説明

パチンコ機

【課題】臨場感にあふれた効果音を発生するパチンコ機とする。
【解決手段】遊戯領域に沿って窓を開口するとともに表枠の背面から窓を覆う窓ユニット6を取付けたパチンコ機であって、窓ユニット6は、略円形に形成されたガラスフレーム7の一部に外側に張り出した部位にスピーカ取付板71を設ける。高音域を発生する高音用スピーカ10の磁石側をスピーカ取付板71に固定するとともに、振動体側を前面ガラス8に密着して固定する。低音域を発生する低音用スピーカ11を前面ガラス8と後面ガラス9との間隙に向けて固定する。これにより、効果音の内、高音域の効果音は前側ガラス8を直接振動して、臨場感にあふれた効果音を発生させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、特に効果音を発生するパチンコ機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からパチンコ機においては、遊戯の進行に伴い、その情況に応じた効果音を発生させて遊戯者に知らせている。
【0003】
一般的なパチンコ機では、表枠の上部に設けたスピーカにより効果音を発生させている。ここで、特許文献1には、臨場感に優れる効果音を発生させるために、遊戯盤の前面を覆うガラス板の背面にスピーカの振動体を直接取付けて、ガラス板自体を振動体とした技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、遊戯盤の遊戯領域を略全面的に覆うウインドウユニットとし、ウインドウユニットは、後面にガラス板を設け、そのガラス板の前面に透明板を間隔をもって取り付けるとともに、透明板にスピーカの振動体側を固定して、振動体の振動を直接透明板に伝達させている。これにより透明板が大型スピーカとして機能して、遊戯者に臨場感を与えることができるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−8601号公報
【特許文献2】特開2006−204734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1及び特許文献2の発明では、ともに遊戯者の正面位置となるガラス(透明板)の全面をスピーカの振動体とするもので、臨場感にあふれた効果音を発生させることができる。
【0007】
しかしながら、パチンコ機では、遊戯者の不正行為を防止するために、前面ガラスと後面ガラスとが間隔を隔てた二重ガラスになっている。従って、特許文献1及び特許文献2ともに、後面ガラスに取り付けられ、前面ガラスと後面ガラスの間の空気を振動している。そして、この空気の振動を前面ガラスに伝達させる発明であり、特に高音領域の効果音が明瞭に発生させることができない。このため、臨場感にあふれた効果音を発生するには未だ不十分であった。
【0008】
そこで、本発明では、特に高音領域の効果音を直接前面ガラスを振動させることによって、臨場感にあふれたパチンコ機とすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明では、遊戯領域を備えた裏枠の前面を覆うとともに遊戯領域に沿って開口する窓を設けた表枠に、表枠の背面から窓を覆う窓ユニットを取付けたパチンコ機において、窓ユニットには、前面ガラスと後面ガラスとを間隔を隔てて取付け、前面ガラスの背面にスピーカの振動体側を密着して固定している。この構成により前面ガラスを直接振動させて効果音を発生させる。
【0010】
請求項2の発明では、窓ユニットは、略円形に形成され、一部に外側に張り出したスピーカ取付板を設けたガラスフレームと、スピーカ取付板を覆って取付けられた前面ガラスと、スピーカ取付板の内周縁に沿って取付けられた後面ガラスとからなり、スピーカの磁石側を該スピーカ取付板に固定するとともに、該スピーカの振動体側を該前面ガラスに密着して固定している。この構成により、前面ガラスに固定されたスピーカは、窓の外方に配置されて、表枠によって覆い隠される。
請求項3の発明では、高音域を発生する高音用スピーカの磁石側をスピーカ取付板に固定するとともに、高音用スピーカの振動体側を前面ガラスに密着して固定し、低音域を発生する低音用スピーカを前面ガラスと後面ガラスとの間隔に向けて固定している。これにより、二重ガラスの内、前面ガラスを直接振動させて、臨場感にあふれた効果音は発生させることができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、遊戯領域を備えた裏枠の前面を覆うとともに遊戯領域に沿って開口する窓を設けた表枠に、表枠の背面から窓を覆う窓ユニットを取付けたパチンコ機において、窓ユニットには、前面ガラスと後面ガラスとを間隔を隔てて取付け、前面ガラスの背面にスピーカの振動体側を密着して固定している。この構成により前面ガラスを直接振動させて臨場感に優れた効果音を発生させることができる。
【0012】
請求項2の発明では、窓ユニットは、略円形に形成され、一部に外側に張り出したスピーカ取付板を設けたガラスフレームと、スピーカ取付板を覆って取付けられた前面ガラスと、スピーカ取付板の内周縁に沿って取付けられた後面ガラスとからなり、スピーカの磁石側を該スピーカ取付板に固定するとともに、該スピーカの振動体側を該前面ガラスに密着して固定している。この構成により、前面ガラスに固定されたスピーカは、表枠によって覆い隠され、美観に優れたパチンコ機とすることができる。
請求項3の発明では、高音域を発生する高音用スピーカの磁石側をスピーカ取付板に固定するとともに、高音用スピーカの振動体側を前面ガラスに密着して固定し、低音域を発生する低音用スピーカを前面ガラスと後面ガラスとの間隔に向けて固定している。この構成により、効果音の内、高音域の効果音は直接前側ガラスを振動用スピーカとし、前面ガラスを直接振動させて、さらに臨場感にあふれた効果音は発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は本実施例のパチンコ機の分離斜視図である。
【図2】図2は窓ユニットの背面図である。
【図3】図3は窓ユニットの分離斜視図である。
【図4】図4は窓ユニットの一部の断面図である。
【図5】図5は図2のAーA線断面図である。
【図6】図6は図2のB−B線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0014】
以下、本発明の一実施例を詳細に説明する。
【0015】
図1は、パチンコ機の分離斜視図であって、外枠1の左端部の上下に設けられたヒンジにより、裏枠2が開閉可能に取り付けられている。裏枠2は、ほぼ外枠1の内側全体を覆い、遊戯をするのに必要な多くの部品が配設されていて、中央部にはほぼ円形の遊戯領域3が設けられている。また、外枠1の左側の上下に設けられたヒンジ1a、1aには、表枠4が開閉可能に取付けられている。
【0016】
本実施例の表枠4では、裏枠2の前面全体を覆って取り付けられていて、下方に上球受け皿4aが設けられるともに、その下方に下球受け皿4bが設けられている。また、遊戯球を打ち出す操作ハンドル4cなどが配置されている。そして表枠4の中央には、遊戯領域3を臨む略円形の窓5が開口されていて、遊戯領域3の範囲を視認可能とされている。この表枠4には、窓5を覆う窓ユニット6が背面から取付け固定されている。
【0017】
図2及び図3は窓ユニット6を示し、窓ユニット6は、ガラスフレーム7と前面ガラス8と後面ガラス9により大略構成されている。ガラスフレーム7の外周は略円形に形成されたフレーム部70により構成され、図3において右下部分が、円形から外側に張り出してスピーカ取付部70aが連続して設けられている。そしてこのスピーカ取付部70aの内側には、フレーム部70の円周に沿って連続する内縁を構成する板状のスピーカ取付板71が一体形成されている。なお、スピーカ取付板71は、表枠4の窓5の外方に配置されていて、表枠4に覆われて遊戯者からは視認することができない部位とされている。
【0018】
このガラスフレーム7の前面側には、フレーム部70からスピーカ取付部70aの外縁に沿って段差による前面密着面72が形成されて、前面ガラス8の周縁を密着接合している。
【0019】
前面ガラス8は、ガラスフレーム7のフレーム部70からスピーカ取付部70aに連続して設けられた前面密着面72に沿って成形されている。そして、図4に示すように、ガラスフレーム7の前面側に接着固定されている。すなわち、図3において右下部にはスピーカ取付板71を覆う延長部8aが設けられている。また、延長部8aには、取付孔8bが開口されている。
【0020】
一方、ガラスフレーム7の裏面側にはフレーム部70からスピーカ取付板71の内縁に沿って段差による後面密着面73が形成されている。
【0021】
後面ガラス9は、ガラスフレーム7の後面密着面73に沿って略円形に成形されている。そして、図4に示すように、ガラスフレーム7の後面側に接着固定されている。これにより、後面ガラス9はスピーカ取付板71の内周縁に沿って取り付けられる(図6参照)。この結果、前面ガラス8と後面ガラス9の二枚のガラスによって形成される間隙空間により隔てられて平行に取付けられる。
【0022】
図3に示すように、スピーカ取付板71には、高音スピーカ取付孔72と、その両側にそれぞれ低音スピーカ取付孔73,73が開口されている。この高音スピーカ取付孔72には高音域と中音域の高音用スピーカ10が取付けられ、また、低音スピーカ取付孔73、73には、低位音域と中音域の2個の低音用スピーカ11、11が取付けられている。そして、これらのスピーカ10,11,11を覆う取付カバー12がスピーカ取付板71に固定されている。
【0023】
本実施例では、高音用スピーカ10は、図5に示しているように、磁石側10aが取付カバー12に固定され、振動体側10bが前面ガラス8の後述する延長部8aに開口した取付孔8bに密着してねじ8cによりねじ止めされている。従って、高音用スピーカ10の振動体側10bにより前面ガラス8を直接振動させて、前面ガラス8自体が振動体として機能する。
【0024】
低音用スピーカ11、11は、図6に示しているように、スピーカ取付板71にそれぞれ固定されている。従って、低音スピーカ11による効果音は、前面ガラス8と後面ガラス9の間の間隙内の空気を介して前面ガラス8を振動して発生させる。低音域では、前面ガラス8と後面ガラス9の間の間隙内の空気を介して前面ガラス8を振動しても音質の劣化は少ないとの理由による。なお、この実施例では、小型の低音用スピーカ11を2個使用した例を示しているが、取付空間を大きく取れる場合には、1個の大型の低音用スピーカを使用してもよい。
【0025】
なお、本実施例では、表枠4に覆われる部位にスピーカ取付板71を配置し、このスピーカ取付板71に高音用スピーカ10と低音用スピーカ11の双方を固定しているために、遊技者から高音用スピーカ10と低音用スピーカ11の双方ともに隠されて、美観に優れたパチンコ機とすることができる。
【0026】
また、この実施例では、迫力のある効果音を発生させるために高音用スピーカ10と低音用スピーカ11の二種類のスピーカを使用したが、一つの全音域のスピーカを使用してもよい。その場合にはこの実施例の高音スピーカ11と同様に振動側をガラスに密着して取付ける。
【符号の説明】
【0027】
2…裏枠 3…遊戯領域 4…表枠 5…窓 6…窓ユニット 7…ユニット枠 8…前面ガラス 9…後面ガラス 10…高音用スピーカ 11…低音用スピーカ 71…スピーカ取付板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊戯領域を備えた裏枠の前面を覆うとともに該遊戯領域に沿って開口する窓を設けた表枠に、該表枠の背面から該窓を覆う窓ユニットを取付けたパチンコ機において、
前記窓ユニットには、前面ガラスと後面ガラスとを間隔を隔てて取付け、該前面ガラスの背面にスピーカの振動体側を密着して固定したことを特徴とするパチンコ機。
【請求項2】
窓ユニットは、略円形に形成され、一部に外側に張り出したスピーカ取付板を設けたガラスフレームと、該スピーカ取付板を覆って取付けられた前面ガラスと、該スピーカ取付板の内周縁に沿って取付けられた後面ガラスとからなり、スピーカの磁石側を該スピーカ取付板に固定するとともに、該スピーカの振動体側を該前面ガラスに密着して固定したことを特徴とする請求項1記載のパチンコ機。
【請求項3】
高音域を発生する高音用スピーカの磁石側をスピーカ取付板に固定するとともに、該高音用スピーカの振動体側を前面ガラスに密着して固定し、低音域を発生する低音用スピーカを前面ガラスと後面ガラスとの間隔に向けて固定していることを特徴とする請求項2記載のパチンコ機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−125440(P2011−125440A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285448(P2009−285448)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(595112915)株式会社ヤマダ (10)
【Fターム(参考)】