説明

パチンコ遊技機

【課題】 遊技者個人の技量も出来の良し悪しに介入するようにするなどパチンコ遊技機の興趣を増大させる。
【解決手段】 所定条図柄変動表示器2に偶然性をもって特定の図柄が表示されることで大当たりが発生し、可変入賞装置7を継続的に開成状態とする大当たり処理がなされ、さらにこの大当たり処理が終了した後には遊技者にとって有利な所定の特典が付与されるようにしたパチンコ遊技機において、発射打球数をカウントする発射打球数計数手段26を設け、大当たり処理に関連し以降に発射された打球数が所定個数に達したときを契機として上記特典付与状態を終了させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、遊技盤に設けられたカラー液晶表示器等の図柄変動表示器に偶然性をもって特定の図柄が表示されることで大当たりが発生し、可変入賞装置を継続的に開成状態とする大当たり処理がなされ打球が非常に入賞し易くなるように構成されたパチンコ遊技機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】「フィーバー機」と称される第1種パチンコ遊技機は、周知のように、遊技盤面にカラー液晶表示器,CRT等の図柄変動表示器が設けられ、遊技者の打った打球がチューリップ型の始動口に入ると、該図柄変動表示器に1〜8の数字および☆◆◎等の記号またはキャラクター等の図柄が夫々上下または左右に流れる如くに複数列(通常は3列)にて変動表示され、その表示の変動は数秒後に順に停止し、その停止図柄が所定の確率(1/251程度)で偶然性をもって例えば「222」,「777」,「☆☆☆」のように各列とも同じ図柄となった場合に大当たりとなり、可変入賞装置(大入賞口)の開閉扉がソレノイドの作動により開成状態となるようにしたもので、その開成状態の可変入賞装置に打球が所定個数(通常は10個)入球するか、または開成状態で所定制限時間(通常は30秒)が経過すると、いわゆる第1ラウンドが終わって該可変入賞装置は一旦は閉じるが、この第1ラウンド中に該可変入賞装置内に設けられている継続入賞口(Vゾーンと称される)に打球が入球していた場合には第2ラウンドが始まってすぐにまた該可変入賞装置が開かれ、開成状態となった可変入賞装置にまた打球が所定個数(通常は10個)入球するか、または開成状態で所定制限時間(通常は30秒)が経過すると、第2ラウンドが終わって該可変入賞装置はまた閉じるが、その第2ラウンド中にまた継続入賞口に打球が入球していた場合には第3ラウンドが始まりすぐにまた該可変入賞装置が開かれ、こうして各ラウンド中に継続入賞口に打球が入賞したことを条件として最終ラウンド(例えば第16ラウンド)になるまで該可変入賞装置が継続的に開かれ、こうした大当たり処理の期間中は該可変入賞装置に打球が極めて入り易い状況が続くことから、多数の景品球を獲得できて遊技者に多くの利益がもたらされるように構成されたものである。
【0003】ところでこの種のパチンコ遊技機では、本出願人の特許第2744964号,特許第2767031号等に示されるように、大当たり動作が終了した後に抽選が行われ、その結果がアタリであった場合には、大当たり発生の確率を上昇させたり、或いは前記チューリップ型の始動口の開成時間を延長させ始動条件を成立し易くするなどの特典が付与され、大当たり処理終了後も遊技者にとって有利な状況が一定期間続くようにしたものが知られている。さらに特許第3004594号は、このように大当たり発生確率を上昇させることによる弊害が解消されるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これら従来のパチンコ遊技機では、上記特典付与状態は、図柄変動表示器の図柄変動回数(始動回数)が所定回数となると終了するようにするのが一般的で、一定時間経過すると終了したり、所定図柄が出現すると終了するなど提案もなされていた。しかし、これらの特典付与状態を終了させる契機は、遊技者個人の技量が介入する余地はなく、全くの偶然性により良し悪しが決まるものであったので、努力の甲斐が無く、このようなパチンコ遊技機を良しとしない遊技者もあった。そこで本発明は、特典付与状態を終了させる契機として新たな条件を提案し、パチンコ遊技機の興趣を増大させようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】そのために本発明のパチンコ遊技機は、図柄変動表示器に偶然性をもって特定の図柄が表示されることで大当たりが発生し、可変入賞装置を継続的に開成状態とする大当たり処理がなされ、さらにこの大当たり処理が終了した後には遊技者にとって有利な所定の特典が付与されるようにしたパチンコ遊技機において、発射打球数をカウントする発射打球数計数手段を設け、大当たり処理に関連し以降に発射された打球数が所定個数に達したときを契機として上記特典付与状態を終了させるようにしたことを特徴とする。また本発明は上記パチンコ遊技機において、特典付与状態を終了させる発射打球数が大当たりを発生させた図柄に応じて設定されるようにしたことを特徴とする。また本発明は上記パチンコ遊技機において、特典付与状態を終了させる発射打球数を抽選により設定する手段を設けたことを特徴とする。また本発明は上記パチンコ遊技機において、大当たり処理が終了した後に図柄変動表示器に特典付与状態を終了させる発射打球数を抽選する画像が表示されるようにしたことを特徴とする。また本発明は上記パチンコ遊技機において、特典は大当たり発生確率が高確率となるものであることを特徴とする。また本発明は上記パチンコ遊技機において、特典は図柄変動表示器の表示図柄を始動し易くするものであることを特徴とする。
【0006】
【発明の実施の形態】次に発明の実施形態を図面に従い説明する。図1にこのパチンコ遊技機における遊技盤1の正面を示し、図中、2は該遊技盤1上に設けられたカラー液晶表示器からなる図柄変動表示器、3は普通入賞口、4は通過ゲート、5はソレノイドにより一対の羽根6が開閉動し得るように設けられたチューリップ型の始動口である。7は該始動口5の下方に設けられた大きな長方形状の大入賞口からなる可変入賞装置で、該可変入賞装置7にはソレノイドの作動により開閉動する開閉扉8が設けられ、該可変入賞装置7内には継続入賞口9が設けられている。なお、10は図柄変動表示器2が変動表示中に始動口5に打球が入賞した場合にその個数を記憶し始動を保留するために設けた4つの表示ランプ、11は通過ゲート4を打球が通過することにより変動開始する普通図柄変動表示器(7セグメントデジタル表示装置)、12は該普通図柄変動表示器11が変動表示中に通過ゲート4に打球が通った場合にその個数を記憶し変動表示を保留するために設けられた4つの表示ランプである。
【0007】また、図2はCPU,ROM,RAM,I/Oからなる遊技制御基板に接続される本発明に関連する入出力機器を示したブロック図で、20は通過ゲート4を通過した打球を検出する通過検出スイッチ、21は始動口5に入賞した打球を検出する始動スイッチ、22は前記可変入賞装置7への入賞球を計数するカウントスイッチ、23は前記継続入賞口9への入賞球を検出する特定領域スイッチであり、該遊技制御基板にはさらに前記図柄変動表示器2と、普通図柄変動表示器11と、可変入賞装置7のソレノイド24と、始動口5の羽根6を開閉動させるソレノイド25が接続されているほか、発射打球検出スイッチ26が接続されている。この発射打球検出スイッチ26は、図1に示したように、遊技盤1に設けられた発射レール13の先端部に設けることで該遊技盤の遊技領域に発射された打球を検出する。
【0008】次に請求項2に記載の発明に係るこのパチンコ遊技機の作動を図3,図4のフローチャートに従い説明する。図3のステップaに示す発射打球検出処理では、図4のサブルーチンに示したように、ステップAにて前記発射打球検出スイッチ26による発射打球検出信号が得られた場合にステップBにて特典付与数Tの有無が検査され特典付与がある場合はステップCにてT−1が実行されリターンする。そしてステップb,c,dにてまた特典付与数Tの有無により特典付与状態フラグをオンし図柄変動表示器2に特典遊技状態を表示し、または特典付与状態フラグをオフする。
【0009】また、ステップeにて始動スイッチ21による始動口5への打球の入球が検知され始動条件が成立すると、ステップfに移行して乱数が取得され図柄変動表示器2に1〜8の数字および☆◆◎等の記号またはキャラクター等の図柄が3列にて上から下に流れる如くに変動表示される。そしてステップgにて特典付与状態フラグのオン,オフが判別され、その結果でステップh,iまたはステップj,kを経てステップl,mに移行することで、高確率(1/60)で短時間変動または通常確率(1/251)通常時間変動させ変動停止させる。そしてステップnにて例えば「222」,「777」,「☆☆☆」のように各列とも同じ図柄となったかどうかが判定され、各列とも同じ図柄になった場合に大当たりが発生し、ステップoにて所定の大当たり処理がなされ可変入賞装置7の開閉扉をソレノイド24の作動により継続的に開成状態とし、さらに継続入賞口9への入賞を条件として第16ラウンドまで繰り返し該可変入賞装置7を開成状態とすることでこの大当たり処理の期間に多数の打球が入賞し得るようになる。
【0010】そして上記大当たり処理が終了すると、ステップp〜uにて上記大当たりを発生させた停止図柄に応じて特典が付与される。即ち、大当たりを発生させた停止図柄が、「3」または「7」であった場合は上記特典付与数Tに10000が代入され、「1」または「5」または「9」であった場合は特典付与数Tに2000が代入され、「0」,「2」,「4」,「6」,「8」のいずれかであった場合は特典付与数Tに0が代入され、ステップaにリターンする。そして特典付与数Tが付与された場合、特典付与状態フラグがオンされ高確率,短時間変動となるが、この特典付与数Tは図4のサブルーチンに示した発射打球数計数手段によって打球が発射される度に減少し、T=0になると特典付与状態フラグがオフされ通常確率,通常時間変動となる。このため、大当たり処理が開始されたとき以降に発射された打球数が夫々10000個,2000個に達するとこの特典付与状態が終了する。
【0011】このため遊技者は、特典付与状態ができるだけ長期間続くように、打球を無駄には発射できなくなり、なるべく少ない打球で始動口5へ入球させ、大当たりを発生させる機会が多く得られるようにするなど遊技者個人の技量が反映されるようになる。
【0012】以上の実施形態では、特典付与状態を終了させる発射打球数が大当たりを発生させた図柄に応じて設定されるようにしたが、図柄変動表示器2に図5や図6R>6に例示したような抽選により設定する手段を表示し、その結果で特典付与状態を終了させる発射打球数が設定されるようにしてもよい。図5はルーレットの如くの動画像が表示され、その停止時に指針が指し示す数字が特典付与状態を終了させる発射打球数に設定されるものであり、図6は回転ドラムによって同様に決定されるようにしたものである。また、図7の(イ)(ロ)に示した例は4桁の数字変動するデジタルメータを図柄変動表示器2に表示させその停止時の数字によって発射打球数が設定されるようにしたものである。
【0013】そして図8は上記のような抽選により発射打球数が設定される場合のフローチャートを示したもので、このフローチャートでは、ステップa〜nは図3と同様で、ステップoの大当たり処理が終わった後、ステップvにて図柄変動表示器2にルーレット等の抽選手段が表示され、ステップwにてその回転が停止し、ステップxにて指針が指し示す数字が特典付与数Tに代入されることから、この抽選結果に応じた発射打球数を契機として特典付与状態が終了するようになる。
【0014】また、大当たり処理が終わった後の図柄変動表示器2が最初に図柄変動を開始し停止したときの表示数字が特典付与状態を終了させる発射打球数に設定されるようにしてもよい。例えば図柄変動表示器2が大当たり処理終了後第1回目の変動で「787」で停止したら特典付与数Tに787が代入されるようにしてもよい。或いは、左列の停止数字の100倍(この場合700)が特典付与数Tに代入されるようにしたり、特定のキャラクターが停止した場合に所定数が代入されるようにするなど自在に設定できる。
【0015】なお、これらの実施形態では特典として大当たり発生確率を高確率にするものとしたが、特典はこのように確率を変動させることに限らず、他の手段、例えば、始動口5の羽根6の開放時間を通常より長くすることで該始動口への入球を容易し、図柄変動が頻繁に行われるようにすることで遊技者にとって有利になるようなものとしてもよい。即ち、始動口5の羽根6は、常態では普通図柄変動表示器11の変動後の停止数字が奇数であるとソレノイド31により0.5秒間開かれるように設定されているが、特典付与状態では5秒間開かれるように設定することで遊技者にとって有利となる。なお、普通図柄変動表示器11の変動は前記通過ゲート4への入球によって開始される。
【0016】なお、この実施形態では発射打球数計数手段として発射打球検出スイッチ26を発射レール13の先端部に設け例を示したが、打球発射装置およびファール球通路に球検出スイッチを設けその差として発射打球が計数されるようにしてもよい。また、アウト球と入賞球との和を計数することによっても発射打球を計数することができる。
【0017】
【発明の効果】このように本発明のパチンコ遊技機は、図柄変動表示器に偶然性をもって特定の図柄が表示されることで大当たりが発生し、可変入賞装置を継続的に開成状態とする大当たり処理がなされ、さらにこの大当たり処理が終了した後には遊技者にとって有利な所定の特典が付与されるようにしたパチンコ遊技機において、発射打球数をカウントする発射打球数計数手段を設け、大当たり処理に関連し以降に発射された打球数が所定個数に達したときを契機として上記特典付与状態を終了させるようにしたので、遊技者個人の技量も出来の良し悪しに介入するようになるなどパチンコ遊技機の興趣を増大させる顕著な効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の遊技盤の実施形態を示す正面図。
【図2】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示すブロック図。
【図3】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示すフローチャート。
【図4】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示すフローチャート。
【図5】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示す抽選画像の例示図。
【図6】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示す抽選画像の例示図。
【図7】本発明に係るパチンコ遊技機の実施形態を示す抽選画像の例示図。
【図8】本発明に係るパチンコ遊技機の他の実施形態を示すフローチャート。
【符号の説明】
1 遊技盤
2 図柄変動表示器
5 始動口
7 可変入賞装置
26 発射打球検出スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 図柄変動表示器に偶然性をもって特定の図柄が表示されることで大当たりが発生し、可変入賞装置を継続的に開成状態とする大当たり処理がなされ、さらにこの大当たり処理が終了した後には遊技者にとって有利な所定の特典が付与されるようにしたパチンコ遊技機において、発射打球数をカウントする発射打球数計数手段を設け、大当たり処理に関連し以降に発射された打球数が所定個数に達したときを契機として上記特典付与状態を終了させるようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】 特典付与状態を終了させる発射打球数が大当たりを発生させた図柄に応じて設定されるようにした請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】 特典付与状態を終了させる発射打球数を抽選により設定する手段を設けた請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項4】 大当たり処理が終了した後に図柄変動表示器に特典付与状態を終了させる発射打球数を抽選する画像が表示されるようにした請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項5】 特典は大当たり発生確率が高確率となるものである請求項1〜4のいずれかに記載のパチンコ遊技機。
【請求項6】 特典は図柄変動表示器の表示図柄を始動し易くするものである請求項1〜4のいずれかに記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【図5】
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【図8】
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