説明

パチンコ遊技機

【課題】右打ち遊技終了後に左打ち遊技を行うために、発射ユニットのハンドルリングを左打ち遊技の球発射位置まで戻したときに球突きが発生するのを防止する。
【解決手段】遊技者が回動可能なハンドルリングを有する発射ハンドル部5と、発射誘導レールを介して遊技盤の遊技領域に遊技球を発射する発射機構部90と、遊技盤の遊技領域の右側を狙った右打ち遊技の有無を検出する右打ち検出スイッチ42と、右打ち検出スイッチ42により右打ち遊技が検出された状態から右打ち遊技が検出されなくなったときに、発射機構部90から発射される遊技球の発射周期を所定期間、第1の周期より長い第2の周期に設定する制御を行う発射制御部56とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパチンコ遊技機に関わり、特に遊技者が遊技盤の右側領域を狙って遊技球を発射する右打ち遊技を行う必要があるパチンコ遊技機に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機には、遊技盤の遊技領域に向けて遊技球を発射する球発射装置が設けられており、球発射装置から発射された遊技球は、発射誘導レールを介して遊技盤の遊技領域に誘導される。
球発射装置には、遊技者が操作可能な発射ハンドルが設けられており、遊技者が発射ハンドルのハンドルリングを時計回り方向に回動することによって、球発射装置から遊技球が発射される。球発射装置は、ハンドルリングの時計回り方向の回動量に比例して徐々に発射力が強くなるように構成されている。
また、近年のパチンコ遊技機には、大入賞口が遊技盤の右側領域に配置されたものがある(特許文献1)。
例えば、特許文献1には、通常遊技時は遊技盤の左側領域を狙って遊技球を発射させる左打ち遊技を行う一方、大当たり等の特別遊技時は遊技盤の右側領域を狙って遊技球を発射させる右打ち遊技を行うようにしたパチンコ遊技機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−340895公報
【特許文献2】特開2007−666公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したような右打ち遊技を行う必要があるパチンコ遊技機では、遊技者が左打ち遊技(通常遊技)を行う場合は、発射ハンドルのハンドルリングを時計回り方向に所定量だけ回動する。これに対して、遊技者が右打ち遊技を行う場合は、発射ハンドルのハンドルリングを時計回り方向に最大限に回動するようにしていた。
ところで、右打ち遊技終了後は、遊技者は時計回り方向に最大限に回動していたハンドルリングを、時計回り方向に所定量だけ回動した位置まで反時計回り方向に戻すことになるが、このときハンドルリングの戻し量が大きいと球発射装置から発射された遊技球が遊技盤の遊技領域に到達しないで、発射誘導レール上を戻ってくる場合があった。このような遊技球(戻り球)は、ファール球とも呼ばれ、通常はファール通路を通って遊技球を貯留する受け皿部に戻されることになる。
しかしながら、この戻り球が外レールからファール通路へ移動する前に、球発射装置から次の遊技球が発射されると、ファール球が次に発射された遊技球と発射誘導レール上で衝突し、いわゆる球突きが発生して遊技者に不快感を与えるという問題点があった。
【0005】
発射誘導レールにおける球突き防止ないし抑制を目的とした先行技術文献としては、例えば特許文献2等がある。
特許文献2には、組み合わせ式弾性遊技機等の遊技機において、発射操作装置の操作に伴い、最初の遊技球の発射から発射球数が多くなるにしたがって、発射間隔を短く設定し、且つ所定球数目に一定の発射間隔になるように設定することが開示されている。
しかしながら、特許文献2の遊技機は、発射操作装置を操作したときに最初に発射される遊技球から発射球数のカウントを行うようにしているので、発射ハンドル部のハンドルリングを右打ち遊技から左打ち遊技に戻したときに発生する球突き防止ないし抑制することができないという問題点があった。
本発明は、上記したような点を鑑みてなされたものであり、右打ち遊技終了後に左打ち遊技を行うために、球発射装置のハンドルリングを左打ち遊技の球発射位置まで戻したときに球突きが発生するのを防止できるパチンコ遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、以下の形態により実現することが可能である。
即ち、本発明の第1の形態は、所定遊技状態のときに遊技盤の遊技領域の右側を狙って遊技球を発射するように構成されたパチンコ遊技機において、遊技者が回動可能なハンドルリングを有する発射ハンドル部と、発射誘導レールを介して前記遊技盤の遊技領域に遊技球を発射する発射手段と、前記ハンドルリングの操作量に応じて前記発射手段の発射力を制御する発射力制御手段と、前記遊技盤の遊技領域の右側を狙った右打ち遊技の有無を検出する右打ち検出手段と、前記右打ち検出手段により右打ち遊技が検出された状態から右打ち遊技が検出されなくなったときに、前記発射手段から発射される遊技球の発射周期を所定期間、第1の周期より長い第2の周期となるように制御する発射制御手段と、を備えたことを特徴とする。
第1の形態によれば、右打ち検出手段により右打ち遊技が検出された状態から右打ち遊技が検出されなくなったときに、発射制御手段により発射手段から発射される遊技球の発射周期を所定期間、第1の周期より長い第2の周期に設定する制御を行うことで、遊技者がハンドルリングを右打ち遊技位置から左打ち遊技位置まで戻したときは所定期間、発射手段から発射される遊技球の発射周期を長くすることが可能になる。
【0007】
本発明の第2の形態は、発射制御手段は、前記第1の周期のタイミング信号と、前記第2の周期のタイミング信号を発生可能なタイミング信号発生手段と、前記タイミング信号発生手段を制御するタイミング制御手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の第3の形態は、前記右打ち検出手段は、前記ハンドルリングが最大回動位置にあるか否かにより右打ち遊技の有無を検出することを特徴とする。
第3の形態によれば、右打ち検出手段は、ハンドルリングが最大回動位置にあるか否かにより右打ち遊技の有無を検出することで遊技者の右打ち遊技を確実に検出することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、遊技者が発射ハンドル部のハンドルリングを右打ち遊技位置から左打ち遊技位置に戻したときに、ハンドルリングを戻しすぎて発射手段から発射された遊技球が遊技盤の遊技領域に到達せずに戻り球になったとしても、戻り球が発射誘導レールにある間は、発射手段から次の遊技球が発射されることがないので、遊技者がハンドルリングを右打ち遊技位置から左打ち遊技位置に戻したときに発生する遊技球の球突きを防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図である。
【図2】本実施形態のパチンコ遊技機全体の遊技制御を行う遊技制御装置の構成を示したブロック図である。
【図3】発射ユニットの概略構成を示した図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
【図4】発射ハンドル部の外観構成の一例を示した図であり、(a)は未回動時の概略斜視図、(b)は右打ち時の概略斜視図である。
【図5】本実施形態のパチンコ遊技機に備えられている受け皿部と球送り機構部との配置関係を示した図であり、(a)は受け皿部の概略図、(b)は裏面図、(c)は右側面図である。
【図6】球送り機構部の動作説明図であり、(a)は球送りソレノイド作動前、(b)は球送りソレノイド作動時、(c)は球送りソレノイド作動後の態様をそれぞれ示した図である。
【図7】発射機構部の動作説明図であり、(a)は発射ソレノイド未通電時、(b)は発射ソレノイド通電時の態様をそれぞれ示した図である。
【図8】発射ユニットの構成を示したブロック図である。
【図9】(a)は第1制御信号S1が入力されたときにタイミング信号発生回路から出力されるタイミングパルスの周期を示した図、(b)は第2制御信号S2が入力されたときにタイミング信号発生回路から出力されるタイミングパルスの周期を示した図である。
【図10】発射制御部が実行する処理の一例を示したフローチャートである。
【図11】右打ち検出スイッチを備えた発射ハンドル部の内部構成を示した図であり、(a)は未回動時の裏面斜視図、(b)は未回動時の裏面図、(c)は右打ち時の裏面斜視図、(d)は右打ち時の裏面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本発明の実施形態に係るパチンコ遊技機の全体正面図である。
この図1に示すパチンコ遊技機1は、矩形形状の枠2を有し、この枠2の窓孔に対して
遊技盤10が着脱可能に取り付けられている。
遊技盤10の前面側には、図示しないガラス枠が開閉可能に取り付けられている。
ガラス枠の下部には、遊技球を貯留する受け皿部3と、この受け皿部3の遊技球を発射する発射ハンドル部5等が取り付けられている。
発射ハンドル部5には、遊技者が回動可能なハンドルリング31が設けられている。
受け皿部3の上面には、例えば遊技者自身に操作を行わせて遊技に対する参加感を演出する演出ボタン4が設けられている。更に、受け皿部3の上面には、図示しないが遊技球の購入ボタン、購入取り消しボタン、受け皿部3内の遊技球を下方から外部に抜くための球抜きボタン等が設けられている。
【0011】
遊技盤10の裏面には、液晶画面、主制御基板とサブ制御基板等、遊技の進行、演出に関わる裏部品を組み付けた合成樹脂製の機構板(何れも図示せず)が装着されている。
遊技盤10における遊技領域10aの周囲には、発射誘導レールである外レールR1及び内レールR2が設けられている。これら外レールR1及び内レールR2は、発射ハンドル部5のハンドルリング31を操作したときに後述する発射機構部から発射された遊技球を遊技領域10aの上部に案内したり、アウト口18に案内したりする。
ガイドレールR1の右上部分には、ガイドレールR1に沿って遊技領域内に発射された遊技球を跳ね返す返しゴムユニット6が取り付けられている。
遊技盤10のほぼ中央には、画像表示器11が配置されている。画像表示器11は、例えば、液晶表示装置等の液晶表示パネルにより構成され、通常動作状態の時は、特別図柄に応じた装飾図柄、例えば数字図柄、アルファベット図柄、キャラクター図柄等の画像が表示される。また、所謂リーチ状態や特別遊技状態の時は、それぞれの遊技状態であることを示す演出画像等も表示される。
【0012】
画像表示器11の下方には、変動入賞装置12が配置されている。変動入賞装置12は、上始動口13と、左右一対の開閉爪(可動片)を有する電動式チューリップ(以下、「電チュー」と称する)14とを備えている。上始動口13の内部には、特別図柄表示器21の特別図柄を変動表示する権利を発生させる第1始動口スイッチ(SW)が設けられている。また電チュー14の内部には、特別図柄表示器22の特別図柄を変動表示する権利を発生させる第2始動口スイッチ(SW)14aが設けられている。なお、上始動口13と電チュー14の始動口スイッチは共有してもよい。
また画像表示器11の左側には、後述する普通図柄表示器23を作動させるためのゲート15が設けられている。ゲート15は、その内部にゲートスイッチ(SW)15aが設けられており、遊技球がゲートSW15aを通過したときは、普通図柄表示器23の普通図柄が所定時間作動して停止するようになっている。
普通図柄表示器23の普通図柄が所定態様で停止した場合は、電チュー14が所定時間、開成動作するように構成されている。
画像表示器11の右側下方には、特別遊技状態のときに開成状態になる大入賞装置の大入賞口16が配置されている。
更に遊技盤10の遊技領域10aには、普通入賞口17が設けられていると共に、風車や図示しない多数の遊技釘が突設されている。遊技釘は、遊技球の落下速度を遅くすると共に、落下方向を複雑に変化させて遊技進行上の興趣を高めている。
【0013】
遊技盤10の右側下方の遊技領域外には、第1特別図柄の変動と表示を行う第1特別図柄表示器21、第2特別図柄の変動と表示を行う第2特別図柄表示器22、及び普通図柄の変動と表示を行う普通図柄表示器23が配置されている。第1特別図柄表示器21及び第2特別図柄表示器22は、特別図柄を変動表示させ所定時間経過後に当該変動表示を静止させることにより当たりに当選したか否か表示する。
第1特別図柄保留ランプ24は、第1特別図柄の変動表示を開始させる権利(保留球)の保留個数を表示する。第2特別図柄保留ランプ25は、第2特別図柄の変動表示を開始させる権利の保留個数を表示する。
普通図柄保留ランプ26は、普通図柄が変動中に遊技球がゲート15を通過したときに、ゲート15の通過によって得られる普通図柄の変動表示を開始させる権利(例えば最大4個)の保留個数を表示する。
なお、本実施形態では、第1特別図柄表示器21、第2特別図柄表示器22、普通図柄表示器23、第1特別図柄保留ランプ24、第2特別図柄保留ランプ25、及び普通図柄保留ランプ26を、遊技盤10の遊技領域外に配置するようにしているが、これはあくまでも一例であり、遊技盤10の遊技領域10a内に配置することも勿論可能である。
【0014】
このように構成される本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技者は、大入賞装置の大入賞口16が開放状態となる大当たり遊技状態の時は、大入賞口16が配置されている遊技盤10の右側領域を狙って遊技球を発射する右打ち遊技を行い、大当たり遊技以外の遊技状態のときは遊技盤10の左側領域を狙って遊技球を発射する左打ち遊技を行うことで、最も効率的に遊技を楽しむことができるように構成されている。
なお、本実施形態では、大当たり遊技状態のときのみ右打ち遊技を行う場合を例に挙げて説明したが、ゲート15及び電チュー14を遊技盤10の右側領域に配置すれば、電チュー14への遊技球の入賞確率が高くなる時短遊技状態のときに右打ち遊技を行う構成とすることが可能になる。
【0015】
図2は、本実施形態のパチンコ遊技機全体の遊技制御を行う遊技制御装置の構成を示したブロック図である。
この図2に示す遊技制御装置には、主制御基板として、遊技の進行を制御するメイン制御基板111が設けられている、また副(サブ)制御基板として、演出制御基板121、画像制御基板131、ランプ制御基板141、払出制御基板151等が設けられている。
メイン制御基板111は、CPU112、ROM113、及びRAM114を有し、当該パチンコ遊技機の主たる制御を行う。
メイン制御基板111には、上始動口13に設けられた第1始動口SW13a、電チュー14に設けられた第2始動口SW14a、電チュー14を開閉動作させるための電チューソレノイド14b、ゲート15に設けられたゲートSW15a、大入賞口16に入賞した遊技球を検出する大入賞口SW16aが接続されている。また大入賞口16の開閉扉を開閉動作させるための大入賞口ソレノイド16b、普通入賞口SW17a、第1特別図柄保留ランプ24、第2特別図柄保留ランプ25、普通図柄保留ランプ26、第1特別図柄表示器21、第2特別図柄表示器22、普通図柄表示器23等が接続されている。またメイン制御基板111には、演出制御基板121及び払出制御基板151が接続されている。
【0016】
演出制御基板121は、CPU122、ROM123、RAM124、RTC(リアルタイムクロック)125を有し、遊技演出全体の制御を行う。このため、演出制御基板121には、画像制御基板131、ランプ制御基板141、及び演出ボタン4が接続されている。
画像制御基板131は、CPU132、ROM133、RAM134を有し、演出制御基板121の指示に基づいて画像及び音声の制御を行う。このため、画像制御基板131には、画像表示器11及びスピーカ101が接続されている。
ランプ制御基板141は、CPU142、ROM143、RAM144を有し、枠ランプ145や盤ランプ146、可動役物147等の制御を行う。
払出制御基板151は、CPU152、ROM153、RAM154を有し、遊技球を払い出す払出装置の払出駆動モータ155等の制御を行う。
また払出制御基板151には、技球を発射する発射ユニット30が接続されている。
【0017】
次に、図3乃至図8を用いて発射ユニットについて説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1は、受け皿部3の遊技球を遊技盤10の遊技領域10aに発射する発射ユニット30を備えている。
図3は、発射ユニットの概略構成を示した図であり、(a)は上面図、(b)は正面図である。
発射ユニット30は、発射ハンドル部5、発射制御基板50、球送りソレノイド60、球送り機構部70、発射ソレノイド80、及び発射機構部90等により構成される。
発射ハンドル部5には、ハンドルリング31の回動量(操作量)に応じて遊技球の発射力が変化する発射ボリューム41が内蔵されている。
また発射ソレノイド80には、発射機構部90の槌91が直結されている。
【0018】
図4は、発射ハンドル部の外観構成の一例を示した図であり、(a)は未回動時の概略斜視図、(b)は右打ち時の概略斜視図である。
発射ハンドル部5は、ハンドル本体となるハンドルベース30の筒状部30aがパチンコ遊技機1の前面において支持されている。
ハンドルベース30には、遊技者が遊技盤10の遊技領域に遊技球を発射する発射力を調整するハンドルリング31が取り付けられている。ハンドルリング31の外周には、概ね指一本分の間隔を離して複数の指掛部31a、31b、31c、31dが形成されている。また、ハンドルリング31の前面には、略半球殻状に形成されたハンドルキャップ32が取り付けられている。ハンドルリング31は、時計回り方向(X方向)に回転させることにより発射力が徐々に強くなるように構成されている。また、ハンドルリング31は、図示しないコイルバネにより常に図4(a)に示す未回動位置へ戻るように付勢されている。
【0019】
図5は、本実施形態のパチンコ遊技機に備えられている受け皿部と球送り機構部との配置関係を示した図であり、(a)は受け皿部の概略図、(b)は裏面図、(c)は右側面図である。
図5(a)〜(c)に示すように、受け皿部3には、球通路レール3aが形成されており、この球通路レール3aにより遊技球を一列に整列させるようにしている。球通路レール3aで一列に整列された遊技球は、図5(b)(c)に示すように受け皿部3の裏面側に設けられた球出口3bから球送り機構部70に供給される。
【0020】
図6は、球送り機構部の動作説明図であり、(a)は球送りソレノイド作動前、(b)は球送りソレノイド作動時、(c)は球送りソレノイド作動後の態様をそれぞれ示した図である。
球送りソレノイド60が未通電の場合は、図6(a)に示すように、球送りクランク61は、遊技球Pを球送り通路62の入口で停止させる角度に位置している。
次に、球送りソレノイド60が通電すると、図6(b)に示すように、球送りクランク61が回転し、遊技球Pを1個だけ球送り通路62に誘導する。
そして、球送りソレノイド60が通電されなくなると、図6(c)に示すように、球送りソレノイド60に設けられたバネ63の復元力により球送りクランク62が元の位置に戻る方向に回転し、球送り通路62内の遊技球Pを発射レール64に誘導するように構成されている。
【0021】
図7は、発射機構部の動作説明図であり、(a)は発射ソレノイド未通電時、(b)は発射ソレノイド通電時の態様をそれぞれ示した図である。
発射機構部90では、発射ソレノイド80が通電すると、図7(a)(b)に示すように、発射ソレノイド80に直結した槌91が回転し、槌91の先端部で発射レール64に供給された遊技球Pを叩くことにより遊技球Pが発射される。
一方、発射ソレノイドが通電されなくなると、槌91は自重とマグネット91の力により、図7(b)に示した位置から図7(a)に示した位置に戻るように構成されている。
【0022】
図8は、本実施形態の発射ユニットの構成を示したブロック図である。
この図8に示すように、発射ユニット30は、発射ハンドル部5、発射制御基板50、球送りソレノイド60、球送り機構部70、発射ソレノイド80、及び発射機構部90により構成される。
発射ハンドル部5には、上記図3(a)に示したように発射ボリューム41が内蔵されている。発射ボリューム41は、例えば可変抵抗器により構成され、ハンドルリング31の回動量(操作量)に応じて抵抗値が変化する。
また、本実施形態の発射ユニット30では、発射ハンドル部5の内部に右打ち検出スイッチ42が設けられている。右打ち検出スイッチ42は、遊技者が遊技盤10の右側の遊技領域を狙って遊技球を発射しているか否かを検出スイッチである。なお、右打ち検出スイッチの構成については後述する。
【0023】
発射制御基板50は、電圧比較回路51、レベル増幅回路52、球送りソレノイド駆動回路53、発射ソレノイド駆動回路54、タイミング制御部55、及びタイミング信号発生回路56等を備えて構成される。そして、タイミング制御部55とタイミング信号発生回路56とにより発射制御部(発射制御手段)57を構成している。
電圧比較回路51は、発射ボリューム41からの出力電圧を、所定電圧(例えば5V)と比較し、その差分電圧を操作電圧V1として出力する。
レベル増幅回路52は、電圧比較回路51から出力される操作電圧V1を後段の球送りソレノイド駆動回路53、及び発射ソレノイド駆動回路54の駆動電圧レベルに増幅して出力する。
球送りソレノイド駆動回路53は、レベル増幅回路52から駆動電圧V2が供給されたときに、タイミング信号発生回路56からのタイミング信号CKに基づいて、球送りソレノイド60を駆動する。これにより、球送りソレノイド60が作動して球送り機構部70が受け皿部3の遊技球を発射レール64に供給する球送り動作を行う。
発射ソレノイド駆動回路54は、レベル増幅回路52から駆動電圧V2が供給されたときは、タイミング信号発生回路56からのタイミング信号CKに基づいて、発射ソレノイド80を駆動する。これにより、発射ソレノイド80が作動して、発射機構部90により発射レール64に供給された遊技球Pの発射動作を行う。
【0024】
タイミング制御部55は、例えばCPU等により構成され、電圧比較回路51から操作電圧V1が入力されたときは、つまり発射ハンドル部5のハンドリング31が遊技者によって回動操作されたときは、後述する場合を除いてタイミング信号発生回路56に第1制御信号S1を出力する。
また、タイミング制御部55は、電圧比較回路51から操作電圧V1が入力され、且つ、右打ち検出スイッチ42からの検出信号がONからOFFになったとき、すなわち遊技者が右打ち遊技状態から左打ち遊技を行うためにハンドルルリング31を反時計回り方向に戻したときは、タイミング信号発生回路56に第2制御信号S2を出力する。
タイミング信号発生回路56は、タイミング制御部55からの第1制御信号S1又は第2の制御信号S2に基づいて、遊技球の発射タイミングに応じたタイミング信号CKを発生して出力する。
例えば、タイミング信号発生回路56は、タイミング制御部55から第1制御信号S1が入力されたときは、図9(a)に示すように、発射機構部90から発射される遊技球の発射タイミングが通常の発射タイミング(例えば99発/分)となる第1の周期T1でタイミング信号CK1を発生して球送りソレノイド駆動回路53及び発射ソレノイド駆動回路54に出力する。
また、タイミング信号発生回路56は、タイミング制御部55から第2制御信号S2が入力されたときは、図9(b)に示すように、発射機構部90から発射される遊技球の発射タイミングが通常の発射タイミングより遅い(例えば75発/分)となる第2の周期T2でタイミング信号CK2を発生して球送りソレノイド駆動回路53及び発射ソレノイド駆動回路54に出力する。
【0025】
図10は、本実施形態の動作を実現するためにタイミング制御部55が実行する処理の一例を示したフローチャートである。なお、この図10に示す処理は繰り返し実行されるものである。
この場合、タイミング制御部55を構成するCPUは、先ず、ステップS11において、電圧比較回路51から操作電圧V1が入力されたか否かの判別を行い、操作電圧V1が入力さたと判別した場合は、ステップS12において、右打ち遊技後であることを示す右打ちタイマーがONであるか否かの判別を行う。
ステップS12において、右打ちタイマーがONでないと判別した場合は、次にステップS13において、右打ち検出スイッチ32がONであるか否かの判別を行う。
ステップS13において、右打ち検出スイッチがONでないと判別した場合は、次にステップS14において、右打ちフラグがONであるか否かの判別を行う。
ステップS14において、右打ちフラグがONでなければ、ステップS15において、第1制御信号S1を出力する。
また、ステップS13において、右打ち検出スイッチがONであると判別した場合は、ステップS16において、右打ちフラグをONにしてステップS15に進む。
これにより、遊技者が遊技盤の左側領域を狙った左打ち遊技(通常遊技)を行っている場合、或いは、遊技盤の右側領域を狙って右打ち遊技を行っている場合、タイミング制御部55は、タイミング信号発生回路56に第1制御信号を出力するので、発射ユニット30では通常の発射周期(99発/分)である第1の周期T1で発射制御を行う。
【0026】
一方、ステップS14において、右打ちフラグがONであると判別した場合は、次にステップS17において、右打ちフラグをOFFにする。そして続くステップS18において第2制御信号S2を出力する。この後、ステップS19において、右打ちタイマーをONにする。
これにより、遊技者が右打ち遊技状態から左打ち遊技に戻した場合、タイミング制御部55は、タイミング信号発生回路56に第2制御信号S2を出力するので、発射ユニット30では通常より発射間隔が広い発射周期(75発/分)である第2の周期T2で発射制御を行う。
また、ステップS12において、右打ちタイマーがONであると判別した場合は、次にステップS20において、右打ちタイマーがONになってから所定時間経過したか否かの判別を行い、所定時間経過したと判別した場合は、ステップS21において、右打ちタイマーをOFFにして、ステップS15に進み、第1制御信号S1を出力する。
また、ステップS20において、所定時間経過していないと判別した場合は、一旦発射制御処理を終了する。これにより、遊技者が、右打ち遊技を止めてから所定時間経過した時点で、タイミング制御部55は、タイミング信号発生回路56に第1制御信号S1を出力するので、発射ユニット30では通常の発射周期(99発/分)である第1の周期T1で発射制御を行う。
【0027】
このように、本実施形態では、右打ち検出スイッチ42により遊技盤10の遊技領域の右側を狙った右打ち遊技が検出された状態から右打ち遊技が検出されなくなったときに、タイミング制御部55により発射機構部90から発射される遊技球の発射周期を所定期間、第1の周期T1より長い第2の周期T2に設定する制御を行うことで、遊技者が発射ハンドル部5のハンドルリング31を右打ち遊技位置から左打ち遊技位置まで戻したときは、所定期間、発射機構部90から発射される遊技球の発射周期を長くすることができる。
この結果、遊技者が発射ハンドル部5のハンドルリング31を右打ち遊技位置から左打ち遊技位置まで戻したときに、ハンドルリング31を戻しすぎて、発射機構部90から発射された遊技球が発射レールから遊技盤の遊技領域に到達せずに戻り球になったとしても、この戻り球が図示しないファール通路に移る前に、発射機構部90から次の遊技球が発射されることがないので、遊技者が発射ハンドル部5のハンドルリング31を右打ち遊技位置から左打ち遊技位置に戻したときに発生する遊技球の球突きを防止することが可能になる。
なお、遊技球の発射周期を変更する所定期間(所定時間)は、遊技者がハンドルリング31を右打ち遊技位置から左打ち遊技位置まで戻した際に、ハンドルリング31を最適な左打ち遊技位置に合わせるのに要する時間を考慮して適宜設定すれば良い。
【0028】
ここで、右打ち検出スイッチの一例についで説明する。
本実施形態のパチンコ遊技機1では、右打ち検出スイッチ42を発射ハンドル部5に設けるようにている。
図11は、右打ち検出スイッチを備えた発射ハンドル部の内部構成を示した図であり、(a)は未回動時の裏面斜視図、(b)は未回動時の裏面図、(c)は右打ち時の裏面斜視図、(d)は右打ち時の裏面図である。
図11に示すように、発射ハンドル部5の内部には、ハンドルリング31が最大回転位置(最大可動位置)にあるか否か、つまり遊技者が右打ちを行っているか否かを検出する右打ち検出スイッチ42が設けられている。
右打ち検出スイッチ42のオン/オフレバー42aは、ハンドルリング31の回動操作によりハンドルリング31に設けられている突起部33によってオン/オフが行われる。
例えば、ハンドルリング31が最大回動位置以外の位置、例えば、図11(a)(b)に示す未回動時は、突起部33が右打ち検出スイッチ42のレバー42aから離れた位置にあるため、右打ち検出スイッチ42はオフになる。
【0029】
一方、図11(c)(d)に示すように、ハンドルリング31が最大回転位置にあるときは、右打ち検出スイッチ42のレバー42aが突起部33により押し下げられてオンになる。
このように右打ち検出スイッチ42を構成することで、遊技盤10の遊技領域10aの右側を狙った右打ち遊技の有無を検出することで、遊技者の右打ち遊技を確実に検出することができる。
なお、本実施形態では、発射ハンドル5内に右打ち検出スイッチ42を設け、この右打ち検出スイッチ42によりハンドルリング31が最大回動位置にあるか否かを検出することにより右打ち検出を行う場合を例に挙げて説明したが、これはあくまでも一例であり、右打ち検出手段の構成は各種考えられるものである。
【0030】
例えば、発射ハンドル部5の発射ボリューム41は、ハンドルリング31の操作量に応じて電圧値が変化するので、この電圧値を利用して右打ち遊技が行われているか否か検出することも可能である。
またガイドレールR1の右上部分に取り付けられた返しゴムユニット6(図1参照)に、遊技球の衝突を検知するセンサを設けて右打ち遊技が行われているか否かを検出するようにしてもよい。この場合のセンサとしては、例えば遊技球が返しゴムユニット6に衝突したときの衝撃を検知する衝撃センサ(加速度センサ)や、遊技球が返しゴムユニット6に衝突したときの接触を検知する接触センサ等を設けることが考えられる。
更に、遊技盤10の右側領域にゲート15が配置されている場合は、ゲート15のゲートSW15aの検出結果を利用して右打ち検出を行ったり、或いは遊技盤10の右側領域に右打ち検出用スイッチを別途設けたりしても良い。
また、本実施形態では、タイミング制御部55を発射制御基板50に設ける場合を例に挙げて説明したが、タイミング制御部55は演出制御基板121に形成することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0031】
5…発射ハンドル部、6…返しゴムユニット、41…発射ボリューム、42…右打ち検出スイッチ、50…発射制御基板、51…電圧比較回路、52…レベル増幅回路、53…球送りソレノイド駆動回路、54…発射ソレノイド駆動回路、55…タイミング制御部、56…タイミング信号発生回路、57…発射制御部、60…球送りソレノイド、70…球送り機構部、80…発射ソレノイド、90…発射機構部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定遊技状態のときに遊技盤の遊技領域の右側を狙って遊技球を発射するように構成されたパチンコ遊技機において、
遊技者が回動可能なハンドルリングを有する発射ハンドル部と、
発射誘導レールを介して前記遊技盤の遊技領域に遊技球を発射する発射手段と、
前記ハンドルリングの操作量に応じて前記発射手段の発射力を制御する発射力制御手段と、
前記遊技盤の遊技領域の右側を狙った右打ち遊技の有無を検出する右打ち検出手段と、
前記右打ち検出手段により右打ち遊技が検出された状態から右打ち遊技が検出されなくなったときに、前記発射手段から発射される遊技球の発射周期を所定期間、第1の周期より長い第2の周期となるように制御する発射制御手段と、
を備えたことを特徴とするパチンコ遊技機。
【請求項2】
発射制御手段は、前記第1の周期のタイミング信号と、前記第2の周期のタイミング信号を発生可能なタイミング信号発生手段と、
前記タイミング信号発生手段を制御するタイミング制御手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。
【請求項3】
前記右打ち検出手段は、前記ハンドルリングが最大回動位置にあるか否かにより右打ち遊技の有無を検出することを特徴とする請求項1に記載のパチンコ遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−50692(P2011−50692A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204916(P2009−204916)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】