像作成手段と、
該設計データ画像作成手段で前記検査対象パターンの設計データから作成した該設計データ画像の特徴量を算出する設計データ画像特徴量算出手段と、
前記撮像手段で検査対象パターンを撮像して取得した前記検査対象パターンの画像と前記設計データ画像作成手段で生成した前記検査対象パターンの設計データ画像とを表示する表示画面を備えた表示手段と、
前記検査対象パターンの画像と前記検査対象パターンの設計データ画像とが表示された前記表示手段の画面で指示された前記検査対象パターンの欠陥の教示画像データを作成して記憶する教示画像データ作成手段と、
前記検査対象パターン画像特徴量算出手段で算出した前記検査対象パターンの画像の特徴量と前記設計データ画像特徴量算出手段で算出した前記設計データ画像の特徴量と前記教示画像データ作成手段で作成した教示画像データとを用いて前記検査対象パターンの画像において虚報と欠陥とを識別する識別境界を算出して記憶する識別境界算出手段と、
前記検査対象パターンの検査領域を前記撮像手段で撮像して得た画像から前記検査対象パターン画像特徴量算出手段で算出した前記検査対象パターンの画像の特徴量と、前記検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像作成手段で作成した画像から前記設計データ画像特徴量算出手段で算出した前記設計データ画像の特徴量とから前記識別境界算出手段に記憶した前記識別境界を用いて前記検査対象パターンの欠陥を判定する欠陥判定手段と
を備えることを特徴とするパターン検査装置。
【請求項2】
前記撮像手段が走査型電子顕微鏡であることを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項3】
前記教示画像データ作成手段は、前記検査対象パターンの画像と前記検査対象パターンの設計データ画像とが重ねて表示された画面上で教示画像データを作成することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項4】
前記表示手段は更に前記識別境界算出手段で算出した虚報と欠陥とを識別する識別境界に関する情報を表示画面上に表示し、該表示された識別境界に関する情報から前記識別境界を前記表示画面上で調整することが可能な識別境界調整手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項5】
前記識別境界算出手段は、設計データ画像特徴量と実パターン画像特徴量とで表わされる特徴量空間において、正常部の特徴ベクトルと欠陥部の特徴ベクトルとを識別する識別境界を算出することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項6】
前記識別境界算出手段は、設計データ特徴量と実パターン画像特徴量とで表わされる特徴量空間において、欠陥種に応じた識別境界を算出することを特徴とする請求項1記載のパターン検査装置。
【請求項7】
検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データから生成した設計データ画像とを比較することにより検査対象パターンの欠陥を検出する方法であって、
検査対象パターンうちのサンプルパターンを撮像して該サンプルパターンの画像を取得し、
該撮像して取得した前記サンプルパターンの画像から該サンプルパターンの画像の特徴量を算出し、
前記サンプルパターンの設計データから前記サンプルパターンの画像に対応する設計データ画像を作成し、
該作成した設計データ画像について前記算出したサンプルパターンの画像の特徴量に対応する特徴量を算出し、
前記撮像して取得した前記サンプルパターンの画像と前記作成した設計データ画像とを用いて欠陥を教示するための教示画像データを作成し、
前記算出したサンプルパターンの画像の特徴量と前記算出したサンプルパターンの画像の特徴量に対応する設計データ画像の特徴量と前記作成した教示画像データとを用いてサンプルパターンの画像から欠陥の画像を識別するための識別境界を算出し、
前記検査対象パターンの検査領域を撮像して得た画像から前記検査対象パターンの検査領域の画像特徴量を算出し、
前記検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像を作成して該作成した設計データ画像の特徴量を算出し、
前記算出した前記検査対象パターンの検査領域の画像特徴量と前記設計データ画像の特徴量と前記算出した識別境界とに基づいて前記検査対象パターンの検査領域内の欠陥を検出する
ことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項8】
前記撮像して取得した前記サンプルパターンの画像と前記作成した設計データ画像とから欠陥を教示するための教示画像データを作成することを、前記検査対象パターンの画像と前記検査対象パターンの設計データ画像とを重ねて表示した画面上で行うことを特徴とする請求項7記載のパターン検査方法。
【請求項9】
前記算出した識別境界に関する情報を画面上に表示し、該画面上に表示された識別境界に関する情報から前記識別境界を前記画面上で調整することを特徴とする請求項7記載のパターン検査方法。
【請求項10】
検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データから生成した設計データ画像とを比較することにより検査対象パターンの欠陥を検出する方法であって、
検査対象パターンを撮像して得た画像から抽出した特徴量と設計データから生成した設計データ画像から抽出した前記検査対象パターンを撮像して得た画像に対応する箇所の特徴量と前記検査対象パターンを撮像して得た画像と設計データ画像とを用いて作成した教示データの情報を用いて虚報と欠陥とを識別するための識別境界を算出し、
該算出した識別境界を記憶し、
前記検査対象パターンの検査領域を撮像して得た画像から前記検査対象パターンの検査領域の画像特徴量を算出し、
前記検査対象パターンの検査領域に対応する設計データから設計データ画像を作成して該作成した設計データ画像の特徴量を算出し、
前記算出した前記検査対象パターンの検査領域の画像特徴量と前記設計データ画像の特徴量と前記記憶しておいた識別境界とに基づいて前記検査対象パターンの検査領域内の欠陥を検出する
ことを特徴とするパターン検査方法。
【請求項11】
前記教示画像データを、前記検査対象パターンの画像と前記検査対象パターンの設計データ画像とを重ねて表示した画面上で作成することを特徴とする請求項10記載のパターン検査方法。
【請求項12】
前記算出して記憶した識別境界に関する情報を画面上に表示し、該画面上に表示された識別境界に関する情報から前記識別境界を前記画面上で調整し、該調整した識別境界を新たに記憶することを特徴とする請求項10記載のパターン検査方法。
【請求項13】
前記サンプルパターンを撮像して得た画像が、SEM画像であることを特徴とする請求項7又は10に記載のパターン検査方法。
【請求項14】
前記識別境界を算出することを、設計データ画像特徴量と実パターン画像特徴量とで表わされる特徴量空間において、正常部の特徴ベクトルと欠陥部の特徴ベクトルとを識別するような識別境界を算出することを特徴とする請求項7又は10に記載のパターン検査方法。
【請求項15】
前記識別境界を算出することを、設計データ画像特徴量と実パターン画像特徴量とで表わされる特徴量空間において、欠陥種に応じた識別境界を算出することを特徴とする請求項7又は10に記載のパターン検査方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図3F】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図13】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図15D】
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【公開番号】特開2013−53986(P2013−53986A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193605(P2011−193605)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】