説明

パターン照合に基づき印刷された文書の品質を制御するための方法

銀行券及び他の同様の証書のような印刷された文書(1)の品質を、前記印刷された文書の一部の面のみが検査のために利用できる環境において制御するための方法が記載され、当該方法が、(i)参照画像(6)を記憶するステップと;(ii)制御のためにサンプル印刷された文書のサンプル画像(5)を取得するステップであって、前記サンプル画像が前記サンプル印刷された文書の限られた部分だけをカバーするステップと;(iii)前記取得されたサンプル画像内の検索パターン(7)を選択するステップと;(iv)前記選択された検索パターン(7)との照合のために前記参照画像(6)を検索するステップと;(v)前記サンプル画像(5)内、及び、前記参照画像(6)内の前記検索パターン(7)の位置と関連付けられる制御パラメータを決定するステップと;(vi)前記サンプル画像(5)内の前記検索パターン(7)の位置と関連付けられる前記制御パラメータと、前記参照画像(6)内の前記検索パターン(7)の位置と関連付けられる前記制御パラメータとを比較するステップと;(vii)前記制御パラメータの比較ステップの結果に基づいて、前記サンプル印刷された文書を認容あるいは拒絶するステップと;を具えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的にはパターン照合技術に基づき印刷された文書の品質を制御するための方法、特に、銀行券や、パスポート、ID証明書、小切手等のようなセキュリティ文書の品質を制御するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
銀行券及び他の同様の証書の印刷品質を制御することは当該技術分野において公知である。
【0003】
従来技術においては、書類上の印刷品質、特に証券用紙の印刷品質を点検する場合、点検すべき画像をキャプチャするための1又はそれ以上の白黒あるいはカラーカメラを具える電子工学的な自動点検手段が用いられている。これらの画像はマトリクス、特に矩形マトリクスからなり、(点検される材料の一側面が点検される反射点検において)点検される材料によって反射される、あるいは(点検される材料の透過特性が点検される透過点検において)点検される材料を通って透過される光の品質を示す画素値を具えている。言い換えると、画像は複数の画素に細分され、各々が点検される材料の対応する局所領域によって反射又は透過される光を示す濃度測定値を有している。画像に関連する画素数は、カメラの解像度の関数である。モノクロ(白黒)のシステムにおいては、画像は単一マトリクスによって記述されるが、多彩色のシステムにおいては、画像は通常、用いられる色チャネルと同数のマトリクスによって記述される。通常、RGB(赤、緑、青)型については、3つの色チャネルが用いられる。この型の自動点検を行うのに用いられる手順は、以下の方法に基づいている。
【0004】
認容可能と見なされる1セットのシートから、認容可能な印刷品質のモデルが構築される。様々な技術がこのモデルを構築するのに用いられる。例えば、認容可能と見なされる1セットのシートから、平均的な画像、すなわち、各画素が1セットの試験シートで得られる平均と関連付けるマトリクスによって記述された画像が算出される。
【0005】
別の手順は各画素を2つの値に関連付けている。一方は1セットの試験シートで得られた最小値であり、他方は最大値である。このように各画素のために、2のマトリクスが用いられ、一方が最小値を有し、他方が最大値を有する。当然、画像が多彩色画像である場合、色チャネルごとに2のマトリクスが得られる。
【0006】
上述の手順は特に、欧州特許出願番号EP0527285及びEP0540833に開示されている(US5,317,390とUS5,384,859に対応する)。
【0007】
点検すべき画像を生成する場合、点検すべき画像の各画素は、このようにして得られたモデルの画素と比較される。その差が所定の閾値を超えるか、最小乃至最大範囲外にある場合、画素は印刷欠損を有すると見なされる。最終的には、欠損画素の全数が、画像が拒絶されるか否かを決定する。
【0008】
更に正確には、US5,317,390によると、印刷担体上に印刷された印刷画像の品質を判断するための手順は、判定すべき印刷画像を事前設定した寸法の多数の画像画素素子に分割するステップと、前記画像画素素子の各々に対する公称インク密度値を決定し、参照画像記憶装置にこのような公称インク密度値を記憶するステップと、認容すべきと判断された多数の印刷試験画像から、前記画像画素素子に対する実際の試験インク密度値を決定するステップと、前記実際の値から、前記画像画素素子の各々に対する最大認容インク密度値(FD MAX)と最小認容インク密度値(FD MIN)とを取得して、各々の前記画像画素素子に対するインク密度許容範囲を提供するステップと、前記画像画素素子の各々に対する前記記憶された公称インク密度値に、最大及び最小認容インク密度値FD MAX及びFD MINに対応する誤差許容範囲を割り当てるステップと、判断すべき印刷画像のために、各画像画素素子に対する実際のインク密度値を測定するステップと、各画像画素素子に対する前記測定されたインク密度値を、前記記憶された公称インク密度値及び誤差許容範囲と比較して、判断すべき印刷画像の品質を決定するステップと、を具えている。
【0009】
US5,384,859によると、画像の品質制御のための方法は、点検すべき印刷画像内で、その各々が画像パターンを包含する複数の個別の画像素子を規定するステップと、前記複数の個別の画像素子を取り込むマスタ印刷された画像を記憶するステップであって、この記憶されたマスタ画像が各画像素子のために、記憶された公称パターン値を具えるステップと、各画像素子の公称パターン値に対する認容可能な許容範囲を記憶して、各々の前記画像素子に対する最小及び最大許容パターン値を提供するステップと、印刷画像の個別の画像素子を測定して、個別に測定したパターン値を取得するステップと、前記個別に測定されたパターン値と、対応する許容可能な最大及び最小の記憶パターン値とを比較して、前記印刷画像内の誤差を決定するステップとを具えている。
【0010】
有価証券、銀行券、切手等のような特定の型の有価印刷物を製造する場合、その画像はオフセット、インタグリオ等のような様々な印刷技術を用いて印刷される。これらの様々な型の印刷技術はそれと同数の印刷段階を構成する。標準的な印刷方法においては、紙は第1段階でまず印刷システムを通過して、第1の図を印刷し、次いで紙は第2の印刷段階で、第2の図が紙上に印刷されるのを可能にする第2の印刷システムを通過する。この場合において、印刷品質の問題から離れて、固有の相対レジスタに異なる段階の図を書き込むことの問題が更にある。異なる段階で印刷される図の場合、この方法で印刷される2つの画像間に偏差が存在することがこの理由である。いくつかの画素に達するこれらの偏差は、紙の移動方向又は垂直方向のいずれかにある。この場合において、印刷段階間での調整不良又は不完全な記録の結果、大きく変化する値が同一の画素と関連付けられるため、上述の技術を用いることによって所望の印刷品質を示すモデルを抽出することはほとんど不可能である。
【0011】
この場合においては、各印刷段階に対するモデルを構成することが提唱されてきた。このようにするために、各々の印刷段階のうちの1つでのみ印刷された複数セットのシートが、1セットの試験シートに含まれている。上述の手順と同様の手順を用いて、モデルが各印刷段階用に構成される。これらのモデルの準備段階中に、操作者は、単一の印刷段階だけあるいは実質的に単一の印刷段階だけを具える画像部分を同定している。
【0012】
製造時において、最初に印刷段階間の相対的な調整不良が、モデルの準備中に同定された画素を用いることによって測定される。
【0013】
次いで、モデルが結合され、その配置が点検すべき画像中の図の配置に対応する単一の参照モデルを得るために、様々な段階がシートに連続印刷される方法を考慮に入れる。次いで、各画像がこのように製造されたモデルと比較される。この既知の手段は、各々の生産単位に対して印刷段階と同数の、所望の印刷品質を示すシートのセットを印刷することが必要であるため、複雑であり、特に印刷機にとってコストがかかる。
【0014】
他の既知の方法は例えば、EP0730959(US5,778,088に対応)、EP0734863、及びEP0985531(US6,665,424に対応)に開示されている。EP0730959は、電子的手段によって参照モデルを生成するための手段を開示し、特に証券用紙について、紙上の画像の印刷品質を自動点検するために用いられることを意図し、前記画像は少なくとも2の別個の印刷段階で印刷された図で構成され、前記手順は下記のステップを具えている。
a.長期の印刷実行のために用いられる手段と手順によって完全に印刷される、1セットの画像(試験シート)が準備される。
b.前記画像が配置されて、第1の段階で印刷された前記画像の図がレジスタ内にあるようにする。
c.画像がレジスタ内にある間に画像が記録され、前記画像を構成する画素の濃度測定値がメモリ内に記憶される。
d.セットの画像の各画素位置に対するセットの画像総てから得られる最小値が第1の印刷段階モデルの各画素と関連付けられて、前記第1の印刷段階で印刷された図のモデルがこのようにして形成される。
e.その後、画像が配置され、別の印刷段階で印刷される図がレジスタに置かれ、ステップcとdは総ての図が別個の印刷段階で印刷されるように繰り返される。
f.このようにして得られたモデルが、点検すべき紙上の最終生成された画像の参照モデルを形成するために再結合され、各々の個別の試験シートは点検すべき紙上の最終生成画像と同一の型及び数の印刷段階を受ける。
【0015】
次いで、印刷されたシートの品質制御は得られたシートと参照モデルとの比較によって、例えば、印刷されたシートから得られた各画素値と対応する参照画像の画素値とを比較することによって実行される。得られた画素値が参照画像の画素値の所定範囲内にある場合、制御されたシートは認容され、そうでない場合は拒絶される。
【0016】
制御方法の別の実施例がEP0734863に開示されている。この公報においては、制御方法は印刷された画像を点検し、調整不良を測定できるユニットにキャプチャされた画像を通すカメラの前に、印刷された画像を担持する紙のシートを通すステップを含んでいる。調整不良の測定値は許容可能な調整不良を有する総ての画素モデルを含むメモリに送信され、最も近くに測定値を照合するモデルが選択され、比較器へ送信される。比較器はカメラによってキャプチャされた後の画像と、自動画像制御をこのように確立する選択された画素モデルとを比較する。
【0017】
電子工学的手段によって生成するための方法の更なる例は、変形可能な対象上の印刷品質を自動的に点検するためのモデルが、EP0985531に与えられている。モデルは印刷品質が許容可能であるとみなされる1セットのシートを電子カメラ(例えばCCD)でキャプチャすることによって最初に生成され、画像は相対的な濃度測定値の許容限界と共に、第1の参照画像を生成するために記憶される。この参照画像はその後非常に小さなメッシュセルを有する格子を重畳することによって、多数の副画像に分割される。点検中、格子のノード間の距離が測定すべき画像上で測定され、これによって、モデルの弾性変化を生成し、ノード間の距離が点検すべき画像内と同一になるようにしている。点検すべき画像はこのようにして、いずれかの標準的な点検技術を用いることによって変形される参照(モデル)に対し検証される。
【0018】
製造中の銀行券の印刷品質を制御するための方法及び装置の更に別の実施例は、欧州特許出願番号 EP0582548Aに開示されている。この文献はサンプルのいくつかの空間的に分離された領域を示すデータを取得するためのデータ取得段階を具える画像処理装置を開示している。装置は更に、サンプルデータに対応する参照データ、すなわち参照シートの画像を記憶するためのデータ記憶手段を具えている。その2セットのデータが編集、分析されて、サンプルが公称位置からシフトされているかどうかを決定する。
【0019】
銀行券のような印刷物で実行される別の制御型がUS3,412,993に述べられ、印刷後、銀行券は光電子工学的に点検されて、印刷が銀行券上に正確に中央配置されているかどうかを決定している。操作者はシート状態である間に任意の不完全に呈色した銀行券を最初に標識し、後のカッティング、スタッキング及び計数の後に、銀行券は各々が銀行券の両側を点検する2の検出システムの前に、ローラあるいはベルトコンベヤによって進む。第1の検出システムは光学的に、あるいは標識インクの磁気的あるいは電気的特性によって、過去に塗布された色を感知し、第2の光電性システムが印刷の中央配置をモニタする。不完全な銀行券は通し番号を与える前に廃棄され、あるいは既に印刷されている場合、完全なものに置換される。更なる計数が最終包装前に行われる。正確な中央配置が、1の輪郭に沿った2の特異点で、及び、隣接する輪郭に沿った一点で、印刷を囲む平面境界の幅を測定することによって決定される。ある配置においては、銀行券は検出装置に関連するコンベヤあるいはローラ上に正確に整列されなければならず、移動方向に横向きの長い方の輪郭を用いて配列される。2の光ビームが銀行券の経路を横切る空間位置でコンベヤ上に向けられ、反射光を受ける関連する電子倍増管と共に、銀行券が通る際に長い方の輪郭に沿った境界の通過に合わせ、そのようにして、2点での幅の測定を提供する。動作の方向と平行に延在する、隣接する輪郭に沿った境界の幅は、境界をスキャンし、銀行券の先導輪郭が検出された後に特定時に読取りが行われる振動する光電装置によって測定される。幅を表す電気信号は、標準的な電気信号と比較されて、銀行券が認容可能などうかを決定する。
【0020】
当該技術分野で印刷された画像を参照画像と比較するのに用いられる方法は、パターン照合と呼ばれている。この方法においては、参照画像内の参照パターンを決定し、次いで、点検される印刷のサンプル画像内の前記所定の参照パターンを探し、これによって、点検される印刷の検索領域内での参照パターンの総ての可能な位置変化が照合のために比較される。このことは(i)参照パターンがサンプル画像においてロバストに同定されるほど十分に固有でなければならないことと、(ii)検索領域が参照パターンの総ての期待される位置変化を見つけることができる程度に参照パターンより十分に大きくなければならないこととの双方を示している。この分野に関する従来技術の刊行物の例は、「“Digital Image Processing”,Gonzalez/Woods,Addison Wesley,page 583(ISBN 0−201−50803−6)」である。
【0021】
特に、パターン照合を実行するために、既知の方法が用いられうる。この方法は主にテンプレートが処理されるオフライン学習段階と、リアルタイムで実行可能な照合段階という2つの段階を含んでいる。パターン照合の学習段階は、有効な照合性能のために活用できる特徴を見つけるためにテンプレート画像を分析するステップを具えている。照合段階は、学習段階からの情報を用いて、可能な限りの不必要な計算を除去している。
【0022】
一般的に用いられうる照合アルゴリズムは、ユーザが、シフト不変照合(検索画像内の任意の位置でテンプレートをみつける)を指定したか、又は、回転不変照合(検索画像内の任意の位置及び回転でテンプレートをみつける)を指定したかに依存している。双方とも2通りの処理である。
【0023】
シフト不変照合
第1の経路はテンプレート画像から疑似乱数的にサンプリングされた画素のみを用いる相関である。安定化分析の結果を用いて、検索画像中のどの程度の数の位置が重要な特徴を逸することなく省くことができるかを決定する。例えば、副次的にサンプリングされた画素の総てが3×3の区画で安定していると分かっている場合、照合アルゴリズム各行及び列での3の相関のうち2を省くことができるが、照合が検出されることを未だ保証している。このことにより、9の因子によって要求される計算数を低減する。第1の経路は粗い位置情報との多数の候補照合を生成する。
【0024】
第2の経路は、第1の経路で同定された候補上で操作するだけである。学習段階の輪郭検出結果を用いて、各照合の位置を微調整し、評点がその位置での相関結果に基づいて各々のために生成される。ユーザに提供される評点の閾値は、どの候補が照合として返されるかを決定する。
【0025】
回転不変照合
第1の経路は学習段階からの回転強度特性を用いて、画像全体のその特性のシフト版を検索する。ユーザは許容可能な回転範囲を入力して(角度で)、この経路で要求される計算の数を低減できる。いくつかの候補照合はこの経路で同定される。
【0026】
第2の経路は疑似乱数的にサンプリングされた画素を用いて、総ての候補との相関を行っている。評点は各候補が照合として分類すべきか否かを決定するように生成される。
【0027】
照合させるべきテンプレートの選択は、パターン照合アルゴリズムの速度及び精度に大きな影響を及ぼす。以下のような、いくつかの一般的な知見が存在する:
−)テンプレートは特定の方向で固有に同定されうるほど十分に非対称にすべきである。
−)複雑なテンプレートは非常に簡単なものよりも照合に時間がかかるであろう。しかしながら、テンプレートがパターンを固有に同定及び正確に配置するほどの詳細さを含むことを保証しなければならない。
−)テンプレートは画像中の空間位置を固定するのに十分な細部を含むべきである。このようにするために、垂直方向及び水平方向の特徴の双方を含む必要がある。
−)ボード内のドット及び孔のような簡単な特徴を配置しようとする場合、テンプレートは画像中の同様のものからその特定の特徴を区別する背景情報を含むほど大きくすべきである。
【0028】
米国特許出願番号2003/0194136A1は、既知のパターン照合技術及び画像処理装置の例を開示して、前記技術を実行している。この装置はサンプル印刷された文書から得られた画像データ内の特定パターンに似たパターンを検出及び抽出し、以前に確立された抽出パターンと参照パターンとの間の類似点の度合を算出するのに適用される。開示された装置はコピーを企図した際に紙幣を検出し、コピーするプロセスを完了するのを防止する。この出願によると、サンプル印刷された文書の全表面は、画像取得装置にアクセス可能である。米国特許出願番号2003/0194136A1によると、画像データ中の特定パターンの検出は、特定寸法のマスクを用いて、例えば、符号、図等のような検出すべき各特定パターンとの可能な照合となるパターン用の画像の領域をチェックして実行される。可能な照合が検出される場合、パターンの参照位置が特定され、データが更に特定パターンを抽出し、このパターンと事前に規定された参照パターンと照合し続けるために送信される。
【0029】
米国特許出願番号2003/0194136A1に述べられている解決は、試験すべきサンプル印刷された文書の全表面が点検に利用可能であるアプリケーション環境で適用できるであろう。しかしながら、このような解決は印刷された文書の限られた表面部分のみが検出に利用可能である場合のアプリケーションについては不十分である。
【0030】
同様のアプローチ及び装置が欧州特許出願EP0382549A2に述べられている。このケースでは更に、サンプル印刷された証書(例えば、銀行券)の全表面が点検のために利用可能である。従って、この解決は印刷された文書の限られた表面部分のみが検出に利用可能である場合のアプリケーションについては更に不相応である。
【0031】
銀行券及び同様の商品の製造とリンクされた別の分野は、商品の計数ステップを含んでいる。一般的には銀行券の分野において、束の形態で積み重ねられた特定多数の個別の紙幣を製造し、個別の紙幣へのシートの切断後に包装される。各パイル内にある紙幣を計数して、各束及び包装が所定数の紙幣を具えるように制御することは重要である。
【0032】
公知の計数装置はEP0737936に開示され、その内容は本出願に引用によって取り込まれている。この装置はシート又は紙幣のスタックのような、スタック内に配列されたシート用の担体を計数するための計数ディスクを具えている。特に、計数ディスクはその境界に配置された環状の断面を具え、各環状断面は縦に配置された吸入開口部が配置される吸入内空を有している。計数ディスクの回転と同時に、前記吸入開口部は吸気源と断続的に連結され、その結果、スタック(例えば、銀行券のスタック)の隅が順々に吸気を受け、変形され、担体の残りから分離され、生成された空気式計数パルスによって計数される。吸気は、吸気開口部内に開けられた断面が、計数ディスクの平面に対して垂直に向けられた管を介して吸入開口部に供給される。最終的に、生成されるパルスの数が計数されるシート用の担体の数に対応する。
【0033】
この計数装置の進展は、国際出願WO01/14111に開示され、その内容は本出願に引用によって取り込まれている。この進展において、EP0737936の技術に基づき回転ディスクを用いた重ねられた担体の計数に加え、前記ディスクは、計数された担体上に印刷されたパターンの位置を決定して、上に引用されたUS3,412,993に開示されたものと比較可能なチェックを実行する、すなわち、いわゆるプリント&カット(Print−to−Cut)レジスタを制御するための更なる手段を具えている。国際出願WO01/14111の考えは、計数動作中に計数された担体の輪郭と前記担体上の印刷された画像との間の距離の同時制御を可能にする計数装置上の手段を提供することである。実際に、カッティング動作後に、生じた担体の輪郭とその上に印刷されたパターンとの間の所定の距離は、一定あるいは少なくともある所定の限界内となる。国際出願WO01/14111に開示された光学システムは、反射測定による、担体の2つの輪郭に対する前記距離の計数動作中の決定を可能にする。
【0034】
この2つの動作(計数及び距離測定)の組合せが、所望の品質要求に合致する担体を生成するのに必要な時間を減ずるのを可能にするため、有利である。
【0035】
上述のように、紙の輪郭と比較した、あるいは2の異なる印刷プロセス間で、紙の上の印刷位置を測定することは時として重要である。1の例は生成プロセス中の、銀行券上の印刷に対する切断された紙の位置の測定(いわゆるプリント&カット又はプリント&エッジレジスタ)である。通常は従来技術のように、所得された画像中の固有のパターンを検索し、印刷位置そのものの正確な測定をしている。
【0036】
既述したように、合致すべき条件は検索領域が検索パターンより大きくなければならず、総ての期待される位置変化をカバーすることが分かるという事実である。
【0037】
いくつかの機会環境内の限られた利用可能な空間のため、印刷又はペーパシートの非常に小さな検査領域にアクセスすることが時として可能なだけである。従って、印刷の小さな部分のみを見て、標準印刷プロセスの変化が検査領域の寸法より大きい場合、選択された参照あるいは検索パターンは検査領域から見えなくなるように、その位置内で変化する。このケースにおいては、参照又は検索パターンが従来技術の方法によって教示されるように参照画像内で選択された場合、上述のように(US2003/0194136A1及びEP0382549に述べたように)共通のパターン照合方法を用いることは不可能であり、新しいアプローチを見つけることが必要である。この問題は国際出願WO01/14111の装置において一般的に提示されているが、このような問題は点検すべき小さな印刷部分が検査される場合に、別のアプリケーションでも生じる。
【発明の概要】
【0038】
本発明の目的は、既知の方法及び装置を改良することである。
【0039】
特に、本発明の目的は既知の方法の限界を克服する方法、すなわち、印刷された文書の表面の一部分のみが点検のために利用可能な環境におけるアプリケーションに適する方法を提供することである。
【0040】
これらの目的は請求項で規定される方法によって得られる。
【0041】
特に、本発明の発明概念は以下のように要約できる:所定の参照パターンを用いること、及び印刷が制御されたことから得られたサンプル画像内のこのパターンを検索することよりも、参照パターン、又はより正確には検索パターンはサンプル画像自体から派生し、この検索パターンは各サンプル画像について異なっていることは理解される。
【0042】
品質要求に合致すると見なされる印刷の参照画像、あるいは、サンプル画像よりも大きな寸法を有する参照画像として規定された画像が、サンプル画像を得るために用いられた取得システムと異なる光学取得システムを用いて、このような参照画像を得ることによって好ましくは、規定及び記憶される。一般的には、参照画像はスキャナあるいは別の同様の取得システムを用いて取得できる。重要なのは、このシステムによって得られる画像がサンプル画像より大きくて、検索パターンの総ての可能な変化をカバーすることである。
【0043】
代替的な実施例においては、いくつかのサンプル画像を組み立てて、参照画像を形成することによって構築できる。このことは参照が構築される間の学習プロセスを示し、サンプル画像が異なることを更に示している。
【0044】
次いで、検索パターンは照合を見つけ、ひいては参照画像内の検索パターンの位置を決定するために参照画像と相関付けられる。更にサンプル画像内の検索パターンの位置が決定され、それが参照画像内の照合の位置となる。双方の位置が次いで比較され、システムは次いでサンプル画像用の値が確立された基準(例えば、所定の範囲内になる)に照合して、点検された文書を認容か拒絶するかどうかを決定できる。
【0045】
本方法の一般的及び好ましいアプリケーションはプリント&カットレジスタ制御を行うために国際出願WO01/14111に開示されるシステムの中にある。当然ながら、他のアプリケーションはプリント&プリントレジスタ制御を実行するために想定できる。
【0046】
本出願による方法は、取得されるサンプル画像が参照画像に対し小さい場合の任意のアプリケーションに拡張できることは簡単に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
本発明の他の特徴及び利点は、制限されない例によってのみ示され、添付の図によって例示された本発明の実施例の以下の詳細な記載を読むことによって、よりはっきりと分かるであろう。
【0048】
【図1】図1は、本発明の方法が適用された印刷文書の模式図である。
【図2】図2は、図1の印刷された文書の表面の小片から得られるサンプル画像の例である。
【図3】図3は、本発明による方法の実施例のフローチャートである。
【図4】図4は、プリント&カットレジスタ制御を実行するための図3のパターン照合方法の結果の例示的な図である。
【図5】図5は、参照画像内の検索パターンの位置の可能性のある変化の模式例の図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は銀行券のいわゆる「プリント&カットレジスタ」又は「プリント&エッジレジスタ」の制御、すなわち、銀行券の切断輪郭に対する銀行券上のインプリントの位置の制御のコンテキストにおいて、以下に記載されている。更に正確には本発明は、銀行券のプリント&カットレジスタ制御を行うと同時に、1の銀行券のパイルあるいは束(1束は一般的には100の銀行券を具えている)内のこのような銀行券の数の計数を行う制御システムのコンテキストにおいて記載され、制御システムは全体的に引用によってここに取り込まれている国際出願WO01/14111から、このようなものとして知られている。しかしながら、本発明は広範囲のアプリケーションを有し、銀行券のプリント&カットレジスタ制御に限定されたものではないものと考えるべきである。まず第1に、本発明はプリント&プリントレジスタ制御、すなわち、別個の印刷段階の間に印刷されるインプリントの相対位置の制御に適用できる。更に、本発明は銀行券の品質制御に限定されず、パスポート、IDカード等のような他のセキュリティ文書、あるいは、一般の均一に印刷される文書に適用できる。
【0050】
図1は「ジュール・ベルヌ」の肖像を有する印刷された銀行券1の見本画像を示している(「ジュール・ベルヌの見本」という)。本実施例においては、プリント&カットレジスタの品質制御は銀行券1の一隅、すなわち、参照番号2によって示された図1の上側右隅で行われる。2の平行曲線3、4が図1の銀行券1の隅2上に模式的に示されている。これらの平行曲線3、4は、WO01/14111に記載の統合光学システムでの計数ディスクによる複数の重ねられた銀行券1の計数時に、隅2の表面を通過する小さな光感知装置(図示せず)の移動経路を模式的に示している。本例は限定されず、例示の目的のために与えられたのみである。
【0051】
光感知システムがサンプル印刷された文書の限定部分、すなわち曲線3、4間の銀行券1の隅2の領域の画像(以降、「サンプル画像」という)を取得するだけであるということが分かるであろう。参照番号5によって示された、生じたサンプル画像の例は図2に示されている。複数の重ねられた銀行券が計数ディスクによって計数された場合のここに記載のコンテキストにおいて、取得されたサンプル画像5は特に位置及びおそらくは方向に対して、1の銀行券から次のものに変更される。更に正確には、各銀行券1の隅2に対する光学システムの移動経路の実際の位置(曲線3、4によって示されるように)は、各々の処理された銀行券の隅が計数ディスクとかなり異なる方法で連携するという事実によって、1の処理された銀行券から次のものに変更される。
【0052】
本実施例において、取得されたサンプル画像5は、ライン3、4の間の小片の銀行券のみをカバーし、画像の高さは数ミリ程度である(例えば、1.4mm、36ピクセル)。このコンテキストにおいて、小片はとても小さいため、同一の取得システムによって得られた別のサンプル画像5は銀行券1の隅2の完全に異なる部分をカバーでき、従って完全に異なる画素情報をカバーできる。更に、2の点検される銀行券の間の取得されたサンプル画像5の高さ以上の印刷又は切断位置にある偏差は完全に異なるサンプル画像5を導くことは理解されるであろう。従ってプリアンブルで述べたように、従来技術のパターン照合方法を適用することは不可能であり、これによって、所定の参照パターンがサンプル画像内で全然見ることができない場合に、得られたサンプル画像と照合するように参照画像内で選択される。新しいアプローチが必要であり、このアプローチが以下に述べられている。
【0053】
図3は本発明による制御方法の実施例を示す模式的なフローチャートである。ステップS1では、サンプル画像5(すなわち、点検される文書の局所領域の画像)が光学取得システムによって得られる。本実施例においては、サンプル画像5は選択的にステップS2、S3及びS4で事前処理される。更に正確には、これらの事前処理ステップは、ステップS2でのサンプル画像5にある濃淡効果の相関(濃淡効果は図2に示されたサンプル画像の外側領域において明らかである)、ステップ3でのサンプル画像のコントラストの調節(コントラストは図2で示したサンプル画像でも明らかなように、サンプル画像内で最適ではない)、及びサンプル画像5内のノイズにフィルタをかけるための、ステップS4でのローパスフィルタリング(特に、画像取得時の最適でない光条件による画像内にある量子ノイズ)を含んでいる。
【0054】
ステップS1乃至S4と並行して、参照画像がステップS10で記憶される。この参照画像が好ましくは、参照印刷された文書の少なくとも一部分のスキャン画像になる(すなわち、印刷された文書は所望の品質要求と合致する)。本実施例においては、点検(及び計数)が実行される場合に参照画像が銀行券1の隅2をカバーしている。参照画像は、十分に高解像度、例えば600dpiでのフラットベッドスキャナを用いてスキャンできる。参照画像は、取得したサンプル画像5に対するパラメータを調節するために事前処理ステップS11及びS12を受ける。更に正確には、サンプル画像5は取得処理によって歪みがあるため(すなわち、光学取得システムがたどる曲線経路のため)、参照経路は取得されたサンプル画像と実質的に同一の方向、寸法及び歪みを有するように、ステップ11で回転され、拡大縮小され、歪ませられる(参照番号6が事前処理された参照画像をを指示する図4の上側部分に示すように)。更に回転、拡大及び歪まされた参照画像はスキャン処理から生じたノイズを除去するために、ステップS12で同様にローパスフィルタをかけられる。
【0055】
事前処理S2乃至S4、S11及びS12の目的は参照画像6とサンプル画像5との間の最も実行可能な照合を保証することであり、すなわち、双方の画像が実質的に同一の濃淡、コントラスト、方向、寸法、歪み及び又はノイズレベルを有するようにすることであることは分かるであろう。他の事前処理は当然ながらサンプル画像が取得され、参照画像が規定される状況及び条件によって可能である。
【0056】
ステップS20では、検索パターンは取得され、及び選択的に事前処理されるサンプル画像で規定され選択される。図4はサンプル画像5で選択されたこの検索パターン7を示している。検索パターン7はサンプル画像5の所定の領域、すなわちサンプル画像5内の所定の位置及びサイズを有する領域にできる。検索パターン7の位置及びサイズは特にサンプル画像の利用可能なサイズと、文書上に実際に印刷されたパターン(このパターンはパターン認識が可能なほど固有なものでなければならない)と、パターン照合アルゴリズム自体とを含む異なる因子に対して選択すべきである。本実施例においては、例えば、銀行券の特徴付けられたパターン(この例においては、銀行券1の隅2に印刷されたペガサスの部分)が参照画像と十分にロバストにパターン照合を得るために配置された場合、サンプル画像の中心に実質的に配置された適切な画素サイズ(例えば、32×128画素)の検索パターンを選択するのに十分である。代替的な実施例においては、検索パターンは全サンプル画像となるように選択できる。
【0057】
検索パターン7が事前決定できる場合、検索パターンの実際の画素内容は、光学取得システムによってカバーされる領域に依存して1のサンプル画像から次のものに実際に変更されると考えるべきである。言い換えると、検索パターン7の内容は1のサンプル画像から他のものへと一定に変更されている。
【0058】
一度、検索パターン7がサンプル画像5内で選択された場合、参照画像6は検索パターン7との合致のために検索される。これは例えば、選択された検索パターン7との参照画像6のいわゆる相互相関を行う(例えば、「B.Jahne,Digital Image Processing,Springer,New York,2002」参照)ことによる、既知のパターン照合アルゴリズムによって行うことができる。実際にこのことは処理を示し、これにより、選択された検索パターン7のサイズを有する参照画像6内の総ての可能性のある領域は、検索パターンとの照合に対し比較される。このような相関結果は参照画像6内の領域の位置(x−任意、y−位置)の同定であり、その内容は選択された検索パターン7と最良に対応している。この領域は参照番号7’によって指定されたライトグレイ色の領域として図4の上方部分に模式的に示されている。
【0059】
例示の目的のために、図5は参照画像6内の検索パターンの位置の可能性のある変化(ライトグレイ色の領域として)を示している。既述のように、これらの変化は1の点検された銀行券から次のものに、取得されたサンプル画像の位置を一定に変化させる結果である。本発明の範囲内で、及び従来技術の照合技術と対比して、検索パターンが固定された規定を有するのではなく、変化可能であることが分かるであろう。それにもかかわらず、上述のアプローチのために、パターン照合が成功裏に実行できる。
【0060】
プリント&カットレジスタ制御のコンテキストにおいては、印刷されたパターンが文書の輪郭に対して適切に配置され、逆に切断された輪郭が印刷されたパターンに対して適切に配置されていることを検証することに関心が持たれる。本実施例においては、プリント&カットレジスタは、ステップS22、S23及びS24でサンプル画像5内の印刷された文書の輪郭に対する検索パターン7の実際の位置、及び、参照画像6内の印刷された文書の輪郭に対する検索パターン7’の位置を測定及び比較することによってチェックできる。この目的のために、印刷された文書の輪郭はサンプル画像5及び参照画像6内で検出される。このような輪郭検出は、文書の輪郭がサンプル及び参照画像の双方で、暗い背景から明白に識別できる場合、比較的簡単な方法で行うことができる。次いで、サンプル画像5及び参照画像6内の文書の輪郭に対する検索パターンの位置が決定できる。図4における距離d1及びd2はサンプル画像5内の文書の輪郭に対する検索パターン7の位置を示している。同様に、図4における距離d1’及びd2’は参照画像6内の文書の輪郭に対する検索パターン7’の位置を示している。 銀行券の隅2の画像が文書の輪郭に対して斜方で得られた場合、距離d1、d2及びd1’、d2’は文書の輪郭に対する検索パターンの正確な位置を明確に決定するのに十分である。別の実装においては、サンプル及び参照画像内の検索画像の位置についての更なる情報が必要となりうる。図3のフローチャートによると、ステップS22及びS23はそれぞれステップを指定して、サンプル画像内及び参照画像内の文書の輪郭に対する検索パターンの位置が決定され、ステップS24は最終ステップを指定し、これによってサンプル画像5内の検索パターンの位置が、参照画像6内の検索パターンの位置と比較されている。これらの位置が所定の許容範囲内で照合される場合、プリント&カットレジスタは適切であると見なされる。そうでない場合は、欠陥が操作者に対して通信され、適切な補正測定が得られるようにできる。
【0061】
図3のステップS22乃至S24はパターン照合技術が関連する限りにおいては同様に選択的であると考えるべきであり、これは図3において破線で示されている。
【0062】
プリント&プリントレジスタ制御のコンテキストにおいては、第1の印刷段階中に印刷される第1の印刷パターン(例えばオフセットパターン)は、第2の印刷段階中の印刷される第2の印刷パターン(例えば、印刷されたインテグリオパターン)に対して適切に配置される。この場合においては、双方の印刷パターンがサンプル画像内で可視である場合、これらのパターンの相対位置は上述と似た方法で、決定及び制御されうる。
【0063】
プリント&カットレジスタ制御が計数操作と同時に実行される上述の実施例に戻る。点検を実行するのに利用可能な時間が制限されることは考慮すべきである。銀行券の束は一般的に上下にスタックされた百枚の銀行券を具えている。更に、10束のパック(すなわち、千枚の銀行券)が通常形成される。千枚の銀行券のパック上で計数動作を実行するのに約5秒、すなわち、パック内の各銀行券のプリント&カットレジスタ制御を実行するのに、利用可能な時間フレームとなる銀行券ごとに5ミリ秒かかる。
【0064】
上述の制限を考慮すると、パターン照合アルゴリズムは、例えば刊行物「Messrs.Volker Lohweg,Carsten Diederichs,and Dietmar Muller,“Algorithms for Hardware−Based Pattern Recognition” EURASIP Journal on Applied Signal Processing,vol.2004,no.12,pp.1912−1920,2004」に教示されるように、画像の画素情報ではなく、むしろ画素情報のスペクトル変換に直接適用されるいわゆるファジーパターン識別を用いて好ましくは実装される。
【0065】
このコンテキストにおいては、様々な変換がスペクトル領域への変換を実行するのに想定されうるであろう。異なる非シヌソイド変換が例えば、ファジーパターン識別用のパターン発生器として動作するために適用され、過渡及び定常信号の分析に有用であるいわゆるGCT(Generalized Circular Transforms)を含んでいる(例えば、刊行物「Messrs.Volker Lohweg and Carsten Diederichs,“An Image−Processing−System−On−Chip Based on Nonlinear Generalized Circular Transform and Fuzzy Pattern Classification”,IEEE−EURASIP Workshop on Nonlinear Signal and Image Processing,Grado−Trieste,Italy,June 2003」を参照)。GCT変換のファミリ間では、矩形波変換(SWT)、GCTA1(Generalized Circular Transform A1)及びGCTp2(Generalized Circular Transform p2)が特に対象である。
【0066】
GCT変換に加えて、いわゆるウォルシュ・アダマール変換(WHT)が更に適用できるであろう(例えば、刊行物「Messrs.N.Ahmed,K.R.Rao and A.L.A.L.Abdussattar,“BIFORE or Hadamard Transform”,IEEE Transactions on Audio and Electroacoustic,vol.AU−19,pp.225−234,1971」参照)。WHT変換は時としてBIFORE変換(BInary FOurier REpresentation)と呼ばれる。
【0067】
従来の高速フーリエ変換(FFT)のような別の変換形式が想定されうる。
【0068】
ファジーパターン識別(FPC)は複雑なシステムをモデリングし、データを識別するのに非常に有用なアプローチである(例えば、刊行物「Messrs.S.F.Bocklisch and U.Priber,“A Parametric Fuzzy Pattern Classification Concept”,Proceedings of the International Workshop on Fuzzy Sets Applications,pp.147−156,March 3−8,1985,Eisenach,Akademie−Verlag,Berlin,Germany,1986」参照)。このアプローチは、他の識別器と比べて良い識別結果であるため、銀行券の点検に特に用いられた(刊行物「Messrs.Thomas Turke and Volker Lohweg,“Real−Time Image−Processing−System−On−Chip For Security Feature Detection and Classification”,Proceedings of IS&T/SPIE 16th Annual Symposium on Electronic Imaging,Vol.5297,pp.204−211,San Jose,CA,USA,January 2004」参照)。
【0069】
ハードウェア実装の観点から、変換(計算時間の主要部分を構成する−約90%)が50MHzのクロック速度を有するALTERA Strafix型(Altera,Digital Library of FPGA’s,San Jose,January 2006,www.altera.com)のようなプログラマブルゲート配列(FPGA)で有利に実装できる。
【0070】
当該技術分野の当業者に明白な様々な変更及び/又は改良が添付された請求項に規定された本発明の範囲から離れることなく以上に記載された実施例で為されうることは理解されるであろう。
【0071】
実際に、本発明は点検すべき印刷された文書の小さな部分のみの画像を取得できる任意のアプリケーションで用いることができることは明らかである。
【0072】
更に、代替的な実施例によると、パターン照合は1のものだけではなく、複数の検索パターンで実行できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銀行券及び他の同様の証書のような印刷された文書(1)の品質を、前記印刷された文書の一部の面のみが検査のために利用できる環境において制御するための方法であって、当該方法が、
参照画像(6)を記憶するステップと;
制御のためにサンプル印刷された文書のサンプル画像(5)を取得するステップであって、前記サンプル画像が前記サンプル印刷された文書の限られた部分だけをカバーするステップと;
前記取得されたサンプル画像内の検索パターン(7)を選択するステップと;
前記選択された検索パターン(7)との照合のために前記参照画像(6)を検索するステップと;
前記サンプル画像(5)内、及び、前記参照画像(6)内の前記検索パターン(7)の位置と関連付けられる制御パラメータを決定するステップと;
前記サンプル画像(5)内の前記検索パターン(7)の位置と関連付けられる前記制御パラメータと、前記参照画像(6)内の前記検索パターン(7)の位置と関連付けられる前記制御パラメータとを比較するステップと;
前記制御パラメータの比較ステップの結果に基づいて、前記サンプル印刷された文書を認容あるいは拒絶するステップと;
を具えることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、前記参照画像(6)が、所望の品質要求に適合する、参照印刷された文書のうちの少なくとも一部分のスキャン画像であることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、前記参照画像(6)が、所望の品質要求に適合する、いくつかの印刷された文書から構築される画像であることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の方法において、前記選択された検索パターン(7)との照合のために前記参照画像(6)を検索するステップが、パターン照合アルゴリズムを用いることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、前記パターン照合アルゴリズムが前記参照画像(6)と前記サンプル画像(5)とを相互相関させるステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の方法において、前記パターン照合アルゴリズムがファジーパターン識別(FPC)に基づくことを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項6に記載の方法において、前記ファジーパターン識別(FPC)が前記サンプル及び参照画像(5、6)からの画素情報のスペクトル変換で実行されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法が、前記参照画像(6)及び/又はサンプル画像(5)を事前処理するステップを更に具えることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載の方法において、前記事前処理ステップが、前記参照画像(6)及び/又はサンプル画像(5)の濃淡補正ステップ、コントラスト調整ステップ、回転ステップ、拡大縮小ステップ、歪みステップ及び/又はフィルタリングステップを具えて、双方の画像が同一の濃淡、コントラスト、方向、寸法、歪み、及び/又はノイズレベルを実質的に有するようにすることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法において、前記制御パラメータが前記サンプル及び参照画像(5、6)内で、前記印刷された文書(1)の端部と前記検索パターン(7)の位置との間の距離(d1、d2、d1’、d2’)を少なくとも具えることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法が、前記印刷された文書のプリント&カット(Print−to−Cut)レジスタを制御するために適用されることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法が、1パック又は1束のスタック印刷された文書内の、印刷された文書の数の計数を行うと同時に実行されることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法において、前記制御パラメータが、前記印刷された文書の製造プロセスの別個の印刷段階中に印刷される2の印刷パターン間の距離を少なくとも具えることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法が、前記サンプル画像(5)内の複数の検索パターン(7)を選択するステップと、前記複数の検索パターンとの照合のために前記参照画像(6)を検索するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法を実行するための検査システムにおいて、パターン照合が前記サンプル及び参照画像(5、6)からの画素情報のスペクトル変換に基づいて行われ、当該スペクトル変換が1のプログラマブルゲート配列(FPGA)上にハードウェア実装されることを特徴とする検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−503099(P2010−503099A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−527251(P2009−527251)
【出願日】平成19年9月3日(2007.9.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/053535
【国際公開番号】WO2008/029340
【国際公開日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願人】(591031371)カーベーアー−ジオリ ソシエテ アノニム (54)
【Fターム(参考)】