説明

パチンコ機の球タンク

【課題】一条のタンクレールであっても球詰まりを起こすことなく流出できる球タンクとする。
【解決手段】
球タンクをパチンコ球を受け止める球受け面10aと、その下流に下流面10bとに分割する。球受け面10aを、パチンコ球が下流面10bに向けて転動する緩い傾斜面とし、下流面10bを球受け面10aと直交する方向に向けた緩い傾斜面とする。下流面10bの下流部にパチンコ球をタンクレールへ導く球流出口16を設ける。さらに、球流出口16を設けた側から略中央位置まで球受け面10aと下流面10bとを分離する誘導提19を設ける。さらに球流出口16に、球流出口16の上方へせり出す球均し突条17を設けて、パチンコ球が下流面10b上に2層以上に重なった場合であっても下層のパチンコ球が優先的に球流出口から流れ出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機の球タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機は、機裏の上部に球タンクを設け、球タンクの上方に配置された球補給装置から供給されたパチンコ球をタンクレールを経由して賞球装置へと導き、遊技中に発生する払い出し信号に基づいて、賞球装置から賞球を払い出しを行っている。ここで、球タンクに連続して配設されているタンクレールは、一条の球通路ではパチンコ球の球詰りを生じやすいとの理由から、従来から二条の球通路を並列して形成して球詰まりを防止している。
【0003】
ここで、並列して二条の球通路を形成したタンクレールにより、パチンコ球は二列に並んで流下するが、賞球経路の途中で一列に整列された場合には、この一列に合流する部位で球詰まりが発生することもある。また、最近では遊技盤に取付ける可変表示装置などの役物が大型化し、これに伴い機裏のスペースが狭くなり、タンクレールを薄くすることが要求されるようになっている。このため、近年タンクレールを一条としてタンクレールを薄くしようとする試みがなされている。
【0004】
特許文献1には、球通路に開口する球流出口を、球タンクの下流端の側壁に沿った底面に長孔状に設けた発明を開示している。この特許文献1では、球タンクの球流出口を設けた側壁にパチンコ球の直径より大きく且つ2倍よりも小さい上部位置にガイド部材を内側に突出して設けて、球タンク内に貯留されたパチンコ球が2層以上に重なって球流出口に流れても、ガイド部材により上層のパチンコ球が阻止されて、下層のパチンコ球が優先的に球流出口からタンクレール内に流れ出す構造としている。これによって、球タンク内での球詰まりを生じることなくパチンコ球をスムーズに流すことができて、タンクレールを一条にすることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2006−75223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の発明では、大きな方形の箱形状の球タンクの底面に球流出口を設けているために、この球タンク上に配設されている球補給装置から補給されるパチンコ球の球圧が流下方向のみならす左右方向からも作用して、これらの球圧により球詰まりを生じるおそれを完全には排除することができなかった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで請求項1の発明では、パチンコ機の上部に取付けられて球補給装置から流下するパチンコ球を一時貯留し、タンクレールへ流下させるパチンコ機の球タンクにおいて、球タンクの底面は、球補給装置からのパチンコ球を受け止める球受け面と、球受け面の下流に段差に形成された下流面とに分割され、球受け面は、パチンコ球が下流面に向けて転動する緩い傾斜面とされる一方、下流面はパチンコ球が球受け面と直交する方向に向けて転動する緩い傾斜面とされるとともに、下流面の下流部にパチンコ球を前記タンクレールへ導く球流出口が設けられ、さらに、球流出口を形成した側から略中央位置まで球受け面と下流面とを分離する誘導提が設けられている。この構成により、球流出口付近に貯留されたパチンコ球に左右方向からの球圧がかかることを防止して、球タンク内のパチンコ球が球詰まりすることなく流下できる。
【0008】
請求項2の発明では、球流出口には、球流出孔の上方へせり出した球均し突条を設けて、パチンコ球が下流面上に2層以上に重なった場合であっても下層のパチンコ球が優先的に球流出口から流れ出す構成とされている。これにより、パチンコ球が2層に重なって貯留された場合であっても球タンク内のパチンコ球が球詰まりすることなく流下できる。
【0009】
請求項3の発明では、球流出口は、複数のパチンコ球が流下可能にタンクレール上に沿って長孔形状に設けられていることにより、球詰まりを生じることなく、流れていく。
【発明の効果】
【0010】
本請求項1の発明では、パチンコ機の上部に取付けられて球補給装置から流下するパチンコ球を一時貯留し、タンクレールへ流下させるパチンコ機の球タンクにおいて、球タンクの底面は、球補給装置からのパチンコ球を受け止める球受け面と、球受け面の下流に段差に形成された下流面とに分割され、球受け面は、パチンコ球が下流面に向けて転動する緩い傾斜面とされる一方、下流面はパチンコ球が球受け面と直交する方向に向けて転動する緩い傾斜面とされるとともに、下流面の下流部にパチンコ球を前記タンクレールへ導く球流出口が設けられ、さらに、球流出口を形成した側から略中央位置まで球受け面と下流面とを分離する誘導提が設けられていることによって、球流出口付近に貯留されたパチンコ球の球詰まりを防止して、球通路を一条にすることが可能となり、タンクレールを薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1はパチンコ機の背面側の斜視図である。
【図2】図2は球タンクの斜視図である。
【図3】図3は球タンクの断面図である。
【図4】図4はパチンコ機の平面図である。
【図5】図5はパチンコ機上部の断面図である。
【図6】図6はパチンコ球が貯留されている状態を示す図4の一部の拡大図である。
【図7】図7はパチンコ球が貯留されている状態を示す図5の一部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。
図1は、パチンコ機の背面側を表す斜視図であって、機枠1の背面側には、パチンコ遊技を遊技を制御する基盤などの裏部品を収容する裏枠ベース2が設けられていて、その左側に沿って裏ユニット3が配置されている。裏ユニット3は、上部に球タンク4が設けられて、この球タンク4上に図示しない球補給装置からパチンコ球が補給される。球タンク4に貯留されたパチンコ球は、タンクレール5を流下し、パチンコ球の上側からかかる球圧を緩和するために左右に蛇行した賞球経路6を経て、賞球装置7に導かれている。賞球装置7は払い出し信号に応じて所定数の賞球を払い出す。なお、タンクレール5の途中には、球タンク4から流れてきたパチンコ球の球圧を軽減するために球ならし8が2箇所に設けられて、パチンコ球が単層で整列して流れるようにされている。
【0013】
図2、図3に示すように、球タンク4は、略方形の底面10の周縁を取り囲む4枚の側板により上方が開放された大略長方形の箱形とされている。これらの側板は、裏枠ベース2に取付けられる取付面側板11とその対向位置に設けられた前面側板12と、そして取付面側板11と前面側板12より短い流入側側板13と流出側側板14とにより形成されている。
【0014】
これらの各側板により囲まれる底面10は、図2に示すように段差15により球受け面10aと下流面10bとに分割されている。球受け面10aは流入側板13側から約70%の面積を占めていて、流出側板14側に向けてパチンコ球が転動する緩い傾斜面とされている。これにより、球受け面10a上に供給されたパチンコ球は流出側板14に向けて、緩やかに流下することになる。
【0015】
なお、パチンコ球は、球受け面10a上に配設された図示しない球補給装置から一気に補給されるために、パチンコ球同士が衝突するなど球受け面上でバウンドしたり、ランダムな方向に四散するパチンコ球もあるが、パチンコ球は全体として流出側板14に向けて緩やかに流下する。
【0016】
また、球受け面10aの下流には下流面10bが設けられて底面10を分割している。底面10の残り約30%の面積を占める下流面10bは、球受け面10aと直交して前面側板12側に向けて下がる緩い傾斜面とされている。これにより球受け面10aから流下するパチンコ球が、前面側板12へほぼ直角に方向を変更して流下するようにされている。なお、この下流面10bの緩い傾斜により前述した段差15が形成される。また、最下流の位置となる下流面10bの底面にはパチンコ球をタンクレール5上に流下させる球流出口16が設けられている。この球流出口16は、前面側板12に沿って、下流面の横幅の長さとなる長孔形状をなし、複数のパチンコ球が1列に整理されて流下可能とされている。これにより、球流出口16の下方に球流出口16に沿って配置された一列のタンクレール5内に流下可能とされている。
【0017】
球流出口16の上方に向けて前面側板12が下流面10b側に湾曲してせり出した球均し突条17が設けられて球流出孔16の上方の一部を覆っている。この球均し突条17は、仮に下流面10b上をパチンコ球が2層に積層した状態で流下してきた場合であっても、上層のパチンコ球は球均し突条17に突き当たり、下層のパチンコ球のみが優先的に球流出口16から流下して、パチンコ球を一層になるように球均しをする。
【0018】
また、球受け面10aには、下流面10bとの境界に誘導堤19が前面側板12から約1/3の距離を占める位置まで半島状に突出して設けられて球受け面10aと下流面10bとを分離している。誘導堤19は、図2に示すように、上から見て、前面側板12を底辺とした三角形状とされ、球受け面10aが、流入側側板13から流出側側板14に向けて緩やかに傾斜し、パチンコ球は誘導堤19に沿って取付面側板11に向けて、緩やかに流下していく。特に供給されるパチンコ球のうち、勢いよく供給されたパチンコ球が、球受け面10a上を前面側板12側に向かって流れても、誘導堤19に衝突してその勢いを減じ、誘導堤19の先端から段差15を落下して下流面10b上を球流出口16に向けて転動していく。
【0019】
次に、球補給装置からパチンコ球が球タンク4上に補給された際の、パチンコ球の動きについて図5から図7に基づいて説明する。
【0020】
球タンク4の球受け面10aのほぼ中央付近に球補給装置からパチンコ球が補給される。球受け面10aは流入側側板13から流出側側板14に向けて緩やかに傾斜しているため、多くのパチンコ球は流出側側板14に向けて、緩やかに流下し、下流面10b上に流下していく。そして、下流面10bは前面側板12に向けて傾斜しているために、順次球流出口16からタンクレール5を充填し、さらに下流面10b上に広がって充填される。
【0021】
前面側板12側に緩やかに傾斜している下流面10b上では、パチンコ球は前面板側へほぼ直角に方向を変更して流下する。また、下流面10bの全面にわたってパチンコ球が充填されると、球受け面10aにも広く広がって貯留されて、図6に示す状態とされる。
【0022】
特に、球受け面10a上に貯留されているパチンコ球の多く、特に前面側板12側に貯留されたパチンコ球は、誘導堤19により支えられて球流出口16付近に貯留されたパチンコ球にその重量を付加しないために、下流面10b上のパチンコ球は、球詰まりを生じることなくスムーズに流下していく。
【0023】
なお、球補給装置から補給される際に、パチンコ球同士が衝突などして、ランダムな横方向にはじかれたように強く転動するパチンコ球であっても球受け面10aの三方向を囲む流入側側板13、取付面側板11又は前面側板12に衝突し、跳ね返ってその勢いを減じる。また、誘導堤19に衝突したパチンコ球は、誘導堤19に沿って取付面側板11に向けて、緩やかに流下する。
【0024】
また、タンクレール5上に設けられている球流出口16は、複数のパチンコ球が1列に整理するように前面側板12(タンクレール5)に沿った長孔形状に設けられているために、タンクレール5内のパチンコ球が流出するに従って順次1列に整理されてタンクレール5内に流下していく。特に球詰まりを生じやすい球流出口16付近に位置するパチンコ球には、誘導板19により横方向からの球圧を受けることが無く、また球均し突条17によりパチンコ球は一層に整列されていために、球詰まりを生じることなく流下して、一列のタンクレール5内に流下していいく。
【符号の説明】
【0025】
1…機枠 2…裏枠ベース 3…裏ユニット 4…球タンク 5…タンクレール 6…賞球経路 7…賞球装置 8…球ならし 10…底面板 10a…球受け面 10b…下流面 11…取付側面板 12…前面側板 13…流入側側板 14…流出側側板 15…段差 16…球流出口 17…球均し突条 19…誘導堤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ機の上部に取付けられて球補給装置から流下するパチンコ球を一時貯留し、タンクレールへ流下させるパチンコ機の球タンクにおいて、
前記球タンクの底面は、前記球補給装置からのパチンコ球を受け止める球受け面と、該球受け面の下流に段差に形成された下流面とに分割され、
該球受け面は、パチンコ球が該下流面に向けて転動する緩い傾斜面とされる一方、該下流面はパチンコ球が該球受け面と直交する方向に向けて転動する緩い傾斜面とされるとともに、該下流面の下流部にパチンコ球を前記タンクレールへ導く球流出口が設けられ、
さらに、球流出口を形成した側から略中央位置まで該球受け面と該下流面とを分離する誘導提が設けられていることを特徴とするパチンコ機の球タンク。
【請求項2】
球流出口には、該球流出孔の上方へせり出した球均し突条を設けて、パチンコ球が下流面上に2層以上に重なった場合であっても下層のパチンコ球が優先的に球流出口から流れ出すことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機の球タンク。
【請求項3】
球流出口は、複数のパチンコ球が流下可能にタンクレール上に沿って長孔形状に設けられていることを特徴とする請求項1、2記載のパチンコ機の球タンク。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−24327(P2012−24327A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165728(P2010−165728)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(595112915)株式会社ヤマダ (10)
【Fターム(参考)】