説明

パックホルダー

【課題】パックの冷蔵庫への出し入れや持ち運びがしやすく、液体の注ぎが容易になるのみならず、パックを回収するための水切りが容易なパックホルダーを提供する。
【解決手段】パックの側面側に位置するベース部11と、当該ベース部から内側に突設しパックの上部に有する注ぎ口とは反対側の三角錐状凹部に挿入係合する係止部12と、当該ベース部の外側に設けた取手13を有するパックホルダー10であって、前記取手の上部は、パックの水切り時にパックホルダーを逆さに自立可能な自立部13aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳飲料、果汁飲料、調味料、酒類等の液体を充填したパック用のパックホルダーに関する。
【背景技術】
【0002】
乳飲料、果汁飲料、調味料等は、主材料に紙を用いて樹脂フィルムやアルミ箔等を積層した一般的に紙パックと称されるパックが使用されている。
この種のパックは上部を三角屋根状に閉じ、この三角屋根状の両側側部に三角錐状の凹部が形成されている。
パックを開封する際には、この三角錐状の凹部の一方を開き、注ぎ口を作ることが一般的に行われている。
また、容器リサイクル法に基づく容器のリサイクル普及に伴い、パックの回収が進んでいる。
この場合に飲料等の空になったパックを水洗いし、水切りが必要である。
【0003】
従来から提案されているパックホルダーは、例えば特許文献1〜3に示すようにパックの三角錐状凹部を利用したものであるが、パックの水切りに使用することまでは考慮されていなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際出願公開パンフレット WO90/11940
【特許文献2】特開2002−104390号公報
【特許文献3】特開平10−35689号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、パックの冷蔵庫への出し入れや持ち運びがしやすく、液体の注ぎが容易になるのみならず、パックを回収するための水切りが容易なパックホルダーの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、パックの側面側に位置するベース部と、当該ベース部から内側に突設しパックの上部に有する注ぎ口とは反対側の三角錘凹部に挿入係合する係止部と、当該ベース部の外側に設けた取手を有するパックホルダーであって、前記取手の上部は、パックの水切り時にパックホルダーを逆さに自立可能な自立部を有することを特徴とする。
ここでパックホルダーのベース部とは、パックの側面側に当接又は離間して位置し、枠体、アーム体、ゴムバンド及び粘着剤等と組み合せてパックを保持するための部分をいう。
本明細書は、パックホルダーでパックを持ち運び、あるいは中に入っている飲料等をコップ等に注ぐことができるように、このパックにパックホルダーを装着した状態で上下方向を表現し、パックホルダーのベース部を基準にパックを保持する側を内側と表現する。
【0007】
本発明は、パックホルダーを逆さにし、パックの注ぎ口が係止部側になるように、あるいはパック上部を全開にし、パックホルダーのベース部にこのパックを逆さに保持した状態でパックホルダーが自立可能になるようにした点に特徴がある。
ここで、前記取手の上部の自立部はパックの水切りを維持するための少なくとも3点支持部とすることで安定した自立が可能である。
【0008】
パックホルダーを逆さにして自立できる自立部を形成するとは、取手の上部に平面部を形成する態様のみならず、いわゆる糸底状の底部平面形状や複数の突起部で自立時に平面形成ができる態様等、自立面の形状そのものに制限はない。
少なくとも支持部が3点あれば自立可能であり、3点支持部の内側にパックとパックホルダーを合せたものの重心が位置するようにすることで安定した自立状態になる。
取手の上部に自立部を形成する場合に、例えば3点支持部を結んで形成される三角形の面積が最大になるように3箇所の支持部を配置するのがよい。
従って、取手の上部に形成した自立部において、例えば図3に示すように接地面とベース部との内側の角度θが90°よりもやや大きい95°〜120°の鈍角になるように設定するのが好ましい。
【0009】
パックホルダーの係止部はこのパックホルダーを逆さにし、水切り時にパックの口から流れ出る水等を排水するための排水部を有するようにしてもよい。
このようにすると例えばパックホルダーを逆さに調理台等の際に自立させると、逆さにしたパックから水切りされた水は係止部に設けたこの排水部を介し、シンクに直接排水できて便利である。
なお、排水部とはパックホルダーの排水のための孔、溝及び開口部等をいう。
【0010】
パックホルダーのベース部はパックを両側から保持する左右一対のアームを有し、当該一対のアームは内側に折り畳み可能であるようにすると、使用しない時に一対のアームを内側に折り畳んでこのパックホルダーをコンパクトに収納できる。
また、一対のアームを内側に折り畳み可能で、外側には折り畳みできないようにすると、パックをこの一対のアームの間に把持させた際に不本意にアームが外側に開くことを防止できる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るパックホルダーは、このパックに設けた係止部をパックの上部の三角錐状凹部に差し込むことでパックの持ち運び等が容易になるのみならず、取手の上部にパックの水切りをするための逆さに自立できる自立部を形成したので、パックの水切り及び回収に便利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るパックホルダーの外観図を示し、(a)はパックの三角錐状凹部に差し込むための係止部を上にした状態を示し、(b)はパックの水切りのために係止部を下にした逆さ状態を示す。
【図2】(a)は係止部をパックの三角錐状凹部に差し込み(係合)、ベース部及びアームでパックの側部を保持した状態を示し、(b)はパックホルダーを逆さにし、パックの水切りをしている状態を示す。
【図3】パックホルダーを逆さにした状態の縦断面図を示す。
【図4】パックを逆さにしパックホルダーで保持し、水切りをしている状態の断面図を示す。
【図5】(a)はパックホルダーの側面図を示し、(b)はA−A線断面図、(c)はB−B線断面図を示す。
【図6】パックホルダーを折り畳んだ状態を示す。
【図7】パックをパックホルダーにて保持し、飲料をコップに注いでいる状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係るパックホルダーの構造例を図1及び図2に基づいて説明する。
パックホルダー10はパックの側面側に位置するベース部11とその上部から内側に向けて斜め上方に突設した係止部12を有する。
ベース部11の外側に、このベース部11の上部から下方に向けて延在する取手13を有する。
ベース部の下部付近は、内側に折り曲げ形成した第一側壁21、第二側壁31をベース部と一体的に設けてある。
左右の第一,第二側壁21,31とベース部11との内側の角度は内側にパックが入りやすいように90°よりやや大きい鈍角になっている。
左右の第一,第二側壁21,31の先には可撓性のある第一アーム22,第二アーム32を回動軸24,34にて内側に折り畳み可能に設けてある。
第一アーム22,第二アーム32の先にはさらに内側に折り曲げ形成した第一爪部23,第二爪部33を有する。
図6に示すように第一,第二側壁21,31のベース部11から回動軸24,34の中心までの寸法bは、第一爪部第二爪部23,33の折り曲げ長さ寸法cよりも同等又はやや大きくなっていて折り畳んだときにコンパクトになる。
【0014】
パックホルダー10を用いて、コップ6に飲料5を注いでいる状態を図7に示す。
パック1は上部に三角状屋根が形成されるように端部3で閉じてあり、この三角状屋根の両側に三角錐状の凹部2が形成される。
一方の三角錐状凹部を開くことで注ぎ口4が形成される。
パックホルダー10の係止部12は平面視で略三角形の突状形状で内側上方に向けてやや斜めに突出しているので、パックの三角錐状凹部に差し込みやすく、ベース部11と両側の第一アーム22,第二アーム32でパックの周囲を保持でき、パック1がパックホルダー10から外れにくく、取手13を持っての持ち運びや液体の注ぎに便利である。
【0015】
図2(b)及び図4に示すようにパックホルダー10を自立させ、これに洗浄したパック1を逆さに保持し、水切りができるようになっている。
本実施例では図1に示すように取手上部の係止部側左右の2点(P,P)と取手上部の外側寄りの1点(P)との3点で自立部13aを形成し、パックとパックホルダーを合せたものの重心がこの3点の内側に位置する。
なお、取手の上部に自立部を形成する場合に、図1及び図3に示すように係止部12の上面12cから取手13の上部にわたって、斜めの平面形状に形成し、自立部13aに当接する接地面とベース部11との内側の角度θが95°〜120°の鈍角に設定するとより安定した自立状態になる。

【0016】
係止部12の下面は、図1(b),図3に示すように排水凹部12bとその凹部の底部に排水孔12aを設けてあり、図4に示すようにパックを水切りした水が排水されるようになっている。
このようにすると、自立部13aにて調理台の際100にも置くことができシンクに直接排水できて便利である。
【0017】
次に図5,図6に基づいてアームの折り畳み構造例について説明する。
第一アーム22と第二アーム32は対向して配置されている以外は同じ構造であるので、図5に示した第二アーム32にて説明する。
第二アーム32側は側面視コ字状に切り欠き部を形成し、第二側壁31側はこの第二アーム32側のコ字状切り欠き部に入り込む突部を形成する。
この間を図5(b),(c)に示すようにスプリングピンで回動軸34を形成した。
図5(b)に示すようにA−A線断面部は第二側壁側の摺動部31aと第二アーム側の摺動部32aで摺接しているが、(c)に示すようにB−B線断面部は、第二側壁側の回動規制面31bと第二アーム側の回動規制面32bとが当接すると、それ以上第二アーム32が外側に回動しないようになっている。
これにより、図6に示すように左右の第一アーム22及び第二アーム32を内側にのみ折り畳み可能になっている。
なお、左右の第一,第二アームの間にパックを保持する場合には、アーム部材が可撓性のある樹脂部材等を用いているので、左右の第一爪部23及び第二爪部33を相対的に外側に開くようにする。
【符号の説明】
【0018】
10 パックホルダー
11 ベース部
12 係止部
12a 排水孔
12b 排水凹部
13 取手
13a 自立部(取手上部)
21 第一側壁
22 第一アーム
23 第一爪部
24 回動軸
31 第二側壁
32 第二アーム
33 第二爪部
34 回動軸
,P,P 支持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パックの側面側に位置するベース部と、当該ベース部から内側に突設しパックの上部に有する注ぎ口とは反対側の三角錐状凹部に挿入係合する係止部と、
当該ベース部の外側に設けた取手を有するパックホルダーであって、
前記取手の上部は、パックの水切り時にパックホルダーを逆さに自立可能な自立部を有することを特徴とするパックホルダー。
【請求項2】
前記取手の上部の自立部は、パックの水切りを維持するための少なくとも3点支持部からなることを特徴とする請求項1記載のパックホルダー。
【請求項3】
前記係止部は前記パックホルダーを逆さにし、水切り時にパックの口から流れ出る水等を排水するための排水部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のパックホルダー。
【請求項4】
前記ベース部はパックを両側から保持する左右一対のアームを有し、当該一対のアームは内側に折り畳み可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパックホルダー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−23232(P2013−23232A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156999(P2011−156999)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000107066)株式会社リッチェル (77)
【Fターム(参考)】