説明

パチンコ遊技機のノイズ防止方法及びパチンコ遊技機

【課題】 パチンコ遊技機の裏面側における目視確認の作業性を損なうことなく有効なノイズ防止を可能にする。
【解決手段】 遊技機本体2と、遊技機本体2の裏面側を覆う複数の遮蔽部材22とを備え、遮蔽部材22は、電磁シールド材料からなり、暖簾状に垂下するように遊技機本体2に支持されていることを特徴とするパチンコ遊技機1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ遊技機のノイズ防止方法及びパチンコ遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機は、遊技機本体の裏面側に種々の電子機器を備えることから、ホール設備や他の遊技機等から発生する電磁ノイズによる誤動作を防止するための対策が、従来から検討されている。例えば、特許文献1には、導電性のメッシュシートから構成されたノイズ除去シートが開示されており、このノイズ除去シートを、パチンコ遊技機の裏面側に配置された制御回路などを覆うように取り付けることが記載されている。
【特許文献1】特開2002−210180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一般に、パチンコ遊技機の裏面側は、ホール設置後に監視や点検などの作業が必要になるため、上記特許文献1の発明は、ノイズ除去シートをメッシュ状に構成することにより、ノイズ除去シートを介して遊技機の内部を視認できるように構成している。
【0004】
ところが、この構成によれば、監視や点検を行う際に、メッシュを構成する繊維がどうしても視界を遮ることになり、細部の確認に手間取るなどして作業に時間がかかるという問題があった。特許文献1には、ノイズ除去シートの一部にチャック等の開閉手段を設けることも記載されているが、多数併設されたパチンコ遊技機を順次確認していく場合において、遊技機毎に上記のような開閉手段を開閉するのは効率的でない。
【0005】
そこで、本発明は、パチンコ遊技機の裏面側における目視確認の作業性を損なうことなく有効なノイズ防止を可能にした、パチンコ遊技機のノイズ防止方法及びパチンコ遊技機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の前記目的は、電磁シールド材料からなる複数の遮蔽部材を、パチンコ遊技機の裏面側を覆うように暖簾状に垂下させることを特徴とするパチンコ遊技機のノイズ防止方法により達成される。
【0007】
また、本発明の前記目的は、遊技機本体と、前記遊技機本体の裏面側を覆う複数の遮蔽部材とを備え、前記遮蔽部材は、電磁シールド材料からなり、暖簾状に垂下するように前記遊技機本体に支持されていることを特徴とするパチンコ遊技機により達成される。
【0008】
このパチンコ遊技機において、前記遮蔽部材は、金属製のチェーンからなることが好ましい。
【0009】
また、このパチンコ遊技機は、前記遊技機本体に取り付けられ前記遮蔽部材の下部を囲繞する規制枠体を備えることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パチンコ遊技機の裏面側における目視確認の作業性を損なうことなく有効なノイズ防止を可能にした、パチンコ遊技機のノイズ防止方法及びパチンコ遊技機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実態の形態について添付図面を参照して説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の上面図及び裏面図である。
【0012】
図1及び図2に示すように、パチンコ遊技機1は、中枠11の表面側に遊技盤(図示せず)が取り付けられた遊技機本体2が、ヒンジを介して外枠6に回動自在に取り付けられている。本実施形態のパチンコ遊技機1は、遊技機本体2の裏面側上部に、コ字状に形成された支持枠体21が設けられ、この支持枠体21に、電磁ノイズを遮断する複数の遮蔽部材22が支持されて構成されている。
【0013】
図3は、支持枠体21及び遮蔽部材22を備える前のパチンコ遊技機の裏面図である。図3に示すように、遊技機本体2の裏面には、遊技者に払い出す賞球を備蓄する賞球タンク31が上部に設けられており、賞球タンク31に貯留された球は、タンクレール32を介して払い出し装置33に供給され、球流路34を介して表面側の遊技盤12に送られる。
【0014】
また、遊技機本体2の裏面におけるタンクレール32の下方には、それぞれケーシングに収容された主基板35、電源基板36及び払い出し基板37を備えている。主基板35は、電源基板36からの電源投入により払い出し基板37に命令を与える。払い出し基板37は、主基板35からの命令に基づき払い出し装置33の作動を制御する。
【0015】
本実施形態のパチンコ遊技機1においては、図2に示すように、金属製の支持枠体21がタンクレール32を囲繞する位置で水平に延びるように取り付けられており、遮蔽部材22は、支持枠体21から暖簾状に垂下するように支持されている。こうして、各種基板35,36,37等の側面側及び裏面側が、複数の遮蔽部材22によって覆われている。
【0016】
遮蔽部材22は、アルミニウム、鉄、銅などの導電性を有する金属製のリングチェーンであり、各リングが平面状に連結されている。リングの形状や大きさは特に限定されないが、中空部が大きくなりすぎると電磁ノイズの遮断効果が十分でなくなることから、例えば、円形リングの場合には内径を3〜10mm程度とするのが好ましい。
【0017】
遮蔽部材22は、上端が金属製の支持枠体21に固定された状態で、下端が各種基板35,36,37よりも下方まで延びており、支持枠体21を介してアース接続されている。各遮蔽部材22は、隣接するもの同士が接触する状態で、支持枠体21の全体に亘って配置されている。
【0018】
以上のように構成されたパチンコ遊技機1によれば、遊技機本体2の裏面側が複数の遮蔽部材22により覆われているので、外部からの電磁ノイズの侵入を遮蔽部材22によって防止することができ、各種基板35,36,37の誤動作を有効に防止することができる。
【0019】
また、裏面側の監視や点検を行う場合において、特に確認が必要な部分の目視を、図4に示すように、手などで遮蔽部材22を掻き分けることにより容易に行うことができると共に、確認後は掻き分けた手を離すだけで、遮蔽部材22をもとの垂下状態に戻すことができる。したがって、目視確認作業を容易且つ迅速に行うことができる。
【0020】
本実施形態においては、遮蔽部材22が金属製のチェーンから構成されているので、遮蔽部材22を大きく掻き分けて十分な視界を確保することができると共に、確認後は遮蔽部材22を自重によりもとの状態に確実に戻すことができる。また、遊技機本体2の裏面側が、隣接する遮蔽部材22同士の隙間以外に、遮蔽部材22のチェーンを構成するリングの中空部を介して露出するため、露出部が多くなることによって、各種基板35,36,37等から発生する熱の放熱性を良好にすることができると共に、確認作業の内容によっては遮蔽部材22を掻き分ける作業も不要になるという利点を有する。更に、金属製のチェーンからなる遮蔽部材22を、支持枠体21を介して遊技機本体2に取り付けることにより、外枠6に対する遊技機本体2の回動動作時に遮蔽部材22同士の接触音を生じさせることができるので、例えば、遊技機本体2の裏面側における基板の不正な改変などを未然に防止することができる。
【0021】
以上、本発明の一実施形態について詳述したが、本発明の具体的な態様は上記実施形態に限定されない。例えば、図5に示すように、支持枠体21と同様にコ字状に形成された規制枠体41を遊技機本体2の裏面側に取り付けて、遮蔽部材22の下部を規制枠体41によって囲繞するように構成してもよい。この構成によれば、外枠6に対して遊技機本体2を勢いよく開閉させた場合でも、規制枠体41が遮蔽部材22の下部と接触して遮蔽部材22の揺動を規制することができるので、遮蔽部材22が外枠6と遊技機本体2との間に挟まったり、遊技機本体2と衝突して損傷するのを防止することができる。尚、図5において、図2と同様の構成部分には同一の符号を付している。
【0022】
遮蔽部材22は、電磁波に対してシールド性を有する電磁シールド材料からなるものであれば本実施形態の構成に限定されず、例えば、金属製の棒材を波状や螺旋状に湾曲したもの、帯状や線状の樹脂基材に導電性薄膜や導電性粉末を担持させたもの、導電性繊維を用いてブラシ状に形成したもの等を、遮蔽部材22として使用することができる。また、本発明における「暖簾状に垂下」とは、上端部が固定された状態で掻き分け可能に吊り下げられていればよく、下端が自由端とされた構成以外に、弾性伸縮体からなる遮蔽部材22の下端部が固定された構成であってもよい。
【0023】
また、本実施形態においては、遮蔽部材22が支持枠体21を介して遊技機本体2に支持されているが、図6に示すように、外枠6の裏面側上部に、支持枠体61などを介して遮蔽部材22が取り付けられた構成であってもよく、例えば、遊技機本体2の裏面側の目視確認作業を、遊技機本体2を回動させずに外枠6の裏面側で行うことができる場合において、有効である。
【0024】
また、本実施形態においては、遊技機本体2の裏面側の略全体を遮蔽部材22により覆っているが、裏面側においてノイズ対策が必要な一部のみを遮蔽部材22で覆うように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るパチンコ遊技機の上面図である。
【図2】図1に示すパチンコ遊技機の裏面図である。
【図3】図2に示すパチンコ遊技機において支持枠体及び遮蔽部材を備える前の状態を示す裏面図である。
【図4】図1に示すパチンコ遊技機において、遮蔽部材を掻き分けた状態を示す裏面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るパチンコ遊技機の裏面図である。
【図6】本発明の更に他の実施形態に係るパチンコ遊技機の裏面図である。
【符号の説明】
【0026】
1 パチンコ遊技機
2 遊技機本体
6 外枠
21 支持枠体
22 遮蔽部材
35 主基板
36 電源基板
37 払い出し基板
41 規制枠体








【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁シールド材料からなる複数の遮蔽部材を、パチンコ遊技機の裏面側を覆うように暖簾状に垂下させることを特徴とするパチンコ遊技機のノイズ防止方法。
【請求項2】
遊技機本体と、前記遊技機本体の裏面側を覆う複数の遮蔽部材とを備え、
前記遮蔽部材は、電磁シールド材料からなり、暖簾状に垂下するように前記遊技機本体に支持されていることを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、金属製のチェーンからなる請求項2に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】
前記遊技機本体に取り付けられ、前記遮蔽部材の下部を囲繞する規制枠体を備える請求項2又は3に記載のパチンコ遊技機。











【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−54089(P2007−54089A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239370(P2005−239370)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000121693)奥村遊機株式會社 (978)
【Fターム(参考)】