説明

パターン構造層付き長尺体およびパターン構造層の貼り合せ方法

【課題】所望のパターン層を被貼着体に高い精度で安定して貼り合せることができるパターン構造層付き長尺体と、これを用いた貼り合せ方法を提供する。
【解決手段】パターン構造層付き長尺体1を、長尺剥離フィルム2の一方の面に、長尺剥離フィルムの長さ方向に沿って複数のパターン構造層3を有するものとし、このパターン構造層3を、長尺剥離フィルム2側から第1の粘着層11、パターン層12、パターン層フィルム13、第2の粘着層14、保護フィルム15がこの順に積層している積層体とし、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11とを剥離可能とし、パターン層フィルム13と第2の粘着層14とを剥離可能とし、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力が、パターン層フィルム13と第2の粘着層14との粘着力よりも小さいものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターンを有するパターン構造層を備えた長尺体と、この長尺体が備えるパターン構造層の被貼着体への貼り合せ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、長尺体を巻取り状態から繰り出し、印刷等により所望の線、模様等の所望のパターンからなるパターン層を形成してパターン層付き長尺体とした後、巻き回して巻取り状態とし、後工程において、このパターン層付き長尺体を繰り出して更に加工を施したり、他の長尺体や部材との貼り合せ、係合、丁合等の加工により、所望の製品を製造することが行われている。
また、近年、省電力、薄型の表示装置として、液晶表示装置や有機EL表示装置等が携帯電話、携帯用ノートパソコン、ゲーム機、電子リーダー等の種々の情報機器等に広く用いられている。しかし、薄型軽量化の要請に応えて、表示装置を構成するガラス基材の厚みを薄くすると、落下や外押圧ストレスにより破損し易いという問題があり、薄型軽量化には限界があった。このような薄型軽量化による割れの問題は、ガラス基材の代わりに樹脂フィルムのようなフレキシブル基材を使用することにより解消される。表示装置にフレキシブル基材を使用する場合、例えば、フレキシブル基材の長尺体の長さ方向に印刷等により、例えば、カラーフィルタやTFT(薄膜トランジスタ)等の所望のパターンからなるパターン層を複数形成し、その後、パターン層を他の部材に貼り合せることが行われている。この場合の貼り合せは、パターン層を形成した長尺体を所望の長さで切断して、所望のパターン層を有するシートとし、このシートに粘着剤と剥離フィルムを設けた状態で後工程の貼り合せに供するシール枚葉方式がとられている(特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−140046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、シール枚葉方式では、シートの取扱い性が悪く、また、個々のシートに粘着剤と離型フィルムを設けるための工程が増えるという問題があった。
また、長尺のフレキシブル基材にパターン層を形成した後、粘着剤と剥離フィルムを設けて巻取り状態とし、後工程において巻取り状態から繰り出してパターン層を他の部材に貼り合せる場合、フレキシブル基材の機械的強度が低いことから、フレキシブル基材に作用する張力等の外力によってフレキシブル基材の伸長が生じ、パターン層の寸法精度が低下するという問題があった。また、剥離フィルムの剥離異常が発生すること、長尺体同士の位置合せが難しいこと、貼り合せシート間に気泡が抱き込まれ易いこと等の問題があった。特に、表示装置製造等のように、パターン層の貼り合せに高い精度が要求される場合には、長尺のフレキシブル基材に設けたパターンを貼り合せる際の精度の低さが大きな障害となっていた。
本発明は上述のような実情に鑑みてなされたものであり、所望のパターン層を被貼着体に高い精度で安定して貼り合せることができるパターン構造層付き長尺体と、これを用いたパターン構造層の貼り合せ方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明のパターン構造層付き長尺体は、長尺剥離フィルムと、該長尺剥離フィルムの一方の面に、長尺剥離フィルムの長さ方向に沿って複数のパターン構造層を相互に独立して有し、前記パターン構造層は、前記長尺剥離フィルム側から第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルム、第2の粘着層、保護フィルムの順に積層された積層体であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層とが剥離可能であり、パターン層フィルムと第2の粘着層とが剥離可能であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層との粘着力は、パターン層フィルムと第2の粘着層との粘着力よりも小さいような構成とした。
【0006】
本発明の他の態様として、前記パターン層は、アライメントマークを有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1の粘着層の全光線透過率は、80%以上であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1の粘着層の前記長尺剥離フィルムに対する粘着力は、0.01〜1N/25mmの範囲であり、前記第2の粘着層の前記パターン層フィルムに対する粘着力は、2N/25mm以下であるような構成とした。
【0007】
本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、上述のいずれかのパターン構造層付き長尺体の前記長尺剥離フィルムから前記パターン構造層を剥離して保持する工程と、保持した該パターン構造層と被貼着体とを位置合わせする工程と、前記パターン構造層の第1の粘着層と前記被貼着体とを当接する工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1の粘着層の前記被粘着体に対する粘着力が2N/25mm以上であり、第2の粘着層の前記パターン層フィルムに対する粘着力が2N/25mm以下であるパターン構造層付き長尺体を使用するような構成とした。
【0008】
また、本発明のパターン構造層付き長尺体は、長尺剥離フィルムと、該長尺剥離フィルムの一方の面に、長尺剥離フィルムの長さ方向に沿って複数のパターン構造層を相互に独立して有し、前記パターン構造層は、前記長尺剥離フィルム側から第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルム、第2の粘着層、保護フィルムの順に積層された積層体であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層とが剥離可能であり、パターン層フィルムと第2の粘着層とが剥離可能であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層との粘着力は、パターン層フィルムと第2の粘着層との粘着力よりも大きいような構成とした。
【0009】
本発明の他の態様として、前記パターン層は、アライメントマークを有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1の粘着層の全光線透過率は、80%以上であるような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1の粘着層の前記長尺剥離フィルムに対する粘着力は、1〜10N/25mmの範囲であり、前記第2の粘着層の前記パターン層フィルムに対する粘着力は、2N/25mm以下であるような構成とした。
【0010】
また、本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、上述のいずれかのパターン構造層付き長尺体の前記パターン構造層から第2の粘着層および保護フィルムを剥離し除去する工程と、前記長尺剥離フィルムから第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルムの順に積層されたパターン構造体を分離して保持する工程と、保持した該パターン構造層と被貼着体とを位置合わせする工程と、前記パターン構造層の第1の粘着層と前記被貼着体とを当接する工程と、を有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記第1の粘着層の前記被粘着体に対する粘着力が2N/25mm以上であるパターン構造層付き長尺体を使用するような構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明のパターン構造層付き長尺体は、張力等の外力が作用して長尺剥離フィルムに伸長が生じても、複数のパターン構造層が相互に独立し、かつ、パターン構造層が長尺剥離フィルムに剥離可能に当接している面には第1の粘着層が存在しているので、長尺剥離フィルムに生じた伸長は、各パターン構造層間、および、第1の粘着層において吸収、緩衝され、パターン構造層に位置するパターン層の精度が高い状態、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持される。
【0012】
また、本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、パターン構造層が有するパターン層の精度を、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持することができる。また、剥離した1個のパターン構造層と被貼着体とを位置合わせするので、長尺体同士の位置合せに比較して精度が大幅に向上し、さらに、剥離した1個のパターン構造層の第1の粘着層と被貼着体とを当接するので、長尺体同士の貼り合せに比べて気泡の混入が抑制される。また、従来のシール枚葉方式に比べて貼り合せ時の取扱い性が格段に向上し、さらに、個々のシートに粘着剤と離型フィルムを設けるための工程が不要であり、製造工程の煩雑化が避けられる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明のパターン構造層付き長尺体の一実施形態を示す部分平面図である。
【図2】図1に示されるパターン構造層付き長尺体のI−I線における拡大断面図である。
【図3】本発明のパターン構造層付き長尺体の他の実施形態を示す部分平面図である。
【図4】本発明のパターン構造層付き長尺体の他の実施形態を示す図2相当の拡大断面図である。
【図5】本発明のパターン構造層付き長尺体の製造方法の一例を説明するための工程図である。
【図6】本発明のパターン構造層の貼り合せ方法の一実施形態を説明するための工程図である。
【図7】本発明のパターン構造層の貼り合せ方法におけるパターン構造層と被貼着体の位置合せ用のマークの例を示す図である。
【図8】本発明のパターン構造層の貼り合せ方法の一実施形態を説明するための図である。
【図9】本発明のパターン構造層の貼り合せ方法の他の実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
[パターン構造層付き長尺体]
<第1の実施形態>
図1は、本発明のパターン構造層付き長尺体の一実施形態を示す部分平面図であり、図2は、図1に示されるパターン構造層付き長尺体のI−I線における拡大断面図である。図1および図2において、本発明のパターン構造層付き長尺体1は、長尺剥離フィルム2と、この長尺剥離フィルム2の一方の面2aに位置する複数のパターン構造層3を有している。パターン構造層3は、長尺剥離フィルム2の長さ方向(図1に矢印aで示される方向)に沿って所定のピッチで個々に独立するように配列している。各パターン構造層3は、長尺剥離フィルム2側から第1の粘着層11、パターン層12、パターン層フィルム13、第2の粘着層14、保護フィルム15が、この順に積層された積層体である。そして、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11とが剥離可能であり、パターン層フィルム13と第2の粘着層14とが剥離可能である。また、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力は、パターン層フィルム13と第2の粘着層14との粘着力よりも小さいものである。
【0015】
このパターン構造層付き長尺体1を構成する長尺剥離フィルム2は、第1の粘着層11の剥離フィルムとして機能するものであり、例えば、可撓性を有する樹脂基材、あるいは、このような樹脂材料に離型性処理を施したものであってよい。樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルイミド、セルローストリアセテート、環状ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート、ポリサルフォン、ポリアミドイミド、ノルボルネン系樹脂、アリルエステル樹脂等の樹脂基材を挙げることができる。また、これらの樹脂基材の2種以上からなる積層構造の樹脂基材であってもよい。
長尺剥離フィルム2としては、湿度膨張係数が2×10-5/%RH以下、好ましくは5×10-6/%RH以下である樹脂基材が、湿度変化による寸法変化量が少なく好適であり、また、線膨張係数が2×10-5/℃以下、好ましくは5×10-6/℃以下である樹脂基材が、温度変化による寸法変化量が少なく好適である。このような樹脂基材としては、上記の樹脂基材の中では、例えば、ポリエチレンテレナフタレート、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。また、長尺剥離フィルム2に透明性が要求される場合には、要求される透明性に応じて樹脂基材を適宜選定することができる。
【0016】
また、長尺剥離フィルム2が第1の粘着層11に対して発現する離型性は、後述するように、貼り合せの対象である被貼着体に対する所望の粘着力を具備した第1の粘着層11との粘着力が、パターン層フィルム13と第2の粘着層14との粘着力よりも小さくなるような離型性である。このような離型性を付与するために上述のような樹脂材料に施す離型性処理としては、例えば、シリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂等を表面にコーティングする処理、もしくは、表面コロナ処理等を挙げることができる。長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力は、例えば、0.01〜1N/25mm、好ましくは0.01〜0.1N/25mmの範囲とすることができる。尚、本発明における粘着力(あるいは剥離力)は、試験体の幅を25mmとし、JIS Z−0237(被貼着体:アクリル板、引っ張り速度:300mm/分、剥離角度:180°)に準拠して測定するものである。
長尺剥離フィルム2の厚みは、パターン構造層付き長尺体の用途に応じて適宜設定することができ、例えば、1μm〜1mm、好ましくは10μm〜500μmの範囲内で設定することができる。長尺剥離フィルム2の厚みが1mmを超えると、可撓性が低下して折れを生じ易くなり、また、1μm未満であると、こしが無くなり、パターン構造層3の形成工程、および、パターン構造層の貼り合せ工程における作業性が低下するおそれがあり好ましくない。
【0017】
また、長尺剥離フィルム2の幅は特に制限はなく、パターン構造層3の大きさに応じて適宜設定することができ、例えば、100〜1000mm、好ましくは150〜600mmの範囲内で設定することができる。
パターン構造層3を構成する第1の粘着層11を構成する粘着材料としては、例えば、粘着性と柔軟性を有している粘着材料が好適であり、アクリル系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エーテル系セルロース、エポキシ系、シリコーン系等を挙げることができる。具体的には、パターン構造層3の貼り合せの対象である被貼着体に対する粘着力が2N/25mm以上、好ましくは10N/25mm以上となるように、被貼着体の材質、表面性等を考慮して、上記のような粘着材料から適宜選択することができる。パターン構造層3の貼り合せの対象である被貼着体に対する第1の粘着層11の粘着力が2N/25mm未満であると、被貼着体に貼り合せたパターン構造層3が外力によって剥離、脱落し易くなり好ましくない。また、パターン構造層3の貼り合せの対象である被貼着体に対する第1の粘着層11の粘着力の上限は、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力が、パターン層フィルム13と第2の粘着層14との粘着力よりも小さくなるように、長尺剥離フィルム2の材質、離型性等を考慮して適宜設定でき、例えば、100N/25mm程度とすることができる。
【0018】
また、第1の粘着層11の厚みは、柔軟性が阻害されず、かつ、パターン層12を被覆しながらも長尺剥離フィルム2側の表面が平坦となり得るような範囲で、パターン層12の厚み、使用する粘着材料等を考慮して適宜設定することができる。また、パターン層12の特性、機能から、第1の粘着層11に透明性が要求される場合には、例えば、全光線透過率が80%以上、好ましくは90%以上である粘着材料を用いて第1の粘着層11を構成することができる。
パターン構造層3を構成するパターン層12は、任意に設定することができ、例えば、カラーフィルタを構成する機能層パターン、電子ペーパー用表示素子、有機EL用表示素子、太陽電池用光電変換素子、配線パターン、ハードコート層、反射防止層、偏光層、TFT用素子等を挙げることができる。
パターン構造層3を構成するパターン層フィルム13は、パターン層12を形成するための基材フィルムであるとともに、パターン層12が最終製品に貼合、組み込まれて機能する際の保護フィルムとしての作用をなすものである。パターン層フィルム13の材質は、パターン層12の用途、特性等に応じて公知の樹脂フィルムから適宜選択することができ、例えば、上述の長尺剥離フィルム2として挙げた樹脂基材から選択することもできる。
【0019】
パターン構造層3を構成する第2の粘着層14は、保護フィルム15をパターン層フィルム13に貼着保持するための層である。この第2の粘着層14とパターン層フィルム13との粘着力は、上述のように、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力よりも大きいものである。また、第2の粘着層14と保護フィルム15との粘着力は、第2の粘着層14とパターン層フィルム13との粘着力よりも大きく、これにより、保護層15を第2の粘着層14とともに、パターン層フィルム13から剥離することができる。このような第2の粘着層14は、例えば、パターン層フィルム13との粘着力が2N/25mm以下、好ましくは1N/25mm以下であって、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力よりも大きくなるような粘着材料からなるものとすることができる。そして、パターン層フィルム13に対する第2の粘着層14の粘着力が、パターン構造層3の貼り合せの対象である被貼着体に対する第1の粘着層11の粘着力よりも小さくなるように設定する。このような第2の粘着層14の粘着材料としては、例えば、粘着性と柔軟性を有しているアクリル系、スチレン系、オレフィン系、ウレタン系、エーテル系セルロース、エポキシ系、シリコーン系等を挙げることができる。第2の粘着層14とパターン層フィルム13との粘着力が2N/25mmを超えると、パターン層フィルム13から保護フィルム15を剥離したときに、パターン層フィルム13上に第2の粘着層14が残存したり、保護フィルム15の剥離が困難となり好ましくない。一方、第2の粘着層14とパターン層フィルム13との粘着力の下限は、パターン構造層3を所望の被貼着体に貼り合せる際に保護フィルム15が不用意に脱落しない範囲で適宜設定することができ、例えば、0.1N/25mm程度とすることができる。
【0020】
また、第2の粘着層14は、通常、第1の粘着層11に比べて薄いものであってよく、第2の粘着層14の厚みは、例えば、0.1〜30μmの範囲で適宜設定することができる。
保護フィルム15は、パターン構造層付き長尺体の製造工程中、および、その後の加工工程において、パターン層12、パターン層フィルム13を保護するためのフィルムである。このような保護フィルム15は、上述の長尺剥離フィルム2と同様の樹脂基材を使用することができる。また、保護フィルム15の厚みは、保護フィルムとしての機能を発現するとともに、パターン構造層3を所望の被貼着体に貼り合せる際に支障を来さないものであれば特に制限はなく、例えば、1μm〜1mm、好ましくは10μm〜500μmの範囲内で設定することができる。
上記のような積層体であるパターン構造層3の外形形状、寸法、厚みは、パターン層12の機能、特性等、および、パターン構造層3を構成する第1の粘着層11、パターン層フィルム13、第2の粘着層14、保護フィルム15の材質等に応じて適宜設定することができ、特に制限はない。
【0021】
本発明のパターン構造層付き長尺体は、図3に示されるように、長尺剥離フィルム2の長さ方向(矢印aで示す方向)に沿って一方の面2aにパターン構造層3が一定のピッチで配列されているとともに、長尺剥離フィルム2の幅方向(矢印bで示す方向)に所定の間隔を設けて2個のパターン構造層3が配列されたパターン構造層付き長尺体1′であってもよい。また、長尺剥離フィルム2の幅方向(矢印bで示す方向)に配列されるパターン構造層3の数は3個以上であってもよい。
このような本発明のパターン構造層付き長尺体1,1′は、張力等の外力が作用して長尺剥離フィルムに伸長が生じても、複数のパターン構造層3が相互に独立し、かつ、パターン構造層3が長尺剥離フィルム2に剥離可能に当接している面には第1の粘着層11が存在しているので、長尺剥離フィルム2に生じた伸長は、各パターン構造層間、および、第1の粘着層11において吸収、緩衝され、パターン構造層3に位置するパターン層12の精度が高い状態、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持される。また、このパターン構造層3の第1の粘着層11と長尺剥離フィルム2との粘着力は、パターン層フィルム13と第2の粘着層14との粘着力よりも小さいので、パターン構造層3を構成する保護フィルム15の剥離を生じることなく、長尺剥離フィルム2から各パターン構造層3を剥離することができ、第1の粘着層11による他の部材等への貼り合せが可能な状態のパターン構造層を安定して供給することができる。
【0022】
<第2の実施形態>
図4は、本発明のパターン構造層付き長尺体の他の実施形態を示す図2相当の拡大断面図である。図4において、本発明のパターン構造層付き長尺体21は、長尺剥離フィルム22と、この長尺剥離フィルム22の一方の面22aに位置する複数のパターン構造層23を有している。パターン構造層23は、長尺剥離フィルム22の長さ方向に沿って所定のピッチで個々に独立するように配列している。各パターン構造層23は、長尺剥離フィルム22側から第1の粘着層31、パターン層32、パターン層フィルム33、第2の粘着層34、保護フィルム35が、この順に積層された積層体である。そして、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31とが剥離可能であり、パターン層フィルム33と第2の粘着層34とが剥離可能である。また、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31との粘着力は、パターン層フィルム33と第2の粘着層34との粘着力よりも大きいものである。
このパターン構造層付き長尺体21は、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31との粘着力が、パターン層フィルム33と第2の粘着層34との粘着力よりも大きい点を除いて、上述のパターン構造層付き長尺体1と同様である。
【0023】
パターン構造層付き長尺体21では、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31との粘着力を1〜10N/25mm、好ましくは2〜7N/25mmの範囲とすることができる。パターン構造層付き長尺体21を構成する長尺剥離フィルム22、第1の粘着層31は、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31との粘着力が上記の範囲となり、かつ、パターン構造層23の貼り合せの対象である被貼着体に対する第1の粘着層31の粘着力が2N/25mm以上、好ましくは10N/25mm以上となるように、上述のパターン構造層付き長尺体1を構成する長尺剥離フィルム2、第1の粘着層11で挙げた材料から適宜選定して形成することができる。
パターン構造層付き長尺体21を構成するパターン層32、パターン層フィルム33、第2の粘着層34、保護フィルム35は、上述のパターン構造層付き長尺体1を構成するパターン層12、パターン層フィルム13、第2の粘着層14、保護フィルム15と同様とすることができ、ここでの説明は省略する。
本発明のパターン構造層付き長尺体21においても、図3に示したように、長尺剥離フィルム22の長さ方向に沿って一方の面22aにパターン構造層23が一定のピッチで配列されているとともに、長尺剥離フィルム22の幅方向(図3に矢印bで示す方向)に所定の間隔を設けて2個のパターン構造層23が配列されたパターン構造層付き長尺体とすることができる。
【0024】
このような本発明のパターン構造層付き長尺体21は、張力等の外力が作用して長尺剥離フィルム22に伸長が生じても、複数のパターン構造層23が相互に独立し、かつ、パターン構造層23が長尺剥離フィルム22に剥離可能に当接している面には第1の粘着層31が存在しているので、長尺剥離フィルム22に生じた伸長は、各パターン構造層間、および、第1の粘着層31において吸収、緩衝され、パターン構造層23に位置するパターン層32の精度が高い状態、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持される。また、このパターン構造層23の第1の粘着層31と長尺剥離フィルム22との粘着力は、パターン層フィルム33と第2の粘着層34との粘着力よりも大きいので、長尺剥離フィルム22上に位置するパターン構造層23から第2の粘着層34、保護フィルム35を確実に剥離し除去することができる。その後、第1の粘着層31、パターン層32、パターン層フィルム33からなるパターン構造層を、長尺剥離フィルム22から剥離することができ、第1の粘着層31による他の部材等への貼り合せが可能な状態のパターン構造層を安定して供給することができる。
【0025】
次に、本発明のパターン構造層付き長尺体の製造方法の一例を、上述のパターン構造層付き長尺体1を例として、図5を参照して説明する。
この製造例では、まず、長さ方向(矢印aで示す方向)に沿って複数のパターン層12を所望のピッチで形成した長尺のパターン層フィルム13と、一方の面2aに第1の粘着層11を形成した長尺剥離フィルム2とを貼り合わせて、長尺の積層体を作製する(図5
(A))。この工程では、長尺のパターン層フィルム13に、パターン層12を被覆するように第1の粘着層11を形成し、この第1の粘着層11に長尺剥離フィルム2を貼り合わせてもよい。
次に、第2の粘着層14を有する保護フィルム15と、上記の長尺の積層体のパターン層フィルム13とを貼り合わせる(図5(B))。この工程では、パターン層12を形成した長尺のパターン層フィルム13の裏面に第2の粘着層14を形成し、この第2の粘着層14に保護フィルム15を貼り合わせてもよい。
次いで、保護フィルム15側から第1の粘着層11までハーフカット加工を行い、その後、長尺剥離フィルム2上から不要部位を除去することにより、長尺剥離フィルム2上に、個々に独立したパターン構造層3が形成され、パターン構造層付き長尺体1が得られる(図5(C))。ハーフカット加工は、例えば、打ち抜き加工、レーザー断裁、カッターナイフ断裁等により行うことができる。
【0026】
このように、ハーフカット加工が行われ、さらに、不要部位が除去されるので、上述の図5(A)、図5(B)に示した工程で、パターン層フィルム13に張力等の外力が作用してパターン層12の寸法にズレが生じても、最終的に複数のパターン構造層3が相互に独立した状態となったときに、上記の外力によるパターン層12への応力が解消される。そして、第1の粘着層11の柔軟性も作用して、パターン層12のズレ量は徐々に減少して、パターン層12の精度は、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態となる。
尚、上述のパターン構造層付き長尺体1の製造における長尺体の巻き回し時のテンションは、例えば、10〜200N/mm2の範囲で適宜設定することができる。この場合のテンションは、長尺体に加えられる張力を長尺体の横方向に沿った断面の面積で除すことにより求められる。
また、パターン構造層付き長尺体1の製造は、上述の工程に限定されるものではない。例えば、長さ方向(矢印aで示す方向)に沿って複数のパターン層12を所望のピッチで形成した長尺のパターン層フィルム13の裏面に、第2の粘着層14を有する保護フィルム15を貼り合せ、その後、複数のパターン層12を被覆するように、パターン層フィルム13と、一方の面2aに第1の粘着層11を形成した長尺剥離フィルム2とを貼り合わせてもよい。
上述のパターン構造層付き長尺体21も同様にして製造することができる。
【0027】
このような本発明のパターン構造層付き長尺体1,1′,21では、張力等の外力が作用して長尺剥離フィルム2,22に伸長が生じても、複数のパターン構造層3,23が相互に独立しており、かつ、パターン構造層3,23が長尺剥離フィルム2,22に剥離可能に当接している面には第1の粘着層11,31が存在しているので、長尺剥離フィルム2,22に生じた伸長は、各パターン構造層間、および、柔軟な第1の粘着層11,31において吸収、緩衝される。これにより、パターン構造層3,23に位置するパターン層12,32の精度が高い状態、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持される。
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、パターン層12,32には、パターン構造層3,23を他の部材等に貼り合せる際の位置合せ用のマークが含まれるものであってもよい。この場合、位置合せ用のマークを設ける位置は、例えば、パターン層12,32を構成する機能層の形成領域の内側、外側の何れであってもよく、また、その両方であってもよく、位置合せ用のマークの位置、数、形状は適宜設定することができる。
また、長尺剥離フィルムは、パターン構造層を剥離可能に備える面と反対側の面に、コロナ処理、プラズマ処理、UV処理等の所望の処理を施したものであってもよい。
【0028】
[パターン構造層の貼り合せ方法]
<第1の実施形態>
図6は、本発明のパターン構造層の貼り合せ方法の一実施形態を説明するための工程図である。尚、図6(B)〜図6(D)は、図6(A)における貼り合せ工程のみを拡大して示している。
本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、上述の第1の実施形態で示した本発明のパターン構造層付き長尺体を用いるものであり、図示例では、上述のパターン構造層付き長尺体1を用いている。
本発明では、まず、パターン構造層付き長尺体1を巻取り状態から繰り出し、長尺剥離フィルム2からパターン構造層3を剥離して保持する(図6(A))。長尺剥離フィルム2からのパターン構造層3の剥離は、例えば、図示例のように、パターン構造層3の保護フィルム15側をエアー吸着法、静電チャック法により上定盤41に保持し、長尺剥離フィルム2と定盤41とを離間することにより行うことができる。また、パターン構造層3の保護フィルム15側に粘着ローラーを押し付け移動させ、その周面にパターン構造層3を保持した状態で長尺剥離フィルム2からパターン構造層3を剥離することができる。
【0029】
パターン構造層付き長尺体1は、上述のように、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11とが剥離可能であり、また、長尺剥離フィルム2と第1の粘着層11との粘着力は、パターン層フィルム13と第2の粘着層14との粘着力よりも小さいものである。したがって、上記のような剥離方法により、パターン構造層3を構成する保護フィルム15の剥離を生じることなく、長尺剥離フィルム2からパターン構造層3を剥離することができる。
また、パターン構造層付き長尺体1は、巻取り状態から繰り出した状態で張力等の外力が作用して長尺剥離フィルム2に伸長が生じても、この伸長は、各パターン構造層3間、および、柔軟な第1の粘着層11において吸収、緩衝されるので、個々のパターン構造層3への影響が抑制される。したがって、剥離されたパターン構造層3が有するパターン層12の精度は、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持されている。
次いで、保持したパターン構造層3と被貼着体51とを位置合わせする(図6(B))。図示例では、被貼着体51は下定盤42に保持されているとともに、図7(A)に示されるように、パターン構造層3が貼り合される面51aに位置合せ用のマーク52が4箇所に設けられている。また、図7(B)に示されるように、パターン構造層3が有するパターン層12は、パターン12aと、このパターン12aと所定の位置関係を有する4個の位置合せ用のマーク12bとからなっている。尚、図6(A)、図6(C)、図6(D)では、図面が煩雑となるのを避けるために、位置合せ用のマーク12b、マーク52は示しておらず、パターン12aをパターン層12として示している。
【0030】
そして、このマーク12bと、被貼着体51のマーク52とを一致させるように、上定盤41と下定盤42とを相対的に移動させて位置合せを行う。このような位置合せは、例えば、上定盤41あるいは下定盤42の外側に配設したカメラによりマーク12bとマーク52とを読み取ることにより行うことができ、この場合、上定盤41あるいは下定盤42の一部を強化ガラス等の光透過性の部材で構成することができる。また、マーク12bの読み取り画像とマーク52の読み取り画像を基に、上定盤41と下定盤42とを相対的に移動させて位置合せを行うこともできる。この場合、例えば、マーク12bを読み取るためのカメラとマーク52を読み取るためのカメラが、それぞれ撮像方向が反対となるように配設されて一体化したカメラを、パターン構造層3と被貼着体51との間に挿入して、マーク12bの読み取り画像とマーク52の読み取り画像を得ることができる。尚、位置合せ用のマーク12b、マーク52は、上述の例に限定されるものではない。
【0031】
次に、パターン構造層3の第1の粘着層11と被貼着体51とを当接する(図6(C))。上記のように、長尺剥離フィルム2から剥離され、上定盤41に保持されたパターン構造層3は、第1の粘着層11による他の部材等への貼り合せが可能な状態となっているので、被貼着体51との位置合せが完了した後、直ちに第1の粘着層11を被貼着体51に当接して、パターン構造層3の貼り合せを行うことができる。このような第1の粘着層11と被貼着体51との当接を、例えば、真空環境下で行うことにより、気泡の混入を抑制しながら貼り合せを行うことができる。また、図8に示すように、例えば、被貼着体51を保持する下定盤として円筒定盤42′を使用し、この円筒定盤42′を回転させながらパターン構造層3と被貼着体51との貼り合せを行ってもよい。また、パターン構造層3を保持する上定盤として円筒定盤を使用してもよく、さらに、上定盤、下定盤共に、円筒定盤を使用してもよい。尚、このような円筒定盤を使用する貼り合せ方法を用いる場合、上述の位置合せ工程では、第1の粘着層11と被貼着体51とを離間した状態で、予め貼り合せ時と同様に上定盤と下定盤の相対的な作動を行い、パターン構造層3の位置合せ用のマーク12bと被貼着体51のマーク52との位置合せを確認することが好ましい。
上述のように被貼着体51に貼り合されたパターン構造層3は、パターン層12およびパターン層フィルム13が保護フィルム15により保護された状態となっている(図6(D))。したがって、例えば、被貼着体51に対する後加工等が行われても、パターン層12およびパターン層フィルム13が損傷や汚染を受けることが防止される。そして、第2の粘着層14のパターン層フィルム13に対する粘着力は、第1の粘着層11の被粘着体51に対する粘着力よりも小さいので、最終製品の状態となり、保護フィルム15が不要となった時に、第2の粘着層14をパターン層フィルム13から剥離して保護フィルム15を取り除くことができる。
【0032】
このような本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、本発明のパターン構造層付き長尺体1の長尺剥離フィルム2から先ず第1の粘着層11による他の部材等への貼り合せが可能な状態でパターン構造層3を確実に剥離することができるので、剥離フィルムの剥離異常を生じることがない。また、剥離されたパターン構造層3が有するパターン層は、パターン構造層付き長尺体に作用する張力等の外力の影響を受けることなく、したがって、パターン層を、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持することができる。また、剥離した1個のパターン構造層3と被貼着体51とを位置合わせするので、長尺体同士の位置合せに比較して精度が大幅に向上し、さらに、剥離した1個のパターン構造層3の第1の粘着層11と被貼着体51とを当接するので、長尺体同士の貼り合せに比べて気泡の混入が抑制される。また、従来のシール枚葉方式に比べて貼り合せ時の取扱い性が格段に向上し、さらに、個々のシートに粘着剤と離型フィルムを設けるための工程が不要であり、製造工程の煩雑化が避けられる。
【0033】
<第2の実施形態>
図9は、本発明のパターン構造層の貼り合せ方法の他の実施形態を説明するための工程図である。尚、図9(B)〜図9(D)は、図9(A)における貼り合せ工程のみを拡大して示している。
本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、上述の第2の実施形態で示した本発明のパターン構造層付き長尺体を用いるものであり、図示例では、上述のパターン構造層付き長尺体21を用いている。
本発明では、まず、パターン構造層付き長尺体1を巻取り状態から繰り出し、所望のパターン構造層23から第2の粘着層34および保護フィルム35を剥離し除去して、パターン層フィルム33が露出したパターン構造層23′とする(図9(A))。パターン構造層23からの第2の粘着層34、保護フィルム35の剥離は、例えば、保護フィルム35をエアー吸着法、静電チャック法により定盤に保持して離間することにより行うことができる。また、保護フィルム35に粘着ローラーを押し付け移動させ、その周面に第2の粘着層34、保護フィルム35を保持することにより剥離することもできる。
【0034】
パターン構造層付き長尺体21は、上述のように、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31とが剥離可能であり、また、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31との粘着力は、パターン層フィルム33と第2の粘着層34との粘着力よりも大きいものである。したがって、上記のような剥離方法により、第2の粘着層34、保護フィルム35をパターン構造層23から確実に剥離することができる。
また、パターン構造層付き長尺体21は、巻取り状態から繰り出した状態で張力等の外力が作用して長尺剥離フィルム22に伸長が生じても、この伸長は、各パターン構造層23間、および、柔軟な第1の粘着層31において吸収、緩衝されるので、個々のパターン構造層23への影響が抑制される。したがって、第2の粘着層34、保護フィルム35が剥離された後のパターン構造層23′が有するパターン層32の精度は、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持されている。
次に、第1の粘着層31、パターン層32、パターン層フィルム33の順に積層されたパターン構造層23′のパターン層フィルム33を上定盤61に保持し、長尺剥離フィルム22からパターン構造層23′を分離して保持する(図9(B))。上定盤61によるパターン層フィルム33の保持は、例えば、エアー吸着法、静電チャック法により行うことができる。
【0035】
次いで、上定盤61に保持されたパターン構造層23′と被貼着体71とを位置合わせする(図9(C))。図示例では、被貼着体71は下定盤62に保持されているとともに、上記の図7(A)に示される例のように、パターン構造層23′が貼り合わされる面71aに位置合せ用のマーク72が4箇所に設けられている。また、上記の図7(B)に示される例のように、パターン構造層23′が有するパターン層32は、パターン32aと、このパターン32aと所定の位置関係を有する4個の位置合せ用のマーク32bからなっている。そして、このマーク32bと、被貼着体71のマーク72とを一致させるように、上定盤61と下定盤62とを相対的に移動させて位置合せを行う。このような位置合せは、上述の上定盤41と下定盤42とを相対的に移動させて行う位置合せと同様にして行うことができる。尚、図9(A)、図9(B)、図9(D)では、図面が煩雑となるのを避けるために、位置合せ用のマーク32b、マーク72は示しておらず、パターン32aをパターン層32として示している。
次に、パターン構造層23′の第1の粘着層31と被貼着体71とを当接する(図9(D))。その後、上定盤61によるパターン層フィルム33の保持、および、下定盤62による被粘着体71の保持を停止することにより、第1の粘着層31、パターン層32、パターン層フィルム33の順に積層されたパターン構造層23′が貼り合された被貼着体71が得られる。
【0036】
上記のように、長尺剥離フィルム22から剥離され、上定盤61に保持されたパターン構造層23′は、第1の粘着層31による他の部材等への貼り合せが可能な状態となっているので、被貼着体71との位置合せが完了した後、直ちに第1の粘着層31を被貼着体71に当接して、パターン構造層23′の貼り合せを行うことができる。このような第1の粘着層31と被貼着体71との当接を、例えば、真空環境下で行うことにより、気泡の混入を抑制しながら貼り合せを行うことができる。また、図8に示した例のように、例えば、被貼着体71を保持する下定盤62として円筒定盤を使用し、この円筒定盤を回転させながらパターン構造層23′と被貼着体71との貼り合せを行ってもよい。また、パターン構造層23′を保持する上定盤として円筒定盤を使用してもよく、さらに、上定盤、下定盤共に、円筒定盤を使用してもよい。尚、このような円筒定盤を使用する貼り合せ方法を用いる場合、上述の位置合せ工程では、第1の粘着層31と被貼着体71とを離間した状態で、予め貼り合せ時と同様に上定盤と下定盤の相対的な作動を行い、パターン構造層23′の位置合せ用のマーク32bと被貼着体71のマーク72との位置合せを確認することが好ましい。
【0037】
このような本発明のパターン構造層の貼り合せ方法は、使用する本発明のパターン構造層付き長尺体21において、長尺剥離フィルム22と第1の粘着層31との粘着力が、パターン層フィルム33と第2の粘着層34との粘着力よりも大きいので、パターン構造層23から第2の粘着層34と保護フィルム35を確実に剥離することができる。さらに、第1の粘着層31、パターン層32、パターン層フィルム33の順に積層されたパターン構造層23′を長尺剥離フィルム22から剥離することができ、剥離されたパターン構造層23′が有するパターン層32は、パターン構造層付き長尺体に作用する張力等の外力の影響を受けることなく、したがって、パターン層を、例えば、±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内のような高い状態で維持することができる。また、剥離した1個のパターン構造層23′と被貼着体71とを位置合わせするので、長尺体同士の位置合せに比較して精度が大幅に向上し、さらに、剥離した1個のパターン構造層23′の第1の粘着層31と被貼着体71とを当接するので、長尺体同士の貼り合せに比べて気泡の混入が抑制される。また、従来のシール枚葉方式に比べて貼り合せ時の取扱い性が格段に向上し、さらに、個々のシートに粘着剤と離型フィルムを設けるための工程が不要であり、製造工程の煩雑化が避けられる。
【0038】
尚、上述の貼り合せ方法の実施形態では、被貼着体51,71が1個の部材(製品)であるが、本発明では、被貼着体51,71が長尺体であっても、同様の効果を奏することができる。
上述の本発明の実施形態は例示であり、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、パターン構造層3,23′を下定盤42,62に保持し、被貼着体51,71を上定盤41,61に保持して貼り合せを行ってもよい。
【実施例】
【0039】
次に、具体的な実施例を示して本発明を更に詳細に説明する。
[実施例1]
<パターン構造層付き長尺体の作製>
パターン層フィルムとして、長さ200m、幅33cm、厚み125μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績(株)製 コスモシャインA4100)を準備した。
このパターン層フィルムの一方の面に、ダイコート法により感光性の樹脂材料((株)製DNPファインケミカル製 カラーレジスト材料)を塗布した。次いで、所望のパターンからなる開口部を有する露光マスクを介して、塗布膜を露光(照射光量100mJ/cm2)し、現像してパターン(外形領域は一辺が15cmの正方形(一辺110μmの正方形がピッチ150μmで配列した集合体になっている))と、このパターンの四隅の外側であって、一辺30cmの正方形の頂点に位置するように4個の位置合せ用のマーク(マーク間距離の設定は、この正方形の一辺と同じ30cm)からなるパターン層(図7参照)を、パターン層フィルムの幅方向の中央部であって、長さ方向に沿ってピッチ43cmで形成した。
【0040】
次に、11種の粘着フィルムA1〜A11を準備し、この粘着フィルムA1〜A11の粘着層側を上記のパターン層フィルムのパターン層形成面に貼り合せて、11種の長尺の積層体を作製した(図5(A)参照)た。これらの粘着フィルムA1〜A11は、いずれも基材が厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを長尺剥離フィルムとし、粘着フィルムA1〜A11の粘着層を第1の粘着層とした。これらの粘着フィルムA1〜A11の粘着層(第1の粘着層)と、後述する被貼着体との粘着力は、下記の表1に示されるものであった。また、粘着フィルムA1〜A11における粘着層と基材との剥離力(第1の粘着層と長尺剥離フィルムとの粘着力)は、いずれも0.5N/25mm以下であった。尚、本実施例では、粘着力(あるいは剥離力)の測定は、試験体の幅を25mmとし、JIS Z−0237(被貼着体:アクリル板、引っ張り速度:300mm/分、剥離角度:180°)に準拠して測定した。
【0041】
次に、粘着層を備えた粘着フィルムB(日東電工(株)製 PR207)を準備し、この粘着フィルムBの粘着層側を上記の11種の長尺の積層体のパターン層フィルムに貼り合わせた(図5(B)参照)。使用した粘着フィルムBの基材は厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとし、粘着層を第2の粘着層とした。この第2の粘着層とパターン層フィルムとの粘着力は1N/25mmであり、上記の粘着フィルムA1〜A11における粘着層からの基材の剥離力(第1の粘着層と長尺剥離フィルムとの粘着力)よりも大きいものであった。また、粘着フィルムBにおける粘着層と基材との剥離力(第2の粘着層と保護フィルムとの粘着力)は、5N/25mm以上であり、第2の粘着層とパターン層フィルムとの粘着力(1N/25mm)よりも大きいものであった。
【0042】
次いで、保護フィルム側から第1の粘着層まで打ち抜き加工によりハーフカット加工を行い、その後、パターン層を含まない不要部位を長尺剥離フィルム上から除去し、長尺剥離フィルム(粘着フィルムA1〜A11の基材側)を内側として巻き回して、11種のパターン構造層付き長尺体(長尺体A1〜A11)を作製した。尚、巻き回し時のテンションは、50N/mm2とした。作製した11種のパターン構造層付き長尺体は、それぞれ長尺剥離フィルム上に、長さ方向に沿ってピッチ43cmで個々に独立したパターン構造層(外形が一辺15cmの正方形(一辺110μmの正方形がピッチ150μmで配列した集合体になっている))が配列されたものであった。
このように作製された11種のパターン構造層付き長尺体(長尺体A1〜A11)の各パターン構造層におけるマーク間距離を測定し、上記のマーク間距離の設定値との差を求めたところ、寸法差は±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。
【0043】
<パターン構造層の貼り合せ>
上記のように作製した11種のパターン構造層付き長尺体(長尺体A1〜A11)を使用して以下のようにパターン構造層を被貼着体に貼り合せた。すなわち、パターン構造層付き長尺体を巻取り状態から繰り出し、長尺剥離フィルムからパターン構造層を剥離した。このパターン構造層の剥離は、パターン構造層の保護フィルムに貼合装置の上定盤を押し当て、エアー吸着により吸引保持し、この状態で長尺剥離フィルムと上定盤とを離間することにより行った。これにより、第1の粘着層による他の部材等への貼り合せが可能な状態で、パターン構造層を上定盤に保持した。
また、厚み1mmで外形が一辺32cmの正方形である電子ペーパーを被貼着体として準備した。この被貼着体は、一方の面に、マーク間距離の設定がパターン構造層におけるマーク間距離の設定と同じである4個の位置合せ用のマーク(一辺30cmの正方形の頂点に位置する)を有するものであった。
【0044】
この被貼着体を貼合装置の下定盤に吸引保持し、その後、被貼着体の位置合せ用のマークと、上定盤に保持されているパターン構造層の位置合せ用のマークとを一致させるように、上定盤と下定盤とを相対的に移動させて位置合せを行った。この位置合せは、上定盤の外側に配設したカメラにより位置合せ用のマークを読み取ることにより行った。
次に、真空環境下でパターン構造層の第1の粘着層と被貼着体とを当接して、被貼着体へのパターン構造層の貼り合せを行った。
以上の工程によるパターン構造層の貼り合せを行って、11種の貼り合せ体(試料A1〜A11)を作製した。
【0045】
<評 価>
これらの11種の貼り合せ体(試料A1〜A11)について、被貼着体の位置合せ用マークのマーク間距離と、この位置合せ用のマークに対応したパターン構造層の位置合せ用マークのマーク間距離とを測定し、両者の寸法差を算出した結果、11種の貼り合せ体(試料A1〜A11)のいずれも、寸法差が±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。したがって、本発明の貼り合せ方法は、高い精度の貼り合せが可能であることが確認された。
【0046】
また、11種の貼り合せ体(試料A1〜A11)について、下記の条件でパターン構造層と被貼着体との密着性を評価し、判定結果を下記の表1に示した。
(密着性の評価条件)
パターン構造層の中央部、周辺部から、0.1mm隙間ゲージを用いた引っ掻き
による剥がしを行い、剥離状態を観察して、下記の判定基準で密着性を評価した。
(判定基準)
◎ : 中央部、周辺部とも被貼着体とパターン構造層との剥離が発生せず
密着性が極めて良好
○ : 周辺部では被貼着体とパターン構造層との剥離が発生するものの、
中央部では被貼着体とパターン構造層との剥離が発生せず、実用に
供し得る
× : 中央部での引っ掻きにより被貼着体とパターン構造層との剥離を示
す気泡が発生し、密着性が悪い
【0047】
【表1】

表1の結果から、被粘着体に対する第1の粘着層の粘着力の設定において、2N/25mm以上、好ましくは5N/25mm以上とすることが一つの指標となることが確認された。
【0048】
[実施例2]
<パターン構造層付き長尺体の作製>
実施例1と同様にして、パターン層フィルムの幅方向の中央部であって、長さ方向に沿ってピッチ43cmでパターン層を形成した。
次に、粘着層を備えた粘着フィルムA(日東電工(株)製 CS9621T)を準備し、この粘着フィルムAの粘着層側を上記のパターン層フィルムのパターン層形成面に貼り合せて、長尺の積層体を作製した(図5(A)参照)。使用した粘着フィルムAの基材は厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを長尺剥離フィルムとし、粘着層を第1の粘着層とした。この粘着フィルムAの粘着層(第1の粘着層)は、実施例1において使用した被貼着体に対する粘着力が7.6N/25mmであった。また、粘着フィルムAにおける粘着層と基材との剥離力(第1の粘着層と長尺剥離フィルムとの粘着力)は0.05N/25mmであった。
【0049】
次に、10種の粘着フィルムB1〜B10を準備し、この10種の粘着フィルムB1〜B10の粘着層側を、それぞれ上記の長尺の積層体のパターン層フィルムに貼り合わせた(図5(B)参照)。使用した粘着フィルムB1〜B10は、いずれも基材が厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとし、粘着層を第2の粘着層とした。また、これらの粘着フィルムB1〜B10の粘着層(第2の粘着層)は、パターン層フィルムに対する粘着力が、下記の表2に示されるものであった。さらに、これらの粘着フィルムB1〜B10の粘着層と基材との剥離力(第2の粘着層と保護フィルムとの粘着力)は、5N/25mm以上であった。
【0050】
次いで、実施例1と同様に、保護フィルム側から第1の粘着層まで打ち抜き加工によりハーフカット加工を行い、その後、パターン層を含まない不要部位を長尺剥離フィルム上から除去し、長尺剥離フィルム(粘着フィルムAの基材)を内側として巻き回して、10種のパターン構造層付き長尺体(長尺体B1〜B10)を作製した。
このように作製された10種のパターン構造層付き長尺体(長尺体B1〜B10)の各パターン構造層におけるマーク間距離を測定し、上記のマーク間距離の設定値との差を求めたところ、寸法差は±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。
【0051】
<パターン構造層の貼り合せ>
上記のように作製した10種のパターン構造層付き長尺体(長尺体B1〜B10)を使用して、実施例1と同様の被貼着体に、実施例1と同様にして、パターン構造層の貼り合せを行って、10種の貼り合せ体(試料B1〜B10)を作製した。
【0052】
<評 価>
これらの10種の貼り合せ体(試料B1〜B10)について、被貼着体の位置合せ用マークのマーク間距離と、この位置合せ用のマークに対応したパターン構造層の位置合せ用マークのマーク間距離とを測定し、両者の寸法差を算出した結果、10種の貼り合せ体(試料B1〜B10)のいずれも、寸法差が±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。したがって、本発明の貼り合せ方法は、高い精度の貼り合せが可能であることが確認された。
【0053】
また、10種の貼り合せ体(試料B1〜B10)について、保護フィルムを下記の条件でパターン構造層のパターン層フィルムから剥離して状態を観察し、下記の判定基準で判定して結果を下記の表2に示した。
(保護フィルムの剥離条件)
保護フィルムにエアー吸着式の定盤を接触させ、保護フィルムを定盤側に吸着
させることにより、パターン層フィルムから剥離する。
(判定基準)
◎ : パターン層フィルムに第2の粘着層が残存せず剥離性が極めて良好
○ : パターン層フィルムに第2の粘着層が若干残存するも剥離性は良好
× : 剥離が困難であり剥離性が悪い
【0054】
【表2】

表2の結果から、パターン層フィルムに対する第2の粘着層の粘着力の設定において、2N/25mm以下、好ましくは1N/25mm以下とすることが一つの指標となることが確認された。
【0055】
[実施例3]
<パターン構造層付き長尺体の作製>
実施例1と同様のパターン層フィルムを準備し、このパターン層フィルムの一方の面に、電子ペーパー用のカラーフィルタと位置合せ用のマークからなるパターン層を形成した。カラーフィルタは、一辺が15cmの正方形の領域からなり、この領域内に一辺が120μmの正方形の着色層(赤色、緑色、青色)がピッチ150μmで配列(各着色層の間隔は30μm)されたものとした。また、位置合せ用のマークは、カラーフィルタの四隅の外側であって、一辺30cmの正方形の頂点に位置するように配設した4個の位置合せ用のマーク(マーク間距離の設定は、この正方形の一辺と同じ30cm)からなるものとした。このようなカラーフィルタと位置合せ用のマークからなるパターン層が、パターン層フィルムの幅方向の中央部であって、長さ方向に沿ってピッチ43cmで配列されたものであった(図7参照)。
【0056】
次に、6種の粘着フィルムC1〜C6を準備し、この粘着フィルムC1〜C6の粘着層側を上記のパターン層フィルムのパターン層形成面に貼り合せて、6種の長尺の積層体を作製した(図5(A)参照)た。使用した粘着フィルムC1〜C6は、いずれも基材が厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを長尺剥離フィルムとし、粘着フィルムC1〜C6の粘着層を第1の粘着層とした。これらの粘着フィルムC1〜C6の粘着層(第1の粘着層)と、後述する電子ペーパー部品との粘着力は、10〜20N/25mmの範囲にあった。また、粘着フィルムC1〜C6における粘着層と基材との剥離力(第1の粘着層と長尺剥離フィルムとの粘着力)は、いずれも0.5N/25mm以下であった。さらに、これらの粘着フィルムC1〜C6の粘着層(第1の粘着層)は、下記の表3に示される全光線透過率を有するものであった。尚、全光線透過率の測定は、ヘイズメーター(日本電色工業(株)製)を使用し、JIS K−7136に準拠して行った。
次いで、実施例1と同様の粘着フィルムBを使用し、実施例1と同様にして、この粘着フィルムBの粘着層側を上記の6種の長尺の積層体のパターン層フィルムに貼り合わせた(図5(B)参照)。
【0057】
その後、実施例1と同様に、保護フィルム(粘着フィルムBの基材)側から第1の粘着層まで打ち抜き加工によりハーフカット加工を行い、その後、パターン層を含まない不要部位を長尺剥離フィルム上から除去し、長尺剥離フィルム(粘着フィルムC1〜C6の基材)を内側として巻き回して、6種のパターン構造層付き長尺体(長尺体C1〜C6)を作製した。
このように作製された6種のパターン構造層付き長尺体(長尺体C1〜C6)の各パターン構造層におけるマーク間距離を測定し、上記のマーク間距離の設定値との差を求めたところ、寸法差は±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。
【0058】
<パターン構造層の貼り合せ>
被粘着体として、電子ペーパー部品(マイクロカプセル型電気泳動ディスプレイ)を準備した。この電子ペーパー部品は、表示面に、マーク間距離の設定がパターン構造層におけるマーク間距離の設定と同じである4個の位置合せ用のマーク(一辺30cmの正方形の頂点に位置する)を有するものであった。
この電子ペーパー部品の表示面に、上記のように作製した6種のパターン構造層付き長尺体(長尺体C1〜C6)を使用して、実施例1と同様にして、パターン構造層の貼り合せを行って、6種の貼り合せ体(試料C1〜C6)を作製した。
【0059】
<評 価>
これらの6種の貼り合せ体(試料C1〜C6)について、電子ペーパー部品の位置合せ用マークのマーク間距離と、この位置合せ用のマークに対応したパターン構造層の位置合せ用マークのマーク間距離とを測定し、両者の寸法差を算出した結果、6種の貼り合せ体(試料C1〜C6)のいずれも、寸法差が±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。したがって、本発明の貼り合せ方法は、高い精度の貼り合せが可能であることが確認された。
【0060】
また、6種の貼り合せ体(試料C1〜C6)について、保護フィルムを第2の粘着層とともにパターン構造層のパターン層フィルムから剥離し、その後、電子ペーパーの表示状態を観察し、下記の判定基準で判定して結果を下記の表3に示した。尚、保護フィルムを第2の粘着層とともに剥離した後のパターン層フィルムには、第2の粘着層の残存はみられなかった。
(判定基準)
◎ : コントラストが高く、色も視認しやすい
○ : 色を視認することができ、実用レベルにある
× : 色が薄く、視認し難い
【0061】
【表3】

表3の結果から、パターン層が表示装置の構成要素となるような場合、パターン構造層を構成する第1の粘着層において、全光線透過率が80%以上、好ましくは90%以上の粘着材料を選択することが一つの指標となり得ることが確認された。
【0062】
[比較例]
打ち抜き加工によるハーフカット加工を行わない他は、実施例1と同様にして、8種のパターン構造層付き長尺体を作製した。このように作製した8種のパターン構造層付き長尺体の各パターン構造層におけるマーク間距離を測定し、マーク間距離の設定値との差を求めたところ、寸法差は±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)を超えるものであった。
また、これら8種のパターン構造層付き長尺体を、実施例1のパターン構造層の貼り合せ条件と同じ条件(張力)で、巻取り状態から繰り出し、このときの8種のパターン構造層付き長尺体の各パターン構造層におけるマーク間距離を測定し、マーク間距離の設定値との差を求めたところ、寸法差は±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)を超えるものであった。
【0063】
[実施例4]
<パターン構造層付き長尺体の作製>
実施例1と同様にして、パターン層フィルムの幅方向の中央部であって、長さ方向に沿ってピッチ43cmでパターン層を形成した。
次に、粘着層を備えた粘着フィルムDを準備し、この粘着フィルムDの粘着層側を上記のパターン層フィルムのパターン層形成面に貼り合せて、長尺の積層体を作製した(図5(A)参照)。使用した粘着フィルムDの基材は厚み50μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを長尺剥離フィルムとし、粘着層を第1の粘着層とした。この粘着フィルムDの粘着層(第1の粘着層)は、実施例1において使用した被貼着体に対する粘着力が7.6N/25mmであった。また、粘着フィルムDにおける粘着層と基材との剥離力(第1の粘着層と長尺剥離フィルムとの粘着力)は3N/25mmであった。
【0064】
次に、10種の粘着フィルムD1〜D10を準備し、この10種の粘着フィルムD1〜D10の粘着層側を、それぞれ上記の長尺の積層体のパターン層フィルムに貼り合わせた(図5(B)参照)。使用した粘着フィルムD1〜D10は、いずれも基材が厚み38μmのポリエチレンテレフタレートフィルムであり、このポリエチレンテレフタレートフィルムを保護フィルムとし、粘着層を第2の粘着層とした。また、これらの粘着フィルムD1〜D10の粘着層(第2の粘着層)は、パターン層フィルムに対する粘着力が、下記の表4に示されるものであった。さらに、これらの粘着フィルムD1〜D10の粘着層と基材との剥離力(第2の粘着層と保護フィルムとの粘着力)は、5N/25mm以上であった。
【0065】
次いで、実施例1と同様に、保護フィルム側から第1の粘着層まで打ち抜き加工によりハーフカット加工を行い、その後、パターン層を含まない不要部位を長尺剥離フィルム上から除去し、長尺剥離フィルム(粘着フィルムDの基材)を内側として巻き回して、10種のパターン構造層付き長尺体(長尺体D1〜D10)を作製した。
このように作製された10種のパターン構造層付き長尺体(長尺体D1〜D10)の各パターン構造層におけるマーク間距離を測定し、上記のマーク間距離の設定値との差を求めたところ、寸法差は±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。
【0066】
<パターン構造層の貼り合せ>
上記のように作製した10種のパターン構造層付き長尺体(長尺体D1〜D10)を使用して以下のようにパターン構造層を被貼着体に貼り合せた。すなわち、パターン構造層付き長尺体を巻取り状態から繰り出し、所望のパターン構造層から第2の粘着層および保護フィルムを剥離し除去した。この剥離除去は、パターン構造層の保護フィルムに貼合装置の定盤を押し当て、エアー吸着により吸引保持し、この状態で長尺剥離フィルムと定盤とを離間することにより行った。これにより、第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルムの順に積層されたパターン構造層が長尺剥離フィルム上に剥離可能な状態とした。
次に、第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルムの順に積層された上記のパターン構造層のパターン層フィルムを上定盤に保持し、長尺剥離フィルムからパターン構造層を分離して保持した。上定盤によるパターン層フィルムの保持は、エアー吸着による吸引保持とした。
【0067】
また、被貼着体として、実施例1と同様の電子ペーパーを準備し、この被貼着体を貼合装置の下定盤に吸引保持し、その後、被貼着体の位置合せ用のマークと、上定盤に保持されているパターン構造層の位置合せ用のマークとを一致させるように、上定盤と下定盤とを相対的に移動させて位置合せを行った。この位置合せは、上定盤の外側に配設したカメラにより位置合せ用のマークを読み取ることにより行った。
次に、真空環境下でパターン構造層の第1の粘着層と被貼着体とを当接して、被貼着体へのパターン構造層の貼り合せを行った。
以上の工程によるパターン構造層の貼り合せを行って、10種の貼り合せ体(試料D1〜D10)を作製した。
【0068】
<評 価>
これらの10種の貼り合せ体(試料D1〜D10)について、被貼着体の位置合せ用マークのマーク間距離と、この位置合せ用のマークに対応したパターン構造層の位置合せ用マークのマーク間距離とを測定し、両者の寸法差を算出した結果、10種の貼り合せ体(試料D1〜D10)のいずれも、寸法差が±0.01%(100mmの基準寸法に対するズレ量が±10μm)以内であった。したがって、本発明の貼り合せ方法は、高い精度の貼り合せが可能であることが確認された。
【0069】
また、10種の貼り合せ体(試料D1〜D10)について、保護フィルムをパターン構造層のパターン層フィルムから剥離したときの状態を観察し、下記の判定基準で判定して結果を下記の表4に示した。
(判定基準)
◎ : パターン層フィルムに第2の粘着層が残存せず剥離性が極めて良好
○ : パターン層フィルムに第2の粘着層が若干残存するも剥離性は良好
× : 剥離が困難であり剥離性が悪い
【0070】
【表4】

表4の結果から、パターン層フィルムに対する第2の粘着層の粘着力の設定において、2N/25mm以下、好ましくは1N/25mm以下とすることが一つの指標となることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0071】
長尺のフレキシブル基材にパターンを形成し、さらに、このパターンを他の長尺フィルムや部材と貼り合せる工程を有する製品の製造に有用である。
【符号の説明】
【0072】
1,1′,21…パターン構造層付き長尺体
2,22…長尺剥離フィルム
3,23…パターン構造層
11,31…第1の粘着層
12,32…パターン層
13,33…パターン層フィルム
14,34…第2の粘着層
15,35…保護層
41,61…上定盤
42,62…下定盤
51,71…被貼着体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺剥離フィルムと、該長尺剥離フィルムの一方の面に、長尺剥離フィルムの長さ方向に沿って複数のパターン構造層を相互に独立して有し、
前記パターン構造層は、前記長尺剥離フィルム側から第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルム、第2の粘着層、保護フィルムの順に積層された積層体であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層とが剥離可能であり、パターン層フィルムと第2の粘着層とが剥離可能であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層との粘着力は、パターン層フィルムと第2の粘着層との粘着力よりも小さいことを特徴とするパターン構造層付き長尺体。
【請求項2】
前記パターン層は、アライメントマークを有することを特徴とする請求項1に記載のパターン構造層付き長尺体。
【請求項3】
前記第1の粘着層の全光線透過率は、80%以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン構造層付き長尺体。
【請求項4】
前記第1の粘着層の前記長尺剥離フィルムに対する粘着力は、0.01〜1N/25mmの範囲であり、前記第2の粘着層の前記パターン層フィルムに対する粘着力は、2N/25mm以下であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のパターン構造層付き長尺体。
【請求項5】
長尺剥離フィルムと、該長尺剥離フィルムの一方の面に、長尺剥離フィルムの長さ方向に沿って複数のパターン構造層を相互に独立して有し、
前記パターン構造層は、前記長尺剥離フィルム側から第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルム、第2の粘着層、保護フィルムの順に積層された積層体であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層とが剥離可能であり、パターン層フィルムと第2の粘着層とが剥離可能であり、長尺剥離フィルムと第1の粘着層との粘着力は、パターン層フィルムと第2の粘着層との粘着力よりも大きいことを特徴とするパターン構造層付き長尺体。
【請求項6】
前記パターン層は、アライメントマークを有することを特徴とする請求項5に記載のパターン構造層付き長尺体。
【請求項7】
前記第1の粘着層の全光線透過率は、80%以上であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のパターン構造層付き長尺体。
【請求項8】
前記第1の粘着層の前記長尺剥離フィルムに対する粘着力は、1〜10N/25mmの範囲であり、前記第2の粘着層の前記パターン層フィルムに対する粘着力は、2N/25mm以下であることを特徴とする請求項5乃至請求項7のいずれかに記載のパターン構造層付き長尺体。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のパターン構造層付き長尺体の前記長尺剥離フィルムから前記パターン構造層を剥離して保持する工程と、
保持した該パターン構造層と被貼着体とを位置合わせする工程と、
前記パターン構造層の第1の粘着層と前記被貼着体とを当接する工程と、を有することを特徴とするパターン構造層の貼り合せ方法。
【請求項10】
前記第1の粘着層の前記被粘着体に対する粘着力が2N/25mm以上であり、第2の粘着層の前記パターン層フィルムに対する粘着力が2N/25mm以下であり、かつ、前記第1の粘着層の前記被粘着体に対する粘着力よりも小さいパターン構造層付き長尺体を使用することを特徴とする請求項9に記載のパターン構造層の貼り合せ方法。
【請求項11】
請求項5乃至請求項8のいずれかに記載のパターン構造層付き長尺体の前記パターン構造層から第2の粘着層および保護フィルムを剥離し除去する工程と、
前記長尺剥離フィルムから第1の粘着層、パターン層、パターン層フィルムの順に積層されたパターン構造体を分離して保持する工程と、
保持した該パターン構造層と被貼着体とを位置合わせする工程と、
前記パターン構造層の第1の粘着層と前記被貼着体とを当接する工程と、を有することを特徴とするパターン構造層の貼り合せ方法。
【請求項12】
前記第1の粘着層の前記被粘着体に対する粘着力が2N/25mm以上であるパターン構造層付き長尺体を使用することを特徴とする請求項11に記載のパターン構造層の貼り合せ方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−218352(P2012−218352A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88158(P2011−88158)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】