説明

パチンコ装置

【課題】パチンコ機から排出されるアウト玉を回収するアウトタンクを有効利用して異色玉を選別して回収することにより、機種入れ替え時のパチンコ機に対する改造の必要もなく、従来技術の欠点を解消したパチンコ装置を提供する。
【解決手段】玉を投入して遊技するパチンコ機1と、パチンコ機1台毎に対応して設けられてパチンコ機1から排出されるアウト玉を回収するアウトタンク3とを備え、アウトタンク3に回収されたアウト玉の色を検出するための光センサと、玉の色に係る情報を記憶した記憶部と、光センサの検出信号及び記憶部の記憶情報に基づいてアウト玉の色が記憶部に記憶された玉の色とは異なる異色玉を識別する識別部と、識別部にて識別された異色玉を回収する異色玉回収部8,10とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用可能な玉の色が指定されたパチンコ機を備えたパチンコ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技の貸し玉料金は遊技者の多様な要求を反映して、同一店舗にて単一料金(1玉4円)ではなく、1玉3円、2円、1円等の複数料金が設定され、各貸し玉料金の玉は指定されたパチンコ機でのみ遊技するようにしている。そのような状況で、例えば1玉1円で貸し出した玉が1玉4円の玉用のパチンコ機に使用されて景品交換された場合、4円の玉の景品交換率は1円の玉の交換率より高いのでパチンコ店は被害を受ける。そのため、店内を各料金の玉でのみ遊技可能な複数の遊技領域に区分して領域間での玉の移動を禁止する(移動された場合はセンサで検知して警報する)とともに、各料金の玉の色を異なる色にして店員等により不正使用を監視するようにしたパチンコ遊技場が公知である(特許文献1参照)。
【0003】
また指定された色と異なる色の玉(以下、異色玉という)による不正使用を防止するために、パチンコ玉の色識別を行う色識別ユニットをパチンコ機の発射玉の供給皿(上皿)と発射装置との間の通路に設け、異色玉を検出すると供給皿の下方に設けられている下皿に排出する選別機構を設けたパチンコ機が公知である(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平10−337369号公報
【特許文献2】特開平10−146435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のパチンコ遊技場では、パチンコ機での不正使用を監視するために人手を要し、またパチンコ機に異色玉を投入して遊技した場合にも特に検知されないので、実害の発生を完全には防止できない可能性がある。
特許文献2に記載のパチンコ機では、異色玉を投入しても自動的に排除されて遊技することはできないが、一方、排除された異色玉が下皿に滞留して繰り返し投入される不都合がある。また特許文献2に記載のパチンコ機では、パチンコ機自体に異色玉の選別機構を設けているので、例えばパチンコ機種の入れ替えを行う場合に、最初から異色玉の選別機構を組み込んだパチンコ機を導入する必要があり(設置後のパチンコ機に対する改造は法規制により許可されないため)、パチンコ機種の入れ替えコストが増加する不利がある。
【0005】
本発明は、上述したような事情に鑑みてなされたものであり、パチンコ機から排出されるアウト玉を回収するアウトタンクを有効利用して異色玉を選別して回収することにより、機種入れ替え時のパチンコ機に対する改造の必要もなく、従来技術の欠点を解消したパチンコ装置を提供することを目的とする。
【0006】
また本発明は、アウトタンクに設ける異色玉の選別回収手段の具体構成を提供することを他の目的とする。
【0007】
また本発明は、アウトタンクにおけるアウト玉の計数機構を利用して異色玉の検出手段を簡素化したパチンコ装置を提供することを他の目的とする。
【0008】
また本発明は、アウトタンクにて回収した異色玉の取り出し、確認等が容易なパチンコ装置を提供することを他の目的とする。
【0009】
また本発明は、アウトタンクにて異色玉が回収されたことを直ちに知ることができるパチンコ装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明に係るパチンコ装置は、玉を投入して遊技するパチンコ機と、該パチンコ機1台毎に対応して設けられてパチンコ機から排出されるアウト玉を回収するアウトタンクとを備えたパチンコ装置において、前記アウトタンクに回収されたアウト玉の色を検出するための光センサと、玉の色に係る情報を記憶した記憶部と、前記光センサの検出信号及び前記記憶部の記憶情報に基づいてアウト玉の色が前記記憶部に記憶された玉の色とは異なる異色玉を識別する識別部と、該識別部にて識別された異色玉を回収する異色玉回収部とが設けられていることを特徴とする。
第1の発明においては、パチンコ機1台毎に対応して設けられたアウトタンクに回収されたアウト玉が光センサで検出され、その光センサの検出信号と記憶した玉の色に係る情報とに基づいて、アウト玉の色が記憶された玉の色とは異なる異色玉であることが識別されると、その異色玉が異色玉回収部によって回収される。
【0011】
第2の発明に係るパチンコ装置は、第1の発明における前記アウトタンクは前記アウト玉を受ける受部を上部に備え、前記光センサは前記アウト玉が前記受部から流下して下方側の循環路に合流する通路の途中箇所に配置してあり、前記異色玉回収部は、前記通路の光センサの下流側に配置されて前記異色玉を前記通路から分岐させる分岐手段と、該分岐手段で分岐された異色玉を保管する保管部とを有していることを特徴とする。
第2の発明においては、パチンコ機から排出されてアウトタンクの上部の受部に受けられたアウト玉が、受部から流下して下方側の循環路に合流する通路の途中箇所に配置した光センサで検出され、その光センサの検出信号に基づき異色玉であることが識別されると、光センサの下流側の通路に配置した分岐手段によって異色玉は通路から分岐され、保管部に保管される。
【0012】
第3の発明に係るパチンコ装置は、第2の発明における前記通路の途中箇所に、該通路を通過するアウト玉を計数するためにアウト玉を1個づつ保持して搬送する送り歯車が設けられ、前記光センサは、前記送り歯車に保持されたアウト玉を検出対象とすることを特徴とする。
第3の発明においては、アウトタンクの受部から流下する通路の途中箇所にアウト玉を計数するために設けられた送り歯車に1個づつ保持されて搬送されるアウト玉が光センサによって検出され、その光センサの検出信号に基づき異色玉の識別がなされる。
【0013】
第4の発明に係るパチンコ装置は、第2又は第3発明における前記保管部は取り外し自在な容器にて構成してあることを特徴とする。
第4の発明においては、保管部を構成する容器を取り外して、回収された異色玉を容易に取り出すことができ、また異色玉の数、種類等の確認も容易に行うことができる。
【0014】
第5の発明に係るパチンコ装置は、第1から第4のいずれかの発明における前記識別部にて異色玉が識別されたことを警報する警報手段を設けていることを特徴とする。
第5の発明においては、アウト玉の中に異色玉が含まれていることが識別されると、警報手段が作動する。
【発明の効果】
【0015】
第1の発明に係るパチンコ装置によれば、パチンコ機に投入された異色玉は異色玉回収部に回収され、パチンコ機の内部に滞留することがない。また、異色玉の選別機構をパチンコ機自体に設けず、パチンコ機1台毎に対応したアウトタンクを利用して設けたので、機種の入れ替えを行うような場合に、異色玉の選別機構を設けたアウトタンクはそのまま用いて、異色玉の選別機構を有しないパチンコ機を導入することができ、パチンコ機種の入れ替えコストの増加を回避できる。
従って、パチンコ機から排出されるアウト玉を回収するアウトタンクを有効利用して異色玉を選別して回収することにより、機種入れ替え時のパチンコ機に対する改造の必要もなく、従来技術の欠点を解消したパチンコ装置が提供される。
【0016】
第2の発明に係るパチンコ装置によれば、アウトタンクの受部から流下して下方側の循環路に合流する通路の途中箇所に設けた光センサと分岐手段と保管部とにより、アウトタンクに設ける異色玉の選別回収手段の具体構成が提供される。
【0017】
第3の発明に係るパチンコ装置によれば、アウト玉を計数するための送り歯車によって保持、搬送されるアウト玉を光センサの検出対象としたので、アウトタンクにおけるアウト玉の計数機構を利用して異色玉の検出手段を簡素化したパチンコ装置が提供される。
【0018】
第4の発明に係るパチンコ装置によれば、アウトタンクにて回収した異色玉の取り出し、確認等が容易なパチンコ装置が提供される。
【0019】
第5の発明に係るパチンコ装置によれば、警報手段の作動により、アウトタンクにて異色玉が回収されたことを直ちに知ることができるパチンコ装置が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るパチンコ装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係るパチンコ装置の背面図、図2はアウトタンクの一部断面背面図、図3はアウトタンクの平面図である。
【0021】
パチンコ機1が列状に複数台並べて配置された島毎に、パチンコ機1に使用する適正な玉の色(金色、銀色、緑色等)が設定されている。各色の玉は、1玉4円、3円、2円、1円等と異なる料金で貸し出され、景品交換率も異なる。
【0022】
パチンコ機1は前面側に、遊技盤面1aと、遊技盤面1aの下部に位置する玉の発射部及び該発射部に送る玉を保持する前皿等(不図示)を備えた公知のパチンコ機である。各パチンコ機1の背面側の上部には、図示しない循環路から供給される玉をパチンコ機1に供給するために貯留する貯留部2が設けられ、下部には、パチンコ機1の遊技盤面1aの背面側から排出されて落下するアウト玉を回収するアウトタンク3が設けられている。
【0023】
アウトタンク3は上部にアウト玉を受ける皿状の受部3aを備えている。受部3aは周囲に縦壁を有し、底部は遊技盤面1aから遠い側が低く、また横方向の中央部が両端部より低くなるように傾斜している。受部3aの遊技盤面1aから遠い側(後側)の縦壁に隣接して、受部3a内のアウト玉を排出する樋状の排出路3bが設けられている。排出路3bは、後述する受部3aとの連通部分を除いて周囲に縦壁を有し、樋の幅は玉の直径より少し大きい寸法である。排出路3bの一方側の端部が受部3aの底部が最も低くなった部分に隣接し、排出路3bの底部は該一方側の端部で受部3aの底部より低く位置し、該一方側の端部から他方側の端部に向かって低くなるように傾斜している。受部3aの後側の縦壁及び排出路3bの一方側の端部の縦壁の対応する部分に同一幅の開口が形成され、該開口を通して受部3aが排出路3bに連通している。排出路3bの他方側の端部の底部に排出孔3cが設けられている。
【0024】
排出路3bの他方側の端部の下方には、流下するアウト玉を1個づつ保持して搬送する送り歯車6と、該送り歯車6に接続され、玉1個の送りに同期するアウトパルスを発生する発生部6aとを収容したケース7が設けられている。ケース7の内部にアウト玉を流下させる下向きの通路4が通路壁をケース7によって一体に形成されて設けられ、該通路4の上部入口が排出路3bの排出孔3cの直下に位置している。
【0025】
送り歯車6は、ケース7に水平軸心回りに回転自在に保持され、周囲に玉の曲率半径と略同一又は少し大きい程度の曲率半径の円弧面6bが複数等配形成してあり、該円弧面6bの部分が通路4の壁に設けた窓から通路内に突出するように配置されている。送り歯車6は適宜の回転抵抗を有し、通路4内を流下移動する玉が円弧面6bに保持されたときの荷重で回転する。ケース7内には、通路4を間にして送り歯車6の設置位置の向かい側に送り歯車6で搬送されるアウト玉の色を検出するための光センサ5が設けられている。光センサ5は、通路4の壁に設けた窓を通して送り歯車6に保持されているアウト玉に検出光を照射する発光器5aと、通路4の壁に設けた窓を通してアウト玉からの反射光を受光する受光器5bとからなる。通路4はケース7の下端から円筒状に突出し、下方側の樋状の循環路9の上方位置まで延長されている。
【0026】
ケース7の下端から突出し、光センサ5の位置よりも下流側となる円筒状の通路4に、異色玉を保管する容器10への分岐路4aが接続され、該接続箇所に通路4を分岐路4aに分岐させる位置と分岐させない位置とに切り替える分岐レバー8が設けられている。容器10は取り外し自在な容器であり、例えばパチンコ機1から離間する側に引き出して取り外し、またパチンコ機1に向かって押し込んで取り付けることができる。分岐レバー8は、揺動自在に枢支されるとともに図示しないばね等により通路4を分岐路4aに分岐させない位置に復帰するように付勢され、電磁ソレノイド8a(図4参照)で駆動されて通路4を分岐路4aに分岐させる位置に揺動作動する。
【0027】
次に、本発明に係るパチンコ装置の制御部について説明する。図4は本発明に係るパチンコ装置の制御部11周りの構成を示すブロック図である。
【0028】
制御部11は、各種の演算処理を行うCPU(中央処理装置)11a、CPU11aが行う演算処理用の制御プログラム及び各種の設定値等を記憶したROM11b、CPU11aが演算処理を行う際のデータ等を記憶保持するRAM11cなどから構成されたマイクロコンピュータである。パチンコ機1で使用する適正な玉として設定された玉の色に係る情報はRAM11cに記憶してある。制御部11には、光センサ5と、分岐レバー8駆動用の電磁ソレノイド8aと、パチンコ機1の上方に位置して異色玉が検知されたことを知らせる警報ランプ12とが接続されている。また、異色玉が検知されたことの信号を送信するために制御部11は例えば中央管理室に設置したコンピュータに接続している。
【0029】
CPU11aは光センサ5の検出信号とRAM11cに記憶された適正な玉の色に係る情報とに基づいてアウト玉が異色玉であるかどうかの判別を行う。具体的には、適正な玉の色が金色である場合を例に説明すれば、金色の玉からの反射光を受光した受光器5bの信号レベルよりも低く、金色以外の色の玉(例えば通常の鉄の玉)からの反射光を受光した受光器5bの信号レベルよりも高くなるような閾値をRAM11cに記憶する。従って、検出したアウト玉が金色の玉の場合には受光器5bの信号レベルは閾値を超えるので異色玉でないと判別することができ、検出したアウト玉が金色以外の色の玉の場合には受光器5bの信号レベルは閾値より低くなるので異色玉であると判別することができる。そして、異色玉であると判別した場合は、電磁ソレノイド8aに駆動信号を出力して、通路4を分岐路4aに分岐させるように分岐レバー8を揺動作動させる。
【0030】
上述の実施形態では、光センサ5が通路4を挟んで送り歯車6の向かい側に設けられ、送り歯車6に保持されたアウト玉を検出対象としたが、光センサ5の位置はこれに限るものではない。光センサ5を送り歯車6の位置よりも上流側又は下流側となる通路4の側部に配置して、通路4を流下するアウト玉を検出対象とする構成でもよい。
【0031】
上述の実施形態では、光センサ5をアウト玉に検出光を照射しそのアウト玉からの反射光の光量を検出する単純な光量センサにて構成したが、これ以外に、光センサとしてアウト玉の色を検出することができるCCDセンサ等の高機能の光センサを用い、玉の色に係る情報として適正な玉の色の情報を記憶し、CCDセンサ等で検出されたアウト玉の色と記憶された玉の色とが一致するかどうかの比較処理をして異色玉の識別を行う構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明に係るパチンコ装置の背面図である。
【図2】アウトタンクの一部断面背面図である。
【図3】アウトタンクの平面図である。
【図4】本発明に係るパチンコ装置の制御部周りの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0033】
1 パチンコ機
3 アウトタンク
3a 受部
4 通路
5 光センサ
6 送り歯車
8 分岐レバー(分岐手段、異色玉回収部)
9 循環路
10 容器(保管部、異色玉回収部)
11a CPU(識別部)
11c RAM(記憶部)
12 警報ランプ(警報手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玉を投入して遊技するパチンコ機と、該パチンコ機1台毎に対応して設けられてパチンコ機から排出されるアウト玉を回収するアウトタンクとを備えたパチンコ装置において、
前記アウトタンクに回収されたアウト玉の色を検出するための光センサと、玉の色に係る情報を記憶した記憶部と、前記光センサの検出信号及び前記記憶部の記憶情報に基づいてアウト玉の色が前記記憶部に記憶された玉の色とは異なる異色玉を識別する識別部と、該識別部にて識別された異色玉を回収する異色玉回収部とが設けられていることを特徴とするパチンコ装置。
【請求項2】
前記アウトタンクは前記アウト玉を受ける受部を上部に備え、前記光センサは前記アウト玉が前記受部から流下して下方側の循環路に合流する通路の途中箇所に配置してあり、前記異色玉回収部は、前記通路の光センサの下流側に配置されて前記異色玉を前記通路から分岐させる分岐手段と、該分岐手段で分岐された異色玉を保管する保管部とを有していることを特徴とする請求項1に記載のパチンコ装置。
【請求項3】
前記通路の途中箇所に、該通路を通過するアウト玉を計数するためにアウト玉を1個づつ保持して搬送する送り歯車が設けられ、前記光センサは、前記送り歯車に保持されたアウト玉を検出対象とすることを特徴とする請求項2に記載のパチンコ装置。
【請求項4】
前記保管部は取り外し自在な容器にて構成してあることを特徴とする請求項2又は3に記載のパチンコ装置。
【請求項5】
前記識別部にて異色玉が識別されたことを警報する警報手段を設けていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のパチンコ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−261468(P2009−261468A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−111665(P2008−111665)
【出願日】平成20年4月22日(2008.4.22)
【出願人】(397054716)光ナノテック株式会社 (17)
【Fターム(参考)】