説明

パチンコ機およびパチンコ機に用いられる扉開閉検出装置

【課題】本体枠に設けた単一の開閉検出手段によってガラス扉と本体枠の開閉状態を個別に検知することができるパチンコ機と、そのようなパチンコ機に用いられるユニット化された扉開閉検出装置を提供する。
【解決手段】本体枠2とガラス扉3の開放動作を個別に検知可能な扉開閉検出装置30が本体枠2に設置されており、この扉開閉検出装置30が、上下方向へ延びる支軸31aを有するベース部材31と、支軸31aに回転可能かつ上下動可能に支持された下側回転レバー32および上側回転レバー33と、両回転レバー32,33を互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばね34と、上側回転レバー33の上下動によって切替動作される検出スイッチ35とを備えていると共に、両回転レバー32,33の対向面に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面32c,33cが形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技盤を目視可能なガラス扉が本体枠に対して開閉可能に支持されていると共に、この本体枠が機枠に対して開閉可能に支持されているパチンコ機と、このようなパチンコ機に適用される扉開閉検出装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的にパチンコ機は、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠(外枠)と、この機枠にヒンジ部を介して扉状に開閉可能に取り付けられた本体枠(前面枠)と、この本体枠の内側に収容された遊技盤と、本体枠の前面に別のヒンジ部を介して開閉可能に取り付けられたガラス扉とを備えており、ガラス扉の中央部に形成された開口部には遊技盤を目視可能な透明板が取り付けられている。本体枠の背面には、電装部品の一つである液晶表示装置が取り付けられる他、それ以外の電装部品として遊技に関する制御を行う制御処理装置(制御基板)や、賞球払出装置による賞球の払い出しを制御する払出基板、各部に電力を供給する電源基板、賞球数や扉開閉状態等のパチンコ機に関する各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板等が取り付けられている。
【0003】
このように概略構成されたパチンコ機において、遊技者がガラス扉や本体枠を無断で開放して不正行為をするのを防止するために、通常は本体枠の背面と前面にそれぞれ検知スイッチを設け、これら2つの検知スイッチの出力信号に基づいて機枠に対する本体枠の開閉状態と本体枠に対するガラス扉の開閉状態とを個別に検知するようにしている。しかしながら、ガラス扉と本体枠の開閉状態を別々の検知スイッチを用いて検出しなければならないため、これら検知スイッチの設置スペースが大きくなったり、各検知スイッチを外部端子基板と電気的に接続するワイヤーハーネス類の引き回しが煩雑になり、コスト高や信頼性の低下を招来するという問題があった。
【0004】
そこで、従来より、ガラス扉と本体枠の双方が閉じているときには、扉開閉方向の両側から加圧されて該加圧状態を検知し、ガラス扉と本体枠のいずれか一方または双方が開いているときには、片側または両側からの加圧が解除されて該加圧解除状態を検出する検知手段を設け、この検知手段によってガラス扉の開閉状態と本体枠の開閉状態とをそれぞれ検知可能にしたパチンコ機が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この検知手段は、本体枠おけるヒンジ部と反対側の自由端側に固定された取付板と、取付板に軸受スリーブを介して前後方向へ移動可能に支持されたプランジャと、プランジャを後方へ弾性付勢するスプリングと、プランジャの前端に当接可能な位置でガラス扉の背面に取り付けられたプッシュスイッチとによって構成されており、本体枠側に配置された取付板とプランジャおよびスプリング等は予め一体化されたユニット部品となっている。
【0005】
このような検知手段を用いたパチンコ機においては、ガラス扉と本体枠の双方が閉じているとき、プランジャはその後端が機枠に当接することでスプリングの付勢力に抗して前方へ突出しているため、プッシュスイッチのアクチュエータがプランジャの前端に当接して押し込まれ、プッシュスイッチからオン/オフいずれかの信号が出力される。一方、機枠に対して本体枠が開放されると、プランジャはその後端が機枠から離れることでスプリングの付勢力によって後方へ移動し、それに伴ってアクチュエータがプッシュスイッチに内蔵された復帰ばねに付勢されて突出するため、プッシュスイッチからオン/オフの切替信号が出力される。また、閉じられた本体枠に対してガラス扉が開放されると、前方へ突出しているプランジャの前端からアクチュエータが離れるため、この場合もアクチュエータがプッシュスイッチに内蔵された復帰ばねに付勢されて突出し、プッシュスイッチからオン/オフの切替信号が出力される。したがって、プランジャやプッシュスイッチ等で構成される単一の検知手段を用いて、ガラス扉と本体枠の個別の開閉状態を検知することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4159724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された従来のパチンコ機では、取付板にプランジャやスプリング等を組み込んで一体化したユニット部品を本体枠の自由端側に取り付けると共に、ガラス扉の自由端側にプランジャの前端と接離可能なプッシュスイッチを取り付けることによって検知手段が構成されているため、検知手段の部品設置スペースが本体枠とガラス扉の両方に分散されてしまい、ユニット部品やプッシュスイッチをそれぞれの設置位置に取り付ける作業が面倒であるという問題があった。また、検知スイッチであるプッシュスイッチは本体枠の背面側に設けられた外部端子基板にワイヤーハーネス類を用いて電気的に接続しなければならないが、プッシュスイッチがガラス扉の自由端側に設置される関係上、ワイヤーハーネス類をガラス扉の自由端側から基端側のヒンジ部を経由して本体枠の外部端子基板まで引き回す必要があり、ワイヤーハーネス類の引き回し経路が非常に複雑になってしまうという問題もあった。
【0008】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その第1の目的は、本体枠に設けた単一の開閉検出手段によってガラス扉と本体枠の開閉状態を個別に検知することができるパチンコ機を提供することにあり、第2の目的は、そのようなパチンコ機に用いられるユニット化された扉開閉検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した第1の目的を達成するために、本発明は、機枠と、この機枠に対して第1ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して第2ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支されたガラス扉とを備えたパチンコ機において、前記本体枠に前記機枠に対する前記本体枠の開放動作と前記本体枠に対する前記ガラス扉の開放動作とを検知可能な開閉検出手段を設け、この開閉検出手段が、上下方向へ延びる軸上に回転可能に積層配置された一対の回転レバーと、これら両回転レバーを前記機枠と前記ガラス扉に向けて互いに逆向きに回動付勢するばね部材と、いずれか一方の前記回転レバーの軸線方向に沿う上下運動によって作動する検出素子とを有しており、前記両回転レバーの対向面の少なくとも一方に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面が形成されている構成とした。
【0010】
このように構成されたパチンコ機では、ガラス扉と本体枠の双方が閉じているとき、一対の回転レバーはそれぞれ機枠の前面とガラス扉の背面に当接することで初期位置で重なっており、スイッチ等の検出素子から扉閉鎖状態を示す信号が出力される。そして、機枠に対して本体枠が開放動作されると、それまで機枠に当接していた一方の回転レバーがばね部材の付勢力を受けて軸周りの一方向に回転し、本体枠に対してガラス扉が開放動作されると、それまでガラス扉に当接していた他方の回転レバーがばね部材の付勢力を受けて軸周りの他方向に回転するため、これら両回転レバーの相対的な回転運動が傾斜面でいずれか一方の回転レバーの上下運動に変換され、当該回転レバーの上下運動によって作動される検出素子から扉開放状態を示す信号が出力される。ここで、開閉検出手段を構成する一対の回転レバーとばね部材および検出素子は全て本体枠に集約的に配置されるため、本体枠に設けた単一の開閉検出手段によってガラス扉と本体枠の開閉状態を個別に検知することができ、検出素子に接続されるワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠側のみで簡単に行うことができる。
【0011】
上記の構成において、前記本体枠に着脱可能に取り付けられたベース部材を備え、このベース部材に設けられた支軸に前記両回転レバーの軸孔と前記ばね部材である捩りコイルばねの巻回部とを挿入すると共に、この捩りコイルばねの前記巻回部から外方へ突出する両腕部をそれぞれ前記回転レバーに掛止めし、かつ、前記検出素子を前記ベース部材に取り付けて一体化すると、開閉検出手段の構成部品を全てベース部材に組み込んで1つのユニット品として取り扱うことが可能となり、開閉検出手段の本体枠に対する組立作業性を著しく高めることができて好ましい。
【0012】
また、上記した第2の目的を達成するために、本発明は、機枠と、この機枠に対して第1ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して第2ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支されたガラス扉とを備えたパチンコ機に適用される扉開閉検出装置において、上下方向へ延びる支軸を有して前記本体枠に着脱可能に取り付けられるベース部材と、前記支軸に回転可能かつ上下動可能に支持された一対の回転レバーと、これら両回転レバーを前記機枠と前記ガラス扉に向けて互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばねと、前記ベース部材に取り付けられて前記回転レバーの上下運動を検知する検出素子とを備えていると共に、前記両回転レバーの対向面の少なくとも一方に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面が形成されている構成とした。
【0013】
このように構成された扉開閉検出装置では、ベース部材の支軸に挿入した一対の回転レバーに捩りコイルばねの両腕部を掛止めすると共に、スイッチ等からなる検出素子をベース部材の所定位置に取り付けることにより、これら両回転レバーと捩りコイルばねおよび検出素子をベース部材に組み込んで1つのユニット品として取り扱うことができる。そして、このようにユニット化された扉開閉検出装置を本体枠の所定位置に取り付けることにより、単一の扉開閉検出装置によってガラス扉と本体枠の開閉状態を個別に検知することができると共に、検出素子に接続されるワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠側のみで行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のパチンコ機は、機枠に対する本体枠の開放動作と本体枠に対するガラス扉の開放動作とを検知可能な開閉検出手段が本体枠に設けられており、この開閉検出手段が、上下方向へ延びる軸上に回転可能に積層配置された一対の回転レバーと、これら両回転レバーを機枠とガラス扉に向けて互いに逆向きに回動付勢するばね部材と、いずれか一方の回転レバーの軸線方向に沿う上下運動によって作動する検出素子とを有すると共に、両回転レバーの対向面の少なくとも一方に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面が形成されているため、本体枠に設けられた単一の開閉検出手段によってガラス扉と本体枠の開閉状態を個別に検知することができ、スイッチ等からなる検出素子に接続されるワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠側のみで行うことができる。
【0015】
本発明の扉開閉検出装置は、上下方向へ延びる支軸を有して本体枠に着脱可能に取り付けられるベース部材と、この支軸に回転可能かつ上下動可能に支持された一対の回転レバーと、これら両回転レバーを機枠とガラス扉に向けて互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばねと、ベース部材に取り付けられて回転レバーの上下運動を検知する検出素子とを備えていると共に、両回転レバーの対向面の少なくとも一方に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面が形成されているため、両回転レバーと捩りコイルばねおよび検出素子をベース部材に組み込んでユニット化した状態で本体枠の所定位置に簡単に取り付けることができ、本体枠への取り付け後はガラス扉と本体枠の開閉状態を個別に検知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態例に係るパチンコ機の斜視図である。
【図2】図1に示すパチンコ機のガラス扉を開放した状態の斜視図である。
【図3】図1に示すパチンコ機のガラス扉と本体枠を開放した状態の斜視図である。
【図4】図1に示すパチンコ機の背面図である。
【図5】図1のパチンコ機に備えられる扉開閉検出装置の斜視図である。
【図6】図5に示す扉開閉検出装置の分解斜視図である。
【図7】図5に示す扉開閉検出装置の平面方向から見た動作説明図である。
【図8】図5に示す扉開閉検出装置の正面方向から見た動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1に示すように、本発明の実施形態例に係るパチンコ機Pは、遊技場の島設備に設置される縦長方形状の機枠1と、機枠1に扉状に開閉自在に取り付けられた本体枠2と、本体枠2の前面に扉状に開閉自在に取り付けられたガラス扉3等を備えており、ガラス扉3にはガラスやプラスチック等からなる透明板4が取り付けられている。
【0018】
図2と図3に示すように、機枠1の左側枠部には上側軸受け体5と下側軸受け体(図示省略)が固着されており、この下側軸受け体よりも下方の左下隅部には大型のスピーカ6が配設されている。一方、本体枠2の左側枠部の上下両端には第1ピン(図示省略)が設けられており、これら両第1ピンを上側軸受け体5と下側軸受け体に軸支することによって、本体枠2を機枠1に対して開閉自在に支持する第1ヒンジ機構が構成されている。
【0019】
本体枠2の上部内側には遊技盤7が収納されており、この遊技盤7の盤面(前面)は透明板4を透して目視可能となっている。遊技盤7はガイドレール8等によって区画形成された遊技領域9を有しており、詳細な説明は省略するが、遊技領域9には可変表示装置や始動入賞口、一般入賞口、アタッカー装置、遊技釘、風車、アウト口等が設けられている。遊技盤7よりも下方の本体枠2はガラス扉3によって覆い隠される設置部2bとなっており、この設置部2b内の下部中央には遊技球を遊技領域9に向けて発射する発射装置10が配設されている。
【0020】
本体枠2の右側枠部は第1ヒンジ機構と反対側の自由端側であり、この右側枠部にはシリンダ錠11aを有する施錠装置11が設置されている。図示せぬが、この施錠装置11は本体枠2の裏面に配置された後部施錠杆と本体枠2の前面に配置された前部施錠杆とを備えており、常態では、施錠装置11の後部施錠杆により本体枠2が機枠1に対して施錠されると共に、前部施錠杆によりガラス扉3が本体枠2に対して施錠されている。そして、シリンダ錠11aの鍵穴に図示せぬ鍵を差し込み、この鍵を一方向(例えば時計回り)へ回動すると、後部施錠杆が上動して本体枠2が開錠されるようになっている。また、シリンダ錠11aの鍵穴に差し込んだ鍵を他方向(反時計回り)へ回動すると、前部施錠杆が上動してガラス扉3が開錠されるようになっている。さらに、本体枠2の自由端側の右下隅部には後述する扉開閉検出装置30が組み込まれており、この扉開閉検出装置30によって本体枠2の機枠1に対する開閉状態とガラス扉3の本体枠2に対する開閉状態とを個別に検知可能となっている。
【0021】
ガラス扉3の左側枠部の上下両端には第2ピン(図示省略)が設けられており、これら両第2ピンを本体枠2の左側枠部に突設した上下の支持板2aに軸支することによって、ガラス扉3を本体枠2対して開閉自在に支持する第2ヒンジ機構が構成されている。
【0022】
図1に戻り、ガラス扉3には遊技盤7の盤面に対向する大きな開口3aが開設されており、この開口3aは透明板4によって塞がれている。ガラス扉3の前面上部には比較的小型のスピーカ12が左右に1個ずつ配設されており、これらスピーカ12と前述した大型のスピーカ6とによって遊技に関する様々な効果音を発するようになっている。また、ガラス扉3の前面下部には、遊技盤7の裏面に配設された賞球払出装置(後述する)から払い出された遊技球を収容する上段受皿13と、上段受皿13から排出された遊技球を収容する下段受皿14と、遊技者による押下操作が可能なプッシュ釦15とが設けられており、上段受皿12の右側方には発射装置10の発射強度を調整するための操作ハンドル16が配設されている。
【0023】
図4に示すように、このパチンコ機Pの背面側には、遊技に関する主要な処理を行う主制御基板17と、主制御基板17からの指令を受けて可変表示装置やスピーカ等の各種装置を制御する副制御基板18と、前記賞球払出装置19と、主制御基板17からの指令を受けて賞球払出装置19を制御する払出制御基板20と、操作ハンドル16の回動量に応じて発射装置10の作動を制御する発射制御基板21と、扉開閉検出装置30の検知信号や大当たり回数等の各種情報を遊技場のホールコンピュータに出力する外部端子基板22等が設けられている。
【0024】
図5と図6に示すように、前記扉開閉検出装置30は、上下方向へ延びる支軸31aを有するベース部材31と、支軸31aに回転可能かつ上下動可能に支持された下側回転レバー32および上側回転レバー33と、これら両回転レバー32,33を機枠1とガラス扉3に向けて互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばね34と、上側回転レバー33の上下動によって切替動作される検出スイッチ35とによって構成されており、両回転レバー32,33と捩りコイルばね34および検出スイッチ35はベース部材31に組み込まれて1つのユニット部品として構成されている。
【0025】
ベース部材31の底面には前記支軸31aの他に起立壁31bが立設されており、支軸31aの周囲の底面と起立壁31bにはそれぞれストッパ突起31c,31dが形成されている。また、起立壁31bには一対の取付孔31eが形成されており、これら取付孔31eに図示せぬネジを挿通して本体枠2に螺入することにより、図2と図3に示すように、ベース部材31を含む扉開閉検出装置30のユニット部品は本体枠2の右下隅部に取り付けられている。
【0026】
下側回転レバー32は、支軸31aに挿入される円筒部32aと、円筒部32aの外周面から外側へ突出する作動翼片32bとを有しており、円筒部32aの上端面には2つの傾斜面32cが円周方向に沿って連続的に形成されている。一方の傾斜面32cは円筒部32aを二分する半周領域に形成されており、この傾斜面32cは、他方の傾斜面32cの最頂部に隣接する箇所を最底部とし、この最底部から上り勾配で中間の平坦部に向かって延びた後、さらに平坦部から上り勾配で延びて最頂部に至るようなテーパ形状となっている。他方の傾斜面32cは円筒部32aの残り半周領域に形成されており、この傾斜面32cは、一方の傾斜面32cの最頂部に隣接する箇所を最底部とし、そこから一方の傾斜面32cと同様のテーパ形状で最頂部に向かって延びている。つまり、これら2つの傾斜面32cは円筒部32aの180度対向する2箇所を上側に凸の最頂部としており、それぞれの最頂部から中間の平坦部を経て相手側の最頂部に向かって下り勾配で延びるようなテーパ形状となっている。上側回転レバー33は、支軸31aに挿入される円筒部33aと、円筒部33aの外周面から外側へ突出する作動翼片33bとを有しており、円筒部33aの下端面には2つの傾斜面33cが円周方向に沿って連続的に形成されている。これら傾斜面33cは円筒部32aを二分する半周領域にそれぞれ形成されており、傾斜面33cは前述した下側回転レバー32の傾斜面32cを上下逆にしたテーパ形状に形成されている。すなわち、これら2つの傾斜面33cは円筒部33aの180度対向する2箇所を下側に凸の最頂部としており、それぞれの最頂部から中間の平坦部を経て相手側の最頂部に向かって上り勾配で延びるようなテーパ形状となっている。
【0027】
下側回転レバー32の円筒部32aと上側回転レバー33の円筒部33aは互いの傾斜面32c,33cが対向するように支軸31aに順次挿入されており、支軸31aの上端面にワッシャ36をネジ37で固定することによって、両回転レバー32,33は支軸31aから脱落しないようになっている。ただし、ワッシャ36の下方には上側回転レバー33の上下動を許容する遊び(クリアランス)が確保されている。これにより、下側回転レバー32と上側回転レバー33の相対的な回転角度が変化したとき、両傾斜面32c,33cの相対位置が変化して上側回転レバー33の円筒部33aが支軸31aに沿って上下動できるようになっている。具体的には、両傾斜面32c,33cが互いの最頂部を近接させた状態で当接しているとき、上側回転レバー33は図8(a)に示す上方の第1位置まで移動しているが、この状態で下側回転レバー32と上側回転レバー33のいずれか一方が回転すると、両傾斜面32c,33cの最頂部どうしが遠ざかるため、上側回転レバー33は第1位置から下降して図8(c)に示す下方の第2位置まで移動する。
【0028】
捩りコイルばね34は、下側回転レバー32と上側回転レバー33の円筒部32a,33aの周囲に巻回された巻回部34aと、巻回部34aの両端から外方へ突出する一対の腕部34b,34cとを有しており、一方の腕部34bは下側回転レバー32の作動翼片32bに掛止され、他方の腕部34cは上側回転レバー33の作動翼片33bに掛止されている。これにより、下側回転レバー32と上側回転レバー33は捩りコイルばね34の弾発力を受けて互いに逆向きに回動付勢され、下側回転レバー32の付勢方向の回転角度は作動翼片32bが一方のストッパ突起31cに当接することで規制され、上側回転レバー33の付勢方向の回転角度は作動翼片33bが他方のストッパ突起31dに当接することで規制される。
【0029】
検出スイッチ35は本体部35aから駆動レバー35bを突出させたマイクロスイッチと呼ばれる検出素子であり、本体部35aはベース部材31の起立壁31bに図示せぬネジを用いて固定される。駆動レバー35bは上側回転レバー33の作動翼片33bの上面に当接しており、上側回転レバー33の上下方向の変動によって駆動レバー35bが揺動操作されると、検出スイッチ35がオン/オフの切替動作を行うようになっている。検出スイッチ35には図示せぬワイヤーハーネス類が接続され、このワイヤーハーネス類を本体枠2の背面側の外部端子基板22に接続することにより、検出スイッチ35の切替信号が外部端子基板22を介して遊技場のホールコンピュータに取り込まれるようになっている。なお、駆動レバー35bは本体部35a内の図示せぬ復帰ばねによって作動翼片33bと圧接する方向へ付勢されているため、この付勢力を受けて上側回転レバー33は下方へ付勢されている。また、上側回転レバー33の回転に伴って駆動レバー35bが円滑に揺動操作されるように、駆動レバー35bと対向する作動翼片33bの上面には円周方向に沿ってテーパが付けられている。
【0030】
このように構成された扉開閉検出装置30は、図5に示すように、ベース部材31に両回転レバー32,33と捩りコイルばね34および検出スイッチ35等を組み込んでユニット化することができるため、パチンコ機Pに取り付ける前の部品管理や搬送時等において1つのユニット部品として取り扱うことができるだけでなく、ベース部材31を本体枠2にネジ止めすることでパチンコ機Pに簡単に組み付けることができる。以下、かかる扉開閉検出装置30の動作を主として図7と図8に基づいて説明する。
【0031】
本実施形態例に係るパチンコ機Pにおいて、常態では、本体枠2が機枠1に対して閉じられていると共に、ガラス扉3が本体枠2に対して閉じられているため、図7(a)に示すように、扉開閉検出装置30の下側回転レバー32と上側回転レバー33の作動翼片32b,33bはそれぞれ機枠1の前面とガラス扉3の背面に当接し、両作動翼片32b,33bは捩りコイルばね34の付勢力に抗して互いに重なる位置(これを初期位置と呼ぶ)で停止している。この場合、図8(a)に示すように、下側回転レバー32と上側回転レバー33の傾斜面32c,33cは互いの最頂部を近接させた状態で当接しており、上方の第1位置まで移動した上側回転レバー33の作動翼片33bによって検出スイッチ35の駆動レバー35bが押圧されているため、検出スイッチ35から扉閉鎖状態を示すオン/オフいずれか一方の信号が出力される。
【0032】
図7(b)に示すように、本体枠2が第1ヒンジ機構を中心に回転しながら機枠1に対して開放動作されると、それまで作動翼片32bを機枠1の前面に当接させていた下側回転レバー32が捩りコイルばね34の付勢力によって矢印Q1方向に回転し、作動翼片32bが一方のストッパ突起31cに当接した時点で下側回転レバー32は停止する。このようにして下側回転レバー32が初期位置から所定角度(約90度)だけ回転すると、図8(b)に示すように、下側回転レバー32の傾斜面32cが上側回転レバー33の傾斜面33cに対して約90度回転し、両傾斜面32c,33cが互いの最頂部を相手側の平坦部に摺接させる位置までずれるため、上側回転レバー33が傾斜面33cの高さ寸法の約半分程度だけ下降して第2位置まで移動する。その結果、上側回転レバー33の作動翼片33bが検出スイッチ35に対して下方へ移動するため、作動翼片33bによる駆動レバー35bの押圧が解除されて検出スイッチ35が切替動作され、検出スイッチ35から扉開放状態を示す切替信号が出力される。
【0033】
また、図7(c)に示すように、ガラス扉3が第2ヒンジ機構を中心に回転しながら本体枠2に対して開放動作されると、それまで作動翼片33bをガラス扉3の背面に当接させていた上側回転レバー33が捩りコイルばね34の付勢力によって矢印Q2方向に回転し、作動翼片33bが他方のストッパ突起31dに当接した時点で上側回転レバー33は停止する。このようにして上側回転レバー33が初期位置から所定角度(約90度)だけ回転すると、図8(c)に示すように、上側回転レバー33の傾斜面33cが下側回転レバー32の傾斜面32cに対して約90度回転し、両傾斜面32c,33cが互いの最頂部を相手側の平坦部に摺接させる位置までずれるため、この場合も上側回転レバー33が傾斜面33cの高さ寸法の約半分程度だけ下降して第2位置まで移動する。その結果、上側回転レバー33の作動翼片33bが検出スイッチ35に対して下方へ移動するため、作動翼片33bによる駆動レバー35bの押圧が解除されて検出スイッチ35が切替動作され、検出スイッチ35から扉開放状態を示す切替信号が出力される。
【0034】
以上説明したように、本実施形態例に係るパチンコ機Pでは、機枠1に対する本体枠2の開放動作と本体枠2に対するガラス扉3の開放動作とを検知可能な扉開閉検出装置30が本体枠2に設置されており、この扉開閉検出装置30が、上下方向へ延びる支軸31aを有するベース部材31と、支軸31aに回転可能かつ上下動可能に支持された下側回転レバー32および上側回転レバー33と、これら両回転レバー32,33を機枠1とガラス扉3に向けて互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばね34と、上側回転レバー33の上下動によって切替動作される検出スイッチ35とを備えていると共に、下側回転レバー32と上側回転レバー33の対向面に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面32c,33cが形成されているため、本体枠2に設置されれた単一の扉開閉検出装置30によってガラス扉3と本体枠2の開閉状態を個別に検知することができ、検出スイッチ35と外部端子基板22との間を接続するワイヤーハーネス類の引き回しを本体枠2側のみで簡単に行うことができる。また、両回転レバー32,33と捩りコイルばね34および検出スイッチ35をベース部材31に組み込んでユニット化することにより、扉開閉検出装置30を1つのユニット部品として取り扱うことができるため、パチンコ機Pに取り付ける前の部品管理や部品搬送等が簡単になるだけでなく、パチンコ機Pに取り付ける作業も簡単に行うことができる。
【0035】
なお、上記実施形態例では、下側回転レバー32と上側回転レバー33のそれぞれの対向面に傾斜面32c,33cを形成してあるが、いずれか一方の傾斜面を突起に変更し、この突起を相手側の傾斜面に当接させるようにしても良い。また、傾斜面32c,33cのテーパ形状も適宜変更可能であり、例えば、途中に平坦部を持たない連続的なテーパ形状にしたり、あるいは下側回転レバー32の上端面に120度毎に3つの傾斜面32cを連続的に形成し、上側回転レバー33の下端面に同様の傾斜面33cを形成しても良い。
【0036】
また、上記実施形態例では、上側回転レバー33の上下動によってマイクロスイッチと呼ばれる検出スイッチ35を作動させているが、マイクロスイッチの代わりにシーソスイッチやプッシュスイッチ等の他の検出スイッチを用いても良く、検出スイッチの代わりに光学式や磁気式の検出素子を用いることも可能である。
【0037】
また、上記実施形態例では、扉開閉検出装置30を本体枠2の右下隅部に取り付けた場合について説明したが、扉開閉検出装置30の取付位置は本体枠2の自由端側であればどこでも良く、例えば、扉開閉検出装置30を本体枠2の右上隅部に取り付けてワイヤーハーネス類の引き回し経路を短くすることも可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 機枠
2 本体枠
3 ガラス扉
7 遊技盤
9 遊技領域
11 施錠装置
22 外部端子基板
30 扉開閉検出装置
31 ベース部材
31a 支軸
31b 起立壁
31c,31d ストッパ突起
31e 取付孔
32 下側回転レバー
32a 円筒部
32b 作動翼片
32c 傾斜面
33 上側回転レバー
33a 円筒部
33b 作動翼片
33c 傾斜面
34 捩りコイルばね
34a 巻回部
34b,34c 腕部
35 検出スイッチ(検出素子)
35a 本体部
35b 駆動レバー
P パチンコ機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機枠と、この機枠に対して第1ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して第2ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支されたガラス扉とを備えたパチンコ機において、
前記本体枠に前記機枠に対する前記本体枠の開放動作と前記本体枠に対する前記ガラス扉の開放動作とを検知可能な開閉検出手段を設け、この開閉検出手段が、上下方向へ延びる軸上に回転可能に積層配置された一対の回転レバーと、これら両回転レバーを前記機枠と前記ガラス扉に向けて互いに逆向きに回動付勢するばね部材と、いずれか一方の前記回転レバーの軸線方向に沿う上下運動によって作動する検出素子とを有しており、前記両回転レバーの対向面の少なくとも一方に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面が形成されていることを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記本体枠に着脱可能に取り付けられたベース部材を備え、このベース部材に設けられた支軸に前記両回転レバーの軸孔と前記ばね部材である捩りコイルばねの巻回部とを挿入すると共に、この捩りコイルばねの前記巻回部から外方へ突出する両腕部をそれぞれ前記回転レバーに掛止めし、かつ、前記検出素子を前記ベース部材に取り付けて一体化したことを特徴とするパチンコ機。
【請求項3】
機枠と、この機枠に対して第1ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支された本体枠と、この本体枠に対して第2ヒンジ機構を介して開閉可能に軸支されたガラス扉とを備えたパチンコ機に適用される扉開閉検出装置であって、
上下方向へ延びる支軸を有して前記本体枠に着脱可能に取り付けられるベース部材と、前記支軸に回転可能かつ上下動可能に支持された一対の回転レバーと、これら両回転レバーを前記機枠と前記ガラス扉に向けて互いに逆向きに回動付勢する捩りコイルばねと、前記ベース部材に取り付けられて前記回転レバーの上下運動を検知する検出素子とを備えていると共に、前記両回転レバーの対向面の少なくとも一方に両者の相対的な回転運動を上下運動に変換する傾斜面が形成されていることを特徴とする扉開閉検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−130563(P2012−130563A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−286211(P2010−286211)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】